JP2000280072A - Al合金鋳物のブローホール低減方法 - Google Patents

Al合金鋳物のブローホール低減方法

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JP2000280072A
JP2000280072A JP11088940A JP8894099A JP2000280072A JP 2000280072 A JP2000280072 A JP 2000280072A JP 11088940 A JP11088940 A JP 11088940A JP 8894099 A JP8894099 A JP 8894099A JP 2000280072 A JP2000280072 A JP 2000280072A
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directional solidification
alloy casting
base material
blowholes
tig torch
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Yoshihisa Suzuki
良尚 鈴木
Shiro Maeda
四朗 前田
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、Al合金鋳物のブローホール低減
方法に関し、特に再溶融処理時の冷却過程で、指向性の
凝固形態に制御することによってブローホールを低減す
る方法を提供する。 【解決手段】 Al合金鋳物における母材表面の再溶融
処理であって、再溶融された部位を冷却過程で、指向性
の凝固形態に制御することを特徴とし、さらに、Al合
金鋳物の肉盛層におけるブローホールをも低減すること
を特徴とし、その際TIGトーチ固定の状態で、アーク
を発生させ、冷却過程で、溶融プール表面の方向に、指
向性凝固形態またはTIGトーチ移動状態で1パルス毎
に指向性凝固形態とすることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Al合金鋳物のブ
ローホール低減方法に関し、特に再溶融処理時の冷却過
程で、指向性の凝固形態に制御することによってブロー
ホールを低減する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Al合金鋳物の分野において、自動車用
内燃機関およびその他部材の軽量化のニーズとともに用
途拡大が図られて来た。本来Al合金は、熱伝導性、耐
食性等に優れているが、高負荷下における耐熱性、摺動
部材等での耐摩耗性に問題を有している。そのため、肉
盛溶接によって、他の金属材料をAl合金に被着させも
しくは表面を合金化する方法は、例えば特開平4−80
986号公報に開示されている。
【0003】しかし、Al合金鋳物はそれ自体にブロー
ホールを残存しており、これらのブローホールは、前記
のような肉盛部分においても認められ肉盛部の欠陥とな
り問題となっているが、これらを完全に消去させること
は難しかった。前記のようなブローホールを出来るだけ
なくすことは、Al合金鋳物の欠陥を減少することにな
り、材料特性における向上が図れることになる。
【0004】一方、前記公報における再溶融処理には次
のような問題があった。すなわち、肉盛前の母材表面の
欠陥(巣、ガス成分等)が多い場合や肉盛時のガス巻き
込みによりブローホールが多量に発生する場合に、再溶
融処理してもブローホールが残存する。あるいは、厳し
い使用環境下では、微少のブローホールがクラックの起
点となり、通常の再溶融処理では、それらを完全には除
去できていなかった。
【0005】そこで、以上のような問題点からブローホ
ールの存在するAl合金鋳物およびその肉盛部を比較的
簡便な方法で処理することによってこれを除去低減する
方法の開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、Al
合金鋳物に水素等のガス成分が固溶または吸蔵されてい
ることによるブローホールの形成を防止する方法を検討
し、欠陥のない機械的特性に優れたAl合金鋳物を得る
方法を提供することにある。また、本発明の他の目的
は、前記の防止策を、Al合金鋳物の表面を再溶融し、
その再溶融部位の冷却方法を検討し、ブローホールの低
減を可能とする方法を提供することにある。
【0007】さらに、本発明の別の目的は、Al合金鋳
物の肉盛部のブローホールの低減方法を検討し、その肉
盛部を再溶融し冷却過程で、指向凝固形態とすることに
よってブローホールの低減を可能とする方法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、Al合金
鋳物における母材表面の再溶融処理であって、再溶融部
位に高エネルギー波を照射して溶融し、その後冷却過程
で、前記高エネルギー波照射方向に凝固組織が成長する
ように、指向性の凝固形態に制御することを特徴とする
Al合金鋳物のブローホール低減方法によって達成され
る。
【0009】また、上記の目的は、Al合金鋳物におけ
る肉盛層の再溶融処理であって、前記肉盛層に高エネル
ギー波を照射して、再溶融部位を溶融し、その後冷却過
