JP2000306848A - プラズマを用いた試料の表面処理方法及び表面処理装置 - Google Patents

プラズマを用いた試料の表面処理方法及び表面処理装置

Info

Publication number
JP2000306848A
JP2000306848A JP11115557A JP11555799A JP2000306848A JP 2000306848 A JP2000306848 A JP 2000306848A JP 11115557 A JP11115557 A JP 11115557A JP 11555799 A JP11555799 A JP 11555799A JP 2000306848 A JP2000306848 A JP 2000306848A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sample
electrode
pressure
reaction gas
gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11115557A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3543672B2 (ja
Inventor
Yusuke Ehata
裕介 江畑
Toru Okuda
徹 奥田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP11555799A priority Critical patent/JP3543672B2/ja
Priority to US09/556,837 priority patent/US6406590B1/en
Publication of JP2000306848A publication Critical patent/JP2000306848A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3543672B2 publication Critical patent/JP3543672B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemical Vapour Deposition (AREA)
  • Drying Of Semiconductors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 試料表面に高能率に成膜或いは表面改質を行
ない、且つ清浄雰囲気下において試料表面に反応生成物
が再付着することなく、良質な膜形成或いは表面改質を
行なうことができる、プラズマを用いた表面処理方法及
び表面処理装置を提供する。 【解決手段】 プラズマを用いた試料の表面処理装置
が、所定の気体雰囲気内に配置された試料の近傍に、反
応ガス供給部より局所的に反応ガスを供給し、且つ、該
試料に応じた形状を有する壁面を対向させて該反応ガス
供給部から該気体雰囲気に向けて低コンダクタンスの気
体流路を構成することによって、該気体雰囲気よりも高
い圧力を有する高圧反応ガス領域を該低コンダクタンス
の気体流路に局所的に形成し、該高圧反応ガス領域中に
該反応ガスに基づく局所的な高圧プラズマを発生させ、
該高圧プラズマ中の反応種によって該試料に対する表面
処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマを用いた
表面処理方法及び表面処理装置に関し、更に詳しくは、
半導体装置や液晶装置などの各種デバイスの多層構造に
おける成膜或いは表面改質、並びに各種機能性材料の成
膜或いは表面改質を、高圧プラズマを用いて高速に且つ
清浄雰囲気下において行なう表面処理方法及び表面処理
装置に関する。なお、本願明細書における「表面処理」
とは、上記のような成膜や表面改質などを包括的に含む
ものとする。
【0002】
【従来の技術】半導体装置や液晶装置などの各種デバイ
スの多層構造における成膜並びに各種機能性材料の成膜
を行なう方式としては、プラズマCVDが既に公知であ
り、現在の製造プロセスに広く用いられている。また、
半導体装置や液晶装置などの各種デバイスの多層構造に
おける表面改質並びに各種機能性材料の表面改質を行な
う方式としては、同じくプラズマによる表面改質方式が
既に公知である。
【0003】前記のプラズマCVD法或いはプラズマに
よる表面改質方法は、目的とする成膜又は表面改質に応
じて選択された反応ガスを高電界によってプラズマ状態
にし、前記プラズマ中に発生した活性種によって被処理
表面に成膜又は表面改質を行なう方式であり、プラズマ
を発生させる方式、プラズマを発生させる圧力範囲等に
よって、分類することができる。前記圧力範囲には明確
な規定は存在しないが、低圧プラズマにおける方法にお
いては、前記プラズマを発生させる圧力が低いために前
記活性種の密度が小さく、成膜速度或いは表面改質の速
度が小さい。このため、装置のスループットが低く、そ
の結果として製品の単価が高くなる一因となっていた。
【0004】この点を解決する目的で成膜速度或いは表
面改質の速度を向上させるために、前記プラズマを発生
させる圧力を大気圧程度の高圧力にし、前記活性種の密
度を大きくする方法が、例えば特開平2−50969号
公報、特開平2−73978号公報、或いは特開平2−
73979号公報などに開示されている。以下では、特
開平2−73978号公報に開示される方法を、図24
を参照して説明する。
【0005】図24は、上記の公報に開示される装置の
構成を示す概略図である。図24において、241は成
膜室、242は非接地基板、243は接地電極、244
は多孔板高抵抗体、245は試料基板、246はガス導
入口、247はRF電極、248はヒータ、249はガ
ス排出口である。
【0006】上記の公報によれば、成膜室241中に互
いに対向する電極242及び243を設け、一方の非接
地電極242にはRF電源247が接続され、接地電極
243はアースに接続されている。接地電極243上に
は、電極243以上の大きさの高抵抗体(不図示)を必
要に応じて設置し、更にその上に、試料基板245を設
置する。非接地電極242には、多孔板高抵抗体244
が設置されており、非接地電極242の内部から多孔板
高抵抗体244の穴を通じて、成膜室241に膜形成用
ガスとHeとの混合ガスを供給する。供給されたガス
は、同時にガス排気口249より排気され、成膜室24
1内部を大気圧近傍の圧力下に維持する。このとき、多
孔板高抵抗体244と試料基板245との間の距離を基
板間距離240gとすると、この基板間距離240gは
0.1mm以上10mm以下になっている。
【0007】このような構成において、RF電源247
より非接地電極242に高周波電力を供給し、非接地電
極242と接地電極243との間に大気圧プラズマ24
0pを発生させて、試料基板245に成膜処理を行な
う。
【0008】図24に示される従来技術の装置を用いて
成膜実験を行なった時の実験条件を表1、実験結果を表
2及び表3に示す。このうちの表2は、基板間距離24
0gと膜厚分布との相関を表した表である。また、表3
は、全ガス流量Qを放電空間の体積Sで割った値Q/S
と基板245の中央部における成膜速度との相関を表し
た表である。
【0009】
【表1】
【0010】
【表2】
【0011】
【表3】
【0012】表1〜表3の記載内容から把握されるよう
に、上記の公報に開示されている装置は、(1)安定な
グロー放電を得ることを目的として、成膜を行なうため
の原料ガスをHeで大量に希釈する、(2)大面積に均
一な成膜を行なうために、高抵抗体244を、電極24
2及び243の少なくとも一方に取り付けることによ
り、直流電流が流れずに交流電流のみが流れるようにし
て、単位面積当たりの電流密度を制限してプラズマ24
0pが均一に広がりやすくする、(3)表2に示した実
験結果より、試料基板245と高抵抗体244との間の
距離240gが小さいほど、膜厚分布の小さい均一な膜
が形成されるので、膜厚分布を均一にするために、試料
基板245と高抵抗体244との間の距離240gを1
0mm〜0.1mmに設定する、及び(4)表3に示し
た実験結果より、全ガス流量Qを放電空間の体積Sで割
った値Q/Sが10-1sec-1のときには、供給された
原料ガスがすぐに分解してしまうために基板245上の
成膜速度が低下し、一方、値Q/Sが大きいと供給ガス
がプラズマ240pを直ちに通過するために分解され
ず、成膜速度を低下させ且つ原料ガスが有効に使用され
ないので、放電空間のガスが、10-2sec〜1sec
で置換されるように、上記のQ/Sが、1sec-1〜1
2sec-1となるように成膜用の原料ガスとHeとか
らなる混合ガスを放電空間に供給する、という特徴をも
つ。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来技
術は、以下の様な問題点を有する。
【0014】すなわち、成膜用原料ガスとHeとの混合
ガスによって成膜室241の全体を大気圧周近傍の高圧
力雰囲気で充たして高圧プラズマ240pを発生させ、
成膜用原料ガスを分解して試料基板245の上に成膜を
行なうので、プラズマ240pの中で発生した反応生成
物が、プラズマ240pの外部に拡散後、雰囲気気体中
を長時間浮遊・凝縮する。これによって、反応生成物の
粒径の増大、及び、このように粒径が増大した反応生成
物の粒子数の増加が発生する。粒径が増大した反応生成
物が成膜基板245の表面に再付着すると、膜中に粒子
状生成物が混入して膜質を低下させ、また反応容器の内
壁に付着することにより、プロセス自体の歩留りを悪化
させる。
【0015】また、成膜室内を大気圧近傍の高圧力に充
填させるために、ガス漏洩時に成膜室の外に漏洩するガ
スのモル数が多く、装置の安全性が低い。
【0016】更に、試料基板245の搬出時の反応ガス
パージの際に、反応ガスの排気に時間がかかる。このた
め、成膜速度は早いものの、成膜装置全体のスループッ
トが低い。
【0017】上記の3つの問題点は何れも、反応容器全
体を高圧力雰囲気に充填させることに起因する。
【0018】更に、電極間ギャップ240gを小さくす
ると、多孔板高抵抗体244の穴より噴出した反応ガス
流が試料基板245の表面に衝突し、噴出穴の直下が周
囲とは異なった成膜量分布を呈して、試料基板245の
表面におけるの膜の均一性を悪化させる。
【0019】電極間ギャップ240gを小さくする場
合、試料基板245に対する非接地電極242の傾きに
より、反応ガスの流量分布が変化し、膜均一性を悪化さ
せる。
【0020】拡散し難い高圧プラズマ240pを電力負
荷した非接地電極242と試料基板245を設置した接
地電極243との間で発生させるために、高圧プラズマ
240pが試料基板245の全体に発生し難く、大面積
試料基板の全体に均一に成膜することが困難である。ま
た、試料基板245より小さい領域にプラズマ240p
を発生させて、非接地電極242と試料基板245とを
相対移動させて基板245の表面全体を成膜する場合に
おいても、電極242或いは基板245の移動により電
力供給路の等価回路が変化するために、成膜量分布を発
生して膜均一性を悪化させる。
【0021】以下では、上記のような従来技術の問題点
のうちで、特に第1に説明した粒径の大きな反応生成物
の形成・付着に関連する点、及び第4に説明した多孔板
高抵抗体244の噴出穴の直下における成膜量分布の変
化について、更に説明する。
【0022】まず、成膜室241の内部を大気圧近傍に
充填することによる膜質の劣化及びプロセス歩留り低下
の原理について、説明する。
【0023】供給された原料ガスは、大気圧プラズマ2
40pの中で分解された後に成膜基板245に到達し、
成膜基板245上に膜を形成する。ここで、プラズマ2
40p中においては、原料ガスの分解・解離反応のみで
なく、重合・凝縮反応も同時に起こる。このため、成膜
室241内部に混入した不純物と原料ガス原子とからな
る粉状の反応生成物も多数存在して、これらの反応生成
物も、基板245の表面に到達する。ここで、プラズマ
中で凝縮した反応生成物は、プラズマ240pによって
即座に再分解されるので、基板245の表面に到達しな
い。しかし、プラズマ240pの外部に放出された反応
生成物は、再分解されることがなく、むしろ、互いに或
いは反応容器242の中の不純物と凝縮して、その粒径
を増大させる。また、これに伴って、このような粒径の
大きい反応生成物の粒子数も、増大する。ここで問題と
なるのは、粒径の大きな反応生成物であり、これらは、
再びプラズマ240pの中へ拡散した場合においても即
座に再分解されず、試料基板245に到達して、基板2
45上に形成された膜中に混入し、膜質を著しく低下さ
せる。更に、これらの粒径の大きな反応生成物は、成膜
室241の内壁に付着して成膜室241の内部を汚染
し、その結果として成膜後の膜表面を汚染して、プロセ
ス自体の歩留りを悪化させる。
【0024】ここで問題となるのは、前述の従来技術は
大気圧近傍の高圧力に成膜室241の内部を充填させる
ために、プラズマ240pの外部においても、プラズマ
240pの内部と同等の圧力状態であることである。こ
の様な場合、成膜室241の内の雰囲気圧力を低下させ
て、プラズマ240pの外部における反応生成物の粒径
及び粒子数の増大を抑制することも考えられるが、その
場合には、同時にプラズマ240pの圧力も低下して成
膜速度を低下させ、更にはプロセスのスループットを悪
化させる。このように、前述の従来技術では、大気圧近
傍において成膜を行なうと膜質が劣化し、或いは、圧力
を低下させて成膜を行なうと高速成膜が実現できない。
これは、前述の従来技術自体が、原理的に成膜室241
内を大気圧近傍の圧力に充填してプラズマ240pを発
生させることによって成膜を行う方法である点に起因す
る。
【0025】次に、多孔板高抵抗体244の供給口直下
において成膜を行なう場合に発生する膜厚分布につい
て、図25を参照しながら説明する。
【0026】図25は、反応ガス供給口250の直下に
形成される薄膜252の膜厚分布を示す概略図である。
図中で、250はガス供給口、251は試料基板に衝突
する反応ガスの流れ、252は不図示の基板上に形成さ
れる薄膜、253は、反応ガス供給口250の直下に形
成される薄膜252の凸部である。
【0027】図24の従来技術の構成では、非接地電極
242と試料基板245との間に大気圧近傍のプラズマ
240pを発生させ、プラズマ領域中に多数のガス供給
口250より原料ガスを含んだHe混合気体を噴出させ
る。例えば、電極242及び243の間隔は10mm以
下で0.1mm以上と記載されている。
【0028】しかし、電極242及び243の間隔が狭
い場合は、ガス供給口250より噴出した反応ガスの流
れ251は、ガス供給口250の直下の試料基板表面に
垂直に衝突するので、この箇所に効率よく反応ガスが供
給されることになり、結果として、ガス供給口250の
直下がその周辺より成膜量が多くなり、図25に示され
るような凸部(不均一な膜厚分布)253を形成する。
【0029】従って、図24に示された従来技術では、
電極242と試料基板245との間のギャップは、上記
のような不均一な膜厚分布253の発生を抑制するため
には狭くできない。これは、電極242及び試料基板2
45の間にプラズマ240pを発生させて、プラズマ発
生部分に反応ガス供給口250を設置するという構成に
起因する。
【0030】上記では、従来技術により試料基板245
に成膜を行う場合を例にとってその課題を説明してきた
が、表面改質を行なう場合においても同様の問題点が存
在する。
【0031】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであり、その目的は、(1)試料表面に高能
率に成膜或いは表面改質を行ない、且つ清浄雰囲気下に
おいて試料表面に反応生成物が再付着することなく、良
質な膜形成或いは表面改質を行なうことができる、プラ
ズマを用いた表面処理方法及び表面処理装置を提供する
こと、(2)所望の気体雰囲気圧力を少なくともプラズ
マ発生部より低圧に或いは真空に維持することによっ
て、反応生成物の凝縮や、反応ガス噴出領域直下の成膜
量或いは処理層厚さの不均一な分布を発生させずに、大
面積試料の上に均一に成膜或いは表面改質を行なうこと
のできる、プラズマを用いた表面処理方法及び表面処理
装置を提供すること、である。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明によるプラズマを
用いた試料の表面処理方法は、所定の気体雰囲気の中に
試料を配置する工程と、該試料の近傍に局所的に、反応
ガス供給部から反応ガスを供給する工程と、該試料に対
向する壁面を配置して、該反応ガス供給部から該気体雰
囲気に向けて低コンダクタンスの気体流路を構成するこ
とによって、該気体雰囲気よりも高い圧力を有する高圧
反応ガス領域を該低コンダクタンスの気体流路に局所的
に形成する工程と、該高圧反応ガス領域中に該反応ガス
に基づく局所的な高圧プラズマを発生させ、該高圧プラ
ズマ中の反応種によって該試料に対する表面処理を行う
工程と、を包含しており、そのことによって、上記の目
的が達成される。
【0033】ある実施形態では、前記気体雰囲気は、前
記試料の表面形状に応じた形状の電極を少なくとも有す
る反応容器の中に設けられており、該試料は、試料単体
で該気体雰囲気内に配置されるか、或いは、該反応容器
の中に設けられた該試料の表面形状に応じた形状の試料
台の上に配置され、前記反応ガス供給部は、該電極及び
該試料台の少なくとも一方に設けられている。
【0034】本発明によるプラズマを用いた試料の表面
処理装置は、所定の気体雰囲気内に配置された試料の近
傍に、反応ガス供給部より局所的に反応ガスを供給し、
且つ、該試料に応じた形状を有する壁面を対向させて該
