JP2000307329A - ダイポールアンテナ及びその製造方法 - Google Patents

ダイポールアンテナ及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 寸法精度の高いものを量産可能とする。 【解決手段】 細長い円筒状給電部21と、その一端か
ら両側に互いに反対に延長され、使用波長λの1/4の
アンテナ部22,23と、アンテナ部22,23からλ
/4離れ、給電部21が中心に位置する反射板部24と
が合成樹脂材のモールド品として一体に構成され、その
全体に対し金属メッキ層が形成され、給電部21の端面
でその貫通穴を中心として円弧状(44)にメッキ層が
除去され、アンテナ部22,23の間で給電部21の周
面のメッキ層に対し、その端面から反射板部24に向っ
て約λ/4の長さのスリット32,33を形成して同軸
スリットバランを構成し、アンテナ部22,23上のメ
ッキ層により、アンテナ素子25,26を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はセルラー式移動通
信方式の基地局アンテナや電波監視施設のアンテナなど
に使用するダイポールアンテナ及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】図7に、特開平9−153725号「プ
ローブアンテナ」で提案されたものを示す。金属の反射
板11の中心部に形成された穴に同軸ケーブル12が挿
通され、同軸ケーブル12の外導体13と中心導体14
とが反射板11に垂直に立てられる。これら外導体13
と中心導体14の反射板11からの高さは使用波長λの
ほぼ1/4とされる。外導体13は中心導体14に対し
反対の位置においてスリット15,16がその先端から
反射板11まで形成され、反射板11より突出している
部分は外導体片13aと13bに二つ割りとされてい
る。中心導体14の突出端に一端が接続され、かつ一方
の外導体片13aと接続されたアンテナ素子17aが反
射板11と平行に設けられ、アンテナ素子17aの延長
線上において、アンテナ素子17bがその一端を他方の
外導体片13bと接続して設けられる。アンテナ素子1
7a,17bの各長さはほぼλ/4である。
【0003】この構成により、λ/4長のスリット1
5,16を有する外導体13がバラン(平衡−不平衡変
換器)を構成し、アンテナ素子17a,17bよりなる
ダイポールアンテナ17の平衡形放射素子と同軸ケーブ
ル12の不平衡形給電線とが平衡−不平衡変換接続さ
れ、不平衡電流(コモンモード電流)が同軸ケーブル1
3の外部に流れ、不要輻射するのが防止される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この従来のアンテナを
製作するには、反射板11に穴を開け、その穴に、スリ
ット15,16を切った同軸ケーブル12を挿入して同
軸ケーブル12の外導体13と反射板11とを半田付け
し、その後、アンテナ素子17aを中心導体14、外導
体片13aに、アンテナ素子17bを外導体片13bに
それぞれ半田付けしている。
【0005】このように製作工程が複雑で大量生産に適
しない。半田付け作業による特性のばらつきが生じる。
材質などのばらつきにもとづく特性の差異を補償する調
整加工が難かしい。アレー素子として組み合わせる場
合、素子間隔などの均一化のための追加加工が必要であ
る。製造価格が高いなどの問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明によるダイポー
ルアンテナは、チューブ状給電部と、その給電部の一端
の両側から互いに反対側に延長され、使用波長λのほぼ
1/4の長さの第1、第2アンテナ部とが合成樹脂材で
一体に成形され、給電部の貫通穴の位置を含み、第1ア
ンテナ部に金属メッキ層の第1アンテナ素子が形成さ
れ、第2アンテナ部に金属メッキ層の第2アンテナ素子
が形成され、第1アンテナ素子と連結されて給電部の貫
通穴内周面に金属メッキのスルーホールが形成され、第
1、第2アンテナ素子と連結され、給電部の外周面に金
属メッキの外導体が形成され、第1、第2アンテナ部の
中間において、給電部の上記一端から他端に向って、貫
通穴を挟んで外導体にほぼλ/4の長さの一対のスリッ
トが形成され、給電部の他端にコネクタが形成されてい
る。
【0007】第1、第2アンテナ部からほぼλ/4離
