JP2000332073A - 半導体基板の検査方法及び検査装置 - Google Patents

半導体基板の検査方法及び検査装置

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JP2000332073A
JP2000332073A JP11138483A JP13848399A JP2000332073A JP 2000332073 A JP2000332073 A JP 2000332073A JP 11138483 A JP11138483 A JP 11138483A JP 13848399 A JP13848399 A JP 13848399A JP 2000332073 A JP2000332073 A JP 2000332073A
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Yuji Suwa
雄二 諏訪
Seiji Heike
誠嗣 平家
Tomihiro Hashizume
富博 橋詰
Toshiyuki Onoki
敏之 小野木
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体内部の原子レベルの構造(不純物原子
・格子欠陥・人工構造)を計測することを可能とし、半
導体基板を原子レベルの精密さで検査する方法を提供す
ること。 【解決手段】 半導体表面にプローブ用原子を吸着し、
このプローブ原子が表面上で拡散する様子を走査型プロ
ーブ顕微鏡(SPM)によって映像化する。半導体内部
の不純物・欠陥・人工構造の存在が電場等の形でわずか
に表面に影響を与えているが、これをプローブ原子が拾
い、SPM像に現れるので、これによって半導体基板の
内部構造を検知する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体基板内部の不
純物原子の有無を検査する為の検査方法および装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】これまでに半導体基板内部の不純物原子
を観察できた例としては、フィジカル・レビュー・レタ
ーズ第76巻(1996年)の1075頁から1078
頁(Phys. Rev. Lett., vol.76 (1996) pp.1075-1078)
に報告されているように、GaAs基板の表面近くに存
在するSi原子の作る電場によって、基板表面の電子状
態が変化する様子を通して観察した例がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この例は、走査型トン
ネル顕微鏡(STM)による表面観察で半導体基板内部
の不純物原子を観察する例である。しかしながら、この
ようにSTMで半導体基板の表面を直接観察しただけで
は半導体基板内部の不純物原子を発見できる例は少な
い。シリコン中にドープされた砒素やガリウム原子、不
純物として混入したボロン原子などが、STMだけで観
察できた例はこれまでにない。STMで基板表面を直接
観察しただけでは、通常、基板表面の第1層または第2
層までの電子状態が観察できる程度であり、それ以上の
深い位置にある不純物原子などの存在を判断する事は難
しい。
【0004】上記従来技術だけでは、半導体基板内部の
原子レベルの構造を計測する事は困難であり、将来の電
子デバイスの微少化の極限においては、その基盤となる
半導体基板の状態を必要な精密さ(原子レベル)で検査
する事ができない。
【0005】現在の半導体技術の進歩は電子デバイスを
急速に微小化及び高密度化させているが、このまま更に
微小化が進むと、これまでは問題とならなかった様々な
事が、微小化を妨げる新たな問題と化す可能性がある。
その一つの例として、半導体中にドープされたドナーま
たはアクセプターの分布のばらつきや、意図せずにわず
かに混入した不純物原子の存在などが、デバイスの微小
化の極限においては問題となる事が予見される。この問
題を解決するためには、不純物原子1個のレベルで半導
体の状態をコントロールしなければならないが、そのた
めにはまず、半導体基板の状態を内部まで原子1個のレ
ベルで計測し、評価する手段が必要である。
【0006】また、デバイスの微小化は現在の技術の単
