JP2000279724A - エレクトレットフィルタ - Google Patents

エレクトレットフィルタ

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JP2000279724A
JP2000279724A JP8547599A JP8547599A JP2000279724A JP 2000279724 A JP2000279724 A JP 2000279724A JP 8547599 A JP8547599 A JP 8547599A JP 8547599 A JP8547599 A JP 8547599A JP 2000279724 A JP2000279724 A JP 2000279724A
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electret
filter
dielectric constant
charge
electric field
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JP8547599A
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English (en)
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Kazuki Kubo
一樹 久保
Isamu Nagae
偉 長江
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い集塵性能を有し、タバコヤニに対する寿
命が長いエレクトレットフィルタを得る。 【解決手段】 高分子材料に、電界を印加することによ
って得られるエレクトレット材料を用いたものであり、
高分子材料としては、25℃における比誘電率(ε25
が3〜180であり、電界印加時の温度における比誘電
率をεEとすると、εE/ε25が、1〜60のものを用い
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体、電子機器、
薬品もしくは生化学的物質等の製造雰囲気、電子機器の
内部雰囲気、または住居屋内の居住雰囲気を清浄化する
ため等に用いるエレクトレットフィルタに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】エレクトレットフィルタはクーロン力と
誘起力を利用して、雰囲気中に浮遊する塵埃を除去する
ものである。エレクトレット材料とは、半永久的に電荷
を保持し、外部に対して電気力を及ぼす物質であり、静
電気力によって、比較的軽い物体を、マグネットのよう
に引きつける作用がある。この能力をもって、集塵フィ
ルタとして利用される。
【0003】エレクトレット材料は、例えば特開平4―
330707号公報に示されるように、無極性高分子化
合物と極性高分子化合物を含む樹脂をグラフト変性した
変性樹脂組成物等を、熱エレクトレット法、エレクトロ
エレクトレット法またはラジオエレクトレット法によっ
てエレクトレット化することによって作製される。この
ような製法によって作られるエレクトレットフィルタ用
のエレクトレット材料は、注入した電荷または印加した
電圧と同じ極性の、見かけ上の表面電荷が現れる電荷注
入型エレクトレットである。
【0004】電荷注入型エレクトレット材料は、高分子
等の誘電体材料に、コロナ帯電器などの帯電器または電
圧印加により電荷注入を行い、当該材料内に電荷を保持
させることにより、分極を形成するものである。用いら
れる材料の例として、ポリプロピレン、ポリエチレン、
ポリスチレン、ポリ四フッ化エチレン、四フッ化エチレ
ン―六フッ化プロピレン共重合体もしくはテトラフルオ
ロエチレンなどの合成樹脂またはこれらの共重合体やブ
レンド組成物などが挙げられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の電荷注入型エレクトレット材料は、フィルタ用のエ
レクトレット材料として求められる電荷保持性能、帯電
電荷量または帯電寿命などのエレクトレット性能は非常
に良好であるが、集塵によりフィルタ材料上に化学物質
が吸着すると、エレクトレット性能が急激に劣化すると
