JP2000328057A - 土壌改質剤及びそれを用いた盤膨れ現象の防止方法 - Google Patents

土壌改質剤及びそれを用いた盤膨れ現象の防止方法

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JP2000328057A
JP2000328057A JP11142655A JP14265599A JP2000328057A JP 2000328057 A JP2000328057 A JP 2000328057A JP 11142655 A JP11142655 A JP 11142655A JP 14265599 A JP14265599 A JP 14265599A JP 2000328057 A JP2000328057 A JP 2000328057A
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phthalocyanine
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oxidizing bacteria
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JP11142655A
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English (en)
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Tatsuo Yamanaka
健生 山中
Hidemichi Hida
秀道 陽田
Yasunori Kimura
康典 木村
Yukiko Higo
幸呼 肥後
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Ink Mfg Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
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  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Anti-Oxidant Or Stabilizer Compositions (AREA)
  • Soil Conditioners And Soil-Stabilizing Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】盤膨れ現象の原因となる硫黄酸化細菌や鉄酸化
細菌の生育を阻害し、かつ酸やアルカリに対しても安定
な構造であるため、生育阻害作用が長期間継続し、更に
重金属等の溶出による環境汚染の心配もなく、盤膨れ現
象の防止に有効な土壌改質剤を提供する。 【解決手段】フタロシアニン化合物を有効成分とする土
壌改質剤および、土壌中に上記土壌改質剤を添加するこ
とを特徴とする盤膨れ現象の防止方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土壌改質剤および
それを用いた盤膨れ現象の防止方法に関する。さらに詳
しくは、土壌中に存在する、硫黄酸化細菌および鉄酸化
細菌の生育を阻害する土壌改質剤、およびこれらの土壌
改質剤を土壌中に添加することにより、硫黄酸化細菌や
鉄酸化細菌が原因で生じる盤膨れ現象を防止する方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、中新世の未風化泥岩地盤に建設し
た住宅や工場の床下の地盤が隆起する、いわゆる「盤膨
れ現象」が、福島県いわき市を中心に起こっており、こ
れによる被害が社会問題になっている(山中ら:鉱物学
雑誌,26巻,77頁,1997年)。切土して露出し
た未風化泥岩のpHは7〜9であるが、この未風化泥岩
を空気に曝しておくと数ヶ月でpHが4から2付近にま
で低下する。このような泥岩を調べた結果、硫酸塩還元
細菌、硫黄酸化細菌、好酸性鉄酸化細菌が生息すること
が明らかになっている。また、盤膨れを起こした土壌の
表面には石膏が晶出し、光沢を示すことが確認されてい
【0003】このような盤膨れ現象を、陽田は次のよう
な機構により生じると考察している(陽田:第40回地
盤工学シンポジウム,99頁,1995年)。すなわ
ち、切土した未風化の泥岩上に住宅や工場を建設するこ
とにより、床下温度が上昇し、それに伴い泥岩の温度も
上昇して、未乾燥の嫌気的条件下で硫酸塩還元細菌が硫
化水素を発生させる。硫化水素が泥岩の乾燥に伴い空気
