JP2000308694A - 有機ハロゲン化合物の分解装置 - Google Patents

有機ハロゲン化合物の分解装置

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JP2000308694A
JP2000308694A JP12316099A JP12316099A JP2000308694A JP 2000308694 A JP2000308694 A JP 2000308694A JP 12316099 A JP12316099 A JP 12316099A JP 12316099 A JP12316099 A JP 12316099A JP 2000308694 A JP2000308694 A JP 2000308694A
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gas
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decomposing
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JP12316099A
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Toshio Hattori
敏夫 服部
Masahiro Bessho
正博 別所
Yasuhiro Tsubaki
泰廣 椿
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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    • Y02C20/30Capture or disposal of greenhouse gases of perfluorocarbons [PFC], hydrofluorocarbons [HFC] or sulfur hexafluoride [SF6]

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フロンガス等の有機ハロゲン化合物の安全な
分解を可能とすること。 【解決手段】 有機ハロゲン化合物の分解物を中和処理
するための処理液が収容された排ガス処理タンク41を
備えた有機ハロゲン化合物の分解装置において、前記処
理液のpH値を検出するpHセンサ55が設けられてい
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマを利用し
た有機ハロゲン化合物の分解装置に係わり、特に、マイ
クロ波を利用してプラズマを発生させるようにした有機
ハロゲン化合物の分解装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】分子内にフッ素、塩素、臭素等を含んだ
フロン、トリクロロメタン、ハロン等の有機ハロゲン化
合物は、冷媒、溶剤、消火剤等の幅広い用途に大量に使
用されており、産業分野における重要度は極めて高い。
しかし、これら化合物は揮発性が高く、未処理のまま大
気、土壌、水等の環境に放出されると、発ガン性物質の
生成、オゾン層の破壊等、環境に悪影響を及ぼすことが
あるため、環境保全の見地から無害化処理を行う必要が
ある。
【0003】従来から有機ハロゲン化合物の処理方法と
して報告されているものは、主として高温での分解反応
を利用したものがあり、この処理方法は更に焼却法とプ
ラズマ法とに大別される。焼却法は、有機ハロゲン化合
物を樹脂等の通常の廃棄物と一緒に焼却するものである
のに対し、プラズマ法は、プラズマ中で有機ハロゲン化
合物を水蒸気と反応させ、二酸化炭素、塩化水素、フッ
化水素に分解するものである。
【0004】さらに、後者のプラズマ法に係る有機ハロ
ゲン化合物の分解装置については、マイクロ波を利用し
てプラズマを発生させるものが近年開発されている。こ
の分解装置は、アルカリ液を収容する排ガス処理タンク
と、開口した下端部をアルカリ液に浸漬した状態で配設
される反応管と、該反応管の上方において垂直方向に延
在する円筒導波管と、該円筒導波管の内部に配されその
下端を貫通して反応管に連通する放電管と、水平方向に
延在しその一端部近傍において円筒導波管に連接される
方形導波管と、該方形導波管の他端に装着されるマイク
ロ波発信器等を具備してなる。
【0005】この分解装置では、放電管にフロンガスお
よび水蒸気が供給される一方で、マイクロ波発信器から
発信されたマイクロ波が方形導波管を介して円筒導波管
に伝送される。そして、円筒導波管の内部に形成された
マイクロ波電界で放電を起こし、反応管内でフロンガス
を熱プラズマにより分解する。他方、この分解反応によ
り生成された生成ガスは、アルカリ液中を通って中和さ
れる。アルカリ液中での生成ガスの気泡は、小さいほど
アルカリ液との接触面積が大きく、液中の滞留時間も長
くなるので中和が促進される。このため、気泡分段手段
によって気泡を細かく分断することが望ましい。気泡分
段手段は、モータによってアルカリ液中の先端部を回転
させ、気泡を分断している。中和後の炭酸ガス等を含む
残りのガスは排気ダクトから排出される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、フロンガス
の分解反応により生成された生成ガスをアルカリ液によ
って中和し続けると、アルカリ液の中和能力が低下し、
中和処理不足となる。また、何らかの原因により、気泡
分段手段のモータの回転が低下あるいは停止すると、ア
ルカリ液中の気泡が十分に分断されず、中和反応が十分
に行われないことがある。さらに、反応管内で生成され
る酸性ガスによって反応管が腐食し、内部のガスが漏れ
出る可能性も考えられる。このような場合、分解運転を
続行すると、酸性ガスが外部に排出され続けることにな
り、安全性の面で問題がある。
【0007】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、フロンガス等の有機ハロ
