JP2000311648A - イオン注入方法およびイオン注入装置 - Google Patents

イオン注入方法およびイオン注入装置

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JP2000311648A
JP2000311648A JP2000044019A JP2000044019A JP2000311648A JP 2000311648 A JP2000311648 A JP 2000311648A JP 2000044019 A JP2000044019 A JP 2000044019A JP 2000044019 A JP2000044019 A JP 2000044019A JP 2000311648 A JP2000311648 A JP 2000311648A
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ion implantation
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oxide film
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Atsushi Murakoshi
篤 村越
Kyoichi Suguro
恭一 須黒
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】試料表面から浅い領域にイオンを均一に注入す
ること。 【解決手段】引出し電極および後段加速器を備えたイオ
ン注入装置を用いたイオン注入方法において、後段加速
器の印加電圧を、引出し電極の印加電圧よりも高く設定
することによって、試料表面から浅い領域にイオンを均
一に注入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は均一なイオン注入を
可能にするイオン注入方法およびイオン注入装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】半導体基板に不純物原子を導入する方法
の一つとしてイオン注入方法が知られている。イオン注
入方法によれば、目標とする領域に導入するべき不純物
原子の濃度および深さを精度良くコントロールできるの
で、現代では半導体装置の製造には不可欠な要素技術と
なっている。従来のイオン注入装置の一つとして、イオ
ン源チャンバー内で生成された複数種のイオンを加速し
ながら質量分析器に導入するための引出し電極と、質量
分析器にて質量分析され、スリットにて取り出された所
望の質量のイオンを最終加速度まで加速する後段加速器
とを備えたものがある。加速電圧の制御は、引出し電極
による加速と後段加速器による加速とによってなされ
る。例えば、加速電圧120KeVでもって試料にイオ
ンを注入する場合には、「引出し電極による最大加速」
+「後段加速器による加速」という組合せで行われる。
ここで、後段加速器による加速は、あくまでも引出し電
極による最大加速で不足した分を補助するものにすぎ
ず、後段加速器による加速は引出し電極による最大加速
よりも小さい。引出し電極による最大加速の方を大きく
する理由は、イオンビームを効率良く輸送させて注入工
程におけるスループットを高めたり、イオンビーム電流
量を一定量確保するためである。
【0003】また、加速電圧5keVでもって試料にイ
オンを照射する場合には、引出し電極による加速だけ、
または「引出し電極による加速・後段加速器による減
速」といういわゆる加速減速(accel・decce
l)方式がとられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】先ず、本発明の動機付
けとなった本発明者等が見出した従来のイオン注入方法
・装置の問題点について説明する。上述した従来の加速
電圧の制御方法を用いた場合、試料にイオンを均一に注
入することは困難であることが明らかになった。その理
由は、従来の加速電圧の制御方法は、いかに効率良くイ
オンビームを輸送するかという観点での制御方法である
からだと考えられる。また、試料表面から浅い領域にイ
オンを注入する場合、イオン注入量および活性なイオン
の濃度が低下し、設計通りの不純物濃度を有する浅い拡
散層を形成することが困難であることも明らかになっ
た。上述の如く、従来のイオン注入による不純物導入技
術では、試料にイオンを均一に注入することが困難であ
ったり、試料表面から浅い領域にイオンを注入する場
合、イオン注入量および活性なイオンの濃度が低下する
という問題があった。本発明は上記事情を考慮してなさ
れたもので、その目的とするところは試料にイオンを均
一に注入できるイオン注入装置、イオン注入方法を提供
することにある。また、本発明の他の目的は、イオン注
入量および活性なイオンの濃度低下を抑制出来るイオン
注入装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、第1の
電極(引出し出し電極)および第2の電極(後段加速
器)を備えたイオン注入装置を用いた、試料にイオンを
均一に注入できるイオン注入方法を提供すことにある。
上記目的を達成するために、本発明に係るイオン注入方
法は、内部で複数種のイオンが生成される容器と、この
容器内から前記複数種のイオンを引き出す第1の電極
と、前記複数種のイオンのうち所望のイオンを選別する
選別部と、前記所望のイオンを加速する第2の電極とを
備えたイオン注入装置を用いたイオン注入方法におい
て、前記第2の電極の印加電圧を前記第1の電極の印加
電圧よりも高く設定することを特徴とする。本発明にお
いて、第2の電極で加速されたイオンからなるイオンビ
