JP2000261181A - 液体多孔質電波吸収材料及び吸収体 - Google Patents

液体多孔質電波吸収材料及び吸収体

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JP2000261181A
JP2000261181A JP11063580A JP6358099A JP2000261181A JP 2000261181 A JP2000261181 A JP 2000261181A JP 11063580 A JP11063580 A JP 11063580A JP 6358099 A JP6358099 A JP 6358099A JP 2000261181 A JP2000261181 A JP 2000261181A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の電波吸収材のカーボン、フェライト
は、複素誘電率、複素透磁率、複素電気伝導率の電磁パ
ラメータの値は非常に限られた値しかなく、その最適設
計に限度があり、また液体そのものを電波吸収材として
用いる方法は、製造の困難さ、曲面加工の困難さ、液漏
れ等の不具合を生じていた。 【解決手段】 液体を多孔質媒質に含浸あるいは吸着に
より封じ込め、液体の固体化を図り、各種の多孔質媒
質、各種の液体、及び、各種の電解質の組み合わせによ
り、多種多様の電磁特性を有した電波吸収材料10が提
供でき、これを緩衝材又は封止材11で包み込み母材1
2中に分散、包含させて電波吸収体とする。この多種多
様な電波吸収材料を用いれば高性能電波吸収体の最適設
計が可能となり、また、製造も容易となり、低コスト化
が図れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電波(周波数3T
Hz以下の電磁波)を吸収する液体含浸(又は吸着)電
波吸収材料及びそれを用いた電波吸収体に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】図6に電波吸収体に使用される構成材の
内訳を示す。電波吸収体の構成材として、大きく、母材
(保持材、バインダー、マトリックス)、強化材又は保
護材、反射材(シールド材)、充填材、整合材、及び、
電波吸収材に分類出来る。この中でどのようなタイプの
電波吸収体にも必ず使用される構成材は、母材及び電波
吸収材である。母材は図6に示すように、各種の材料が
用意されており、大概の場合、図6に示された材料で用
が足りる。しかしながら、電波吸収体のもっとも重要な
構成材である、電波吸収材(電波損失材)としては、現
在の所、カーボンとフェライトの2種類の固体材料が使
用されているにすぎない。図6にあるITO(酸化イン
ジウムスズ)は透明電極に多く使用され、厚みが厚いと
反射材に成るため、電波吸収体用としては厚さが数10
nm程度の極超薄膜で使用され、可視光を透過する電波
吸収体等の特殊な用途でしか開発されておらず、現状の
電波吸収材の殆ど全てはカーボンとフェライトが使用さ
れていると言っても過言では無い。
【0003】カーボンはグラファイト、カーボンブラッ
ク、アモルファスカーボン等と呼び方は変化するが、所
詮炭素原子の集合体と考えて差し支えなく、複素誘電率
等の電磁特性値の大幅な変化は期待できない。一方、フ
ェライトは化学式でMO・Feで表され、Mには
通常Zn,Cd,Fe,Ni,Cu,Co,Mg等が入
る。Mに各種の金属原子が入ると言っても、材料にかな
りの制限を受け、しかも重たくかつ高周波まで電波吸収
性能が伸びない。
【0004】また、電波吸収材として、気体は使用でき
ない。それは、密度が低く、電波吸収量を大きくするに
は、非常な長距離を必要とするため、電波吸収体の厚み
は、どんな種類の気体を用いても、数百mを越えると考
えられるからである。
【0005】一方、液体を電波吸収材として使用する事
は十分考えられる。液体は固体と同程度の密度を持ち、
その種類も豊富にあり、しかも電波領域に緩和あるいは
共鳴吸収帯を持っている液体も多いからである。液体を
電波吸収材として使用するには、図7に示すように、液
体をポリカーボネイト、ナイロン等の高分子カプセル内
に封入するとか、あるいは、図8の如く液体を何等かの
板で挟めば良い。しかしながら、直径数mm以下の高分子
カプセル内に液体を満たす事は製造上困難をともない、
高価となり、十分な強度を持たせることも難しい。ま
た、板に液体を挟み込む方法も、十分な強度を持たせた
り、液層の厚さを一定にするには、板の厚みが必要であ
り、かなり特殊な用途に限られ、又、液漏れを防ぐ事は
なかなか大変である。しかも、航空機等の高速で運動す
る物体には、液体の慣性力が邪魔になり、航空機等の運
動性能を阻害する恐れもある。また、図9のように内部
がハニカム構造をした2枚の板の中の個々の小さなハニ
カムセルに液体を封じ込める事も容易に思い付くが、製
造が困難であり、かつ、液漏れ等を完全に防ぐには、そ
の製造に相当の難しさを伴う。また、平板以外の曲面を
持つハニカム構造の電波吸収体の製作はさらに困難であ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の電波吸収材は、
カーボンあるいはフェライトに帰着される事を述べた
が、これでは複素誘電率、複素透磁率、複素電気伝導率
の3つの基本的な設計パラメータを広範に変える事が難
しく、高吸収、広帯域、薄型、軽量、高強度、長寿命、
耐環境性、取り扱い容易、及び、低コストの高性能電波
吸収体の最適設計が困難であった。
【0007】また、液体を電波吸収材として用いるにし
ても、従来のように、液体を高分子カプセル内に封入す
る、液体を板に挟み込む、あるいは、ハニカム構造の中
に閉じ込める等の方式では実用に供する事は、上述した
ように困難を伴う。
【0008】本発明は、上記の点に鑑み、広範な複素誘
電率、複素電気伝導率の物性を持つ各種液体を、固体で
ある多孔質媒質に含浸あるいは吸着させることにより、
液体の固体化を図り、液体そのものを用いる時に生じ
る、液漏れ、製造の困難さ等の不具合を防ぎ、広範な電
磁的特性を持つ液体多孔質電波吸収材料、及びそれを用
いた電波吸収体を提供することを目的とする。
【0009】また、広範な電磁的特性を持つ液体多孔質
電波吸収材料を使用する事により、高吸収、広帯域、薄
型、軽量、高強度、長寿命、耐環境性、取り扱い容易、
及び、低コストの高性能電波吸収体の設計及び製作が可
能となる。
【0010】本発明のその他の目的や新規な特徴は後述
の実施の形態において明らかにする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願請求項1の液体多孔質電波吸収材料は、多孔質
媒質に液体を含浸あるいは吸着させ、その含浸あるいは
吸着させた液体により、電磁波を吸収することを特徴と
している。
【0012】請求項2の液体多孔質電波吸収材料は、多
孔質媒質に液体を含浸あるいは吸着させ、その含浸ある
いは吸着させた液体並びに当該多孔質媒質により、電磁
波を吸収することを特徴としている。
【0013】請求項3の液体多孔質電波吸収材料は、請
求項1又は2において、前記多孔質媒質が、シリカゲ
ル、ケイ藻土、ケイ酸、ケイ酸塩、ケイ酸カルシウム、
ケイ酸マグネシウム、活性ケイ酸マグネシウム、ケイ酸
ナトリウム、ケイ酸アルミニウム、多孔質ガラス、多孔
質石英、シリカ、酸化ケイ素、沸石、ゼオライト、モレ
キュラーシーブ、分子ふるい、セラミック、陶磁器、耐
火レンガ、セメント、発泡コンクリート、ALC、軽量
コンクリート、多孔性ガラス、活性炭、グラファイト、
カーボンブラック、アモルファスカーボン、活性アルミ
ナ、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、生石灰、活性
マグネシヤ、酸化マグネシウム、マグネシア、酸化チタ
ン、酸化カルシウム、ライム、炭酸マグネシウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、水酸化カル
シウム、消石灰、リン酸塩、多孔性リン酸アルミニウ
ム、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、多孔性リ
ン酸カルシウム等の無機媒質で構成されているものであ
る。
【0014】請求項4の液体多孔質電波吸収材料は、請
求項1又は2において、前記多孔質媒質が、高密度ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、発泡スチロ
ール、ポリ塩化ビニール、ポリウレタン、発泡ポリイミ
ド、ポーラスポリマビーズ、セルロース、純水精製用フ
ィルタ、イオン交換樹脂等の高分子媒質で構成されてい
るものである。
【0015】請求項5の液体多孔質電波吸収材料は、請
求項1又は2において、前記多孔質媒質が、フェライト
系焼結媒質となっている。
【0016】請求項6の液体多孔質電波吸収材料は、請
求項3,4又は5において、前記多孔質媒質が、線状、
円柱状、短冊状、直方体状を含む粒子状多孔質媒質で、
その最大長さが0.1μm〜20mmの大きさである。
