JP2000336002A - 農薬組成物の散布方法 - Google Patents

農薬組成物の散布方法

Info

Publication number
JP2000336002A
JP2000336002A JP2000045428A JP2000045428A JP2000336002A JP 2000336002 A JP2000336002 A JP 2000336002A JP 2000045428 A JP2000045428 A JP 2000045428A JP 2000045428 A JP2000045428 A JP 2000045428A JP 2000336002 A JP2000336002 A JP 2000336002A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
soil
water
active ingredient
spraying
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000045428A
Other languages
English (en)
Inventor
Mikio Sekiguchi
幹夫 関口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Kayaku Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kayaku Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Kayaku Co Ltd filed Critical Nippon Kayaku Co Ltd
Priority to JP2000045428A priority Critical patent/JP2000336002A/ja
Publication of JP2000336002A publication Critical patent/JP2000336002A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】農薬活性成分を簡便にかつ効率的に土壌消毒す
る方法を開発すること 【解決手段】灌水チューブで水溶解度50%以下の農薬
活性成分をそのままあるいはその農薬組成物として散布
処理して簡便かつ効率的に土壌の有害生物を防除する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農薬の散布方法に
関し、特に土壌燻蒸に好適な散布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】農作物に被害を及ぼす土壌中の有害生物
を防除するために従来は水和剤や乳剤を水に希釈して
ジョーロや散布機などに散布して土壌と混和する方法、
粒剤や粉剤を土壌表面に散布して土壌と混和する方
法、蒸気圧の高い農薬活性成分をそのまま、あるいは
溶剤などで希釈した油剤を畑を耕起し、整地する際、土
壌に注入して使用する方法などがある。蒸気圧の高い農
薬活性成分を土壌中の有害生物の防除に使用する場合
は、処理専用機械で農薬活性成分を土壌中に注入した
後、一般的に効力を高めたり刺激臭を抑えたりするため
に土壌表面に散水して水封や鎮圧、或いは農業用フィル
ム、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどで被覆
して大気中に農薬活性成分の蒸散を抑制する方法が実施
されている。しかし、土壌に薬剤を処理するさいに特殊
な処理専用機を準備しなければならないなど煩雑であ
り、温室内のような空気がこもる条件では使用しにくい
面がある、また農薬活性成分の揮散、フィルムの透過の
ために有害生物の防除効率も低減することになる。最近
では揮発性のある農薬活性成分を水溶性のフィルムに包
装して土壌中に埋めたり、土壌表面に置いて被覆材で覆
い使用する方法があるが、コストが高いなどの問題点が
ある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】農薬活性成分をそのま
まあるいは該農薬活性成分に通常用いられる補助剤を配
合した農薬組成物(以下、併せて薬剤と記す)を使用し
て土壌中の有害生物を簡便かつ効率良く安全に防除する
方法を開発することが本発明の課題である。
【0004】
【課題を解決するための手段】発明者らは前記したよう
な課題を満足させられる技術を鋭意研究した結果、本発
明に至ったものである。即ち、本発明は、(1)水に対
する溶解度が50重量%以下の農薬活性成分を単独で、
あるいは該農薬活性成分に補助剤を配合した農薬組成物
として、土壌表面または土壌中に敷設した灌水チューブ
を介して土壌に散布することを特徴とする農薬散布方
法、(2)前記農薬活性成分の沸点が40℃以上でかつ
蒸気圧が0.5mmHg/20℃以上である(1)に記
載の農薬散布方法、(3)前記農薬活性成分がクロルピ
クリンおよび/またはD−Dである(1)に記載の農薬
散布方法、(4)前記農薬組成物が乳剤、EW剤、水性
乳剤又は固形乳剤である(1)乃至(3)のいずれか1
項に記載の農薬散布方法、(5)前記潅水チューブと、
該潅水チューブが敷設された土壌をガスバリア性フィル
ムで被覆することを特徴とする(1)に記載の農薬散布
方法、(6)前記ガスバリア性フィルムの酸素ガス透過
度が8000cc/平方メートル・hr・atm(25
℃、50%RH)以下である(5)に記載の農薬散布方
法、(7)前記ガスバリア性フィルムの酸素ガス透過度
が4000cc/平方メートル・hr・atm(25
℃、50%RH)以下である(5)に記載の農薬散布方
法、(8)前記ガスバリア性フィルムがエチレン・ビニ
ルアルコール共重合樹脂からなるフィルムである(5)
乃至(7)のいずれか1項に記載の農薬散布方法、に関
する。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に本発明を具体的に説明す
る。本発明に使用できる農薬活性成分は水に対する溶解
度が50重量%以下(25℃において、1kgの水に対し
て溶解する重量が1kg以下)のもので、農薬活性成分が
土壌中に拡散し、土壌中でその一生あるいは一時期を生
息し、農作物等の有用植物や人間に害を及ぼす昆虫、雑
草、病害等を防除する活性を有するものである。本発明
の農薬散布方法において適用しうる農薬活性成分の具体
例としては、D−D(1,3−ジクロロプロペンと1,
2−ジクロロプロパンの混合物、または1,3−ジクロ
ロプロペン))、DBCP(1,2−ジブロモ−3−3
クロロプロパン)、DCIP(ジクロロジイソプロピル
エーテル)、MITC(メチルイソチオシアネート)、