ゲン化合物の安全な分解を可能にすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明においては以下の構成を採用した。請求項1
記載の有機ハロゲン化合物の分解装置は、有機ハロゲン
化合物の分解物を中和処理するための処理液が収容され
た排ガス処理タンクを備えた有機ハロゲン化合物の分解
装置において、前記処理液のpH値を検出するpHセン
サが設けられていることを特徴とする。
【0009】この有機ハロゲン化合物の分解装置におい
ては、pHセンサが処理液のpH値を検出するので、処
理液の中和能力の低下を検出することができる。
【0010】請求項2記載の有機ハロゲン化合物の分解
装置は、請求項1記載の有機ハロゲン化合物の分解装置
において、前記pHセンサが検出したpH値が所定値以
下となったときに警報を発することを特徴とする。
【0011】この有機ハロゲン化合物の分解装置におい
ては、pHセンサが処理液のpH値の低下を検出した場
合、警報が発せられ、周囲に注意を喚起することができ
る。
【0012】請求項3記載の有機ハロゲン化合物の分解
装置は、請求項1又は2に記載の有機ハロゲン化合物の
分解装置において、前記pHセンサが検出したpH値が
所定値以下となったときに有機ハロゲン化合物の分解処
理を停止する制御手段を有することを特徴とする。
【0013】この有機ハロゲン化合物の分解装置におい
ては、pHセンサが処理液のpH値の低下を検出した場
合、制御手段が有機ハロゲン化合物の分解処理を停止す
る。したがって、中和処理不足によって酸性ガスが系外
に排出され続けることがない。
【0014】請求項4記載の有機ハロゲン化合物の分解
装置は、有機ハロゲン化合物の分解物を中和処理するた
めの処理液が収容された排ガス処理タンクと、該処理液
中の分解物の気泡を分断する気泡分段手段と、該気泡分
段手段に設けられたモータとを備えた有機ハロゲン化合
物の分解装置において、前記モータの回転状態を検出す
るモータセンサが設けられていることを特徴とする。
【0015】この有機ハロゲン化合物の分解装置におい
ては、モータの回転状態を前記モータセンサが監視して
いるので、モータ回転数の低下あるいは停止を検出する
ことができる。
【0016】請求項5記載の有機ハロゲン化合物の分解
装置は、請求項4記載の有機ハロゲン化合物の分解装置
において、前記モータセンサが検出したモータの回転数
が所定値以下となったときに警報を発することを特徴と
する。
【0017】この有機ハロゲン化合物の分解装置におい
ては、モータセンサがモータの回転数の低下あるいは停
止を検出した場合、警報が発せられ、周囲に注意を喚起
することができる。
【0018】請求項6記載の有機ハロゲン化合物の分解
装置は、請求項4または5に記載の有機ハロゲン化合物
の分解装置において、前記モータセンサが検出したモー
タの回転数が所定値以下となったときに有機ハロゲン化
合物の分解処理を停止する制御手段を有することを特徴
とする。
【0019】この有機ハロゲン化合物の分解装置におい
ては、モータセンサがモータ回転数の低下あるいは停止
を検出した場合、制御手段が有機ハロゲン化合物の分解
処理を停止する。したがって、中和処理不足によって酸
性ガスが系外に排出され続けることがない。
【0020】請求項7記載の有機ハロゲン化合物の分解
装置は、有機ハロゲン化合物が分解される反応管を備え
た有機ハロゲン化合物の分解装置において、前記反応管
からの漏洩ガスを検知する漏洩ガスセンサーが設けられ
ていることを特徴とする。
【0021】この有機ハロゲン化合物の分解装置におい
ては、漏洩ガスセンサーが反応管からの漏洩ガスを監視
しているので、反応管の腐食を検出することができる。
【0022】請求項8記載の有機ハロゲン化合物の分解
装置は、請求項7記載の有機ハロゲン化合物の分解装置
において、前記漏洩ガスセンサーが漏洩ガスを検出した
ときに警報を発することを特徴とする。
【0023】この有機ハロゲン化合物の分解装置におい
ては、反応管が腐食して、漏洩ガスセンサーが反応管か
らの漏洩ガスを検出した場合、警報が発せられ、周囲に
注意を喚起することができる。
【0024】請求項9記載の有機ハロゲン化合物の分解
装置は、請求項7又は8に記載の有機ハロゲン化合物の
分解装置において、前記漏洩ガスセンサーが漏洩ガスを
検出したときに有機ハロゲン化合物の分解処理を停止す
る制御手段を有することを特徴とする。
【0025】この有機ハロゲン化合物の分解装置におい
ては、反応管が腐食して、漏洩ガスセンサーが反応管か
らの漏洩ガスを検出した場合、制御手段が有機ハロゲン
化合物の分解処理を停止する。したがって、酸性ガスが
系外に排出され続けることがない。
【0026】請求項10記載の有機ハロゲン化合物の分
解装置は、請求項7から9いずれかに記載の有機ハロゲ
ン化合物の分解装置において、前記反応管を内包するブ
ースを有し、前記漏洩ガスセンサは、該ブース内のガス
を検知することを特徴とする。
【0027】この有機ハロゲン化合物の分解装置におい
ては、前記反応管はブースに内包されているため、反応
管から漏洩したガスが系外に排出されることがなく安全
であるとともに、漏洩したガスが拡散しないために、漏
洩ガスセンサーが確実に漏洩ガスを検出することができ
る。
【0028】請求項11記載の有機ハロゲン化合物の分
解装置は、請求項10記載の有機ハロゲン化合物の分解
装置において、前記ブース内のガスを吸引する吸引装置
が設けられ、該吸引装置の吸引経路途中に前記漏洩ガス
センサが設けられていることを特徴とする。
【0029】この有機ハロゲン化合物の分解装置におい
ては、吸引装置がブース内のガスを吸引するため、その
吸引経路に漏洩ガスセンサを設けておくことにより、よ
り確実に漏洩ガスを検出することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て、図1から図5を参照しながら説明する。図3におい
て水平方向に延びる方形導波管1は、その始端部(左端
部)に周波数2.45GHzのマイクロ波を発信するマ
イクロ波発信器2を備えており、始端側から終端(右