純な延長線上でのみ行われるのではなく、例えば走査型
トンネル顕微鏡(STM)を用いた微細加工技術による
原子サイズデバイス開発の研究なども行われているが、
このような原子サイズデバイスの開発の際にも、利用す
る半導体基板の状態を原子1個にいたるまで、コントロ
ールする必要が生じる。この場合にもやはり、材料の状
態を原子1個のレベルで計測、評価する事が必要とな
る。
【0007】本発明の目的は、上記の問題を解決するた
め、半導体基板内部の原子レベルの構造(不純物原子・
格子欠陥・人工構造)を計測する事を可能とし、半導体
基板を原子レベルの精密さで検査する方法および装置を
提供する事にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本願発明では、半導体基板表面にプローブ用原子を吸
着し、このプローブ原子の走査型プローブ顕微鏡(SP
M)像(走査型トンネル顕微鏡(STM)または原子間
力顕微鏡(AFM)による映像)を得るという方法によ
り、原子レベルの精密さで半導体基板の検査を可能にし
た。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は使用する装置全体の模式図
である。試料導入槽101、準備槽102、SPM槽1
03は互いにバルブ113を挟んで接続しており、その
全体が空気除振台114の上に載せられている。SPM
槽103の中のSPMユニット104はバネ109によ
って釣り下げられ、熱伝導率の良い銀線108で低温ボ
ックス116に熱的に接続されている。このSPMユニ
ット104全体及び低温ボックス116は液体ヘリウム
111によって冷却され、熱シールド110に包まれて
いる。試料105(被検査半導体基板)は試料導入槽1
01と準備槽102を通して、必要な表面処理(清浄化
等)が施された後、最終的にSPMユニット104の内
部に導入され、ピエゾスキャナー107に取り付けたS
PM探針106で走査される。SPMユニット104に
は蒸着源112が取り付けられており、プローブ原子な
どをこれにより導入し、試料105表面に吸着させる。
走査したデータは接続されたコンピュータ115に転送
され、記録される。
【0010】検査の手順としては、被検査半導体表面に
所定の原子種のプローブ原子を吸着し、この半導体を所
定の温度にセットしてから、走査を行ってSPM像を得
る。この温度は、半導体の種類、結晶の方向、表面の処
理方法、プローブ原子の原子種の組み合わせによって異
なるが、プローブ原子がこの半導体基板の表面の1点に
留まらずに表面上を動き回る程度の温度とする。
【0011】通常のSPM像は基板表面の原子レベルの
構造を反映し、吸着原子がある場合はその地点だけが特
に高く盛り上がった像となるが、ここでは、吸着原子
(プローブ原子)が動き回るため、残像が残ったよう
な、薄く広がった像が得られる。プローブ原子は熱的な
エネルギーによって動き回る際に、同時に半導体内部の
不純物原子の電荷が作る電場の影響を受けながら運動す
る。そのため、動き回った各地点での滞在時間の平均を
とると、その分布は不均一となる。SPM像に現れるプ
ローブ原子像の高さはこの平均滞在時間に依存し、滞在
時間が長い地点ほど高くなる。プローブ原子の滞在時間
の不均一はSPM像として記録する事ができる。このS
PM像から、不純物原子の作るポテンシャルが高い地
点、低い地点を特定する事が可能である。そのポテンシ
ャルの極大の位置及び極小の位置に、不純物原子が埋ま
っている。ポテンシャルが極大であるか、極小であるか
によって不純物の種類は異なる。
【0012】ポテンシャルが極大の地点はプローブ原子
にとってエネルギーが高く、安定してその場所に留まり
にくいため、プローブ原子のSPM像の高さはその位置
で極小となる。その位置にはプローブ原子に斥力的な影
響を与える種類(原子種)の不純物が埋まっている。一
方、ポテンシャルが極小の地点はプローブ原子にとって
安定な場所であり、プローブ原子の滞在時間が長くなる
のでSPM像の高さが極大となる。その位置には、プロ
ーブ原子に対して引力的な影響を与える種類(原子種)
の不純物が埋まっている。不純物の深さについても、プ
ローブ原子の像の高さの変化の大きさ(変化量/距離)
から、特定する事が可能である。
【0013】更に上記方法において、高さの変化の識別