いう欠点がある。この原因として、エレクトレット材料
が保持している電荷が、吸着した化学物質と反応して消
滅すること、またはその化学物質を伝って減衰すること
が原因と一般に考えられている。例えば、通常、約1年
程度の帯電寿命を有するエレクトレットフィルタを、タ
バコの煙に暴露すると、数日から1ヶ月の間にそのエレ
クトレットフィルタとしての性能を失う。これは、タバ
コの煙に含まれるヤニやニコチン成分による電荷の減衰
が原因である。
【0006】本発明は、かかる課題を解決するためにな
されたものであり、集塵性能が高いとともに、性能劣化
の少ないエレクトレットフィルタを得ることを目的とす
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る第1のエレ
クトレットフィルタは、25℃における比誘電率
(ε 25)が、3〜180であり、電界印加時の温度にお
ける比誘電率をεEとすると、εE/ε25が、1〜60で
ある高分子材料に、電界を印加することによって得られ
るエレクトレット材料を用いたものである。
【0008】本発明に係る第2のエレクトレットフィル
タは、25℃における比誘電率(ε 25)が、3〜180
であり、電圧印加時の温度における比誘電率をεVとす
ると、εV/ε25が、1〜60である高分子材料に、電
圧を印加することによって得られ、上記印加電圧極性に
対して、見かけ上の表面電荷がヘテロ電荷であるエレク
トレット材料を用いたものである。
【0009】本発明に係る第3のエレクトレットフィル
タは、上記第1または第2のエレクトレットフィルタに
おいて、形状がハニカム型であり、ハニカムコア寸法が
1〜20mm、フィルタの奥行きが4〜200mmのも
のである。
【0010】本発明に係る第4のエレクトレットフィル
タは、上記第1または第2のエレクトレットフィルタに
おいて、形状がコルゲート積層型であり、中しんの高さ
が1〜20mm、フィルタの奥行きが4〜200mmの
ものである。
【0011】本発明に係る第5のエレクトレットフィル
タは、上記第1または第2のエレクトレットフィルタに
おいて、形状が平行平板型であり、平板間距離が1〜2
0mm、フィルタ奥行きが4〜200mmのものであ
る。
【0012】本発明に係る第6のエレクトレットフィル
タは、上記第1ないし第5のいずれかのエレクトレット
フィルタにおいて、エレクトレット材料が不織布の形態
のものである。
【0013】
【発明の実施の形態】実施の形態1.本発明の第1の実
施の形態のエレクトレットフィルタは、高分子材料に電
界を印加して双極子を配向分極させることによりエレク
トレットの性能を得た双極子配向型のエレクトレット材
料を用いたもので、これまで一般に用いられてきた電荷
注入型エレクトレット材料とは異なる。この場合、双極
子の配向分極が静電集塵力の元であるため、化学物質の
吸着による性能劣化がほとんどない。
【0014】図1は、本実施の形態のエレクトレットフ
ィルタに用いるエレクトレット材料を模式的に示す説明
図で、図中10はエレクトレット材料、12は双極子で
あり、双極子12の向きが揃っている。
【0015】図2(a)および(b)は、上記エレクト
レット材料を製造する工程を示す説明図で、図中、11
は所定の比誘電率を有する高分子材料、Prは表面分極
電荷である。図2(a)は、高分子材料11中の双極子
12の状態を示し、双極子12が無秩序に並んでいる。
次に、上記高分子材料11を、高分子材料11のガラス
転移温度以上、結晶転移温度以上または溶融軟化点温度
以上まで加熱し、一定時間、高電界を掛けたまま保持
し、その後、高電界を掛けながら、室温まで冷却して、
双極子12を配向させる。また、室温において高電界を
かけることによっも、双極子を配向させることができる
ものもある。これにより、双極子配向分極による表面分
極電荷Prが現れ、図2(b)に示す様な、配向分極を
形成したエレクトレットフィルタ用エレクトレット材料
10を得ることができる。
【0016】双極子のモーメントの配向方向は、印加し
た電界の方向に限るものではなく、電界の方向に対し
て、角度を持っていてもよく、また、全ての分子が一方
向に配向している必要はなく、その一部分だけが配向し
ている場合も本発明の中に含まれる。
【0017】本発明に係る上記高分子材料11として