程で、前記高エネルギー波照射方向に凝固組織が成長す
るように指向性の凝固形態に制御することを特徴とする
Al合金鋳物のブローホール低減方法によっても達成さ
れる。
【0010】さらに、上記の目的は、前記再溶融処理に
おいて、TIGトーチ固定の状態で、アークを発生さ
せ、冷却過程で、溶融プール表面の方向に、指向性凝固
形態とすることを特徴とするAl合金鋳物のブローホー
ル低減方法によっても達成される。また、上記の目的
は、前記再溶融処理において、TIGトーチ移動の状態
で、低周波パルスを付与し、TIGトーチ移動速度、パ
ルスの周波数及び電流を調整することによって1パルス
毎に指向性凝固形態とすることを特徴とするAl合金鋳
物のブローホール低減方法によっても達成される。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明では、肉盛層を形成した後
の、再溶融処理において、指向性の凝固形態となるよう
に制御し、ブローホールの存在しないAl合金鋳物また
はその肉盛層が得られる。特に、通常の再溶融処理で発
生するわずかな欠陥が問題となる場合、上記の制御を行
うことにより、効果的なブローホール低減を実現させ、
ブローホールを起点とする亀裂発生を抑えることが可能
となる。
【0012】本発明の第1発明では、Al合金鋳物にお
ける肉盛部を形成しない通常の再溶融処理したもので、
その時発生するブローホールを、防止するものである。
本来、Al合金鋳物に内在する気体に起因する欠陥を、
肉盛部がない場合にも図1(a),(b)に示すよう
に、TIGトーチ1を固定して指向性凝固5によって、
ブローホールの排出6を形成して母材4の欠陥を低減す
るものである。この時の指向性凝固は垂直方向に凝固さ
せたものである。他の方法として、図2(a),(b)
のように、肉盛部のない場合においても、TIGトーチ
1を移動8させながら、指向凝固させるものである。図
2(b)は図2(a)のA部の拡大図であるが、この図
のように低周波の1パルス毎に最終凝固位置方向9の指
向性凝固5によってブローホールを排出するものであ
る。
【0013】本発明の第2発明では、図3(a),
(b),(c)に示すように肉盛層に存在するブローホ
ール12を排出するものである。すなわち、まず、図3
(a)のように、機械加工あるいは鋳ぬきによって溝1
0を形成し、その後肉盛層11を、形成し(図3
(b))、その後再溶融処理(図3(c))するもので
ある。この場合にも、前記図1(a),(b)のよう
に、TIGトーチ固定の状態でアークを発生させ、十分
に溶融プールを形成させた後、アークを徐々に弱めて、
母材の冷却効果により、母材から溶融プール表面の方向
に指向性凝固させる。この条件としては、後述の実施例
にもあるが、例えばベース電流を430Aとして60秒
再溶融し、7秒で430A→200Aへ電流を低下させ
アークを徐々に弱めて行くことで指向性凝固形態が得ら
れる。
【0014】さらに、図2(a),(b)のように、低
周波パルスの条件としては、例えばベース電流100
A、パルス電流430Aでパルス周波数0.5Hzとし
て、図2(b)のA部拡大図にあるように、1パルスの
最終凝固部にブローホールを排出し、次のパルスで最終
凝固部をブローホールとともに溶解し、連続的にブロー
ホールの少ない層を形成していくことによって指向性凝
固形態が得られる。
【0015】以下に、本発明について、実施例の図面を
参照してさらに詳述する。
【0016】
【実施例】実施例1 本実施例は、Al合金鋳物の母材表面での再溶融処理に
対応するもので、母材組成はAC2B(Al−Si−C
u系合金、Si:5〜7%,Cu:2〜4%)の鋳造材
サイズ:40×200×400mmを使用した。
【0017】再溶融条件は下記のとおりとした。 (a)TIGトーチ固定の状態でアークを発生させ、十
分溶融プールを形成させた後、アークを徐々に弱めて、
母材の冷却効果により、母材→溶融プール表面の方向に
指向性凝固させた。この時の条件としては、 初期電流:200A、ベース電流:430A ウィービング幅:6mm、電極径:6.4mm Ar流量:50ml/min として、60秒の再溶融を実施した。その後7秒で、4
30A→200Aへ電流を低下させアークを徐々に弱め
ていった。
【0018】(b)低周波パルスを付与することによっ
て、1パルス毎の最終凝固部にブローホールを排出し、
次のパルスで最終凝固部をブローホールとともに溶解
し、連続的にブローホールの少ない層を形成していっ
た。具体的な再溶融条件としては、 初期電流:200A、ベース電流:100A パルス電流:430A、パルス周波数:0.5Hz トーチ速度:35mm/min 、電極径:6.4mm Ar流量:50ml/min 上記の条件にて、再溶融を実施し、1パルス毎に指向性
凝固を制御した。
【0019】従来の再溶融後では、個々の部位を見た場
合凝固方向がランダム方向となり、再溶融部にはブロー
ホールが認められたが、本実施例の(a)TIGトーチ
固定、(b)低周波条件とも再溶融部では指向性凝固を
示しブローホールは極めて少くなっていることを確認し
た。 実施例2 本実施例は、Al合金鋳物の肉盛層の再溶融処理に対応
するもので、母材組成および鋳造材サイズは実施例1と
