JP2000328032A - 繊維補強シート接着用樹脂組成物及びコンクリート構造物補強方法 - Google Patents

繊維補強シート接着用樹脂組成物及びコンクリート構造物補強方法

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JP2000328032A
JP2000328032A JP11138734A JP13873499A JP2000328032A JP 2000328032 A JP2000328032 A JP 2000328032A JP 11138734 A JP11138734 A JP 11138734A JP 13873499 A JP13873499 A JP 13873499A JP 2000328032 A JP2000328032 A JP 2000328032A
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reinforced sheet
bonding
sheet
resin composition
fiber reinforced
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JP11138734A
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Junichiro Nakajima
潤一郎 中島
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繊維補強シートによりコンクリート構造物な
どを補強するに際し、優れた耐力向上効果を発揮し得る
繊維補強シート接着用樹脂組成物を得る。 【解決手段】 硬化後の圧縮弾性率が980N/mm2
未満であるエポキシ樹脂を主成分として含むことを特徴
とする繊維補強シート接着用樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばコンクリー
ト構造物を繊維補強シートで補強する際に用いられる繊
維補強シート接着用樹脂組成物及びコンクリート構造物
補強方法に関し、より詳細には、エポキシ樹脂からな
り、繊維補強シートによる補強効果を高め得る繊維補強
シート接着用樹脂組成物及びコンクリート構造物補強方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、鉄筋コンクリートなどからなるコ
ンクリート構造物を補強する方法として、鋼板接着工法
に加えて、繊維補強シート接着工法が注目されている。
【0003】すなわち、鋼板に比べて、繊維補強シート
は軽量であり、かつ強度及び耐久性においても優れてい
るため、補強材として注目されており、また一部では実
際に施工されている。
【0004】繊維補強シートによりコンクリート構造物
を補強する際には、コンクリート構造物表面に接着剤を
介して繊維補強シートを接着する。この種の接着剤とし
ては、エポキシ樹脂系接着剤などが用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来、
コンクリート構造物を繊維補強シートで補強するに際
し、補強効果を高める上で、繊維補強シートの材質等に
ついては種々検討されているが、繊維補強シートを接着
する際の接着剤についてはあまり検討されていなかっ
た。
【0006】他方、阪神高速道路公団や日本道路公団に
おける鋼板接着補強に関連した規定では、エポキシ樹脂
系接着剤の圧縮弾性率が規定されている(阪神高速道路
公団:土木補修工事共通仕様書、日本道路公団:道路橋
補修便覧、首都高速道路公団:補修エポキシ樹脂施工基
準など)。
【0007】すなわち、これらの規定では、鋼板をエポ
キシ樹脂系接着剤により接着して補強する場合、エポキ
シ樹脂系接着剤の硬化後の圧縮弾性率が980N/mm
2 〜1470N/mm2 以上であることが規定されてい
るにすぎなかった。
【0008】本発明の目的は、上述した従来技術の現状
に鑑み、繊維補強シートを接着するのに用いられるエポ
キシ樹脂系の接着用樹脂組成物であって、優れた補強効
果を発揮し得る繊維補強シート接着用樹脂組成物、並び
に該繊維補強シート接着用樹脂組成物を用いたコンクリ
ート構造物補強方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る繊維補強シ
ート接着用樹脂組成物は、硬化後の圧縮弾性率が980