【0017】請求項7の液体多孔質電波吸収材料は、請
求項3,4又は5において、前記多孔質媒質が、同一材
質の一様な板状多孔質媒質で、その厚さが20μm〜2
00mmである。
【0018】請求項8の液体多孔質電波吸収材料は、請
求項1又は2において、前記液体が、単一化学組成の有
極性液体(常温常圧で静的複素比誘電率の実数部が10
以上の液体を言う。以下同じ。)、単一化学組成の無極
性液体(常温常圧で静的複素比誘電率の実数部が10未
満の液体を言う。以下同じ。)と有極性液体とを均一に
混合した混合液体、あるいは、化学的に種類の異なる2
種以上の有極性液体を均一に混合した混合液体の内、い
ずれか一つ以上の液体を均一に混合した混合液体であ
る。
【0019】請求項9の液体多孔質電波吸収材料は、請
求項1又は2において、前記液体が、単一化学組成で、
電気伝導性液体(低周波における複素電気伝導率の実数
部が10−3(1/Ωm)以上の液体を言う。以下同
じ)、あるいは化学的に種類の異なる2種以上の電気伝
導性液体を均一に混合した混合液体である。
【0020】請求項10の液体多孔質電波吸収材料は、
請求項1又は2において、前記液体が、単一化学組成の
有極性液体、単一化学組成の無極性液体と有極性液体と
を均一に混合した混合液体、あるいは、化学的に種類の
異なる2種以上の有極性液体を均一に混合した混合液体
の内、いずれか一つ以上の液体を均一に混合した混合液
体に、単一化学組成の電気伝導性液体、あるいは化学的
に種類の異なる2種以上の電気伝導性液体を均一に混合
した混合液体を均一に混合した混合液体である。
【0021】請求項11の液体多孔質電波吸収材料は、
請求項1又は2において、前記液体が、単一化学組成の
有極性液体、単一化学組成の無極性液体と有極性液体と
を均一に混合した混合液体、あるいは、化学的に種類の
異なる2種以上の有極性液体を均一に混合した混合液体
の内、いずれか一つ以上の液体を均一に混合した混合液
体に、単一化学組成の電気伝導性液体、あるいは化学的
に種類の異なる2種以上の電気伝導性液体を均一に混合
した混合液体を均一に混合した混合液体に、化学的に種
類の異なる1種以上の電解質を溶解させ、電気伝導性液
体としたものである。
【0022】請求項12の液体多孔質電波吸収材料は、
請求項1又は2において、前記液体が、単一化学組成の
無極性液体、あるいは、化学的に種類の異なる2種以上
の無極性液体を均一に混合した混合液体に、化学的に種
類の異なる1種以上の電解質を溶解させ、電気伝導性液
体としたものである。
【0023】請求項13の液体多孔質電波吸収材料は、
請求項8において、前記有極性液体が、水、過酸化水
素、フッ化水素、シアン化水素等の無機化合物である。
【0024】請求項14の液体多孔質電波吸収材料は、
請求項8において、前記有極性液体が、アセチルアセト
ン、アセトアルデヒド、アセトニトリル、アセトフェノ
ン、アセトン、イソブチロニトリル、エタノール、エチ
レングリコール、ギ酸、グリセリン、クロロアセトン、
O−クロロニトロベンゼン、硝酸メチル、トリフルオロ
酢酸、ニトロベンゼン、ニトロメタン、ピリジン、1−
ブタノール、2−ブタノール、フルフラール、1−プロ
パノール、2−プロパノール、1−2−プロパンジオー
ル、1−3−プロパンジオール、ベンゾニトリル、ホル
ムアミド、無水酢酸、メタノール、ラクトニトリル等の
有機化合物である。
【0025】請求項15の液体多孔質電波吸収材料は、
請求項8,10又は12において、前記無極性液体が、
硫酸、硝酸等の無機化合物である。
【0026】請求項16の液体多孔質電波吸収材料は、
請求項8,10又は12において、前記無極性液体が、
アニリン、クロロベンゼン、酢酸、ジエチルエーテル、
1−4ジオキサン、シクロヘキサン、トルエン、フレオ
ン、プロピレン、ベンゼン、メチルアミン等の有機化合
物である。
【0027】請求項17の液体多孔質電波吸収材料は、
請求項9において、前記電気伝導性液体が、硫酸、硝
酸、リン酸である。
【0028】請求項18の液体多孔質電波吸収材料は、
請求項11又は12において、前記電解質として、硝酸
銀、塩化バリウム、臭化バリウム、臭化カルシウム、塩
化カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、メタ
ケイ酸カルシウム、臭化カドミウム、塩化カドミウム、
硫酸カドミウム、硝酸カドミウム、塩化セレン、塩化
銅、硫酸銅、硝酸銅、フッ化カリウム、塩化カリウム、
臭化カリウム、ヨウ化カリウム、水酸化カリウム、硫酸
カリウム、硝酸カリウム、ヘキサシアノ鉄酸カリウム、
塩化ランタン、フッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リ
チウム、ヨウ化リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウ
ム、水素化リチウム、塩化マグネシウム、ヨウ化マグネ
シウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、メタケ
イ酸マグネシウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウ
ム、硝酸アンモニウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウ
ム、ヨウ化ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫化ナトリ
ウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸水素ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、塩化
ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、リン酸、硫化
亜鉛等の無機質固体電解質を用いるものである。
【0029】請求項19の液体多孔質電波吸収材料は、
請求項11又は12において、ギ酸カリウム、ギ酸ナト
リウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、トリフロロ酢
酸、ピクリン酸等の有機質固体電解質を用いるものであ
る。
【0030】請求項20の液体多孔質電波吸収材料は、
請求項11又は12において、前記電解質として、臭化
水素、シアン化水素、塩化水素、フッ化水素、ヨウ化水
素、アンモニア、硫化水素、二酸化硫黄等の無機質気体
電解質を用いるものである。
【0031】請求項21の液体多孔質電波吸収材料は、
請求項6又は7において、前記液体を含浸あるいは吸着
させた前記多孔質媒質を、低密度ポリエチレン、塩化ビ
ニリデン、アクリルニトリルの共重合体、ポリアクリロ
ニトリルを主成分とする高分子、ポリカーボネイト、ナ
イロン、ポリウレタン、ポリエチレン、テレフタレート
から選ばれた少なくとも1種から成る緩衝材でくるんだ
ものである。
【0032】請求項22の液体多孔質電波吸収材料は、
請求項6又は7において、前記液体を含浸あるいは吸着
させた前記多孔質媒質を、ガラス、あるいはシリカから
選ばれた少なくとも1種から成る封止材でくるんだもの
である。
【0033】請求項23の傾斜型電波吸収体は、線状、
円柱状、短冊状、直方体状を含み、最大長さが0.1μ
m〜20mmの大きさの同一種類の粒子状多孔質媒質に、
同一種類の液体を、含浸量あるいは吸着量を変化させて
含浸又は吸着させてなる2種以上の密度の異なる電波吸
収材料を、順次密度が変化するように設けたことを特徴
としている。
【0034】請求項24の傾斜型電波吸収体は、線状、
円柱状、短冊状、直方体状を含み、最大長さが0.1μ
m〜20mmの大きさの同一種類の粒子状多孔質媒質に、
密度が増すに従い複素誘電率、複素電気伝導率の内どれ
か1種以上の物理量が増加する、異なる液体を含浸ある
いは吸着させてなる2種以上の密度の異なる電波吸収材
料を、順次密度が変化するように設けたことを特徴とし
ている。
【0035】請求項25の傾斜型電波吸収体は、線状、
円柱状、短冊状、直方体状を含み、最大長さが0.1μ
m〜20mmの大きさの密度の異なる種類の粒子状多孔質
媒質に、同一種類の液体を含浸あるいは吸着させてな
り、密度が増すに従い複素誘電率、複素電気伝導率の内
どれか1種以上の物理量が増加する、2種以上の密度の
異なる電波吸収材料を順次密度が変化するように設けた
ことを特徴としている。
【0036】請求項26の傾斜型電波吸収体は、線状、
円柱状、短冊状、直方体状を含み、最大長さが0.1μ
m〜20mmの大きさの密度の異なる種類の粒子状多孔質
媒質に、異なる種類の液体を各々含浸あるいは吸着させ
てなり、密度が増すに従い複素誘電率、複素電気伝導率
の内どれか1種以上の物理量が増加する、2種以上の密
度の異なる電波吸収材料を順次密度が変化するように設
けたことを特徴としている。
【0037】請求項27の傾斜型電波吸収体は、厚さが
20μm〜200mmで同一材質で一様に形成された同一
種類の板状多孔質媒質に、同一種類の液体を、含浸量あ
るいは吸着量を変化させて含浸又は吸着させてなる2枚
以上の電波吸収材料を張り合わせたことを特徴としてい