ーム中の最大電流密度をDmax、イオンビームの電流量
をI、イオンビームの幅をW、I/W で表される平
均流密度をρとした場合に、ρ≧Dmax/2の関係を満
たすことが好ましい。ここで、イオンビームの幅は、イ
オンが注入される試料表面における幅である。本発明者
らの研究によれば、内部で複数種のイオンが生成される
容器と、この容器内から複数種のイオンを引き出す第1
の電極と、複数種のイオンのうち所望のイオンを選別す
る選別部と、所望のイオンを加速する第2の電極とから
構成されたイオン注入装置を用いたイオン注入方法にお
いて、第1の電極の印加電圧よりも第2の電極の印加電
圧を高く設定すると、試料にイオンを均一に注入できる
ことが明らかになった。特に第2の電極で加速されたイ
オンからなるイオンビーム中の最大電流密度をDmax、
イオンビームの電流量をI、イオンビームの幅をW、I
/Wで表される平均流密度をρとした場合に、ρ≧D
max/2に設定するとその効果は高くなることが分かっ
た。したがって、本発明によれば、試料にイオンを均一
に注入できるようになる。
【0006】また、本発明では、前記試料と、前記所望
のイオンのビームを収束する機能を有する収束部のうち
で前記試料に最も近いものとの間の距離をL、前記試料
からL/10だけ離れた位置における前記ビームの幅を
Wp、前記試料からL/2だけ離れた位置における前記
ビームの幅をWhとした場合、Wh/Wpの値が実質的
に1になるように、前記第1および第2の電極に印加す
る電圧を設定することを特徴とする。本発明では前記試
料が半導体基板であることが望ましい。本発明により、
所望のイオンを半導体基板に注入し、所望の拡散層を形
成することができる。そのとき本発明のイオン注入方法
ではでは深さが30nm以下の拡散層を形成することが
できる。この拡散層は、MOSトランジスタのソース/
ドレイン拡散層に利用できる。イオン注入の望ましい形
態として、所望のイオンがボロンイオンで、所望の加速
エネルギーは500eV以下、前記ボロンイオンのドー
ズ量は2×1013cm−2以下である場合がある。更
に、前記所望の加速エネルギーは200eV以上である
とよい。また、前記所望のイオンは砒素イオン、前記所
望の加速エネルギーは3keV以下、前記砒素イオンの
ドーズ量は2×1013cm−2以下であってもよい。
【0007】また本発明は、試料に所望のイオンを注入
するイオン注入装置本体と、前記イオン注入装置本体と
接続され、前記試料の表面に形成された酸化膜を除去す
る酸化膜除去装置とを備えたイオン注入装置を用いたイ
オン注入方法であって、前記酸化膜除去装置により前記
試料の表面に形成された酸化膜を除去した後、前記イオ
ン注入装置本体により前記試料に前記所望のイオンを注
入するものである。このとき、前記酸化膜の除去の開始
から、前記所望のイオンの注入の終了までの工程を減圧
下で行うとよい。また、前記イオン注入装置本体は、内
部で複数種のイオンが生成される容器と、前記容器内か
ら前記複数種のイオンを引き出す第1の電極と、前記複
数種のイオンのうち所望のイオンを選別する選別部と、
前記所望のイオンを加速する第2の電極と、前記加速さ
れたイオンが注入される試料を設置し、前記酸化膜除去
装置と接続された試料室とを含むものが望ましい。この
とき、前記所望のイオンを所望の加速エネルギーでもっ
て試料に注入するときに、前記第1の電極により得られ
る前記所望のイオンの最大加速エネルギーが前記所望の
加速エネルギーの半分よりも大きい場合、前記第2の電
極の印加電圧を前記第1の電極の印加電圧よりも高く設
定するとよい。また、前記酸化膜の除去の開始から、前
記所望のイオンの注入の終了までの工程を減圧下で行う
ことが望ましい。
【0008】また、本発明の他の目的は、イオン注入量
および活性なイオンの濃度を低下を抑制できるイオン注
入装置を提供することにある。上記他の目的を達成する
ために、本発明に係るイオン注入装置は、試料に所望の
イオンを注入するイオン注入装置本体と、前記イオン注
入装置本体と接続され、前記試料の表面に形成された酸
化膜を除去する酸化膜除去装置と、前記加速されたイオ
ンを前記試料に注入する前に、前記試料の表面に形成さ
れた酸化膜を除去する酸化膜除去装置とを備えているこ
とを特徴とする。本発明において、酸化膜除去装置の具
体的な構成例としては、加速されたイオンを試料に注入
する前に、試料表面に形成された酸化膜を除去するため
の洗浄室と、この洗浄室内で洗浄された試料を乾燥する
乾燥室と、試料室、洗浄室および乾燥室内に試料を搬送
する搬送装部と、試料室、洗浄室および乾燥室内の圧力
を制御する圧力制御部とから構成されたものがあげられ
る。ここで、試料室、洗浄室および乾燥室内の圧力は、
圧力制御部によって減圧下(1気圧未満)、好ましくは
133Pa以下、より好ましくは13.3Pa以下の減
圧下に制御する。本発明に係るイオン注入装置は、第1
の電極(引出し出し電極)および第2の電極(後段加速
器)を備えていても良いし、または第2の電極(後段加
速器)のみでも良い。
【0009】本発明者らの研究によれば、試料表面にイ
オンを注入する場合、特に基板表面から浅い領域にイオ
ンを注入する場合には、具体的には試料表面から50n
m以下の浅い領域にイオンを注入する場合には、試料表
面に形成された酸化膜は、予想以上にイオン注入量およ
び活性なイオンの濃度の低下を招く大きな要因であるこ
とが分かった。したがって、本発明によれば、試料表面
に形成された酸化膜を除去する酸化膜除去装置を試料室
に接続することによって、酸化膜の除去からイオン注入
の終了までの間に、試料表面に酸化膜が再形成されない
状態を形成することが可能となるので、イオン注入量お
よび活性なイオンの濃度の低下を抑制できるイオン注入