同様のものを使用した。肉盛条件を下記の条件として肉
盛した。
【0020】 初期電流:200A、ベース電流:400A トーチ速度:35mm/min 、ウィービング幅:2mm 電極径:6.4mm、Ar流量:50ml/min 以上の条件によって、再溶融処理はTIGトーチ固定お
よび低周波パルスとして、図3(a)〜(c)の工程に
よって実施した。まず、図3(a)のように、肉盛部位
に肉盛用の溝を形成した。この溝の形成方法は、機械加
工あるいは鋳ぬき等でよく、肉盛設計に基づいて決めら
れる。次に、図3(b)のように、溝表面の巣、ガス成
分等の欠陥により肉盛層にブローホールが存在するが、
図3(c)のように指向性の凝固形態となる冷却制御に
よって、効果的にブローホールが低減できた。
【0021】以下に、実際の処理結果の金属組織観察に
よるブローホールの挙動について説明する。通常の肉盛
層の再溶融条件での断面実体写真を図4に示す。図5の
100倍の写真では、凝固方向はランダムであり、ブロ
ーホールが多数認められる。 (a)TIGトーチ固定の状態で、実施例1の(a)条
件と同様の条件で肉盛層を再溶融処理した。図6にTI
Gトーチ固定時の断面実体写真を示す。この図におい
て、表面に向かう指向性凝固になっていることがわか
る。図7は図6の100倍の写真であるが、この写真か
らも、ブローホールは極めて少なくなっていることがわ
かる。
【0022】(b)低周波パルスを付与したもので、実
施例1の(b)条件と同様の条件で肉盛層を再溶融処理
した。図8はパルス条件における断面実体写真を示す。
この図では、トーチの移動方向に向かって縞状模様が認
められる。図9は図8の100倍の写真であるが、約3
00μmの幅で指向性凝固となっており、かつブローホ
ールはなくなっていることがわかる。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、Al合金鋳物の冷却を
制御された再溶融処理において、指向性凝固の終了部か
ら溶湯プールへのガス成分の放出が促進されるので、ブ
ローホール等の欠陥のないAl合金鋳物母材または肉盛
層が、比較的簡便な方法で得ることが可能となる。さら
に、本発明の再溶融処理では、従来の再溶融処理に比べ
鋳造組織がさらに微細化されるので、基地の強度化(疲
労強度)が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るTIGトーチ固定の図で、(a)
再溶融処理、(b)指向性凝固を示す図である。
【図2】本発明に係る低周波パルスの図で、(a)再溶
融処理、(b)図(a)のA部拡大を示す図である。
【図3】本発明の実施例2に係る肉盛層の形成を示し、
(a)溝形成、(b)肉盛、(c)再溶融を示す図であ
る。
【図4】従来の再溶融の実体の金属組織を示す図に代え
る写真である。
【図5】従来の再溶融の100倍の金属組織を示す図に
代える写真である。
【図6】本発明の実施例2に係るTIGトーチ固定の実
体の金属組織を示す図に代える写真である。
【図7】本発明の実施例2に係るTIGトーチ固定の1
00倍の金属組織を示す図に代える写真である。
【図8】本発明の実施例2に係る低周波パルスの実体の
金属組織を示す図に代える写真である。
【図9】本発明の実施例2に係る低周波パルスの100
倍の金属組織を示す図に代える写真である。
【符号の説明】
1…TIGトーチ 2…アーク 3…再溶融層 4…母材 5…指向性凝固 6…ブローホール排出 7…低周波パルス 8…トーチ移動 9…再溶融層表面 10…溝 11…肉盛層 12…ブローホール

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al合金鋳物における母材表面の再溶融
    処理であって、再溶融部位に高エネルギー波を照射して
    溶融し、その後冷却過程で、該高エネルギー波照射方向
    に凝固組織が成長するように指向性の凝固形態に制御す
    ることを特徴とするAl合金鋳物のブローホール低減方
    法。
  2. 【請求項2】 Al合金鋳物における肉盛層の再溶融処
    理であって、該肉盛層に高エネルギー波を照射して、再
    溶融部位を溶融し、その後冷却過程で、該高エネルギー
    波照射方向に凝固組織が成長するように指向性の凝固形
    態に制御することを特徴とするAl合金鋳物のブローホ
    ール低減方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2の再溶融処理におい
    て、TIGトーチ固定の状態で、アークを発生させ、冷
    却過程で、溶融プール表面の方向に、指向性凝固形態と
    することを特徴とするAl合金鋳物のブローホール低減
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2の再溶融処理におい
    て、TIGトーチ移動の状態で、低周波パルスを付与
    し、TIGトーチ移動速度、パルスの周波数及び電流を
    調整することによって1パルス毎に指向性凝固形態とす
    ることを特徴とするAl合金鋳物のブローホール低減方
    法。
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