JP2000275647A - 液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子

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JP2000275647A
JP2000275647A JP2000064747A JP2000064747A JP2000275647A JP 2000275647 A JP2000275647 A JP 2000275647A JP 2000064747 A JP2000064747 A JP 2000064747A JP 2000064747 A JP2000064747 A JP 2000064747A JP 2000275647 A JP2000275647 A JP 2000275647A
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crystal display
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display device
alignment film
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JP2000064747A
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English (en)
Inventor
Nobukazu Nagae
伸和 長江
Nobuaki Yamada
信明 山田
Motohiro Yamahara
基裕 山原
Toshiyuki Hirai
敏幸 平井
Masayuki Okamoto
正之 岡本
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 視角依存性が少なく、コントラスト変化、着
色現象、反転現象を解消でき、かつ表示むらの無い高コ
ントラストが得られるようにする。 【構成】 対向する一対の基板間に液晶層が挟持され、
表示を行う絵素がマトリクス状に配された液晶表示素子
において、前記一対の基板の液晶層側に配向膜が形成さ
れており、少なくとも一方の配向膜は、該液晶層を前記
各絵素毎にそれぞれ少なくとも一つの同心円状の配向方
向を有するように配向させる液晶配向手段、または、該
液晶層を前記各絵素毎にそれぞれ少なくとも3方向以上
の配向方向を有するように配向させる液晶配向手段を備
えたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、対向する一対の基
板間に液晶が挟持された液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ネマティック液晶表示素子を
用いた液晶表示装置は、時計や電卓などの数値セグメン
ト型表示装置に広く用いられており、液晶表示装置の透
光性基板には薄膜トランジスタなどの能動素子が、液晶
の電圧を印加する画素電極を選択駆動するスイッチング
手段として形成され、更に赤色、緑色、青色などのカラ
ーフィルタ層がカラー表示手段として設けられている。
また、液晶のツイスト角に応じて以下の方式が知られて
いる。(a)ネマティック液晶分子を90度ねじれ配向
させたアクティブ駆動型ツイストネマティック(Twi
ste d Nematic,以下TNと略称する。)
液晶表示方式と、(b)ネマティック液晶分子のツイス
ト角を90度以上とすることによって透過率−液晶印加
電圧特性の鋭い急峻性を利用したマルチプレックス駆動
型スーパーツイストネマティック(Super Twi
sted Nematic,以下STNと略称する。)
液晶表示方式が知られている。
【0003】後者のマルチプレックス駆動型STN液晶
表示方式は、特有の色付きが存在するため、白黒表示を
行うためには、光学的位相差素子に応じて更に以下のよ
うに大別される。即ち、(b−1)表示用液晶セルと逆
方向のツイスト角でねじれ配向させた液晶セルを用いた
2層型のダブルスーパーツイストネマティック(Dou
ble Super Twisted Nemati
c)液晶表示方式と、(b−2)光学的異方性を有する
フイルムを配置したフイルム付加型液晶表示方式とに大
別される。軽量化、低コストの観点から、(b−2)の
フイルム付加型液晶表示方式が有力であると考えられて
いる。
【0004】一方、前者の(a)アクティブ駆動型TN
液晶表示方式は、以下のように大別される。即ち、(a
−1)一対の偏向板の偏向方向を相互に平行に配置し
て、液晶層に電圧を印加しない状態(オフ状態)で黒色
を表示するノーマリブラック方式と、(a−2)偏向方
向を相互に直交するように配置して、オフ状態で白色を
表示するノーマリホワイト方式の2種類に大別される。
表示コントラスト、色再現性、表示の視角依存性の観点
から、(a−2)のノーマリホワイト方式が有力である
と考えられている。
【0005】しかしながら、TN液晶表示装置におい
て、液晶分子に屈折率異方性が存在し、また上下電極基
板に対して液晶分子が傾斜して配向しているため、観察
する視角によって表示画面のコントラストが変化して、
視角依存性が大きくなる。特に画面の法線方向から表示
コントラストが良くなる方向(通常は手前側)に視角を
傾けていくと、ある角度以上で白黒表示が反転する現象
(以下、反転現象という。)が発生することはよく知ら
れている。
【0006】そこで、このような視角依存性を改善する
ために、従来から屈折率楕円体の一つの主屈折率の方向
が画面の法線方向に対して平行な位相差板(フイルム)
を基板と偏向板の間に介在させることにより、正常光と
異常光との成分間の位相差を補償することが試みられて
いる。しかし、このような位相差板を用いても、上記の
白黒表示の反転現象を改善するには限界がある。
【0007】他の方法としては、画素分割法(特開昭5
7−186735)やラビング角最適化法(特開平4−
221935)やノンラビング法(特公平3−1416
2)などの方法が提案されている。画素分割法は、表示
を行う絵素電極を2つに分割し、一方の分割絵素電極と
他方の分割絵素電極とをそれぞれ独立した視角特性を持
つようにする方法である。ラビング角最適化法は、液晶
表示素子を挟んで設けた2つの偏光板の一方の偏光方向