クロルピクリン(トリクロロニトロメタン)、エチレン
ジブロマイド、ジメチルジクロルビニルホスフェート、
二硫化炭素、ダゾメット(テトラヒドロ−3、5−ジメ
チル−1、3、5−チアジアジン−2−チオン)、NA
C(1−ナフチル−N−メチルカーバメート)、MIT
C(メタトリル−N−メチルカーバメート)MIPC
(2−イソプロピルフェニル−N−メチルカーバメー
ト)、BPMC(2−セカンダリーブチルフェニル−N
−メチルカーバメート)、MPMC(3,4−キシリル
−N−メチルカーバメート)カルボスルファン(2,3
−ジヒドロ−2,2−ジメチルベンゾフラン−7−イル
(ジブチルアミノチオ)メチルカルバマート)、フラチ
オカルブ(O−n−ブチル−O’−(2,2−)ジメチ
ル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イル)−N,
N’−チオ−ジカルバマート)、イミダクロブリド(1
−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイ
ミダゾリジン−2−イリデンアミン)、アセタミプリド
((E)−N1−〔(6−クロロ−3−ピリジル)メチ
ル〕−N2−シアノ−N1−メチルアセトアミジン)、
ニチンピラム((E)−N−(6−クロロ−3−ピリジ
ルメチル)−N−エチル−N−メチル−N−2−ニトロ
ビニリデンジアミン)、フェプロニル((±)−5−ア
ミノ−(2,6ジクロロ−α,α,α−トリフルオロ−
p−トルイル)−4−トリフルオロメチルスルフィニル
ピラゾール−3−カルボニルトリル、MEP(O,O−
ジメチル−O−(メチル−4−ニトロフェニル)チオフ
ォスフェート)、ダイアジノン((2−イソプロピル−
4−メチルピリミジル−6)−ジエチルチオフォスフェ
ート)ベンスタップ(S,S’−[2−(ジメチルアミ
ノ)トリメチレン]ビス−ベンゼンチオォネート)、ベ
ンフラカルブ(エチル−N−(2、3−ジヒドロ−2、
2−ジメチルベンゾフラン−7−イルオキシカルボニル
(メチル)アミノチオ)−N−イソプロピル−β−アラ
ニナート)、メタラキシル(メチル=N−(2−メトキ
シアセチル)−N−(2、6−キシリル)−DL−アラ
ニナート)、ホスチアゼート((RS)−S−sec−
ブチル=O−エチル=2−オキソ−1,3−チアゾリジ
ン−3−イルホスホノチオアート)、メソミル(S−メ
チル−N−〔(メチルカルバモイル)オキシ〕チオアセ
イミデート)、ビラクロホス((RS)−〔O−1−
(4−クロロフェニル)ピラゾール−4−イル=O−エ
チル=S−プロピル=ホスホロチオアート〕)、エトプ
ロホス(O−エチル=S,S−ジプロピル=ホスホロジ
オアート)、オキサミル(メチル−N’、N’−ジメチ
ル−N−〔(メチルカルバモイル)オキシ〕−1−チオ
オキサムイミデード)、プロメトリン(2−メチルチオ
−4,6−ビス(イソプロピルアミノ)−s−トリアジ
ン)、ベンスルフロンメチル(メチル=α−(4,6−
ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファ
モイル)−o−トルアート)、トリフルラリン(α,
α,α−トリフルオロ−2,6−ジニトロ−N,N−ジ
プロピル−p−トルイジン)、イマゾスルフロン(1−
(2−クロロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イ
ルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン
−2−イル)尿素)、カフェンストロール(N,N−ジ
エチル−3−メシチルスルホニル−1H−1,2,4−
トリアゾール−1−カルボキサミド)、グリホサートイ
ソプロピルアミン塩(イソプロピルアンモニウム=N−
(ホスホノメチル)グリシナート)などが挙げられる。
農薬活性成分は上記に限定されるものではなく、また、
これらは1種または2種以上を任意に併用しても良い。
なお、農薬活性成分は散布後の拡散性の観点から、沸点
が40℃以上でかつ蒸気圧が0.5mmHg/20℃以
上である農薬活性成分が好ましい。このような農薬活性
成分としてはクロルピクリンやD−Dなどが例示でき
る。
【0006】本発明の農薬散布方法では農薬活性成分を
そのまま使用しても良いが、農薬に通常用いられる補助
剤を添加し農薬組成物としても良い。農薬に通常用いら
れる補助剤としては、有機溶剤、水、キャリア、界面活
性剤、安定剤などを例示することができるが、これらに
限定されるものではない。また、農薬組成物は、乳剤、
EW剤、水性乳剤、固形乳剤、水和剤、フロアブル剤、
油性懸濁剤(オイルに農薬成分を分散させたオイルベー
スのフロアブル剤)、ドライフロアブル剤(WDG)、
マイクロカプセル剤のように製剤化した農薬組成物とし
ても良く、これらの農薬組成物で水を含有しない農薬組
成物を水溶性フィルムで包装した農薬包装体としても良
い。これらのように製剤化した農薬組成物は取り扱いが
容易であり、より簡便に本発明の農薬散布方法を実施す
ることが可能となる。また、農薬組成物としては水に稀
釈した時の水中安定性や灌水チューブの目詰まりが起こ
りにくいなどの点から乳剤、EW剤、水性乳剤の他に水
溶性のキャリアを用いた固形乳剤などが好ましい。農薬
組成物として固形乳剤、水和剤、フロアブル剤、WDG
などを用いる場合、固形の農薬活性成分や水に不溶なキ
ャリアなどは灌水チューブへの目詰まりを防止するため
にはできるだけ細かい方がよく、具体的には農薬組成物
の平均粒径が100μm以下好ましくは20μm以下で
ある。農薬組成物の農薬活性成分の含有量は、その農薬
活性成分の性能や物理性によって配慮されなければなら
ないが0.1〜99%(重量)程度が適当である。
【0007】本発明で有機溶剤は混合・溶解したとき油
状溶液の粘度を低下させたり、固体の活性成分を溶解し
たりするために用いる。本発明で使用しうる有機溶剤の
具体例としては、例えばメチルアルコール、エチルアル
コール、キシレン、N−メチルピロリドン、アジピン酸
ジオクチル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジイ
ソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジラウリ
ル、フタル酸ジイソノニル、リン酸トリブチル、リン酸
トリ−2−エチルヘキシル、日石ハイゾールSAS−2
96(日本石油化学社製)、二塩基酸エステル(デュポ
ン社製)としてのコハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチ
ル、アジピン酸ジメチルなど混合溶液、脂肪族あるいは