反応ガス供給部から該気体雰囲気に向けて低コンダクタ
ンスの気体流路を構成することによって、該気体雰囲気
よりも高い圧力を有する高圧反応ガス領域を該低コンダ
クタンスの気体流路に局所的に形成し、該高圧反応ガス
領域中に該反応ガスに基づく局所的な高圧プラズマを発
生させ、該高圧プラズマ中の反応種によって該試料に対
する表面処理を行うものであり、そのことによって、上
記の目的が達成される。
【0035】上記の装置は、前記気体雰囲気の圧力p0
と、前記高圧反応ガス領域における前記高圧プラズマの
発生箇所の圧力pxとの比を、px/p0>1と設定す
る手段を更に備え得る。
【0036】また、上記の装置は、前記高圧プラズマ
を、前記高圧反応ガス領域の中の前記反応ガス供給部よ
り離れた位置に設ける手段を更に備え得る。
【0037】上記の装置が更に試料台を備え、前記試料
は該試料台に設置され、該試料台は該試料に応じた形状
を有していても良い。
【0038】また、上記の装置が更に電源と電極とを備
え、前記壁面は該電極に形成されて、該電極に電力を印
加することによって前記高圧プラズマを発生させても良
い。
【0039】前記電極は、前記試料に応じた形状を有し
得る。また、前記電極は、前記反応ガスを前記低コンダ
クタンスの気体流路に供給する反応ガス供給口を更に有
し得る。
【0040】ある実施形態では、前記電極は前記試料に
対して微小間隙を隔てて対向するように配置されてお
り、該電極の試料対向面が前記壁面として機能する。
【0041】ある実施形態では、前記電極及び前記試料
台の少なくとも一方は可動であるように設けられてお
り、前記反応容器内の前記気体雰囲気の圧力と前記反応
ガス供給部から供給される前記反応ガスの圧力との間の
差圧によって、該電極及び前記試料の一方を他方に対し
て微小間隙を隔てて浮上させ、それによって該電極の前
記試料対向面を前記壁面として機能させる。
【0042】他の実施形態では、前記電極及び前記試料
台の少なくとも一方は可動であるように設けられてお
り、該電極及び該試料台の少なくとも一方には、所定の
大きさの磁力を発生する磁力発生機構が設けられてい
て、該磁力発生機構から発生する磁力によって、該電極
及び前記試料の一方を他方に対して微小間隙を隔てて浮
上させ、それによって該電極の前記試料対向面を前記壁
面として機能させる。
【0043】更に他の実施形態では、前記電極及び前記
試料台の少なくとも一方は可動であるように設けられて
おり、該電極及び該試料台の少なくとも一方には、所定
の大きさの磁力を発生する磁力発生機構が設けられてい
て、該磁力発生機構から発生する磁力と、前記反応容器
内の前記気体雰囲気の圧力と前記反応ガス供給部から供
給される前記反応ガスの圧力との間の差圧と、の両方を
利用して、該電極及び前記試料の一方を他方に対して微
小間隙を隔てて浮上させ、それによって該電極の前記試
料対向面を前記壁面として機能させる。
【0044】ある実施形態では、前記電極の内部には電
力伝送線路が設けられており、該電力伝送線路は、該電
極が前記試料に対向する部分の所定の位置に開放端を有
していて、該電極内電力伝送線路は、該電極に印加され
た電力を該開放端まで伝送させ、該開放端は、伝送され
た電力によって高電界を発生させ、それによって該開放
端の近傍に前記高圧プラズマが発生される。
【0045】前記電極の前記電力伝送線路は、前記電力
を印加するための内側導体と、絶縁体を介して該内側導
体を覆い且つ接地されている電界遮蔽導体と、によって
構成され得る。
【0046】前記電極に印加される電力は、10MHz
から1GHzの周波数帯の高周波電力、或いは1GHz
以上の周波数帯のマイクロ波電力であり得る。
【0047】ある実施形態では、前記電力伝送線路は、
前記電極の内部に設けられ且つ該電極が前記試料に対向
する部分の所定の位置に開放端を有している導波管によ
って構成されている。
【0048】ある実施形態では、前記電極及び前記試料
台の少なくとも一方に設けられた、使用する電源の周波
数の電磁波に対して大きな吸収係数を持つ電力吸収体を
更に備えており、該電力吸収体は、前記低コンダクタン
スの気体流路において前記高圧プラズマの発生領域より
も低圧力側に配置され、該高圧プラズマの発生領域を通
過した電磁波を吸収して、該高圧プラズマの周囲領域に
おける前記気体雰囲気の中でのプラズマの発生を抑制す
る。
【0049】ある実施形態では、前記試料台及び前記電
極の少なくとも一方に設けられた、該電極と前記試料と
の間の前記微小間隙に向かって開口している排気口を更
に備えており、前記高圧プラズマによって生じた反応生
成物が該排気口から排気される。
【0050】ある実施形態では、前記電極は、前記試料
の表面に対する相似形状を、前記試料に対向する面の少
なくとも一部に有しており、前記高圧プラズマは、前記
反応ガス供給部の近傍の高圧力部から該電極の周囲の前
記気体雰囲気或いは前記排気口へ向かう該試料表面に沿
った流れの中に発生される。
【0051】前記所定の気体雰囲気を維持する反応容器
を更に備えていてもよい。
【0052】前記所定の気体雰囲気を維持する反応容器
と、該反応容器或いは前記排気口から排気されたガスを
再処理して、前記反応ガス或いは前記気体雰囲気として
該反応容器に再び供給する手段と、を更に備えていても
よい。
【0053】前記試料と前記高圧プラズマとを相対移動
させて該試料の全体に対して表面処理を行う手段を更に
備えていてもよい。
【0054】
【発明の実施の形態】具体的な本発明の実施形態の説明
に先立って、まず、本発明における気体雰囲気内に配し
た試料近傍に成膜又は表面処理を行なうための高圧反応
ガスを局所的に供給すると同時に、前記の気体雰囲気よ
り局所的な高圧反応ガス領域を前記試料近傍に形成する
様な気体の流れ場を構成する方式について、図22及び
図23を参照して説明する。
【0055】図22は、円板H0による気体の流れ場の
形成を示す概略図である。
【0056】具体的には、被成膜試料Jの被成膜面形状
が平面である場合、外半径R2、内半径R1、厚さT1
の平面形状を持つ円板H0をギャップt0だけ離れて被
成膜試料Jに対向させ、更に高圧気体供給路101によ
って半径R1の内径穴を通じて、圧力psの高圧気体を
局所的に供給する。更に、この高圧気体は、円板H0−
被成膜試料Jの間に形成された気体流路を通じて、圧力
p0の円板H0の周囲の気体雰囲気へ流れるものとす
る。
【0057】ここで、円板H0と被成膜試料Jとの間を
流れる気体の重量流量w、及び圧力分布pを、図23を
用いて求める。図23は、円板H0と被成膜試料Jとの
間に円筒座標軸を設定した図である。
【0058】図23に示される様に、被成膜平面及び円
板H0に垂直で且つ円板H0の中心を通る直線をz軸と
し、前記z軸が被成膜平面と交わる点を原点Oとする。
更に、図23の様に、原点Oを通り且つ被成膜平面上に
ある直線を円筒座標系のr軸とし、また、そこから反時
計周りに回転角θ0をとるものとする。
【0059】まず第1に、円板H0と被成膜試料Jとの
間を流れる気体の重量流量wを求める。前記気体の流量
wは、粘性を考慮した気体の運動方程式であるナビエ・
ストークス方程式によって規定される流速を用いて求め
ることができる。このナビエ・ストークス方程式を円筒
座標系で示すと、以下の式(1)のようになる。
【0060】
【数1】
【0061】ここで、円板H0−被成膜試料Jの間を流
れる気体流量wを求めるために、以下の仮定を行なう: (1)円板H0−被成膜試料Jの間の距離t0は円板外
半径R2に比べて非常に小さい (2)円板H0−被成膜試料Jの間の流れは、発達した
境界層流れである (3)z軸方向に圧力分布はなく、従ってz軸方向の気
体の速度を無視する (4)θ方向にも圧力分布はなく、従ってθ軸方向の気
体の速度も無視する (5)圧力勾配の項に比べて、慣性力の項は小さい (6)主なる粘性力はδ2r/δz2のみであり、他は
無視する。 以上の仮定を式(1)に当てはめると、以下の式(2)
のように簡略化される。
【0062】
【数2】
【0063】但し、pはr方向の圧力分布、vrはr方
向の流速分布、及びμは気体の粘性係数である。
【0064】壁面においては、気体の速度は壁面の速度
に等しいとすることができるので、境界条件は、
【0065】
【数3】
【0066】となる。圧力pはz方向に分布を持たない
ので、式(2)を式(3)の境界条件について解くと、
【0067】
【数4】
【0068】が得られる。従って、円板H0−被成膜試
料Jの間を流れる気体の重量流量wは、
【0069】
【数5】
【0070】と表される。但し、ρは気体の密度であ
る。
【0071】一方、気体の状態方程式より得られる以下
の式(6)、
【0072】
【数6】
【0073】(但し、mは気体の分子量m、R0は気体
定数、T0は絶対温度)を式(5)に代入すると、
【0074】
【数7】
【0075】が得られる。ここで、wはrによらず一定
値をとらなければならないため、
【0076】
【数8】
【0077】が得られる。これより、
【0078】
【数9】
【0079】が得られる(但し、E0及びF0はそれぞ
れ積分定数)。これに境界条件を代入すると、
【0080】
【数10】
【0081】
【数11】
【0082】が得られる。従って、円板H0の下面に、
円板H0−被成膜試料Jの間の気体圧力によって働く力
は、上記の式(10)を積分して、
【0083】
【数12】
【0084】から求めることができる。また、同時に、
円板H0の上面には、周囲雰囲気の圧力p0が働くた
め、円板H0には重力を除いて、
【0085】
【数13】
【0086】なる力fが、z軸の正方向に働く。
【0087】また、式(11)より、
【0088】
【数14】
【0089】
【数15】
【0090】
【数16】
【0091】が得られる。このとき、式(16)の中の
wは流量、ps−p0は差圧であるため、C0はコンダ
クタンスを表し、以下の式(17)、
【0092】
【数17】
【0093】で表される。
【0094】ここで、円板H0−被成膜試料Jで構成さ
れる気体流路のコンダクタンスC0は、圧力ps及びp
0によって変化するが、幾何学的境界条件によってこの
コンダクタンスC0を設定する場合には、t0、R2、
R1に依存する。
【0095】上記において、プラズマを発生させる気体
の圧力を、例えば大気圧近傍の高圧力に設定し、多くの
気体分子をプラズマ中に供給して高い成膜速度を達成す
る方式が、従来技術として説明した方式である。
【0096】ここで、圧力ps1で気体を供給し、要求
される所定の気体の流量をw1とし、その時の円板H0
の周囲圧力をp01、その時の気体の物性及び円板によ
る境界条件R1、R2、t0によって決定される定数c
の値をc=c1、コンダクタンスをC0=C01とす
る。
【0097】ここで、プラズマを発生させるために供給
する気体の種類(分子量m)、圧力(ps)、温度
(T)は、被成膜試料J、及び目的とする膜仕様やプラ
ズマ現象等によって決定されるため、変更することがで
きない。変更可能であるパラメータは、円板周囲の雰囲
気圧力p0、及び円板H0の配置、すなわち境界条件R
1、R2、t0である。
【0098】まず、c=c1が非常に大きくなるように
R1、R2、t0を設定する場合を考える。これは、供
給部から円板周囲への気体流路の幅t0を広くし、R2
/R1を大きくすることによって、高圧反応ガス供給部
から周囲気体雰囲気への気体流路のコンダクタンスC0
を高くした場合に相当する(C0=C01)。
【0099】このとき、式(14)及び式(15)よ
り、ps1≒p01となり、高圧ガス供給部圧力psと
円板周囲圧力p0が等しくなる。また、式(10)よ
り、p≒ps≒p0(R1≦R≦R2)となり、高圧力
供給部から周囲気体雰囲気への気体流路である円板H0
−被成膜試料Jの間に圧力分布は発生しない。
【0100】これに対して、必要気体供給量w1及び供
給気体圧力ps1をそれぞれ同じ値に保ったままで、コ
ンダクタンスC0を低くしてC0=C02とし(C01
>C02)、それに対応して周囲気体圧力p0を小さく
設定する場合を考える(p0=p02<ps1≒p0
1)。
【0101】このときには、式(14)及び式(15)
より、気体流量wがw=w1=c2(ps12−p0
2)を保つようにC02及びp02が設定され、且つ
ps1(供給部圧力)>p02(円板H0の周囲雰囲気
圧力)であるために、式(10)によって示される圧力
分布が、円板H0−被加工物Jの間、つまり低コンダク
タンス流路部分に形成される。これより、円板H0−試
料Jの間の圧力は、円板周囲の圧力p0=p02より、
全て高圧力状態となる。
【0102】以上の点を考慮すると、同じ圧力ps1に
よって気体を供給し、ある同じ気体の供給量w1を実現
する方法としては、(1)供給部から周囲雰囲気への気
体流路のコンダクタンスが大きくなる様に、気体の流れ
場(今回は前記壁面H0)を設定し、供給圧力psと周
囲圧力p0とが等しい状態で気体を流す、或いは、
(2)前記のコンダクタンスが低くなる様に上記の壁面
H0を設定し、供給圧力psと周囲圧力p0との差圧が
大きい状態で気体を流す、という2通りのケースが存在
することになる。
【0103】ここで更に、円板H0−被成膜試料Jの間
にプラズマを発生させ、高成膜速度を達成するためにp
sを大きくして高圧力気体を供給するケースを考える。
【0104】前述したように、上記(1)及び(2)の
何れの場合においても、円板H0−被成膜試料Jの間に
は同じ気体流量w=w1が流れ、(1)及び(2)の各
々における成膜速度は同じである。
【0105】しかし、前記(1)の場合には、供給部の
圧力ps、プラズマを発生させる円板H0−被成膜試料
Jの間、更に周囲圧力p0に圧力分布はなく、全て同じ
圧力である。ここで、プラズマ部は高圧力であるので、
粒子の平均自由行程が短く、このために容易に衝突・凝
縮して反応生成物を形成する。これらの反応生成物は、
プラズマ中においては即座に再分解し、被成膜表面を汚
染することはない。しかし、周囲気体雰囲気において
は、その周囲雰囲気圧力がプラズマ部と同等の高圧力で
あるため、その平均自由行程の短さから、非常に頻繁に
衝突・凝縮を繰り返し、粒径の大きい反応生成物が形成
される。粒径の大きい反応生成物は、プラズマ中に拡散
した場合においてもその粒径の大きさから即座に分解さ
れず、被成膜表面に付着して膜中に取り込まれ、膜質を
劣化させる。また、成膜後においても膜表面に付着し、
高成膜速度を達成する代わりに加工物表面を汚染しやす
くなる。なお、前述したようにプラズマ中において発生
した反応生成物は即座に再分解されて粉状反応生成物は
成長しないため、上記の問題点は、大きな粒径の反応生
成物が、プラズマ外部の高圧力により成長することに起
因する。
【0106】反応生成物の発生を抑制するために周囲気
体雰囲気圧力p0=p01を低くすると、供給部の圧力
ps、プラズマを発生させる円板H0−被成膜試料Jの
間、更に周囲圧力p0が等しい状態であるため、プラズ
マ部の圧力も減少する。この結果、良好な膜質や清浄表
面を得ることはできるが、高成膜速度を達成できない。
【0107】これより、上記(1)の状態においては、
高成膜速度及び清浄表面を同時に実現することができな
い。
【0108】一方、上記の(2)のケースでは、高成膜
速度を達成するための同じ気体供給量w1が実現される
と同時に、その気体流路のコンダクタンスC0の低さか
ら、供給部の圧力psに対してps>p02なる周囲雰
囲気圧力p02が維持される。このような状態では、プ
ラズマ中において発生した反応生成物は、(1)と同様
に即座に再分解され、被成膜表面を汚染しない。更に
(2)の場合には、周囲気体雰囲気も、プラズマを発生
させる円板H0−被成膜試料Jの間より低圧力であるた
めに、平均自由行程が比較的長い。このため、反応生成
物の衝突及び凝縮が生じ難く、粒径の大きな反応生成物
が成長せずに、清浄な成膜を行なうことができる。
【0109】このように、上記(2)の場合には、プラ
ズマ部を高圧力に設定することによって高成膜速度を達
成し、同時に、周囲雰囲気がプラズマ部より低圧力であ
ることから、良好な膜質で且つ清浄な被成膜表面を得る
ことができる。
【0110】周囲圧力p0が小さければ小さいほど、清
浄な成膜を行なうことができる。この最小値は、p0=
0、つまり周囲が真空状態のときである。
【0111】上記(1)及び(2)の各々の場合におい
て、供給圧力ps、周囲雰囲気p0、重量流量w、コン
ダクタンスC0、定数cの状態を示すと、以下の表4の
ようになる。
【0112】
【表4】
【0113】本発明では、高圧ガス供給部から円板H0
の周囲の雰囲気への気体流路を、内半径R1及び外半径
R2である円板H0と、そこから間隔t0だけ離れて対
向させた被成膜試料Jによって形成する。この気体流路
のコンダクタンスも、粘性気体の運動方程式であるナビ
エ・ストークス方程式(式1)を用いて求めた。
【0114】但し、高圧ガス供給部と周囲雰囲気との差
圧は、高圧ガス供給部から周囲雰囲気への気体の流れ場
を設定し、更に流れ場のコンダクタンスを低くすること
によって、形成することができる。このときの具体的な
手法としては、円板H0−被加工物Jの間の間隔t0を
小さくし、R2/R1を大きくする方法に限定されるも
のではない。また、流れる気体の圧力が低い場合におけ
るコンダクタンスC0は、実際には、上述のナビエ・ス
トークス方程式によってではなく、気体分子運動論を用
いて求めなければならない。しかし、コンダクタンスC
0の求め方に関わらず、高圧ガス供給部から周囲の雰囲
気への気体流路を低いコンダクタンスに設定することに
よって、先に(2)の場合に示したような、高い成膜速
度での清浄表面の形成が実現される。
【0115】以下には、以上のような考察に基づいて達
成された本発明のプラズマを用いた表面処理(成膜或い
は表面改質)の方法及び装置を、添付の図面を参照しな
がら説明する。