は、25℃における比誘電率(ε25)が、3〜180で
あり、双極子を配向させるために印加する電界印加時の
温度における比誘電率をεEとすると、εE/ε25が、1
〜60のものを用い、例えば所定温度で電界をかけてポ
ーリングする方法により得ることができる。ε25が3未
満の材料では、十分な配向分極を得ることができず、1
80を越えると印加電界に対して高効率に配向させるこ
とができず、有効な配向分極を得難い。εE/ε25が、
1未満では十分な配向分極の寿命を得ることができず、
また、60を越えると、電界印加時に材料表面付近に蓄
積させる電荷量が多く、見かけ上電荷注入型のエレクト
レット材料となるか、印加電界に対して高効率に配向さ
せることができず、有効な配向分極を得難い。
【0018】また、上記高分子材料としては、フッ化ビ
ニリデン―三フッ化エチレン共重合体、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ酢酸ビニル、シアン化ビニリデン―酢酸ビニル
共重合体、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、フッ
化ビニリデン―四フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化
ビニル、ナイロン11などのポリアミド、ポリオキシメ
チレン、イソシアネート樹脂、ポリアセタール、ポリカ
ーボネート、ポリアリレート、ポリケトン、ポリメタク
リル酸エステル類、スチレンメタクリル酸メチルコポリ
マー、スチレンーアクリロニトリルコポリマー、ポリサ
ルホン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルピロリドン、セルロース、メチルセルロ
ース、ヒドロキシメチルセルロース、セルロースエステ
ル類、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、
シリコーン樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、フェノー
ル樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂もし
くはこれらの合成物、ブレンド組成物または混合物など
が挙げられる。
【0019】また、電界の印加時には、ホモ電荷の注入
も同時に生じていると考えられ、見かけの表面電荷密度
は、双極子配向分極による表面電荷密度と電荷注入によ
る表面電荷密度の総和となっている。本実施の形態に係
るエレクトレット材料では、誘電率が上記範囲である高
分子材料を用いることにより、双極子配向分極による表
面電荷密度が、注入電荷による表面電荷密度よりも大き
く、双極子分極型エレクトレットとして機能する。
【0020】図3は、本実施の形態に係るエレクトレッ
ト材料の表面電荷の状態を詳細に模式的に示す説明図
で、図中31は注入された電荷であり、双極子12が配
向しており、双極子モーメントの向きが揃い、配向処理
中に該高分子材料に注入された電荷31が、材料表面お
よび体積中に存在している。注入電荷は、双極子の配向
の保持に対し補助的に働き、配向を固定化する。見かけ
の表面電荷密度は、双極子配向分極による表面電荷密度
と電荷注入による表面電荷密度の総和となるが、本発明
の実施の形態に係るエレクトレット材料では双極子配向
分極による表面電荷密度が、注入電荷による表面電荷密
度よりも大きい。
【0021】図4(a)および(b)は、上記エレクト
レット材料を製造する工程を示す説明図で、図中、Qは
注入された真電荷である。図4(a)は、高分子材料1
1中の双極子12の状態を示し、双極子12が無秩序に
並んでいる。次に、上記高分子材料11に、高分子材料
11をガラス転移温度以上、結晶転移温度以上または溶
融軟化点温度以上まで加熱し、一定時間、高電界を掛け
たまま保持し、その後、高電界を掛けながら、室温まで
冷却すると、双極子12が配向するとともに、配向処理
中に該高分子材料に電荷31が材料表面および体積中に
注入され、見かけの表面電荷密度は、双極子配向分極に
よる表面電荷密度Prと電荷注入による真電荷Qの総和
となる。
【0022】本発明に係る電界印加により、上記高分子
