JP2000277818A - YSZとPtとからなる積層体及びその製造方法 - Google Patents

YSZとPtとからなる積層体及びその製造方法

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JP2000277818A
JP2000277818A JP11079957A JP7995799A JP2000277818A JP 2000277818 A JP2000277818 A JP 2000277818A JP 11079957 A JP11079957 A JP 11079957A JP 7995799 A JP7995799 A JP 7995799A JP 2000277818 A JP2000277818 A JP 2000277818A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Si(100)基板上に、YSZ膜及びPt
膜をそれぞれ(100)に配向させて形成された積層体
及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 Si(100)基板をサーマルエッチン
グすることによって、Si基板表面を粗くする。具体的
には、Si基板上にYSZ膜を真空蒸着法で成膜させた
ときに、YSZ膜の表面粗さRrmsが2.5nm〜25
nmになるようにSi基板を粗くする。この表面粗さを
YSZ膜上に形成すれば(100)に配向したPt膜を
容易に成膜することができる。Pt膜上にPZT焦電体
薄膜を(100)に配向させて成膜することにより高感
度な赤外線センサーを提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Si基板上にPt
膜を形成した赤外線センサーなどに用いられる積層体及
びその製造方法に関し、更に詳細には、Si(100)
基板上にイットリア安定化ジルコニア膜をバッファー層
として介在させることにより(100)に配向したPt
膜をSi基板上に安定して形成させる方法及び得られた
積層体並びに赤外線センサーに関する。
【0002】
【従来の技術】赤外線センサーは、人体から放出される
赤外線を検出することが可能であるため、自動ドアや警
報装置などの人体検知機に使われている。これら赤外線
センサーには種々のものが知られており、その中でも焦
電物質の焦電特性を利用した焦電型赤外線センサーは、
検出感度に波長依存性がなくセンサー部の冷却を必要と
しないために広く利用されている。焦電型赤外線センサ
ー10は、通常、図6に示したように、Si基板1上
に、バッファー層(下地層)としての酸化物薄膜2を介
して、電極としてのPt膜3、焦電特性を有する焦電体
薄膜4、保護膜と上部電極とを兼ねた金属薄膜5が積層
された構造を有する。バッファー層(下地層)は、Si
基板1の配向性を失うことなくSi基板1と焦電体薄膜
4との反応を防止するという目的で用いられており、例
えば、イットリア安定化ジルコニア(以下、適宜「YS
Z」という)やCeO、MgOなどが使われている。
また、焦電体薄膜には、PbTiOやPZT、PL
T、PLZT、PTO、BaTiOなどが使われてお
り、センサーとして検出感度や検出速度などの特性を最
適にするために、結晶性や結晶配向性を制御しつつ成膜
することが望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、焦電型赤外
線センサーは量子型などのほかのタイプの赤外線センサ
ーよりも検出感度が低く応答が悪いという問題があり、
現在、この問題を解決するために様々な試みがなされて
いる。検出感度を上げるための一つの手段として、PZ
Tなどの焦電体薄膜を(100)に配向させることが考
えられる。すなわち、PZTなどの焦電体薄膜を(10
0)に配向させると、(100)方向の焦電係数が最も
大きくなるので焦電体薄膜の焦電特性が向上し、その結
果、赤外線センサーの検出感度が向上する。焦電体薄膜
を(100)に配向させるためには、焦電体薄膜を成膜
するときに下地となるPt膜を(100)に配向させる
必要がある。更に、このPt膜を(100)に配向させ
て成長させるにはYSZなどのバッファー層(下地層)
を(100)に配向するように形成させなければならな
い。
【0004】Japanese Journal of Applied Physics (V