を容易にし、また特定の範囲を集中して検査できるよう
にするために、SPM探針を用いて半導体表面を微細加
工し、プローブ原子が動き回る範囲を限定するという方
法により改良を加える事が可能である。例えば、シリコ
ン基板の(100)表面を水素終端し、その上にプロー
ブ原子を吸着している場合、シリコン原子1個につき水
素原子2個が結合するダイハイドライド構造をSPMを
用いて作成し、この構造を一列に配列させる事によって
実現が可能である。例えば、意図した位置にダイハイド
ライド構造を作成するためには、サーフェス・サイエン
ス第386巻(1997年)154頁から160頁(Su
rface Sci., vol.386 (1997) pp.154-160)に報告され
ている様に、SPM探針に水素を吸着させてから探針を
望む位置で下ろし、その地点の水素数を増やせばよい。
【0014】更に、検査を行う温度を低く押さえる目的
と、上記の例にあるように、プローブ原子の動く範囲を
限定するための微細加工を容易にするため、準備槽10
2において、あらかじめ半導体表面に水素終端処理、ま
たは酸化処理を施すことが有効である。
【0015】実施例1 シリコンウェハー(Asドープ1019〜1020個/cm
3、n型、7〜13mΩ・cm)を検査するために、基
板(100)表面を水素終端しプローブ原子としてGa
原子を用い、STMによって映像化した例を示す。
【0016】第一段階として、まず試料の準備を行う。
まず、上記のシリコンウェハーを2mm×13mmに切
り出し、メチルアルコール拭きタンタル製の試料ホルダ
ーに取り付けて、低温−超高真空STM装置の試料準備
槽102に導入する。次に試料を通電加熱して800°
Cで一晩脱ガスを行う。次に、真空度を3×10-10
orr以下に保つようにして10秒程度のアニールを繰
り返しながら除々に温度を上げ、最終的に1260°C
で10秒程度のアニールを数回行う事により、Si(1
00)2×1清浄表面を得る。清浄表面を調製した後、
通電加熱により300°Cに保ったSi(100)清浄
表面に原子状水素を照射して水素終端を行う。この時、
原子状水素は、加熱したタングステンフィラメントのコ
イル中に水素ガスを通すことにより、水素分子を解離さ
せて作成する。
【0017】次に、第二段階として、SPMユニット1
04に基板表面が水素終端されたシリコンウェハーを導
入して、蒸着源112のタングステンフィラメントを通
電加熱してガリウムを加熱し、ガリウム原子をシリコン
ウェハー表面に蒸着する。そして、ガリウム原子の映像
化を行う。温度を100Kにし、サンプルバイアスをマ
イナスにしてSTMにより走査する。
【0018】図2は、上記の方法によって得られた水素
終端Si(100)表面とその上に吸着したGa原子の
STM像である。図の範囲は12nm×9nmである。
明るい地点ほど、STM探針によって計測された表面の
高さが高い事を表している。Ga原子の像1は細長い箒
型をしており、その片方の端2は箒の先のように徐々に
薄くなって消えて行く形、もう片方の端3は箒の柄のよ
うに棒が断ち切られた形をしている点が特徴的である。
Ga原子の像1の周囲には、1と平行に縞模様が見えて
いるが、これはSiダイマー(表面のSi原子2個が互
いに結合した構造)のモノハイドライド構造4(Si原
子1個に対して水素が各1個結合した構造)の列が1と
平行な方向を向いて配列している様子が見えているもの
であり、これが通常の水素終端されたSi(100)表
面の構造である。この縞模様の中に所々黒い点5が見え
るが、これはSiダイマーのダイハイドライド構造(S
i原子1個に対して水素が各2個結合した構造)であ
る。
【0019】図3はGa原子の像1の高さの変化を、長
い方向に沿ってグラフ化したものである。端3では急激
に高さが落ちているのに比べ、端2では徐々に低くなっ
ていく特徴がわかる。
【0020】像1はGa原子が1次元的に拡散して動い
ている様子が箒型のSTM像として見えたものである。
Ga原子の像の高さの分布はGa原子の平均滞在時間の
分布に依存し、平均滞在時間の長い地点ほど高くなるの
で、もし表面上の特定の場所でGa原子に対するポテン
シャルエネルギーが高い地点があれば、その地点でのG
a原子の平均滞在時間は短くなり、結果としてその地点
での像は低くなる。