材料を分極処理する方法としては、直流コロナ放電法、
直流高電圧印加法もしくは直流高電界に交流高電界を重
畳して印加する方法またはイオン反発性電極とイオン吸
引性電極の間に非接触に材料を配置しイオン反発性電極
側で、交流沿面放電素子、イオナイザー素子、直流コロ
ナ放電イオン発生素子もしくは交流コロナ型イオン発生
素子などのイオン発生装置を用いてイオンを発生し、材
料に注入することにより高電界を印加する方法などがあ
る。
【0023】また、上記電界印加分極処理時に、材料へ
の注入電荷を阻止したり、または調節するために、必要
に応じて該材料と電界分極処理装置の間に、半導体シー
ト、テフロンもしくはナイロンなどの高分子材料薄膜シ
ートまたは金属酸化絶縁膜などを設けることもある。
【0024】実施の形態2.本発明の第2の実施の形態
のエレクトレットフィルタは、上記第1の実施の形態の
エレクトレットフィルタのエレクトレット材料におい
て、上記高分子材料に電圧を印加することにより分極処
理することによって得られたエレクトレット材料を用い
たものである。即ち、25℃における比誘電率(ε25
が3〜180であり、電圧印加時の温度における比誘電
率をεVとすると、εV/ε25が、1〜60である高分子
材料に、電圧を印加することによって得られ、上記印加
電圧極性に対して、見かけ上の表面電荷がヘテロ電荷で
あるエレクトレット材料を用いたものである。ε25が3
未満の材料では、十分な配向分極を得ることができず、
180を越えると印加電圧に対して高効率に配向させる
ことができず、有効な配向分極を得難い。εV/ε
25が、1未満では十分な配向分極の寿命を得ることがで
きず、また、60を越えると、電圧印加時に電極側の材
料表面付近に蓄積させる電荷量が多く、見かけ上電荷注
入型のエレクトレット材料となるか、印加電圧に対して
高効率に配向させることができず、有効な配向分極を得
難い。
【0025】なお、表面に現れる電荷が印加電圧極性に
対して、ヘテロ電荷であるが、このヘテロ電荷は、高分
子材料内の双極子が配向し凍結されることにより得られ
た双極子配向分極に起因するものである。
【0026】実施の形態3.図5は、本発明の第3の実
施の形態のハニカム型のエレクトレットフィルタを説明
するための上記フィルタの流路面に対向する面を示す構
造図であり、図中112はハニカムコア寸法である。上
記フィルタにおいて、ハニカムコア寸法が1〜20m
m、フィルタの奥行きが4〜200mmであることが好
ましく、ハニカムコア寸法が1mm未満では、吸着した
ゴミが詰まる確率が大きくなりフィルタ機能の低下が速
く、20mmを越えると、十分な集塵効率を得ることは
難しい。さらに、フィルタの奥行きが、4mm未満で
は、十分な集塵効率が得られず、200mmを越える
と、フィルタの形状が大きくなり、例えばエアコンや空
気清浄機に設置することが困難となり実用的ではない。
また、フィルタをハニカム形状とすることで、プリーツ
型不織布フィルタなどに比べ、通気抵抗が少なく、低圧
力損失のフィルタを形成することができ、フィルタの大
型化、当該フィルタを搭載した空気清浄機能を有する製
品の省エネに貢献するものである。
【0027】上記フィルタを構成するエレクトレット材
料の形態は、織物、編み物、不織布、フィルム、繊維状
ポーラスフィルム、多孔質体など、いずれの形態でも良
く、材料のエレクトレット化の工程は、フィルタの形成
前後どちらでも良い。
【0028】実施の形態4.図6は、本発明の第4の実
施の形態のコルゲート積層型のエレクトレットフィルタ
を説明するための上記フィルタの流路面に対向する面を
示す構造図であり、図中121は波形の中芯、122は
平坦なライナ、123は中芯の高さである。上記フィル
タにおいて、中芯の高さが1〜20mm、フィルタの奥
行きが4〜200mmであることが好ましく、中芯の高
さが1mm未満では、吸着したゴミが詰まる確率が大き
くなりフィルタ機能の低下が速く、20mmを越える
と、十分な集塵効率を得ることは難しい。さらに、フィ
ルタの奥行きが、4mm未満では、十分な集塵効率が得
られず、200mmを越えると、フィルタの形状が大き
くなり、例えばエアコンや空気清浄機に設置することが
困難となり実用的ではない。また、フィルタをコルゲー
ト積層型形状とすることで、通気抵抗が少なく、低圧力