ol.27, No.8, August, 1988, pp. L1404-L1405)は、Y
SZ(200)配向面をSi(100)面と格子接合さ
せることが可能であることを報告している。しかしなが
ら、(100)に配向したYSZ層をSi基板上に形成
した場合であっても、このYSZ(100)面上にPt
膜を形成させると、Pt膜は(100)ではなく(11
1)に配向して成長してしまうという問題があった。上
記J.J.A.P.では、この問題及びその解決方法につい
て何ら記載も示唆もされていない。
【0005】本発明の目的は、Si(100)基板上
に、基板と同じ(100)に配向したYSZ層及びPt
膜を順次積層させた積層体を提供することにある。ま
た、本発明の別の目的は、上記積層体のPt膜上に(1
00)に配向した焦電体薄膜を形成させることにより高
感度の焦電型赤外線センサーを提供することにある。
【0006】本発明の更に別の目的は、焦電体薄膜を成
膜するときにその下地となるPt膜を(100)に配向
させて形成することができる焦電型赤外線センサー用積
層体の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様に従
えば、Si基板上に、イットリア安定化ジルコニア層を
介してPt膜が形成された積層体において、上記Si基
板、イットリア安定化ジルコニア層及びPt膜がそれぞ
れ(100)に配向していることを特徴とする積層体が
提供される。
【0008】本発明に従う積層体は、Si(100)基
板上に、Si(100)基板を前もってエッチングする
ことによって得られた所定の表面粗さを有するYSZ
(100)層を介して、(100)に配向したPt膜を
備えているため、このPt膜上にPZTなどの焦電体薄
膜を(100)に配向させて成長させることができる。
このため、焦電特性に優れた赤外線センサーなどの種々
の素子を形成するうえで好適である。
【0009】本発明において、YSZ層表面の表面粗さ
Rrmsは、2.5nm〜25nmであることが好まし
い。ここで、「表面粗さRrms」の定義について、図1
を用いて説明する。図1は、YSZ層の表面をx−y平
面として表し、YSZ層の表面と垂直な方向をz方向と
して表したときに、z≡f(x,y)で膜表面の凹凸を
表現した模式図である。図1において、関数f(x,
y)は、点(x,y)における荒れのz方向の変位を表
しており、その平均を下記式(2)で定義したf(x,
y)の上付きバーで表している。ここで、表面粗さRrm
sは次式(1)で定義される。ただし、本明細書では、
基準面積Sを1μm×1μmとしてRrmsの値を計算し
た。
【0010】
【数1】
【0011】
【数2】
【0012】YSZ層表面の表面粗さRrmsが2.5n
m未満では(100)以外の方位が混在したPt膜とな
り、25nmを超えるとPt膜は(100)に配向され
るものの、Pt膜の表面に階段状の凹凸が形成されるた
め好ましくない。
【0013】本発明の積層体の(100)配向したPt
膜上に、更に焦電体薄膜を成膜することにより高感度の
焦電型赤外線センサーが得られる。この場合、本発明の
積層体のPt膜は(100)に配向しているので、この
Pt膜上に成膜された焦電体薄膜も(100)に配向さ
れる。これにより、本発明の積層体を利用して製造され
た焦電型赤外線センサーの感度は向上する。焦電体薄膜
としては、PbTiO やPZT、PLT、PLZT、
PTO、BaTiOなどが好ましく、焦電係数が最も
大きいPZTがより一層好ましい。
【0014】本発明において、YSZの組成を(ZrO
1−X(Yで表したとき、YSZが立方
晶である必要があることから、X=0.075〜0.3
0とすることが好ましい。
【0015】本発明の第2の態様に従えば、Si基板上
に、イットリア安定化ジルコニア層及びPt膜が順次形
成された積層体の製造方法において、上記Si基板の
(100)面をエッチング処理して表面を粗くした後
に、上記イットリア安定化ジルコニア層及びPt膜を積
層し、それによって(100)に配向したPt膜を形成
することができることを特徴とする積層体の製造方法が
提供される。
【0016】本発明の積層体を製造する方法では、Si
(100)基板をエッチング処理することによってSi
基板表面上を粗くすることができる。それゆえ、この表
