JP2000313508A - ビル式ラック - Google Patents

ビル式ラック

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JP2000313508A
JP2000313508A JP11121707A JP12170799A JP2000313508A JP 2000313508 A JP2000313508 A JP 2000313508A JP 11121707 A JP11121707 A JP 11121707A JP 12170799 A JP12170799 A JP 12170799A JP 2000313508 A JP2000313508 A JP 2000313508A
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stress
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Osamu Fukuda
修 福田
Takahiro Kanbe
隆宏 神戸
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Murata Machinery Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 自動倉庫のビル式ラックを有限要素法により
台車モデルに変換し、台者間が有限要素法で求めた層剛
性で結合され、台車に所定の摩擦係数で荷物が搭載され
ているものとする。このモデルに過去の地震波をシミュ
レーション上で加えて最大せん断応力を求め、これに耐
えるように部材を算定する。 【効果】 正確な応力計算により、耐震性と軽量/低コ
スト化を達成し、併せて高層化を容易にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の利用分野】この発明は自動倉庫等のビル式ラッ
クに関し、特に地震時に加わる応力をシミュレーション
し、それに基づいて構成部材を算定したビル式ラックに
関する。
【0002】
【従来技術】ビル式ラックは、ラック自体を建築物の構
造体として、ラックにより壁や屋根を支持するものであ
る。ビル式ラックの他の建築物からの違いは、ラック自
体の自重よりも収容する荷物(物品)の重量の方がはる
かに大きいことにある。ビル式ラックの設計では耐震性
の評価が必要とされ、従来は、収容する荷物は各層の棚
に固定された荷重であり、荷物と棚との相対移動は無視
し得るものとして扱ってきた。ところで周知のように、
地震時に建築物の各層に加わる応力は、各層に加わる重
力に依存する。ビル式ラックの場合、荷物からの荷重が
大きいため、荷物に加わる地震波によって生じる応力が
大きく、柱や梁等に極めて大きな剛性が必要とされてき
た。
【0003】発明者らは、地震時に荷物が棚に対して滑
ることにより、物品から棚への応力が前記の棚に固定さ
れた荷物の場合からどのように変化するかを検討した。
そして発明者は、荷物の滑り運動により荷物から棚への
応力が制限され、これに伴って、ビル式ラックの倒壊を
防止する機構が生じることを見出して、この発明に到っ
た。これに関連した問題として、高層のビル式ラック
で、荷物を棚に固定された物品として扱うと、ラックに
極めて大きな剛性が必要とされ、その結果、建築コスト
が極めて大きくなることがある。
【0004】
【発明の課題】この発明の基本的課題は、地震時にビル
式ラックに働く応力をより正確に求めることにより、ビ
ル式ラックの耐震性の向上と、材料の軽量化やコストダ
ウンを計り、またビル式ラックの高層化を容易にするこ
とにある(請求項1〜3)。
【0005】
【発明の構成】この発明のビル式ラックは、弾性体によ
り結合された複数の質点と、各質点に摩擦力で保持され
た収容物品とのモデルにラックの設計を変換するととも
に、ラックの自重を前記の各質点に固定加重として分配
し、次いで該モデルに地震波を加えた際の応答をシミュ
レーションすることによりラック各部に加わる応力を求
め、該応力に耐えるようにラックの構成部材を算定し、
該算定した構成部材により構築したものである。摩擦力
は、静止摩擦力と動摩擦力とを区別せず、単一の摩擦力
としてモデル化しても良いが、好ましくは静止摩擦力と
動摩擦力の2種類の摩擦力が作用するものとしてモデル
化する。そしてこの場合、物品が棚に及ぼす力は、静止
摩擦力が上限となり、物品が棚に対して相対移動を開始
すると、動摩擦力で定まる一定値となるようにモデル化
するのが好ましい。またここで物品と呼んでいるのは、