に触れると、硫黄酸化細菌の作用により硫酸が生じ、p
Hが4付近まで低下する。次の段階で好酸性鉄酸化細菌
が活動を始め、土壌中のパイライト(FeS2)を酸化
して硫酸を生成する。この硫酸がカルシウムと反応して
硫酸カルシウム(石膏)を、また、他の鉱物と反応して
ジャロサイトを生成する。このような二次鉱物の生成を
伴う生化学的風化作用のため、泥岩の破砕や粉化が起こ
り土壌の体積が膨張する。
【0004】盤膨れ現象を防ぐには、住宅や工場の建設
前に未風化泥岩を除去する方法や、コンクリート等で強
固な基盤を作る方法が考えられるが、いずれも多大な費
用を要し現実的ではない。
【0005】ところで、下水道施設等においても、盤膨
れ現象と同様な微生物が原因のコンクリート構造物の腐
食の事例が数多く報告されている。微生物によるこれら
のコンクリートの腐食過程では、まず、下水中に存在す
る硫酸塩が、嫌気的条件下で硫酸塩還元細菌により還元
され、硫化水素が発生する。次いで、この硫化水素がコ
ンクリート壁面に付着した水に吸収され、好気的条件下
で硫黄酸化細菌により酸化されて、硫酸が生成する。コ
ンクリートに含まれたカルシウムは、生成した硫酸によ
って硫酸カルシウム(石膏)に変化し、これによりコン
クリートが膨張・脆弱化して腐食する。
【0006】上記の2種類の微生物のうち、硫黄酸化細
菌が下水道施設等のコンクリート構造物の腐食の主な原
因であると考えられており、硫黄酸化細菌の生育を抑制
し、硫化水素から硫酸への変化を防止することにより腐
食を防ぐ方法がいくつか示されている。例えば、硫黄酸
化細菌の生育は種々の金属イオンで阻害されることが知
られており、水に難溶性で且つ硫酸に可溶性である銅、
ニッケル、スズ、鉛等の金属、又はこれらの金属の酸化
物をコンクリートに含有させコンクリートの腐食を防ぐ
方法が、特開平4−149053号公報に示されてい
る。この方法では、前記金属及び/又は金属酸化物か
ら、硫黄酸化細菌が発生された硫酸によって金属イオン
が溶出し、これにより硫黄酸化細菌が防菌及び/又は殺
菌される。
【0007】しかし、この方法は、硫酸に対する溶解性
が高い金属及び/又は金属酸化物を使用するため、長期
に渡ってコンクリートの腐食を防止するには、金属等の
使用量が多くなる等の欠点を有している。また、下水中
にニッケル、スズ、鉛等の重金属イオンが溶出するた
め、これらの金属及び/又は金属酸化物を多量に使用す
る場合は、水質汚染の可能性がある。
【0008】また、特開平6−16460号公報及び特
開平6−16461号公報には、ニケロセン及びニッケ
ルジメチルグリオキシムといった金属錯体をコンクリー
トに含有させてコンクリートの腐食を防ぐ方法が示され
ている。しかし、これらの金属錯体は発ガン性を有して
おり、安全性の面で問題がある。
【0009】更に、特開平9−60768号公報には、
銀、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト等の抗菌性金属イオ
ンを担持した無機粉末を含有させることにより、耐食性
のヒューム管を得る方法が示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、土壌中に存
在する硫黄酸化細菌および鉄酸化細菌の生育阻害する土
壌改質剤の提供を目的とする。更に、これらの土壌改質
剤を土壌中に添加することにより、硫黄酸化細菌や鉄酸
化細菌が原因で生じる盤膨れ現象を防止する方法の提供
を目的とする。
【0011】本発明者は、下水道用コンクリート二次製
品や下水処理施設等に用いられているコンクリートの腐
食の主な原因である硫黄酸化細菌の生育を阻害する方法
を検討しており、フタロシアニン化合物に硫黄酸化細菌
の生育阻害作用があることを認めている。この知見をも
とに、微生物が原因で生じる盤膨れ現象を防止する方法
を開発するために鋭意研究を重ねた結果、フタロシアニ
ン化合物が盤膨れ現象の原因となる硫黄酸化細菌および
鉄酸化細菌の生育も阻害することを見出した。さらに、
これらのフタロシアニン化合物を土壌中に添加すること
により、盤膨れ現象を防止できることが認められ本発明
に至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、フタロシ
アニン化合物を有効成分とする土壌改質剤を提供する。
【0013】更に本発明は、フタロシアニン化合物が金
属フタロシアニンもしくはその誘導体であることを特徴
とする上記土壌改質剤を提供する。
【0014】更に本発明は、金属フタロシアニンもしく
はその誘導体の金属原子がクロム、鉄、コバルト、ニッ
ケル、モリブデン、パラジウム、スズ、タングステン、