面を粗くしたSi基板上にYSZ層を真空蒸着すること
により所定の表面粗さを有するYSZ層が形成される。
また、このYSZ層上にPt膜を形成させる際、YSZ
層の粗い斜面上で成長するPt結晶粒の成長の異方性を
利用することによって、Pt膜の配向方向を制御するこ
とができる。(100)に配向したPt膜をYSZ層上
に形成させる具体的な方法として、成膜したYSZ(1
00)層の表面に表面粗さRrmsが2.5nm〜25n
mになるように、Si(100)面を粗くすればよい。
YSZ層の表面上に形成させるうねりはエッチング処理
の時間を調整することによって行われる。
【0017】本発明の積層体を製造する方法において、
エッチング処理として、例えば、サーマルエッチングを
利用することができる。サーマルエッチングでは、10
−6Paの減圧雰囲気下で、酸素分圧を一定にしたまま
温度を750℃〜850℃に昇温した後、1〜10分か
けて装置内に酸素を導入して、酸素分圧を5×10
Pa〜1×10−2Paに上昇させることによりSi基
板表面に凹凸を形成させる。すなわち、温度750℃〜
850℃で酸素分圧が5×10−4Pa〜1×10−2
Paに到達する途中の領域では、2Si+O→2Si
O↑という反応が起こるため、基板表面のSiが削り取
られ、表面上に凹凸が形成される。凹凸の粗さは、この
反応によってSiが削り取られる領域に基板を保持して
おく時間、温度及び酸素分圧の3つの条件によって決定
される。
【0018】また、上記サーマルエッチング処理におい
て、温度を750℃〜850℃に昇温させる工程の前
に、100℃〜300℃の温度、例えば、約200℃の
温度にてSi基板上に厚さが5Å〜20Å、例えば、1
5ÅになるようにZrを成膜させる工程を入れることが
望ましい。酸素分圧が10−3Paよりも高い領域で
は、Si+O→SiOという反応が起こり易くな
り、Si基板表面上にSiO の膜が形成されてしまう
が、このZr成膜工程を入れることによりSi基板上に
形成したZrがSi表面を覆うので、Si基板表面にS
iOが形成されることを抑えることができる。
【0019】本発明の第3の態様に従えば、Si基板上
に、イットリア安定化ジルコニア層、Pt膜及び焦電体
薄膜が順次形成された焦電型赤外線センサーの製造方法
であって、上記Si基板の(100)面をエッチング処
理して表面を粗くした後に、上記イットリア安定化ジル
コニア層及びPt膜を順次積層し、それによって(10
0)に配向したPt膜上に焦電体薄膜を成膜させること
を特徴とする焦電型赤外線センサーの製造方法が提供さ
れる。
【0020】本発明の焦電型赤外線センサーの製造方法
によれば、Pt膜上にPZTなどの焦電体薄膜を(10
0)に配向させて成膜することができるので、Pt膜を
電極膜として用いた高感度の焦電型赤外線センサーが得
られる。
【0021】
【発明の実施の形態】実施例1 図2に本発明に従う積層体の概略構成図を示す。この積
層体20は、Si(100)基板1上にYSZ層2’、
Pt膜3を順次積層してなる。この積層体20の製造方
法の一例を以下に示す。
【0022】表面が(100)に配向したSi基板を用
意し、サーマルエッチングによりSi基板の(100)
表面を粗くした。このサーマルエッチングの工程及び条
件を図3を用いて説明する。まず、真空蒸着装置内にS
i基板を配置し、蒸着源として組成が(ZrO
0.91(Y0.09で表されるYSZ焼結体
を真空蒸着装置に装填して、真空蒸着装置を10−6
aに減圧した。真空蒸着装置内の残留ガスの主な成分は
、HO、Nであり、Oは検出下限であること
から酸素分圧は10-7Pa程度と考えられる(グラフ
中、点a)。次いで、この圧力下で真空蒸着装置内の温
度を室温から800℃まで昇温させた(グラフ中、点
c)。昇温直後、真空蒸着装置内の酸素分圧が10−2
Paになるように約3分かけてOを導入した(グラフ
中、点d)。導入されたOによりSi(100)表面
がエッチングされる。
【0023】O導入終了直後に、YSZ焼結体に電子
ビーム(EB)を照射してSi(100)基板上に厚さ
200ÅになるようにYSZ層を蒸着させた。蒸着処理
を終えた後、この基板を真空蒸着装置から取り出し、Y
SZ層の表面を分子間力顕微鏡で観察した。Si基板上
に形成されたYSZ層の平均表面粗さを、前記式(1)
(表面粗さRrmsを定義する式)から求めると約10n
mであった。
【0024】次いで、YSZ膜が形成されたSi基板を