荷物自体やパレットと荷物などのことである。シミュレ
ーションはビル式ラック毎に行っても、あるいは構造が
類似したビル式ラックに対してまとめて1回行っても良
い。モデル化は例えば有限要素法により行えば良く、モ
デル化の手法自体は任意である。地震波に対する応答の
シミュレーションには、例えば機構解析ソフトなどを用
いれば良い。
【0006】好ましくは、前記物品を、ラックの棚上に
第1の摩擦係数で載置された第1の物品と、第1の物品
上に第2の摩擦係数で載置された第2の物品との、少な
くとも2層の物品としてモデル化して構成部材を算定す
る。第1の摩擦係数と第2の摩擦係数は例えば異なるも
のとし、例えば第1の物品がパレットで第2の物品が荷
物、あるいは第1,第2の物品はいずれも荷物であると
する。
【0007】また好ましくは、ビル式ラックの保有水平
耐力(水平せん断応力に対する耐力)を、ラックの棚に
固定された物品と収容物品を見なした際の収容物品から
棚への水平応力の50〜80%とビル式ラックの自重に
よる水平応力との和に耐えるものとし、ビル式ラックの
構成部材をこれに従って算定する。ビル式ラックに収容
された物品は、地震の際に上層の物品から棚に対して滑
り始め、このため上層部の物品から棚への応力が減少す
る。そして物品を、重量が真の重量の50〜80%で、
棚に固定された荷物と見なしてよいことは、本発明によ
り見出された経験則である。
【0008】
【発明の作用と効果】請求項1の発明では、ビル式ラッ
クに収容された物品を、ラックの高さ方向位置に対応す
る質点に、所定の摩擦係数で保持されているものとして
モデル化する。このモデルで地震波に対するラックの応
答をシミュレーションすると、物品が棚に及ぼす力は摩
擦力が上限となり、物品が棚に固定されているものと仮
定した場合よりも、地震時に物品が棚に及ぼす力は小さ
くなる。そしてこの方がより正確な応力の評価であるこ
とは明らかである。この発明のビル式ラックは、上記の
シミュレーションを介して構成部材を算定したものであ
る。この発明では、上記のシミュレーションで得られた
ラックに加わる応力のデータに基づいて、柱、桁、ビー
ム、ジョイント等の構成部材の材質や太さ、配置、本数
等を算定して、算定した構成部材でビル式ラックを構築
する。請求項1の発明では、ビル式ラックの耐震性をよ
り現実的に評価し、これによって過剰な耐震設計を不要
にして、ビル式ラックの軽量化やコストダウンを行う。
また耐震設計が特に難しい高層のビル式ラックでも、現
実的で信頼性のある耐震能力のあるビル式ラックを構築
できるようにする。
【0009】請求項2の発明では、パレットと荷物との
間の滑りや、複数段に重ねた荷物相互の滑りも耐震性に
反映させることができるので、より耐震性の程度が明確
で、かつ軽量低コストなビル式ラックが得られる。
【0010】この発明で得られた経験則の1つとして、
ラックの高層部の物品が棚に対して滑るため、物品が地
震時に棚に及ぼす力がラックの物品全体で20〜50%
軽減されることがある。言い換えると、物品を真の重量
の80〜50%の重量で棚に固定された物品と見なして
も良く、その分だけラックを軽量でき、低コストにでき
る(請求項3)。80〜50%の範囲での具体的な値
は、例えばシミュレーションにより求めればよい。また
有するべき保有水平耐力は、ビルの耐震目標(強震,激
震、烈震等の振動のランクや、過去の実際の地震波等)
に応じて定める。なおシミュレーションでは、ラックの
上層での物品の滑りは、ラックの全層に対して物品から
の応力を20〜50%軽減した。
【0011】
【実施例】図1,図2に、ビル式ラックのモデル化を示
す。図3に、棚に対する物品の滑りを考慮することによ
り、ビル式ラックの設計を合理化し得る機構を示す。ま
た図4に、ビル式ラックのモデル化から地震波に対する
シミュレーション並びに部材の算定のアルゴリズムを示
す。さらに図5,図6にシミュレーションにより得られ
た主な結果を示す。
【0012】図1にビル式ラック2のモデル化の過程を
示すと、ビル式ラック2は個々のラック4の集合体で構
成され、ビル式ラック2自体を1つの建築物と見なし
て、壁や屋根を取り付け、例えば自動倉庫として用い
る。またビル式ラック2の桁方向とスパン方向とを図1
のように定める。耐震性の評価で重要なのはスパン方向
の耐震性で、評価項目としてはラック4の各層に働く層
間のせん断応力と、これに関係した値としての、各層の
層間変位や相対速度、相対加速度、並びにラック4に働
く転倒モーメント等がある。実施例ではこれ以外に、物
品がラック4に対して滑ることを考慮するので、ラック