る。
【0038】請求項28の傾斜型電波吸収体は、厚さが
20μm〜200mmで同一材質で一様に形成された同一
種類の板状多孔質媒質に、異なる種類の液体を含浸ある
いは吸着させてなる2枚以上の電波吸収材料を張り合わ
せたことを特徴としている。
【0039】請求項29の傾斜型電波吸収体は、厚さが
20μm〜200mmで同一材質で一様に形成された異な
る種類の板状多孔質媒質に、同一種類の液体を含浸ある
いは吸着させてなる2枚以上の電波吸収材料を張り合わ
せたことを特徴としている。
【0040】請求項30の傾斜型電波吸収体は、厚さが
20μm〜200mmで同一材質で一様に形成された異な
る種類の板状多孔質媒質に、異なる種類の液体を各々含
浸あるいは吸着させてなる2枚以上の電波吸収材料を張
り合わせたことを特徴としている。
【0041】請求項31の広帯域分散吸収型電波吸収体
は、線状、円柱状、短冊状、直方体状を含み、最大長さ
が0.1μm〜20mmの大きさの同一種類の粒子状多孔
質媒質に、電磁波の緩和型吸収帯域あるいは共鳴型吸収
帯域の異なる化学的に均一な2種以上の液体を、各々含
浸あるいは吸着させたことを特徴としている。
【0042】請求項32の広帯域分散吸収型電波吸収体
は、線状、円柱状、短冊状、直方体状を含み、最大長さ
が0.1μm〜20mmの大きさで異なる種類の粒子状多
孔質媒質に、電磁波の緩和型吸収帯域あるいは共鳴型吸
収帯域の異なる化学的に均一な液体を、各々含浸あるい
は吸着させたことを特徴としている。
【0043】請求項33の広帯域分散吸収型電波吸収体
は、線状、円柱状、短冊状、直方体状を含み、最大長さ
が0.1μm〜20mmの大きさの同一種類の粒子状多孔
質媒質に、電磁波の緩和型吸収帯域あるいは共鳴型吸収
帯域の異なる2種以上の液体を均一に混合した混合液体
を、含浸あるいは吸着させたことを特徴としている。
【0044】請求項34の広帯域分散吸収型電波吸収体
は、線状、円柱状、短冊状、直方体状を含み、最大長さ
が0.1μm〜20mmの大きさで異なる種類の粒子状多
孔質媒質に、電磁波の緩和型吸収帯域あるいは共鳴型吸
収帯域の異なる2種以上の液体を均一に混合した混合液
体を、含浸あるいは吸着させたことを特徴としている。
【0045】請求項35の広帯域分散吸収型電波吸収体
は、厚さが20μm〜200mmで同一材質で一様に形成
された同一種類の板状多孔質媒質に、電磁波の緩和型吸
収帯域あるいは共鳴型吸収帯域の異なる化学的に均一な
2種以上の液体を、各々含浸あるいは吸着させてなる電
波吸収材料を2枚以上張り合わせたことを特徴としてい
る。
【0046】請求項36の広帯域分散吸収型電波吸収体
は、厚さが20μm〜200mmで同一材質で一様に形成
された異なる種類の板状多孔質媒質に、電磁波の緩和型
吸収帯域あるいは共鳴型吸収帯域の異なる化学的に均一
な2種以上の液体を、各々含浸あるいは吸着させてなる
電波吸収材料を2枚以上張り合わせたことを特徴として
いる。
【0047】請求項37の広帯域分散吸収型電波吸収体
は、厚さが20μm〜200mmで同一材質で一様に形成
された同一種類の板状多孔質媒質に、電磁波の緩和型吸
収帯域あるいは共鳴型吸収帯域の異なる2種以上の液体
を均一に混合した混合液体を、含浸あるいは吸着させた
ことを特徴としている。
【0048】請求項38の広帯域分散吸収型電波吸収体
は、厚さが20μm〜200mmで同一材質で一様に形成
された異なる種類の板状多孔質媒質に、電磁波の緩和型
吸収帯域あるいは共鳴型吸収帯域の異なる2種以上の液
体を均一に混合した混合液体を、含浸あるいは吸着させ
てなる電波吸収材料を2枚以上張り合わせたことを特徴
としている。
【0049】請求項39の電波吸収体は、線状、円柱
状、短冊状、直方体状を含み、最大長さが0.1μm〜
20mmの大きさの粒子状多孔質媒質に、少なくとも有極
性液体、電気伝導性液体のいずれかを含む液体を含浸あ
るいは吸着させてなる電波吸収材料にカーボン粒子ある
いはフェライト粒子を混合したことを特徴としている。
【0050】(定義)本発明では常温常圧で液状の物質
を液体、気体状の物質を気体、固体状の物質を固体と言
う。
【0051】(液体)液体を電波吸収材に適用出来るか
否かの面で、液体の性質を分類すると、大きく2つの立
場で分類できる。一つは、永久双極子モーメントの有無
による、有極性液体と無極性液体の分類であり、もう一
つは電気伝導が容易か否かでの分類である。これ等を電
磁パラメータの面で見ると、前者は複素誘電率の大き
さ、及び、その周波数特性に反映され、また、後者は複
素電気伝導率の大きさ、及びその周波数特性に反映され
る。
【0052】通常、有極性液体は永久双極子モーメント
を有する分子からなる液体と定義されるが、本発明にお
いては、便宜上、常温常圧で静的複素比誘電率の実数部
が10以上の液体とした。
【0053】液体の電気伝導率に関して、液体は次の2
つに区分される。一つは単一化学組成の物質で、既に大
きな電気伝導率を有する電気伝導性液体(例えば硫酸)
であり、他の一つは、単一化学組成の液体では電気伝導
率は小さいが、電解質を溶解させることにより、電気伝
導率が大幅に増加する溶液である。
【0054】よく知られた水は、有極性液体の代表例で
あり、電解質の代表例は塩である。純水な水の電気伝導
率は5×10−6(1/Ωm)と小さいが、塩をかなり
の濃度まで溶解させることにより、大きな電気伝導率を
有する一様な溶液(塩水)となる。
【0055】無極性液体のモル分極と分極率の関係はク
ラウジウス−モソッティの関係式で表され、有極性液体
のモル分極と分極率及び永久双極子モーメントの関係は
次のカークウッドの式(クラウジウス−モソッティの関
係式を含む)で表現できる。
【0056】
【数1】
【0057】上式から言えることは永久双極子モーメン
ト(p)を持つ有極性液体は、無極性液体に比べ大き
な静的誘電率を持つことが言える。カークウッドの式を
用いて計算した有極性液体の代表例である水の比誘電率
はかなり大きく、63程度となり、実験値と良く合うこ
とは従来より知られている。
【0058】カークウッドの式は静的な直流の誘電率を
表現するものであるが、動的な誘電率、即ち誘電率の周
波数特性は、緩和型分散が適用される場合、次のデバイ
の式で良く表現できる。
【0059】
【数2】 ここで、ε',ε",Δε,ω,τはそれぞれ複素比誘電
率の実数部、虚数部、分散周波数前後の複素比誘電率の
実数部の差、電磁波の角周波数、及び、緩和時間であ
る。
【0060】また、共鳴型分散が適用される時には、次
式が成立する。
【数3】 ここで、ωは共鳴角周波数である。
【0061】緩和型あるいは共鳴型分散の存在する周波
数帯域では、図2に示すように、複素比誘電率の虚数部
が大きく上昇する(電波の吸収が多くなる)と共に、実
数部は、分散の無い領域よりも、かなり急激に低下する
(図2の横軸は周波数でなく、波長で表現されているた
め、注意が必要である。)。
【0062】液体の場合、緩和型分散が生じ電波を吸収
する理由として、液体構成分子が持つ永久双極子モーメ
ントの向きの時間変化が、電波による外部電場の周波数
が上昇するにつれ、その変化に追従できず、位相の遅れ
が生じ、分散が生じると言われている。
【0063】また、共鳴型分散による電波の吸収は、液
体を構成する分子あるいは分子内分子の回転準位間の遷
移により、電波が吸収され生じると考えられている。
【0064】緩和型分散あるいは共鳴型分散のいずれに
しても、分散のある周波数領域では、電波は効率よく吸
収され、電波吸収材として最適な材料となる。また、電
波領域、特にマイクロ波帯域に、緩和型分散あるいは共
鳴型分散を持つ液体は多数存在し、本発明の液体含浸多
孔質電波吸収材料は従来に無い、優れた電波吸収性能を
有した電波吸収材料となる。
【0065】(電解質)一方、電解質を溶媒に溶解させ
た時の、低周波領域での電気伝導率は、電解質のモル伝
導率とモル濃度の積の和で表される。 σ=ΣΛ(B)・C(B)×10−6 ここで、σ、Λ(B)、C(B)はそれぞれ電気伝導
率、B電解質のモル伝導率、B電解質のモル濃度で
ある。
【0066】上式のように、溶媒にモル伝導率の大きな
電解質を濃度を変えて溶解すれば、自由な電気伝導率が
得られ、電波吸収体の最適設計が容易に可能となる。
【0067】電解質は通常、液体に溶解する固体の電解
質を言うが、本発明では、気体が溶液に溶けて、溶液の
電気伝導率を著しく上昇させる気体(例えば塩素)も電
解質と呼ぶことにする。
【0068】次に、電解質溶液の電気伝導率の周波数特
性について述べる。通常、電解質溶液の電気伝導率は数
kHzオーダの低周波で測定が行われている。この周波
数を数MHzオーダに上昇させると、電解液の電気伝導
率が少し上昇すると言う、異常現象が現れる。この現象
はデバイ−ファルケンハーゲン効果として知られてい
る。更に周波数を高くすると、電気伝導率は一転して低
下して行く。デバイ−ファルケンハーゲン効果はイオン
の周りに生じている質量の大きなイオン雰囲気の運動
が、周波数が上昇するに伴い追従出来なくなり、それに
従いイオンがイオン雰囲気を引きずる等の抵抗を受けな
いため、イオンが動き易くなり、電気伝導率が上昇する