と液晶分子の配向方向との間の角度、及びねじれ角を所
定の範囲内に選定して、反転現象を防止する方法であ
る。ノンラビング法は、液晶層を挟む2つの基板の一方
に設けた配向膜にラビングを施し、他方の基板に設けた
配向膜をノンラビングとなし、ノンラビングの配向膜に
より液晶分子の配向方向に差を生じさせる方法である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
液晶表示素子において、前記の画素分割法は、上下方向
の反転現象及び視角依存性を解消することができるが、
コントラストが低下したり、視角を倒したときに黒がグ
レーに浮いてしまったり、或は左右方向と上下方向の視
角依存性が生じるという欠点がある。また、前記ラビン
グ角最適化法は、反転現象の改善はできるが、反転現象
の生じる反対方向の視角が狭くなり、真上のコントラス
トが低下するという欠点がある。更に、前記ノンラビン
グ法は、図14a,bに示すように、液晶配向の不連続
性であるディスクリネーションラインDLに基づく「ざ
らつき」などの表示むらが目立って表示品位を低下させ
るという欠点がある。
【0009】本発明は、このような従来技術の課題を解
決すべくなされたものであり、視角によるコントラスト
変化、着色現象、反転現象を解消して視角依存性を改善
でき、かつ表示むらの無い高コントラストである液晶表
示素子を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示素子
は、対向する一対の基板間に液晶層が挟持され、表示を
行う絵素がマトリクス状に配された液晶表示素子におい
て、前記一対の基板の液晶層側に配向膜が形成されてお
り、少なくとも一方の配向膜は、該液晶層を前記各絵素
毎にそれぞれ少なくとも一つの同心円状の配向方向を有
するように配向させる液晶配向手段を備えたものであ
り、そのことにより上記目的が達成される。
【0011】なお、このとき、前記絵素が少なくとも1
つ以上の絵素分割単位に分割されており、前記液晶配向
手段は、各絵素分割単位内における液晶層を同心円状の
配向方向にそれぞれ配向させていることが好ましい。
【0012】また、本発明の液晶表示素子は、対対向す
る一対の基板間に液晶層が挟持され、表示を行う絵素が
マトリクス状に配された液晶表示素子において、前記一
対の基板の液晶層側に配向膜が形成されており、少なく
とも一方の配向膜は、該液晶層を前記各絵素毎にそれぞ
れ少なくとも3方向以上の配向方向を有するように配向
させる液晶配向手段を備えたものであり、そのことによ
り上記目的が達成される。
【0013】なお、このとき、前記絵素が少なくとも3
つ以上の絵素分割単位に分割されており、前記液晶配向
手段は、各絵素分割単位内の液晶層を一方向の配向方向
にそれぞれ配向させているとともに、各絵素内の液晶層
を3方向以上の配向方向にそれぞれ配向させていること
が好ましい。
【0014】また、前記絵素分割単位の大きさは、1μ
m以上200μm以下であることが好ましい。
【0015】また、配向膜としては、感光性の高分子膜
を用い、該高分子膜に光を照射することにより、配向膜
に同心円状または3方向以上の配向方向を持つ液晶配向
手段を形成するようにしてもよい。
【0016】また、配向膜に形成された液晶配向手段と
しては、同心円状または3方向以上の配向方向の突起に
よる押圧により形成するようにしてもよい。
【0017】以下、本発明の作用について説明する。
【0018】本発明は、上記構成により、配向膜が液晶
層を同心円状または3方向以上の多軸方向に配向させる
ので、視角によるコントラスト変化や反転現象などが解
消されて視角依存性が改善される。
【0019】このような配向は、光によって配向させる
感光性の高分子膜を配向膜に使用する場合、また、同心
円状または3方向以上の配向方向の突起による押圧によ
り形成した配向膜を使用する場合にも、同様に容易に得
られる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図
面を用いて説明する。尚、これによって、本発明が限定
されるものではない。
【0021】(実施例1)図1は、本実施例1の液晶表
示素子を用いた液晶表示装置の構成を示す断面図であ
る。図1において、液晶表示装置1は、液晶表示素子2
の上下両側に設けられた一対の偏光板3,4を備えてい
る。この液晶表示素子2は、液晶層5を挟んで両側にガ
ラス基板6をベースとした基板とガラス基板7をベース
とした基板が設けられており、少なくとも一方(上側)
の基板には、ベースとなるガラス基板6の液晶層5の表
面にITO(インジウム・スズ酸化物)の粒子を蒸着さ
せて透明電極8を形成させる。原子間力顕微鏡(AF
M)にて基板表面を観察することで表面粗さ(roug
hness)を評価した。このとき、表面粗さは2.3
13nmであり、その値は大きいほど、表面が粗い。こ
の透明電極8の上に配向膜9を形成させる。これら絵素
電極として透明電極8,10は、共に所定幅のものを所
定間隔を開け、かつ、ガラス基板6,7の法線方向から
見て相互に直交する状態に形成され、両透明電極8,1
0が重畳する部分が表示に寄与する絵素となっており、
この絵素がマトリクス状に配設されている。また同様
に、透明電極10上にも配向膜11を形成させる。な
お、12は液晶層5をシールするためのシール樹脂であ
り、13は両透明電極8,10に表示用駆動電圧を供給
する駆動回路である。
【0022】また、液晶層5は、屈折率異方性Δnが
0.081でカイラルドーパントを0.34wt%加え
た液晶材料を用い、液晶層5の層厚を約5.5μmに設
定する。両配向膜9,11は、結晶化度の高いナイロン
66をスピンコートにて塗布し、オーブンにて140℃
で2時間保持した後、冷却速度0.4℃/minで徐
冷して得たものである。
【0023】上記構成により、以下、その作用を説明す
る。
【0024】ここで、球晶とは、臨界濃度溶液中より生
成される結晶核を中心として球対称の成長様式で成長し
た結晶組織であり、多数の微結晶が一点から放射状に配
列した球状の多結晶である。この球晶の大きさを制御す
るためには、 (1)結晶核発生段階において結晶核発生数を制御す
る。 (2)結晶成長段階において結晶成長速度を制御する。 などの手法がある。本実施例では主に、上記(1)の手