れ、給電部がほぼ中心に位置するように、給電部と垂直
な反射板部が合成樹脂材で給電部と一体に設けられ、反
射板部の給電部の近くの周辺に複数の小穴が形成され、
反射板部の両面に外導体と連結された金属メッキ層の反
射板層が形成され、この反射板層と連結され、金属メッ
キ層の第2スルーホールが小穴内周面に形成される。
【0008】この発明のアンテナ製造方法によれば、前
記アンテナの合成樹脂材で作られている部分を一体にモ
ールド成形し、その後、その成形物の全体に対し金属メ
ッキ層を形成し、その金属メッキ層の一部を切削して取
除いて、第1、第2アンテナ素子、λ/4スリットを有
する外導体のバランを構成する。
【0009】
【発明の実施の形態】図1、図2を参照してこの発明の
アンテナの実施例を説明する。円筒チューブ状給電部2
1と、その一端にこれと直角に反対方向に延長した第
1、第2アンテナ部22,23とが例えばLCP(結晶
性ポリマ)などの合成樹脂材により一体に構成される。
第1、第2アンテナ部22,23の各長さはそれぞれ使
用波長λの約1/4である。また第1、第2アンテナ部
22,23からほぼλ/4離れ、第1、第2アンテナ部
22,23とほぼ平行な反射板部24が給電部21と一
体に形成される。給電部21は反射板部24のほぼ中心
に位置し、反射板部24は大きい方が良いが、例えば約
λ3/4×2λの方形板とされ、その長手方向と、第
1、第2アンテナ部22,23が平行とされている。
【0010】第1、第2アンテナ部22,23の外面に
金属メッキ層の第1、第2アンテナ素子25,26が形
成されている。給電部21の貫通穴27の内周面に金属
メッキ層が形成されスルーホール28とされ、給電部2
1の端面で第1アンテナ素子25とスルーホール28と
が金属メッキ層の連結部29で連結されている。給電部
21の外周面に金属メッキ層の外導体31が形成され、
第1、第2アンテナ部22,23の間において、給電部
21の端面より反射板部24側に向って延長した一対の
スリット32,33が形成されている。スリット32,
33の長さは、λ/4より小さい値とされる。
【0011】反射板部24の外表面に金属メッキ層の反
射板層34が形成され、また給電部21と接近し、その
周囲に複数、この例では8個の小穴35が等角間隔で形
成され、各小穴35の内周面に、反射板層34と連結し
た金属メッキ層の第2スルーホール36が形成されてい
る。給電部21の第1、第2アンテナ部22,23と反
対の端部はコネクタ部37とされ、コネクタ部38は外
周面にねじが切られ、そのねじの外周面にも金属メッキ
層が形成され、内周径が、貫通穴27の径より大とさ
れ、段部39が形成されている。
【0012】更にこの例では、このアンテナを複数用い
て円形アレーアンテナとして構成できるようにした場合
で、そのアレー素子を順次連結するために、反射板部2
4の二つの長い辺にそれぞれ連結部41,42が反射板
部24と一体に形成されている。連結部41,42は反
射板部24の厚さのほぼ半分の厚さとされ、連結部41
は、反射板部の一方の板面側にずらされて反射板部24
に連結され、連結部42は反射板部の他方の板面側にず
らされ反射板部に連結される。またこの例ではこのアン
テナを24個用いて図3に示すような円形アレーを構成
した場合で、反射板部24の板面に対し、連結部41,
42は互いに反対方向にそれぞれ角度θ≒7.5度もっ
て斜めに取付けられている。連結部41,42の外表面
にも、金属メッキ層がそれぞれ形成されている。また連
結具を通すための穴43がそれぞれ開けられている。
【0013】この構成によれば、スルーホール28を中
心導体とし、外導体31とにより、例えば特性インピー
ダンスが50Ωの同軸給電線が構成され、第1アンテナ
素子25、第2アンテナ素子26により、半波長ダイポ
ールアンテナが構成され、反射板層34により反射面が
構成され、更に外導体31と約λ/4の長さのスリット
32,33によりバラン(平衡−不平衡変換器)が構成
される。よって不平衡電流を押圧したダイポールアンテ
ナ放射器が得られる。給電部21の周囲の小穴35内の
スルーホール36が給電部21に接近して囲うように形
成されているため、反射板部24において、スルーホー
ル36が同軸の外導体として作用し、良好な給電部が構
成される。
【0014】このアンテナを製造するには、図4に示す
ように、給電部21、第1、第2アンテナ部22,2