の棚に対する物品の相対変位や相対速度、相対加速度も
評価(シミュレーション)する。
【0013】ビル式ラック2での個々のラック4は、ビ
ル式ラック2を評価することによって得られる所定のバ
ネ定数のバネで結合されているものとして、図1の中段
に示すようにビル式ラック2を単純化する。次にビル式
ラック2を水平繋ぎ毎に1つの層と見なし、各層には上
下各1/2層分の範囲での質量が集中しているものとす
る。
【0014】このように単純化したモデルに対して公知
の有限要素法により固有値解析を行い、1次固有周期T
を求める。また建築基準法やその施行令等に準拠して、
各層iの層せん断応力係数を求め、これに各層の重量を
加味して、層せん断応力Qiを求める。なおこの時点で
は地震力が小さいものとして、物品は棚に固定されて滑
らないものと仮定しておく。また添え字iは、層の番号
を示す。次に層せん断応力Qiの分布から外力Piの分布
を求め、有限要素法により加わる外力に対するラック4
の変形を求める。このようにして各層の変形を求めて、
層間の相対変位δiと層せん断応力Qiとの比から、層剛
性kiを求める。
【0015】建築物に対して、0.02等の一次モード
減衰比ζ1が一般に適用されており、 Ci=ζ1×ki×T/π (1) として、層毎の減衰係数Ciを求める。ζ1は一次減衰
比、kiは前記の層剛性係数、Tはラック4の1次固有
周期である。ここまでの手順は建築物の保有水平体力計
算において、公知のことである。
【0016】上記により、ラック4の1つの層に対して
1つの質点8を対応させ、層と層とが層剛性係数kiで
接続されていることを弾性リンク10で質点8,8が結
合されていることにより表現し、各質点に物品が所定の
摩擦係数で保持されているモデルに変換できる。このよ
うなモデルを串団子モデルと呼ぶ。ここでの串団子モデ
ルの特徴は、質点8に物品16,18が固定されている
のではなく、所定の摩擦係数で結合されているものとし
て扱うことにある。なお物品は1層に保持されているも
のとしても良いが、実施例では棚に対するパレットの滑
りと、パレットに対する物品の滑り等を考慮するため、
2層に物品16,18が保持され、物品16,18は摩
擦力で結合されているものとした。
【0017】串団子モデルは、水平方向の地震波に対し
て、図1下部の台車モデル7と同等である。このモデル
では、地震波により振動する地盤に対応する駆動源22
が振動して、この振動が弾性リンク10を介して各台車
20に加えられ、台車20には摩擦力で保持された物品
16,18が2層に保持されているものとする。ラック
4の棚に対する物品の滑りは、台車20に対する物品1
6,18の滑りや、下層の物品16に対する上層の物品
18の滑りに変換される。
【0018】図2に、棚30にパレット32を介して荷
物34が多段に積まれている状態を示す。この状態を静
止摩擦係数μa,μb,μcに応じて、図2の右側のいず
れかの状態に分類する。右側上部のモデルは荷物34間
の摩擦係数μcが、荷物34とパレット32との間の摩
擦係数μbよりも大きいので、多段に積まれた荷物34
は1つのまとまったブロックとして振る舞い、棚30と
パレット32との間の滑り運動(摩擦係数μa)とパレッ
ト32に対する荷物34の滑り運動(摩擦係数μb)の
2種類を考慮する。図2の中段のモデルでは、荷物34
間の摩擦係数μcが最も小さいので、パレット32は棚
30に固定されているものとし、多段に積まれた荷物3
4をモデル化のため2層あるいは3層に積まれているも
のとして、荷物34間の滑りのみを考慮する。図2の下
段のモデルでは、パレット32と棚30との間の摩擦係
数μaが最も小さいものとし、棚30に対するパレット
32の滑り運動のみを考慮する。これらのモデルのいず
れを適用するかは、荷物34の種類やパレット32の有
無等に応じて個別に決定する。
【0019】図3に荷物34の滑り運動による応力の軽
減機構を示す。図の横軸は例えば層間の変位を示し、縦
軸は荷物から棚へのせん断応力を示すものとする。変位
が小さい間、荷物34やパレット32は棚30と一体で
あるように振る舞うので、この間は物品から棚に及ぼさ
れるせん断応力は変位に比例して増大する。そしてせん
断応力が静止摩擦力に達すると物品は棚に対して滑り始
め、以降は動摩擦力がせん断応力の上限となる。図2の
ように物品を多層にモデル化する場合、摩擦係数の小さ
な面の上側の物品が先に滑り始め、次いで摩擦係数の大
きな面の上側の物品も滑り始めることになる。この場
合、摩擦係数の小さな面が下の面であれば、物品が滑り
始めることによって、上側の面に働くせん断応力が減少
し、上側の面での滑りが発生するのがより遅くなる。逆