と説明されている。更に周波数を上昇させるとイオンの
並進運動までも追従出来なくなり、電気伝導の分散が起
こり、電気伝導率が周波数の上昇に伴い低下して行くと
考えられている。電解質のモル伝導率の周波数特性の具
体例を図3に示す。図中、Λ(0)は低周波の電気伝導
率、Λ(λ)は波長λでの電気伝導率を示す。デバイ−フ
ァルケンハーゲン効果は微小な効果のため、図3には明
瞭に表れていない。
【0069】電解質溶液の電気伝導率が電磁波の周波数
の上昇に伴い変化する分散周波数帯域になれば、電場に
対する電流の位相遅れが生じ、この遅れを表現するため
に、電気伝導率を複素数化し、複素電気伝導率で表現す
れば計算が簡便となる。複素誘電率の損失項は虚数部で
あるが、複素電気伝導率の損失項は、誘電率と異なり、
実数部となる。
【0070】(作用)上述した、複素比誘電率及び複素
電気伝導率を用いて複素伝搬定数を表現すれば下式のよ
うになる。
【数4】 ここで、k',k",σ',σ",c,εe',εe"はそれぞ
れ複素伝搬定数の実数部、虚数部、複素電気伝導率の実
数部、虚数部、真空中の光速、有効複素比誘電率の実数
部、及び虚数部である。
【0071】また、電波の吸収係数は2k"となり、波
長は2π/k'となる。吸収係数を大きくするには、ε
e"の値を大きくする必要がある事が上式より分かる。ま
た、吸収体内での波長を短くするには、εe'を大きくす
る必要がある事も分かる。
【0072】上式は一様な媒質を進む平面電磁波の振る
舞いを表したものであるが、電波が空気から電波吸収体
に入射する場合は、境界面で電波は反射する。その反射
係数をΓとすれば Γ= (η−1)/(η+1) で表される。ここでηは正規化インピーダンスであ
り、空気からの入射の場合η=R+jXとすれば、
【数5】 と成る。ここで、μは真空中の透磁率である。
【0073】上式より境界面で電波の反射の無い場合は
η=1の時だけであり、ηを1に近づけるには、複
素比誘電率の実数部は1、虚数部は零に出来る限り近
く、また、複素電気伝導率は零に近い方がよい。しか
し、これでは空気と同じ電磁特性を持つ吸収体となり、
表面反射は避けられるが、電波を吸収しなくなる。この
ため、理想的な電波吸収体としては、表面から吸収体の
奥に行くに従い複素誘電率及び複素電気伝導率が上昇し
ていく様な、適度な電磁パラメータの分布が選ばれる。
【0074】(多孔質媒質)多孔質媒質とは固体の範疇
に入る物質で、中に独立で無い、つながった無数の微少
な空間を有する物質を言う。液体あるいは気体がその微
少空間に取り込まれ、その空間が大きい場合を含浸と言
い、数分子程度の小さな空間の場合を吸着と呼んでい
る。良く知られた多孔質媒質としては、シリカゲルや活
性炭がある。このシリカゲルや活性炭は乾燥剤や脱臭剤
として、色々な所で使用されている。これ等の物質中に
ある微少な空間の表面積は非常に大きく、空気中の水分
子、あるいは冷蔵庫中の匂い分子が吸着される。また、
空間が大きい場合は、吸着分子が集合し、液体となり、
その空間に取り込まれる。
【0075】電波吸収材用多孔質媒質としては、請求項
3に示すように、シリカゲル、活性炭のような無機質か
ら成る物質と、請求項4に示すように、高密度ポリエチ
レン、セルロースのような高分子あるいは有機質からな
る物質、及び、請求項5に示すように、ポーラスなフェ
ライト系焼結体に分類できる。これ等いずれにしても多
量の液体を含浸あるいは吸着する事が可能である。ま
た、活性炭、フェライト系焼結媒質の様に多孔質媒質そ
のものが電波を吸収する物質もある。
【0076】上述した多種多様の液体を多種多様の多孔
質媒質に含浸あるいは吸着させる事により、液体の固体
化が図られ、従来に無い多種多様の電磁特性を持った電
波吸収材料となり、高吸収、広帯域、薄型、軽量、高強
度、長寿命、耐環境性、取り扱い容易、及び、低コスト
の高性能な電波吸収体の設計及び製作が可能となる。
【0077】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に従って説明する。
【0078】図1は多孔質媒質に液体を含浸あるいは吸
着させ、その含浸あるいは吸着させた液体により、又は
液体並びに当該多孔質媒質により、電波を吸収する液体
多孔質電波吸収材料10を、緩衝材又は封止材11でく
るんだものを、母材12中に多数分散、包含させた電波
吸収体の実施の形態を示す。
【0079】前述したように、多孔質媒質としては、シ
リカゲル、ケイ藻土、ケイ酸、ケイ酸塩、ケイ酸カルシ
ウム、ケイ酸マグネシウム、活性ケイ酸マグネシウム、
ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウム、多孔質ガラ
ス、多孔質石英、シリカ、酸化ケイ素、沸石、ゼオライ
ト、モレキュラーシーブ、分子ふるい、セラミック、陶
磁器、耐火レンガ、セメント、発泡コンクリート、AL
C、軽量コンクリート、多孔性ガラス、活性炭、グラフ
ァイト、カーボンブラック、アモルファスカーボン、活
性アルミナ、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、生石
灰、活性マグネシヤ、酸化マグネシウム、マグネシア、
酸化チタン、酸化カルシウム、ライム、炭酸マグネシウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、水
酸化カルシウム、消石灰、リン酸塩、多孔性リン酸アル
ミニウム、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、多
孔性リン酸カルシウム等の無機媒質が使用できる。ま
た、多孔質媒質として、高密度ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリエステル、発泡スチロール、ポリ塩化ビニ
ール、ポリウレタン、発泡ポリイミド、ポーラスポリマ
ビーズ、セルロース、純水精製用フィルタ、イオン交換
樹脂等の高分子媒質も使用でき、さらにはフェライト系
焼結媒質も使用できる。
【0080】前記多孔質媒質の形状は、線状、円柱状、
短冊状、直方体状を含む粒子状であるとよく、その最大
長さが0.1μm〜20mmの大きさであることが、取り
扱い易さ、成型性等の観点等から望ましい。また、前記
多孔質媒質が同一材質の一様な板状多孔質媒質でもよ
く、その厚さが20μm〜200mmであることが取り扱
い容易性や加工性の観点等から望ましい。
【0081】前述したように、液体としては、単一化学
組成の有極性液体、単一化学組成の無極性液体と有極性
液体とを均一に混合した混合液体、あるいは、化学的に
種類の異なる2種以上の有極性液体を均一に混合した混
合液体の内、いずれか一つ以上の液体を均一に混合した
混合液体を使用できる。
【0082】また、前記液体が、単一化学組成で、低周
波における複素電気伝導率の実数部が10−3(1/Ω
m)以上の電気伝導率を有する、電気伝導性液体である
ことが、損失を増大させる観点から望ましい。
【0083】さらには、前記液体が、単一化学組成の有
極性液体、単一化学組成の無極性液体と有極性液体とを
均一に混合した混合液体、あるいは、化学的に種類の異
なる2種以上の有極性液体を均一に混合した混合液体の
内、いずれか一つ以上の液体を均一に混合した混合液体
に、単一化学組成で、低周波における複素電気伝導率の
実数部が10−3(1/Ωm)以上の電気伝導率を有す
る、電気伝導性液体を均一に混合した混合液体であって
もよい。
【0084】前記液体に化学的に種類の異なる1種以上
の電解質を溶解させ、その溶液の低周波における複素電
気伝導率の実数部が10−3(1/Ωm)以上の電気伝
導率を有するように設定してもよい。
【0085】前記液体が、単一化学組成の無極性液体、
あるいは、化学的に種類の異なる2種以上の無極性液体
を均一に混合した混合液体に、化学的に種類の異なる1
種以上の電解質を溶解させ、その溶液の低周波における
複素電気伝導率の実数部が10−3(1/Ωm)以上の
電気伝導率を有するものであってもよい。
【0086】前記有極性液体として、水、過酸化水素、
フッ化水素、シアン化水素等の無機化合物を用いしても
よく、あるいは前記有極性液体として、アセチルアセト
ン、アセトアルデヒド、アセトニトリル、アセトフェノ
ン、アセトン、イソブチロニトリル、エタノール、エチ
レングリコール、ギ酸、グリセリン、クロロアセトン、
O−クロロニトロベンゼン、硝酸メチル、トリフルオロ
酢酸、ニトロベンゼン、ニトロメタン、ピリジン、1−
ブタノール、2−ブタノール、フルフラール、1−プロ
パノール、2−プロパノール、1−2−プロパンジオー
ル、1−3−プロパンジオール、ベンゾニトリル、ホル
ムアミド、無水酢酸、メタノール、ラクトニトリル等の
有機化合物を用いてもよい。
【0087】前記無極性液体として、硫酸、硝酸等の無
機化合物を用いてもよく、あるいはアニリン、クロロベ
ンゼン、酢酸、ジエチルエーテル、1−4ジオキサン、
シクロヘキサン、トルエン、フレオン、プロピレン、ベ
ンゼン、メチルアミン等の有機化合物を用いてもよい。
【0088】前記電気伝導性液体として、硫酸、硝酸、
リン酸を用いてもよい。
【0089】前記電解質として、硝酸銀、塩化バリウ