3、反射板部24、コネクタ部38、連結部41,42
を高周波特性に優れ、かつ耐熱性が高い合成樹脂材の金
型を使用して一体に成形する。この合成樹脂材としては
例えばLCPを用いることができ、LCPはεr =4、
tanδ=1%以下、耐熱温度が250℃である。この
場合、成形湯が流れ易いように、給電部21の反射板部
24側を、第1、第2アンテナ部22,23側より外径
を太くし、また第1、第2アンテナ部22,23の反射
板部24と垂直な断面が給電部21から離れるに従って
幅が徐々に狭まるようにする。この場合第1、第2アン
テナ部22,23の反射板部24側の側縁にテーパを付
け、反射板部24と反対側の側縁は反射板部24と平行
とする。この成形時に、給電部21の貫通穴27、小穴
35、穴43も同時に形成する。
【0015】次にこのモールド品に対し、その全面に対
して金属メッキ層を形成する。このメッキ層としては例
えばまず銅(Cu)を厚さ10μm程度に形成し、その
後、その上にニッケル(Ni)を厚さ5μm程度形成
し、更に耐蝕性を付ける点で金(Au)を厚さ1μm以
下程度に薄くコーティングする。このように金属メッキ
層と合成樹脂材のモールド品とのなじみがよいものとな
る。
【0016】次に不必要なメッキ層の部分を数値制御フ
ライス盤などにより切削除去する。つまり図1Aに示す
ように給電部21の第1、第2アンテナ部22,23側
の端面のメッキ層を、貫通孔27を中心として第1アン
テナ部22と反対側に削除部44を形成して、第1、第
2アンテナ素子25,26を作り、また第1、第2アン
テナ部22と23の間において給電部21の第1、第2
アンテナ部22,23側の端面より、削除部44と連通
して反射板部24に向って、給電部21の外周面のメッ
キ層をスリット状に切削し、スリット32,33を貫通
孔27を挟んで形成する。またコネクタ部38の内周面
のメッキ層を図2Bに示すように削除する。
【0017】この際に、このアンテナのSパラメータの
11をネットワークアナライザなどにより測定し、その
デップ(落込み)周波数が所望値になるようにする。即
ちパラメータS11の周波数特性は例えば図5に示すよう
に、ダイポールアンテナの共振点周波数f2 で落込みが
生じ、そのf2 よりも低い周波数f1 で落込みが生じ
る。この周波数f1 はスリット32,33によるバラン
とダイポールアンテナとのインピーダンス整合点であ
り、スリット32,33の長さによって変化する。f2
に対しf1 を離した方が広帯域となるが、電圧定在波比
(VSWR)が大きくなる。スリット32,33の長さ
をλ/4に近ずける程、f1 はf2 に近づく、要求され
るVSWRの値によって異なるが、f1 が例えばf2
80%の値になるようにスリット32,33の長さを調
整する。給電部21の材料の比誘電率εr を考慮すると
スリット32,33の長をλ/(4√εr )に近づける
とf1はf2 に近づく。
【0018】なおモールド品の合成樹脂材としてεr
4、tanδ=1%のLCPを用いた場合の2GHz帯
のアンテナを構成した場合の各部の寸法を図1、図2に
示した。この単位はmmである。円形アレーアンテナと
して構成する場合、その素子数を24個より少なくする
場合は、その数に応じて連結部41,42のなす角度θ
を大きくし、数を多くする場合はθを小さくする。平面
形アレーアンテナを構成する場合は、θ=0、つまり連
結部41,42と反射板部24とを平行とする。アンテ
ナを広帯域化するには、図6に示すように第1、第2ア
ンテナ素子25,26をボータイ形状とすればよい。ま
た上述において反射板部21、反射板層34を省略して
もよい。
【0019】
【発明の効果】以上述べたようにこの発明によれば、ア
ンテナを構成する形状部分がモールド品として構成さ
れ、これに対して金属メッキ層を形成し、その金属メッ
キ層の一部を切削除去することにより作製されるため、
寸法精度の高いものを多量生産することができ、つまり
所望の特性のものを量産することができる。よってアレ
ーアンテナを構成する場合も追加工を必要としない。ま
た安価に作ることができる。
【0020】給電部21の材質のばらつきに対し、スリ
ット32,33の長さを調整して、所望の特性とするこ
とも容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Aはこの発明の実施例を示す正面図、Bはその
右側面図である。