装置を実現できるようになる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら上述し
た問題を解決できる本発明の実施の形態を説明する。 (第1の実施の形態)図1は、本発明の第1の実施の形
態に係るイオン注入方法で使用するイオン注入装置を示
す模式図である。図中、1は内部で複数種のイオンが生
成されるイオン源チャンバーを示しており、このイオン
源チャンバー1にて生成された複数種のイオンは、引出
し電極2により加速されながらイオン源チャンバー1の
外に引き出された後、分離電磁石からなる質量分析器3
にて質量分析される。ここで、引出し電極2は、イオン
をイオン源チャンバー1から引き出す機能および引き出
した後にイオンを加速する機能を有しているが、イオン
を加速する機能はなくても良い。続いて質量分析器3に
て質量分析された複数種のイオンのうち、所望のイオン
のみがスリット4にて取り出され、この所望のイオンは
加速電極からなる後段加速器5によって最終加速度まで
加速され、所望のイオンからなるイオンビームが得られ
る。このイオンビームは、注入量が一様になるように、
四極レンズ6,7によってX方向、Y方向に走査されな
がらウェハや基板等の試料9に照射される。なお、図
中、8はファラデーカップを示し、10はウェハホルダ
ーを示している。
【0011】このようなイオン注入装置においては、イ
オン源チャンバー1によるイオンビームの電流量の調
整、引出し電極2によるイオンビームの広がり(幅)の
調整、分離電磁石3およびスリット4によるイオンの選
別調整、引出し電極2および後段加速器5による加速電
圧の調整、四極レンズ6,7による注入角度の調整によ
って、実際に注入されるイオンの制御がなされる。本実
施の形態のイオン注入方法の特徴は、従来方法とは逆
に、後段加速器5の加速電極の印加電圧を、引出し電極
2の印加電圧よりも高く設定する。例えば、加速電圧2
00KeVでもって試料9にイオンを注入する場合、引
出し電極2による最大加速電圧は50keV、後段加速
器5による最大加速電圧は150keVとなる。ここ
で、引出し電極2による最大加速電圧は100KeV
(=200keV/2)よりも高く設定でき、例えば1
30keVまで設定できる。従来はスループットを高め
る等の目的のために、上記の例の場合には引出し電極2
による最大加速電圧を130keVに設定する。すなわ
ち、本発明では、所望のイオンを所望の加速エネルギー
でもって試料に注入するときに、引出し電極2により得
られる所望のイオンの最大加速エネルギーが、所望の加
速エネルギーの半分よりも大きい場合、または引出し電
極2の性能範囲外の場合には、後段加速器5の印加電圧
を引出し電極2の印加電圧よりも高く設定する。
【0012】以下、本実施の形態のイオン注入方法につ
いて詳細に説明する。まず、イオン源チャンバー1内に
BFガスを導入し、アーク放電により複数種類のイオ
ンを生成する。次に複数種のイオンを引出し電極2によ
り引き出し、分離電磁石3により質量分離し、スリット
4にて11イオンだけを取り出す。この後、11
イオンを後段加速器5で最終エネルギーまで加速し、
イオンビームを得る。このイオンビームを四極レンズ
6,7によりX方向、Y方向に走査し、試料9の表面に
集束点を持つように集束させるとともに、試料9の表面
に均一にイオンビームが照射されるようにウェハーホル
ダー10を回転させながら上記走査を行う。このとき、
試料9はウェハホルダ10によりイオンビームの入射角
度が7度となるように傾けられている。このような方法
で、80keVの加速電圧、5×1015cm−2のド
ーズ量でもって試料9に11 イオンを注入した。
この加速電圧の場合には、引出し電極2による加速だけ
では不足なので、後段加速器5によっても加速する必要
がある。ここで、従来方式の加速電圧の分配は、例えば
引出し電極2の加速電圧を50keV、後段加速器5の
加速電圧を30keVとするように、引出し電極2の加
速電圧を後段加速器5の加速電圧よりも高く設定する。
【0013】本発明者らは、このような従来方式の加速
電圧の分配でもって、イオンビーム電流量を4mA、8
mA、12mAと3条件に分けて注入してみた。イオン
ビーム電流量は、イオン源チャンバー1におけるアーク
放電の条件を変化させて(イオン源チャンバー1と引出
し電極2との隙間間隔等の変化も含む)所望の電流量を
得ている。イオンビーム電流量が4mAの試料をS1、
イオンビーム電流量が8mAの試料をS2、イオンビー
ム電流量が12mAの試料をS3とする。試料S1〜S
3は8インチシリコンウェハである。このような条件で
イオン注入した各試料についてTherma Wave
で注入直後のダメージ量を定量化した。Therama
Wave法は、試料に赤外線を照射し、イオン注入に
よって形成された結晶欠陥が存在すると、通常の結晶の
振動では無い格子の振動が現れ、これを赤外線の反射に
伴う、赤外線の反射強度から数値化する方法である。次
に注入後の試料S1,S2,S3を窒素雰囲気中で90
0℃、1時間の熱処理を行い、4端子法によるシート抵
抗測定を試料面内121点測定し、平均値と1σを算出
した。この結果を図6に示した表1に示す。
【0014】図6に示した表1から、イオンビーム電流
量によらず、熱処理後におけるシート抵抗の値がほぼ3
9Ω/□であることから、イオンビーム電流量の違いに
よる注入誤差はほとんどないことが分かる。一方、面内
均一性である1σの値を見てみると、イオンビーム電流
量が低いほどその平均値も低く、バラツキが小さくなっ
ていることが分かる。12mAの注入の場合には約0.
814%であるのに対し、4mAとイオンビーム電流量
を1/3にした場合には、シート抵抗のバラツキが0.