及び白金からなる群より選ばれた少なくとも1種である
ことを特徴とする上記土壌改質剤を提供する。
【0015】更に本発明は、フタロシアニン化合物が下
記一般式(1)で示される金属フタロシアニンもしくは
その誘導体であることを特徴とする上記土壌改質剤を提
供する。 MXnPc (1) (式中、Mは3〜7価の金属原子、Xは酸素原子、ハロ
ゲン原子もしくは水酸基、Pcはフタロシアニン骨格、
nは1〜5の整数をそれぞれ示す。)
【0016】更に本発明は、フタロシアニン化合物が無
金属フタロシアニンもしくはその誘導体であることを特
徴とする上記土壌改質剤を提供する。
【0017】更に本発明は、土壌中に上記土壌改質剤を
添加することを特徴とする盤膨れ現象の防止方法を提供
する。
【0018】本発明の土壌改質剤を、未風化泥岩地盤上
に住宅や工場を建設する前に、土壌中に添加・混合して
用いれば、土壌中の硫黄酸化細菌や鉄酸化細菌の生育を
阻害することにより、これらの微生物が原因となる盤膨
れ現象を防止することができ、これにより未風化泥岩地
盤上に建設された住宅や工場を長期間に渡って健全に保
つことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】硫黄酸化細菌とは硫化物などの還
元無機化合物の酸化によって生活する細菌で、酸素によ
ってH2S、S、S2O3 2-をSO4 2-に酸化する好気性細菌(無
色硫黄細菌を指し、Thiobacillus属などが含まれる。
【0020】また鉄酸化細菌とは分子状酸素を用いてFe
2+をFe3+に酸化し、そのエネルギーを利用して炭酸固定
をする好気性の化学独立栄養生物を指し、Sphaerotil-u
s属、Gallionella属などが挙げられる。鉄酸化細菌に分
類される細菌には酸性条件下を好んで生育する細菌(以
下、好酸性鉄酸化細菌)も含まれ、その例としてThioba
cillus ferrooxidansが挙げられる。
【0021】また自然界には硫黄と鉄の両者を共に酸化
できる能力を持ち、硫黄酸化細菌にも鉄酸化細菌にも分
類される細菌も存在するが、Thiobacillus ferro-oxida
nsはその例である。
【0022】本発明に使用されるフタロシアニン化合物
とは、フタロシアニン骨格を有する化合物を示す。本発
明に使用される金属フタロシアニンとは、置換基を有し
ていないフタロシアニン骨格に金属原子が配位した化合
物であり、その誘導体とは、金属フタロシアニン分子中
のベンゼン環に水素原子以外の置換原子もしくは置換基
を有する化合物である。また、本発明に使用される無金
属フタロシアニンとは、置換基を有していないフタロシ
アニン骨格の中心に2個の水素原子が配位した化合物で
あり、その誘導体とは、無金属フタロシアニン分子中の
ベンゼン環に水素原子以外の置換原子もしくは置換基を
有する化合物である。本発明では、水に溶解しない金属
フタロシアニンもしくはその誘導体を用いることが望ま
しい。
【0023】上記の金属フタロシアニンの金属原子とし
ては、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ
素、カルシウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニ
ッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ジルコニ
ウム、モリブデン、パラジウム、銀、カドミウム、イン
ジウム、スズ、タングステン、白金、水銀、鉛、及び希
土類元素等を挙げることができるが、中でも、クロム、
鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン、パラジウム、ス
ズ、タングステン、及び白金からなる群より選ばれた少
なくとも1種であることが望ましい。
【0024】本発明においては、下記の一般式(1)で
示される金属フタロシアニンを用いることも可能であ
る。 MXnPc (1) (式中、Mは3〜7価の金属原子、Xは酸素原子、ハロ
ゲン原子もしくは水酸基、Pcはフタロシアニン骨格、
nは1〜5の整数をそれぞれ示す。) 一般式(1)で示される金属フタロシアニンは、置換基
を有していないフタロシアニン骨格Pcに、Mで示され
る金属原子が配位し、さらに軸方向にXで示される酸素
原子、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子も
しくは水酸基が1〜5個配位した化合物である。
【0025】本発明において、金属フタロシアニンが一
般式(1)で示される構造を有するには、金属原子Mの