【0021】ここで、徐々に消え入る構造2が現れたの
は、シリコン中の不純物原子1個(ドープされたAs原
子、または、意図せずに混入したB原子など)の電荷
(中性状態からの電子の過不足分)が周囲に電場を作
り、表面で数nmに渡って広がったこの電場を、わずか
に帯電したGa原子がポテンシャルの勾配として検知し
た結果である。一方、像1の反対の端3の地点には、図
2では識別しにくいが、ダイハイドライド構造5があっ
て、これがGa原子の動きをせき止めている。その結果
として端3は断ち切られた棒の端のような構造となって
いる。
【0022】次に、第三段階として、Ga原子の動く範
囲を限定するための微細加工を行う。第二段階を行う前
にこの第三段階を先に実行しても良い。ここではSTM
探針を用いてダイハイドライド構造を作成する事によ
り、Ga原子の動く範囲を限定する。この第三段階が終
了したら、再び第二段階を行い、表面のGa原子を映像
化する。
【0023】図4は、ダイハイドライド列を作る事によ
って、箒型のGa原子像1を平行に3本作成した場合の
模式図である。図2同様、明るい地点ほど高さが高いこ
とを示している。このように平行なGa原子像1を最低
3本作り、各Ga原子像1の消え入る構造2の高さがほ
ぼ0になる位置と長さを調べる事で、不純物のある方
向、距離、深さが特定できる。複数(3本以上)の箒型
Ga原子像1が必要であるが、これは、多数のGa原子
を吸着させる事によって実現しても良いし、1つのGa
原子をSTMを用いて移動させ、その都度STMで観察
する事によってデータを蓄積するのでも良い。
【0024】以下にこの実施例で得られた映像から、不
純物原子の位置を特定する手順を示す。Ga原子の動く
方向(棒状構造の延びている方向)をx方向、表面上で
それに垂直な方向をy方向、深さの方向をz方向とす
る。複数の消え入る構造の高さが0になる位置から等距
離の地点を探す事で、不純物のxy面上での位置が決定
できる。図4では点線の円6の範囲内に不純物原子が存
在する。
【0025】次に不純物の深さを決定する。不純物の位
置を(x,y,z)=(0,0,z0)、消え入る構造
2の高さが0になる地点を(x,y,z)=(x1
1,0)、ダイハイドライド等によって堰き止められ
ているGa原子像1の反対の端3の位置を(x,y,
z)=(x2,y1,0)とする。不純物の電荷が遮蔽さ
れて最も近距離までしか届かない場合は、下記の(数
1)からz0が決定される。
【0026】
【数1】
【0027】ここでe1、e2は不純物とプローブ原子の
電荷、kはボルツマン定数、Tは温度、k0は半導体の
キャリア濃度から決まるトーマス・フェルミ波数、cは
3〜5程度の数値である。一方、最も遮蔽が少ない極限
では、下記の(数2)からz0が決定される。
【0028】
【数2】
【0029】ここで、表面の効果により、これら(数
1)、(数2)から得られる2つの極限z0の中間の値が
実際のz0となる。
【0030】不純物原子の種類や、欠陥の種類の違いに
よって、表面上のGa原子に与える影響の大きさも異る
はずである。見えている不純物原子がAs原子なのかB
原子なのかは、影響が引力的なのか斥力的なのかで判断
が可能である。図4は不純物原子がGa原子に対して斥
力的な影響を与えている例である。
【0031】実施例2 図5は、実施例1の第三段階(ダイハイドライド列の作
成によるGa原子の運動範囲の限定)において、ダイハ
イドライド列を1列でなく2列作り、不純物原子の位置
を挟むように両側にGa原子の像1を作った場合の模式
図である。
【0032】この改良により、不純物の位置を特定する
精度が実施例1よりも改善できる。実施例1ではGa原
子の像1が3個あり、消え入る構造2の高さがほぼ0に
なる地点も3個であったことから、不純物のxy面上で
の位置を特定する際には3個の地点から等距離の地点を
求めた。3個の点から等距離の点は1つしかないので、
その1点はすぐに求めることができるが、元となる3個
の点(構造2の高さがほぼ0になる点)の位置に少しで
も誤差があれば、求められた1点の位置にも直接影響す
る。そのため、実施例1で得られた不純物の位置は誤差
を多く含んだものとなり得る。
【0033】本実施例2ではGa原子の像1とその消え
る構造2の数が増えたため、消える構造2の高さがほぼ