364%と1/2以下になっていることが分かる。ま
た、イオン注入直後におけるTherma Waveの
シグナルの値を見てみると、イオンビーム電流量が低い
ほど、その値も下がっており、イオン注入における注入
ダメージ量が低くなっていることが分かる。このよう
に、イオンビーム電流を下げることにより、注入均一性
を高くでき、また注入ダメージを下げることができるこ
とが分かった。しかしながら、ビーム電流を下げるとい
うことは、イオンビームの幅をも変化させていることが
予想される。そこで、本発明者らは、イオンビームの幅
を変化させその影響を調べてみた。
【0015】ここでは先の注入条件である11
加速電圧80keVで、ドーズ量5×1015
−2、イオンビーム電流量8mAの条件で注入した。
イオン源チャンバー1におけるアーク放電の強さを固定
し、試料S4,S5,S6では従来方式(加速減速方
式)のように、引出し電極2の印加電圧(引出し電圧)
を50keV、後段加速器5の加速電圧(後段加速電
圧)を30keVとした。また、図1における質量分離
器3とスリット4との隙間間隔を変化させて、イオンビ
ームの幅を変化させた。また、試料S7は引出し電圧を
40keV、後段加速電圧を40keVとしている。試
料S8は引出し電圧を30keV、後段加速電圧を50
keVとしている。試料S9は引出し電圧を20ke
V、後段加速電圧を60keVというように、引出し電
圧を下げて、後段加速電圧を高めることによりイオンビ
ーム幅の変化を狙っている。これらの試料S7,S8,
S9における質量分離器3とスリット4の隙間間隔は8
7mm固定としている。これらの試料S4〜S9に行っ
たイオン注入の結果を図7に示した表2に示す。従来方
式のように引出し電圧を50keV、後段加速電圧を3
0keVとし、分離電磁石3とスリット4との隙間(後
段Gap)を変化させた場合には、イオンビーム幅(h
alf/peak)をみる限り若干ながら変化は見られ
る。ここでのイオンビーム幅は、以下のように定義され
たものである。すなわち、図2に示すように、試料と、
イオンビームを収束する機能を有する機構(収束部:図
中、CONVERGING PORTIONと記載)の
うちで試料(図中SANPLEと記載)に最も近いもの
との間の距離をLとした場合、試料からL/10だけ離
れた位置におけるビーム幅Wpで、試料からL/2だけ
離れた位置におけるビーム幅Whを割った値(Wh/W
p)で定義されたものである。収束部は、例えば四極レ
ンズや偏光レンズである。
【0016】一方、シート抵抗のバラツキを見る限りに
おいては、さほど変化は見られていない。したがって、
後段加速器5に入る前のイオンビームの集束に対して
は、ほとんど寄与していないことが分かる。逆に、引出
し電圧を下げて、後段加速電圧を上げていくと、イオン
ビームの幅が大きく変化しており、後段加速電圧の増加
に伴いイオンビームの幅も小さくなっていることから、
イオンビームの集束作用が大きいことがよく分かる。ま
た、イオン注入後におけるTherma Wave測定
でも、後段加速電圧が高いほど値が小さくなっており、
ダメージ量が変化していることが分かる。さらに、熱処
理後におけるシート抵抗のバラツキも、後段加速電圧の
増加に伴い小さくなっていることが分かる。引出し電圧
が50keV、後段加速電圧が30keVの従来方式の
場合には、シート抵抗の面内バラツキは0.77%であ
るのに対し、引出し電圧を20keV、後段加速電圧を
60keVと、後段加速電圧/引出し電圧の比率を上げ
ると、シート抵抗の面内バラツキは0.38%と、従来
の約1/2まで小さくできていることが分かる。このよ
うに後段加速電圧/引出し電圧の比率を上げていくこと
により、イオン注入時のダメージを少なくすることがで
き、かつ熱処理後における不純物の活性化のバラツキを
低減できることが示された。
【0017】しかしながら、引出し電圧よりも後段加速
電圧を増加させることによって、イオンビームの幅が小
さくなっていることから、イオンビーム内における電流
密度というものがバラツキの低減化に寄与している可能
性が考えられる。そこで、本発明者らは、図3に示すイ
オン注入装置を用いて、加速電圧5keV、ドーズ量5
×1014cm−2でもって11 の注入を行って
みた。引出し電極2による最大加速電圧および後段加速
器5による最大加速電圧は、図1に示したイオン注入装
置のそれと同じである。なお、図1と対応する部分には
図1と同一符号を付してある。また、図において、11
は偏光レンズ、12はプラズマシャワー、13はビーム
ストップ(プロファイラー)、14は試料室を示してい
る。プラズマシャワー12は、注入イオンとは逆の電荷
を持った荷電粒子を試料に与えることによって、注入イ
オンによる試料の帯電を中和し、試料に形成された絶縁
膜の絶縁破壊などの不都合を解消するためのものであ
る。このイオン注入装置を用いた11 の注入方法
は、図1のイオン注入装置を用いた11B+ のそれと同
じである。ただし、イオンビームの最大電流密度が0.
05mA/cmとなるように、スリット4と後段加速
器5との隙間間隔を調整した。
【0018】試料S10では、加速電圧を引出し電圧だ
けの5keVとし、イオンビーム電流量を2mAとして
ビーム幅約111mmを得た。試料S11では、加速電
圧を引出し電圧だけの5keVとし、イオン源チャンバ
ー1でのアーク放電を変化させて、イオンビーム電流量
を1mAとしてビーム幅97mmを得た。また、試料S
12では、引出し電圧を3keVとし、後段加速電圧を
2keVとし、イオンビーム電流量を1mAとしてビー
ム幅889mmを得た。試料S13では、引出し電圧を
2keVとし、後段加速電圧を3keVとし、イオンビ
ーム電流量を1mAとしてビーム幅59mmを得た。イ
オン注入後、各試料に熱処理として900℃、30秒の
RTAを施してイオンの活性化を行い、その濃度を評価
してみた。こらの試料S10〜S13の評価結果を図8
に示した表3に示す。図8に示した表3から5keVと
いう加速電圧を引出し電極2だけで得る場合には、イオ
ンビーム電流を下げた方が、もしくはイオンビームの幅
を小さくした方が、イオン注入直後におけるTherm
a Waveの値および熱処理後におけるシート抵抗の
面内均一性が低くなっているが、劇的な改善には至って
いないことが分かる。
【0019】また、図8に示した表3から5keVとい
う加速電圧を引出し電極2および後段加速器5を用い、
引出し電極2よりも後段加速器5の印加電圧を高くする
ことにより、イオン注入後のTherma Waveお
よび熱処理後のシート抵抗の面内均一性は、従来方式で
ある引出し電極2だけによる加速の場合よりも、良い結
果が得られていることが分かる。しかし、従来方式のよ
うに引出し電極2よりも後段加速器5の印加電圧を低く
した場合には、Therma Waveおよび熱処理後
のシート抵抗の面内均一性は良くないことが分かる。さ
らに、図8に示した表3から従来方式のように引出し電
極2だけで加速した場合には、シート抵抗の内面バラツ
キは0.65%であるのに対し、5KeVの加速電圧を
引出し電極2に2keV、後段加速器5に3keVと分
配して加速した場合には、シート抵抗の面内バラツキが
0.44%と、従来方式よりも約25%小さくできるこ
とが分かる。少なくともイオンビームの幅によっては、
注入バラツキというものを変化させることができること
を示している。このようにこれまでの説明から、引出し
電極2よりも後段加速器5の印加電圧を高くすることに
より、イオン注入後におけるダメージを試料に均一にす
ることができ、かつ熱処理におけるイオンの活性化を均
一にすることが可能となることが分かる。これは、後段
加速器5の加速比率を上げることにより、よりイオンビ
ームを絞り易くできたことに起因すると考えられる。
【0020】図8に示した表3のイオンビームの広がり
幅とイオンビーム電流の項目を見てみると、従来方式の
ように引出し電極2だけによる加速の場合は、イオンビ
ーム電流が1mAの場合で3イオンビームの広がり幅は
97mmである。また、このときの最大電流密度は0.