芳香族の石油系溶剤、アルキルベンゼン、メチルナフタ
レン等の有機溶剤、コーン油、ゴマ油、綿実油等の動植
物油などが挙げられ、これらを1種または2種以上使用
するがこれらに限定されるものではなく、使用量も活性
成分の物理性、防除効力等を考慮して任意の割合で使用
することができる。
【0008】本発明で使用する界面活性剤は農薬活性成
分を乳化や分散させるために使用されるが、本発明で使
用しうる界面活性剤の具体例として例えば、ポリオキシ
エチレンとポリオキシエチレンのブロックポリマー、ポ
リオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレ
ンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエス
テル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポ
リオキシエチレンソルビタンモノオレート、等の非イオ
ン界面活性剤、ドデシルベンゼンスルフォン酸金属塩
(以下、Na塩、Ca塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類
金属を示す)、オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸の金属
塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル、ナフタレンス
ルホン酸重縮合物の金属塩、アルキルナフタレンスルホ
ン酸金属塩、ポリカルボン酸金属塩、ポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルエーテルサルフェート金属塩、特殊
ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、等の陰イオン界面
活性剤などが挙げられる。これらは1種あるいは2種以
上を、使用する活性成分や溶剤に合わせて使用できる
が、これらに限定されるものではない。
【0009】本発明で使用する鉱物質などのキャリアは
農薬活性成分を適度の濃度に稀釈するための増量剤、固
体の原体の粉砕補助剤、液体原体の吸着剤などとして使
用される。使用しうるキャリアの具体例としては例えば
クレー、タルク、ホワイトカーボン、珪藻土、塩化カリ
ウム、尿素、硫安、可溶化澱粉などが挙げられる。通
常、これらを1種または2種以上を併用できるが、これ
らに限定されない。
【0010】本発明で使用する安定剤は主に農薬活性成
分の分解を防止するために使用される。本発明で使用し
うる安定剤の具体例としては例えば、ブチルハイドロキ
シトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソールのような酸
化防止剤、エポキシグリセライド、ジイソプロピルホス
フェートなどが挙げられ、これらを1種または2種以上
を使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0011】本発明に使用する水溶性フィルムは水とし
てに溶解し、一定の強度を持ち、使用する農薬組成物を
透過したり、使用する農薬組成物に溶けたりしないフィ
ルムなら何でもよく、適用する農薬組成物の性質に合わ
せて選択すれば良い。通常、ポリビニルアルコール、カ
ルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその
塩、デンプン、ゼラチン等の1種または2種以上からな
るフィルムから選択される。さらに、フィルムの厚さも
農薬組成物の種類やフィルムの材質によって実用に供し
得る範囲で選択され、特に限定されないが、例えば耐薬
品性、強度、経済性等のよいポリビニルアルコールを使
用する場合、5μm以上がよく、経済性や強度から特に
好ましくは10μm〜80μm程度がよい。また、水溶
性フィルムを外装フィルムに弱接着した、エコピール
(共同紙工(株)製)などの水溶性フィルム一体化フィ
ルを用いてもよい。
【0012】本発明の1個の包装体の重量は50g〜2
0kgで好ましくは100g〜10kg程度がよい。ま
た、同時に加工時の経済性も重視する必要があり、円
筒、球形、角袋状等が好ましい。但し、これらの形状に
限定されるわけではない。尚、水溶性フィルムは湿気に
弱いのでこのような包装体は1個ずつあるいは数個まと
めて更に防湿性が高い包材で包装したほうがよい。ま
た、必要に応じて包装体を防湿包装材で包装する際に減
圧して包装してもよい。防湿包装材としてはポリエチレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リビニルアルコール、ポリプロピレン、エチレン・ビニ
ルアルコール共重合樹脂、ナイロン、アルミニウム箔等
のフィルムの他に、アルミニウムやシリカを蒸着したフ
ィルムなどもよくこれらを1種または2種以上の共重合
物および混合物或いは貼り合わせなどが挙げられる。こ
の他に外装フィルムに水溶性フィルムを弱接着した、エ
コピールなどの水溶性フィルム一体化フィルムに直接農
薬組成物を入れ包装体にしてもよい。
【0013】本発明では乳剤、EW剤、固形乳剤などの
水に乳化あるいは水和剤、フロアブル剤、マイクロカプ
セル剤などの水に懸濁できる薬剤が使用できる。それら
の製造方法としては、一般的な方法、例えば農薬活性成
分と界面活性剤に必要に応じて有機溶剤や安定剤を添加
して充分に混合して乳剤を得ることができる。また、こ
の乳剤を水溶性の粉末に含浸させて固形乳剤を作ること
も可能である
【0014】本発明で使用する灌水チューブとしては、
市販されている灌水チューブ(散水チューブ)の他に側
面に穴を有するチューブであればいずれも使用可能であ
り、例えば、粉剤、粒剤、肥料などの散布に用いられる
多口ホースなどが使用出来るが、これらに限定されな
い。また穴があいていないチューブ、例えば水道のホー
ス、塩化ビニルの水道パイプ、雨樋のパイプなどに穴を
開けて用いることもできる。灌水チューブの素材は、使
用する薬剤や土壌水分などとの接触および温度などによ
って変質しなければポリエチレン、ポリ塩化ビニル、テ
フロン樹脂、シリコン樹脂、ポリプロピレン、ナイロ
ン、ポリプロピレンなどの1種または2種以上の共重合
物および混合物などからなる灌水チューブを使用しても
良く、またこれらの素材には限定されない。該チューブ
の太さは特に限定されないが直径1mm〜300mm程
度がよい。該チューブ側面の穴の大きさは、大きすぎる
と水の量が多く必要になったり、小さすぎると薬剤を処
理するのに時間が長く必要になったりするため、穴の大
きさは直径0.1μm〜30mm好ましくは1μm〜1
0mm程度が適している。穴はチューブの側面に10〜