【図2】Aは図1Aの上面図、Bは図1AのAA線断面
図である。
【図3】図1の実施例を円形アレー化した例を示す上面
図。
【図4】アンテナのパラメータS11の周波数特性を示す
図。
【図5】第1、第2アンテナ素子25,26をボータイ
形とした例を示す図。
【図6】アンテナの外形を構成する部分のモールド品を
示す斜視図。
【図7】従来のアンテナを示す斜視図。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チューブ状の給電部と、その給電部の一
    端の両側から互いに反対方向に延長され使用波長λのほ
    ぼ4分の1の長さの第1、第2アンテナ部とが合成樹脂
    材で一体に成形されてなり、 上記給電部の貫通穴の位置を含み上記第1アンテナ部に
    金属メッキ層よりなる第1アンテナ素子が形成され、 上記第2アンテナ部に金属メッキ層よりなる第2アンテ
    ナ素子が形成され、 上記第1アンテナ素子と連結され、上記貫通穴内周面に
    金属メッキ層よりなるスルーホールが形成され、 上記第1、第2アンテナ素子と連結され、上記給電部の
    外周面に金属メッキ層よりなる外導体が形成され、 上記第1、第2アンテナ素子の中間において、上記外導
    体に上記給電部の上記一端から他端に向って、ほぼλ/
    4の長さの一対のスリットが形成されるダイポールアン
    テナ。
  2. 【請求項2】 上記給電部の上記第1、第2アンテナ部
    からほぼλ/4離れると共に上記スリットと接し又はこ
    れより離れ、かつ上記コネクタより第1、第2アンテナ
    部に近い位置で、給電部とほぼ垂直に、給電部がほぼ中
    心に位置するように反射板部が上記合成樹脂材で一体に
    成形され、 上記反射板部の両面に、外導体と連結されて金属メッキ
    層の反射板層が形成されていることを特徴とする請求項
    1記載のダイポールアンテナ。
  3. 【請求項3】 反射板部の上記給電部の周辺の近くに、
    これを囲って複数の小穴が貫通形成され、 上記反射板層と連結して上記小穴内面に第2スルーホー
    ルがそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項2
    記載のダイポールアンテナ。
  4. 【請求項4】 給電部の他端部にコネクタが構成されて
    いることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の
    ダイポールアンテナ。
  5. 【請求項5】 チューブ状の給電部と、その給電部の一
    端の両側に互いに反対方向に延長した使用波長λのほぼ
    4分の1の長さの第1、第2アンテナ部と、給電部の他
    端に設けられたコネクタ部とを合成樹脂材で一体に成形
    し、 この一体成形物の外表面の全体及び給電部の内周面全体
    に金属メッキ層を形成し、 給電部の上記一端の端面のメッキ層を、給電部の貫通穴
    の一方の側でこれと接近し、貫通穴を中心とする円弧状
    に削除し、第1、第2アンテナ部の間において貫通穴を
    挟み、給電部の外周面のメッキ層を、上記削除部と連通
    して給電部の延長方向に削除してほぼλ/4長の一対の
    スリットを形成し、 上記コネクタ部のメッキ層を、貫通穴のメッキ層と外周
    面のメッキ層の連結を切り離すように削除することを特
    徴とするダイポールアンテナ製造方法。
  6. 【請求項6】 上記成形時に、上記コネクタ部より上記
    第1、第2アンテナ部に近いが、第1、第2アンテナ部
    からほぼλ/4離れて、給電部がほぼ中心に位置するよ
    うに、給電部と垂直な反射板部を一体に成形し、 その成形時に、反射板部に給電部と接近し、その周囲に
    複数の小穴を貫通形成し、 メッキ層形成時に、反射板部の外表面、小穴の内周面に
    もメッキ層を形成することを特徴とする請求項5記載の
    ダイポールアンテナ製造方法。
  7. 【請求項7】 アンテナのSパラメータを測定監視し、
    そのデップ点周波数が所望の値になるように上記スリッ
    トの長さを切削調整することを特徴とする請求項5又は
    6記載のダイポールアンテナ製造方法。
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