0になる地点の数も4個以上となっている。4個以上の
点からほとんど等距離の点を決定する場合には、最小二
乗法を用いて、4つ以上の距離の、平均距離からのずれ
の二乗の和が最も少なくなるように決める。このように
平均を求める方法で4つ以上の点から1つの点を決定す
ることにより、元となる4つ以上の点の誤差が直接的に
は影響しなくなり、求められた1点の誤差は小さくな
る。元となる点(構造2の高さがほぼ0になる点)の数
が多くなればなるほど、求められた1点(不純物のxy
面上での位置)の誤差は小さくなる。
【0034】本実施例2では、図5に見られるように、
不純物を挟んで両側に1つづつ箒型Ga原子像1がある
のではなく、1本の棒状構造の中央が低くなっただけ
の、両側がつながっている構造7があっても良い。つな
がった構造7からも、不純物のxy面上での位置に関す
る情報が得られる。不純物は、構造7の中で最も高さが
低い地点を通って構造7に垂直な線上にあるはずであ
る。構造2から得られる、不純物のxy面上での位置に
関する情報と同時に、この構造7から得られる情報も同
時に使うことによって、位置特定の精度はより一層高く
なる。
【0035】図5の不純物の位置を表す円6は、図4の
円6よりも小さく描かれているが、これは本実施例2に
おいて実施例1よりも少ない誤差で不純物の位置を特定
したことを表している。本実施例2は実施例1と同様、
不純物原子がGa原子に対して斥力的な影響を与えてい
る例である。
【0036】実施例3 図6は、実施例2の第二段階(Ga原子の蒸着と映像
化)において、実施例2の場合よりも多くのGa原子を
蒸着し、結果として現れる箒型Ga原子像1の本数(密
度)を増やした場合の模式図である。不純物のxy面上
の位置を特定する際には、消え入る構造2の個数が多け
れば多いほど少ない誤差で位置を決定できるが、本実施
例3では実施例2よりも構造2の個数が増えたため、よ
り少ない誤差で位置を特定できる。従って、図6の不純
物の位置を表す円6は図5の円6よりも更に小さく描か
れている。本実施例3は実施例1及び実施例2と同様、
不純物原子がGa原子に対して斥力的な影響を与えてい
る例である。
【0037】実施例4 実施例1、実施例2、及び実施例3は不純物原子がプロ
ーブ原子(Ga原子)に対して斥力的な影響を与える場
合についての実施例であったが、本実施例4では、不純
物原子がプローブ原子に対して引力的な影響を与える場
合について示す。ここでは実施例1の第一段階(試料の
準備)と第二段階(Ga原子の蒸着と映像化)だけを行
えば良く、第三段階(微細加工によるGa原子の動く範
囲の限定)は必ずしも必要でない。
【0038】図7はそのような場合の模式図である。G
a原子の像1は棒状ではあるが、両側の端が徐々に消え
入る構造2をしている点が特徴的である。Ga原子に対
して斥力的な不純物の場合は、Ga原子が遠くへ押しや
られるため、ダイハイドライド構造によってGa原子が
それ以上遠ざかるのをせき止める必要があり、必ずその
端の地点が断ち切られた棒の形3となっていた。一方、
本実施例4の様にGa原子に対して引力的な不純物の場
合、(引力が弱すぎない限り)ダイハイドライド構造で
Ga原子の動きをせき止める必要はなく、不純物の近く
からGa原子は離れない。その結果、できるGa原子の
像1は、棒の中央部分が最も不純物に近く、棒の両端で
引力が徐々に弱くなっていくのに従って像の高さが低く
なっている。
【0039】図7でもう一つ特徴的なのは、複数のGa
原子の像1が配列した結果、中央付近の、不純物に最も
近い位置にある棒状のGa原子像1が最も短く、それよ
りも外側にある像1ほど長さが長くなっている点であ
る。Ga原子は1次元方向にしか動けないが、どの溝
(2つのモノハイドライド構造の列の間)の上にいるか
によって、不純物原子から受ける影響が異なる。埋まっ
ている不純物の真上を通過する溝(中央付近)では、ポ
テンシャルは深く変化も急激であるが、不純物から離れ
た地点を通過する溝(外側)では、ポテンシャルは比較
的浅く、変化も緩やかである。その結果、中央付近では
ポテンシャルの変化が急である事を反映して棒(像1)
が短く、外側ではポテンシャルの変化が緩い事を反映し
て棒(像1)が長くなる。Ga原子像の無い、更に外側
の溝では、ポテンシャルが浅くなりすぎて、Ga原子が