に摩擦係数が小さい面が上側の面であれば、上側の面で
まず滑りが始まり、これによって下側の面に加わるせん
断応力が減少して、下側の面での滑りが始まるのが遅く
なる。棚に対する物品の滑りが始まることにより、物品
が棚に及ぼすせん断応力が減少し、この時点でラック4
が降伏域に達していないように構成部材を算定すれば、
ビル式ラック2の倒壊等を防止することができる。
【0020】図4に地震応答解析のアルゴリズムを示
す。図1に示したように、ビル式ラック2を1つのラッ
ク4に単純化し、有限要素法により1次固有周期Tを求
め、同様にラック4の変形を有限要素法で求めて、層剛
性kiを求める。そして求めた層剛性kiを用いて、1次
減衰比を常用値等に仮定して1次減衰係数Ciを求め
る。これによってラック4は串団子モデルに変換され、
水平方向の運動のみを考慮することにより、台車モデル
7へと単純化される。有限要素法による層剛性kiの算
出では、地震波の振幅が小さいものとして、各物品が棚
に固定されて滑らないものと仮定した。台車モデル7で
は、棚とパレットの間の滑りやパレットと荷の間の滑
り、あるいは荷と荷との間の滑りを考慮し、これらの接
触面のうちで摩擦係数の小さな面を複数面取り出し、こ
の面での滑りを考慮する。この結果、棚に対するパレッ
トと荷物の関係は図1の下部右側の、台車20に対する
物品16,18の関係に簡単化される。そして静止摩擦
係数や動摩擦係数は、収容する物品の種類に応じて定め
る。
【0021】次に過去の実際の地震の波形を用いて、台
車モデル7の地震波に対する応答をシミュレーションす
る。シミュレーションには例えば機構解析を用い、地震
波応答に用い得る解析ソフトも市販されている。以下で
は、ラック4の高さを30mとし、ラック4での水平繋
ぎの数に応じて7層で構成されているものとする。なお
ラック4の、自動倉庫としての実際の段数は17段であ
る。またラック4の自重は40t、物品重量は180t
とした。摩擦係数は種々の物品に対する経験値から
(0.4,0.3)〜(0.2,0.1)の範囲を考慮し、
()内の先頭の0.4や0.2は静止摩擦係数で、後の
0.3や0.1は動摩擦係数である。シミュレーションで
は、簡単のため、棚に対して2層の物品が載置され、棚
と第1層の摩擦係数も、第1層と第2層との摩擦係数も
等しいものとした。また有限要素法により得られたラッ
ク4の1次固有周期Tは1.26秒で、有限要素法で得
られた層剛性係数kiは表1の通りである。ただし有限
要素法に代えて、他の方法により1次固有周期や層剛性
係数を求めても良い。
【0022】
【表1】有限要素法で求めた層剛性係数層数 層剛性係数(tf/cm) 7 6 6 7 5 8 4 10 3 15 2 30 1 100
【0023】シミュレーションに用いた地震波の最大加
速度を表2に示す。これらのうちで最大の加速度はEI
Centro地震の南北方向(NS)の地震波で、この地震波
に耐えることをビル式ラック2の設計目標とする。そこ
で得られた台車モデル7に対して、表2の各地震波を加
えた際の、層せん断応力や最大層間変位や最大転倒モー
メント等をシミュレーションで求めた。また棚に対する
パレットや荷物の運動を調べるため、棚に対する荷物の
相対変位や相対速度や相対加速度を求めた。
【0024】
【表2】地震波の種類地震波 方向 最大加速度(gal) EICentro NS 341.7 (1940) EW 210.1 Taft NS 152.7 (1952) EW 175.9 八戸 NS 225.0 (1968) EW 182.9
【0025】シミュレーションで求めた最大層せん断応
力等に耐えるようにラック4の各部材を算定し、必要に
応じて建築基準法に準拠した2次設計等を行い、ビル式
ラック2を設計する。なおこれらのシミュレーションは
ビル式ラック2を設計する都度行う必要があるのではな
く、応力等のデータをデータベース化し、類似のラック
に対しては別のシミュレーションで得られた結果を流用
して構成部材を算定しても良い。また、種々のシミュレ
ーションの結果、地震波の大きさがある値を越えると、
ビル式ラック2の揺れ方(層せん断応力等)がほぼ一定
となることが判明した。したがって、この境界値を越え
る地震波に耐え得るビル式ラック2を設計する場合で
も、境界値の地震波に耐え得るラックと同様に構成部材
を算定しても良い。
【0026】図5,図6にEICentro地震のNS波に対
するシミュレーション結果を示す。図5は各物品が棚に
固定されて、棚と一体であると仮定した場合のせん断応
力を1とし、これとの比を示す。摩擦力を(0.4,0.