200cmの等間隔またはランダムに一列または二列あ
るいは周全面に開いていれば良いが、これらに限定され
るものではない。
【0015】本発明で灌水チューブによる灌水方式とし
ては点滴型、噴霧型、多孔質、散水型などあるが、散布
巾や圃場の形状などで適宜選択される。例えば灌水チュ
ーブとしてはエバフローA、スーパーエバフローA−1
00、エバフローM(噴霧型)、エバフローD(点滴
型)、エバフローS(散水型)、エバフローKW(片側
散水型)、KIRICO BIG HOLE SIDE SPRAAY、キリコA
型、キリコ(マルチ)型、KIRIKO H型(ハウス用)、キ
リコR型、キリコKH型、キリコH型、片側散水型、キ
リコ=R=KIRIKO(以上三井化学プラチック社(株)製
の散水チューブ)、スミサンスイマルチ(住友化学工業
(株)製)、片面×穴式灌水チューブ(日新化学工業
(株)製)などが使用できるがこれらに限定されない。
【0016】本発明において、土壌表面に敷設する場
合、散布する面積と形状、薬剤として土壌燻蒸剤を散布
し土壌燻蒸する時の被覆材の性能、対象病害虫、土壌中
の水分、地温・気温、農薬成分の灌水チューブからの有
効蒸散距離、薬剤の使用量、農薬成分の拡散速度、散布
時間、投入速度、水の圧力などを考慮して灌水チューブ
を敷設する必要がある。敷設方法は直列方式あるいは分
岐管を用いて並列方式でも可能である。また敷設する間
隔は、平らな土壌表面の場合は薬剤がほぼ均一に散布で
きるように灌水チューブの間隔は均等に敷設することが
好ましく、灌水チューブの間隔は通常50〜1000c
mで、好ましくは90〜300cmである。畝の場合
は、灌水チューブを中央部あるいは作物を作付け付近に
敷設する方が好ましい。また被覆畦内処理(マルチ畦内
処理)の場合と同様に形状によっては中央部や作物の植
え付ける付近に灌水チューブを敷設する方が好ましい。
一方、灌水チューブを土壌中に敷設する場合は、作物の
種類や土壌病害虫の発生しやすい深さに敷設することが
好ましい。また、灌水チューブを埋設する場合は、土壌
の質によっては灌水チューブの穴を塞ぐ可能性があるた
め、灌水チューブの穴の部分やチューブ全体を布や紙を
巻いたり、藁、砂などで保護し穴の目詰まりを防止を必
要とする場合もある。
【0017】本発明では被覆材を雑草の防除や地温を上
げるため或いは蒸気圧の高い農薬活性成分を処理すると
きに使用することができる。被覆材としては、ガスバリ
ア性フィルムが好ましい。中でも蒸気圧の高い農薬活性
成分を処理するとき使用できる被覆フィルムはガスバリ
ア性があれば特に限定されない。ガスバリア性はフィル
ム自体の性質によって異なり、その厚さによってもまた
数種類の張り合わせなどでも異なる。土壌を被覆するた
めの強度、経済性などを考慮するのは当然であるが、ガ
スバリア性は高いほど良く、酸素ガス透過度(ガス透過
度の測定条件および測定方法は25℃、相対湿度50%
でASTMD1434−66に準じ、フィルム厚につい
ては測定したフィルムの厚さを基準に反比例するとして
補正計算する)が通常8000cc/平方メートル・h
r・atm以下、好ましくは4000cc/平方メート
ル・hr・atm以下である。フィルムの材質としては
例えばポリエチレンテレフタレート、ポリアミド樹脂、
ナイロン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ
アクリロニトリル、ポリビニルアルコール、エチレン・
ビニルアルコール共重合物、ポリエチレン、エチレン酢
酸ビニル重合物、ポリプロピレンなどの1種または2種
類以上の共重合物および混合物或いは貼り合わせなどか
らなるフィルムが選択されるが、これらに限定されるも
のではない。フィルムの厚さは、酸素透過度とも関連
し、ポリエチレンや軟質塩化ビニルなどの単層フィルム
のガスバリア性があまり高くないフィルムは、ガス透過
性がほぼ厚さに反比例することを目安に厚くすることに
よってガスバリア性を高める必要がある。また、使用す
る薬剤や土壌水分などとの接触によって変質しガスバリ
ア性が失われたりしにくい、取り扱いやすいフィルム、
経済的にも優れているフィルム等を使う必要があり、厚
さは素材にもよるが通常10μm〜500μm好ましく
は10μm〜200μm程度が適している。また、被覆
材の被覆方法としては、土壌表面に被覆材をベタに置く
方法や、トンネル支柱でトンネルを作り被覆する方法が
例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0018】本発明で農薬活性成分や農薬組成物等の薬
剤の処理方法は、例えば土壌消毒機等についたポンプを
用いて薬剤をそのまま灌水チューブに直接注入し土壌に
処理するか、薬剤を灌水チューブに注入しながら水と共
に土壌に処理するか、薬剤を水に稀釈した後灌水チュー
ブに供給し土壌を処理するか、あるいは薬剤を水で稀釈
した後灌水チューブに水とともに土壌を処理するか、薬
剤をそのままあるいは薬剤を水に稀釈した後、液体肥料
混入機、動力噴霧機、手動噴霧機などを用いて灌水チュ
ーブに注入する方法があるがこれらに限定されない。液
体肥料混入機としては例えば、レナウン液肥混入機HM
−S型、スミチャージ40、スミチャージ50、スミジ
ェット(住友化学工業(株)製)、ドサロン(輸入元
(株)サンホープ)、ドーズマチックス・プラス(輸入
元トスク(株))、ネオブレンダー、高倍率ネオブレン
ダー、低倍率ネオブレンダー、スパーネオブレンダー
((株)ネッツ製)、定置式液肥混入機RHM−2型、
簡易式液肥混入機RHS型、肩掛式液肥混入機THM−
3型(マルサ工業(株)製)などがあるがこれらに限定
されない。薬剤を水で稀釈して用いる場合は、薬剤の種
類や土壌の状態を配慮して任意に稀釈濃度を決定すれば
良い、具体的には2倍から1000000倍程度で好ま
しくは5倍から1000倍に水で稀釈するか、或いは、
薬剤を敷設した灌水チューブの体積(灌水チューブの円
周と長さから理論体積量計算)の2倍から10000倍
好ましくは10倍から100倍程度になるように稀釈し
て散布してもよい。また、畑地の形状や灌水チューブの
性能などによりバルブ操作や水圧などの調節では均一散
布が困難な場合は、灌水チューブの一端から注入するだ
けでなく、灌水チューブの両端や中央部などの中間から
も注入して土壌に均一に処理しても良い。また、土壌燻
蒸剤のように蒸気圧が高い薬剤で処理する場合は土壌表
面をガスバリア性のフィルムで覆い、土壌表面に薬剤そ
のままや薬剤そのままを水で稀釈し散布することによ
り、農薬活性成分が土壌に浸透しながら一方では土壌表
面と被覆材の間の気中に水平方向に拡散しながら、同時
に下方にも拡散して土壌全体を燻蒸消毒する。例えばガ
スバリア性のあまり高くない軟質ポリ塩化ビニルやポリ