04mA/cmであり、(イオン電流量)/(ビーム
の広がり幅)2 で表される平均電流密度は0.011
mA/cmと、最大電流密度は約4倍程度となってい
る。一方、本実施の形態のように引出し電極2および後
段加速器5で加速し、かつ引出し電極2の印加電圧より
も後段加速器5の印加電圧を高くした場合には、イオン
ビーム電流が1mAの場合でイオンビームの広がり幅は
59mmである。また、このときの最大電流密度は0.
05mA/cm であり、(イオン電流量)/(ビー
ムの広がり幅)2 で表される平均電流密度は0.02
9mA/cm と、最大電流密度は平均電流密度の約
1.72倍となっている。すなわち、極端にビーム電流
密度が高いようなイオンビームではなく、非常にむらの
ないイオンビームが形成されていることが分かった。こ
れは、印加電圧の分配によってスポットの生成を制御す
ることができ、引出し電極2の印加電圧よりも後段加速
器5の印加電圧を高めると、イオンビームの集束効率が
高くなって注入均一性が改善されたからだと考えられ
る。
【0021】なお、ここでは最大電流密度は平均電流密
度の約1.72倍であるが、本発明者らの研究によれ
ば、2倍以下であれば非常にむらのないイオンビームを
形成できることが分かった。このように引出し電極2お
よび後段加速器5の印加電圧の分配によって、ビーム幅
が大きく変化してくることが良く分かる。ここまではイ
オン注入装置におけるハード自身の観点から説明してき
たが、次にいかにハードをコントロールするかという観
点から説明する。通常、イオン注入装置のコントロール
シーケンスは、おおよそ以下のようになっている(シー
ケンス1〜シーケンス12)。 シーケンス1:所望イオンのガス導入 シーケンス2:アーク放電開始(アーク電圧印加、アーク電流ON) シーケンス3:ソースマグネットON シーケンス4:質量分離器の電流を設定 シーケンス5:設定加速電圧 90keV未満→後段加速:0keV 90keV以上→後段加速:(トータル加速電圧−引出し電圧) シーケンス6:引出し電極とイオン源引出し口との隙間距離の調整 →最大ビーム電流が得られる距離でピークを取る シーケンス7:引出し電極とイオン源引出し口との横方向距離の調整 →最大ビーム電流が得られる距離でピークを取る シーケンス8:アナライザーマグネットの電流調整 →最大ビーム電流が得られるところでピークを取る シーケンス9:アーク電流の調整 シーケンス10:所望のイオンビーム電流が得られたか? Yes→シーケンス11へ No →シーケンス6へ シーケンス11:ビームプロファイル測定 シーケンス12:調整終了 このような従来のコントロールシーケンスでは、加速電
圧の比率、ビームプロファイル測定で得られたビームの
幅および最大電流密度をコントロールすることはできな
い。
【0022】そこで、本実施の形態では、 シーケンス1:所望イオンのガス導入 シーケンス2:アーク放電開始(アーク電圧印加、アーク電流ON) シーケンス3:ソースマグネットON シーケンス4:質量分離器の電流を設定 シーケンス5:設定加速電圧の設定 →引出し電圧=(設定加速電圧/2)×40% →後段加速電圧=設定加速電圧−引出し電圧 シーケンス6:引出し電極とイオン源引出し口との隙間距離の調整 →最大ビーム電流が得られる距離でピークを取る シーケンス7:引出し電極とイオン源引出し口との横方向距離の調整 →最大ビーム電流が得られる距離でピークを取る シーケンス8:アナライザーマグネットの電流調整 →最大ビーム電流が得られるところでピークを取る シーケンス9:アーク電流の調整 シーケンス10:所望のイオンビーム電流が得られたか? Yes→シーケンス11へ No→シーケンス6へ シーケンス11:ビームプロファイル測定(ビーム幅、最大電流密度) 平均電流密度算出=(シーケンス10で得られたビーム電流量)/ (ビーム幅)2 シーケンス12:最大電流密度が平均電流密度の2倍以下か? Yes→シーケンス14へ No→シーケンス13へ シーケンス13:設定加速電圧の再設定 →引出し電圧=(設定加速電圧/2)×(40%+(再設定回数) ×5%) ※ただし、再設定回数は最大10回までとする。10回目
でもシーケンス12においてNoの場合には、シーケン
ス1からやり直す。
【0023】 →後段加速電圧=設定加速電圧−再設定引出し電圧 →再設定後シーケンス6へ シーケンス14:調整終了 このようなコントロールシーケンスを使用すれば、シー
ケンス5の設定加速電圧の設定において、その値が変わ
ることによって、引出し電圧と後段加速電圧との比率を
調整、イオンビームの幅、および最大電流密度の値が変
わるので、これらのパラメータをコントロールすること
が可能となり、これによりこれまで説明してきたよう
に、注入均一性を向上させることができ、かつ注入量の
低下を招かないイオン注入が可能となる。 (第2の実施の形態)従来のイオン注入方法では、イオ
ン注入前にイオン注入装置とは物理的に分離した別の洗
浄装置で試料を洗浄している。しかし、試料表面の自然
酸化膜を除去しても、洗浄後からイオン注入までの間に
大気に試料が晒されてしまうために、試料の表面に自然
酸化膜が再度形成されてしまう。このような状況で、例
えば加速電圧500eV、ドーズ量2×1014cm
でもってボロンのイオン注入を行うと、厚さがわずか
2nm程度の自然酸化膜でも試料に対して影響を与えて
しまう。
【0024】加速電圧500eVでのボロンのイオン注
入の場合、最大濃度深さは約4nm程度のところに位置
する。しかし、試料表面の自然酸化膜の影響を受けて、
イオン打ち込みにおける最大濃度深さは、自然酸化膜よ
りの浅い領域に位置するようになってしまうので、本来
試料中に注入されるべきボロンの一部が自然酸化膜中に
取り込まれてしまう。その結果、所望のドーズ量未満で
もって試料中にボロンが注入されることになる。当然、