ム、臭化バリウム、臭化カルシウム、塩化カルシウム、
硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、メタケイ酸カルシウ
ム、臭化カドミウム、塩化カドミウム、硫酸カドミウ
ム、硝酸カドミウム、塩化セレン、塩化銅、硫酸銅、硝
酸銅、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、
ヨウ化カリウム、水酸化カリウム、硫酸カリウム、硝酸
カリウム、ヘキサシアノ鉄酸カリウム、塩化ランタン、
フッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化
リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム、水素化リチ
ウム、塩化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硫酸マ
グネシウム、炭酸マグネシウム、メタケイ酸マグネシウ
ム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモ
ニウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナト
リウム、水酸化ナトリウム、硫化ナトリウム、硫酸ナト
リウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナ
トリウム、メタケイ酸ナトリウム、塩化ニッケル、硫酸
ニッケル、硝酸ニッケル、リン酸、硫化亜鉛等の無機質
固体電解質を用いることができる。
【0090】あるいは、前記電解質として、ギ酸カリウ
ム、ギ酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、
トリフロロ酢酸、ピクリン酸等の有機質固体電解質を用
いることができる。
【0091】さらには、前記電解質として、臭化水素、
シアン化水素、塩化水素、フッ化水素、ヨウ化水素、ア
ンモニア、硫化水素、二酸化硫黄等の無機質気体電解質
を用いることも可能である。
【0092】(緩衝材及び封止材)前記緩衝材又は封止
材11について説明を加える。緩衝材は請求項21にて
述べたように、低密度ポリエチレン、塩化ビニリデン、
アクリルニトリルの共重合体、ポリアクリロニトリルを
主成分とする高分子、ポリカーボネイト、ナイロン、ポ
リウレタン、ポリエチレン、テレフタレートから選ばれ
た少なくとも1種から成るものである。また、封止材
は、請求項22にて述べたように、ガラス、あるいはシ
リカから選ばれた少なくとも1種から成るものである。
【0093】緩衝材又は封止材11を設ける理由につい
て以下に述べる。多孔質媒質に液体を含浸あるいは吸着
させた多孔質電波吸収材料に用いる液体としては、融点
が低く、沸点が高い液体が望ましい。それは、鉄製架橋
のレーダゴースト防止用電波吸収体の様に、冬の野外で
使用されたり、あるいは高空を飛行する航空機の外板に
用いられる等の電波吸収体では、マイナス数10度以下
の温度にさらされる。この場合融点が高いと、含浸した
液体は、固体化し、体積が変化する。また、高温の外気
温で使用されたり、強力な電波を照射され、それを吸収
する場合も、多孔質媒質中に含浸あるいは吸着された液
体は温度上昇により気体となり、体積を膨張させる。こ
の様な場合、硬質の母材12では、母材に小さなクラッ
クが入り、膨潤状態となり、母材の機械的強度に著しい
悪影響を与えると共に電波吸収特性にも影響を与える。
【0094】緩衝材及び封止材は、主に液体の膨張によ
る、母材への悪影響を妨げるために、液体含浸(又は吸
着)多孔質媒質を包み囲むための材質である。図1に示
すように、緩衝材は低密度ポリエチレン等の柔らかい高
分子化合物で液体を含む多孔質媒質を包み、中の液体が
膨張したときの体積の増加を、当該高分子化合物で吸収
し、母材を膨潤から守り、母材の強度低下を起こさせな
いための材料である。また、封止材はガラス等の堅い材
料で当該多孔質媒質を包み、液体の体積膨張を押さえ込
もうとする考えである。多孔質媒質の粒径が小さい場
合、薄い封止材でも、数10気圧以上の内圧に十分耐え
うる。
【0095】また、緩衝材及び封止材は、毒性、可燃
性、腐食性等を有する液体を封じ込め、安全化を図る場
合にも適用出来る。
【0096】(傾斜型電波吸収体)請求項23から30
にある傾斜型電波吸収体について述べる。実用に供する
ほとんど全ての電波吸収体は、比誘電率がほぼ1の空気
中から電波が吸収体に入射する。表面反射の無い理想的
な電波吸収体の入射表面に必要とされる電磁特性は、複
素比誘電率の実数部は1で、虚数部は零の材質が良い。
しかしながら、現実の物質の複素比誘電率の実数部は常
に1より大きいため、電波吸収体の表面で電波が反射さ
れ、吸収体の用を成さない。このため、各種の工夫をし
て電波吸収体が設計されている。
【0097】電波吸収体は良く知られているように、大
別して、広帯域電波吸収体と狭帯域電波吸収体の2つに
分類できる。
【0098】(広帯域電波吸収体)前者は主に電波暗室
等で用いられ、電波吸収量は高く、適用周波数範囲は広
いが、吸収体の厚みが厚く、耐環境性及び強度はあまり
必要とされない。吸収体の形によりピラミッド型電波吸
収体、山型電波吸収体、三角プリズム型電波吸収体とも
言われている。これ等は、形からではなく、機能の面か
ら傾斜型電波吸収体と言うことが出来る。電波吸収体表
面で電波を反射させないためには、表面では空気と同じ
誘電率に近づける必要が有り、また、電波を効率よく吸
収させるには、奥に行くに従い、複素誘電率の虚数部、
あるいは複素電気伝導率の実数部を徐々に増加させる必
要がある。
【0099】これを従来技術で行うには、カーボン、フ
ェライトの粒子の数密度が、表面では低く、奥に行くに
従い次第に高くなって行く吸収体を作る必要がある。こ
の数密度傾斜型電波吸収体を実現するには、二つの方法
が考えられている。一つはカーボン又はフェライトの粒
子の数密度が各々一様な薄い板を、粒子密度を変化させ
多数枚作り、電波入射面ではカーボン等の数密度が低
く、奥に行くに従い数密度が増すように、多数枚の板を
張り合わせた多層構造(又は多段構造)にする方法であ
り、他の一つは、カーボン又はフェライトの数密度が一
様な厚い板を一枚作り、この厚い板からピラミッド型や
山型等に切り出す方法である。
【0100】前者の方法は理想的な電波吸収体に近い方
法であるが、特性の異なる薄い板を多数製作しなければ
ならず、製造に手間がかかり、高コストと成るため実用
に供されていない。
【0101】後者の方法は、理想的な前者の電波吸収特
性と等価な状況を別の方法で作り出す方法である。カー
ボン、フェライト粒子の数密度は一様で厚い平板状の電
波吸収体を作り、その厚い板からピラミッド型に加工し
たり、山型に加工したりして、数密度傾斜型電波吸収体
と等価にし、表面反射の少ない高吸収な広帯域電波吸収
体を製作している。また、ピラミッド型や山型電波吸収
体は高吸収で広帯域の電波吸収体であるが、欠点として
は、厚くて機械強度が無いばかりでなく、ピラミッド等
の先端を保護するための措置が必要で、保管時、積み重
ねる事が困難と成り、取り扱いが難しく、さらに、平板
からピラミッド型や山型に、切り出し加工するため、高
コストと成る。
【0102】本発明の請求項23から26にある粒子状
多孔質媒質を用いた傾斜型電波吸収体とは、質量密度の
異なる各種の多孔質媒質、及び、電磁特性の異なる各種
の液体を組み合わせ、吸収体の表面から奥に行くに従
い、電磁的特性を次第に強めた電波吸収体である。これ
を製作するには、比重が軽く、複素誘電率等が小さな粒
子状の液体含浸多孔質媒質から、比重が重く、複素誘電
率等が大きな粒子状の液体含浸多孔質媒質まで取りそろ
え、母材に混合し、ある程度時間をかけ、硬化させれば
良い。母材が硬化するまでに、地球の重力により、表面
(上面)には密度が軽く電磁的パラメータの値が小さ
く、奥(下)に行くに従い、比重が重く電磁的パラメー
タの値が大きな、平板状の傾斜型電波吸収体が自然に製
造できる。本発明の傾斜型電波吸収体は、特性の異なる
薄い板を多数製造し、それ等を張り合わせる必要もな
く、又ピラミッド型や山形等に加工する必要もない。本
発明の傾斜型電波吸収体は、平板一体型で既に電磁的特
性が傾斜しているため、低コスト化が図られ、また平板
状のため取り扱いが容易であり、薄型、高強度、高吸収
な特徴を持つ優れた電波吸収体と成る。
【0103】請求項27から30にある板状多孔質媒質
を用いた傾斜型電波吸収体は、粒子状多孔質媒質を用い
たのと同じ考えを板状多孔質媒質に適用した電波吸収体
である。電波入射面には、電波の表面反射を防ぐために
複素誘電率等の値が小さな板を置き、奥に行くほど複素
誘電率等の値が増加するように、多数の板を張り合わせ
た電波吸収体である。活性アルミナ、陶器、高密度ポリ
エチレン等は板状多孔質媒質に加工することは容易であ
り、かつ、硬質で高強度を有する。このような板状多孔
質媒質を用いた傾斜型電波吸収体は、電波暗室等の床材
として使用できる十分な強度を持ち、床用の電波吸収体
として最適な平板型電波吸収体となる。