エチレンなどの厚さ10μm以下の被覆フィルムでは農
薬活性成分が上方に透過してしまうおそれがある。
【0019】一方、土壌中に敷設した灌水チューブに薬
剤や薬剤を水で稀釈したもので土壌を処理すると、農薬
活性成分が土壌に浸透しながら土壌全体に拡散する。そ
のため一部の薬剤は土壌表面から放出されるため、土壌
表面を鎮圧あるいは散水による水封をするか、被覆材で
あるガスバリア性フィルムで土壌表面を被覆することが
好ましく、蒸気圧の高い農薬活性成分を土壌中から放出
させると、薬剤の効率が悪くなるばかりか、温室などの
施設園芸や住宅地近郊の圃場では作業者や住民に影響を
与えかねない。また、従来の土壌深度15〜20cmに
おける潅注処理では農薬活性成分の水平方向拡散が少な
く、約30cm間隔での処理が普及しているが、本発明
の方法では薬剤をそのまま或いは水に稀釈したものを灌
水チューブに注入し拡散させるだけで土壌燻蒸ができる
ため非常に簡便で省力的になり、大型機械が入りにく
く、人手作業に頼る温室などの施設園芸に適している。
更に薬剤のロスが少ないので従来の方法より薬量も少な
くてすみ、経済性、環境への影響など種々の点でメリッ
トが大きい。散布量は、用いられる農薬活性成分の活性
などを考慮して適宜決めることができるが、例えばクロ
ルピクリンを農薬活性成分として用いるの場合は、クロ
ルピクリンが10アール当り2.5〜30リットル、好
ましくは5〜20リットル散布されるように散布量を調
整するのが好ましい。
【0020】
【実施例】次に実施例と試験例を示し本発明を更に詳細
に説明する。本発明がこれらのみに限定されるものでは
ない。
【0021】実施例1 0.9m×5mの圃場の土壌表面に、先端部を閉じた灌
水チューブ(片面×穴式灌水チューブ、日新化学工業
(株)製)を穴を下向き中央部に敷設しポリエチレンテ
レフタレート/ポリエチレンのラミネートフィルム(厚
み;60μm、酸素ガス透過度;230cc/平方メー
トル・hr・atm)で全体を被覆した後、灌水チュー
ブに135リットルの水を通しながらクロルピクリン1
35ml(30リットル/10a)を2時間以内で無く
なるようにポンプで注入して、土壌燻蒸を行った。
【0022】実施例2 0.9m×5mの圃場の土壌表面に、先端部を閉じた灌
水チューブ(スミサンスイマルチ100−3(住友化学
工業(株)製)を穴を上向きにして中央部に敷設しポリ
エチレンテレフタレート/ポリエチレンのラミネートフ
ィルム(厚み;60μm、酸素ガス透過度;230cc
/平方メートル・hr・atm)で全体を被覆した後、
クロルピクリン135ml(30リットル/10a)と
界面活性剤のニューカルゲンD−212(竹本油脂社
製)56.2gで作製した80%(重量部)クロルピク
リン乳剤を水で10倍に稀釈した後、灌水チューブに5
0リットルの水を通しながら2時間以内でなくなるよう
に注入して、土壌燻蒸を行った。
【0023】実施例3 0.9m×5mの圃場の土壌表面に、先端部を閉じた灌
水チューブ(スミサンスイマルチ100−3(住友化学
工業(株)製)を穴を上向きにして中央部に敷設しポリ
エチレンテレフタレート/ポリエチレンのラミネートフ
ィルム(厚み;60μm、酸素ガス透過度;230cc
/平方メートル・hr・atm)で全体を被覆した後、
クロルピクリン135ml(30リットル/10a)と
界面活性剤のニューカルゲンD−212(竹本油脂社
製)56.2gで作製した80%(重量部)クロルピク
リン乳剤を水で100倍に稀釈した後、2時間以内でな
くなるように灌水チューブに通して、土壌燻蒸を行っ
た。
【0024】実施例4 0.9m×5mの圃場の土壌表面に、先端部を閉じた灌
水チューブ(スミサンスイマルチ100−3(住友化学
工業(株)製)を穴を上向きにして中央部に敷設しポリ
エチレンテレフタレート/ポリエチレンのラミネートフ
ィルム(厚み;60μm、酸素ガス透過度;230cc
/平方メートル・hr・atm)で全体を被覆した後、
クロルピクリン67.5ml(15リットル/10a)
と界面活性剤のニューカルゲンD−212(竹本油脂社
製)28.1gで作製した80%(重量部)クロルピク
リン乳剤を水で200倍に稀釈した後、2時間でなくな
るように灌水チューブに通して、土壌燻蒸を行った。
【0025】実施例5 ポリエチレンテレフタレート/ポリエチエレンのラミネ
ートフィルムの代わりにポリエチレンフィルム(厚み;
50μm、酸素ガス透過度;3950cc/平方メート
ル・hr・atm)を使用する以外は実施例2と同じの
方法で土壌燻蒸を行った。
【0026】実施例6 ポリエチレンテレフタレート/ポリエチエレンのラミネ
ートフィルムの代わりにポリエチレンフィルム(厚み;
20μm、酸素ガス透過度;9880cc/平方メート
ル・hr・atm)を使用する以外は実施例2と同じの
方法で土壌燻蒸を行った。
【0027】実施例7 0.9m×5mの圃場の土壌表面に、先端部を閉じた灌
水チューブ(スミサンスイマルチ100−3(住友化学
工業(株)製)を穴を上向きにして中央部に敷設しポリ
エチレンフィルム(厚み;20μm、酸素ガス透過度;
9880cc/平方メートル・hr・atm)で全体を
被覆した後、クロルピクリン67.5ml(15リット
ル/10a)と界面活性剤のニューカルゲンD−212
(竹本油脂社製)28.1gで作製した80%(重量
部)クロルピクリン乳剤を水で10倍に稀釈した後、灌
水チューブに50リットルの水を通しながら2時間以内
でなくなるように注入して、土壌燻蒸を行った。
【0028】実施例8 0.9m×5mの圃場の土壌表面に、先端部を閉じた灌
水チューブ(スミサンスイマルチ100−3(住友化学
工業(株)製)を穴を上向きにして中央部に敷設しポリ
エチレンでエチレンビニルアルコール共重合物をサンド
イッチ状に共押し出したフィルム(厚み;60μm、酸
素ガス透過度;5cc以下/平方メートル・hr・at
m)で全体を被覆した後、クロルピクリン45ml(1
0リットル/10a)と界面活性剤のニューカルゲンD
−212(竹本油脂社製)18.7gで作製した80%
(重量部)クロルピクリン乳剤を水で10倍に稀釈した
後、灌水チューブに50リットルの水を通しながら2時
間以内で無くなるように注入して、土壌燻蒸を行った。
【0029】実施例9 0.9m×5mの圃場の土壌表面に、先端部を閉じた灌
水チューブ(スミサンスイマルチ100−3(住友化学
工業(株)製)を穴を上向きにして中央部に敷設しポリ
エチレンフィルム(厚み;50μm、酸素ガス透過度;
3950cc/平方メートル・hr・atm)で全体を
被覆した後、クロルピクリン45.0ml(10リット
ル/10a)と界面活性剤のニューカルゲンD−155
D(竹本油脂社製)とニューカルゲンCP−120(竹