法によって球晶の大きさを制御する。即ち、 (a)基板表面の表面エネルギーの違いにより結晶核を
発生させる。 (b)ブレンド高分子の一方を結晶核として用いる。 の2種類の手法によって球晶の大きさを制御する。
【0025】最初に、上記(a)に示す表面エネルギー
差による結晶核の発生により球晶の大きさを制御する手
法について詳細に説明する。結晶性高分子溶液が塗布さ
れる基板面において、図2aに示すように配向膜下地表
面を凹凸形状として粗くすることで、下地面の表面エネ
ルギーに差が生じて結晶核が多数生成される。この結晶
成長は相互に阻止されるために球晶は比較的小さく生成
される。この下地面を、図2bに示すように平坦にして
表面エネルギー差を小さくすれば、結晶核は生成されに
くいため、発生した結晶核は少なくなり、互いに結晶成
長を阻害されることなく大きく成長することができる。
このことにより、下地表面の粗さの程度により球晶の大
きさを制御することができる。この場合において、原子
間力顕微鏡(AFM)で観察した場合における表面の粗
さ度合を評価するパラメーターとしてroughnes
s(Ra)がある。これは、次の(数1)で定義され
る。
【0026】
【数1】
【0027】ここで、関数f(x)は表面の粗さ曲線
(roughness curve)、Lは粗さ曲線の
長さである。本実施例においては、表面の粗さ度合(r
oughness)が1.4〜2.8nmであるような
配向膜下地表面が好ましい。表面の粗さ度合が1.4n
m以下であると、生成される球晶が大きく(球晶径約2
00μm以上)、ディスクリネーションラインDLに基
づく「ざらつき」が目立つ。また、表面の粗さ度合が
2.8nm以上(球晶径約1μm未満)であると球晶が
小さすぎて液晶が球晶に沿って配向しない。したがっ
て、球晶の直径を1μm以上200μm以下にするよう
に球晶の大きさを制御することが必要である。このよう
に、本実施例では、粒子を蒸着させることで配向膜下地
表面に凹凸をつけることにより、液晶配向手段とするの
ではなく、凹凸表面の粗さ度合に応じて成長した液晶配
向手段としての球晶の大きさを制御している。即ち、表
示表面が白っぽく見えてコントラスト比が低下する「ざ
らつき」のない表示画面が得られる適当な大きさの球晶
が生成されるための下地表面の粗さを、粒子の蒸着より
得ているわけである。
【0028】したがって、本実施例の液晶表示素子2を
用いた液晶表示装置1は、球晶となった配向膜9,11
の表面部分と接触している液晶層5の部分では、図3と
同様に、液晶LCが放射状に配向していることが偏光顕
微鏡により確認されている。ここで、図3の21は消光
部分を示している。その大きさは直径3〜4μmであ
り、目視できないほど小さい。また、視角特性を評価し
たところ、図4に示すように、コントラスト10以上の
範囲が全方向に対して±65度以上の広い視角特性を有
している。また、この状態における正面からの電圧無印
加時の透過率(Toff)と飽和電圧印加時の透過率
(Ton)との比CR(コントラスト比)を、CR=T
off/Tonと定義して、次の表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】この表1からも明らかなようにコントラス
ト比が高く、表示表面が白っぽく見えてコントラスト比
が低下する「ざらつき」のないことが目視でも確認され
た。なお、液晶層5には、カイラルドーパントを添加し
ないものを使用してもよく、添加したものと同様な結果
が得られた。
【0031】(比較例1)本実施例1と同様にして作成
したITO電極付ガラス基板上に、配向膜下地表面を、
図2bに示すように平坦化させる目的でポリイミド溶液
(RN739(日産化学工業(株)社製)をスピンナー
にて塗布する。このときの表面の粗さ度合(rough
ness)は0.485であった。実施例1と同様にナ
イロン66の配向膜を形成し、このときの球晶径は約3
50μmであった。続いて、液晶セルを作成した。その
コントラスト比を測定し、これを表1に示す。この表1
からも明らかなようにコントラスト比は低く、目視にお
いても、ざらつきが確認され表示品位が低下しているの
がわかる。
【0032】(実施例2)一対のITO電極付ガラス基
板上にポリイミド溶液を塗布後、250℃にて焼成し
た。前記ガラス基板を1%フッ酸に20秒間浸漬させて
エッチングすることにより粗くなった表面を得た。この
ときの表面の粗さ度合(roughness)は1.9
4nmであった。この基板上にナイロン66の1wt%
m―クレゾール溶液をスピンナーにて塗布した。そし
て、基板をオーブン中で140℃で2時間保持した後、
徐冷して配向膜を得た。このときの配向膜における球晶
径は約4〜5μmであった。実施例1の場合と同様、液
晶セルを作成して、そのコントラスト比を測定したとこ
ろ良好な値が得られ、これを表1に示す。この表1から
も明らかなようにコントラスト比が高く、表示表面が白
っぽく見えてコントラスト比が低下する「ざらつき」の
ないことが目視でも確認された。このように、ざらつき
のない表示画面が得られる適当な大きさの球晶が生成さ
れるための下地表面の粗さは、実施例1のように粒子を
蒸着させても、本実施例2のように表面材料をエッチン
グしても同様に得られる。
【0033】なお、本発明は上記実施例1,2に限定さ
れるものではなく、要は、配向膜下地表面を粗くした表
面エネルギー差により結晶核を発生させて球晶の大きさ
を適切な範囲内に制御することができる方法であればよ
い。
【0034】(比較例2)実施例2と同様にして得られ
た粗い基板上に、ポリイミド溶液をスピンナーにて塗布
した。このときの表面の粗さ度合(roughnes
s)は0.294nmであった。その上に、ナイロン6
6をスピンナーにて塗布し、実施例2と同じように配向
膜を作成した。この配向膜における球晶径は600μm
であった。そして、実施例1と同様、液晶セルを作成
し、コントラスト比の値を測定し、これを表1に示す。
この表1からも明らかなようにコントラスト比は低く、
目視においても、ざらつきが確認され表示品位が低下し
ているのがわかる。
【0035】(実施例3)本実施例3は、ブレンド高分
子の一方を結晶核として用いる上記(b)の手法を示し
ており、ブレンド高分子を用いて結晶核をより多く発生
させて、球晶の大きさを制御する場合である。即ち、異
なる融点を有する2種類以上の高分子のブレンド融液を