【0104】この板状多孔質媒質を用いた傾斜型電波吸
収体の製造は、前述した、カーボン粒子あるいはフェラ
イト粒子を用いた数密度傾斜型多層構造平板型電波吸収
体より遥かに容易である。それは電磁特性の異なる液体
を入れた個々の容器に、板状多孔質媒質を浸けて、それ
等の液体を、その多孔質媒質に含浸あるいは吸着させる
だけで、電磁特性の異なる各種の板状多孔質媒質が製造
出来るからである。
【0105】(狭帯域電波吸収体)一方、狭帯域電波吸
収体(整合型、干渉型、薄型、共鳴型、共振型、及び、
適合型電波吸収体とも言われている。)では、吸収体表
面で反射した電波と、中に入り反射材から反射した電波
とを干渉させ、干渉により表面反射を少なくし、電波を
吸収体表面と反射材の間で閉じこめ、電波吸収材で電波
を吸収させる方式をとる。狭帯域電波吸収体は一般に薄
いが、さらに薄くするには、複素誘電率の実数部の値は
出来る限り大きい方が良い。何故なら、複素誘電率の実
数部が大きいと、複素伝搬定数の実数部も大きくなり、
吸収体内での電波の波長が短く成るためである。この場
合も、従来のカーボン材質に比べ、誘電率が遥かに大き
な液体が多数存在し、本発明を使用すれば、狭帯域電波
吸収体のさらなる薄型化が可能であり、多層構造にして
も、厚さが厚くならず、薄型のままで広帯域化が図れ
る。
【0106】(広帯域分散吸収型電波吸収体)請求項3
1から38にある広帯域分散吸収型電波吸収体について
述べる。液体は前述したように、緩和型分散あるいは共
鳴型分散が生じる周波数領域は、電波領域に多数存在す
ることを述べた。これ等は液体の永久双極子モーメント
の配向の外部電場からの位相遅れ、あるいは、液体構成
分子の回転準位間の遷移により生じる。
【0107】液体の種類が異なれば、この分散吸収帯域
は当然変化する。広帯域分散吸収型電波吸収体は異なる
分散吸収帯域を持つ各種液体を多孔質媒質に含浸あるい
は吸着させ、吸収体の広帯域化を図ろうとするものであ
る。また、緩和あるいは共鳴吸収は電波を効率良く吸収
するため、薄型で高吸収な広帯域電波吸収体と成る。
【0108】例えば、Aの液体は1GHz帯に吸収帯域
を持ち、Bの液体は10GHz帯に吸収帯域を持つとす
れば、これ等異なる2種類の液体が一様に混合する時
は、混合した液体を用いれば良いが、一様に混合しない
場合は、それぞれの液体を別々に含浸あるいは吸着させ
た多孔質媒質を用いて、母材に混合すれば、広帯域の電
波吸収体と成る。また電波吸収量は、緩和あるいは共鳴
しない電波領域よりも遥かに高吸収と成り、薄型化も図
れる。また、幸いな事に、液体の緩和型分散あるいは共
鳴型分散が生じる吸収帯のバンド幅は、図2の具体例
(メチルアルコールの複素比誘電率(ε'は実数部、ε"
は虚数部)の周波数特性)のごとく、非常に広帯域であ
る。
【0109】当然、請求項23から30までの傾斜型電
波吸収体の考えと、請求項31から38までの広帯域分
散吸収型電波吸収体の考えを組み合わせた、電波吸収体
も本発明の範疇に入る事は言うまでもない。
【0110】最後に請求項5及び39に関して述べる。
請求項5は多孔質フェライト系焼結媒質に、請求項8、
9、10、11、及び、12に示された各種の液体を含
浸あるいは吸着させ、低周波領域の電波吸収に威力を発
揮するフェライトと、高周波領域の電磁波の吸収に威力
を発揮する多種多様の液体を組み合わせる事により、さ
らなる電波吸収体の高性能化を図ろうとする考えであ
る。また、従来型電波吸収体ではカーボンあるいはフェ
ライト単体でなく、カーボンとフェライトの粒子の混合
材を電波吸収材として用いることは良く行われている。
請求項39はこの考えを拡張した考えであり、カーボ
ン、フェライト粒子に、本発明に係る粒子状の液体含浸
(吸着)多孔質媒質を組み合わす事により、さらに豊富
な電磁特性を持つ電波吸収材となり、より高性能な電波
吸収体の開発が可能と成る。
【0111】
【実施例】図4及び図5を用いて本発明の実施例を説明
する。図4は乾燥したシリカゲルを用い、図5は水を飽
和するまで含ませたシリカゲルを用いた時の電波吸収特
性の違いを示したものである。共に同じ重量のシリカゲ
ル粉末を用い、片方は乾燥したままで、他方は水に3日
間浸け、十分に水分を含ませたシリカゲルを用い、同量
の母材としてのエポキシ樹脂に一様に混合させ硬化させ
た電波吸収体である。尚、反射材としてはアルミ板を使
用した。図5で使用した吸水シリカゲルは、乾燥シリカ
ゲル重量の27%の重さの水を含浸したものである。横
軸は周波数、縦軸は吸収量(dB)であり、75GHz
から110GHzまでのミリ波領域での電波吸収性能が
示されている。
【0112】図4及び図5を比較すれば直ちに分かるよ
うに、水によるミリ波帯の吸収が存在する事が明瞭に出
ている。シリカゲルに水を含ませる事により、75GH
z〜110GHzまでの広範囲な周波数領域で−20d
B以上の吸収性能がコンスタントに得られている。
【0113】以上本発明の実施の形態及び実施例につい
て説明したが、本発明はこれに限定されることなく請求
項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なこ
とは当業者には自明であろう。
【0114】
【発明の効果】従来の電波吸収体に用いられてきた電波
吸収材の殆ど全てはカーボンとフェライトであった。こ
のため、複素誘電率等の電磁パラメータの値は非常に限
られた値しかなく、その最適設計に限度があった。ま
た、液体そのものを電波吸収材として用いる方法とし
て、高分子カプセル内に液体を封入するとか、液体を2
枚板で挟み込むとか、ハニカム構造のセル内に閉じこめ
る等の方法では、製造の困難さ、曲面加工の困難さ、液
漏れ等の不具合を生じる。
【0115】本発明は、液体を多孔質媒質に含浸あるい
は吸着により封じ込め、液体の固体化を図り、各種の多
孔質媒質、各種の液体、及び、各種の電解質の組み合わ
せにより、多種多様の電磁的特性を有した電波吸収材
料、及びそれを利用した電波吸収体を実現できた。
【0116】多種多様の粒子状多孔質媒質、液体、及び
電解質を組み合わせれば、密度と共に電磁パラメータが
変化する電波吸収材料が製作でき、電磁パラメータが吸
収体表面から奥に進むにつれて傾斜的に変化する傾斜型
電波吸収体が、地球の重力を利用する事により、自然か
つ容易に低コストで製造できる。これは平板で既に電磁
特性が傾斜型と成っており、従来のように、多層構造あ
るいは多段構造にする必要もなく、また、ピラミッド
型、山型、三角プリズム型に加工する必要も無い。この
吸収体は表面反射が少なく、高吸収で、取り扱いが容
易、かつ、低コストの平板型高性能電波吸収体と成る。
【0117】また、板状多孔質媒質を用いた、多層構造
の傾斜型平面電波吸収体も、電磁特性の異なる各種液体
にその多孔質媒質を浸け、張り合わせるだけで、容易に
製作できる。多孔質媒質には、活性アルミナ、高密度ポ
リエチレン等の硬質、高強度を有する多孔質媒質が多く
有り、電波暗室等の床材に最適な電波吸収体と成る。
【0118】電磁波の干渉を利用し表面反射を低減させ
る、狭帯域電波吸収体にも、本発明を応用すれば、誘電
率の大きな液体は各種有り、さらなる薄型化が可能とな
り、多層にしても薄型のままで広帯域化が図れる。
【0119】さらに、液体を利用すれば、液体が持つ永
久双極子の配向緩和や、液体を構成する分子の回転準位
間の遷移により、緩和型分散あるいは共鳴型分散が生じ
るが、この分散周波数帯域は電波領域に多数存在し、電
波を効率よく吸収させることが出来る。この吸収帯域は
液体の種類により変化し、多種の液体を組み合わせれ
ば、広帯域で高吸収の薄型電波吸収体となる。
【0120】フェライト型電波吸収体は重くかつ高周波
まで電波吸収性能が伸びない。本発明の液体多孔質電波
吸収材料及び吸収体は、フェライト型に比較すれば、遙
かに軽く、電波吸収性能はミリ波帯域と言う非常な高周
波まで伸びる。
【0121】さらに、従来のカーボンと比較しても本発
明の液体多孔質電波吸収材料及び吸収体は軽量化が図れ
る。それは、密なカーボンの比重は2.3程度と重い
が、多くの液体の比重は1近辺にあるためである。
【0122】従来から使用されている乾燥したカーボ
ン、フェライト粒子と、本発明である粒子状の液体含浸
(吸着)多孔質媒質を組み合わせれば、さらに豊富な電
磁特性を持つ電波吸収材料となり、高性能な電波吸収体
が開発できる。
【0123】以上、本発明を使用することにより、高吸
収、広帯域、薄型、軽量、高強度、長寿命、耐環境性、
取り扱い容易、及び低コストの高性能電波吸収体の設計
及び製作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態であって液体多孔質電波吸
収材料を緩衝材あるいは封止材で包み込み、母材中に多
数分散、包含させた電波吸収体を示す構成図である。
【図2】メチルアルコールの複素比誘電率(ε'は実数
部、ε"は虚数部)の周波数特性図である。
【図3】各種電解質溶液の複素電気伝導率の実数部の周
波数特性図である。
【図4】乾燥させたシリカゲルとエポキシ樹脂を混合
し、硬化させた電波吸収体(比較例)の電波吸収量の周
波数特性図である。