スパッタ装置内に装着した。スパッタ装置のターゲット
材料にはPtを、スパッタガスにはArを用い、装置内
の圧力を0.4Pa、基板の温度を750℃に調整し
て、堆積速度0.5Å/secにてRFスパッタリングを
行った。このスパッタリングによりYSZ層上にPt膜
を厚さ1000Åで成膜した。成膜されたPt膜の表面
は平滑であった。こうして図2に示したような積層体2
0を得た。
【0025】得られた積層体20についてX線回折測定
を行い、Pt膜の結晶配向性を調べた。その結果を図4
に示す。図4からわかるように、Pt(200)示すピ
ークが顕著に現れており、Pt膜の表面は(100)方
向に配向していることがわかる。
【0026】[赤外線センサーの製造]本実施例で作製
した積層体20を約500℃に加熱しながら、積層体2
0のPt膜の表面上に焦電体薄膜としてPbTiO
MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Depositio
n)法により500℃という低基板温度下にて膜厚20
00Åで成膜した。更に上部電極としてのPt膜をスパ
ッタ法により成膜して、Si基板を裏面からウェットエ
ッチングにより30μmまで薄くすることにより焦電型
赤外線センサーを製造した。
【0027】PbTiO膜を成膜した後、基板表面上
に積層した積層体の元素分布をSIMS(二次イオン質
量分析)にて測定した。その結果を図5のグラフに示
す。グラフ中、深さ(μm)はSi基板表面からPbT
iO層方向における積層体の深さを示す。このグラフ
からわかるように、Pb及びTiがPt膜部分(深さ
0.05〜0.1μm)において低下し、Si基板付近
(深さ0〜0.05μm)においては更に低下してい
る。このことから、この積層構造により、PbTiO
膜の成分がSi基板に拡散することが防止されているこ
とがわかる。また、PbTiO膜のc軸(100)配
向率は92%と高く、しかもPtに対して面内配向して
いた。
【0028】実施例2 酸素分圧を一定に保ったまま真空蒸着装置内の温度を室
温から200℃まで昇温させた直後、Zr蒸着源を用い
てZrを15Åの膜厚でSi基板面上に蒸着させる工程
を、酸素分圧を10−2Paに増大させる工程の前に加
入した以外は、実施例1と同様の操作によりサーマルエ
ッチングを行い、積層体を作製した。Si基板上にZr
を成膜する工程を導入したことにより、昇温中のSi基
板表面の酸化を防止し、サーマルエッチングを確実に実
行させることができた。すなわち、基板昇温中の温度3
00℃〜600℃の領域では、Si基板の表面で2Si
+O→SiOの反応が起こりやすくなる。この実施
例に従い、昇温前にSi基板上にZrを成膜することに
よりSi基板表面上のZrがSi基板の酸化を抑制す
る。なお、実施例1及び実施例2においては、Oによ
るサーマルエッチング直後にYSZ膜を蒸着させたが、
分圧の上昇によりサーマルエッチング領域を通過し
て酸化領域に入ったときの時刻と、YSZ成長の開始時
刻との間の間隔が長くなると2Si+O→SiO
酸化反応が進行してしまう。
【0029】比較例1 YSZ単結晶基板を用意し、(100)方位に鏡面研磨
した後、研磨した鏡面上にPtを実施例1と同様にスパ
ッタリングにより成長させた。成膜されたPt膜につい
てX線回折測定を行った結果、YSZ単結晶上に形成さ
れたPt膜は(111)方位に配向しており、(10
0)方位には配向していなかった。
【0030】比較例2 酸素分圧を10−2Paに増大させるのに要した時間を
3分から3秒に短くした以外は、実施例1と同様にサー
マルエッチングを行い、Si基板上にYSZ層を蒸着し
て積層体を作製した。そして、得られた積層体のYSZ
層の表面を分子間力顕微鏡で観察した。その表面の粗さ
Rrmsを、前記式(1)から求めると約1.5nmであ
った。次いで、この積層体をスパッタ装置内に移し、実
施例1と同様の方法でスパッタリングを行い、YSZ層
上にPt膜を成膜した。YSZ層上に成膜されたPt膜
についてX線回折測定を行った結果、(100)方位を
示すピークは測定されず、(111)方位を示すピーク
が現れていた。
【0031】比較例3 酸素分圧を10−2Paに増大させるのに要した時間を
3分から20秒に短くした以外は、実施例1と同様にサ
ーマルエッチングを行い、Si基板上にYSZ層を蒸着