【0116】(第1の実施形態)図1は、電極浮上型高
圧浮上電極H1と、試料J、試料台T、走査ステージ
S、反応容器C、電源G、共振・整合装置M、フレキシ
ブル電力伝送線路I、電力伝送線路K、高圧反応ガス供
給装置R、排気装置E、電極走査装置U、及びそれらを
制御する制御装置Nとの配置関係を示す全体概念図であ
る。なお、図示しないが、試料−電極間ギャップを測定
する試料−電極間ギャップ測定装置が設けられ、更に電
極H1及び試料台Tには、それぞれの温度を調整するた
めの水冷機構或いは加熱機構(不図示)が設けられる。
また、試料台Tは、更に試料固定部Fを備えている。
【0117】図2は、前述した電極浮上型高圧浮上電極
H1の断面図である。
【0118】図2において、1は、高圧反応ガスを高圧
反応ガス供給装置Rから電極浮上型高圧浮上電極H1へ
輸送する高圧反応ガス供給経路である。2は、電極浮上
型高圧浮上電極H1の試料Jに対向する位置に設けられ
て、高圧反応ガス供給装置Rから輸送された高圧反応ガ
スを噴出する高圧力反応ガス供給口である。111は、
高圧反応ガス供給口2から供給する反応ガスの圧力を、
供給口2によって分布が発生しない様にするバッファ部
であり、図中に描かれている複数のバッファ部111
は、実際にはお互いにつながっている。3は、反応ガス
排気口4と排気装置Eとをつなぐ反応生成物排気経路で
ある。また、反応ガス排気口4は、排気装置Eにつなが
っており、局所的な高圧プラズマP(「局所高圧プラズ
マP」とも称する)の中での反応によって発生した反応
生成物を排気する。5及び6は、それぞれ電極浮上型高
圧浮上電極H1の内側電極及び外側電極である。11
は、内側電極5と外側電極6との間を絶縁する絶縁体で
あり、7は、内側電極5及び外側電極6と絶縁体11と
によって形成される電力伝送線路開放端である。8は、
電極浮上型高圧浮上電極H1とフレキシブル電力伝送線
路Iとを接続するコネクタである。9は、電極浮上型高
圧浮上電極H1と駆動モータ10とを接続する走査ワイ
ヤ或いはベルトであり、これを通じて駆動モータ10を
回転させることによって、電極浮上型高圧浮上電極H1
を試料Jに対して相対的に移動させる。走査ワイヤ(ベ
ルト)9と駆動モータ10とを総称して、走査装置Uと
呼ぶ。
【0119】図3は、電極浮上型高圧浮上電極H1の試
料対向部分を表した下方斜面図である。
【0120】図示されるように、電極浮上型高圧浮上電
極H1の電極形状を、反応生成物排気口4を中心に持つ
円盤型形状とする。また、高圧反応ガス供給口2は、図
3の中に示される微小孔とし、この微小孔を同一円周上
に多数個配置する。これらの微小孔は、ここから供給さ
れるガスの圧力分布(流量分布)が均一になるように配
置することが好ましく、具体的には、ある円周上に等間
隔で配置されることが好ましい。また、局所高圧プラズ
マPを発生させる電力伝送線路開放端7も、同様の円周
形状とし、その形成位置は、高圧反応ガス供給口2より
も反応ガス排出口4に近い側に、十分離れて設ける。
【0121】更に、図4は、試料Jと試料台Tとの間の
段差tを示す部分断面図である。
【0122】本発明の第1の実施形態においては、反応
容器Cの内に試料J及び電極浮上型高圧浮上電極H1を
対向させて配置し、高圧反応ガス供給装置Rより、目的
とする膜特性などに基づいて決定された高圧反応ガス
を、高圧反応ガス供給経路1を通じて電極浮上型高圧浮
上電極H1に供給する。高圧浮上電極H1は、高圧浮上
電極H1と試料Jとが対向する部分に、高圧反応ガスを
高圧反応ガス供給口2より供給することによって、試料
Jに対して微小間隔Dだけ浮上する。上記の構成では、
電極H1と試料Jとの間の間隔Dが非常に狭いために、
この部分に供給されたガスは、電極周囲の雰囲気に流出
し難い。従って、電極H1と試料Jとに挟まれた部分が
高圧力に維持されて、ここに高圧部分が形成される。
【0123】これにより、低コンダクタンスの気体流路
における差圧発生理論(先述の(2)のように供給圧力
psと周囲圧力p0との間の差圧を利用するケース)に
関連して説明したように、高圧浮上電極H1の試料Jと
対向する部分を、高圧反応ガス供給口2から反応容器C
内の気体雰囲気へ向かう気体流路を低コンダクタンスな
気体流路にする壁面とし、この低コンダクタンスによ
り、排気装置Eにより排気される反応容器C内の気体圧
力より高圧力の反応ガス領域(高圧反応ガス領域)を、
高圧浮上電極H1と試料Jの間の微小間隔Dによる低コ
ンダクタンス部分に、局所的に形成する。
【0124】更に、電源Gから発生した電力は、電力伝
送線路K、共振・整合装置M、フレキシブル電力伝送線
路Iを通じて高圧浮上電極H1に伝達され、更に内側電
極5、外側電極6、及び絶縁体11によって構成される
電極内電力伝送線路を通じて、高圧浮上電極H1の試料
Jと対向する部分であって且つ高圧反応ガス供給口2よ
り離れた位置に設けられた電力伝送線路開放端7に伝達
される。これによって発生された高電界は、電力伝送線
路開放端7の位置、すなわち高圧浮上電極H1と試料J
との間の微小間隔Dの中の高圧力反応ガス領域中であっ
て、且つ高圧反応ガス供給口2より離れた部分に、局所
高圧プラズマPを発生させる。この局所高圧プラズマP
の中で高圧反応ガスを分解・活性化し、プラズマPの直
下における試料Jに対して成膜を行う。
【0125】プラズマPにおいて生じた反応生成物は、
反応生成物排気口4から、反応生成物排気経路3を通じ
て排気装置Eによって即座に排気される。また、反応容
器C内の気体雰囲気へ流れた反応生成物は、反応容器C
全体を同様に排気装置Eによって即座に排気することに
より、除去される。
【0126】更に、以上の構成では、走査装置U及び走
査ステージSを用いて高圧浮上電極H1と試料Jとの相
対的位置を変化させることによって、試料Jの表面の全
体に渡って成膜を行うことができる。また、制御装置N
によって、所望の成膜を行うための制御が行われる。
【0127】このように、以上の構成では、高圧浮上電
極H1と試料Jとの間の微小間隔D中の高圧力雰囲気に
局所高圧プラズマPを発生させるため、高密度な活性種
を生成でき、その結果として高い成膜速度を実現でき
る。また、同時に、反応容器C内の圧力(周囲気体雰囲
気の圧力)が、局所高圧プラズマPが発生して成膜が行
われている高圧浮上電極H1と試料Jとの間の高圧力雰
囲気に比べて低圧に、或いは真空に維持されていること
から、前述したように、粒径の大きな反応生成物が成長
することは無く、試料Jに良質な膜を形成できて、且つ
膜表面も清浄に維持できる。
【0128】反応容器C内の圧力が低いほど、清浄な膜
表面が得られて、良質な成膜を行なうことができる。特
に、反応容器C内の雰囲気が真空である場合に、最大の
効果を得ることができる。
【0129】また、反応容器C内の圧力が1気圧以下で
ある場合には、反応容器Cの外の大気よりも圧力が低い
ため、ガス漏洩時においても反応容器Cの中のガス雰囲
気が反応容器Cの外に漏洩せず、装置の安全性を高める
ことができる。
【0130】更に、反応容器C内の雰囲気が真空雰囲気
である場合は、試料Jを反応容器Cの外に搬出する際の
反応ガスパージ時に、反応ガスを排気する時間を非常に
短く、或いは完全に無くすことができるので、装置のス
ループットが向上する。
【0131】また、以上のように、微小間隔Dの高圧力
と反応容器C内の雰囲気(周囲気体雰囲気)との差圧に
より、電極H1を試料Jに対して浮上させるので、電極
H1が試料Jに対して傾くこと無く、微小間隔Dを維持
することができる。また、前記微小間隔D中には、試料
表面に沿って、高圧反応ガス供給口2から反応容器C内
の雰囲気或いは反応生成物排気口4へ向かう反応ガスの
よどみの無い流れが形成されており、このような流れが
形成される微小間隔D中に局所高圧プラズマPを発生さ
せることにより、膜厚分布の均一な膜を形成することが
できる。
【0132】また、高圧反応ガス供給口2の直下でな
く、供給口2より離れた部分に局所高圧プラズマPを発
生させることにより、供給口2の反応ガス噴出流によっ
て供給口2の周辺の成膜量より供給口2の直下の成膜量
が多くなるような成膜量分布が形成されることがない。
これによって、膜厚分布の均一な成膜を行うことができ
る。
【0133】更に、以下には、(1)電極H1を試料J
に対して微小間隔Dだけ浮上させる方式及びその効果、
(2)電力伝送線路開放端7によってプラズマPを発生
させる方式及びその効果、(3)良質な膜質及び清浄な
成膜表面を得る方式、並びに(4)ガス供給口2の直下
における成膜量分布の形成防止方式について、詳述す
る。
【0134】まず、(1)として、電極H1を試料Jに
対して微小間隔Dだけ浮上させる方式について説明す
る。
【0135】図5(a)は、電極浮上型高圧浮上電極H
1−試料Jの間の微小間隔Dの近傍の模式的断面図であ
り、図5(b)は、上記の微小間隔D中の高圧反応ガス
の圧力分布を示す模式図である。図5(b)において、
P0は高圧反応ガス供給口部の圧力、P1は反応容器内
の気体圧力、並びに、P2は反応ガス排気口部の圧力で
ある。
【0136】この圧力分布は、図22として示されるよ
うな簡単な場合においては、代数的に規定することがで
き、同時に、気体圧力より受ける力を前記式(13)に
より計算できる。しかし、電極H1のように高圧反応ガ
ス供給口2を多数持つ場合には、代数的に求めることは
できず、有限要素法等の方法を用いて数値解析を行なう
ことになる。同様に、気体圧力より電極H1が同時に受
ける力も、数値解析的に求めることになる。
【0137】高圧反応ガス供給装置Rより、反応ガス
種、温度、圧力、流量、混合比を制御されながら供給さ
れた高圧反応ガスは、高圧反応ガス供給経路1を通じ
て、電極浮上型高圧浮上電極H1の内部へと供給され
る。電極浮上型高圧浮上電極H1の内部へ供給された高
圧反応ガスは、図2の断面図に示される電極浮上型高圧
浮上電極H1において、試料Jと対向する位置に設けら
れた高圧力反応ガス供給口2から、高圧浮上電極H1と
試料Jとの間隔へ供給される。そして、排気装置Eによ
り排気されて低圧或いは真空となった反応容器C内の気
体雰囲気との差圧による力を受けて、電極浮上型高圧浮
上電極H1を試料Jより微小間隔Dだけ浮上させる。
【0138】微小間隔Dの浮上量が小さいため、高圧力
反応ガス供給口2から反応容器Cの低圧或いは真空雰囲
気へと向かう気体流路のコンダクタンスは非常に小さく
なり、図5中の反応ガス供給口2における反応ガス供給
圧力P0から、反応容器Cの低圧或いは真空雰囲気の圧
力P1へ、連続的に変化する圧力分布を形成する。同時
に、電極浮上型高圧浮上電極H1の試料対向部分12に
開口すると共に反応生成物排気経路3を通じて排気装置
Eに接続され、微小間隔D中の反応ガス及び反応生成物
を排気する反応ガス排気口4には、圧力P2(P2<P
0)の低圧雰囲気が形成されている。これによって、同
様に、高圧反応ガス供給口2における圧力P0から、反
応ガス排気口4の周辺領域の低圧力P2へ変化する圧力
分布を形成する。このような微小間隔Dによって変化す
る圧力分布による反応容器C内の雰囲気との差圧と電極
H1の重量とのバランスによって、電極H1は浮上す
る。
【0139】この微小間隔Dは、反応ガス供給圧力P
0、反応容器内圧力P1、電極重量、電極−試料対向面
積、高圧反応ガス供給口2の出口形状、高圧浮上電極内
の反応生成物排気口における排気速度によって決定され
る。そこで、図示しない試料電極間ギャップ測定装置に
よって電極―試料間隔を測定し、反応ガス供給圧力P
0、温度、混合比また周囲圧力、温度等を制御すること
によって、電極H1と試料Jの広い対向面積に対して、
電極―試料間隔を、1μm〜数百μmの微小間隔に安定
して制御できる。
【0140】この時、電極間ギャップ測定装置によって
電極―試料間隔を測定し、ステージSによって電極―試
料間隔を一定に保つことも、原理的には可能である。し
かし、実際には、プラズマの熱による電極H1及び試料
Jの変形、プラズマを発生させるための電界、更に腐食
性雰囲気によって、精密なギャップ測定を行なうことが
困難である。この様な場合においても、本発明によれ
ば、電極―試料間の圧力と反応容器C内の雰囲気との差
圧を用いて電極H1を試料Jに対して浮上させることに
より、電極H1と試料Jの広い対向面積に対して、電極
―試料間隔を1μmから数百μmの微小間隔に、安定し
て制御することができる。
【0141】更に、図示しないが、磁性体或いは磁力発
生機構を必要に応じて電極H1及び試料台に設け、この
磁性体或いは磁力発生機構から発生する磁力によって電
極H1を浮上させれば、高圧反応ガス供給口部の圧力P
0を低く設定することが可能となり、電極H1の重量で
なく目的とする膜特性によって、高圧反応ガス供給口部
の圧力条件を設定することも可能になる。
【0142】次に、(2)として、微小間隔D中の高圧
反応ガス領域に局所高圧プラズマPを発生させる方式に
ついて、説明する。
【0143】図6は、電極浮上型高圧浮上電極H1の試
料Jと対向する部分に設けられた電力伝送線路開放端7
における、局所高圧プラズマPの発生を示す概略図であ
る。
【0144】図1の電源Gより発生した電力は、電力伝
送線路Kを通り、共振・整合装置Mに達する。共振・整
合装置Mにより必要に応じて昇圧及びインピーダンスマ
ッチングを行われた電力は、効率よく高圧浮上電極H1
へ伝達される。共振・整合装置Mにより昇圧された電力
は、フレキシブル電力伝送線路Iを通じて電極浮上型高
圧浮上電極H1に供給され、更に、内側電極5、外側電
極6、及び絶縁体11によって構成される電極内電力伝
送線路を通じて、高圧浮上電極H1の試料Jに対向する
部分であって且つ高圧反応ガス供給口2より離れた位置
に設けられた電力伝送線路開放端7に達する。
【0145】電力伝送線路開放端7は、図2に示される
実施形態においては、電源Gより直流或いは交流電圧を
伝送する電力伝送線路K、フレキシブル電力伝送線路
I、及び電極内電力伝送線路が、最終的に高圧浮上電極
H1の試料対向部分12において、絶縁体11によって
内側電極5と外側電極6とが絶縁された状態のままで終
端している部分を意味する。この電力伝送線路開放端7
の設置により、図6に示されるように、内側電極5と外
側電極6との間で高電圧或いは強電界を発生させて、試
料Jの有無に関係なく、内側電極5と外側電極6との間
でプラズマPを発生させることが可能になる。更に、外
側電極6−内側電極5間以外にプラズマPが拡大するこ
とを抑制することができ、局所高圧プラズマPを発生さ
せることができる。
【0146】電力伝送線路開放端7は、高圧浮上電極H
1の試料対向部分12に形成されているため、高圧浮上
電極H1−試料Jの間の高圧反応ガス領域に、局所高圧
プラズマPを発生させる。局所高圧プラズマPの中で高
圧反応ガスは解離し、反応ガスに基づく活性種を発生し
て試料Jの表面に成膜を行う。高圧反応ガスに基づいて
活性種は非常に高密度となり、高速度な成膜を行うこと
を可能とする。
【0147】本実施形態の場合には、内側電極5をカソ
ード電極、外側電極6をアノード電極として、試料Jの
有無に関係なく、内側電極5と外側電極6との間でプラ
ズマPを発生させることが可能であるため、電極走査の
際に電力伝送線路Kの等価回路が変化せず、プラズマP
が安定して、均一な膜厚分布を得ることができる。この
プラズマPの安定は、内側電極5をカソード電極、外側
電極6をアノード電極とする場合に限らず、電力伝送線
路開放端において高電界を発生させて、試料Jの有無に
関係なくプラズマPを発生させることに起因する。
【0148】更に、ここで図示しないが、電極H1及び
試料台Tの少なくとも何れか一方に、使用する電源Gの
周波数の電磁波に対して大きな吸収係数を持つ電力吸収
体を、反応ガス供給部2から周囲の気体雰囲気へ流れる
低コンダクタンス流路のうちで局所高圧プラズマPが発
生する領域より低圧力側に設ければ、局所高圧プラズマ
Pで消費されず通過した電磁波を吸収することができ
る。これにより、特に反応容器内圧力が真空雰囲気であ
る場合に、周囲の気体雰囲気にプラズマが発生すること
を防ぐことができる。更に、上記のような電力吸収体を
設ければ、電極走査の際に電力伝送線路Kの等価回路が
変化せず、プラズマが安定して、更に均一な膜厚分布を
得ることができる。
【0149】次に、(3)として、本実施形態によっ
て、高速度で試料Jの成膜を行い、且つ良好な膜質を有
する清浄な成膜表面を得る方式について、以下に説明す
る。
【0150】本発明においては、高圧反応ガス領域中に
おける局所高圧プラズマにより高圧反応ガスに基づく高
密度活性種を発生させて、試料Jに対する高成膜速度を
達成し、同時に、反応容器内圧力を局所高圧プラズマ発
生部の圧力より低く或いは真空に維持することによっ
て、良質な膜質及び清浄な成膜表面を得る。反応ガスに
用いるガス種、温度、圧力は、目的とする膜材料によっ
て選択されなければならない。また、反応ガス種に用い
るガスは、一種類に限定されず、希ガス或いは他の反応
ガスと混合させて、最適条件を設定する。
【0151】高圧反応ガス供給口2より供給された高圧
反応ガスは、図5に示されるように高圧反応ガス供給口
2の高圧力P0から、低圧或いは真空雰囲気に排気され
た反応容器内の圧力P1或いは反応ガス排気口4の圧力
P2へ、連続的に変化する圧力分布に従って移動する。
そして、高圧浮上電極H1の試料対向部分12に設けら
れた電力伝送線路開放端7に発生した局所高圧プラズマ
Pにおいて、分解・励起され、反応ガスに基づく活性種
を発生して、局所高圧プラズマPの直下で成膜を行う。
【0152】ここで、局所高圧プラズマPによる反応に
おいて生じるのは、成膜に寄与する活性種のみでなく、
他に、成膜に寄与しない分子や原子、及びそれらが互い
に或いは反応容器内の炭化粉末物や金属粉末物などと付
着・重合した反応生成物も、生じる。この炭化粉末物や
金属粉末物などは、供給ガス、電極材料、反応容器材料