冷却していくと、まず高融点ポリマーが低融点ポリマー
融液中で粒子化し、それが低融点ポリマーの結晶核とし
て作用する。続いて低融点ポリマーが結晶成長する。こ
の場合、結晶核は単一のポリマーの場合よりも多く発生
させることができるため、結晶成長が互いに阻害されて
結晶のサイズは小さくなる。具体的には、1対の厚さ
1.1mmの透明電極付ガラス基板上に、融点の高いナ
イロン66を20wt%、融点の低いポリプロピレン8
0wt%混合した混合溶液を塗布して270℃にて融解
させた後、冷却速度0.3℃/minで徐冷して配向膜
を得た。このときの配向膜における球晶径は4〜8μm
であった。このようにして得られた基板を実施例1と同
様、液晶セルを構成した。コントラスト比を測定したと
ころ、表1に示すように良好な値が得られた。この表1
からも明らかなようにコントラスト比が高く、表示表面
が白っぽく見えてコントラスト比が低下する「ざらつ
き」のないことが目視でも確認された。
【0036】(比較例3)透明電極付ガラス基板上にナ
イロン66溶液を塗布して、270℃にてナイロン膜を
融解させた。その後、冷却速度0.3℃/min.で徐
冷して配向膜を作成した。この配向膜における球晶径は
210μmであった。実施例1の場合と同様に、液晶セ
ルを構成した。測定したコントラスト比の値を表1に示
す。この表1からも明らかなようにコントラスト比は低
く、目視においても、ざらつきが確認され表示品位が低
下しているのがわかる。
【0037】以上の実施例1〜3によれば、球晶の大き
さを1μm以上200μm以下の適切な大きさに制御す
ることにより、球晶に沿って液晶分子を多軸に配向させ
て視角依存性を改善するだけではなく、配向膜上の大き
い球晶から生ずる明暗の消光模様に基づいて見えるざら
つきを解消することができる。即ち、球晶の大きさを制
御して消光模様が目視できないほど小さくすることによ
り、ざらついのない優れた表示品位を得ることができ
る。
【0038】(実施例4)図5は本発明の実施例4にお
ける液晶表示素子を備えた液晶表示装置の構成を示す断
面図である。図5において、液晶表示装置31は、本実
施例に係る液晶表示素子32と、その上下両側に設けら
れた一対の偏光板33,34を備えている。この液晶表
示素子32は、液晶層35を挟んで両側に、ガラス基板
36をベースとした基板とガラス基板37をベースとし
た基板とが設けられており、一方(上側)の基板には、
ベースとなるガラス基板36の液晶層35側の表面にI
TO(インジウム錫酸化物)からなる透明電極38が形
成され、その上に配向膜39が形成されている。他方
(下側)の基板には、ベースとなるガラス基板37の液
晶層35側の表面にITOから成る透明電極40が形成
され、その上に配向膜41が形成されている。これら絵
素電極としての透明電極38,40は、共に所定幅のも
のを所定間隔を開け、かつ、ガラス基板36,37の法
線方向から見て相互に直行する状態に形成され、両透明
電極38,40が重畳する部分が表示に寄与する絵素と
なっており、この絵素がマトリクス状に配設されてい
る。なお、42は液晶層35をシールするためのシール
樹脂であり、43は両透明電極38,40に表示用駆動
電圧を供給する駆動回路である。
【0039】この液晶層35は、屈折率異方性Δnが
0.081でカイラルドーパントを加えた液晶材料を用
い、液晶層35の層厚を約5.5μmに設定した。ま
た、両配向膜39,41は、ナイロン66のm−クレゾ
ール溶液をスピンナーにて塗布し、冷却時間スタート時
の基板温度として140℃で2時間保持した後、冷却速
度aを0.1℃/分、0.4℃/分、1.7℃/分、
2.2℃/分、3.5℃分と変化させ、室温まで一次関
数に乗るように冷却して両配向膜39,41を形成す
る。この両配向膜39,41には、ラビング処理は施さ
れていない。
【0040】上記構成により、以下、その作用を説明す
る。
【0041】まず、配向手段である球晶は、臨界濃度溶
液中より生成される結晶核を中心として球対称の成長様
式で成長した結晶組織であり、多数の微結晶が一点から
放射状に配列した球状の多結晶である。この球晶の大き
さを制御するためには、 (1)核発生段階において核発生数を制御する。 (2)結晶成長段階において結晶成長速度を制御する。 などの手法がある。本実施例では、上記(1)および
(2)の両方の手法によって球晶の大きさを制御する。
【0042】結晶化速度は核形成の段階も含まれてお
り、図6に示すグラフにおいて、結晶化速度が最も大き
くなる温度以上では核形成に依存しており、その温度以
下では結晶成長に依存している。したがって、結晶化速
度が最も大きくなる温度以上融点以下、好ましくは結晶
化速度が最も大きくなる温度に近い温度から結晶化を始
めることにより、結晶核を多数発生させる上記(1)の
手法を用いる。その後、冷却速度を調節することによ
り、結晶成長速度を制御する上記(2)の手法を用い
る。この冷却速度が遅ければ球晶のサイズは大きくな
り、早ければ球晶のサイズは小さくなる。即ち、結晶化
における温度制御により球晶のサイズ、および分割を制
御することができる。
【0043】したがって、有機膜の結晶化における冷却
速度a(℃/分)を、有機膜材料の結晶化速度が最大と
なる温度以上融点以下とする冷却初期温度Y0℃から、
冷却時間t後の有機膜のガラス転移点までの基板温度Y
℃となるように冷却し、有機膜の結晶化における冷却
速度aが、0.1(℃/分)≦a≦3.5(℃/分)
で、基板温度の経時変化が、Y=Y0−atとなるよう
に制御する。このように、有機膜の結晶化における冷却
速度を調節することにより、液晶配向膜の球晶の直が1
μm以上200μm以下となる、ざらつきが生じない所
定範囲内に制御することができる。
【0044】具体的には、上下に位置するガラス基板3
6,37をベースとした両基板を貼り合わせる前に、偏
光顕微鏡により配向膜39,41における球晶の大きさ
(サイズ)を観察し、次の表2に示すように確認され
た。また、上記のように形成された液晶表示素子32を
用いた液晶表示装置31の視角特性を評価したところ、
表示むらやざらつきが無く優れた視野特性及び表示特性
を有していることが確認された。
【0045】
【表2】
【0046】(比較例1)実施例4において、配向膜3
9,41形成の冷却速度aを0.05℃/分および1.