N/mm2 未満であるエポキシ樹脂からなることを特徴
とする。すなわち、従来、鋼板による補強に際して用い
られるエポキシ樹脂系接着剤では、硬化後の圧縮弾性率
は980N/mm2 以上とすべきとされていたが、繊維
補強シートによりコンクリート構造物等を補強する場合
には、逆に、硬化後の圧縮弾性率が980N/mm2
満と圧縮弾性率が低いエポキシ樹脂を用いれば、優れた
補強効果が得られることを見出し、本発明を成すに至っ
た。
【0010】本発明に係る繊維補強シート接着用樹脂組
成物では、上記エポキシ樹脂としては、好ましくは、2
液混合型エポキシ樹脂が用いられる。また、本発明に係
る繊維補強シート接着用樹脂組成物は、好ましくは、コ
ンクリート構造物を繊維補強シートで補強する際に、該
繊維補強シートをコンクリート構造物に接着するのに用
いられる。
【0011】また、本発明に係るコンクリート構造物の
補強方法は、コンクリート構造物表面に繊維補強シート
を本発明に係る繊維補強シート接着用樹脂組成物を用い
て接着することを特徴とする。
【0012】以下、本発明の詳細を説明する。本発明に
おいては、上述したように、硬化後の圧縮弾性率が98
0N/mm2未満のエポキシ樹脂が用いられる。ここ
で、圧縮弾性率は、繊維補強シート接着用樹脂組成物を
硬化させてなる試験片を圧縮試験することにより得られ
る値であり、本明細書における圧縮弾性率は、以下の方
法により測定された値である。
【0013】繊維補強シート接着用樹脂組成物を硬化さ
せ、養生し、15×15×43mmの試験片を得る。例
えば、2液混合型エポキシ樹脂の場合には、主剤と硬化
剤とを混合し、15×15×高さ43mmの試験片を得
るように硬化させ、20℃で7日間養生する。
【0014】上記のようにして得られた試験片を、試験
速度5mm/分で高さ方向に圧縮する。上記圧縮試験に
よる圧縮応力−ひずみ曲線の初めの直線的部分の勾配に
より、圧縮弾性率を下記の計算式(1)に基づいて求
め、5個の試験片について求められた値の平均値を圧縮
弾性率とする。
【0015】 圧縮弾性率E(N/mm2 )=σ/ε=(P/A)/(Δh/h)…式(1) なお、式(1)において、σは圧縮応力度(N/m
2 )、εはひずみ、Pは荷重(N)、Aは試験片の元
の最小断面積(mm2 )、すなわち225mm2 、Δh
は高さ方向の変位量(mm)、hは試験片の初期状態の
高さ(mm)、すなわち43mm。
【0016】本発明に係る繊維補強シート接着用樹脂組
成物では、上記のようにして求められる硬化後の圧縮弾
性率Eが980N/mm2 未満のエポキシ樹脂により構
成され、それによって後述の実施例から明らかなよう
に、例えばコンクリート構造物を繊維補強シートにより
補強した場合、優れた補強効果が発揮される。
【0017】また、本発明に係る繊維補強シート接着用
樹脂組成物は、上記のように圧縮弾性率Eが980N/
mm2 未満であることを除いては、特に限定されず、従
って上記圧縮弾性率範囲を実現し得る限り、適宜のエポ
キシ樹脂を用いることができる。このようなエポキシ樹
脂としては、調製が容易であり、上記圧縮弾性率Eを9
80N/mm2 未満に容易に調整し得る2液混合型エポ
キシ樹脂が好適に用いられる。
【0018】もっとも、硬化後の圧縮弾性率Eを980
N/mm2 未満とする方法は、エポキシ樹脂における架
橋密度、エポキシ基当量、エポキシ樹脂の構造、2液型
エポキシ樹脂の場合には硬化剤の活性水素当量などを調
整することにより実現し得る。
【0019】例えば、架橋密度を高めることにより圧縮
弾性率を高めることができ、架橋密度を低下させること
により圧縮弾性率を低めることができる。また、エポキ
シ基当量を高めることにより、圧縮弾性率を低くするこ
とができ、エポキシ基当量を低めることにより、圧縮弾
性率を高めることができる。なお、エポキシ基当量と
は、エポキシ樹脂の分子量をエポキシ基の数で除算する
ことにより得られる値である。また、エポキシ樹脂を環
状構造のものとすることにより圧縮弾性率を高めること
ができ、直鎖状の構造とすることにより圧縮弾性率を低
めることができる。
【0020】さらに、2液型エポキシ樹脂の場合、アミ
ン系硬化剤を用いる場合には、活性水素当量を高めるこ
とにより圧縮弾性率を低めることができ、活性水素当量
を低めることにより圧縮弾性率を高めることができる。
なお、活性水素当量とは、アミンの分子量を窒素原子に
結合している水素の原子の数で除算した値である。