端)側に向けてマイクロ波を伝送する。
【0031】方形導波管1には、図1に示すように、そ
の終端部側で反射して始端部側に戻ってきたマイクロ波
を吸収することにより反射波の発信側への影響を防止す
るアイソレータ3と、複数の波動調整部材4を各々出入
りさせることにより電波の波動的な不整合量を調整して
放電管5に電波を収束させるチューナー6が設けられて
いる。
【0032】この動作を詳細に説明する。マイクロ波発
信機2は断面矩形の導波管の一端に置かれマグネトロン
を駆動して所定周波数の電磁波を放射する。この電磁波
の伝播現象は電磁波に関るマクスウェルの波動方程式を
解くことによって特性が把握されるわけであるが、結果
的には伝播方向に電界成分を持たない電磁波TE波とし
て伝播する。
【0033】この1次成分TE10の例を方向が交番する
矢印で図2の方形導波管の伝播方向に示す。また、方形
導波管1の他端部に2重の円筒状導体からなる2重円筒
導波管の環状空洞には、導波管1を伝播する電磁波、管
端で反射する電磁波の導体9による結合作用により、環
状空洞部には、進行方向に電界成分を持つTM波が生じ
る。この1次成分であるTM10波を同じく図2の環状空
洞部に矢印で示す。電磁波の波動の伝播に関る2次以上
の高調波に起因する微妙な調整はチューナ4で調整され
る。アイソレータ3は発信機2に根本的なダメージを及
ぼすのを防止している。
【0034】円筒導波管7は、図2に示すように、外側
導体8と、それよりも小径の内側導体9とから構成さ
れ、方形導波管1の終端部近傍において当該方形導波管
1に連通した状態で垂直方向に延びるように接続されて
いる。内側導体9は、方形導波管1の上部に固定された
状態で石英製の放電管5を囲みつつ外側導体8の端板8
Aに向けて延在し、この延在部分をプローブアンテナ9
aとしている。
【0035】放電管5は、内管11と外管12とから構
成され、円筒導波管7の中心軸に対して同軸となるよう
に配置されている。また、放電管5の内管11には、着
火装置13により発熱するテスラコイル14が挿入され
ている。
【0036】さらに、内管11の先端(下端)は、プロ
ーブアンテナ9aの先端よりも所定の距離だけ内方に配
されている。
【0037】他方、外管12の先端部は、外側導体8の
端板8Aを貫通して銅製の反応管15に連通し、また、
外管12の基端側(上端側)は、内側導体9との間に隙
間をあけた状態で取り付けられている。符号17は、外
側導体8の端板8Aと反応管15との間に露出する外筒
12に向けられた光センサ17である。この光センサ1
7は、光度を検出することにより、プラズマの生成状態
を監視するものである。
【0038】そして、前記隙間には、ガス供給管16が
外管12の接線方向に沿って挿入され、アルゴンガス、
フロンガス(有機ハロゲン化合物)、エアー、および水
蒸気は、ガス供給管16を介して放電管5に供給され
る。これらアルゴンガス、フロンガス、およびエアー
は、図1に示す電磁弁19a、19b、19cの開閉動
作により、それぞれの供給源から選択的にヒータ18へ
と送られる。
【0039】アルゴンガスは、プラズマの発生に先立っ
て着火を容易にするために供給されるもので、アルゴン
ボンベ21に貯蔵されている。このアルゴンボンベ21
と電磁弁19aとの間には、圧力調整機22と圧力スイ
ッチ23が設けられている。
【0040】エアーは、系内に残存する水分を除去して
着火の安定性を高めるために、また、系内に残存するガ
スを排出するために、エアーコンプレッサ24から供給
されるもので、空気、窒素ガス、アルゴンガス等が用い
られる。水蒸気は、フロンガスの分解に必要なもので、
プランジャポンプ25によって貯水タンク26内の水を
ヒータ18に送り込むことで生成される。この貯水タン
ク26には、水位の変動を検知するレベルスイッチ27
が設けられている。
【0041】フロンガスは、回収フロンボンベ28に液
貯蔵されていて、この回収フロンボンベ28と電磁弁1
9bとの間には、絞り装置31、ミストセパレータ3
2、および圧力スイッチ33が設けられている。絞り装
置31は、流れの定量化を図るために設けられたもの
で、例えばキャピラリ管とオリフィスとの組み合わせに
より構成されている。
【0042】ミストセパレータ32は、フロンガス中に
含まれる油分(潤滑油)および水分を除去するためのも
ので、衝突式や遠心分離式のものが採用される。ヒータ
18は、フロンガスに反応させる水蒸気を生成するだけ
でなく、フロンガス等をあらかじめ加熱しておくことに
より、装置内で水蒸気がフロンガス等に冷やされて再凝
縮するといった不具合を回避することも意図して設けら
れており、電気式、スチーム式等の加熱方式が採用され
る。
【0043】ヒータ18内には、並列する二つの流路3
4a、34bが形成されていて、一方の流路34aには
フロンガス、アルゴンガス、およびエアーが導入され、
他方の流路34bには貯水タンク26から水が導入され
て水蒸気が生成される。この水蒸気を生成する側の流路
34bには、該流路34b内を移動する水蒸気に抵抗を
与える抵抗体35が充填されていて、水蒸気が流路内を
円滑に流通することができないようになっている。
【0044】この抵抗体35としては、無機または有機
の粒状、繊維状、多孔質のもの若しくはこれらを成形し
たものが採用されるが、高温下における劣化を防止する
観点からは、SiO2、Al23、TiO2、MgO、ZrO2
等に代表される酸化物や、炭化物、窒化物等の無機材で
あることが好ましい。なお、ヒータ18の出口近傍に
は、熱電対36が設けられている。
【0045】しかるに、ヒータ18を通過したフロンガ
ス等と水蒸気は、ミキサー37内で混合された後、ガス
供給管16を通って放電管5へと供給される。ミキサー
37の内部には、図4に示すように、オリフィス38が
設けられ、その開口38aはφ0.1mm〜5mmに設定さ
れている。また、この開口38aが臨むミキサー37の
出口側端面37Aは、流路断面が漸次縮小するような傾
斜面をなしている。
【0046】排ガス処理タンク41は、フロンガスを分