8℃/分として配向膜を形成した。
【0047】実施例4と同様に偏光顕微鏡により球晶の
サイズを観察し、上記表2のように確認された。冷却速
度3.8℃/分の場合は、冷却速度が速く球晶が形成さ
れなかった。また、このときの液晶表示装置31の視角
特性を評価したところ、表示むらやざらつきが確認され
た。
【0048】(比較例2)実施例4において、配向膜3
9,41形成において、冷却時間スタート時の基板温度
として100℃で2時間保持してから冷却速度0.4℃
/分の条件で配向膜39,41の形成をした。実施例
4の場合と同様に偏光顕微鏡により球晶サイズを観察
し、上記表2のように確認された。この場合、冷却時間
スタート時の基板温度が低い状態で所定時間保持した後
の冷却速度0.4℃/分の冷却であるため、球晶は形成
されなかった。また、このときの液晶表示装置の視角特
性を評価したところ、表示むらやざらつきが確認され
た。
【0049】本実施例4の液晶表示素子32において、
各透明電極基板38,40の電極表面に、ざらつきのな
い最適なサイズの球晶を有する液晶配向膜39,41が
形成されるが、従来の液晶配向膜の配向処理は液晶分子
を一方向に並ばせるものであり、その主な方法として
は、形成された薄膜を布などでこするラビング処理(特
開平4−57028)や原料モノマーを電極表面に蒸着
して高分子膜を形成する蒸着重合法LB膜を形成するL
B膜法(特開平4−181922)などが提案され、ま
た、従来、ツイストネマティック(TN)液晶表示素子
の広視野角化の方法として提案されている画素分割方式
において、一画素に正反対の液晶分子のプレチルト角を
持つドメインを作り出す手段として、従来の配向処理が
液晶分子を一方向に並ばせるもののため、レジストを用
いて反対方向にラビング処理を一回ずつ行い、ラビング
処理をされた部分が一回と2回の部分を作り出す方法
(特開平5−203951)が提案されている。
【0050】しかしながら、従来のように、液晶分子を
一方向に並ばせる配向処理の場合、視角依存性を生じる
こととなり、広視野角化の障害となる。また、従来は、
レジストを用いて反対方向にラビング処理を1回づつ行
い、2回ラビング処理する場合、工程が増えるばかりで
なくレジストを剥す際に配向膜が劣化することになり、
配向の乱れが現れて、ディスクリネーションラインなど
のざらつきが表示品位を低下することになる。その上、
画素を2分割する場合においても、縦方向と左右横方向
との視角依存性が存在する。
【0051】したがって、本実施例4によれば、球晶の
大きさを1μm以上200μm以下の適切な大きさに制
御することにより、球晶に沿って液晶分子を多軸に配向
させて視角依存性を改善するだけではなく、画素を分割
し、球晶の大きさによって生じるざらつきのない高表示
品位の液晶表示素子を得ることができる。
【0052】(実施例5)液晶表示素子の配向膜に感光
性高分子膜(OFR−800:東京応用化学社製)を用
い、この高分子膜にホトマスクを用いて、部分的に紫外
線を光照射した。その後、現像、洗浄を行い、基板表面
にホトマスク形状と一致した凹凸を有する液晶配向手段
を形成した。ここで使用したホトマスク51は、図7a
に示すように、絵素毎に少なくとも1つ同心円状に透光
部52と遮光部53を有している。このようにして作成
された基板を用いて、5.5μmのプラスチックビーズ
を介して液晶セルを構成した。この作成した液晶セル
に、液晶材料ZLI−4792(メルク社製:S−81
1で螺旋ピッチ90゜になるように調整)を注入した。
このようにして作成した液晶セルの特性は、実施例1〜
4の場合と同様に視角によるコントラスト変化や反転現
象のない視角特性の優れたものであった。
【0053】ここで、絵素の分割単位としては、1μm
〜200μmであることが好ましい。絵素の分割単位が
200μmより大きい場合には、ある角度で視角が悪く
なる部分が人間の目に見えるようになり、ざらつきが目
だって表示特性を劣化させる。また、絵素の分割単位が
1μm以下の場合には、基板上の凹凸に対して、液晶材
料が配向しなくなり、液晶分子が他方向に向いて視角特
性が改善される本発明の効果が薄れる。
【0054】絵素の分割数については、通常使用される
液晶表示素子の絵素の大きさが50〜1000μmであ
るため、上記した絵素の分割単位に合わせて4〜50程
度に分割するのが好ましい。例えば、図7bには、絵素
の分割数が16の場合を示しており、絵素毎に16分割
された部分54の一つ一つが図7aに示すような同心円
状の配向形状をしている。したがって、この場合のホト
マスクは、絵素内を16分割し、さらに各内部が同心円
状に透光部と遮光部を有していることになる。各分割単
位内を一方向の配向状態にする液晶表示素子において
は、視角特性をより全方向的にするために3方向以上の
配向方向を有していることが好ましい。例えば、図7c
に示すように、絵素毎に4分割され4方向に配向方向が
異なるように配向した配向膜を得るために、ホトマスク
55には4方向に配向方向が異なるように透光部56と
遮光部57を有している。絵素の2方向の分割では、視
角特性に反転現象を起こす領域が存在し、視角特性には
問題が残る。したがって、少なくとも3方向に異なる配
向方向を有することが好ましく、より好ましくは、作成
の容易さと視角特性を共に考慮して、絵素の分割数4〜
6方向程度の配向方向のものがよい。
【0055】なお、本実施例では、フォトマスクを介し
た光照射により配向膜に液晶配向手段を形成したが、配
向膜に形成された液晶配向手段が、同心円状または3方
向以上の配向方向の突起による押圧により形成してもよ
い。
【0056】(実施例6、7、8、9、10、11)本
実施例6として、対向する一対の基板間に液晶層が挟持
され、各基板の液晶層のある側の面とは反対側の面にそ
れぞれ設けられ、光透過軸が互いに直交した2枚の偏光
板を有し、表示を行う絵素がマトリクス状に配された液
晶表示素子において、一対の基板の液晶層側に配向膜が
形成され、少なくとも一方の配向膜に、カイラルドーパ
ンドを含むネマティック液晶からなる液晶層を配向させ
る球晶を有する液晶配向手段を各絵素毎に少なくとも1
つ設けている。この液晶表示セル中に注入された液晶に
おける配向の上下基板間のツイスト角、即ち、液晶材料
のツイスト角を90゜としたまま、セル厚dと液晶材料
の屈折率異方性Δnとの積d・Δnを200nm〜70
0nmで変化させることにより、図8の構成例61、6
2、63、64、65、66及び比較例61、62に示
すように、光線透過率が変化し、d・Δnが450nm
において光線透過率が極大値を示すことを見いだした。
【0057】また、同様に、本実施例7として、液晶表