などの各種構造物材料から発生する。これらを、不純物
と呼ぶ。上記のような反応生成物も試料Jの表面に到達
するが、試料Jの表面にこれらの反応生成物が付着した
ままで成膜が進行すると、反応生成物が膜中に取り込ま
れて膜質を劣化させる。
【0153】プラズマ中においては、凝縮した反応生成
物は、粒径が小さい場合はプラズマによって即座に再分
解され、反応生成物として基板表面に到達することはな
い。しかし、プラズマ外部に放出された反応生成物は再
分解されること無く、互いに或いは容易に反応容器内の
不純物と凝縮する。これによって、反応生成物の粒径が
増大し、また、粒径の大きい反応生成物の粒子数が増大
する。ここで問題となるのは、上記のようにして生成さ
れる、粒径の大きな反応生成物である。それらの粒径の
大きな反応生成物は、再びプラズマ中に拡散した場合に
おいても即座に再分解されず、ある一定の粒子径を持っ
たままで試料基板Jに到達して、基板Jの上に形成され
た膜中に混入することによって、膜質を著しく低下させ
る。或いは、粒径の大きな反応生成物は、反応容器Cの
内壁に付着して、反応容器Cの内部を汚染し、その結果
として、成膜後の膜表面を汚染してプロセス自体の歩留
りを悪化させる。
【0154】上記で問題となるのは、プラズマの外部
が、プラズマ部と同等の圧力状態である点である。この
ために、プラズマ外部に放出された反応生成物が成膜室
内を長時間浮遊し、その間に、高圧力雰囲気に起因する
平均自由行程の短さから互いに或いは反応容器中の不純
物と多数回の衝突・凝縮を繰り返して、反応生成物の粒
径の増大や粒径の大きい反応生成物の粒子数の増大を引
き起こす。また、前述したように再びプラズマ中に拡散
した場合においても、即座に再分解されずに試料Jの表
面に到達し、膜中に混入することによって膜質を著しく
低下させる。
【0155】これに対して本実施形態では、試料Jに高
圧浮上電極H1を対向させ、高圧反応ガス供給口2から
反応容器Cの内部雰囲気への気体流路を、低コンダクタ
ンスな気体流路とする。これにより、試料J−電極H1
間の気体流路部分に反応容器C内の雰囲気圧力より高圧
力な反応ガス領域を形成し、そこにプラズマPを発生さ
せることにより高成膜速度を達成する。その一方で、反
応容器C内の雰囲気圧力はプラズマ部より低圧力である
ため、平均自由行程が大きくなる。これによって、反応
生成物が互いに衝突・凝縮せず、反応生成物の粒径が大
きく成長しない。粒径の小さい反応生成物は、プラズマ
に拡散した場合に即座に再分解され、成膜表面に到達す
ることが無いので、良質な膜質及び清浄な膜表面を得る
ことができる。
【0156】反応容器C内の雰囲気圧力は、低圧である
ほど良質な膜質及び清浄な膜表面を得ることができ、真
空雰囲気がその下限となることは言うまでもない。
【0157】また、高圧浮上電極H1−試料Jの間の微
小間隔D中の試料表面に沿った流れによる、局所高圧プ
ラズマP中で発生した反応生成物の輸送及び除去につい
て考えると、局所高圧プラズマP中の高圧反応ガスに基
づく反応生成物は、試料表面に沿った流れによって速や
かに局所高圧プラズマPから移動し、一定領域によどむ
ことの無いまま、高圧浮上電極H1中に設けられた反応
ガス排気口4を通じて反応ガス排気装置Eへ排出され
る。これによって、膜表面或いは反応容器内の雰囲気の
清浄化が実現される。また同時に、反応生成物は、よど
むことの無いままに高圧浮上電極H1の周囲の真空或い
は低圧雰囲気にも放出される。反応容器Cの内部を常時
排気して真空或いは一定の圧力以下に維持することで、
放出された反応生成物の雰囲気パーティクルとの凝縮や
被加工物表面への再付着を避けることができて、反応容
器内及び膜表面の清浄化を実現することができる。
【0158】なお、反応容器Cから排気されたガスを再
処理して、反応ガス或いは反応容器C内の周囲気体雰囲
気として、反応容器Cに再び供給する手段を更に備える
ことも可能である。
【0159】更に、本実施例において、電力伝送線路開
放端7を高圧反応ガス供給口2より離れた位置に設置す
ることによる、高圧反応ガス供給口2の直下における成
膜量分布形成の防止について、更に説明する。
【0160】図7(a)は、高圧反応ガス供給口2の近
傍における構成を模式的に示す断面図であり、図7
(b)は、図7(a)の構成を利用して高圧反応ガス供
給口2を含む近傍に局所高圧プラズマPを発生させる場
合に、供給口2の直下に形成される膜厚分布を示す断面
図、更に図7(c)は、上記に際して微小間隙Dに発生
するガス流の状態を模式的に示す図である。一方、図8
(a)は、高圧反応ガス供給口2から離れた位置に電力
伝送線路開放端7を設置する場合の、高圧反応ガス供給
口2及び線路開放端7の近傍における構成を模式的に示
す断面図であり、図8(b)は、図8(a)の構成を利
用して高圧反応ガス供給口2を含む近傍に局所高圧プラ
ズマPを発生させる場合に、供給口2の直下に形成され
る膜厚分布を示す断面図、更に図8(c)は、上記に際
して微小間隙Dに発生するガス流の状態を模式的に示す
図である。図7(b)及び図8(b)において、171
1は、高圧反応ガス供給口2を含む近傍に局所高圧プラ
ズマPを発生させる場合に供給口2の直下に形成される
成膜量分布、1712は、高圧反応ガス供給口2から離
れた位置に電力伝送線路開放端7を設置して局所高圧プ
ラズマPを発生させる場合に局所高圧プラズマPの直下
に形成される成膜量分布である。また、図7(a)及び
図8(a)において、1611は、高圧反応ガス供給口
2から噴出する高圧反応ガス噴出流、1612は、微小
間隔D中で試料表面に沿う流れとなった高圧反応ガス流
であり、図7(c)及び図8(c)において、1613
は、供給口2の近傍で乱流になった反応ガスの流速分
布、1614は、供給口2から離れて、せん断流へ変化
する反応ガスの流速分布、1615は、供給口2から十
分に離れて、せん断流になった反応ガスの流速分布であ
る。
【0161】高圧浮上電極H1−試料Jの間の微小間隔
Dの中の高圧反応ガスの流速分布においては、高圧反応
ガス供給口2の直下及びその近傍においては乱流161
3が発生し、その流速分布は乱れた分布となって、また
時間的に変化する非定常流になる。この場合には、試料
表面に沿った流速分布のみではなく、試料表面に垂直な
方向にも流速分布を有する。しかし、供給口2から離れ
るに従って、流速分布は1614に示すように次第に安
定化し、試料表面に沿った方向の流速分布のみを有する
ようになる。最終的には、微小間隔D及び反応ガスの流
速などのパラメータにもよるが、1615に示されるよ
うに、試料表面に沿った流速分布のみを有する定常せん
断流になる。参照番号1615で示される、この定常せ
ん断流の流速分布Uは、以下の式(18)、
【0162】
【数18】
【0163】で表される。但し、上記の式(18)にお
いて、微小間隔Dの中心に座標原点をとり、試料表面に
垂直な方向にx軸をとるものとし、Uは、原点から距離
xだけ離れた位置における試料表面に沿った方向の流速
分布、Umaxは、原点、すなわち微小間隔Dの中心に
発生する最大流速、xは、原点からの距離である。
【0164】高圧反応ガス供給口2の直下を含む高圧浮
上電極H1の試料対向部分12の全面でプラズマを発生
させる場合、試料Jの成膜領域は、プラズマ発生領域、
即ち、高圧反応ガス供給口2の直下を含む高圧浮上電極
H1の試料対向部分全面となる。このとき、図7(a)
に示されるように、特に高圧反応ガス供給口2の直下に
おいては、噴出した高圧反応ガス流1611が試料表面
に、該試料表面に垂直な方向から衝突し、時間的に流速
分布が変化する不安定な乱流が発生している。従って、
反応ガス供給口2の直下では、反応ガス供給口2の周辺
以外で試料表面に沿う流れ1612(流速分布161
5)が形成されている領域に比べて、成膜量が多くな
る。このため、図7(b)に1711として示されるよ
うな成膜量分布を形成する。従って、高圧浮上電極H1
の走査を行って試料全面の成膜を行う際に、高圧反応ガ
ス供給口2の位置と電極H1を走査する軌跡によって決
定される膜厚分布が、成膜後の成膜表面に形成される。
【0165】そこで、本実施形態では、図8(a)に示
される様に、内側電極5及び外側電極6によって構成さ
れる電力伝送線路開放端7にプラズマを発生させること
により、プラズマ発生領域を規定して局所高圧プラズマ
Pとする。また、局所高圧プラズマPの位置を高圧反応
ガス供給口2より十分離れた位置であって、安定したせ
ん断流1615が発生している領域に設置することで、
高圧反応ガス供給口2の直下における成膜量分布171
1の形成を防ぎ、微小間隔D中の試料表面に沿う流れに
よって、局所高圧プラズマPの発生部における成膜を行
うことにより、非常に安定した前記局所プラズマ直下の
加工量分布1712を得る。この状態で成膜領域を試料
全体に走査させることにより、成膜量分布の無い均一な
成膜を行なうことができる。
【0166】本発明の表面処理では、局所的な高圧プラ
ズマPを発生させて、そのプラズマ近傍の局所的な成膜
を行い、電極H1と試料Jとを相対的に移動させること
によって試料表面全体の成膜を行う。また、電極H1と
試料Jとの間の微小間隔D中の反応ガスの高圧力と電極
重量、及び反応容器C内の低圧或いは真空雰囲気との釣
合によって、微小間隔Dを形成している。これらのた
め、共振・整合装置Mと電極浮上型高圧浮上電極H1と
を接続する電力伝送線路は、変形可能なフレキシブル電
力伝送線路Iを用いることが望ましい。また、フレキシ
ブル電力伝送線路Iと高圧浮上電極H1との接続は、コ
ネクタ8によって行われ、この接続は、接続部での接触
抵抗による損失、電磁波漏れの無い様に行わなければな
らない。
【0167】絶縁体11は、電力伝送線路開放端7に発
生した局所高圧プラズマPによって腐食されることの無
い材料、例えば高純度アルミナ、窒化珪素等を用いるこ
とが望ましく、更に条件に応じて、膜材料を構成する元
素を少なくとも1種類以上含む材料を用いることが望ま
しい。例えば、Si膜を成膜する場合、絶縁体11に窒
化珪素(SiN)を用いることにより、膜中への不純物
混入を低減させることができる。
【0168】試料固定部Fに関して、試料Jを固定する
固定用治具が高圧浮上電極H1と対向する部分へ突出し
た場合、前述したように高圧浮上電極H1と試料Jは非
常に接近しているため、接触による高圧浮上電極H1の
試料対向部分12の損傷や、微小間隔D内の圧力分布の
変化など、好ましくない状態を引き起こす。従って、試
料固定部Fは、真空チャックや静電チャック等の、試料
固定治具などが電極対向部に突出しない機構を用いるこ
とが望ましい。
【0169】また、図4に示される、試料Jと試料台T
の段差tは、微小間隔D内の高圧反応ガスの圧力分布を
変化させ、試料Jに対する電極浮上型高圧浮上電極H1
の電極傾斜を引き起こし、更には成膜速度分布の変化、
電極表面への試料の接触等の問題を発生させるため、可
能な限り小さくしなければならない。
【0170】高圧浮上電極H1の試料対向部分12に耐
蝕性を有して高硬度の絶縁膜、例えばアルミナ溶射膜な
どを形成し、高精度に平坦化することにより、プラズマ
による試料対向部分12の腐食を軽減させ、寿命を長期
化させた高圧浮上電極を実現することも可能である。
【0171】図9のように、高精度に平坦化させた高精
度平坦化耐蝕・高硬度絶縁体18、例えば高純度アルミ
ナ或いは窒化珪素などからなる絶縁体18を、試料対向
部12の全体に取り付けることによって、膜形成の困難
な耐蝕・高硬度絶縁材料を試料対向部分12に用いるこ
とも可能である。
【0172】或いは、図10のように、反応ガス供給口
2に多孔質材料19、例えば多孔質アルミナ等を用いる
ことによって、非常に安定して電極H1−試料Jの間の
狭ギャップ間隔Dを制御することを可能とする高圧力浮
上電極H1を実現することも可能である。
【0173】また、高圧浮上電極H1において、高圧反
応ガス供給口2及び反応ガス排気口4の位置及び数量は
1つに限定されるものではない。例えば、図11のよう
に、試料台Tに、或いは高圧浮上電極H1及び試料台T
の両方に、高圧反応ガス供給口2及び反応ガス排気口4
を設置することも可能である。
【0174】先に図1を参照して説明した走査ステージ
Sは、目的に応じて、鉛直方向運動機構、水平方向運動
機構、回転機構などを有することができる。また、試料
台Tに固定される試料Jの数は、1つに限定されない。
試料を多数固定する試料台を用いたバッチ処理を行うこ
とにより、生産効率の向上を行うことができる。
【0175】例えば、図12は、多回転軸且つ回転数を
もつ多数試料固定用試料台T11を用いたバッチ処理を
示す概念図である。図12において、T11は多数試料
固定用試料台である。
【0176】図12に示される構成例においては、XY
Z方向への多方向走査が可能な走査ステージS上に、回
転機構θ1をもつ試料台T11が設置され、更にT11
上には、試料台T11の持つ回転機構θ1と同じ或いは
異なる回転数、回転方向、回転軸の回転機構θをそれぞ
れ持つ試料台Tが多数個設置される。各試料台Tの上に
試料Jをそれぞれ設置し、電極浮上型高圧浮上電極H1
が試料Jに対向することにより、バッチ処理を行う。こ
のとき、走査ワイヤ或いはベルト9を通じて電極H1を
走査させ、また、走査ステージSの多方向走査、或いは
試料台T及び試料台T11の回転機構を用いてランダム
に加工を行うことによって、試料Jをそれぞれ均一に成
膜し、非常に膜均一性の高い成膜を行なうと同時に、バ
ッチ処理により生産効率の向上を行うことができる。
【0177】高圧浮上電極H1−試料Jの間の微小間隔
Dへ高圧反応ガスを供給する高圧反応ガス供給口2、反
応生成物排気口4、及び高圧浮上電極H1の試料対向部
分12の形状は、試料Jの形状、大きさ、仕上げ精度な
ど、目的とする成膜に応じて変化する。高圧浮上電極H
1の実施形態は、これに限定しない。
【0178】なお、反応容器Cの中に、試料などの横方
向の位置決め用に高圧力部を形成することも可能であ
る。但し、その場合の高圧力部は、上記で説明したとこ
ろの「供給圧力よりも低い圧力を有する周囲気体雰囲気
部」には含まれない。
【0179】(第2の実施形態)次に、試料浮上型高圧
浮上電極H2を用いた本発明の第2の実施形態につい
て、以下に説明する。
【0180】本実施形態における試料浮上型高圧浮上電
極H2とは、電力を電源Gより伝達されて局所高圧プラ
ズマPを発生し得る電極に対して、浮上試料Aを浮上さ
せる方式を用いた高圧浮上電極である。この場合、反応
容器C内に設置されるのは試料浮上型高圧浮上電極H2
であり、浮上するのは浮上試料Aである。
【0181】図13は、試料浮上型高圧浮上電極H2の
概略断面図であり、Aは浮上試料、H2は試料浮上型高
圧浮上電極、Yは浮上試料走査ワイヤー或いはベルトで
ある。また、試料浮上型高圧浮上電極H2は、図13に
は図示されない走査ステージS上に設置され、走査ステ
ージSにより試料浮上型高圧浮上電極H2を走査するこ
とにより、試料浮上型高圧浮上電極H2と浮上試料Aと
の相対的位置を変化させることができる。
【0182】浮上試料走査ワイヤ或いはベルトYは、図
13には図示されない駆動モータ10に接続される。こ
れより、電極浮上型高圧浮上電極H1と同様に、駆動モ
ータ10を回転させることによって浮上試料Aを走査さ
せて、試料浮上型高圧浮上電極H2と浮上試料Aとの相
対的位置を変化させることができる。駆動モータ10及
び浮上試料走査ワイヤ或いはベルトYを総称して、試料
台走査装置と呼ぶ。
【0183】このように、本実施形態は、局所高圧プラ
ズマPを発生させる試料浮上型高圧浮上電極H2に対し
て、浮上試料Aを微小間隔Dだけ浮上させる試料浮上方
式を用いている。電極浮上型高圧浮上電極H1と同様
に、微小間隔D中に発生した局所高圧プラズマP中の高
圧反応ガスに基づく活性種により、浮上試料Aの局所高
圧プラズマPの近傍に局所的な成膜を行う。また、走査
ステージS及び試料台走査装置を用いて試料浮上型高圧
浮上電極H2と浮上試料Aの相対的位置を変化させるこ
とによって、試料Aの表面に全体的な成膜を行う。ま
た、本実施形態においては、第1の実施形態にて、電極
浮上型高圧浮上電極H1に関して説明した高圧反応ガス
供給口2の形状及び位置、反応生成物排気口4の形状及
び位置、電力伝送線路開放端7の形状及び位置や構造
は、第1の実施形態と同様とする。特に、本実施形態で
は、ガラス基板などの軽量な試料Aに対して、比較的低
圧な供給圧力によって試料Aを試料台Tと共に浮上させ
ることができる。これより、加工条件の圧力条件を広く
設定することを可能し、同時に比較的容易に試料Aの搬
送を行うことができるので、装置全体の生産性を向上さ
せることができる。
【0184】なお、図13に図示しない装置全体の構
成、浮上試料Aの浮上原理及び方式、局所高圧プラズマ
Pの発生原理及び方式、局所高圧プラズマP中における
成膜現象、高成膜速度、膜質向上、及び成膜後の表面の
清浄化を同時に実現する原理及び方式、高圧反応ガス供
給口2より離れた位置に局所高圧プラズマPを発生させ
て高圧反応ガス供給口2の直下における成膜量分布17
11の形成を防止する原理及び方式については、電極浮
上型高圧浮上電極H1と同様に、本実施形態においても
適用できる。
【0185】また、第1の実施形態で説明した高圧浮上
電極H1の形状、電極浮上型高圧浮上電極H1の試料対
向部12に対する耐蝕・高硬度の絶縁膜の形成、図9に
示した電極浮上型高圧浮上電極H1の試料対向部12に
対する高精度平坦化耐蝕・高硬度絶縁材料18の設置、
図10に示した高圧反応ガス供給口2に対する多孔質材
料の設置、図12に示した多回転軸且つ回転数をもつ多
数試料固定用試料台T11によるバッチ処理方式、試料
台Tや試料固定部Fなどの構成などに関する特徴は、本
実施形態の試料浮上型高圧浮上電極H2に対しても同様
に適用することができる。
【0186】或いは、図14のように試料浮上型高圧浮