解した際に生成される酸性ガス(フッ化水素および塩化
水素)を中和して無害化するために設けられたものであ
り、水に水酸化カルシウムを加えたアルカリ性懸濁液が
収容されている。例えば、分解するフロンガスが廃冷蔵
庫から回収した冷媒用のフロンR12の場合には、式1
に示す分解反応により生成された生成ガスは式2に示す
中和反応により無害化される。
【0047】(式1) CCl22+2H2O→2HCl+2HF+CO2 (式2) 2HCl+Ca(OH)2→CaCl2+2H2O 2HF +Ca(OH)2→CaF2 +2H2
【0048】式2の中和反応により生成された中和生成
物(塩化カルシウムおよびフッ化カルシウム)は溶解度
が小さいため、一部はアルカリ液に溶解するが、ほとん
どはスラリーとして存在する。また、式1の分解反応に
より生成された二酸化炭素と、式2の中和反応により排
出基準値以下の微少量に低減された酸性ガスは、排ガス
処理タンク41の上方に接続された排気ダクト42から
ブロア43により系外に排出される。
【0049】排ガス処理タンク41の内部には、交換継
手44を介して反応管15に接続される吹込管45が、
その下端部をアルカリ液に浸漬した状態で垂直方向に延
びるように配置されている。この吹込管45の先端部4
5aは、垂直方向に対して所定の角度傾斜するように形
成されている。
【0050】反応管15の軸線方向中間部には、その周
面を取り囲むようにして冷水配管を(図示略)備えた冷
却器46が付設されている。冷却器46は、式1の分解
反応による生成ガスを冷却するものであるが、反応管1
5内の残留水蒸気の再凝縮を防止すべく、その露点以下
には冷却しないように制御される。本実施形態において
は、400℃程度に冷却する。
【0051】反応管15を冷却することで温められた冷
却器46の冷却水(温水)は、回収フロンボンベ28の
加熱源として用いられる。すなわち、回収フロンボンベ
28の周りには、温水配管(図示略)を備えた加熱器4
7が付設されていて、この温水配管に反応管15の冷却
に使用された冷却水が流通することにより、回収フロン
ボンベ28は加熱される。
【0052】交換継手44は、図2に示すように、反応
管15と吹込管45との間に着脱可能に接続されてい
て、その内部に向けて水噴射ノズル51が連通してい
る。この水噴射ノズル51からは冷却水が吐出され、樹
脂製、例えばテフロン製の吹込管45はその耐熱温度範
囲にまで急冷される。ちなみに、吹込管45がテフロン
管の場合には、100℃以下に冷却される。
【0053】吹込管45を樹脂製にする理由は、吹込管
45は酸性ガスが冷却水に溶解してできた酸性液と、排
ガス処理タンク41内のアルカリ液との双方に対して良
好な耐食性を備える必要があり、金属ではその実現が困
難だからである。これに対し、反応管15の場合には、
その内部が常に乾燥状態とされているから、式1の分解
反応で生成された酸性ガスが水に解けてできる酸性液に
よる腐食のおそれはあまりない。その一方高温のプラズ
マ及び分解ガスに対する耐熱性が要求されるため、銅製
とすることで長寿命化を図っている。
【0054】しかしながら、安全性をより一層高めるた
めに、図1及び図2に示すように、反応管15を内包す
る簡易型ブース(ブース)48が設置されている。簡易
型ブース48内は、排気ダクト42に設けられたブロア
(吸引装置)43を兼用することにより吸引されてい
る。簡易型ブース48外であって、簡易型ブース48か
らブロア43へのガスの吸引経路には、反応管15から
漏洩するCO2ガスやCOガス等を検出する漏洩ガスセ
ンサ49が設けられている。
【0055】反応管15の腐食状態は、漏洩ガスセンサ
49を介して制御装置(制御手段)61により常に監視
されており、万が一反応管15が腐食して式1の分解反
応により生成されたガスが反応管15から漏洩した場合
であっても、簡易型ブース48が設けられていることに
より酸性ガスの系外への放出が防止され、また、制御装
置61からの指令によって警報装置が作動するととも
に、分解装置の運転が停止される。警報手段としては、
周囲に注意を喚起できるものであれば何でもよく、例え
ばランプを点滅させたり、警笛をならす等の手段が採用
される。
【0056】なお、簡易型ブース48内のガスを監視
し、反応管15から漏洩するガスを検出するものであれ
ば、漏洩ガスセンサ49の設置場所は簡易型ブース48
内に限られず、上記のように、簡易型ブース48外に漏
洩センサ49が設けられていることとしてよい。
【0057】吹込管45の先端(下端)からは、式1の
分解反応による生成ガスがアルカリ液中に気泡となって
放出される。アルカリ液中での中和反応は、気泡とアル
カリ液との接触面積が大きく、気泡が液面に到達するま
での時間が長いほど促進されるため、排ガス処理タンク
41内には、気泡を細かく分断させることで式2の中和
反応を促進させる気泡分断手段52が設けられている。
【0058】気泡分断手段52は、モータ52aにより
回転駆動される軸部52bと、この軸部52bの先端に
固定される円盤状のブレード保持部52cと、このブレ
ード保持部52cの外縁部に固定される6つのブレード
52dとを具備して構成される。
【0059】これら軸部52a、ブレード保持部52
c、およびブレード52dは、いずれもSUS材で製作
され、ブレード52dは、ブレード保持部52cに対し
て交差し、かつその周方向に等しい間隔をおいて銀ロウ
付けにより固定されている。このように銀ロウ付け固定
としたのは、一般の溶接ではアルカリ液に対する腐食が
激しいからである。
【0060】気泡分断手段52は、ブレード保持部52
cの中心が反応管15の先端の上方に位置するように配
置されていて、反応管15の先端から浮上する気泡は、
300rpmで回転するブレード52dに当たって直径約
3mm〜5mmの気泡に細かく分断される。また、この気泡
分断手段52は、排ガス処理タンク41に投入した水酸
化カルシウムの粉末を攪拌することにより、水に不溶性
の水酸化カルシウムと水の懸濁液を作る役目も果たして
いる。
【0061】また、排ガス処理タンク41には、式2の
中和反応が発熱反応であることから、タンク内温度を吹