示素子において、液晶材料のツイスト角を90゜とした
まま、d・Δnを700nm〜1500nmで変化させ
ることにより、図9の構成例71、72、73、74、
及び比較例71、72、73、74に示すように、光線
透過率が変化し、d・Δnが1250nmにおいて光線
透過率が極大値を示すことを見いだした。
【0058】さらに、同様に、本実施例8として、液晶
表示素子において、液晶材料のツイスト角を270゜と
したまま、d・Δnを200nm〜1000nmで変化
させることにより、図10の構成例81、82、83、
84及び比較例81、82、83、84に示すように光
線透過率が変化し、d・Δnが650nmにおいて光線
透過率が極大値を示すことを見いだした。
【0059】さらに、実施例9として、液晶表示素子に
おいて、d・Δnを450nmとしたまま、液晶材料の
ツイスト角を0〜180゜で変化させることにより、図
11の構成例91、92、93、94及び比較例91、
92、93に示すように、光線透過率が変化し、液晶材
料のツイスト角が90゜において光線透過率が極大値を
示すことを見いだした。
【0060】さらに、同様に、実施例10として、液晶
表示素子において、d・Δnを1250nmとしたま
ま、液晶材料のツイスト角を0〜180゜で変化させる
ことにより、図12の構成例101、102、103、
104及び比較例101、102、103に示すよう
に、光線透過率が変化し、液晶材料のツイスト角が90
゜において光線透過率が極大値を示すことを見いだし
た。
【0061】さらに、同様に、実施例11として、液晶
表示素子において、d・Δnを650nmとしたまま、
液晶材料のツイスト角を180〜360゜で変化させる
ことにより、図13の構成例111、112、113及
び比較例111、112、113、114に示すよう
に、光線透過率が変化し、液晶材料のツイスト角が27
0゜において光線透過率が極大値を示すことを見いだし
た。
【0062】以下、さらに詳しく説明すると、本実施例
6〜11の液晶表示素子を透過光を制御することによっ
て液晶表示素子として用いる場合、液晶表示素子の光線
透過率は、印加電圧がほぼ0Vの場合、液晶配向のツイ
スト角(基板面に平行な面内での配向の方位角を基板に
垂直な方向に上下基板にわたって追跡した場合の上下基
板界面上の方位角の差)、および液晶材料固有の屈折率
異方性(Δn)と液晶層の厚さ(d)の積とによって決
まる。これは、本実施例6〜11の液晶表示素子におい
ても、従来のTN方式、STN方式などの液晶表示素子
と同様に、2枚の偏光板による光の吸収をその間にある
液晶層のせん光性、複屈折性によって制御するためであ
る。この場合、液晶層を挟む偏光板の貼り方は、表示品
位を大きく左右する良好な黒状態を得るため、互いに他
の透過軸を直交するように貼るのが望ましいが、表示素
子としてはその他の貼り方においても動作する。
【0063】このように偏光板を貼付する場合につい
て、その透過率と上記の2つのパラメータの関係につい
て、さらに説明する。
【0064】(ツイスト角一定の場合)本実施例6、7
の液晶表示素子において、液晶材料のセル中でのツイス
ト角が90゜の場合に、d・Δnを200nmから15
00nmまで変化させると、d・Δnを450nmおよ
び1250nmにおいて透過率の極大値が現れる。この
領域でd・Δnの値を最適化する場合に、d・Δnが2
00nm以上かつ300nm未満の領域、650nmよ
り大きく、かつ、1000nm未満の領域、1400n
mより大きく、かつ1500nm以下の領域では、光線
透過率が低下すると共に、赤味(650nm〜800n
m、1400nm〜1500nm)、青味(200nm
〜300nm、800nm〜900nm)、緑味(90
0nm〜1000nm)に色着くため、表示素子として
は適さない。
【0065】このため、ツイスト角が90度の場合に、
d・Δnが200nm〜1500nmの範囲では、液晶
表示素子として良好に使用できる範囲は、透過率が極大
値を示す450nmを含む300〜650nm、また
は、透過率が極大値を示す1250nmを含む1000
〜1400nmの範囲であり、さらに好ましくは350
〜550nm、1100〜1300nmの範囲である。
【0066】また、本実施例8の液晶表示素子におい
て、液晶材料のセル中でのツイスト角が270゜の場合
に、d・Δnの値を200〜1000nmで変化させる
と、d・Δnが650nmに透過率の極大値が現れる。
このd・Δnが550nm以下または800nm以上で
は、光線透過率が低下すると共に、青味(200nm〜
550nm)、赤味(800nm〜1000nm)に色
着くため、表示素子としては適さない。
【0067】このため、ツイスト角が270゜付近でd
・Δnが200〜1000nmでは、液晶表示素子とし
て使用できる範囲は、透過率が極大値を示す650nm
を含む550〜800nmであり、さらに好ましくは6
00〜750nmである。
【0068】(d・Δn一定の場合)本実施例9の液晶
表示素子において、d・Δnの値が450nmのとき、
液晶材料のセル中でのツイスト角を0〜360゜で変化
させると、ツイスト角45゜未満、または、ツイスト角
150゜を越えると、光線透過率が低下すると共に、黄
味(0〜45゜)、青味(150〜360゜)に色着く
ため、表示素子としては適さない。このため、d・Δn
が450nm付近でツイスト角が0〜360゜の範囲で
は、液晶表示素子として使用できる範囲は45〜150
゜であり、さらに好ましくは75〜150゜である。
【0069】また、本実施例10の液晶表示素子におい
て、d・Δnの値が1250nmのとき、液晶材料のセ
ル中でのツイスト角を0〜360゜で変化させると、ツ
イスト角45゜未満、または、ツイスト角150゜を越
えると、光線透過率が低下すると共に、青味(0〜45
゜、200〜360゜)、黄味(150〜200゜)に
色着くため、表示素子としては適さない。このため、d
・Δnが450nm付近でツイスト角が0〜360゜の
範囲では、液晶表示素子として使用できる範囲は45〜
150゜であり、さらに好ましくは75〜105゜であ
る。
【0070】さらに、本実施例11の液晶表示素子にお
いて、d・Δnの値が650nmのとき、液晶材料のセ
ル中でのツイスト角を0〜360゜で変化させると、ツ
イスト角240゜以下、または、ツイスト角300゜以
上では、光線透過率が低下すると共に、紫味(0〜45
゜)、赤味(45〜105゜)、黄味(105〜240
゜)、青味(330〜360゜)に色着くため、表示素
子として適さない。このため、d・Δnが650nm付
近でツイスト角が0〜360゜の範囲では、液晶表示素