価数が3〜7であることが必要である。本発明では、こ
のような価数をとることができる金属原子であれば、い
ずれの金属原子を用いることも可能であるが、特に、チ
タン、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステ
ン、ガリウム、インジウム、ケイ素、及びゲルマニウム
の少なくとも1種であることが望ましい。
【0026】上記金属フタロシアニン誘導体及び無金属
フタロシアニン誘導体の水素原子以外の置換原子又は置
換基の具体例として、以下のものを挙げることができ
る。すなわち、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲ
ン原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ステアリル基、
トリクロロメチル基、トリフロロメチル基、シクロプロ
ピル基、シクロヘキシル基、1,3−シクロヘキサジエ
ニル基、2−シクロペンテン−1−イル基、2,4−シ
クロペンタジエン−1−イリデニル基等の置換もしくは
未置換のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポ
キシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、ter
t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ
基、ステアリルオキシ基、トリフロロメトキシ基等の置
換もしくは未置換のアルコキシ基、メチルチオ基、エチ
ルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、sec−ブ
チルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ
基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基
等の置換もしくは未置換のチオアルコキシ基、ニトロ
基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、エステ
ル基、水酸基、スルホン酸基、ビニル基、メチルアミノ
基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミ
ノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基等のアル
キル基置換アミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルア
ミノ基等の炭素環式芳香族アミノ基、ビス(アセトオキ
シメチル)アミノ基、ビス(アセトオキシエチル)アミ
ノ基、ビス(アセトオキシプロピル)アミノ基、ビス
(アセトオキシブチル)アミノ基、ジベンジルアミノ基
等のモノまたはジ置換アミノ基、フェノキシ基、p−t
ert−ブチルフェノキシ基、3−フルオロフェノキシ
基等の置換もしくは未置換のアリールオキシ基、フェニ
ルチオ基、3−フルオロフェニルチオ基等の置換もしく
は未置換のアリールチオ基、フェニル基、ビフェニル
基、トリフェニル基、テトラフェニル基、3−ニトロフ
ェニル基、4−メチルチオフェニル基、3,5−ジシア
ノフェニル基、o−、m−、及びp−トリル基、キシリ
ル基、o−、m−、及びp−クメニル基、メシチル基、
ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニ
ル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、フェナレ
ニル基、フルオレニル基、アントリル基、アントラキノ
ニル基、3−メチルアントリル基、フェナントリル基、
トリフェニレン基、ピレニル基、クリセニル基、2−エ
チル−1−クリセニル基、ピセニル基、ペリレニル基、
6−クロロペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセ
ニル基、テトラフェニレン基、ヘキサフェニル基、ヘキ
サセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチ
レニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラン
トレニル基、オバレニル基等の置換もしくは未置換の芳
香族環基等である。
【0027】本発明において、金属フタロシアニン誘導
体及び無金属フタロシアニン誘導体としては、前述の金
属フタロシアニン及び無金属フタロシアニンの分子中の