【0021】すなわち、エポキシ樹脂の化学から明らか
なように、上記架橋密度、エポキシ基当量、エポキシ樹
脂構造及び硬化剤を適宜選択することにより、エポキシ
樹脂硬化後の圧縮弾性率Eを容易に980N/mm2
満とすることができ、その方法については特に限定され
るものではない。
【0022】硬化後の圧縮弾性率Eが980N/mm2
未満のエポキシ樹脂からなる繊維補強シート接着用樹脂
組成物の具体的な組成例を挙げると、主剤としてダウケ
ミカル日本社製エポキシ樹脂(商品名:DER−32
8)100重量部に対し、硬化剤として三和化学工業社
製ポリアミドアミン(商品名:サンマイド75)及び東
都化成社製脂肪族アミン(商品名:KXH−606)
を、それぞれ、0〜100重量%及び0〜100重量%
で含む硬化剤を、50〜150重量部の割合で混合して
なる接着剤組成物が挙げられる。
【0023】また、本発明に係る繊維補強シート接着用
樹脂組成物は、上記のように硬化後の圧縮弾性率Eが9
80N/mm2 未満のエポキシ樹脂を含むことを特徴と
するが、エポキシ樹脂以外に、消泡剤、揺変剤、接着性
付与剤、反応性希釈剤、染料などの他の添加剤が、本発
明の目的を阻害しない範囲で含まれ得る。
【0024】本発明に係る繊維補強シート接着用樹脂組
成物は、コンクリート構造物を繊維補強シートで補強す
る用途に好適に用いられる。この場合、本発明に係るコ
ンクリート構造物の補強方法では、コンクリート構造物
表面に、繊維補強シートが本発明に係る繊維補強シート
接着用樹脂組成物を用いて接着される。
【0025】上記繊維補強シートについては、従来より
コンクリート構造物等の補強に用いられ得るものとして
知られている適宜の繊維補強シートを用いることがで
き、例えば、炭素繊維シート、あるいはアラミド繊維シ
ートなどを挙げることができる。また、この種の繊維強
化プラスチックシートを構成するプラスチック材料につ
いても、エポキシ樹脂等の適宜の材料のものが用いられ
る。また、本発明に係るコンクリート構造物の補強方法
は、鉄筋等により補強されたRCコンクリートの他、様
々なコンクリート構造物に用いることができる。
【0026】(作用)コンクリート構造物を鋼板で補強
する際に用いられる従来のエポキシ樹脂系接着剤では、
硬化後の圧縮弾性率は980N/mm2 以上とすべきで
あると考えられたいたのに対し、本発明に係る繊維補強
シート接着用樹脂組成物は、硬化後の圧縮弾性率Eが9
80N/mm2 未満のエポキシ樹脂を含むことを特徴と
する。すなわち、従来とは逆に、硬化後の圧縮弾性率E
が低いエポキシ樹脂を用いることにより、後述する実施
例から明らかなように、繊維補強シートによりコンクリ
ート構造物を補強した場合、優れた補強効果が得られ
る。これは、本願発明者らにより実験的に確かめられた
ものである。
【0027】本発明に係るコンクリート構造物の補強方
法では、本発明に係る繊維補強シート接着用樹脂組成物
を用いてコンクリート構造物表面に繊維補強シートが接
着されるので、後述の実施例から明らかなように、繊維
補強シートによる補強効果が著しく高められる。
【0028】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例を挙げること
により、本発明を明らかにする。 (1)使用した繊維補強シート接着用樹脂組成物 下記の表1に示す3種類の繊維補強シート接着用樹脂組
成物A〜Cを用意した。これらの繊維補強シート接着用
樹脂組成物A〜Cの硬化後の物性を下記の表2に示す。
すなわち、繊維補強シート接着用樹脂組成物Aは、圧縮
弾性率Eが2.6×103 N/mm2 であり、高弾性率
の硬化物を与え、繊維補強シート接着用樹脂組成物Bの
硬化後の圧縮弾性率Eは1.5×103 N/mm2 であ
り、中程度の圧縮弾性率の硬化物を与え、繊維補強シー
ト接着用樹脂組成物Cの硬化後の圧縮弾性率Eは0.3
×103 N/mm2 であり、本発明の圧縮弾性率範囲に
ある硬化物を与える。従って、上記繊維補強シート接着
用樹脂組成物Cが本発明の実施例に係る繊維補強シート
接着用樹脂組成物にあたる。
【0029】なお、下記の表1から明らかなように、こ
れらの繊維補強シート接着用樹脂組成物A〜Cは主剤と
硬化剤とを含む2液混合型エポキシ樹脂系接着剤であ
る。
【0030】
【表1】
【0031】表1において、原料名の意味は以下の通り
である。 DER−328:ダウ・ケミカル日本株式会社製エポキ