込管45の耐熱温度以下に冷却する冷却機53が設けら
れている。この冷却機53は、ファン53aにより冷却
される放熱部53bに接続された配管の一部が、排ガス
処理タンク41内を挿通してなり、この配管に水等の冷
却媒体を流通させることで熱を奪い、これを放熱部53
bにおいて放熱するものである。ちなみに、タンク内温
度は熱電対54により検出される。
【0062】さらに、排ガス処理タンク41には、pH
センサ55が設けられている。アルカリ液のpH値は、
このpHセンサ55を介して常に制御装置61により監
視されており、例えばpH値が9(運転開始時は11〜
12)になると、制御装置61からの指令によって警報
手段が作動するとともに、分解運転が停止するようにな
っている。警報手段としては、周囲に注意を喚起できる
ものであれば何でもよく、例えばランプを点滅させた
り、警笛をならす等の手段が採用される。
【0063】また、中和処理不足による酸性ガスの系外
排出を未然に回避する手段として、モータ電流値が管理
されている。すなわち、モータ回転数が低下したり停止
すると、吹込管45から放出された気泡が十分に分断さ
れず、中和反応が十分に行われないことがある。そこ
で、モータ52aには、回転の異常をモータ電流値に基
づき検出するモータセンサ52eが設けられている。モ
ータセンサ52eの検出出力は、制御装置61に伝達さ
れ、モータ回転数が低下したり停止すると、制御装置6
1からの指令によって警報手段が作動すると共に、分解
運転が停止し、酸性ガスの系外排出を未然に防止するよ
うになっている。警報手段としては、周囲に注意を喚起
できるものであれば何でもよく、例えばランプを点滅さ
せたり、警笛をならす等の手段が採用される。
【0064】なお、上記においてはモータ回転数の低下
あるいは停止を検出する手段として、モータ電流値を検
出することとしたが、モータ回転数の低下あるいは停止
が検出できれば他の手段であってもよい。
【0065】排ガス処理タンク41内のスラリーは、運
転時間の経過に伴って次第に増加するため、運転停止後
にアルカリ液とともに固液分離器62に受け入れられ、
固液分離された後、廃棄物として処分されるか、他の用
途に利用される。他方、分離されたアルカリ液は、再び
排ガス処理タンク41内に戻され、再利用される。ちな
みに、排ガス処理タンク内の液位の変動は、レベルスイ
ッチ56により検知される。
【0066】以上の構成からなる有機ハロゲン化合物の
分解装置において、電磁弁の開閉動作およびテスラコイ
ル14の点火動作は、制御装置61によって図5に示す
ように制御される。この図から明らかなように、この分
解装置では、8時間を1サイクルとしたバッチ処理によ
りフロンガスの分解が行われる。
【0067】すなわち、フロンガスや水蒸気を供給する
前に、まず、残留水分の除去を目的としてエアーを所定
の時間(3分間)供給し、その供給停止後、着火の安定
性向上を目的としてアルゴンガスの供給を開始する。そ
して、アルゴンガス供給中に、マイクロ波を発信してテ
スラコイルによる着火を行うとともに水蒸気およびフロ
ンガスを供給し、その後、アルゴンガスの供給を停止す
る。
【0068】分解運転の停止後は、安全性を確保するこ
とを目的としてエアーを所定時間(5分)供給し、残留
酸性ガスをパージする。
【0069】以上の工程では、アルゴンガスの供給とフ
ロンガスの供給とがオーバーラップしているときがある
が、フロンガスの供給を始めてからアルゴンガスの供給
を止めるまでの間は、ごくわずかでよい。その理由は、
着火の状態が安定しさえすれば、アルゴンガスを供給し
続ける必要はなくなり、また、低コスト化を図る観点か
らもアルゴン消費量を低く抑える必要があるからであ
る。特に、他のプラズマ、例えば高周波誘導プラズマに
比べて、マイクロ波によるプラズマは安定性が高いた
め、アルゴンガスの供給を停止してもフロンガスのプラ
ズマ化の影響は殆どない。
【0070】また、制御装置61は、圧力スイッチ2
3、33、熱電対36、54、レベルスイッチ27、5
6、光センサ17等の各種センサから信号を受信するこ
とにより、アルゴンガスおよびフロンガスのヒータ18
への供給圧、貯水タンク26内の液位、プラズマの生成
状態、排ガス処理タンク41内の温度および液位を常に
監視しており、これらが規定値を外れた場合には、運転
が正常または効率的に行われていないおそれがあるた
め、運転を停止する。そして、運転停止後は、安全性を
確保すべく上記の通りエアーを供給し、装置内の残留ガ
スを掃気する。
【0071】以下、本実施形態に係る分解装置の作用に
ついて説明する。この分解装置では、まず、電磁弁19
a、19bを閉にするとともに電磁弁19cを開にし
て、エアコンプレッサー24からのエアーをガス供給管
16を介して放電管5に3分間供給する。このエアー
は、ヒータ18を通過することにより、100〜180
℃に加熱されているため、装置内の残留水分は確実に除
去されることになる。
【0072】次に、電磁弁19cを閉にするとともに電
磁弁19aを開にして、アルゴンガスを放電管5に供給
する。このとき、アルゴンガスは、外管12の接線方向
から供給されて螺旋状に流下するため、内管11の先端
近傍によどみが形成され、プラズマが保持されやすくな
る。
【0073】また、このときのガス供給量は、4〜40
l/min、望ましくは15l/min以上に設定する。この設定
範囲では、よどみが効果的に形成されてプラズマが一層
保持され易くなるとともに、プラズマの熱的影響を放電
管5が受け難くなり、その溶融変形や破損が効果的に防
止されることになる。
【0074】そして、アルゴンガスの供給開始から一定
の間隔をおいて、マイクロ波発信器2からマイクロ波を
発信する。マイクロ波は、方形導波管1によりその後端
部側に伝送され、さらに円筒導波管7へと伝送される。
【0075】このとき、円筒導波管7内の電界として
は、電界強度の大きなTM01モードが形成され、しか
も、内側導体9により、方形導波管1内の電界モード
と、円筒導波管7内の電界モードとがカップリングされ
ているため、円筒導波管7内の電界は安定している。当