ベンゼン環の1〜8個の水素原子が、ハロゲン原子、炭
素数1〜6のアルキル基、ニトロ基、シアノ基、水酸
基、スルホン酸基で置換された誘導体であることが望ま
しい。また、これらのフタロシアニン化合物は、単独で
用いても、2種類以上を併用して用いてもよい。
【0028】本発明の硫黄酸化細菌および鉄酸化細菌の
生育阻害する土壌改質剤は、住宅や工場の建設に先立
ち、未風化泥岩地盤土壌に添加・混合される。土壌への
添加量は、土壌100重量部に対して、0.01〜10
重量部、より好ましくは0.1〜5重量部であることが
望ましい。土壌改質剤の土壌に対する添加量が0.01
重量部未満の場合は、硫黄酸化細菌や鉄酸化細菌に対す
る生育阻害作用を長時間継続されることが困難である。
一方、添加量が10重量部を越えても、硫黄酸化細菌や
鉄酸化細菌に対する生育阻害作用のさらなる向上は期待
できず、コスト高になり好ましくない。
【0029】本発明において、硫黄酸化細菌および鉄酸
化細菌の生育阻害する土壌改質剤は、土壌と容易にかつ
均一に混合できるように、微粉末状であることが望まし
い。また、本発明の土壌改質剤の微粉末の平均粒子径は
0.001μm〜1.0mmであることが好ましく、
0.01μm〜0.1mmであることがより好ましい。
【0030】
【作用】土壌中に広く存在し、かつ未風化泥岩地盤土壌
の盤膨れ現象の原因となる硫黄酸化細菌や鉄酸化細菌の
体内には、チオサルフェート開裂酵素、サルファイトチ
トクロムcオキシドレダクターゼ、サルファジオキシゲ
ナーゼ等の硫黄化合物の酸化還元に関与する酵素や、サ
ルファ第二鉄オキシドレダクターゼ等の鉄イオンの酸化
還元に関与する酵素が存在し、これらの相互作用で硫酸
が生成する(小泉,“イオウ酸化細菌の生理生態と生物
工学”,用水と廃水,31巻,307頁,1989
年)。フタロシアニン化合物は、硫黄酸化細菌や鉄酸化
細菌の菌体内のこれらの酵素反応を阻害することによっ
て、硫黄酸化細菌や鉄酸化細菌の生育を阻害する。
【0031】また、これらの酸化細菌による土壌中の岩
石の石膏化などに起因する盤膨れ現象は、これらの酸化
細菌の生育を阻害することにより、回避できる。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により詳細
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0033】(実施例1〜31)宅盤下20〜70cm
の深さの泥岩と、各種金属フタロシアニン(平均粒子径
300〜400nm)とを表1に示した割合で充分に混
合して混合物(a)した。500ml容坂口フラスコ
に、硫黄酸化細菌用の培地(pH7〜8)200mlと
混合物(a)10gとを入れて28℃、7日間振盪培養
してpHの変化を測定した。その結果を表1に示す。
【0034】硫黄酸化細菌用の培地組成: Na2HPO4 1.2 g KH2PO4 1.8 g MgSO4・7H2O 0.1 g (NH42SO4 0.1 g Na223・5H2O 15.7 g MnSO4・4〜5H2O 0.03g CaCl2・2H2O 0.03g FeCl2 0.02g 蒸留水 1000ml pH6.5
【0035】(実施例32〜66)宅盤下20〜70c
mの深さの泥岩と、各種金属フタロシアニン(平均粒子
径300〜400nm)とを表1に示した割合でを充分
に混合して混合物(a)を得た。500ml容坂口フラ
スコに、鉄酸化細菌用のSilvermanの9K培地
(pH2〜3)200mlと、混合物(a)を10g入
れて28℃、7日間振盪培養してFe(III)の生成量
をロダン塩法で測定した。結果を表2に示す。
【0036】鉄酸化細菌用 Silverman 9K
培地の培地組成; KCl 0.01 g (NH42SO4 0.3 g K2HPO4 0.05 g MgSO4・7H2O 0.05 g Ca(NO32・H2O 0.001g FeSO4・7H2O 66.5 g 蒸留水 1000 ml pH2.0
【0037】(比較例1)500ml容坂口フラスコ
に、硫黄酸化細菌用の培地(pH7〜8)200ml
と、宅盤下20〜70cmの深さの泥岩10gとを入れ
て28℃、7日間振盪培養してpHの変化を測定した。
その結果を表1に示す。
【0038】(参考例1)泥岩として、121℃、20
分間高圧蒸気滅菌したものを使用する以外は、比較例1
と同様にして試験した。その結果を表1に示す。
【0039】(参考例2)泥岩として、121℃、20
分間高圧蒸気滅菌したものを使用する以外は、実施例1
と同様にして試験した。その結果を表1に示す。
【0040】(比較例2)500ml容坂口フラスコ