して積層体を作製した。そして、得られた積層体のYS
Z層の表面を分子間力顕微鏡で観察した。その表面の粗
さRrmsを、前記式(1)から求めると約3nmであっ
た。次いで、この積層体をスパッタ装置内に移し、実施
例1と同様の方法でスパッタリングを行い、YSZ層上
にPt膜を成膜した。YSZ層上に成膜されたPt膜に
ついてX線回折測定を行った結果、(100)方位を示
すピークが現れた。(111)方位を示すピークが現れ
なかった。
【0032】比較例4 酸素分圧を10−2Paに上げるのに要した時間を3分
から15分に長くした以外は、実施例1と同様にサーマ
ルエッチングを行い、Si基板上にYSZ層を蒸着して
積層体を作製した。得られた積層体のYSZ層の表面を
分子間力顕微鏡で観察した結果、YSZ層の表面粗さ
は、前記式(1)から求めると50nmであった。次い
で、実施例1と同様にスパッタリングを行い、YSZ層
上にPt膜を成膜した。成膜されたPt膜についてX線
回折を行った結果、(100)のみならず(111)を
含む種々の方位を示すピークが観測された。また、Pt
膜の表面には階段状の凹凸が観測された。
【0033】以上、実施例1〜2及び比較例1〜4から
YSZの表面粗さRrmsが小さすぎても大きすぎてもP
t(100)ができないことがわかる。比較例3からR
rmsの下限値を2.5nmとする。一方、Rrmsの上限値
は、以下に示すようにして決定することができる。ま
ず、YSZ表面の凹凸の最大斜度が45°となるz方向
の関数が、凹凸の周期をλで表したときに、 z=f(x,y)=(λ/2π)・COS(2πx/λ)・C
OS(2πy/λ) で表現できるものとすると、基準面積S=λとして前
記式(1)から、 Rrms=λ/4π となる。このとき、Pt(100)膜に大きな段差がで
きないようにするためには、λはPt膜結晶粒の長さ程
度以下でなければならない。ここで、YSZ(100)
単結晶基板上に実施例1と同じ条件で作成したPt膜結
晶粒の長さがおよそ300nmであったことから次式が
導かれる。
【0034】Rrms=λ/4π≦(300nm/(4
π))=25nm
【0035】以上の考察からPt(100)ができるR
rmsの範囲を 2.5nm≦Rrms≦25nm と決定する。この表面粗さRrmsの上限値及び下限値は
上記実施例及び比較例1〜4と矛盾することはない。
【0036】上記実施例及び比較例においてエッチング
処理にはサーマルエッチング法を用いたが、これに限ら
ずウェットエッチングやドライエッチングなど、Si基
板の表面に凹凸を形成させることが可能な方法であれば
任意の方法を利用することができる。また、YSZ層を
形成させる方法は真空蒸着法に限らず、スパッタ法やC
VD法などの方法を利用することができる。
【0037】また、上記実施例において焦電体薄膜とし
てPbTiOを用いたが、これに限らず、PZTやP
LT、PLZT、PTO、BaTiOなどを利用する
ことができる。
【0038】
【発明の効果】本発明の積層体は、Si(100)基板
上に、(100)にそれぞれ配向したYSZ層及びPt
膜が形成されているので、このPt膜上に焦電体薄膜を
(100)に配向させて成膜することができる。この積
層体を用いることにより、検出感度の高い赤外線センサ
ーを提供することができる。
【0039】また、本発明の積層体の製造方法では、S
i(100)基板上に所定の粗さのうねりをエッチング
することにより形成させたので、Si基板上に(10
0)に配向したYSZ層及びPt膜を安定して形成させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う積層体のYSZ層の表面をx−y
平面として表し、YSZ層の表面と垂直な方向をz方向
として表したときに、y軸に垂直でy軸上の定点y
通るようにx−y平面を切断したときの断面構造を模式
的に示した図である。
【図2】本発明に従う積層体の断面構造を示す図であ
る。
【図3】実施例1のサーマルエッチング処理時の温度と
酸素分圧との関係を示す図である。
【図4】実施例1で作製した積層体のX線回折パターン
である。
【図5】Si基板上に積層した積層体の元素分布を示す
図である。
【図6】焦電型赤外線センサーの断面構造を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 Si基板 2 酸化物薄膜 2’ YSZ層 3 Pt膜 4 焦電体薄膜 5 金属薄膜 10 焦電型赤外線センサー 20 積層体