加速電圧の低エネルギー化に伴い、イオンの反射やスパ
ッタリングの効果により注入量は低下していく。ここ
で、加速電圧1keVの酸素のイオン注入の場合、シリ
コンのスパッタリングイールドはtilt角0°で約
0.2であり、酸素とボロンでほぼ同じ位のスパッタリ
ングイールドと考えると、イオン注入の際に生じる試料
の削れは0.01nm程度であり、イオン注入量の低下
はほとんど無視できると考えられる。しかしながら、実
際には、設定した注入量が2×1014cm−2である
のに対し、SIMSによるカウント(実測値)は1〜1
5×1014cm−2と、20%以上の注入量の低下が
見られている。これはイオン注入時の反射・スパッタリ
ングの影響だけでは無く、試料表面に形成されている自
然酸化膜の影響を受けていることを示唆している。
【0025】そこで、洗浄後からイオン注入までの間に
自然酸化膜が再形成されないようにして同様のイオン注
入を行って、イオン打ち込み量の低下を調べてみた。図
4は、洗浄後からイオン注入までの間に酸化膜を再形成
せずに、イオン注入を行えるイオン注入装置の模式図で
ある。なお、図3と対応する部分には図3と同一符号を
付してある。このイオン注入装置が図3のそれと異なる
点は、試料表面に形成されている自然酸化膜や熱酸化膜
等の酸化膜を除去し、試料室14と接続した酸化膜除去
装置20を備えていることにある。なお、本発明は、引
出し電極が無い後段加速器だけのイオン注入装置に対し
ても適用できる。この酸化膜除去装置20は、大きく分
けて、試料が待機する準備室21と、試料を搬送する機
構を備えた搬送室22と、前処理および酸化膜の除去を
行う処理室23と、試料の乾燥を行う乾燥室24とで構
成されている。準備室21と搬送室22と、準備室21
と処理室23、処理室23と乾燥室24、乾燥室24と
搬送室22、搬送室22と試料室14はそれぞれ接続
し、これらの間では試料の搬入または搬出が可能となっ
ている。準備室21内には試料を載せるテフロン製カセ
ット(以下、単にカセットという)25が設けられてい
る。図4には4つのカセット25が示されている。
【0026】試料およびそれを載せたカセット25は、
まず搬送クレーン26により準備室21から処理室23
内に搬送され、さらに処理室23の中に設置されている
石英ビーカー27内に設置される。このとき、ドライポ
ンプ28により搬送室22および処理室23内は13.
3Paまで減圧され、その後に窒素パージにより常圧に
戻されている。ここでは、搬送室22および処理室23
内の酸素分圧(酸素圧/(酸素圧+窒素圧))は133
Pa以下にしている。また、搬送クレーン26は、図示
しないレールによって各室内を移動できるようになって
いる。搬送部としてクレーン以外のものを使用しても良
い。次に配水管29から純水が石英ビーカー27に供給
され、試料およびそれを載せたカセット25は3分間水
洗される(前処理)。一方、この水洗の間に、200
(純水):1(弗酸)の割合となるように、弗酸供給ラ
イン30から薬品タンク31内の弗酸が、配水管29よ
り分岐した配水管32から純水がそれぞれ洗浄薬品攪拌
室33に供給され攪拌される。このとき、排水管34の
バルブ35aは閉じておく。次にバルブ35aを開いて
排水管34を介して純水を排水した後、バルブ35aを
閉じる。次に洗浄薬品攪拌室33で準備された200
(水):1(弗酸)の割合で混合された弗酸混合液(希
弗酸液)を、薬品供給ライン36から石英ビーカー27
に供給する。
【0027】ここで、試料の表面上には厚さ2nm程度
の自然酸化膜が形成されており、この自然酸化膜を除去
するために、試料およびカセット25を石英ビーカー2
7内の弗酸混合液に浸して1分間洗浄する。次にバルブ
35aを開いて排水管34を介して弗酸混合液を排水し
た後、バルブ35aを閉じ、続いて配水管29から純水
を石英ビーカー27に供給して、試料およびカセット2
5を10分間水洗する。次にバルブ35aを開いて排水
管34を介して純水を排水した後、搬送クレーン26に
より石英ビーカー27から試料を載せたカセット25を
引き上げる。次に搬送クレーン26により試料およびそ
れを載せたカセット25を窒素雰囲気下で乾燥室24内
に搬送する。乾燥室24内には100rpmで回転乾燥
する乾燥リンサー37が設置されており、この乾燥リン
サー37により試料およびカセット25を乾燥する。乾
燥室24内はカセット25が乾燥リンサー37に載置さ
れ回転が開始されると同時にドライポンプ28により1
3.3Paまで減圧される。次に搬送クレーン26によ
り搬送室23内に試料およびそれを載せたカセット25
を移動し、載置台38に載せる。このとき、搬送室23
は事前にドライポンプ28により13.3Paまで減圧
されている。
【0028】次に搬送ロボット39により搬送室23か
らウェハーホルダー8へと試料が減圧下で設置される。
この後、従来または第1の実施の形態と同様に減圧下で
試料にイオンを注入する。本実施の形態によれば、窒素
雰囲気下で試料が洗浄され、その表面の自然酸化膜が除
去され、さらに乾燥時からイオン注入の終了まで雰囲気
が減圧下に制御されるので、試料表面に自然酸化膜が再
度形成されることはない。したがって、注入量の低下を
効果的に防止できる。具体的な例をあげると、500e
Vの加速電圧、2×1014cm−2のドーズ量でもっ
て試料にボロンイオンを注入し、これをSIMSにより
評価したところ、そのカウントは1.9〜2×1014
cm−2であり、注入量の大幅な減少は見られなかっ
た。このように注入量の低下を効果的に防止できること
から、通常の大気搬送でイオン注入装置に試料をセット
した場合とは異なり、注入ばらつきの増加を抑制しなが
ら、試料表面から50nm以下の極めて浅い領域にイオ
ンを注入することが可能となる。また、以下に説明する