に、鉄酸化細菌用のsilvermanの9K培地(p
H2〜3)200mlと、宅盤下20〜70cmの深さ
の泥岩10gとを入れて28℃、7日間振盪培養してF
e(III)の生成量をロダン塩法で測定した。その結果
を表2に示す。
【0041】(参考例3)泥岩として、121℃、20
分間高圧蒸気滅菌したものを使用する以外は、比較例2
と同様にして試験した。その結果を表2に示す。
【0042】(参考例4)泥岩として、121℃、20
分間高圧蒸気滅菌したものを使用する以外は、実施例2
と同様にして試験した。その結果を表2に示す。
【0043】 表1 ─────────────────────────────────── 泥岩 Pc化合物 pH変化 (重量部) (重量部) 0日目→7日目 ─────────────────────────────────── 実施例1 泥岩 100 NiPc 1 6.7 → 6.6 実施例2 泥岩 100 NiPc 10 6.5 → 6.5 実施例3 泥岩 100 FePc 1 6.7 → 8.0 実施例4 泥岩 100 CoPc 1 6.7 → 6.6 実施例5 泥岩 100 MoOPc 1 6.6 → 6.8 実施例6 泥岩 100 SnPc 1 6.5 → 6.4 実施例7 泥岩 100 WPc 1 6.6 → 6.5 実施例8 泥岩 100 PtPc 1 6.5 → 6.7 実施例9 泥岩 100 H2Pc 1 6.5 → 6.3 実施例10 泥岩 100 AgPc 1 6.7 → 6.5 実施例11 泥岩 100 NiPc-Cl4 1 6.6 → 6.2 実施例12 泥岩 100 NiPc-(CN)8 1 6.6 → 6.6 実施例13 泥岩 100 NiPc-(NO2)4 1 6.5 → 6.7 実施例14 泥岩 100 NiPc-(CN)4 1 6.6 → 6.4 実施例15 泥岩 100 NiPc-(t-Bu)4 1 6.7 → 6.6 実施例16 泥岩 100 Al(OH)Pc 1 6.6 → 6.5 実施例17 泥岩 100 WO2Pc 1 6.6 → 6.5 実施例18 泥岩 100 NiPc+FePc 1 6.6 → 7.7 実施例19 泥岩 100 NiPc+CuPc 1 6.5 → 7.6 実施例20 泥岩 100 NiPc+CoPc 1 6.6 → 7.6 実施例21 泥岩 100 NiPc+SnPc 1 6.5 → 7.6 実施例22 泥岩 100 FePc+CuPc 1 6.7 → 7.8 実施例23 泥岩 100 FePc+CoPc 1 6.7 → 7.5 実施例24 泥岩 100 FePc+SnPc 1 6.7 → 8.0 実施例25 泥岩 100 CuPc+FePc 1 6.7 → 7.6 実施例26 泥岩 100 CuPc+CoPc 1 6.5 → 6.6 実施例27 泥岩 100 CuPc+SnPc 1 6.6 → 6.5 実施例28 泥岩 100 CoPc+SnPc 1 6.6 → 6.5 実施例29 泥岩 100 CoPc+MoOPc 1 6.7 → 6.7 実施例30 泥岩 100 MoOPc+NiPc 1 6.7 → 6.7 比較例1 泥岩 100 − 6.5 → 3.0 参考例1 滅菌泥岩 100 − 6.5 → 6.7 参考例2 滅菌泥岩 100 NiPc 1 6.6 → 6.5 ─────────────────────────────────── ※Pc:フタロシアニンの略号
【0044】 表2 ─────────────────────────────────── 泥岩 Pc化合物 Fe(III)生成量 (重量部) (重量部) 0日目→7日目 ─────────────────────────────────── 実施例31 泥岩 100 NiPc 1 7mM → 13mM 実施例32 泥岩 100 NiPc 10 5mM → 22mM 実施例33 泥岩 100 CoPc 0.1 9mM → 20mM 実施例34 泥岩 100 SnPc 0.1 9mM → 22mM 実施例35 泥岩 100 FePc 1 3mM → 11mM 実施例36 泥岩 100 CoPc 1 7mM → 18mM 実施例37 泥岩 100 MoOPc 1 7mM → 16mM 実施例38 泥岩 100 SnPc 1 7mM → 25mM 実施例39 泥岩 100 WPc 1 5mM → 12mM 実施例40 泥岩 100 PtPc 1 3mM → 6mM 実施例41 泥岩 100 H2Pc 1 5mM → 32mM 実施例42 泥岩 100 AgPc 1 5mM → 8mM 実施例43 泥岩 100 NiPc-Cl4 1 9mM → 24mM 実施例44 泥岩 100 