3)とし、減衰比を0.02とすると、摩擦力が十分大
きく物品が滑らないが、減衰比が0.05である場合
と、ほぼ同等のせん断応力となる。また摩擦力を(0.
2,0.1)とし減衰比を0.02とすると、摩擦力が十
分大きく、減衰比が0.1〜0.15の場合と、ほぼ同等
の結果となる。なお摩擦係数を(0.2,0.1)からよ
り小さくしても、せん断応力はあまり低下しなかった。
物品のラックに対する滑りによるせん断応力の減少は、
層の位置とは余り関係せず、どの層でも滑りが無い場合
の50〜80%の範囲となった。言い換えればラックに
対する物品の滑りを考慮することにより、物品を真の重
量の50〜80%の固定重量(ラックに固定された重
量)と見なして良いことが分かる。
【0027】図6に、2つの摩擦係数の条件での、棚に
対する物品の最大変位を層毎に示す。摩擦係数を(0.
4,0.3)と仮定すると、第5層までは物品の滑りが
EICentro地震のNS波でもほとんど生じず、物品の滑
りは第6層と第7層に集中した。それでも図5に示した
ように、物品全体からラックに働くせん断応力は約20
%減少した。摩擦係数を(0.2,0.1)とすると、物
品の滑りは第4層付近から顕著になり、これに伴って図
5に示したように、物品からラックに働くせん断応力は
60%〜60%弱に減少した。図6から明らかなよう
に、ラック4のうちで滑りが生じるのは主として高層部
であり、低層部では物品の滑り運動がないものと仮定し
ても良い。
【0028】以上のようにして、ラックに加わる最大水
平応力(最大せん断応力)が求まると、これに耐えるよ
うにラックの各構成部材を算定し、必要に応じて2次設
計等を行い、実際のビル式ラックを建築する。実施例の
ビル式ラックの特徴を、以下に列記する。 1) ラックに対する物品の滑りも考慮して、過去の地震
波に対する応答をシミュレーションし、このシミュレー
ション結果に基づいて、構成部材を算定してある。 2) ラックの棚に対する物品の滑りを考慮して保有水平
耐力を定めてある。このため、実際の耐震性の程度が明
らかで信頼性があり、また過剰な耐震性が不要なので軽
量かつ低コストになる。 3) 複数層に積まれた物品相互の滑りも考慮してあるの
で、耐震性をより正確に評価して構成部材を算定したビ
ル式ラックが得られる。 4) これらの結果、ビル式ラックの総重量の大部分を占
める収容物品からの水平応力に対して、必要な水平耐力
を20〜50%削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例でのビル式ラックのモデル化の手順を
示す工程図
【図2】 実施例での荷物とパレットのモデル化を示す
【図3】 実施例での、ビル式ラックの倒壊防止メカニ
ズムを示す特性図
【図4】 実施例での地震応答解析のアルゴリズムを示
すフローチャート
【図5】 実施例での、地震応答解析の結果を示す特性
図で、荷滑りによるせん断応力の減少を示す
【図6】 実施例での解析結果を示す特性図で、層別の
荷の最大変位を示す
【符号の説明】
2 ビル式ラック 4 ラック 7 台車モデル 8 質点 10 弾性リンク 16,18 物品 20 台車 22 駆動源 30 棚 32 パレット 34 荷物

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性体により結合された複数の質点と、
    各質点に摩擦力で保持された収容物品とのモデルにラッ
    クの設計を変換するとともに、ラックの自重を前記の各
    質点に固定加重として分配し、次いで該モデルに地震波
    を加えた際の応答をシミュレーションすることによりラ
    ック各部に加わる応力を求め、該応力に耐えるようにラ
    ックの構成部材を算定し、該算定した構成部材により構
    築したビル式ラック。
  2. 【請求項2】 前記物品を、ラックの棚上に第1の摩擦
    係数で載置された第1の物品と、第1の物品上に第2の
    摩擦係数で載置された第2の物品との、少なくとも2層
    の物品としてモデル化して構成部材を算定したことを特
    徴とする、請求項1のビル式ラック。
  3. 【請求項3】 ビル式ラックの保有水平耐力を、ラック
    の棚に固定された物品と収容物品を見なした際の収容物
    品から棚への水平応力の50〜80%とビル式ラックの
    自重による水平応力との和に耐えるものとしたことを特
    徴とする、請求項1または2のビル式ラック。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009146433A (ja) * 2005-06-16 2009-07-02 Sekisui Chem Co Ltd 耐震性能提示システム
JP2019108212A (ja) * 2017-12-19 2019-07-04 清水建設株式会社 ラックの免震構造

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