子として使用できる範囲は240〜300゜であり、さ
らに好ましくは255〜285゜である。
【0071】さらに、実施例6〜11について具体的に
説明する。
【0072】まず、実施例6の構成例61〜66、比較
例61〜62について説明すると、ガラス基板(1.1
mm厚)上にITO(酸化インジウム及び、酸化スズの
混合物、厚さ50nm)を透明電極として有する基板
に、実施例1〜4のうちいずれかと同様に配向膜を作成
した後、両基板部を2枚を用いて、スペーサーにより、
セル厚dを下に示す表3のように保たせることにより液
晶セルを構成した。
【0073】
【表3】
【0074】液晶材料ZLI−4792(メルク社製:
S−811を加え、各セルのセル厚dに合わせ、液晶の
上下基板間でのねじれ角を90゜になるように調整し
た)をこの液晶セルに注入し、液晶表示素子を構成し
た。
【0075】このようにして作製した液晶セルを偏光顕
微鏡により観察すると、図3に示すような液晶の配向に
よる模様(シュリーレン模様)が観察された。これは液
晶層の基板界面上における液晶分子の配向が基板上に作
成された高分子膜の球晶にしたがって配列したためであ
る。
【0076】また、この液晶セルの電圧無印加時の光線
透過率とd・Δnの特性を図8に示した。ここで、光線
透過率100%としては2枚の偏光板(セルに貼付のも
のと同種類)を透過軸を一致させて平行に貼り合わせた
ものを用いた。
【0077】上記液晶セルは実施例6の構成例、比較例
ともに、適切な大きさの球晶を有する配向膜により、液
晶が多軸方向に配向して視角特性が優れ、TNセルで問
題となっている反転現象などは観察されなかった。ま
た、実施例6の構成例においては高コントラストで透過
光に色着きもない。
【0078】次に、実施例7の構成例71〜74、比較
例71〜74について説明する。実施例6と同様の作製
法にしたがい、液晶表示素子の基板を作成した。各液晶
セルの構成は実施例6と同様に行い、セル厚は、比較
例、構成例毎に、下に示す表4のように選択して構成し
た。これにより、Δn・dは表4のように実現された。
【0079】
【表4】
【0080】ここで、各構成例、比較例の液晶セルの液
晶中のカイラル剤(S811)の比率は、各セル厚に合
わせ、ツイスト角90゜になるように調整の上、各セル
毎に液晶材料を用意し、さらにそれぞれのセルに液晶材
料を注入の上、液晶表示素子を構成した。
【0081】このようにして作製した液晶セルを偏光顕
微鏡により観察すると、図3に示すような液晶の配向に
よる模様(シュリーレン模様)が観察された。これは液
晶層の基板界面上における液晶分子の配向が基板上に作
製された高分子膜の球晶にしたがって配列したためであ
る。この液晶セルの電圧無印加時の光線透過率を図9に
示した。ここで、光線透過率100%としては2枚の偏
光板(セルに貼付のものと同種類)を透過軸を一致させ
て平行に貼り合わせたものを用いた。
【0082】上記液晶セルは、実施例6と同様に実施例
7の構成例、比較例ともに、視角特性が優れ、TNセル
で問題となっている反転現象などは観察されなかった。
また、実施例7の構成例においては高コントラストで透
過光に色着きもない。
【0083】さらに、実施例8の構成例81〜84、比
較例81〜84について説明する。実施例6と同様の作
製法にしたがい、液晶表示素子の基板を作成した。各液
晶セルの構成は実施例6と同様に行い、セル厚dは、比
較例、構成例毎に、下に示した表5のように選択して構
成した。これにより、Δn・dは表5のように実現され
た。
【0084】
【表5】
【0085】ここで、各構成例、比較例の液晶セルの液
晶中のカイラル剤(S811)の比率は、各セル厚dに
合わせ、ツイスト角270゜になるように調整の上、各
セル毎に液晶材料を用意し、さらにそれぞれのセルに液
晶材料を注入の上、液晶表示素子を構成した。
【0086】このようにして作製した液晶セルを偏光顕
微鏡により観察すると、図3に示すような液晶の配向に
よる模様(シュリーレン模様)が観察された。これは液
晶層の基板界面上における液晶分子の配向が基板上に作
製された高分子膜の球晶にしたがって配列したためであ
る。
【0087】また、実施例6と同様の測定法により、図
10の光線透過率のd・Δn依存性を得た。
【0088】上記液晶セルは、実施例6と同様に実施例
8の構成例、比較例ともに、視角特性が優れ、TNセル
で問題となっている反転現象などは観察されなかった。
また、実施例8の構成例においては高コントラストで透
過光に色着きもない。
【0089】さらに、実施例9の構成例91〜94、比
較例91〜93について説明する。実施例6と同様のセ
ル構成、注入法により液晶表示素子を作成した。液晶中
のカイラル剤(S811)の比率は、液晶層の厚さ
(4.8μm)に合わせ、以下の表6に示すツイスト角
になるように調整した。
【0090】
【表6】
【0091】各セルの構成は実施例6と同様に行い、セ
ル厚は多数のセルから、4.8μmのものを選別の上、
使用した。これにより、d・Δnを450nmにするこ
とができる。
【0092】また、実施例6と同様の測定法により、図
11の光線透過率のツイスト角依存性を得た。
【0093】上記液晶セルは、実施例6と同様に実施例
9の構成例、比較例ともに、視角特性が優れ、TNセル
で問題となっている反転現象などは観察されなかった。
また、実施例9の構成例においては高コントラストで透
過光に色着きもない。
【0094】さらに、実施例10の構成例101〜10
4、比較例101〜103について説明する。実施例6
と同様の液晶セル構成、注入法により液晶表示素子を作
成した。液晶中のカイラル剤(S811)の比率は、液
晶層の厚さ(13.2μm)に合わせ、次に示した表7
のツイスト角になるように調整した。
【0095】
【表7】
【0096】各液晶セルの構成は実施例7と同様に行
い、セル厚dは多数の液晶セルから、13.2μmのも
のを選別の上、使用した。これにより、d・Δnを12
50nmにすることができる。
【0097】また、実施例7と同様の測定法により、図
12の光線透過率のツイスト角依存性を得た。
【0098】上記液晶セルは、実施例6と同様に実施例
10の構成例、比較例ともに、視角特性が優れ、TNセ
ルで問題となっている反転現象などは観察されなかっ
た。また、実施例10の構成例においては高コントラス
トで透過光に色着きもない。
【0099】さらに、実施例11の構成例111〜11
3、比較例111〜114について説明する。実施例6
と同様のセル構成、注入法により液晶表示素子を作成し
た。液晶中のカイラル剤(S811)の比率は、液晶層
の厚さ(6.9μm)に合わせ、次に示した表8のツイ