然のことながら磁界は電解に直交叉する方向に生じてい
る。この振動する電磁界により放電管5に導入されたガ
スはプラズマ状態に加熱される。
【0076】次に、点火装置13によりテスラコイル1
4を発熱させて着火させる。このとき、放電管5の内部
は、エアーにより水分が除去され、かつ着火し易いアル
ゴンガスがあらかじめ供給されているため、容易に着火
する。次いで、プランジャポンプ25により貯水タンク
26から水を吸引し、これをヒータ18に通して生成し
た水蒸気を放電管5に供給する。
【0077】この水蒸気は、ヒータ18内に充填された
抵抗体35によって、流路内を円滑に流通することがで
きず、ヒータ18内には常に一定量の水蒸気が滞留した
状態になる。このため、脈動や突沸による飛散を防いで
水蒸気の流出量が安定し、ミキサー37上流側の流量変
動を効果的に抑制することができる。よって、プラズマ
の消失を招くことなくプラズマを安定化させて、処理能
力の向上を図ることができる。
【0078】次いで、電磁弁19bを開にして、フロン
ガスを放電管5に供給する。このとき、回収フロンボン
ベ28から流出したフロンガスは、ミストセパレータ3
2を通過することで油分および水分が除去されている。
このため、フロンガス中の潤滑油による配管等の汚れお
よび副生成物の生成が抑制されて、フロンガス等の効率
的かつ安定的な供給が可能になり、しかも余分な水分供
給を防止し得てプラズマの消失を招くこともない。よっ
て、プラズマを安定化させて、処理能力の向上を図るこ
とができる。
【0079】また、ヒータ18を通過してミキサー37
内に流入した水蒸気、アルゴンガス、およびフロンガス
は、オリフィス38の開口38aを通過する際の圧力損
失によって混合が促進されるだけでなく、出口側端面3
7Aに衝突することによっても混合が促進されるため、
より均一に混合された状態でミキサー37から流出し
て、放電管5に供給されることになる。このため、式1
の分解反応が十分に行われることになって、塩素ガスや
一酸化炭素等の副生成物の生成を抑制することができ
る。
【0080】このようにして放電管5に供給されたフロ
ンガスにマイクロ波が照射されると、放電管5内には、
電子エネルギーが高く、しかも温度が2,000K〜
6,000Kに高められた熱プラズマが発生する。この
とき、放電管5には、フロンガスと水蒸気のみならず、
アルゴンガスも同時に供給されているため、プラズマの
消失を招くこともない。
【0081】また、内管11の先端が、プローブアンテ
ナ9aの先端よりも所定の距離だけ内方に配置されてい
るため、生成されたプラズマの熱的影響を回避し得て、
内管11の溶融破損が防止される。これにより、プラズ
マ形状の著しい変形をなくして、安定した分解運転が可
能になる。
【0082】しかして、熱プラズマの発生により、フロ
ンガスは塩素原子、フッ素原子、および水素原子に解離
し易い状態になるため、式1に示すように、水蒸気と反
応して容易に分解される。そして、プラズマが安定した
ら、電磁弁19aを閉にしてアルゴンガスの供給を止め
る。
【0083】分解反応による生成ガスは、交換継手44
および吹込管45を通って排ガス処理タンク41内のア
ルカリ液中に放出される。ただし、これらの生成ガスは
極めて高温であるため、吹込管45に流入するまでの間
に、まず、反応管15の下部に付設された冷却器46に
よって約400℃に冷却される。
【0084】この温度では、反応管15の内部で残留水
蒸気が再凝縮することはないため、反応管15は乾燥状
態に保持され、プラズマの消失を招くことはなく、ま
た、凝縮した水に酸性ガスがとけ込み、金属性の反応管
15が腐食するということは殆どない。しかし、万が一
反応管15が腐食し、反応管15外部に酸性ガスが漏洩
しても、簡易型ブース48により、系外への酸性ガスの
排出が防止される。更にこの簡易型ブース48によって
漏洩ガスの拡散が防止されているとともに、ブロア43
によって吸引されており、その吸引経路に漏洩ガスセン
サ49が設けられているため、確実に漏洩ガスが検出さ
れる。漏洩ガスセンサ49が漏洩ガスを検出した場合、
制御装置61がその検出出力に基づいて警報手段が作動
するとともに分解運転を停止する。また、同時にブロア
43の運転も停止する。これにより、酸性ガスは系外に
放出されない。
【0085】他方、反応管15を冷却することで約50
℃に温められた冷却器46の冷却水は、回収フロンボン
ベ28に付設された加熱器47に導かれ、回収フロンボ
ンベ28内の液体フロンが気化する際に生じる該ボンベ
28およびその下流側配管での霜の生成を防止するとと
もに、温度低下による圧力変動も抑制する。また、これ
により熱を奪われた冷却水は、冷却器46の冷却水に再
度用いることができ、水の消費量を低く抑えることがで
きる。
【0086】冷却器46により冷却された生成ガスは、
交換継手44を通過する間に、さらに水噴射ノズル51
から吐出される冷却水によって約100℃以下となるよ
うに急冷される。これにより、樹脂製の吹込管45をそ
の耐熱温度範囲内で使用することができ、高温による熱
的損傷から保護することができる。
【0087】このとき、式1の分解反応による生成ガス
が冷却水に溶解することによって酸性液が生成されるた
め、交換継手44は次第に腐食することになるが、かか
る場合には腐食の程度に応じて交換すればよい。すなわ
ち、反応管15の下流側については、腐食による交換部
分が交換継手44のみで済むため、低コスト化および交
換作業の容易化が図られる。
【0088】しかして、吹込管45を通ってアルカリ液
中に放出された生成ガスは、式2の中和反応によって無
害化され、排気ダクト42から排出される。この中和反
応は発熱反応であるため、吹込管45の熱的損傷を防止
すべく、アルカリ液の温度は冷却機53によって70℃
以下に保持される。
【0089】また、吹込管45の先端から気泡として放
出された生成ガスは、気泡分断手段52のブレード52
dに当たって細かく分断させられるため、アルカリ液と
の接触面積が増大するとともに液面までに達する時間も