ように、試料表面の自然酸化膜は、熱処理後におけるボ
ロンの濃度、すなわち活性なボロンの濃度にも影響を与
える。
【0029】従来のイオン注入装置で、500eVの加
速電圧、2×1014cm−2のドーズ量でもって試料
にボロンイオンを注入しても、1〜1.5×1014
と20%以上の注入量の低下が見られる。このよ
うな注入量の低下は、1keV以下であれば同様に起こ
ることを確認した。素子の微細化に伴って拡散層の深さ
(接合深さ)は浅くなる。浅い拡散層を形成するために
は、加速電圧を低くする必要がある。しかし、上記のよ
うに低加速電圧の場合、イオン注入量は大きく低下する
ので、所望濃度の浅い拡散層を形成することは困難にな
る。さらに、上記試料をRTA装置を用いて、窒素雰囲
気中で900℃、30秒の熱処理を行うと、SIMSに
よるカウントでは5〜7×1013cm−2とさらなる
ボロン濃度の低下が見られた。SIMSでは、ボロン全
体の濃度、すなわち不活性および活性なボロンの濃度を
評価することになるので、本発明者らは、Hall測定
によって活性なボロンの濃度を評価したところ、その結
果は2×1013cm−2となり、活性なボロンの濃度
の低下も著しことが分かった。これに対して、本実施の
形態のイオン注入装置の場合、同じ条件で熱処理を行っ
ても、ボロン全体の濃度の低下はほとんど見られず、ま
た、活性なボロンの濃度の低下もほとんど見られなかっ
た。
【0030】これは、イオン注入時の試料表面の状態が
影響を及ぼしているものと考えられる。すなわち、従来
のイオン注入装置では、試料表面に自然酸化膜が形成さ
れた状態でイオンを注入するために、イオン注入の際に
自然酸化膜から酸素がノックオンしてしまい、熱処理時
に酸素が脱離する過程で誘起欠陥を生成し、この誘起欠
陥によってボロンの活性化が阻害されるとともに、酸素
と共にボロンも外方へ拡散するからだと考えられる。さ
らに、自然酸化膜の膜厚は試料表面の面内でばらつく。
これは、試料にイオンを均一に注入することを困難にさ
せる原因の一つであると考えられる。自然酸化膜の膜厚
のばらつきは、代表的には、0.3nm±0.1nmで
ある。なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるも
のではない。例えば、上記実施の形態では、ボロンのイ
オン注入について説明したが、本発明はリン等の他の不
純物のイオン注入にも適用できる。また、本発明の具体
的な適用例をあげると、図5に示すように、微細化の進
んだMOSトランジスタのエクステンションを有するソ
ース/ドレイン拡散層41を形成するためのイオン注入
があげられる。特に深さが30nm以下、かつ低不純物
濃度のソース/ドレイン拡散層41に対して有効であ
る。この場合、ソース/ドレイン拡散層41のコンタク
ト抵抗のバラツキを効果的に抑制できるようになる。な
お、図中、40はSi基板、42はゲート絶縁膜(酸化
膜)、43はゲート電極、44はゲート側壁絶縁膜(窒
化膜)をそれぞれ示している。ゲート電極43の構造
は、ポリサイドゲート構造またはメタルゲート構造の電
極が好ましい。
【0031】このようなソース/ドレイン拡散層をボロ
ンのイオン注入によって形成する場合、加速エネルギー
は200eV以上500eV以下、ボロンイオンのドー
ズ量は最大で2×1013cm−2以下とすると良い。
また、砒素のイオン注入によって形成する場合、加速エ
ネルギーは3keV以下、砒素イオンのドーズ量は最大
で2×1013cm−2以下とすると良い。また、本発
明は、MOSトランジスタのしきい値電圧を調整するた
めのイオン注入にも適用できる。この場合、しきい値電
圧(Vth)のばらつきを効果的に抑制できるようにな
る。また、本発明に係るイオン注入装置は第2の実施の
形態で説明した構成のものに限定されるものではなく、
要は酸化膜の除去の開始からイオン注入の終了までの間
に、酸化膜が再形成されない構成のものであれば良い。
さらに、試料は、通常のSi基板(Siウェハ)、SO
I基板(SOIウェハ)、さらにはSiGe等からなる
他の半導体基板(半導体ウェハ)であっても良い。その
他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実
施できる。
【発明の効果】以上述べた様に、引出し電極および後段
加速器を備えたイオン注入装置を用いたイオン注入方法
において、後段加速器の印加電圧を、引出し電極の印加
電圧よりも高く設定することによって、試料表面から浅
い領域にイオンを均一に注入することができる。
【0032】また、試料表面に形成された酸化膜を除去
する酸化膜除去装置を資料室に接続することによって、
酸化膜の除去からイオン注入の終了までの間に、酸化膜
の再形成されない状態(減圧下)を形成することが可能
となるので、イオン注入量および活性なイオンの濃度の
低下を抑制出来るイオン注入装置を実現できる様にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るイオン注入方
法で使用するイオン注入装置を示す模式図。
【図2】イオンビーム幅の定義を説明するための図。
【図3】イオンビーム内における電流密度の影響を調べ
るために用いたイオン注入装置を示す模式図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るイオン注入装
置を示す模式図。
【図5】本発明の適用対象の一例を示す工程断面図。
【図6】注入均一性のビーム電流依存性を示す表1であ
る。
【図7】注入均一性の後段加速電圧依存性を示す表2で
ある。
【図8】注入均一性のビーム幅依存性を示す表3であ
る。
【符号の説明】