シ樹脂 ディスパロンF−9040:楠本化成株式会社製脂肪酸
アマイドワックス ディスパロンP−420:楠本化成株式会社製消泡剤 エポメートLX−3W:油化シェルエポキシ株式会社製
複素環状ジアミン ラッカマイドTD−950:大日本インキ化学工業株式
会社製ポリアミドアミン サンマイド75:三和化学工業株式会社製ポリアミドア
ミン KXH−606:東都化成株式会社製変性脂肪族アミン
【0032】
【表2】
【0033】(2)実施例1,2及び比較例1〜5 (実施例1)図1に示す試験サンプル1を用意した。こ
の試験サンプル1では、断面が150×150mm、長
さ1400mmの鉄筋コンクリートはり2(以下、RC
はりと称する)を用いた。RCはり2における配筋は、
図1(a)及び(b)から明らかなように、D13の鉄
筋3を圧縮側及び引張側に配置し、剪断破壊しないよう
にD6の剪断補強筋4を60mm間隔で剪断方向に延び
るように配置した。
【0034】また、初期のひび割れ発生箇所を制御する
ために、RCはり2の中央部には、切欠2aを形成し、
該切欠2aに、高さ75mm×幅150mmのアクリル
板6を予め埋め込んでおいた。
【0035】上記RCはり2の下面2bに、繊維補強シ
ートとして炭素繊維シート5(以下、CFRPシート、
日鉄コンポジット株式会社製、商品名:トウシートFT
S−C1−30、幅75mm×長さ1100mm×厚さ
0.167mm)を前述の繊維補強シート接着用樹脂組
成物Cを用いて接着した。
【0036】また、CFRPシート5の片側を意図的に
剥離させるために、サンプル中央より片側一方に、定着
用として、幅100mmのCFRPシートを1周巻き付
けた(図示せず)。
【0037】また、載荷点Xはサンプル上面の中央と
し、載荷点XからCFRPシート5の端部までの距離は
550mmとした。また、載荷に関してのスパンを12
00mmとした。すなわち、RCはり2の下面2bにお
いて、1200mmの距離を隔てられた一対の支点Yで
RCはり2を支持し、RCはり2の上面中央から載荷
し、測定を行った。
【0038】測定に際しては、RCはり2の下面2bを
乾燥させておき、繊維補強シート接着用樹脂組成物Cを
表1に示した割合で配合し、RCはり2の下面2bに
1.0mmの厚みとなるように塗工し、CFRPシート
5を接着し、10〜15℃の温度で7日間養生した。し
かる後、試験サンプル1の圧縮強度、引張強度、引張鉄
筋降伏荷重、部材降伏荷重、及び最大荷重を以下の要領
で測定した。
【0039】コンクリート圧縮強度(N/mm2 )…
JIS A−1108「コンクリートの圧縮強度試験方
法」に準ずる。供試体は直径15cm×高さ30cm及
び荷重速度は2〜3kgf/cm2 とした。 コンクリート引張強度(N/mm2 )…JIS A−
1113「コンクリートの引張強度試験方法」に準ず
る。供試体は直径15cm×高さ30cm及び荷重速度
は4〜5kgf/cm2 とした。
【0040】引張鉄筋降伏荷重(kN)…JIS Z
−2241「金属材料引張試験方法」に準ずる。平均応
力増加率は1〜3kgf/mm2 ・sとした。 部材降伏荷重(kN)…1)部材の剛性が急激に変化
する点及び、2)引張鉄筋中央部のひずみ値が急増する
点における降伏荷重を求めた。
【0041】最大荷重(kN)…たわみ−荷重の関係
における最大荷重を求めた。 結果を下記の表3及び表4に示す。なお、表3及び表4
においては、上記測定結果と共に、後述の比較例1に対
する耐力比を併せて示す。
【0042】(比較例1)CFRPシート5で補強しな
かったことを除いては、実施例1と同様にして測定を行
った。結果を下記の表3及び表4に示す。
【0043】(比較例2)繊維補強シート接着用樹脂組
成物Cに代えて、繊維補強シート接着用樹脂組成物Aを
用いたことを除いては、実施例1と同様にして評価し
た。結果を下記の表3及び表4に示す。
【0044】(比較例3)繊維補強シート接着用樹脂組
成物Cに代えて、繊維補強シート接着用樹脂組成物Bを
用いたこと、及び繊維補強シート接着用樹脂組成物Cの
塗布厚みを1.4mmとしたことを除いては、実施例1
と同様にして、RCはりを補強し、評価した。結果を下
記の表3及び表4に示す。
【0045】(実施例2)CFRPシート5に代えて、
同じ寸法のアラミド繊維シート(以下、AFRPシート
と略す、カネボウ株式会社製、商品名:ケブラーシート
AK−60T、厚さ0.286mm)を用いたこと、及
び繊維補強シート接着用樹脂組成物Cの塗布厚みを1.