そこに留まりきれなくなっている。
【0040】不純物原子のxy面内での位置を特定する
際には、実施例1から実施例3までと異なり、もっとも
長さの短いGa原子像1の中央付近を不純物原子の位置
6と判断する。
【0041】実施例5 実施例4同様、不純物原子がプローブ原子(Ga原子)
に対して引力的な影響を与える場合で、水素終端したシ
リコン基板(111)表面を利用する場合を示す。手順
として実施例4と異なるのはシリコン基板(111)表
面を利用した点だけである。実施例1から実施例4まで
の様にシリコン基板(100)表面を利用した場合、そ
の基板表面の構造の特徴から、プローブ原子は1次元的
に動きやすく、その方向に直角な方向には動きにくいと
いう特徴があった。本実施例5のようにシリコン基板
(111)表面を利用した場合、その表面の構造の特徴
から、1次元方向にだけ動きやすいということはなく、
プローブ原子が動くとしたら2次元的に表面上を動き回
ることになる。
【0042】図8はこのような場合の模式図である。G
a原子の像1はほぼ円形となり、中心が高く、周辺に行
くほど低くなる形をしている点が特徴である。その周囲
には三角格子状に配列したモノハイドライド構造8(ダ
イマーではない)が見える。実施例4と同様、不純物原
子がGa原子に対して引力的な場合であるが、図7と異
なり、図8の像1が円形となっているのは、Ga原子が
2次元的に動き回ることができるからである。埋まって
いる不純物が作るポテンシャルが最も深いのは不純物の
真上の地点である。表面の構造に異方性がなければ、表
面上でその真上の地点からの距離に応じてポテンシャル
は浅くなり、ポテンシャルの等高線を書けばそれは不純
物の位置を中心とした円形となる。Ga原子の像1はそ
のポテンシャルの形を反映して円形となる。 xy面内
での不純物原子の位置6はこの円(像1)の中心であ
る。
【0043】不純物がプローブ原子(Ga原子)に対し
て斥力的な影響を与える場合に、水素終端したシリコン
の(111)表面で検査を行う事も可能である。その場
合は、一定の面積を囲い込むようにダイハイドライド構
造を作り、プローブ原子(Ga原子)が遠くに逃げて行
ってしまわないようにすればよい。図8の像1の白と黒
が反転したような像が得られるので、円形の穴の中心地
点を不純物の位置と考えれば良い。
【0044】上記いずれの実施例にしろ、半導体基板上
の適当な点を何点か検査することにより、その基板を使
用して集積回路を作ることの適否が判定できる。ただ
し、時間がかかるので、ロット単位に抜き取り検査的に
実施するのが良い。
【0045】
【発明の効果】本発明により、半導体内部の原子レベル
の構造(不純物原子・格子欠陥・人工構造)を計測し、
半導体基板を原子レベルの精密さで検査する事が可能と
なった。水平方向の解像度はSTMの解像度に準じる。
深さ方向には、最大で5nm〜20nm程度まで探知す
る事が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の検査装置全体の構成を示す模
式図。
【図2】実施例1に記載したGa原子の棒状のSTM像
を示す図。
【図3】実施例1に記載したGa原子の消え入る構造の
高さの変化を示す図。
【図4】実施例1に記載した複数のGa原子像による不
純物原子の位置の特定方法を説明する為の摸式図。
【図5】実施例2に記載した不純物原子を挟む形で箒型
Ga原子像を配置する事による不純物原子の位置の特定
方法を説明する為の摸式図。
【図6】実施例3に記載したGa原子像の間隔を狭くし
て本数を増やした場合の不純物原子の位置の特定方法を
説明する為の摸式図。
【図7】実施例4に記載した引力的相互作用の場合の不
純物原子の位置の特定方法を説明する為の摸式図。
【図8】実施例5に記載したプローブ原子の2次元的拡
散を利用した引力的相互作用を持つ不純物原子の位置の
特定方法を説明する為の摸式図。
【符号の説明】
101:試料導入槽、102:準備槽、103:SPM
槽、104:SPMユニット、105:試料、106:
探針、107:ピエゾスキャナー、108:銀線、10
9:バネ、110:熱シールド、111:液体ヘリウ
ム、112:蒸着源、113:バルブ、114:空気除
振台、115:コンピュータ、116:低温ボックス、
1:Ga原子のSTM像、2:Ga原子のSTM像のう