損失のフィルタを形成することができ、フィルタの大型
化、当該フィルタを搭載した空気清浄機能を有する製品
の省エネに貢献するものである。また、ライナと中しん
に、別々のロールを使用して製造するため、2種類の異
なる部材を使用することにより、容易に積層体を製造す
ることが可能である。
【0029】上記フィルタを構成するエレクトレット材
料の形態は、織物、編み物、不織布、フィルム、繊維状
ポーラスフィルム、多孔質体など、いずれの形態でも良
く、材料のエレクトレット化の工程は、フィルタの形成
前後どちらでも良い。
【0030】実施の形態5.本発明の第5の実施の形態
のエレクトレットフィルタは、平行平板型の形状のフィ
ルタで、上記エレクトレット材料からなるシートが互い
におおよそ平行に配置され、高分子製、絶縁処理された
金属または無機物のスペーサーにより、シート間の間隔
を保持するものである。シート間距離が1〜20mm、
フィルタの奥行きが4〜200mmであるのが好まし
く、シート間距離が1mm未満では、吸着したゴミが詰
まる確率が大きくなりフィルタ機能の低下が速く、20
mmを越えると、十分な集塵効率を得ることは難しい。
さらに、フィルタの奥行きが、4mm未満では、十分な
集塵効率が得られず、200mmを越えると、フィルタ
の形状が大きくなり、エアコンや空気清浄機に設置する
ことが困難となり実用的ではない。また、フィルタを平
行平板型形状とすることで、通気抵抗が少なく、低圧力
損失のフィルタを形成することができ、フィルタの大型
化、当該フィルタを搭載した空気清浄機能を有する製品
の省エネに貢献するものである。
【0031】上記フィルタを構成するエレクトレット材
料の形態は、織物、編み物、不織布、フィルム、繊維状
ポーラスフィルム、多孔質体など、いずれの形態でも良
く、材料のエレクトレット化の工程は、フィルタの形成
前後どちらでも良い。
【0032】実施の形態6.本発明の第6の実施の形態
のエレクトレットフィルタは、形態が不織布であるエレ
クトレット材料を用いたものである。また、この材料に
より上記形状のエレクトレットフィルタを作製すること
で、エレクトレットフィルタとしての性能とともに、不
織布繊維による物理的集塵効果が期待される。
【0033】本実施の形態のフィルタに用いられる不織
布は、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、スパンレ
ース法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法による乾
式または湿式不織布、スパンボンド不織布、メルトブロ
ー式不織布、フラッシュ紡糸式不織布、トウ開繊式不織
布などである。メルトブロー式不織布、フラッシュ紡糸
式不織布は、繊維が細かく、物理フィルタとしての性能
も期待でき、繊維の表面積が大きく、静電気力による吸
着能力が高いことから、集塵フィルタとして、高い性能
が期待できる。また、ニードルパンチ法、開繊式不織布
では、フィルム状の材料にエレクトレット処理してか
ら、不織布を作ることができるため、帯電量の大きい高
性能なエレクトレットの製造が可能である。また、不織
布フィルタの形状は、シートタイプ、プリーツタイプ、
ハニカム形状タイプ、コルゲート積層タイプなど、様々
な形状で利用することが可能である。
【0034】なお、フィルタの製造工程において、不織
布化、織布化やシート化などの工程は、材料のエレクト
レット化の前後どちらでも良く、さらに、フィルタ形状
に形成の前後も限定されない。
【0035】以上説明したように、本発明のエレクトレ
ットフィルタは、その形状やエレクトレット材料の形態
に限定されることなく、フィルタとして機能する全ての
形態を含むものとし、日本工業規格JIS B9908
「換気用エアフィルタユニット」の解説図1に示される
フィルタなどが挙げられる。特に、エレクトレットフィ
ルタとしては、エレクトレット材料の電気的特性を有効
に機能させることができ、通過風に対する圧力損失の少
ないものが好ましい。
【0036】
【実施例】以下に、本発明に関する実施例を示すが、本
発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0037】実施例1.25℃における比誘電率が3.