2〜1.5mmとしたことを除いては、実施例1と同様
にしてRCはり2を補強し、評価した。結果を下記の表
3及び表4に示す。
【0046】(比較例4)繊維補強シート接着用樹脂組
成物Cに代えて、繊維補強シート接着用樹脂組成物Aを
用いたことを除いては、実施例2と同様にして、RCは
り2を補強し、評価した。結果を下記の表3及び表4に
示す。
【0047】(比較例5)繊維補強シート接着用樹脂組
成物Cに代えて、繊維補強シート接着用樹脂組成物Bを
用いたことを除いては、実施例2と同様にして、RCは
り2を補強し、評価した。結果を下記の表3及び表4に
示す。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】表3から明らかなように、無補強の比較例
1に比べて、比較例2〜5及び実施例1,2では、最大
荷重が大きくなることがわかる。さらに、圧縮弾性率が
980N/mm2 以上の繊維補強シート接着用樹脂組成
物A,Bを用いた比較例2,3及び比較例4,5に比べ
て、実施例1,2では、最大荷重が大きくなった。
【0051】また、これらの結果から、CFRPシート
及びAFRPシートのいずれを用いた場合であっても、
繊維補強シート接着用樹脂組成物の硬化後の弾性率が小
さくなるほど最大荷重が大きくなることがわかる。
【0052】また、CFRPシートで補強した場合に
は、比較例2では、CFRPシートは、曲げひび割れか
ら生じる段差により中央部から剥離し、その後、強い衝
撃音と共に端部まで一気に剥離した。しかしながら、比
較例3及び実施例1では、中央部分においてCFRPシ
ートが破断した。このことから、硬化後の圧縮弾性率が
低い繊維補強シート接着用樹脂組成物を用いた場合に
は、CFRPシートの強度よりも、繊維補強シート接着
用樹脂組成物の接着性能の方が高まっているものと考え
られる。
【0053】他方、AFRPシートを用いた場合には、
繊維補強シート接着用樹脂組成物A〜Cのいずれを用い
た場合も、繊維補強シートは曲げひび割れから生じる段
差により中央部から剥離し、その後、強い衝撃音と共に
端部まで一気に剥離した。もっとも、比較例5及び実施
例2では、AFRPシートが剥離する前にコンクリート
が圧壊していた。さらに、実施例2では、サンプル中央
のコンクリートを深くえぐり取ってAFRPシートが剥
離した。従って、AFRPシートを用いた場合において
も、実施例2のように硬化後の圧縮弾性率が低い繊維補
強シート接着用樹脂組成物Cを用いることにより、AF
RPシートが剥離し難いことがわかる。
【0054】また、CFRPシートを用いた場合、比較
例3及び実施例1では、CFRPシート自体が破断した
が、そのときの剥離進行状況は、比較例3では中央から
15cm程度であったのに対し、実施例1では中央から
10cm程度であった。すなわち、実施例1の方が、比
較例3に比べてCFRPシートの剥離が生じ難かった。
【0055】従って、表3及び表4の結果から、繊維補
強シート接着用樹脂組成物及び繊維補強シートの相違に
よる剛性向上効果はほぼ等しいものの、繊維補強シート
接着用樹脂組成物の圧縮弾性率が低い程最大荷重が大き
くなり、優れた補強効果の得られることがわかる。
【0056】(3)実施例3及び比較例6,7 繊維補強シートが接着されたコンクリート構造物に純引
張力を与えることにより、繊維補強シート接着用樹脂組
成物の接着性能を評価する引張型付着試験と、曲げ載荷
により引張力を与えて繊維補強シート接着用樹脂組成物
の接着性能を評価する曲げ型付着試験の2種類の実験を
行った。
【0057】引張型付着試験 引張型付着試験に用いた試験サンプルを図2(a)〜
(c)に示す。試験サンプル11は、断面が100×1
00mm、全長250mmの第1,第2のコンクリート
直方体12,13を有する。第1,第2のコンクリート
直方体12,13には、それぞれ、引張荷重を伝達する
ための鋼ボルト14,15がコンクリート直方体12,
13の中心軸を貫くように埋設されている。鋼ボルト1
4,15は、コンクリート直方体12,13の外側端面
12a,13aから外側に突出されて、引張荷重を加え
られるように構成されている。また、鋼ボルト14,1