上電極H2においても、高圧反応ガス供給口2及び反応
生成物排気口4の位置及び数量は1つに限定されず、試
料台Tに、或いは高圧浮上電極H2及び試料台Tの両方
に、設置することも可能である。
【0187】図15は、試料浮上型高圧浮上電極H2に
おいて、浮上体を、図13に示した浮上試料Aを固定し
た試料台Tでなく、浮上試料Aのみとした構成である。
【0188】図15におけるY11は、浮上試料Aを拘
束或いは走査させ得る浮上試料拘束走査機構であり、直
接前記走査ワイヤ或いはベルトYを浮上試料Aに接続さ
せること無く、浮上試料Aの浮上方向とは別に側面より
浮上試料を押すことにより、浮上試料Aを走査させる機
構である。
【0189】この構成によれば、電極浮上型高圧浮上電
極H1或いは試料浮上型高圧浮上電極H2における試料
のチャッキング時間を省略することができる。従って、
このような浮上試料拘束走査機構により、1方向に浮上
試料を移動させて、流れ作業的に成膜し、その後に試料
搬送を行うことにより、プロセスの生産性を向上させる
ことができる。
【0190】(第3の実施形態)次に、導波管を電力伝
達線路に用いた電極浮上型高圧浮上電極H3による、本
発明の第3の実施形態について説明する。
【0191】導波管を電力伝達線路に用いる場合、電力
伝送線路は直流及び周波数の低い交流を伝送することが
できない。従って、電源Gとしては、少なくとも周波数
10MHz〜1GHzの高周波、或いは1GHz以上の
マイクロ波電源G11を用いる。
【0192】図16は、導波管を前記電力伝送線路に用
いた電極浮上型高圧浮上電極H3の断面図であり、図1
7は、電極H3を別の方向より見た部分断面図、図18
A及び図18Bは、それぞれ電極H3の下方斜面図及び
上方斜面図である。
【0193】図16において、H3は導波管を前記電力
伝送線路に用いた電極浮上型高圧浮上電極、Pは局所高
圧プラズマ、24はマイクロ波を印加することによって
高電界を発生し、電極H3−試料Jの間の微小間隔Dに
局所高圧プラズマPを発生させる導波管の開放端、21
はマイクロ波電源G11より供給されたマイクロ波を必
要に応じて昇圧・マッチングする共振・整合装置Mか
ら、高圧浮上電極H3にマイクロ波を伝送するフレキシ
ブル導波管、22はフレキシブル導波管21より電極H
3の試料対向部分28に位置する導波管開放端24へマ
イクロ波を伝達する電極内導波管、23は、電極内導波
管22の内部空間と、電極H3−試料Jの間の微小間隔
Dの高圧反応ガス領域とを分離する絶縁体、20は、高
圧反応ガス供給口として機能し、形状がスリット形状で
ある高圧反応ガス供給スリットである。
【0194】また、図17において、T12は、凹状形
状をなし、凹部内側底面において試料Jを固定し、凹部
内側側壁において電極H3の移動を拘束する凹状試料台
である。25は高圧気体供給口であり、凹状試料台T1
2の内側側壁に設けられ、該供給口より噴出する高圧気
体により、電極H3に接触すること無く、電極H3の運
動方向を1方向に拘束する。26は、高圧気体供給口2
5に、図示しない高圧気体供給装置より高圧気体を輸送
する高圧気体供給経路である。
【0195】図18Aにおいて、27は、高圧反応ガス
供給スリット20から、反応ガス排気口4へ、或いは電
極H3周囲の気体雰囲気へ向かって、電極H3−試料J
の間の微小間隔Dを流れる試料表面に沿った流れであ
る。
【0196】また、これらの各図における試料J、試料
固定部F、高圧反応ガス供給経路1、反応生成物排気経
路3、反応生成物排気口4については、内側電極5、外
側電極6及び絶縁体11によって電極内電力伝送線路を
構成する高圧浮上電極H1或いはH2と同様の構成であ
る。また、図示しない走査ステージS、反応容器C、電
源G、電力伝達線路K、共振・整合装置M、高圧反応ガ
ス供給装置R、排気装置E、高圧浮上電極走査装置U、
制御装置Nも、高圧浮上電極H1或いはH2と同様の構
成となる。但し、電源Gに代えて、高周波或いはマイク
ロ波電源G11を用いる。
【0197】以下に、導波管を電力伝送線路に用いた電
極浮上型高圧浮上電極H3の構成、高圧浮上電極H3の
浮上方式、高圧浮上電極H3の成膜方式、導波管を電力
伝送線路に用いることの効果、及びマイクロ波電源G1
1を用いることの効果について、順に説明する。
【0198】まず、導波管を電力伝送線路に用いた電極
浮上型高圧浮上電極H3について、あらためて説明する
と、図18A及び図18Bに示されるように、この電極
H3は、金属立方体において、試料Jと対向する一面を
高精度に平坦化し、その面を電極浮上型高圧浮上電極H
3の試料対向部分28とする。更に、前記金属立方体内
部にマイクロ波電力を伝達し得る電極内導波管22を設
け、且つ試料対向部分28内の所望の位置に向かって、
導波管22を開放終端化させる。開放終端化した電極内
導波管22の内部空間を絶縁体23によって塞ぎ、電極
浮上型高圧浮上電極H3の周囲の気体雰囲気より分離す
る。この電極内導波管22の、試料対向部分28におい
て開放終端化された部分を、導波管開放端24と呼ぶ。
電極内導波管22に、導波管開放端24とは反対方向か
らフレキシブル導波管21を接続することにより、電源
G11より発生したマイクロ波電力を、電極浮上型高圧
浮上電極H3内の電極内導波管22、更には導波管開放
端24にまで伝達させる。これによって、該導波管開放
端24の位置に局所高圧プラズマPを発生させる。
【0199】ここで、絶縁体23は、高硬度で且つ局所
高圧プラズマPに対して耐食性を持つ材質から構成され
ることが望ましく、そのような材質としては、例えば高
純度アルミナや窒化珪素などが挙げられる。更に、場合
に応じて、成膜材質を構成する元素を少なくとも1種類
以上含む材料、例えばSi膜を成膜する場合には、絶縁
体23に窒化珪素を用いて、膜中への不純物混入を低減
させることが望ましい。絶縁体23の設置後も、試料対
向部分28が高精度な平坦面となる程度まで、再度平坦
化加工することが望ましい。更に、試料対向部分28に
高圧反応ガスを噴出するための高圧反応ガス供給スリッ
ト20を開口させ、その位置は、導波管開放端24より
離れた位置とする。高圧反応ガス供給スリット20に高
圧反応ガス供給装置Rから高圧反応ガス供給経路1を通
じて高圧反応ガスを供給し、高圧反応ガス供給スリット
20から、高圧反応ガスを噴出させる。更に、試料対向
部分28にあって、且つ前記高圧反応ガス供給スリット
20と導波管開放端24とに挟まれた位置に、反応生成
物排気経路3を通じて排気装置Eに接続され、且つプラ
ズマ中の反応によって発生した反応生成物を排気する反
応生成物排気口4を設ける。
【0200】ここで、図18A及び図18Bに示される
ように、反応生成物排気口4及び導波管開放端24は、
その形状を幅の広いスリット状とし、スリット20、反
応生成物排気口4、及び導波管開放端24は、互いに平
行関係になる様に設置する。
【0201】次に、高圧浮上電極H3の浮上方式につい
て説明する。
【0202】図17に示されるように、高圧浮上電極H
3を、試料Jを固定した凹状試料台T12の凹部に、両
者を非接触状態に保った状態ではめ込む。高圧反応ガス
供給装置Rより、高圧反応ガス供給経路1を通じて高圧
反応ガス供給スリット20より高圧反応ガスを噴出させ
ることにより、高圧反応ガスと反応容器C内の気体雰囲
気との差圧により、高圧浮上電極H3を試料Jに対して
微小間隔Dだけ浮上させる。従って、凹状試料台T12
及び試料Jと高圧浮上電極H3の試料対向部分28は、
非接触状態を保つ。更に、凹状試料台T12の内側凹部
側面63と該内側側面に対向する高圧浮上電極H3の側
面62は、高精度に平坦化されている。更に、凹状試料
台T12の凹部の幅Q12は、高圧浮上電極H3の幅Q
11より僅かに大きく、図示しない高圧気体供給装置よ
り高圧気体供給経路26を通じて高圧気体供給口25よ
り高圧気体を噴出させることにより、凹状試料台T12
の内側凹部側面63と該内側側面に対向する高圧浮上電
極H3の側面62は非接触状態を保ち、更に高圧浮上電
極H3の運動方向を1方向に限定する。つまり、導波管
を電力伝送線路として用いた電極浮上型高圧浮上電極H
3は、電力伝送線路として電極内導波管22を採用した
だけであるため、その浮上方式では、第1の実施形態に
おける電極浮上型高圧浮上電極H1と同じく、高圧反応
ガス供給スリット20より供給された反応ガスの高圧力
P0と、排気装置Eによって排気された反応容器C内の
低圧或いは真空雰囲気圧力P1との差圧によって、微小
間隔Dだけ浮上する。高圧反応ガス供給口をスリット状
にし、更にスリット20及び反応生成物排気口4を互い
に平行関係になる様に設置することにより、供給スリッ
ト20から反応ガス排気口4へ向かう高圧反応ガスの流
れにおいて、スリット20の長手方向の流速分布を均一
化させることができる。このように流速分布を均一化さ
せることにより、導波管開放端24に発生する局所高圧
プラズマPにおける前記成膜速度分布を、均一化させる
ことができる。
【0203】次に、本実施形態の電極H3による成膜方
法を説明する。
【0204】マイクロ波電源G11より発生したマイク
ロ波電力は、共振・整合装置Mとフレキシブル導波管2
1、更に電極内導波管22を通じて、高圧浮上電極H3
の試料対向部28に設けられた導波管開放端24に達す
る。導波管開放端24に達したマイクロ波電力は、電極
H3−試料Jの間の微小間隔D中の高圧反応ガスに向か
って放射される。これによって高圧反応ガスは解離し、
反応ガスに基づく局所高圧プラズマPを発生させる。更
に、プラズマP中に発生した反応ガスに基づく活性種に
より、試料Jの局所高圧プラズマPの直下の成膜を行
う。
【0205】ここで、導波管22の断面形状は、マイク
ロ波電源G11の周波数と、試料Jと目的とする成膜特
性、成膜領域より決定される。
【0206】更に、高圧反応ガス供給スリット20より
供給された反応ガスは、反応容器C内の低圧或いは真空
雰囲気、及び前記反応ガス排気口4へ向かって、電極H
3の浮上によって形成された電極H3―被加工物Jの間
の微小間隔D中を、試料表面に沿った流れ27となって
移動する。また、導波管を用いた電力伝送線路開放端2
4を、試料対向部28中で且つ高圧反応ガス供給スリッ
ト20より離れた反応ガス排気口4で挟まれる位置に設
けることによって、高圧反応ガスの試料表面に沿った流
れ中に局所高圧プラズマPを形成して、よどみの無い反
応ガスの流れ場の中で、表面に均一な成膜を行う。
【0207】次に、導波管を電力伝送線路に用いること
の効果を説明する。
【0208】電極H1及びH2のような内側電極5と外
側電極6を用いて電力伝送線路を構成する実施形態にお
いては、電源Gに、マイクロ波電源G11のみでなく、
直流からマイクロ波電源まで、全ての周波数の電力を用
いることができる。しかし、内側電極5−外側電極6の
間の絶縁、及び内側電極5と外側電極6とによって囲ま
れる電力伝達部分と前記電極―被加工物間の微小間隔D
中の反応ガス領域との分離を行うための絶縁体11は、
内側電極5の外径及び外側電極6の内径に対して、隙間
なく取り付けられていることが必要である。その場合、
発生した局所高圧プラズマPから発生する熱によって、
内側電極5及び外側電極6が熱変形し、特に内側電極5
の熱膨張によって絶縁体11の破損を引き起こす可能性
が存在する。従って、外側電極6及び内側電極5の冷却
を行うが、現実には、この様に複雑な構造体である高圧
浮上電極H1或いはH2を製作し、更に電極H1或いは
H2の全体を均一に冷却する機構を設けることは、非常
に困難である。
【0209】しかし、本実施形態においては、電力伝送
線路に導波管を用いることにより、電圧印加する内側電
極5と、電界を閉じ込める外側電極6との区別が無く、
マイクロ波を伝播させる場合において、高圧浮上電極内
部の電力伝送線路及び電極内冷却経路の製作を容易にす
る。また、金属構造体が絶縁体23を取り囲む構造とな
り、金属の熱膨張係数と絶縁体の熱膨張係数とでは金属
の熱膨張係数の方が一般的に大きいことから、金属体の
熱膨張による絶縁体23の破損が起こり難い。
【0210】また、電源としてマイクロ波電源G11を
用いることにより得られる効果について説明すると、以
下の表5は、最大電界強度E0及び周波数fで周期的に
変化する振動電界E=E0・sin(2πft)の中
(但しtは時間)において、真空中で各種荷電粒子(電
荷量e、質量m)が振動する時の振動振幅L=(e・E
0/4mπ22)の値を示した表である。但し、電界強
度を1.0×106[V/m]としている。
【0211】
【表5】
【0212】また、図19(a)は、荷電粒子29の前
記振動電界E(図19(b)参照)による振動振幅Lを
示す概念図である。
【0213】表5に示されるように、振動電界Eの振動
振幅Lは、周波数を向上させるにしたがって小さくな
る。微小間隔Dは1μm〜数百μm程度の狭ギャップで
あるが、局所高圧プラズマPを発生させる電源に周波数
が1MHz程度である高周波電源を用いると、それによ
る振動振幅LはHeイオンの場合で0.607[m]と
非常に大きくなる。この結果、荷電粒子を狭ギャップ中
に捕捉することができず、結果として荷電粒子が試料表
面及び成膜中の膜表面に衝突して膜に損傷を与え、欠陥
密度の大きい膜質となる。
【0214】しかし、電極−試料の微小間隔Dが数百μ
m程度の時には、局所高圧プラズマPを発生させる電源
に最低10MHz以上の高周波を用いる一方で、微小間
隔Dが数十μm程度の時には周波数1GHz以上のマイ
クロ波を用いることにより、荷電粒子が電極−試料間の
微小間隔D中に確実に捕捉されて、膜に損傷を与えない
低損傷な成膜を実現することができる。
【0215】図17に示されるように、試料Jと高圧浮
上電極H3との相対的な移動にあたっては、凹状試料台
T12の内側底部に試料Jを試料固定部Fによって固定
し、試料台T12の内側側面63に設置された高圧気体
供給口25より噴出した高圧気体により、エアスライド
的に摺動部を用いること無く非接触に、高圧浮上電極H
3の走査方向を試料Jに水平な方向のみに限定する。更
に、試料Jに水平な方向の走査は、高圧浮上電極H3に
接続された走査ワイヤ或いはベルト9を図示しない駆動
モータ10に接続し、この駆動モータを回転させること
によって行う。
【0216】高圧気体供給口25より噴出させる高圧気
体は、試料Jの成膜に用いる高圧反応ガスに限定せず、
絶縁性の高いガスや希ガス、或いは空気など、目的に応
じて変化させる。
【0217】(第4の実施形態)次に、本発明の第4の
実施形態について説明する。
【0218】図20A、図20B、及び図20Cは、そ
れぞれ、導波管を電力伝送線路に用いた試料浮上型高圧
浮上電極の断面図、正面図、及び上面図である。また、
これらの図中で、H4は、導波管を電力伝送線路に用い
た試料浮上型高圧浮上電極、30は突起のついた浮上試
料送りベルト、31は送りベルトの突起、32は浮上試
料送りモータである。
【0219】導波管を電力伝送線路に用いた試料浮上型
高圧力浮上電極H4は、先の実施形態で説明した導波管
を電力伝送線路に用いた電極浮上型高圧浮上電極H3と
同様に、導波管によってマイクロ波を伝達し、電極H4
の試料対向部に設けられた導波管開放端24において局
所高圧プラズマPを発生させる。そして、微小間隔D中
に供給された高圧反応ガスを分解し、反応ガスに基づく
活性種を発生して浮上試料Aの表面の成膜を行う。更
に、電極H4−試料Aの間の微小間隔D中の反応ガスの
試料表面に沿った流れにより、試料Aの表面に均一に成
膜を行なう。試料浮上型高圧浮上電極H2と同様に、電
極浮上型高圧浮上電極H1、及び図14の試料浮上型高
圧浮上電極における試料J及びAのチャッキング時間を
省略することができるので、流れ作業的に加工・試料搬
送を行うことにより、プロセスの生産性を更に向上させ
ることができる。
【0220】導波管を電力伝送線路に用いた試料浮上型
高圧浮上電極H4において、図20A、図20B、及び
図20Cに図示しない装置全体の構成や、試料の浮上原
理、プラズマ発生方式、及び局所プラズマ中における成
膜現象、高成膜速度、膜質の向上及び試料の成膜後表面
の清浄化を同時に実現する原理及び方式については、先
に説明した電極浮上型高圧浮上電極H1と同様である。
【0221】また、図示しないが、図14のように試料
台に前記試料を固定し、試料台と共に試料を浮上させる
方式を実施することも可能である。
【0222】浮上試料の走査は、図20Cに示すよう
な、両端を浮上試料送りモータ32によって拘束・回転
される突起31のついた浮上試料送りベルト30によっ
て、突起31で試料を固定しながら両端のモータ32を
回転させることによって、試料を1方向に送ったり往復
走査させたりする機構を用いることもできる。
【0223】(第5の実施形態)次に、本発明の第5の
実施形態について説明する。
【0224】図21は、被成膜表面の形状が球面である
試料に成膜を行う高圧浮上電極の部分断面図である。図
21において、H5は、試料対向部に球面形状をもつ高
圧浮上電極、T13は球面試料固定用試料台、Bは被成
膜表面の形状が球面である試料、60は、球面試料固定
用試料台T13の電極対向面、61は、高圧浮上電極H
5の試料対向部分である。
【0225】被成膜表面の形状が球面である試料Bに成
膜を行う場合、球面試料固定用試料台T13の電極対向
面60を球面とし、その半径を試料Bの形状の球面半径
に一致させて、試料Bの成膜面の球面が試料台T13の
電極対向面60の球面に段差なく重なる様に設置する。
一方、高圧浮上電極H5の試料対向部分61の形状を同
じく球状とし、その半径を試料Bの球面半径と同じ或い
はそれ以上とする。このような状態で、高圧浮上電極H
5の試料対向部分61と試料Bの球面とを対向させ、多
孔質材料19を用いた高圧反応ガス供給口より供給した
高圧反応ガスと反応容器内の低圧及び真空雰囲気との差
圧により、高圧浮上電極H5を、試料Bの表面より微小