ち、箒の先のように徐々に高さが低くなっていく部分、
3:Ga原子のSTM像のうち、棒の端のように高さが
突然低くなっている端の部分、4:シリコンダイマーの
モノハイドライド構造のSTM像、5:シリコンダイマ
ーのダイハイドライド構造のSTM像、6:検査の結果
求められた不純物原子が埋没している位置、7:中央付
近の高さが低くなったGa原子の棒状のSTM像、8:
シリコンのモノハイドライド構造のSTM像。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋詰 富博 埼玉県比企郡鳩山町赤沼2520番地 株式会 社日立製作所基礎研究所内 (72)発明者 小野木 敏之 埼玉県比企郡鳩山町赤沼2520番地 株式会 社日立製作所基礎研究所内 Fターム(参考) 4M106 AA01 AA10 BA20 CB21 DH01 DH11 DH44 DH60

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体基板の表面にプローブ用原子を吸着
    させること、前記半導体基板の温度を所定の値に設定す
    ること、前記プローブ原子の状態を前記温度のもとで走
    査型プローブ顕微鏡を用いて映像化することを特徴とす
    る半導体基板の検査方法。
  2. 【請求項2】前記半導体基板の表面をあらかじめ水素終
    端しておく請求項1記載の検査方法。
  3. 【請求項3】前記半導体基板の表面をあらかじめ酸化し
    ておく請求項1記載の検査方法。
  4. 【請求項4】前記プローブ原子として、I族、II族、
    III族、V族、VI族、VII族の元素のうちの一つ
    を用いる請求項1記載の検査方法。
  5. 【請求項5】前記プローブ原子としてボロン(B)、ア
    ルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム
    (In)、タリウム(Tl)、窒素(N)、リン
    (P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス
    (Bi)のうちの一つを用いる請求項4記載の検査方
    法。
  6. 【請求項6】SPM探針を用いて半導体表面に微細加工
    を施す事により、プローブ原子の拡散範囲を限定する請
    求項1ないし5のいずれかに記載の検査方法。
  7. 【請求項7】前記半導体基板の検査する表面がシリコン
    基板(100)表面である請求項1ないし5のいずれか
    に記載の検査方法。
  8. 【請求項8】前記半導体基板の検査する表面がシリコン
    基板(111)表面である請求項1ないし5のいずれか
    に記載の検査方法。
  9. 【請求項9】シリコンの(100)表面をあらかじめ水
    素終端し、プローブ原子の拡散範囲をダイハイドライド
    構造によって限定する請求項1記載の検査方法。
  10. 【請求項10】被検体としての半導体基板を導入する為
    の試料導入槽、該半導体基板表面に必要な処理をする為
    の準備槽、該表面処理のなされた半導体基板表面を観察
    する為の走査型プローブ顕微鏡槽の3つの槽を備え、走
    査型プローブ顕微鏡槽内部に蒸着源と、低温ボックスに
    入れられた走査型プローブ顕微鏡ユニットを備え、走査
    型プローブ顕微鏡ユニット内に探針を備え、走査したデ
    ータを基礎に映像化するコンピュータを備えた検査装
    置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6806098B2 (en) 2002-05-01 2004-10-19 Hitachi, Ltd. Method and device for assessing surface uniformity of semiconductor device treated by CMP
US10714307B2 (en) 2018-06-08 2020-07-14 Kla-Tencor Corporation Neutral atom imaging system

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