長くなり、中和反応が促進されることになる。また、ア
ルカリ液のpH値は、pHセンサ55を介して常に制御
装置61により監視されており、例えば、pH値が9に
なると、制御装置61からの指令によって警報手段が作
動するとともに、分解運転が停止される。さらに、モー
タ52aの電流値がモータセンサ52eによって検出さ
れ、モータ回転数が低下あるいは停止した場合、制御装
置61からの指令によって警報手段が作動するととも
に、分解運転が停止される。これにより、中和処理不足
によって基準値を超える量の酸性ガスが系外に排出され
続けるといったことがない。
【0090】中和反応により生成された中和生成物は、
アルカリ液中にスラリーとして存在しているが、このス
ラリーは分解運転停止後にアルカリ液とともに固液分離
器62に受け入れられ、連続的に固液分離される。この
分離液は、排ガス処理タンク41内に戻されて再利用さ
れるため、本分解装置では、上記冷却水の再利用と相ま
って水消費量の大幅な低減が図られる。また、分解運転
停止後は、エアコンプレッサ24を駆動することによ
り、装置内に残留する酸性ガスを掃気するようにしてい
るため、安全性も高められる。
【0091】なお、本発明に係る有機ハロゲン化合物の
分解装置は、上述の実施形態に限定されるものではな
く、以下の形態をも含むものである。 (1)ミキサー37内での混合を促進するための手段と
して、オリフィス38の代わりに、ミキサー37内にビ
ーズ等を充填するようにしてもよい。この構成では、フ
ロンガス等と水蒸気がミキサー37内に形成された隙間
をランダムに流通するため、混合が促進される。
【0092】また、ミキサー37の内周面に複数のじゃ
ま板を、例えば上下または左右に交互に間隔をおいて設
置するようにしてもよい(スタティックミキサー)。こ
の構成では、フロンガス等と水蒸気が蛇行しながら流通
するため、混合が促進される。
【0093】さらに、ミキサー37の入口側に接続され
る配管を流方向に対して傾斜させるとともに、ミキサー
37の内周面に螺旋状に延びる案内板を設置するように
してもよい(スワールミキサー)。この構成では、フロ
ンガス等と水蒸気が螺旋を描きながら流れるため、混合
が促進される。
【0094】(2)排ガス処理タンク41内のスラリー
は、運転停止後、一晩放置しておけば沈降するため、沈
降した高濃度スラリーをポンプで汲み上げ、これを固液
分離して処分するようにしてもよい。この場合には、高
濃度スラリーのみを遊離アルカリ液と混合することなく
汲み上げることができるため、効率の良いスラリー処理
が可能になる。また、アルカリ液に造粒剤、凝集剤等を
添加してスラリー粒子を増大させておけば、沈降時間を
短縮し得て、より効率良くスラリー処理を行える。
【0095】(3)テスラコイル14の先端を放電管5
の内部に配置する代わりに、放電管5の外部に配置し
て、火花放電で着火するようにしてもよい。 (4)回収フロンボンベ28を加熱することによりガス
状態にしてフロンガスを流出させる代わりに、回収フロ
ンボンベ28を倒立させて液状態のまま回収フロンを流
出させ、さらに差圧制御弁等の絞り装置に通して流れを
定量化したうえで、加熱気化させてヒータ18側へと送
るようにしてもよい。この場合には、絞り装置および配
管を加熱することにより、温度低下による流量変動を抑
制する。
【0096】(5)回収フロンボンベ28の加熱には、
反応管15の冷却に用いた冷却水に代えて、排ガス処理
タンク41内のスラリー冷却に使用された冷却機53の
冷却水を用いてもよい。 (6)内管11の先端がプローブアンテナ9aの先端か
ら内方に離間する距離は、内管11が溶融しなければプ
ローブアンテナ9aの先端とマイクロ波によるエネルギ
ー集中部との距離に等しく設定するのが最適であるが、
内管11の溶融を考慮して適宜変更してもよい。
【0097】(7)気泡分断手段52は、軸部の先端に
プロペラを固定してなるスクリュー式のものであっても
よい。また、気泡分断手段52は、各構成要素52b、
52c、52dをテフロン等の樹脂製とし、かつこれら
をネジ結合することにより構成してもよい。この構成で
は、溶接部分がないうえに各構成要素52b、52c、
52dが樹脂製とされるため、耐食性に極めて優れるこ
とになる。
【0098】(8)吹込管45の先端部を垂直方向に対
して所定角度傾斜させる代わりに、略U字状に形成して
もよい。 (9)排ガス処理タンク41に貯留される中和液は、上
記のアルカリ性懸濁液に限らず、水酸化ナトリウム水溶
液等のアルカリ性水溶液を用いても構わない。
【0099】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、以下の効果を奏することができる。 (a)請求項1記載の有機ハロゲン化合物の分解装置に
よれば、pHセンサが処理液のpH値を検出するので、
処理液の中和能力の低下を検出することができ、分解処
理の安全性が向上する。
【0100】(b)請求項2記載の有機ハロゲン化合物
の分解装置によれば、pHセンサが処理液のpH値の低
下を検出した場合、警報が発せられて周囲に注意を喚起
するので、分解処理の安全性が向上する。
【0101】(c)請求項3記載の有機ハロゲン化合物
の分解装置によれば、pHセンサが処理液のpH値の低
下を検出した場合、有機ハロゲン化合物の分解処理が停
止されるので、中和処理不足により酸性ガスが系外に排
出され続けることがなく、分解処理の安全性が向上す
る。
【0102】(d)請求項4記載の有機ハロゲン化合物
の分解装置によれば、モータセンサがモータ回転数の低
下あるいは停止を検出するので、中和処理不足を検出す
ることができ、分解処理の安全性が向上する。
【0103】(e)請求項5記載の有機ハロゲン化合物
の分解装置によれば、モータセンサがモータ回転数の低
下あるいは停止を検出した場合、警報が発せられて周囲
に注意を喚起するので、分解処理の安全性が向上する。
【0104】(f)請求項6記載の有機ハロゲン化合物
の分解装置によれば、モータセンサがモータ回転数の低
下あるいは停止を検出した場合、有機ハロゲン化合物の
分解処理が停止されるので、中和処理不足により酸性ガ