スト角になるように調整した。
【0100】
【表8】
【0101】各液晶セルの構成は実施例8と同様に行
い、セル厚dは多数の液晶セルから、6.9μmのもの
を選別の上、使用した。これにより、d・Δnを650
nmにすることができる。
【0102】また、実施例8と同様の測定法により、図
13の光線透過率のツイスト角依存性を得た。
【0103】上記液晶セルは、実施例6と同様に実施例
11の構成例、比較例ともに、視角特性が優れ、TNセ
ルで問題となっている反転現象などは観察されなかっ
た。また、実施例11の構成例においては高コントラス
トで透過光に色着きもない。
【0104】以上の本実施例6〜11のように、液晶表
示セル中に注入された液晶における配向の上下基板間の
ツイスト角が45度〜150度で、かつ、液晶材料の屈
折率異方性Δnとセル厚dとの積が300〜650nm
である液晶表示素子、または、ツイスト角が45度〜1
50度で、かつ、Δn・dが1000〜1400nmで
ある液晶表示素子、または、ツイスト角が240度〜3
00度で、かつ、Δn・dが550〜800nmである
液晶表示素子とすれば、高コントラストで透過光に色着
きもない。
【0105】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、配向膜に
より液晶層を同心円状または3方向以上の多軸方向に配
向するため、視角によるコントラスト変化や反転現象な
どの視角依存性を改善することができる。
【0106】このような配向は、光によって配向させる
感光性の高分子膜を配向膜に使用する場合、または突起
による押圧により形成した配向膜を使用する場合にも、
同様に容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例1の液晶表示素子を用いた液晶表示装
置の構成を示す断面図である。
【図2】aは配向膜下地表面を凹凸形状として粗くした
場合の配向膜下地層の斜視図、bは配向膜下地表面の凹
凸形状を平坦化した場合の配向膜下地層の斜視図である
【図3】本実施例1の液晶表示素子の基板上における液
晶の配向状態を表す図である。
【図4】本実施例1の液晶表示素子に関する等コントラ
スト曲線を示すレーダーチャートである。
【図5】本実施例4の液晶表示素子を用いた液晶表示装
置の構成を示す断面図である。
【図6】図5の液晶表示素子で用いる有機膜材料の結晶
化速度と温度との関係を示す図である。
【図7】aは絵素毎に同心円状に透光部と遮光部を有す
るホトマスクの構成図、bは絵素を16分割した場合の
ホトマスクの構成図、cは絵素毎に4方向に透光部と遮
光部を有するホトマスクの構成図である。
【図8】実施例6における液晶表示素子の光線透過率の
Δn・d依存性を示す特性図である。
【図9】実施例7における液晶表示素子の光線透過率の
Δn・d依存性を示す特性図である。
【図10】実施例8における液晶表示素子の光線透過率
のΔn・d依存性を示す特性図である。
【図11】実施例9における液晶表示素子の光線透過率
のツイスト角依存性を示す特性図である。
【図12】実施例10における液晶表示素子の光線透過
率のツイスト角依存性を示す特性図である。
【図13】実施例11における液晶表示素子の光線透過
率のツイスト角依存性を示す特性図である。
【図14】aは従来の液晶表示素子における電圧オフ時
の表示状態を示す図、bは電圧を印加した中間調のとき
の表示状態を示す図である。
【符号の説明】
1、31 液晶表示装置 2、32 液晶表示素子 3、4、33、34 偏光板 5、35 液晶層 6、7、36、37 ガラス基板 8、10、38、40 透明基板 9、11、39、41 配向膜 12、42 シール樹脂 13、43 駆動回路 21 消光部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山原 基裕 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 平井 敏幸 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 岡本 正之 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向する一対の基板間に液晶層が挟持さ
    れ、表示を行う絵素がマトリクス状に配された液晶表示
    素子において、 前記一対の基板の液晶層側に配向膜が形成されており、
    少なくとも一方の配向膜は、該液晶層を前記各絵素毎に
    それぞれ少なくとも一つの同心円状の配向方向を有する
    ように配向させる液晶配向手段を備えたことを特徴とす
    る液晶表示素子。
  2. 【請求項2】 前記絵素が少なくとも1つ以上の絵素分
    割単位に分割されており、前記液晶配向手段は、各絵素
    分割単位内における液晶層を同心円状の配向方向にそれ
    ぞれ配向させていることを特徴とする請求項1に記載の
    液晶表示素子。
  3. 【請求項3】 対向する一対の基板間に液晶層が挟持さ
    れ、表示を行う絵素がマトリクス状に配された液晶表示
    素子において、 前記一対の基板の液晶層側に配向膜が形成されており、
    少なくとも一方の配向膜は、該液晶層を前記各絵素毎に
    それぞれ少なくとも3方向以上の配向方向を有するよう
    に配向させる液晶配向手段を備えたことを特徴とする液
    晶表示素子。
  4. 【請求項4】 前記絵素が少なくとも3つ以上の絵素分
    割単位に分割されており、前記液晶配向手段は、各絵素
    分割単位内の液晶層を一方向の配向方向にそれぞれ配向
    させているとともに、各絵素内の液晶層を3方向以上の
    配向方向にそれぞれ配向させていることを特徴とする請
    求項1に記載の液晶表示素子。
  5. 【請求項5】 前記絵素分割単位の大きさが、1μm以
    上200μm以下であることを特徴とする請求項2また
    は4に記載の液晶表示素子。
  6. 【請求項6】 前記配向膜が感光性の高分子膜からな
    り、該高分子膜に光を照射することにより、該配向膜
    に、同心円状または3方向以上の配向方向を持つ前記液
    晶配向手段が形成されている請求項1乃至5に記載の液
    晶表示素子。
  7. 【請求項7】 前記配向膜に形成された前記液晶配向手
    段が、同心円状または3方向以上の配向方向の突起によ
    る押圧により形成されている請求項1乃至5に記載の液
    晶表示素子。
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