1…イオン源チャンバー(容器) 2…引出し電極(第1の電極) 3…分離電磁石(選別手段) 4…スリット(選別手段) 5…後段加速器(第2の電極) 6,7…四極レンズ 8…ファラデーカップ 9…試料 10…ウェハホルダ− 11…偏光レンズ 12…プラズマシャワー 13…ビームストップ 14…試料室 20…酸化膜除去装置 21…準備室 22…搬送室 23…処理室 24…乾燥室 25…カセット 26…搬送クレーン 27…石英ビーカー 28…ドライポンプ 29…排水管 30…フッ酸供給ライン 31…薬品タンク 32…配水管 33…洗浄薬品攪拌室 34…排水管 35a、35b…バルブ 36…薬品供給ライン 37…乾燥リンサー 38…載置台 39…搬送ロボット

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部で複数種のイオンが生成される容器
    と、前記容器内から前記複数種のイオンを引き出す第1
    の電極と、前記複数種のイオンのうち所望のイオンを選
    別する選別部と、前記所望のイオンを加速する第2の電
    極とを備えたイオン注入装置を用いたイオン注入方法で
    あって、前記第2の電極の印加電圧を前記第1の電極の
    印加電圧よりも高く設定することを特徴とするイオン注
    入方法。
  2. 【請求項2】前記所望のイオンを所望の加速エネルギー
    でもって試料に注入するときに、前記第1の電極により
    得られる前記所望のイオンの最大加速エネルギーが、前
    記所望の加速エネルギーの半分よりも大きい場合、前記
    第2の電極の印加電圧を前記第1の電極の印加電圧より
    も高く設定する請求項1に記載のイオン注入方法。
  3. 【請求項3】前記第2の電極で加速されたイオンからな
    るイオンビーム中の最大電流密度をDmax、前記イオン
    ビームの電流量をI、前記イオンビームの幅をW、I/
    で表される平均電流密度をρとした場合に、ρ≧D
    max/2の関係を満たすことを特徴とする請求項2に記
    載のイオン注入方法。
  4. 【請求項4】前記試料と、前記所望のイオンのビームを
    収束する機能を有する収束部のうちで前記試料に最も近
    いものとの間の距離をL、前記試料からL/10だけ離
    れた位置における前記ビームの幅をWp、前記試料から
    L/2だけ離れた位置における前記ビームの幅をWhと
    した場合、Wh/Wpの値が実質的に1になるように、
    前記第1および第2の電極に印加する電圧を設定するこ
    とを特徴とする請求項2に記載のイオン注入方法。
  5. 【請求項5】前記所望のイオンを半導体基板に注入し、
    拡散層を形成することを特徴とする請求項2に記載のイ
    オン注入方法。
  6. 【請求項6】試料に所望のイオンを注入するイオン注入
    装置本体と、前記イオン注入装置本体と接続され、前記
    試料の表面に形成された酸化膜を除去する酸化膜除去装
    置とを備えたイオン注入装置を用いたイオン注入方法で
    あって、前記酸化膜除去装置により前記試料の表面に形
    成された酸化膜を除去した後、前記イオン注入装置本体
    により前記試料に前記所望のイオンを注入することを特
    徴とするイオン注入方法。
  7. 【請求項7】前記酸化膜の除去の開始から、前記所望の
    イオンの注入の終了までの工程を減圧下で行うことを特
    徴とする請求項6に記載のイオン注入方法。
  8. 【請求項8】前記イオン注入装置本体は、内部で複数種
    のイオンが生成される容器と、前記容器内から前記複数
    種のイオンを引き出す第1の電極と、前記複数種のイオ
    ンのうち所望のイオンを選別する選別部と、前記所望の
    イオンを加速する第2の電極と、前記加速されたイオン
    が注入される試料を設置し、前記酸化膜除去装置と接続
    された試料室とを含むことを特徴とする請求項6に記載
    のイオン注入方法。
  9. 【請求項9】前記所望のイオンを所望の加速エネルギー
    でもって試料に注入するときに、前記第1の電極により
    得られる前記所望のイオンの最大加速エネルギーが前記
    所望の加速エネルギーの半分よりも大きい場合、前記第
    2の電極の印加電圧を前記第1の電極の印加電圧よりも
    高く設定することを特徴とする請求項13に記載のイオ
    ン注入方法。
  10. 【請求項10】試料に所望のイオンを注入するイオン注
    入装置本体と、 前記イオン注入装置本体と接続され、前記試料の表面に
    形成された酸化膜を除去する酸化膜除去装置とを備えた
    ことを特徴とするイオン注入装置。
  11. 【請求項11】前記イオン注入装置本体は、内部で複数
    種のイオンが生成される容器と、前記容器内から前記複
    数種のイオンを引き出す第1の電極と、前記複数種のイ
    オンのうち所望のイオンを選別する選別部と、前記所望
    のイオンを加速する第2の電極と、前記加速されたイオ
    ンが注入される試料を設置する試料室と、前記試料室と
    接続され、前記試料の表面に形成された酸化膜を除去す
    る酸化膜除去装置とを備えていることを特徴とする請求
    項11に記載のイオン注入装置。
  12. 【請求項12】前記酸化膜除去装置は、前記加速された
    イオンを前記試料に注入する前に、前記試料の表面に形
    成された酸化膜を除去する洗浄室と、前記洗浄室内で洗
    浄された試料を乾燥する乾燥室と、前記試料室、前記洗
    浄室および前記乾燥室内に前記試料を搬送する搬送装部
    と、前記試料室、前記洗浄室および前記乾燥室内の圧力
    を制御する圧力制御部を含むことを特徴とする請求項1
    1に記載のイオン注入装置。
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