本油脂製)を各4.68g及び白灯油9.34gで作製
した80%(重量部)クロルピクリン乳剤を水で50倍
に稀釈した後、2時間でなくなるように灌水チューブに
通して、土壌燻蒸を行った。
【0030】実施例10 1.8m×5mの圃場の土壌表面に、先端部を閉じた灌
水チューブ(スミサンスイマルチ100−3(住友化学
工業(株)製)2本を穴を上向きにして長尺部の端から
45cmと135cmの位置に敷設しポリエチレンフィ
ルム(厚み;50μm、酸素ガス透過度;3950cc
/平方メートル・hr・atm)で全体を被覆した後、
クロルピクリン90ml(10リットル/10a)と界
面活性剤のニューカルゲンD−155D(竹本油脂社
製)とニューカルゲンCP−120(竹本油脂製)を各
9.4g及び白灯油18.7gで作製した80%(重量
部)クロルピクリン乳剤を水で200倍に稀釈した後、
灌水チューブに20分以内でなくなるように注入して、
土壌燻蒸を行った。
【0031】実施例11 1.8m×5mの圃場の土壌表面に、先端部を閉じた灌
水チューブ(スミサンスイマルチ100−3(住友化学
工業(株)製)2本を穴を上向きにして長尺部の端から
45cmと135cmの位置に敷設しポリエチレンフィ
ルム(厚み;50μm、酸素ガス透過度;3950cc
/平方メートル・hr・atm)で全体を被覆した後、
クロルピクリン45ml(5リットル/10a)と界面
活性剤のニューカルゲンD−155D(竹本油脂社製)
とニューカルゲンCP−120(竹本油脂製)を各4.
68g及び白灯油9.35gで作製した80%(重量
部)クロルピクリン乳剤を水で100倍に稀釈した後、
灌水チューブに10分以内でなくなるように注入し、更
に水10リットル注入し土壌燻蒸を行った。
【0032】実施例12 1.8m×5mの圃場の土壌表面に、先端部を閉じた灌
水チューブ(スミサンスイマルチ100−3(住友化学
工業(株)製)2本を穴を上向きにして長尺部の端から
45cmと135cmの位置に敷設しポリエチレンフィ
ルム(厚み;50μm、酸素ガス透過度;3950cc
/平方メートル・hr・atm)で全体を被覆した後、
クロルピクリン90ml(10リットル/10a)に界
面活性剤のニューカルゲンD−155D(竹本油脂社
製)とニューカルゲンCP−120(竹本油脂製)を各
18.8g及び白灯油18.7gを混合したあと、PV
Aフィルムの袋に入れた水溶性澱粉のパイフロー(松谷
化学社製)112.8gに吸着しヒートシール機で密封
して50%のクロルピクリン固形乳剤の農薬包装体を得
た、この農薬包装体を20倍の水に稀釈して灌水チュー
ブに10分以内でなくなるように注入し、更に水10リ
ットル注入し土壌燻蒸を行った。
【0033】実施例13 1.8m×5mの圃場の土壌表面に、先端部を閉じた灌
水チューブ(スミサンスイマルチ100−3(住友化学
工業(株)製)2本を穴を上向きにして長尺部の端から
45cmと135cmの位置に敷設しポリエチレンフィ
ルム(厚み;50μm、酸素ガス透過度;3950cc
/平方メートル・hr・atm)で全体を被覆した後、
D−D(1,3−ジクロロプロペンと1,2−ジクロロ
プロパンの混合物)を270ml(30リットル/10
a)と界面活性剤のニューカルゲンD−212(竹本油
脂社製)57mlで作製した80%(容量部)D−D乳
剤を水で100倍に稀釈した後、灌水チューブに10分
以内でなくなるように注入し、更に水10リットル注入
し土壌燻蒸を行った。
【0034】実施例14 1.8m×5mの圃場の土壌表面に、先端部を閉じた灌
水チューブ(スミサンスイマルチ100−3(住友化学
工業(株)製)2本を穴を上向きにして長尺部の端から
45cmと135cmの位置に敷設しポリエチレンフィ
ルム(厚み;50μm、酸素ガス透過度;3950cc
/平方メートル・hr・atm)で全体を被覆した後、
混合薬剤(クロルピクリン50重量%、D−D(1,3
−ジクロロプロペンと1,2−ジクロロプロパンの混合
物)25重量%、灯油25重量%)を270ml(30
リットル/10a)と界面活性剤のニューカルゲンD−
212(竹本油脂社製)57mlで作製した80%(容
量部)D−D乳剤を水で100倍に稀釈した後、灌水チ
ューブに10分以内でなくなるように注入し、更に水1
0リットル注入し土壌燻蒸を行った。
【0035】対照例1 1.5m×1.8mの圃場にクロルピクリンを3mlず
つ約30cm間隔に深さ15cmの深度で合計81ml
(30リットル/10a)土壌に潅注し(10,000
箇所/10アールに相当)、ポリエチレンフィルム(厚
み;50μm、酸素ガス透過度;3950cc/平方メ
ートル・hr・atm)で全面を被覆した。
【0036】対照例2 1.5m×1.8mの圃場にクロルピクリンを3mlず
つ約30cm間隔に深さ15cmの深度で合計81ml
(30リットル/10a)土壌に潅注し(10,000
箇所/10アールに相当)、ポリエチレンフィルム(厚
み;20μm、酸素ガス透過度;9880cc/平方メ
ートル・hr・atm)で全面を被覆した。
【0037】対照例3 1.5m×1.8mの圃場にクロルピクリンを1.5m
lずつ約30cm間隔に深さ15cmの深度で合計4
0.5ml(15リットル/10a)土壌に潅注し(1
0,000箇所/10アールに相当)、ポリエチレンフ
ィルム(厚み;20μm、酸素ガス透過度;9880c
c/平方メートル・hr・atm)で全面を被覆した。
【0038】対照例4 1.5m×1.8mの圃場にクロルピクリンを1mlず
つ約30cm間隔に深さ15cmの深度で合計27ml
(10リットル/10a)土壌に潅注し(10,000
箇所/10アールに相当)、ポリエチレンフィルム(厚
み;50μm、酸素ガス透過度;3950cc/平方メ
ートル・hr・atm)で全面を被覆した。
【0039】対照例5 1.5m×1.8mの圃場にD−Dを3mlずつ約30
cm間隔に深さ15cmの深度で合計51ml(30リ
ットル/10a)土壌に潅注し(10,000箇所/1
0アールに相当)、ポリエチレンフィルム(厚み;50
μm、酸素ガス透過度;3950cc/平方メートル・
hr・atm)で全面を被覆した。
【0040】対照例6 1.5m×1.8mの圃場に50%クロルピクリン、2
5%D−D、25%灯油を混合した薬剤(重量部)を3
mlずつ約30cm間隔に深さ15cmの深度で合計5
1ml(30リットル/10a)土壌に潅注し(10,
000箇所/10アールに相当)、ポリエチレンフィル
ム(厚み;50μm、酸素ガス透過度;3950cc/
平方メートル・hr・atm)で全面を被覆した。
【0041】評価試験例1 試験条件 殺菌試験:土壌ふすま培地で60日間培養したトマト萎
凋病菌汚染土壌を乾土で10g相当量をガーゼで包み、