4であり、90℃における比誘電率が約10であるポリ
塩化ビニルの膜厚50μmのフィルムシートを、ブロッ
キング処理をした電極に挟み、ホットプレート上に設置
し、フィルムの温度が90℃になるようにプレート温度
を調節し、1kVの直流電圧を30分間印加した。その
後、電圧を掛けたまま、室温まで冷却して本発明の実施
例に係わるエレクトレット材料からなるエレクトレット
フィルムを得た。見かけ上の表面電荷の極性は、印加し
た極板の電圧極性と相反するヘテロ電荷であった。
【0038】上記、高分子エレクトレットフィルムシー
トを幅10mmの短冊状に裁断し、帯電面が平行かつ、
互いに向き合うフィルム面が逆極性になるように、間隔
を保持するためのスペーサーを挟むことによって、2m
m間隔に配置し、上下左右に設けた枠により固定するこ
とにより、平板間距離2mm、フィルタ奥行き10mm
の平行平板型の本発明の実施例のエレクトレットフィル
タを作製した。
【0039】実施例2.実施例1と同様にして得たポリ
塩化ビニルのエレクトレット材料を用いて、ニードルパ
ンチ法により、繊維径おおよそ40μm、目付量20g
/m2の不織布シートを作製した。このシートを連続的
に折り曲げ、多数の谷部と山部を連続して有するシート
Aを作製する。次に、平坦な状態の上記不織布シートB
にシートAを重ね合わせ、シートAの谷部の底部をシー
トBの表面に無極性溶剤含有の接着剤により接着する。
これを繰り返すことにより、中しん高さ3mm、谷間隔
3mmで、フィルタ奥行き15mmの、大きさ70mm
×70mmのコルゲート積層型の本発明の実施例のエレ
クトレットフィルタを作製した。
【0040】実施例3.25℃における比誘電率が約1
0であり、60℃における比誘電率が約11であるポリ
フッ化ビニリデンの膜厚50μmのフィルムシートを、
ブロッキング処理をした電極に挟み、ホットプレート上
に設置し、フィルムの温度が60℃になるようにプレー
ト温度を調節し、1kVの直流電圧を30分間印加し
た。その後、電圧を掛けたまま、室温まで冷却し、注入
電荷された電荷を放電するために一定時間放置後、双極
子分極型の本発明の実施例に係わるエレクトレット材料
からなるフィルムを得た。表面電荷の極性は、印加した
電圧の極性と異なるヘテロ電荷であった。
【0041】上記、高分子エレクトレットフィルムシー
トを幅20mmの短冊状に裁断し、帯電面が平行かつ、
各フィルムが逆極性のフィルム面と向き合うように、間
隔を保持するためのスペーサーを挟むことにより、2m
m間隔に配置し、上下左右に設けた枠によりシートを固
定し、平板間距離2mm、フィルタ奥行き20mmの平
行平板型の本発明の実施例のエレクトレットフィルタを
作製した。
【0042】実施例4.25℃における比誘電率が約5
であり、180℃における比誘電率が約130であるシ
アン化ビニリデン酢酸ビニル共重合体の膜厚50μmの
フィルムシートを、3mm間隔で、折り目をつけた後再
び平らにし、ブロッキング処理をした電極に挟み、ホッ
トプレート上に設置、フィルムの温度が180℃になる
ようにプレート温度を調節し、1kVの直流電圧を30
分間印加した。その後、電圧を掛けたまま、室温まで冷
却し、注入電荷された電荷を放電するために一定時間放
置後、本発明の実施例に係わるエレクトレット材料から
なるフィルムを得た。表面電荷の極性は、印加した電圧
の極性と異なるヘテロ電荷であった。
【0043】上記、エレクトレットフィルムを幅15m
m、長さ400mmのテープ状に60本裁断する。先に
付けた折り目を参考にして、テープ状シートの折り目に
挟まれた部分4つのうち1つの割合で、つまり、9mm
間隔で幅3mmの部分に、無極性溶媒を含む接着剤を塗
布し、別のテープ状シートを載せ接着する。このとき重
ね合わされた部分の極性は互いに相反する面になるよう
にした。続いて、上に重ねたテープ状シート上面の、下
のシートと接着している部分間の中心3mmの部分に接
着剤を付け、つまり、下層の接着部分と位相をずらし
て、新たなテープ状シートを乗せ接着する。この操作を
テープ状シート60本分繰り返した。最端のシートに
は、フレームとなるアクリル板を接着した。接着剤が乾
燥した後、接着面と垂直方向にこの積層物を引きのばす
ことにより、蜂の巣状の開口面を持つ構造物が得られ
る。この構造物にフレームの縦枠を取り付けることによ
り、縦30cm、横30cmで、ハニカムコア寸法5.