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si基板上に、イットリア安定化ジルコ
    ニア層を介してPt膜が形成された積層体において、 上記Si基板、イットリア安定化ジルコニア層及びPt
    膜がそれぞれ(100)に配向していることを特徴とす
    る積層体。
  2. 【請求項2】 上記イットリア安定化ジルコニア層の表
    面粗さRrmsが、2.5nm〜25nmの範囲内にある
    ことを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 【請求項3】 Si基板の(100)配向面を所定の粗
    さに粗くした後に、該配向面上にイットリア安定化ジル
    コニア及びPtを順次積層することにより得られたこと
    を特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  4. 【請求項4】 積層された上記イットリア安定化ジルコ
    ニア層の表面粗さRrmsが2.5nm〜25nmの範囲
    内に含まれるようにSi基板の(100)配向面を粗く
    することを特徴とする請求項3に記載の積層体。
  5. 【請求項5】 上記イットリア安定化ジルコニアを(Z
    rO1−X(Yで表したときに、X=
    0.075〜0.3であることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれか一項に記載の積層体。
  6. 【請求項6】 上記積層体のPt膜上に、ペロブスカイ
    ト構造の焦電体薄膜を積層させることによって焦電型赤
    外線センサーとして用いることを特徴とする請求項1〜
    5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の積層体を用いて製造さ
    れた焦電型赤外線センサー。
  8. 【請求項8】 Si基板上に、イットリア安定化ジルコ
    ニア層及びPt膜が順次形成された積層体の製造方法に
    おいて、 上記Si基板の(100)面をエッチング処理して表面
    を粗くした後に、上記イットリア安定化ジルコニア層及
    びPt膜を積層し、それによって(100)に配向した
    Pt膜を形成することができることを特徴とする積層体
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 上記イットリア安定化ジルコニア層の表
    面粗さRrmsが、2.5nm〜25nmの範囲内に含ま
    れるようにSi基板の(100)面をエッチング処理す
    ることを特徴とする請求項8に記載の積層体の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 上記エッチング処理がサーマルエッチ
    ングであり、 10−6Pa未満の減圧雰囲気下で温度750℃〜85
    0℃にて、酸素を1〜10分間かけて導入して酸素分圧
    を5×10−4〜1×10−2Paにすることを特徴と
    する請求項8または9に記載の積層体の製造方法。
  11. 【請求項11】 100℃〜300℃の温度にて、Zr
    を膜厚5Å〜20Åで成膜する工程を設けたことを特徴
    とする請求項10に記載の積層体の製造方法。
  12. 【請求項12】 上記酸素分圧を5×10−4〜1×1
    −2Paに上昇させた直後にイットリア安定化ジルコ
    ニアを成膜させることを特徴とする請求項10または1
    1に記載の積層体の製造方法。
  13. 【請求項13】 Si基板上に、イットリア安定化ジル
    コニア層、Pt膜及び焦電体薄膜が順次形成された焦電
    型赤外線センサーの製造方法であって、 上記Si基板の(100)面をエッチング処理して表面
    を粗くした後に、上記イットリア安定化ジルコニア層及
    びPt膜を順次積層し、それによって(100)に配向
    したPt膜上に焦電体薄膜を成膜させることを特徴とす
    る焦電型赤外線センサーの製造方法。
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