実施例1〜8は灌水チューブの中央部から直角に40〜
45cmの位置に、実施例9、10は薬剤が広がりにく
い2本の灌水チューブの中間部の中央部に、対照例は3
0cm角の中央部に土壌深度20、30cmの部位に埋
め込んだ圃場に実施例、対照例の通りに薬剤を土壌処理
し、2週間後に被覆フィルムを剥いで土壌深度20、3
0cmに埋め込んだ試料を取り菌密度を調べ効力評価を
行った。 供試菌:トマト萎凋病菌 評価方法: 作業性評価:作業者の取り扱った印象を記録した。 防除効果評価:埋め込んだ試料を希釈平板法にて7日間
25℃で培養し、培地上に形成されたコロニー数を数
え、乾土1g当たりのトマト萎凋病菌数を算出した。
【0042】試験結果: 作業性評価:対照例1、2、3は薬剤の処理時に目や鼻
に刺激があり、防毒マスクや保護めがねを必要とし、ま
た薬剤処理箇所数が多いので作業に手間が掛かったが、
他の実施例は簡便に作業ができた。
【0043】防除効果評価:乾土1g当たりのトマト萎
凋病菌数を表1に示す。 表1 トマト萎凋病菌密度 土壌深度 20cm 30cm 実施例1 0 0 実施例2 0 0 実施例3 0 0 実施例4 0 0 実施例5 0 0 実施例6 0 2 実施例7 0 9 実施例8 0 0 実施例9 0 8 実施例10 0 0 実施例11 0 7 実施例12 0 0 対照例1 0 0 対照例2 0 5 対照例3 0 3×10 対照例4 3×10 3×10 無処理 3×10 3×10
【0044】以上のように無処理および対照例に比較し
て、実施例はいずれもトマト萎凋病菌を効率的に防除
し、実施例は作業性も良好で省力的かつ簡便で短時間に
薬剤処理ができた。また、クロルピクリン剤は10アー
ル当たり20〜30リットルの薬剤を土壌に処理するが
実施例7、8、9、10、11のように、薬量を1/2
〜1/6にしても対照例1、2に比べ同等以上の防除効
果で良好であった。一方、対照例1は防除効果は良好で
あるが作業性が劣る。実施例は作業性も良好で省力的か
つ簡便に薬剤処理ができ、防除効果も良好で対照例より
優れていた。
【0045】試験条件 供試虫:サツマイモネコブセンチュウ(センチュウ高汚
染土壌) 供試植物:トマト(品種:シュガーレディー) 試験スケール:各区:2アール畑地 処理方法:実施例1,2の包装体は前後左右30cm間
隔で、実施例3は30cm間隔で平行に10〜15cm
の深さで土壌中に埋め込み、対照のクロルピクリン液剤
は手動式潅注器で前後左右30cm間隔、深さ約10c
mで潅注した。
【0046】調査方法: 作業性評価:作業者の取り扱った印象を記録した。 環境評価:立ち合い者が試験区の風下に立ち、刺激性な
どを記録した。 防除効果評価:薬剤処理後、10日間ポリ塩化ビニルフ
ィルムで被覆後、5日間ガス抜きを行った後、トマトを
移植し1日1回表面潅水を行い27日後の根りゅう程度
を次の表2に示す基準で調査した。
【0047】 表2 被害指数: 根りゅう形成状態 指数 根りゅう形成全く認められない 0 僅かに根りゅう形成を認める 1 中程度に根りゅう形成を認める 2 多数に根りゅう形成を認める 3 連続して根りゅう形成を認める 4
【0048】試験結果: 作業性評価:実施例13,14は刺激性などは特に感じ
ず作業できたが、対照例は潅注器への薬液の投入や土壌
潅注時に目や鼻に刺激があり、防毒マスクや保護めがね
を必要とした。
【0049】防除効果評価:供試薬剤の平均根りゅう程
度を表3に示す。この結果はn=4(4連制)で試験し
たものの平均値で示した。
【0050】
【0051】本実施例で得られた土壌処理薬剤は長期間
にわたりセンチュウ効果を維持することができる薬剤で
ある。以上のように実施例は簡便にかつ衛生的に土壌中
に処理でき、該農薬活性成分の効力は十分維持され極め
て実用的であった。
【0052】
【発明の効果】本発明の土壌燻蒸方法は、農薬活性成分
の刺激などを感ずることなく安全にかつ簡便に薬剤を処
理でき、有害生物を効率的に防除することが可能となっ
た。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水に対する溶解度が50重量%以下の農薬
    活性成分を単独で、あるいは該農薬活性成分に補助剤を
    配合した農薬組成物として、土壌表面または土壌中に敷
    設した灌水チューブを介して土壌に散布することを特徴
    とする農薬散布方法。
  2. 【請求項2】前記農薬活性成分の沸点が40℃以上でか
    つ蒸気圧が0.5mmHg/20℃以上である請求項1
    に記載の農薬散布方法。
  3. 【請求項3】前記農薬活性成分がクロルピクリンおよび
    /またはD−Dである請求項1に記載の農薬散布方法。
  4. 【請求項4】前記農薬組成物が乳剤、EW剤、水性乳剤
    又は固形乳剤である請求項1乃至3のいずれか1項に記
    載の農薬散布方法。
  5. 【請求項5】前記潅水チューブと、該潅水チューブが敷
    設された土壌をガスバリア性フィルムで被覆することを
    特徴とする請求項1に記載の農薬散布方法。
  6. 【請求項6】前記ガスバリア性フィルムの酸素ガス透過
    度が8000cc/平方メートル・hr・atm(25
    ℃、50%RH)以下である請求項5に記載の農薬散布
    方法。
  7. 【請求項7】前記ガスバリア性フィルムの酸素ガス透過
    度が4000cc/平方メートル・hr・atm(25
    ℃、50%RH)以下である請求項5に記載の農薬散布
    方法。
  8. 【請求項8】前記ガスバリア性フィルムがエチレン・ビ
    ニルアルコール共重合樹脂からなるフィルムである請求
    項5乃至7のいずれか1項に記載の農薬散布方法。
JP2000045428A 1999-03-25 2000-02-23 農薬組成物の散布方法 Pending JP2000336002A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000045428A JP2000336002A (ja) 1999-03-25 2000-02-23 農薬組成物の散布方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11-81085 1999-03-25
JP8108599 1999-03-25
JP2000045428A JP2000336002A (ja) 1999-03-25 2000-02-23 農薬組成物の散布方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000336002A true JP2000336002A (ja) 2000-12-05