2mm、フィルタ奥行き15mmのハニカム形状型の本
発明の実施例のエレクトレットフィルタを得た。
【0044】比較例1.25℃における比誘電率が2.
1であり、80℃における比誘電率が2.2であるポリ
プロピレンフィルムを80℃に加熱したプレート上で、
コロナ帯電器により荷電し、その後、冷却することによ
り、エレクトレトット材料を得た。このエレクトレット
フィルムシートを幅10mmの短冊状に裁断し、帯電面
が平行かつ、各短冊状フィルムが逆極性のフィルムと向
き合うように、2mm間隔に配置し、上下左右に設けた
枠により固定し、平板間距離2mm、フィルタ奥行き1
0mmの平行平板型エレクトレットフィルタを作製し
た。
【0045】比較例2.25℃における比誘電率が2.
1であるポリプロピレンを原料とするフィルムに直流電
圧を印加し、極板電圧極性と同等の極性に帯電したエレ
クトレット材料を得た。このエレクトレット材料を解繊
し、繊維径30μm、繊維長60mmの解繊糸を得た。
つぎに解繊糸をカード成型機で成形し、目付量20g/
2の不織布シート型エレクトレットフィルタを作製し
た。
【0046】実施例1から実施例4、および、比較例1
から比較例2のフィルタについて、塵埃捕集効率、圧力
損失、タバコ耐性などのフィルタ性能について、表1に
まとめた。捕集効率は、0.3〜0.5μmのNaCl
粒子の一過性集塵効率、圧力損失は風速1m/sの時の
通過抵抗によって評価した。タバコ寿命は、日本電機工
業会規格JEM1467「家庭用空気清浄機」に記載の
方法により評価した。寿命の算定においては、一日の喫
煙タバコ本数を5本とした。
【0047】
【表1】
【0048】表1に示すように、本発明のエレクトレッ
トフィルタは、高い集塵性能を有し、タバコヤニに対す
る寿命が長い。また、ハニカム型形状、コルゲート積層
型形状または平行平板型形状のフィルタは、通気抵抗が
低くエレクトレットフィルタとしての総合的な性能を向
上できる。
【0049】
【発明の効果】本発明の第1のエレクトレットフィルタ
は、25℃における比誘電率(ε25)が、3〜180で
あり、電界印加時の温度における比誘電率をεEとする
と、εE/ε25が、1〜60である高分子材料に、電界
を印加することによって得られるエレクトレット材料を
用いたもので、高い集塵性能を有し、タバコヤニに対す
る寿命が長いという効果がある。
【0050】本発明の第2のエレクトレットフィルタ
は、25℃における比誘電率(ε25)が、3〜180で
あり、電圧印加時の温度における比誘電率をεVとする
と、εV/ε25が、1〜60である高分子材料に、電圧
を印加することによって得られ、上記印加電圧極性に対
して、見かけ上の表面電荷がヘテロ電荷であるエレクト
レット材料を用いたもので、高い集塵性能を有し、タバ
コヤニに対する寿命が長いという効果がある。
【0051】本発明の第3のエレクトレットフィルタ
は、上記第1または第2のエレクトレットフィルタにお
いて、形状がハニカム型であり、ハニカムコア寸法が1
〜20mm、フィルタの奥行きが4〜200mmのもの
で、通気抵抗が低いという効果がある。
【0052】本発明に係る第4のエレクトレットフィル
タは、上記第1または第2のエレクトレットフィルタに
おいて、形状がコルゲート積層型であり、中しんの高さ
が1〜20mm、フィルタの奥行きが4〜200mmの
もので、通気抵抗が低いという効果がある。
【0053】本発明に係る第5のエレクトレットフィル
タは、上記第1または第2のエレクトレットフィルタに