NiPc-(CN)8 1 9mM → 20mM 実施例45 泥岩 100 NiPc-(NO2)4 1 9mM → 17mM 実施例46 泥岩 100 NiPc-(CN)4 1 7mM → 33mM 実施例47 泥岩 100 NiPc-(t-Bu)4 1 9mM → 21mM 実施例48 泥岩 100 Al(OH)Pc 1 5mM → 15mM 実施例49 泥岩 100 WO2Pc 1 5mM → 9mM 実施例50 泥岩 100 NiPc+FePc 1 4mM → 16mM 実施例51 泥岩 100 NiPc+CuPc 1 5mM → 14mM 実施例52 泥岩 100 NiPc+CoPc 1 5mM → 4mM 実施例53 泥岩 100 NiPc+SnPc 1 3mM → 13mM 実施例54 泥岩 100 FePc+CuPc 1 3mM → 23mM 実施例55 泥岩 100 FePc+CoPc 1 7mM → 25mM 実施例56 泥岩 100 FePc+SnPc 1 7mM → 17mM 実施例57 泥岩 100 CuPc+FePc 1 9mM → 11mM 実施例58 泥岩 100 CuPc+CoPc 1 6mM → 9mM 実施例59 泥岩 100 CuPc+SnPc 1 6mM → 15mM 実施例60 泥岩 100 CoPc+SnPc 1 6mM → 26mM 比較例2 泥岩 100 − 1mM → 183mM 参考例3 滅菌泥岩 100 − 3mM → 3mM 参考例4 滅菌泥岩 100 NiPc 1 1mM → 5mM ────────────────────────────────── ※Pc:フタロシアニンの略号
【0045】表1では、いずれの実施例も、硫黄酸化細
菌の生育が抑制され、硫化水素の発生が抑制された結
果、比較例1に比べてpHの低下が抑制され、硫黄酸化
細菌の存在しない参考例1および参考例2と同等の値を
示した。表2では、いずれの実施例も、鉄酸化細菌の生
育が抑制された結果、比較例2に比べて、鉄3価イオン
の発生が抑制された。
【0046】
【発明の効果】本発明の土壌改質剤は、盤膨れ現象の原
因となる硫黄酸化細菌や鉄酸化細菌の生育を阻害し、か
つ酸やアルカリに対しても安定な構造であるため、生育
阻害作用が長期間継続し、更に重金属等の溶出による環
境汚染の心配もなく、盤膨れ現象の防止に有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C09K 103:00 (72)発明者 肥後 幸呼 東京都中央区京橋二丁目3番13号 東洋イ ンキ製造株式会社内 Fターム(参考) 4H011 AA01 AA03 AF01 BB09 BB18 DA02 DD04 4H025 AA53 AB05 4H026 CB08 CC06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フタロシアニン化合物を有効成分とする
    土壌改質剤。
  2. 【請求項2】 フタロシアニン化合物が金属フタロシア
    ニンもしくはその誘導体であることを特徴とする請求項
    1記載の土壌改質剤。
  3. 【請求項3】 金属フタロシアニンもしくはその誘導体
    の金属原子がクロム、鉄、コバルト、ニッケル、モリブ
    デン、パラジウム、スズ、タングステン、及び白金から
    なる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴と
    する請求項1又は2記載の土壌改質剤。
  4. 【請求項4】 フタロシアニン化合物が下記一般式
    (1)で示される金属フタロシアニンもしくはその誘導
    体であることを特徴とする請求項1記載の土壌改質剤。 MXnPc (1) (式中、Mは3〜7価の金属原子、Xは酸素原子、ハロ
    ゲン原子もしくは水酸基、Pcはフタロシアニン骨格、
    nは1〜5の整数をそれぞれ示す。)
  5. 【請求項5】 フタロシアニン化合物が無金属フタロシ
    アニンもしくはその誘導体であることを特徴とする請求
    項1記載の土壌改質剤。
  6. 【請求項6】 土壌中に請求項1〜5いずれか記載の土
    壌改質剤を添加することを特徴とする盤膨れ現象の防止
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111575011A (zh) * 2020-05-22 2020-08-25 赛恩斯环保股份有限公司 一种重金属污染土壤复合修复药剂及应用方法

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