Family

ID=26422123

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000045428A Pending JP2000336002A (ja) 1999-03-25 2000-02-23 農薬組成物の散布方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000336002A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009235092A (ja) * 2000-09-22 2009-10-15 Nippon Kayaku Co Ltd クロルピクリン乳剤
US9137986B2 (en) 2011-10-07 2015-09-22 Ishihara Sangyo Kaisha, Ltd. Mixed agrochemical emulsion composition comprising organic phosphorous pesticide and chlorpicrin

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009235092A (ja) * 2000-09-22 2009-10-15 Nippon Kayaku Co Ltd クロルピクリン乳剤
US9137986B2 (en) 2011-10-07 2015-09-22 Ishihara Sangyo Kaisha, Ltd. Mixed agrochemical emulsion composition comprising organic phosphorous pesticide and chlorpicrin

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5185610B2 (ja) 樹木寄生性有害生物防除組成物
US20120126024A1 (en) Methods and systems to deliver volatile compounds
US9185897B2 (en) Methods to deliver and maintain volatile compounds
US6329324B1 (en) Active substance-containing composition, its production and its use
JP6307759B2 (ja) 樹幹注入剤およびナラ枯れ防止方法
CN111296466B (zh) 一种防治果树苗传病虫害的涂干制剂及其制备方法和应用
US9173389B2 (en) Systems and methods to deliver and maintain volatile compounds
JPS6337762B2 (ja)
JP2000336002A (ja) 農薬組成物の散布方法
JP2013135693A (ja) クロルピクリン乳剤
JP4526054B2 (ja) 農薬の散布方法
JP2002165547A (ja) 農薬の散布方法
JPH1029901A (ja) 土壌燻蒸剤及び土壌燻蒸方法
CN110833007A (zh) 一种农作物病虫害杀虫预防方法
CN105076148A (zh) 一种杀菌杀虫组合物
CN109169688A (zh) 一种含杀虫环与甲氨基阿维菌素苯甲酸盐的杀虫组合物及其用途
WO2013072887A2 (en) Herbicide applicator
CN105076147B (zh) 一种杀菌杀虫组合物
JP2002010729A (ja) 固形製剤の散布方法
JP2000336003A (ja) 土壌中の有害生物防除用エアゾールと土壌燻蒸方法
Dugje et al. Guide to safe and effective use of pesticides for crop production
JPH08325108A (ja) 土壌燻蒸剤の燻蒸方法
Nayak Chapter-5 Pesticide Formulations
JP2001157543A (ja) 土壌燻蒸剤の処理方法
CN105076142A (zh) 一种作物保护剂

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060206

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090326

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090331

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090522

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090916

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091215

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20091224

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20100312