5の内側端は、コンクリート直方体12,13の内側端
面12b,13bから内側に突出されており、かつナッ
ト16により相互に連結されている。なお、内側端面1
2b,13bには鋼板17,18が埋設されている。
【0058】なお、上記ナット16は、コンクリート直
方体12,13の中心軸を一致させるために、鋼ボルト
14,15を連結しているが、引張試験直前にナット1
6は取り外した。
【0059】さらに、試験サンプル11においては、コ
ンクリート直方体12,13の内側端面12b,13b
間を、端面12b,13bの四隅近傍に配置された鋼ボ
ルトによっても連結し、軸のずれ及びねじれ等を極力無
くすように構成した。すなわち、コンクリート直方体1
2,13には、それぞれ、端面12b,13bの四隅近
傍から鋼ボルト19,20が相手側の端面に向かって突
出するように配置されている。この鋼ボルト19,20
がナット21により連結されている。なお、鋼ボルト1
9,20を連結しているナット21についても、試験直
前に取り外した。
【0060】上記試験サンプル11では、幅50mm×
長さ500mmのCFRPシート(日鉄コンポジット株
式会社製、商品名:トウシートFTS−C1−30、厚
み0.167mm)22,23を用い、図2に示すよう
に、定着長さを150mmとしてコンクリート直方体1
2,13の上面及び下面の両面に、繊維補強シート接着
用樹脂組成物A,BまたはCを用いて貼り付けた。な
お、CFRPシート22,22の片側を意図的に剥離さ
せるために、サンプル中央より片側一方には、定着用と
して幅100mmのCFRPシート24を試験サンプル
11を巻回するように巻き付けた。
【0061】引張型付着試験においては、A,A方向に
引張荷重を与え、最大引張力及び破壊モードを評価し
た。最大引張力とは、最大引張荷重を中央の中空部分に
おいて、それぞれ2枚のCFRPシート22,22に貼
付されたひずみゲージによるひずみの値により分配した
ものである。
【0062】曲げ型付着試験 図3(a)〜(c)に示すように、断面が150×15
0mm、長さ550mmの標準曲げ試験サンプル31を
用いた。試験サンプル31の中央には、人工切欠31a
を設けた。また、試験サンプル31は、コンクリートか
らなるが、ヒンジ部のみにD6鉄筋32が、それ以外の
部分にはD13鉄筋33が配筋されている。また、D6
剪断補強筋34を6mm間隔で配置した。CFRPシー
ト35として、長さ580mm×幅50mmのものを用
い、定着長さを150mmとして試験サンプル31の下
面に貼り付けた。なお、CFRPシート35の片側を意
図的に剥離させるために、試験サンプル31の中央より
片側一方に、定着用として幅75mmのCFRPシート
36を1周巻き付けた。
【0063】曲げ型付着試験においては、図3(a)に
示すように、支点B,B間の距離を450mmとし、試
験サンプル31の上面中央から荷重を加え、CFRPシ
ート35の破断や剥離等が生じるに至る最大荷重を測定
し、該最大荷重時の曲げモーメントから最大引張力を求
めた。この最大引張力とは、CFRPシート35に加わ
る引張張力である。
【0064】(実施例3)上記繊維補強シート接着用樹
脂組成物として、表1に示した繊維補強シート接着用樹
脂組成物Cを用いた。上記引張型付着試験において測
定された最大引張力及び破壊モードを表5に、曲げ型付
着試験において求められた最大引張力及び破壊モードを
表6に示す。
【0065】(比較例6)繊維補強シート接着用樹脂組
成物Cに代えて、繊維補強シート接着用樹脂組成物Aを
用いたことを除いては、実施例3と同様にして評価し
た。結果を表5及び表6に示す。
【0066】(比較例7)繊維補強シート接着用樹脂組
成物Cに代えて、繊維補強シート接着用樹脂組成物Bに
用いたことを除いては、実施例3と同様にして評価し
た。結果を表5及び表6に示す。
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】表5及び表6から明らかなように、引張型
付着試験及び曲げ型付着試験のいずれにおいても、硬化
後の圧縮弾性率が980N/mm2 未満である実施例3