間隔Dだけ浮上させる。
【0226】図示しないが、同様に高圧反応ガス供給口
より供給した高圧反応ガスと反応容器内の低圧及び真空
雰囲気との差圧により、試料Bを高圧浮上電極H5より
微小間隔Dだけ浮上させることも可能である。
【0227】プラズマの発生は、高圧浮上電極H1と同
様に、電極H5の試料対向面に設置した電力伝送線路開
放端7に、図示しない電源Gより発生した直流或いは交
流電圧を伝達し、高圧反応ガスの供給された電極H5−
試料Bの間の微小間隔Dに強電界を発生させることによ
って局所高圧プラズマPを発生させ、反応ガスに基づく
活性種によって試料Bに成膜を行う。
【0228】図21の構成において、電力伝送線路は内
側電極5及び外側電極6によって構成されており、電源
Gより発生した直流或いは交流を、電力伝送線路開放端
7、更に局所高圧プラズマPまで、伝達している。或い
は、電源がマイクロ波電源である場合は、例えば、先の
実施形態に関連して図16に示したように導波管を用い
てマイクロ波を伝達させ、更に、図18Aの試料対向部
分28を、高圧浮上電極H5の試料対向部分61に示さ
れるような球面とし、試料と対向する部分に同様に設置
した導波管開放端に強電界を発生させて局所高圧プラズ
マPを発生させ、球面試料Bに成膜すればよい。
【0229】電極浮上型高圧浮上電極H1、試料浮上型
高圧浮上電極H2、H3、導波管をマイクロ波伝送線路
として用いた高圧浮上電極H4で示した前記高圧反応ガ
ス供給口形状及び位置、反応生成物排気口形状及び位
置、マイクロ波開放端形状及び位置、高圧浮上電極形状
及び試料対向部耐蝕・高硬度絶縁膜形成及び試料対向部
耐蝕・高硬度絶縁材料設置、試料台、試料固定部などに
関する先述の特徴は、本実施形態のように試料の成膜面
形状が球面である場合の高圧浮上電極H5にも、同様に
適用することができる。
【0230】上記において、本発明の各実施形態の説明
では、本発明によって成膜を行なう場合を中心として述
べたが、表面の改質処理を行なう場合においても、同様
に適用できる。
【0231】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、所望の気体雰囲気内に試料及び電力を印加する電極
を対向させて配置し、電力印加によって局所的にプラズ
マを発生させる。このとき、局所的なプラズマ発生部の
みを高圧力に維持することにより、試料表面に高能率に
表面処理(例えば、成膜或いは表面処理)を行う。同時
に、所望の気体雰囲気圧力を少なくとも前記の局所高圧
プラズマ発生部より低圧に、或いは真空に維持すること
により、反応生成物が凝縮せず且つ試料表面に再付着す
ることもなく、良質な膜形成或いは表面処理を行なうこ
とができる。また、プラズマ発生領域を、電極−試料間
隔の反応ガス供給口近傍の反応ガス噴出領域以外の場所
であって、反応ガスの試料表面に沿った流れが形成され
る領域中のみに限定することにより、成膜処理時には、
反応ガス噴出領域の直下に成膜量分布が形成されること
無く、或いは、表面処理時には、反応ガス噴出領域の直
下に処理層厚さ分布が形成されること無く、試料表面の
表面処理(成膜或いは表面改質)を行なうことができ
る。
【0232】更に、本発明によれば、局所的に形成した
高圧反応ガス領域においてプラズマを発生させることに
より、試料に高速に成膜することができ、同時に前記プ
ラズマの発生している局所的に高圧力となった領域以外
が前記高圧反応ガス領域より低圧に維持されることによ
り、試料周辺雰囲気における反応生成物の凝縮が少な
く、良質な膜形成を行なうことができ、また更に膜表面
を清浄に保つことができる。
【0233】また、本発明によれば、試料を配した気体
雰囲気の圧力p0に対する、前記低コンダクタンス流路
部分に局所的に維持された高圧気体雰囲気中のプラズマ
発生する部分の圧力pxの比px/p0をpx/p0>1
とすることにより、プラズマ部において高密度活性種を
発生して高成膜速度を達成する。同時に、プラズマ部よ
り周囲雰囲気の圧力が低いことから、試料周辺雰囲気に
おける反応生成物の凝縮を更に少なくし、良質な膜形成
を行なうと同時に、膜表面を清浄に保つことができる。
【0234】また、本発明によれば、プラズマの発生す
る局所的に高圧力となった部分以外の領域を、圧力1気
圧以下とすることにより、反応ガスが大気に拡散し難く
なって、装置の安全性を高めることができる。
【0235】また、本発明によれば、プラズマの発生す
る局所的に高圧力となった部分以外の領域を、更に真空
雰囲気とすることにより、被加工物周辺雰囲気における
反応生成物の粒径、及び数の絶対値を低くすることがで
き、良質な膜形成を行なうことができるとともに、更に
膜表面を更に清浄に保つことができる。同時に、試料の
大気雰囲気への搬出時のパージに際して、雰囲気が真空
に保たれているため、反応ガスをその都度排気する必要
が無く、装置のスループットを向上させることができ
る。
【0236】また、本発明によれば、低コンダクタンス
流路部に局所的に形成された高圧反応ガス領域中の、更
に特定領域において局所的な高圧プラズマを発生させる
ことにより、所望の位置に局所的に成膜を行なうことが
できる。
【0237】また、前記の局所高圧プラズマを発生させ
て試料表面に成膜を行なう領域を、反応ガスを供給する
部分より離れた位置に設けることにより、反応ガス供給
部分直下における膜厚分布形成を防ぎ、均一な成膜を行
なうことができる。
【0238】更に、試料に応じた形状を持ち、更に高圧
反応ガス供給口を少なくとも何れか一方に持つ電極及び
試料台において、電極と試料とを微小間隔を隔てて設置
することにより、電極を、供給口から気体雰囲気への気
体流路の低コンダクタンス部分を形成する壁面として、
先に述べた高圧反応ガス領域を局所的に形成することが
できる。更に、電極に電力を印加して、低コンダクタン
スにより局所的に高圧反応ガスとなった電極−試料間の
微小間隔にプラズマを発生させれば、試料に対して高速
に且つ良質な成膜を行なうことができ、更に膜表面を清
浄に維持することができる。
【0239】また、供給口より供給した高圧反応ガスの
圧力によって局所的に形成された高圧力の反応ガス領域
と気体雰囲気圧力との間の差圧により、電極を試料に対
して、或いは試料を電極に対して、微小間隔を隔てて浮
上させることにより、プラズマの熱による電極や試料の
変形、或いはプラズマを発生させる電界や腐食性ガスの
存在により微小間隔の測定・制御が困難な環境において
も、低コンダクタンスな気体流路を安定して広面積に微
小間隙を形成することができる。また、電極を試料に対
して傾くこと無く配置することができ、反応ガスの流量
分布を均一にすることにより、膜厚均一性を向上させる
ことができる。
【0240】また、更に磁性体或いは磁力発生機構を電
極或いは試料台の少なくとも何れか一方に持ち、この磁
性体或いは磁力発生機構より発生した磁力により、電極
を試料に対して、或いは試料を電極に対して、微小間隔
を隔てて浮上させることにより、低コンダクタンスな気
体流路を安定して広面積に形成することができる。更
に、電極或いは試料を浮上させる力に新たに設けた磁力
発生機構或いは磁性体から発生した磁力を用いることに
より、反応ガス圧力範囲を広く設定でき、電極重量でな
く、目的とする成膜特性によって、反応ガスの供給圧力
を決定できる。
【0241】また、更に前記電極内に電力伝達線路を設
けて、試料と対向する部分にこの電力伝達線路開放端を
設けることにより、電極に印加された電力を電力伝送線
路開放端に伝送させ、開放端の近傍のみに局所的にプラ
ズマを発生させることができる。また、電力伝送線路が
プラズマによって終端化されていることにより、試料を
全面成膜するために電極と試料とを相対的に移動させた
場合においても、電力投入機構部分の等価回路が変化し
ない。この結果、プラズマに対する影響が少なく、広い
面積に更に均一に成膜を行なうことができる。
【0242】また、プラズマを発生させる電力をマイク
ロ波電力とすることにより、電極と試料との間の微小間
隔に発生したプラズマ中の荷電粒子を微小間隔にて確実
に捕捉し、試料表面及び形成された膜に与える損傷を更
に低減させることができる。また、同時に、微小間隔に
保たれた電極―試料の間にプラズマを発生させることが
できる。
【0243】また、電極内の電力伝送線路を導波管とす
ることにより、電極の構成を簡略化でき、プラズマの熱
による電極の変形による電極自体の破損を防止すること
により、装置の信頼性を向上させることができると共
に、部品形状の簡略化により装置コストを低減させるこ
とができる。
【0244】電極或いは試料台に、プラズマの発生する
微小間隔に向かって開口する反応生成物排気口を設け、
この排気口よりプラズマにおいて発生した反応生成物を
即座に排気することによって、試料に良質な膜を形成す
ることができ、また膜表面を更に清浄に維持することが
できる。
【0245】また、試料に対して、試料と対向する部分
の形状に少なくとも、試料表面に対して相似形状を含む
形状をもつ電極を用いて、電極−試料間の微小間隔内の
反応ガス供給口の高圧力部から電極周囲の気体雰囲気或
いは反応ガス排気口へ向かう試料表面に沿う流れ中にお
いて局所的なプラズマを発生させ、このプラズマによっ
て生じた反応ガスに基づく活性種の試料表面に沿うよど
みの無い流れにより、試料に均一に成膜を行なうことが
できる。
【0246】また、電極及び試料台の少なくとも何れか
一方に、使用する電源の周波数の電磁波に対して大きな
吸収係数を持つ電力吸収体を、反応ガス供給部から周囲
の気体雰囲気へと流れる低コンダクタンス流路のうち
の、局所高圧プラズマが発生する領域より低圧力側に設
けることにより、局所高圧プラズマで消費されず通過し
た電磁波を吸収し、局所的な高圧雰囲気の外部におけ
る、低圧な気体雰囲気中にプラズマが発生することを防
ぐことができる。
【0247】また、プラズマを発生させる電極と試料と
を相対的に移動させることにより、試料に対して大面積
に成膜を行なうことができ、また走査速度を制御するこ
とにより、所望の膜厚分布に成膜することができる。
【0248】また、反応容器内の気体雰囲気を排気し、
更に処理後に再び反応ガス或いは反応容器内の気体雰囲
気として供給することにより、反応ガス及び雰囲気ガス
を無駄にすることが無く、成膜コストを低減させること
ができる。
【0249】なお、電極には、直流から低周波、高周
波、マイクロ波の広い範囲の電力を印加することが可能
である。
【0250】また、上記の本発明の効果は、本発明によ
って成膜を行なう場合について述べたが、表面処理を行
なう場合についても、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置の全体概念図である。
【図2】電極浮上型高圧浮上電極H1の断面図である。
【図3】電極浮上型高圧浮上電極H1の試料対向部分を
表した下方斜面図である。
【図4】試料Jと試料台Tとの段差tを示す部分断面図
である。
【図5】(a)は、電極浮上型高圧浮上電極H1−試料
Jの間の微小間隔Dの近傍の模式的断面図であり、
(b)は、上記の微小間隔D中の高圧反応ガスの圧力分
布を示す模式図である。
【図6】電極浮上型高圧力浮上電極H1の試料Jと対向
する部分に設けられた電力伝送線路開放端における局所
領域プラズマPの発生を示す概略図である。
【図7】(a)は、高圧反応ガス供給口2の近傍におけ
る構成を模式的に示す断面図であり、(b)は、(a)
の構成を利用して高圧反応ガス供給口2を含む近傍に局
所高圧プラズマPを発生させる場合に、供給口2の直下
に形成される膜厚分布を示す断面図であり、(c)は、
上記に際して微小間隙Dに発生するガス流の状態を模式
的に示す図である。
【図8】(a)は、高圧反応ガス供給口2から離れた位
置に電力伝送線路開放端7を設置する場合の、高圧反応
ガス供給口2及び線路開放端7の近傍における構成を模
式的に示す断面図であり、(b)は、(a)の構成を利
用して高圧反応ガス供給口2を含む近傍に局所高圧プラ
ズマPを発生させる場合に、供給口2の直下に形成され
る膜厚分布を示す断面図であり、(c)は、上記に際し
て微小間隙Dに発生するガス流の状態を模式的に示す図
である。
【図9】高精度平坦化耐蝕・高硬度絶縁体を試料対向部
分に用いた電極浮上型高圧浮上電極の断面図である。
【図10】高圧反応ガス供給口に多孔質材料を用いた電
極浮上型高圧浮上電極の断面図である。
【図11】試料台Tに高圧反応ガス供給口を設置した電
極浮上型高圧浮上電極の断面図である。
【図12】多回転軸及び回転数をもつ試料多数固定用試
料台T11を用いたバッチ処理を示す概略図である。
【図13】試料浮上型高圧浮上電極H2の概略断面図で
ある。
【図14】試料台Tに高圧反応ガス供給口を設置した試
料浮上型高圧浮上電極H2の断面図である。
【図15】試料のみを浮上させた試料浮上型高圧浮上電
極H2の概略断面図である。
【図16】導波管を電力伝送線路に用いた電極浮上型高
圧浮上電極H3の断面図である。
【図17】導波管を電力伝送線路に用いた電極浮上型高
圧浮上電極H3を別の方向より見た部分断面図である。
【図18A】導波管を電力伝送線路に用いた電極浮上型
高圧浮上電極H3の下方斜面図である。
【図18B】導波管を電力伝送線路に用いた電極浮上型
高圧浮上電極H3の上方斜面図である。
【図19】(a)は、荷電粒子の振動電界による振動振
幅を示す概念図であり、(b)は、(a)の振動を生じ
させる振動電界を示す模式図である。
【図20A】導波管を電力伝送線路に用いた試料浮上型
高圧浮上電極H4の断面図である。
【図20B】導波管を電力伝送線路に用いた試料浮上型
高圧浮上電極H4の正面図である。
【図20C】導波管を電力伝送線路に用いた試料浮上型
高圧浮上電極H4の上面図である。
【図21】試料仕上げ形状が球面である試料の表面平滑
化及び形状成膜を行う高圧浮上電極H5の部分断面図で
ある。
【図22】円板H0による気体の流れ場の形成を示す概
略図である。
【図23】図22の構成において、円板−被成膜試料間
に円筒座標軸を設定した図である。
【図24】ある従来技術によるプラズマを用いた表面処
理装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図25】原料ガス供給口直下に形成されると考えられ
る薄膜の膜厚分布を模式的に示す図である。
【符号の説明】
A 浮上試料 B 成膜面形状が球面である試料 C 反応容器 D 微小間隔 E 排気装置 F 試料固定部 G 電源 G11 マイクロ波電源 H0 円板 H1 電極浮上型高圧浮上電極 H2 試料浮上型高圧浮上電極 H3 導波管を電力伝送線路に用いた電極浮上型高圧浮
上電極 H4 導波管を電力伝送線路に用いた試料浮上型高圧浮
上電極 H5 試料対向部に球面形状をもつ高圧浮上電極 I フレキシブル電力伝送線路 J 試料 K 電力伝送線路 L 荷電粒子の振動電界による振動振幅 M 共振・整合装置 N 制御装置 R 高圧反応ガス供給装置 S 走査ステージ T 試料台 T11 試料多数固定用試料台 T12 凹状試料台 T13 球面試料固定用試料台 U 電極走査装置 Y 浮上試料走査ワイヤ Y11 浮上試料拘束走査機構 θ 試料台Tの持つ回転機構 θ1 試料多数固定用試料台T11の持つ回転機構 1 高圧反応ガス供給経路 111 バッファ部 2 高圧力反応ガス供給口 3 反応生成物排気経路 4 反応ガス排気口 5 内側電極 6 外側電極 7 電力伝送線路開放端 8 コネクタ 9 走査ワイヤ(ベルト) 10 駆動モータ 11 絶縁体 12 電極浮上型高圧浮上電極H1の試料対向部分 1611 高圧反応ガス供給口2から噴出する高圧反応
ガス噴出流 1612 微小間隔D中で試料表面に沿う流れとなった
高圧反応ガス流 1613 供給口2の近傍で乱流になった反応ガスの流
速分布 1614 供給口2から離れてせん断流へ変化する反応
ガスの流速分布 1615 供給口2から十分に離れてせん断流になった
反応ガスの流速分布 1711 高圧反応ガス供給口2を含む近傍に局所高圧
プラズマPを発生させ る場合に供給口2の直下に形成される成膜量分布 1712 高圧反応ガス供給口2から離れた位置に電力
伝送線路開放端7を設置して局所高圧プラズマPを発生
させる場合に局所高圧プラズマPの直下に形成される成
膜量分布 18 高精度平坦化耐蝕・高硬度絶縁体 19 多孔質金属或いは多孔質絶縁体材料 20 高圧反応ガス供給スリット 21 フレキシブル導波管 22 電極内導波管 23 絶縁体 24 導波管開放端 25 高圧気体供給口 26 高圧気体供給経路 27 試料の表面に沿った流れ 28 導波管を電力伝送線路に用いた電極浮上型高圧力
浮上電極H3の試料対向部分 29 荷電粒子 30 突起のついた浮上試料送りベルト 31 送りベルトの突起 32 浮上試料送りモータ 60 球面試料固定用試料台T13の電極対向面 61 高圧浮上電極H5の試料対向部分 62 高圧浮上電極H3の側面 63 凹状試料台T12の内側凹部側面 101 高圧気体供給路 240p 高圧プラズマ 240g 基板間距離 241 成膜室 242 非接地基板 243 接地電極 244 多孔板高抵抗体 245 試料基板 246 ガス導入口 247 RF電極 248 ヒータ 249 ガス排出口 250 ガス供給口 251 前記試料基板に衝突する原料ガスの流れ 252 薄膜 253 原料ガス供給口直下に形成される薄膜の凸部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K030 CA12 FA02 JA09 JA18 KA34 5F004 AA01 AA14 AA15 BA06 BA07 BA08 BB08 BB13 BB14 BB19 BD04 CA02 CA03 CA05 5F045 AA08 AA09 BB02 BB08 BB15 BB20 DP03 DP15 EB02 EH03 EH05 EM01