【図5】乾燥させたシリカゲルに水を27%含浸させた
多孔質媒質とエポキシ樹脂を混合し、硬化させた電波吸
収体(実施例)の電波吸収量の周波数特性を示す。
【図6】電波吸収体を構成する構成材を示す説明図であ
る。
【図7】従来技術である高分子カプセル液体封入型電波
吸収体を示す構成図である。
【図8】従来技術である液体サンドイッチ型電波吸収体
を示す構成図である。
【図9】従来技術である液体ハニカム構造閉じこめ型電
波吸収体を示す構成図である。
【符号の説明】
10 電波吸収材料 11 緩衝材又は封止材 12 母材

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質媒質に液体を含浸あるいは吸着さ
    せ、その含浸あるいは吸着させた液体により、電磁波を
    吸収することを特徴とする液体多孔質電波吸収材料。
  2. 【請求項2】 多孔質媒質に液体を含浸あるいは吸着さ
    せ、その含浸あるいは吸着させた液体並びに当該多孔質
    媒質により、電磁波を吸収することを特徴とする液体多
    孔質電波吸収材料。
  3. 【請求項3】 前記多孔質媒質が、シリカゲル、ケイ藻
    土、ケイ酸、ケイ酸塩、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグ
    ネシウム、活性ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ナトリウ
    ム、ケイ酸アルミニウム、多孔質ガラス、多孔質石英、
    シリカ、酸化ケイ素、沸石、ゼオライト、モレキュラー
    シーブ、分子ふるい、セラミック、陶磁器、耐火レン
    ガ、セメント、発泡コンクリート、ALC、軽量コンク
    リート、多孔性ガラス、活性炭、グラファイト、カーボ
    ンブラック、アモルファスカーボン、活性アルミナ、酸
    化アルミニウム、酸化カルシウム、生石灰、活性マグネ
    シヤ、酸化マグネシウム、マグネシア、酸化チタン、酸
    化カルシウム、ライム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリ
    ウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、水酸化カルシウ
    ム、消石灰、リン酸塩、多孔性リン酸アルミニウム、リ
    ン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、多孔性リン酸カ
    ルシウム等の無機媒質で構成されている請求項1又は2
    記載の液体多孔質電波吸収材料。
  4. 【請求項4】 前記多孔質媒質が、高密度ポリエチレ
    ン、ポリプロピレン、ポリエステル、発泡スチロール、
    ポリ塩化ビニール、ポリウレタン、発泡ポリイミド、ポ
    ーラスポリマビーズ、セルロース、純水精製用フィル
    タ、イオン交換樹脂等の高分子媒質で構成されている請
    求項1又は2記載の液体多孔質電波吸収材料。
  5. 【請求項5】 前記多孔質媒質が、フェライト系焼結媒
    質である請求項1又は2記載の液体多孔質電波吸収材
    料。
  6. 【請求項6】 前記多孔質媒質が、線状、円柱状、短冊
    状、直方体状を含む粒子状多孔質媒質で、その最大長さ
    が0.1μm〜20mmの大きさである請求項3,4又は
    5記載の液体多孔質電波吸収材料。
  7. 【請求項7】 前記多孔質媒質が、同一材質の一様な板
    状多孔質媒質で、その厚さが20μm〜200mmである
    請求項3,4又は5記載の液体多孔質電波吸収材料。
  8. 【請求項8】 前記液体が、単一化学組成の有極性液体
    (常温常圧で静的複素比誘電率の実数部が10以上の液
    体を言う。以下同じ。)、単一化学組成の無極性液体
    (常温常圧で静的複素比誘電率の実数部が10未満の液
    体を言う。以下同じ。)と有極性液体とを均一に混合し
    た混合液体、あるいは、化学的に種類の異なる2種以上
    の有極性液体を均一に混合した混合液体の内、いずれか
    一つ以上の液体を均一に混合した混合液体である請求項
    1又は2記載の液体多孔質電波吸収材料。
  9. 【請求項9】 前記液体が、単一化学組成で、電気伝導
    性液体(低周波における複素電気伝導率の実数部が10
    −3(1/Ωm)以上の液体を言う。以下同じ)、ある
    いは化学的に種類の異なる2種以上の電気伝導性液体を
    均一に混合した混合液体である請求項1又は2記載の液
    体多孔質電波吸収材料。
  10. 【請求項10】 前記液体が、単一化学組成の有極性液
    体、単一化学組成の無極性液体と有極性液体とを均一に
    混合した混合液体、あるいは、化学的に種類の異なる2
    種以上の有極性液体を均一に混合した混合液体の内、い
    ずれか一つ以上の液体を均一に混合した混合液体に、単
    一化学組成の電気伝導性液体、あるいは化学的に種類の
    異なる2種以上の電気伝導性液体を均一に混合した混合
    液体を均一に混合した混合液体である請求項1又は2記
    載の液体多孔質電波吸収材料。
  11. 【請求項11】 前記液体が、単一化学組成の有極性液
    体、単一化学組成の無極性液体と有極性液体とを均一に
    混合した混合液体、あるいは、化学的に種類の異なる2
    種以上の有極性液体を均一に混合した混合液体の内、い
    ずれか一つ以上の液体を均一に混合した混合液体に、単
    一化学組成の電気伝導性液体、あるいは化学的に種類の
    異なる2種以上の電気伝導性液体を均一に混合した混合
    液体を均一に混合した混合液体に、化学的に種類の異な
    る1種以上の電解質を溶解させ、電気伝導性液体とした
    ものである請求項1又は2記載の液体多孔質電波吸収材
    料。
  12. 【請求項12】 前記液体が、単一化学組成の無極性液
    体、あるいは、化学的に種類の異なる2種以上の無極性
    液体を均一に混合した混合液体に、化学的に種類の異な
    る1種以上の電解質を溶解させ、電気伝導性液体とした
    ものである請求項1又は2記載の液体多孔質電波吸収材
    料。
  13. 【請求項13】 前記有極性液体が、水、過酸化水素、
    フッ化水素、シアン化水素等の無機化合物である請求項
    8記載の液体多孔質電波吸収材料。
  14. 【請求項14】 前記有極性液体が、アセチルアセト
    ン、アセトアルデヒド、アセトニトリル、アセトフェノ
    ン、アセトン、イソブチロニトリル、エタノール、エチ
    レングリコール、ギ酸、グリセリン、クロロアセトン、
    O−クロロニトロベンゼン、硝酸メチル、トリフルオロ
    酢酸、ニトロベンゼン、ニトロメタン、ピリジン、1−
    ブタノール、2−ブタノール、フルフラール、1−プロ
    パノール、2−プロパノール、1−2−プロパンジオー
    ル、1−3−プロパンジオール、ベンゾニトリル、ホル
    ムアミド、無水酢酸、メタノール、ラクトニトリル等の
    有機化合物である請求項8記載の液体多孔質電波吸収材
    料。
  15. 【請求項15】 前記無極性液体が、硫酸、硝酸等の無
    機化合物である請求項8,10又は12記載の液体多孔
    質電波吸収材料。
  16. 【請求項16】 前記無極性液体が、アニリン、クロロ
    ベンゼン、酢酸、ジエチルエーテル、1−4ジオキサ
    ン、シクロヘキサン、トルエン、フレオン、プロピレ
    ン、ベンゼン、メチルアミン等の有機化合物である請求
    項8,10又は12記載の液体多孔質電波吸収材料。
  17. 【請求項17】 前記電気伝導性液体が、硫酸、硝酸、
    リン酸である請求項9記載の液体多孔質電波吸収材料。
  18. 【請求項18】 前記電解質として、硝酸銀、塩化バリ
    ウム、臭化バリウム、臭化カルシウム、塩化カルシウ
    ム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、メタケイ酸カル
    シウム、臭化カドミウム、塩化カドミウム、硫酸カドミ
    ウム、硝酸カドミウム、塩化セレン、塩化銅、硫酸銅、
    硝酸銅、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウ
    ム、ヨウ化カリウム、水酸化カリウム、硫酸カリウム、
    硝酸カリウム、ヘキサシアノ鉄酸カリウム、塩化ランタ
    ン、フッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨ
    ウ化リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム、水素化
    リチウム、塩化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硫
    酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、メタケイ酸マグネ
    シウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸ア
    ンモニウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化
    ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫化ナトリウム、硫酸
    ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水
    素ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、塩化ニッケル、
    硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、リン酸、硫化亜鉛等の無
    機質固体電解質を用いる請求項11又は12記載の液体
    多孔質電波吸収材料。
  19. 【請求項19】 前記電解質として、ギ酸カリウム、ギ
    酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、トリフ
    ロロ酢酸、ピクリン酸等の有機質固体電解質を用いる請
    求項11又は12記載の液体多孔質電波吸収材料。
  20. 【請求項20】 前記電解質として、臭化水素、シアン
    化水素、塩化水素、フッ化水素、ヨウ化水素、アンモニ
    ア、硫化水素、二酸化硫黄等の無機質気体電解質を用い
    る請求項11又は12記載の液体多孔質電波吸収材料。
  21. 【請求項21】 前記液体を含浸あるいは吸着させた前
    記多孔質媒質を、低密度ポリエチレン、塩化ビニリデ
    ン、アクリルニトリルの共重合体、ポリアクリロニトリ
    ルを主成分とする高分子、ポリカーボネイト、ナイロ
    ン、ポリウレタン、ポリエチレン、テレフタレートから
    選ばれた少なくとも1種から成る緩衝材でくるんだ請求
    項6又は7記載の液体多孔質電波吸収材料。
  22. 【請求項22】 前記液体を含浸あるいは吸着させた前
    記多孔質媒質を、ガラス、あるいはシリカから選ばれた
    少なくとも1種から成る封止材でくるんだ請求項6又は
    7記載の液体多孔質電波吸収材料。
  23. 【請求項23】 線状、円柱状、短冊状、直方体状を含
    み、最大長さが0.1μm〜20mmの大きさの同一種類
    の粒子状多孔質媒質に、同一種類の液体を、含浸量ある
    いは吸着量を変化させて含浸又は吸着させてなる2種以
    上の密度の異なる電波吸収材料を、順次密度が変化する
    ように設けたことを特徴とする傾斜型電波吸収体。
  24. 【請求項24】 線状、円柱状、短冊状、直方体状を含
    み、最大長さが0.1μm〜20mmの大きさの同一種類
    の粒子状多孔質媒質に、密度が増すに従い複素誘電率、
    複素電気伝導率の内どれか1種以上の物理量が増加す
    る、異なる液体を含浸あるいは吸着させてなる2種以上
    の密度の異なる電波吸収材料を、順次密度が変化するよ
    うに設けたことを特徴とする傾斜型電波吸収体。
  25. 【請求項25】 線状、円柱状、短冊状、直方体状を含
    み、最大長さが0.1μm〜20mmの大きさの密度の異
    なる種類の粒子状多孔質媒質に、同一種類の液体を含浸
    あるいは吸着させてなり、密度が増すに従い複素誘電
    率、複素電気伝導率の内どれか1種以上の物理量が増加
    する、2種以上の密度の異なる電波吸収材料を順次密度
    が変化するように設けたことを特徴とする傾斜型電波吸
    収体。
  26. 【請求項26】 線状、円柱状、短冊状、直方体状を含
    み、最大長さが0.1μm〜20mmの大きさの密度の異
    なる種類の粒子状多孔質媒質に、異なる種類の液体を各
    々含浸あるいは吸着させてなり、密度が増すに従い複素
    誘電率、複素電気伝導率の内どれか1種以上の物理量が
    増加する、2種以上の密度の異なる電波吸収材料を順次
    密度が変化するように設けたことを特徴とする傾斜型電
    波吸収体。
  27. 【請求項27】 厚さが20μm〜200mmで同一材質
    で一様に形成された同一種類の板状多孔質媒質に、同一
    種類の液体を、含浸量あるいは吸着量を変化させて含浸
    又は吸着させてなる2枚以上の電波吸収材料を張り合わ
    せたことを特徴とする傾斜型電波吸収体。
  28. 【請求項28】 厚さが20μm〜200mmで同一材質
    で一様に形成された同一種類の板状多孔質媒質に、異な
    る種類の液体を含浸あるいは吸着させてなる2枚以上の
    電波吸収材料を張り合わせたことを特徴とする傾斜型電
    波吸収体。
  29. 【請求項29】 厚さが20μm〜200mmで同一材質
    で一様に形成された異なる種類の板状多孔質媒質に、同
    一種類の液体を含浸あるいは吸着させてなる2枚以上の
    電波吸収材料を張り合わせたことを特徴とする傾斜型電
    波吸収体。
  30. 【請求項30】 厚さが20μm〜200mmで同一材質
    で一様に形成された異なる種類の板状多孔質媒質に、異
    なる種類の液体を各々含浸あるいは吸着させてなる2枚
    以上の電波吸収材料を張り合わせたことを特徴とする傾
    斜型電波吸収体。
  31. 【請求項31】 線状、円柱状、短冊状、直方体状を含
    み、最大長さが0.1μm〜20mmの大きさの同一種類
    の粒子状多孔質媒質に、電磁波の緩和型吸収帯域あるい
    は共鳴型吸収帯域の異なる化学的に均一な2種以上の液
    体を、各々含浸あるいは吸着させたことを特徴とする広
    帯域分散吸収型電波吸収体。
  32. 【請求項32】 線状、円柱状、短冊状、直方体状を含
    み、最大長さが0.1μm〜20mmの大きさで異なる種
    類の粒子状多孔質媒質に、電磁波の緩和型吸収帯域ある
    いは共鳴型吸収帯域の異なる化学的に均一な液体を、各
    々含浸あるいは吸着させたことを特徴とする広帯域分散
    吸収型電波吸収体。
  33. 【請求項33】 線状、円柱状、短冊状、直方体状を含
    み、最大長さが0.1μm〜20mmの大きさの同一種類
    の粒子状多孔質媒質に、電磁波の緩和型吸収帯域あるい
    は共鳴型吸収帯域の異なる2種以上の液体を均一に混合
    した混合液体を、含浸あるいは吸着させたことを特徴と
    する広帯域分散吸収型電波吸収体。
  34. 【請求項34】 線状、円柱状、短冊状、直方体状を含
    み、最大長さが0.1μm〜20mmの大きさで異なる種
    類の粒子状多孔質媒質に、電磁波の緩和型吸収帯域ある
    いは共鳴型吸収帯域の異なる2種以上の液体を均一に混
    合した混合液体を、含浸あるいは吸着させたことを特徴
    とする広帯域分散吸収型電波吸収体。
  35. 【請求項35】 厚さが20μm〜200mmで同一材質
    で一様に形成された同一種類の板状多孔質媒質に、電磁
    波の緩和型吸収帯域あるいは共鳴型吸収帯域の異なる化
    学的に均一な2種以上の液体を、各々含浸あるいは吸着
    させてなる電波吸収材料を2枚以上張り合わせたことを
    特徴とする広帯域分散吸収型電波吸収体。
  36. 【請求項36】 厚さが20μm〜200mmで同一材質
    で一様に形成された異なる種類の板状多孔質媒質に、電
    磁波の緩和型吸収帯域あるいは共鳴型吸収帯域の異なる
    化学的に均一な2種以上の液体を、各々含浸あるいは吸
    着させてなる電波吸収材料を2枚以上張り合わせたこと
    を特徴とする広帯域分散吸収型電波吸収体。
  37. 【請求項37】 厚さが20μm〜200mmで同一材質
    で一様に形成された同一種類の板状多孔質媒質に、電磁
    波の緩和型吸収帯域あるいは共鳴型吸収帯域の異なる2
    種以上の液体を均一に混合した混合液体を、含浸あるい
    は吸着させたことを特徴とする広帯域分散吸収型電波吸
    収体。
  38. 【請求項38】 厚さが20μm〜200mmで同一材質
    で一様に形成された異なる種類の板状多孔質媒質に、電
    磁波の緩和型吸収帯域あるいは共鳴型吸収帯域の異なる
    2種以上の液体を均一に混合した混合液体を、含浸ある
    いは吸着させてなる電波吸収材料を2枚以上張り合わせ
    たことを特徴とする広帯域分散吸収型電波吸収体。
  39. 【請求項39】 線状、円柱状、短冊状、直方体状を含
    み、最大長さが0.1μm〜20mmの大きさの粒子状多
    孔質媒質に、少なくとも有極性液体、電気伝導性液体の
    いずれかを含む液体を含浸あるいは吸着させてなる電波
    吸収材料にカーボン粒子あるいはフェライト粒子を混合
    したことを特徴とする電波吸収体。
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