では、比較例6,7に比べて最大引張力が大きくなり、
従って接着性能が高いことがわかる。
【0070】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、繊維補
強シート接着用樹脂組成物が硬化後の圧縮弾性率が98
0N/mm2 未満のエポキシ樹脂を用いて構成されてい
るので、繊維補強シートを補強対象物に接着固定した場
合、接着補強シートの最大荷重、破断荷重及び最大引張
力を高めることができる。従って、例えばコンクリート
構造物を繊維補強シートで補強するにあたり、本発明に
係る繊維補強シート接着用樹脂組成物を接着剤として用
いることにより、コンクリート構造物等の耐力を効果的
に高めることが可能となる。
【0071】本発明に係るコンクリート構造物の補強方
法では、本発明に係る繊維補強シート接着用樹脂組成物
を用いて繊維補強シートをコンクリート構造物表面に接
着するため、繊維補強シートの最大荷重、破断荷重及び
最大引張力が高められ、それによってコンクリート構造
物の耐力が効果的に高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)は、実施例1及び比較例3〜
5において、コンクリートを補強している繊維補強シー
トが破壊または剥離に至る最大荷重を評価するための試
験サンプルを説明するための縦断面図及び(a)におけ
るI−I線に沿う横断面図。
【図2】(a)〜(c)は、実施例3及び比較例6,7
において繊維補強シートで補強されたコンクリート構造
物における繊維補強シートの破壊または剥離に至る最大
荷重を評価するための引張型付着試験方法に用いられる
試験サンプルを説明するための正面図、平面図及び横断
面図。
【図3】(a)〜(c)は、実施例3及び比較例6,7
において繊維補強シートで補強されたコンクリート構造
物における繊維補強シートの破壊または剥離に至る最大
荷重を評価するための曲げ型付着試験方法に用いられる
試験サンプルを説明するための縦断面図、平面図及び略
図的横断面図。
【符号の説明】
1…試験サンプル 2…RC 3…CFRPシート 11…試験サンプル 12,13…コンクリート直方体 14,15…CFRPシート 16…定着用CFRPシート 21…試験サンプル 22…RC 24…CFRPシート 25…定着用CFRPシート

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬化後の圧縮弾性率が980N/mm2
    未満であるエポキシ樹脂を含むことを特徴とする繊維補
    強シート接着用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記エポキシ樹脂が2液混合型エポキシ
    樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の繊維補強
    シート接着用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 コンクリート構造物を繊維補強シートに
    より補強する際に該繊維補強シートをコンクリート構造
    物に接着するのに用いられる請求項1または2に記載の
    繊維補強シート接着用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 コンクリート構造物に繊維補強シートを
    接着して補強するにあたり、接着剤として請求項1また
    は2に記載の繊維補強シート接着用樹脂組成物を用いる
    ことを特徴とするコンクリート構造物補強方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014065889A (ja) * 2012-07-04 2014-04-17 Dainippon Printing Co Ltd 粘接着層及び粘接着シート
JP2015078600A (ja) * 2012-07-04 2015-04-23 大日本印刷株式会社 コンクリートの補修又は補強方法

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