おいて、形状が平行平板型であり、平板間距離が1〜2
0mm、フィルタ奥行きが4〜200mmのもので、通
気抵抗が低いという効果がある。
【0054】本発明に係る第6のエレクトレットフィル
タは、上記第1ないし第5のいずれかのエレクトレット
フィルタにおいて、エレクトレット材料が不織布の形態
のもので、集塵性能が向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態のエレクトレットフィルタに用
いるエレクトレット材料を模式的に示す説明図である。
【図2】 本実施の形態のエレクトレットフィルタに用
いるエレクトレット材料を製造する工程を示す説明図で
ある。
【図3】 本実施の形態のエレクトレットフィルタに用
いるエレクトレット材料を模式的に示す説明図である。
【図4】 本実施の形態のエレクトレットフィルタに用
いるエレクトレット材料を製造する工程を示す説明図で
ある。
【図5】 本発明の実施の形態のハニカム型のエレクト
レットフィルタを説明するための上記フィルタの流路面
に対向する面を示す構造図である。
【図6】 本発明の実施の形態のコルゲート積層型のエ
レクトレットフィルタを説明するための上記フィルタの
流路面に対向する面を示す構造図である。
【符号の説明】
10 エレクトレット材料、11 高分子材料、12
双極子、31 注入された電荷、112 ハニカムコア
寸法、121 中芯、122 ライナ、123中芯の高
さ、Pr 表面分極電荷、Q 真電荷。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 25℃における比誘電率(ε25)が、3
    〜180であり、電界印加時の温度における比誘電率を
    εEとすると、εE/ε25が、1〜60である高分子材料
    に、電界を印加することによって得られるエレクトレッ
    ト材料を用いたエレクトレットフィルタ。
  2. 【請求項2】 25℃における比誘電率(ε25)が、3
    〜180であり、電圧印加時の温度における比誘電率を
    εVとすると、εV/ε25が、1〜60である高分子材料
    に、電圧を印加することによって得られ、上記印加電圧
    極性に対して、見かけ上の表面電荷がヘテロ電荷である
    エレクトレット材料を用いたエレクトレットフィルタ。
  3. 【請求項3】 形状がハニカム型であり、ハニカムコア
    寸法が1〜20mm、フィルタの奥行きが4〜200m
    mであることを特徴とする請求項1または請求項2に記
    載のエレクトレットフィルタ。
  4. 【請求項4】 形状がコルゲート積層型であり、中しん
    の高さが1〜20mm、フィルタの奥行きが4〜200
    mmであることを特徴とする請求項1または請求項2に
    記載のエレクトレットフィルタ。
  5. 【請求項5】 形状が平行平板型であり、平板間距離が
    1〜20mm、フィルタ奥行きが4〜200mmである
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレ
    クトレットフィルタ。
  6. 【請求項6】 エレクトレット材料が不織布の形態であ
    ることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか
    に記載のエレクトレットフィルタ。
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