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の気体雰囲気の中に試料を配置する
    工程と、 該試料の近傍に局所的に、反応ガス供給部から反応ガス
    を供給する工程と、 該試料に対向する壁面を配置して、該反応ガス供給部か
    ら該気体雰囲気に向けて低コンダクタンスの気体流路を
    構成することによって、該気体雰囲気よりも高い圧力を
    有する高圧反応ガス領域を該低コンダクタンスの気体流
    路に局所的に形成する工程と、 該高圧反応ガス領域中に該反応ガスに基づく局所的な高
    圧プラズマを発生させ、該高圧プラズマ中の反応種によ
    って該試料に対する表面処理を行う工程と、 を包含する、プラズマを用いた試料の表面処理方法。
  2. 【請求項2】 前記気体雰囲気は、前記試料の表面形状
    に応じた形状の電極を少なくとも有する反応容器の中に
    設けられており、 該試料は、試料単体で該気体雰囲気内に配置されるか、
    或いは、該反応容器の中に設けられた該試料の表面形状
    に応じた形状の試料台の上に配置され、 前記反応ガス供給部は、該電極及び該試料台の少なくと
    も一方に設けられている、請求項1に記載の表面処理方
    法。
  3. 【請求項3】 所定の気体雰囲気内に配置された試料の
    近傍に、反応ガス供給部より局所的に反応ガスを供給
    し、且つ、該試料に応じた形状を有する壁面を対向させ
    て該反応ガス供給部から該気体雰囲気に向けて低コンダ
    クタンスの気体流路を構成することによって、該気体雰
    囲気よりも高い圧力を有する高圧反応ガス領域を該低コ
    ンダクタンスの気体流路に局所的に形成し、 該高圧反応ガス領域中に該反応ガスに基づく局所的な高
    圧プラズマを発生させ、該高圧プラズマ中の反応種によ
    って該試料に対する表面処理を行う、プラズマを用いた
    試料の表面処理装置。
  4. 【請求項4】 前記気体雰囲気の圧力p0と、前記高圧
    反応ガス領域における前記高圧プラズマの発生箇所の圧
    力pxとの比を、px/p0>1と設定する手段を更に
    備える、請求項3に記載の表面処理装置。
  5. 【請求項5】 前記高圧プラズマを、前記高圧反応ガス
    領域の中の前記反応ガス供給部より離れた位置に設ける
    手段を更に備える、請求項3或いは4に記載の表面処理
    装置。
  6. 【請求項6】 更に試料台を備え、前記試料は該試料台
    に設置され、該試料台は該試料に応じた形状を有する、
    請求項3から5の何れかに記載の表面処理装置。
  7. 【請求項7】 更に電源と電極とを備え、前記壁面は該
    電極に形成されて、該電極に電力を印加することによっ
    て前記高圧プラズマを発生させる、請求項3から6の何
    れかに記載の表面処理装置。
  8. 【請求項8】 前記電極は前記試料に応じた形状を有す
    る、請求項7に記載の表面処理装置。
  9. 【請求項9】 前記電極は、前記反応ガスを前記低コン
    ダクタンスの気体流路に供給する反応ガス供給口を更に
    有する、請求項7或いは8に記載の表面処理装置。
  10. 【請求項10】 前記電極は前記試料に対して微小間隙
    を隔てて対向するように配置されており、該電極の試料
    対向面が前記壁面として機能する、請求項7から9の何
    れかに記載の表面処理装置。
  11. 【請求項11】 前記電極及び前記試料台の少なくとも
    一方は可動であるように設けられており、 前記反応容器内の前記気体雰囲気の圧力と前記反応ガス
    供給部から供給される前記反応ガスの圧力との間の差圧
    によって、該電極及び前記試料の一方を他方に対して微
    小間隙を隔てて浮上させ、それによって該電極の試料対
    向面を前記壁面として機能させる、請求項7から9の何
    れかに記載の表面処理装置。
  12. 【請求項12】 前記電極及び前記試料台の少なくとも
    一方は可動であるように設けられており、 該電極及び該試料台の少なくとも一方には、所定の大き
    さの磁力を発生する磁力発生機構が設けられていて、 該磁力発生機構から発生する磁力によって、該電極及び
    前記試料の一方を他方に対して微小間隙を隔てて浮上さ
    せ、それによって該電極の試料対向面を前記壁面として
    機能させる、請求項7から9の何れかに記載の表面処理
    装置。
  13. 【請求項13】 前記電極及び前記試料台の少なくとも
    一方は可動であるように設けられており、 該電極及び該試料台の少なくとも一方には、所定の大き
    さの磁力を発生する磁力発生機構が設けられていて、 該磁力発生機構から発生する磁力と、前記反応容器内の
    前記気体雰囲気の圧力と前記反応ガス供給部から供給さ
    れる前記反応ガスの圧力との間の差圧と、の両方を利用
    して、該電極及び前記試料の一方を他方に対して微小間
    隙を隔てて浮上させ、それによって該電極の前記試料対
    向面を前記壁面として機能させる、請求項11或いは1
    2に記載の表面処理装置。
  14. 【請求項14】 前記電極の内部には電力伝送線路が設
    けられており、該電力伝送線路は、該電極が前記試料に
    対向する部分の所定の位置に開放端を有していて、 該電極内電力伝送線路は、該電極に印加された電力を該
    開放端まで伝送させ、該開放端は、伝送された電力によ
    って高電界を発生させ、それによって該開放端の近傍に
    前記高圧プラズマが発生される、請求項7から13の何
    れかに記載の表面処理装置。
  15. 【請求項15】 前記電極の前記電力伝送線路は、前記
    電力を印加するための内側導体と、絶縁体を介して該内
    側導体を覆い且つ接地されている電界遮蔽導体と、によ
    って構成されている、請求項14に記載の表面処理装
    置。
  16. 【請求項16】 前記電極に印加される電力は、10M
    Hzから1GHzの周波数帯の高周波電力、或いは1G
    Hz以上の周波数帯のマイクロ波電力である、請求項7
    から15の何れかに記載の表面処理装置。
  17. 【請求項17】 前記電力伝送線路は、前記電極の内部
    に設けられ且つ該電極が前記試料に対向する部分の所定
    の位置に開放端を有している導波管によって構成されて
    いる、請求項16に記載の表面処理装置。
  18. 【請求項18】 前記電極及び前記試料台の少なくとも
    一方に設けられた、使用する電源の周波数の電磁波に対
    して大きな吸収係数を持つ電力吸収体を更に備えてお
    り、 該電力吸収体は、前記低コンダクタンスの気体流路にお
    いて前記高圧プラズマの発生領域よりも低圧力側に配置
    され、該高圧プラズマの発生領域を通過した電磁波を吸
    収して、該高圧プラズマの周囲領域における前記気体雰
    囲気の中でのプラズマの発生を抑制する、請求項7から
    17の何れかに記載の表面処理装置。
  19. 【請求項19】 前記試料台及び前記電極の少なくとも
    一方に設けられた、該電極と前記試料との間の前記微小
    間隙に向かって開口している排気口を更に備えており、
    前記高圧プラズマによって生じた反応生成物が該排気口
    から排気される、請求項7から18の何れかに記載の表
    面処理装置。
  20. 【請求項20】 前記電極は、前記試料の表面に対する
    相似形状を、前記試料に対向する面の少なくとも一部に
    有しており、 前記高圧プラズマは、前記反応ガス供給部の近傍の高圧
    力部から該電極の周囲の前記気体雰囲気或いは前記排気
    口へ向かう該試料表面に沿った流れの中に発生される、
    請求項7から19の何れかに記載の表面処理装置。
  21. 【請求項21】 前記所定の気体雰囲気を維持する反応
    容器を更に備える、請求項3から20の何れかに記載の
    表面処理装置。
  22. 【請求項22】 前記所定の気体雰囲気を維持する反応
    容器と、 該反応容器或いは前記排気口から排気されたガスを再処
    理して、前記反応ガス或いは前記気体雰囲気として該反
    応容器に再び供給する手段と、を更に備えている、請求
    項19から21の何れかに記載の表面処理装置。
  23. 【請求項23】 前記試料と前記高圧プラズマとを相対
    移動させて該試料の全体に対して表面処理を行う手段を
    更に備えている、請求項3から22の何れかに記載の表
    面処理装置。
JP11555799A 1998-09-08 1999-04-22 プラズマを用いた試料の表面処理装置 Expired - Fee Related JP3543672B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11555799A JP3543672B2 (ja) 1999-04-22 1999-04-22 プラズマを用いた試料の表面処理装置
US09/556,837 US6406590B1 (en) 1998-09-08 2000-04-21 Method and apparatus for surface treatment using plasma