スが系外に排出され続けることがなく、分解処理の安全
性が向上する。
【0105】(g)請求項7記載の有機ハロゲン化合物
の分解装置によれば、漏洩ガスセンサが反応管からの漏
洩ガスを監視して反応管の腐食を検出するので、分解処
理の安全性が向上する。
【0106】(h)請求項8記載の有機ハロゲン化合物
の分解装置によれば、漏洩ガスセンサが反応管からの漏
洩ガスを検出した場合、警報が発せられて周囲に注意を
喚起するので、分解処理の安全性が向上する。
【0107】(i)請求項9記載の有機ハロゲン化合物
の分解装置によれば、漏洩ガスセンサが反応管からの漏
洩ガスを検出した場合、有機ハロゲン化合物の分解処理
が停止されるので、酸性ガスが系外に排出され続けるこ
とがなく、分解処理の安全性が向上する。
【0108】(j)請求項10記載の有機ハロゲン化合
物の分解装置によれば、反応管を内包するブースが設け
られていることにより、反応管から漏洩したガスが系外
に排出されることはない。また、漏洩したガスが拡散し
ないため、確実に漏洩ガスが検出される。従って、分解
処理の安全性が向上する。
【0109】(k)請求項11記載の有機ハロゲン化合
物の分解装置によれば、ブース内を吸引する吸引装置が
設けられているため、確実に漏洩ガスが検出される。従
って、分解処理の安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る分解装置の一実施形態を示すシ
ステム系統図である。
【図2】 同分解装置の全体構成を示す斜視図である。
【図3】 同分解装置の要部拡大図である。
【図4】 同分解装置に設けられたミキサーの要部断面
図である。
【図5】 同分解装置においてマイクロ波、アルゴンガ
ス等が供給される時期と点火の時期を経時的に示す比較
図である。
【符号の説明】
41 排ガス処理タンク 43 ブロア(吸引装置) 48 簡易型ブース(ブース) 49 漏洩ガスセンサ 52 気泡分段手段 52a モータ 52e モータセンサ 55 pHセンサ 61 制御装置(制御手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 椿 泰廣 愛知県名古屋市中村区岩塚町字高道1番地 三菱重工業株式会社名古屋研究所内 Fターム(参考) 2E191 BA12 BD11 BD18 4G075 AA01 AA37 CA26 CA47 DA01 EB21

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機ハロゲン化合物の分解物を中和処理
    するための処理液が収容された排ガス処理タンクを備え
    た有機ハロゲン化合物の分解装置において、 前記処理液のpH値を検出するpHセンサが設けられて
    いることを特徴とする有機ハロゲン化合物の分解装置。
  2. 【請求項2】 前記pHセンサが検出したpH値が所定
    値以下となったときに警報を発することを特徴とする請
    求項1記載の有機ハロゲン化合物の分解装置。
  3. 【請求項3】 前記pHセンサが検出したpH値が所定
    値以下となったときに有機ハロゲン化合物の分解処理を
    停止する制御手段を有することを特徴とする請求項1又
    は2に記載の有機ハロゲン化合物の分解装置。
  4. 【請求項4】 有機ハロゲン化合物の分解物を中和処理
    するための処理液が収容された排ガス処理タンクと、該
    処理液中の分解物の気泡を分断する気泡分段手段と、該
    気泡分段手段に設けられたモータとを備えた有機ハロゲ
    ン化合物の分解装置において、 前記モータの回転状態を検出するモータセンサが設けら
    れていることを特徴とする有機ハロゲン化合物の分解装
    置。
  5. 【請求項5】 前記モータセンサが検出したモータの回
    転数が所定値以下となったときに警報を発することを特
    徴とする請求項4記載の有機ハロゲン化合物の分解装
    置。
  6. 【請求項6】 前記モータセンサが検出したモータの回
    転数が所定値以下となったときに有機ハロゲン化合物の
    分解処理を停止する制御手段を有することを特徴とする
    請求項4又は5に記載の有機ハロゲン化合物の分解装
    置。
  7. 【請求項7】 有機ハロゲン化合物が分解される反応管
    を備えた有機ハロゲン化合物の分解装置において、 前記反応管からの漏洩ガスを検知する漏洩ガスセンサー
    が設けられていることを特徴とする有機ハロゲン化合物
    の分解装置。
  8. 【請求項8】 前記漏洩ガスセンサーが漏洩ガスを検出
    したときに警報を発することを特徴とする請求項7記載
    の有機ハロゲン化合物の分解装置。
  9. 【請求項9】 前記漏洩ガスセンサーが漏洩ガスを検出
    したときに有機ハロゲン化合物の分解処理を停止する制
    御手段を有することを特徴とする請求項7又は8に記載
    の有機ハロゲン化合物の分解装置。
  10. 【請求項10】 前記反応管を内包するブースを有し、
    前記漏洩ガスセンサは、該ブース内のガスを検知するこ
    とを特徴とする請求項7から9いずれかに記載の有機ハ
    ロゲン化合物の分解装置。
  11. 【請求項11】 前記ブース内のガスを吸引する吸引装
    置が設けられ、該吸引装置の吸引経路途中に前記漏洩ガ
    スセンサが設けられていることを特徴とする請求項10
    記載の有機ハロゲン化合物の分解装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010223860A (ja) * 2009-03-25 2010-10-07 Ngk Insulators Ltd 混合ガス供給装置および検査装置
CN112694049A (zh) * 2020-12-10 2021-04-23 江西天晟化工有限公司 一种自动化控制的有水氢氟酸定量充装辅助系统

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