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11555799A JP3543672B2 (ja) 1999-04-22 1999-04-22 プラズマを用いた試料の表面処理装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000306848A true JP2000306848A (ja) 2000-11-02
JP3543672B2 JP3543672B2 (ja) 2004-07-14

Family

ID=14665499

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11555799A Expired - Fee Related JP3543672B2 (ja) 1998-09-08 1999-04-22 プラズマを用いた試料の表面処理装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3543672B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005174972A (ja) * 2003-12-08 2005-06-30 Sony Corp レーザcvd装置
JP2007026781A (ja) * 2005-07-13 2007-02-01 Sharp Corp プラズマ処理装置
JP2007048621A (ja) * 2005-08-10 2007-02-22 Sharp Corp プラズマ処理装置
JP2008112958A (ja) * 2006-10-03 2008-05-15 Sony Corp 加工装置、及び配線基板の製造装置
CN102315150A (zh) * 2010-06-30 2012-01-11 朗姆研究公司 用于等离子体处理室的可移动基环
WO2014083623A1 (ja) * 2012-11-28 2014-06-05 株式会社日立製作所 プラズマ処理装置
JP2015078442A (ja) * 2007-01-08 2015-04-23 イーストマン コダック カンパニー 堆積システム及び方法
CN106771626A (zh) * 2017-04-01 2017-05-31 广州市昆德科技有限公司 半绝缘半导体电阻率气控悬浮式探针电容探头及测试方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005174972A (ja) * 2003-12-08 2005-06-30 Sony Corp レーザcvd装置
JP4596118B2 (ja) * 2003-12-08 2010-12-08 ソニー株式会社 レーザcvd装置
JP2007026781A (ja) * 2005-07-13 2007-02-01 Sharp Corp プラズマ処理装置
JP2007048621A (ja) * 2005-08-10 2007-02-22 Sharp Corp プラズマ処理装置
JP4643387B2 (ja) * 2005-08-10 2011-03-02 シャープ株式会社 プラズマ処理装置
JP2008112958A (ja) * 2006-10-03 2008-05-15 Sony Corp 加工装置、及び配線基板の製造装置
JP2015078442A (ja) * 2007-01-08 2015-04-23 イーストマン コダック カンパニー 堆積システム及び方法
CN102315150A (zh) * 2010-06-30 2012-01-11 朗姆研究公司 用于等离子体处理室的可移动基环
WO2014083623A1 (ja) * 2012-11-28 2014-06-05 株式会社日立製作所 プラズマ処理装置
CN106771626A (zh) * 2017-04-01 2017-05-31 广州市昆德科技有限公司 半绝缘半导体电阻率气控悬浮式探针电容探头及测试方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3543672B2 (ja) 2004-07-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6406590B1 (en) Method and apparatus for surface treatment using plasma
US20190032205A1 (en) Plasma cvd apparatus, plasma cvd method, and agitating device
US11692732B2 (en) Air cooled faraday shield and methods for using the same
JP4393844B2 (ja) プラズマ成膜装置及びプラズマ成膜方法
US7895970B2 (en) Structure for plasma processing chamber, plasma processing chamber, plasma processing apparatus, and plasma processing chamber component
CN109256326B (zh) 等离子体处理装置用部件及其喷镀方法
WO1998000576A1 (en) Apparatus and method for high density plasma chemical vapor deposition
US20110240598A1 (en) Plasma processing apparatus and plasma processing method
WO2011013702A1 (ja) プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
TWI763755B (zh) 氣體供給裝置、電漿處理裝置及氣體供給裝置之製造方法
JP3543672B2 (ja) プラズマを用いた試料の表面処理装置
WO2015106190A1 (en) Diffusion bonded plasma resisted chemical vapor deposition (cvd) chamber heater
EP0841838A1 (en) Plasma treatment apparatus and plasma treatment method
US20120211165A1 (en) Sample table and microwave plasma processing apparatus
KR102585041B1 (ko) 플라스마 처리 장치
CN112410759A (zh) 喷气头结构及使用其的等离子体处理设备
TW202111152A (zh) 化學氣相沉積設備、泵浦襯套及化學氣相沉積方法
KR20210145314A (ko) 웨이퍼에 공간적으로 튜닝 가능한 rf 커플링을 하는 정전 척
US10896842B2 (en) Manufacturing method of sample table
CN112349575B (zh) 喷淋板、下部电介质和等离子体处理装置
KR100493684B1 (ko) 고밀도플라즈마화학기상증착장치및그방법
JP2001044180A (ja) プラズマによる超精密加工方法及びその装置
JP2001261364A (ja) ガラス、耐プラズマ部材、電磁波透過窓用部材およびプラズマ処理装置
KR20200026139A (ko) 플라즈마 처리 장치
TWI757852B (zh) 電漿處理裝置之零件的製造方法及零件之檢查方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040108

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040308

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040329

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040329

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080416

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090416

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090416

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100416

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100416

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110416

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120416

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120416

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130416

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees