JP2000250038A - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置

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JP2000250038A
JP2000250038A JP11048305A JP4830599A JP2000250038A JP 2000250038 A JP2000250038 A JP 2000250038A JP 11048305 A JP11048305 A JP 11048305A JP 4830599 A JP4830599 A JP 4830599A JP 2000250038 A JP2000250038 A JP 2000250038A
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compensation film
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JP11048305A
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Eiji Yoda
英二 依田
Yasushi Sato
康司 佐藤
Takehiro Toyooka
武裕 豊岡
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Eneos Corp
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Nippon Mitsubishi Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特定のツイステッドネマティック型駆動用液
晶セルと、特定の補償フィルムを組み合わせるノーマリ
ーブラックモードのツイステッドネマティック型液晶表
示装置の提供。 【解決手段】 光学的に正の一軸性を示す液晶が液晶状
態において形成したツイステッドネマティック配向を固
定化した補償フィルムを、駆動用液晶セルに組合せ、補
償フィルムの液晶層の屈折率△nフィルムと前記液晶層の厚
みdフィルムとの積△ndフィルム値を250nm〜500n
m、前記液晶層のツイスト角が80゜〜100゜とし、
駆動用液晶セルの液晶の屈折率異方性△nセルと液晶層の
厚みdセルとの積△ndセル値を300nm〜500nm、
かつツイスト角が80゜〜100゜とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示コントラス
ト、階調特性および表示色の視野角特性の改良されたノ
ーマリーブラックモードの液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】TFT素子あるいはMIM素子などを用
いたアクティブ駆動のツイステッドネマティック型液晶
表示装置(以下TN−LCDと略称する)は、薄型、軽
量、低消費電力というLCD本来の特長に加えて、正面
から見た場合CRTに匹敵する画質を有するために、ノ
ートパソコン、携帯用テレビ、携帯用情報端末などの表
示装置として広く普及している。しかしながら、従来の
ノーマリーホワイト型TN−LCD(NW−TN−LC
D)においては、液晶分子の持つ屈折率異方性のため斜
めから見たときに表示色が変化するあるいは表示コント
ラストが低下するという視野角の問題が本質的に避けら
れず、その改良が強く望まれており、改良のための様々
な試みがなされている。例えば、一つの画素を分割して
それぞれの画素への印可電圧を一定の比で変える方法
(ハーフトーンク゛レースケール法)、一つの画素を分割してそれぞれ
の画素での液晶分子の立ち上がり方向を変える方法(ト゛
メイン分割法)、液晶に横電界をかける方法(IPS法)、垂
直配向させた液晶を駆動する方法(VA液晶法)、あるい
はベンド配向セルと光学補償板を組み合わせる方法(OC
B法)などが提案され、開発・試作されている。しかし
ながら、これらの改良法はそれなりの効果を発揮するも
のの、配向膜、電極、液晶配向などを変えなければなら
ず、そのための製造技術の確立と製造設備の新設が必要
となり、結果として製造の困難さとコスト高を招いてい
る。
【0003】一方、TN−LCDの構造を一切変えず、
これに光学補償フィルムを組み込むことで視野角を拡大
させる方法がある。この方法はTN−LCD製造設備の
改良・増設が不要でコスト的に優れており、簡便に使用
できる利点があるため注目されており多くの提案があ
る。ノーマリーホワイト(NW)モードのTN−LCD
に視野角問題が発生する原因は、電圧を印可した黒表示
時のセル中の液晶の配向状態にある。黒表示時の液晶は
ほぼ垂直配向しており、光学的に正の一軸性となってい
る。したがって視野角を広げるための光学補償フィルム
としては、液晶セルの正の一軸性を補償するために、光
学的に負の一軸性を示すフィルムを用いる提案がなされ
ている。また、セル中の液晶が黒表示時においても配向
膜界面付近ではセル界面と平行もしくは傾いた配向をし
ていることに着目し、光学軸が傾いた負の一軸性のフィ
ルムを用いて補償することによって、さらに視野角拡大
効果を高める方法も提案されている。例えば、特開平4-
349424号公報、同6-250166号公報には、らせん軸が傾い
たコレステリックフィルムを用いた光学補償フィルム
と、それを用いたLCDが提案されている。しかしなが
ら、らせん軸が傾いたコレステリックフィルムを製造す
ることは困難であり、実際にこれら特許公報中にはらせ
ん軸を傾けるための方法がまったく記載されていない。
また特開平5-249547号公報、同6-331979号公報には、光
軸が傾いた負の一軸補償器を用いたLCDが提案されて
おり、具体的な実施様態としては多層薄膜補償器が使用
されている。さらに特開平7-146409号公報、同8-5837号
公報などにおいては、光軸が傾いた負の一軸性補償フィ
ルムとしてディスコチック液晶を傾斜配向させた光学補
償フィルムと、それを用いたLCDが提案されている。
しかしながら、ディスコチック液晶は化学構造が複雑で
あり、合成が煩雑であること等の理由から、当該フィル
ムの工業的製造には困難が伴い、結果的にコスト高とな
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこれら上記課
題を解決するものであり、特定のツイステッドネマティ
ック型駆動用液晶セルと、特定の補償フィルムを組み合
わせることにより、視認性に優れ、しかも視野角の広い
ノーマリーブラックモードのツイステッドネマティック
型液晶表示装置(NB−TN−LCD)を提供するもの
である。本発明はまた、ノーマリーブラックモードのツ
イステッドネマティック型液晶表示装置に使用して好適
な光学補償フィルムと、楕円偏向板を提供するものでも
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明に係る
ノーマリーブラックモード液晶表示装置は、光学的に正
の一軸性を示す液晶が液晶状態において形成したツイス
テッドネマティック配向を固定化した少なくとも1枚の
補償フィルムを、電極を備えた一対の透明基板とネマテ
ィック液晶とで構成される駆動用液晶セルと、当該液晶
セルを挟んで対向する2枚の偏向板との間に配置したツ
イステッドネマティック型液晶表示装置であって、前記
補償フィルムの液晶層の屈折率△nフィルムと前記液晶層の
厚みdフィ ルムとの積△ndフィルム値が250nm〜500n
mの範囲に、前記液晶層のツイスト角が80゜〜100
゜の範囲にあり、前記駆動用液晶セルの液晶の屈折率異
方性△nセルと液晶層の厚みdセルとの積△ndセル値が30
0nm〜500nmの範囲に、かつ、ツイスト角が80
゜〜100゜の範囲にあることを特徴とする。本発明に
係るノーマリーブラックモード液晶表示装置用補償フィ
ルムは、光学的に正の一軸性を示す液晶が液晶状態にお
いて形成したツイステッドネマティック配向を固定化し
た補償フィルムであって、前記補償フィルムの液晶層の
屈折率△nフィルムと前記液晶層の厚みdフィルムとの積△nd
フィルム値が、250nm〜500nmの範囲にあり、かつ
ツイスト角が80゜〜100゜の範囲にあることを特徴
とする。本発明の前記補償フィルムは、正の一軸性を示
す液晶性高分子を液晶状態においてツイステッドネマテ
ィック配向を形成せしめ、該配向状態を保持させたまま
液晶性高分子を冷却し、これをガラス化させて前記の配
向状態を固定化することで製造することができる。ま
た、正の一軸性を示す光硬化型液晶性低分子をツイステ
ッドネマティック配向させ、該配向状態を保持させたま
ま前記の液晶性低分子を光照射により硬化させることに
よっても本発明の補償フィルムを得ることができる。本
発明に係るノーマリーブラックモード液晶表示装置用楕
円偏光板は、前記補償フィルムの少なくとも1枚と、少
なくとも1枚の偏光板を積層させた構造にある。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳し
く説明する。本発明の液晶表示装置(NB−TN−LC
D)は、特定の補償フィルムと、特定の駆動用液晶セル
とを組み合わせているため、その視野角依存性は大幅に
低下している。ツイステッドネマティック型は駆動方式
で分類すれば、単純マトリクス方式、能動素子を電極と
して用いるTFT(Thin Film Trasis
tor)電極、MIM(Metal Insulator
Metal)あるいはTFD(Thin Film
Diode)電極を用いるアクティブマトリクス方式等
に細分化できるが、これらはいずれも本発明の液晶表示
装置に含まれる。駆動用液晶セル 本発明の液晶表示装置に使用される駆動用液晶セルは、
その屈折率異方性Δn セルと駆動用液晶セルの液晶層の厚
みdセルとの積、すなわち、Δndセル値が、通常300n
m〜500nm、好ましくは300nm〜450nmの
範囲にある。この値が500nmより大きいと本発明の
補償フィルムと組み合わせた場合でも視野角改善効果が
乏しく、着色が大きくなるため好ましくない。300n
mより小さいと本発明の補償フィルムと組み合わせた場
合、視野角の改善効果はあるものの正面の輝度、コント
ラストの低下を生じ好ましくない。一般にツイステッド
ネマティック型液晶表示装置の駆動用液晶セルは、セル
内のネマティック液晶の長軸が2枚の対向透明基板間で
およそ90゜ねじれており、液晶セルに電圧を印可しな
い状態では入射した直線偏光はその旋光性により90゜
ねじれて出射する。液晶セルに電圧を印可すると液晶分
子の長軸は電界方向に配向し旋光性は消失する。よって
この旋光の効果を十分に得るために、本発明の駆動用液
晶セルのツイスト角は80゜〜100゜の範囲にあるこ
とが好ましく、さらに好ましくは85゜〜95゜の範囲
にある。ツイスト方向は左および右のどちれらの方向で
あってもよい。補償フィルム 本発明の補償フィルムにおける液晶層は、その屈折率異
方性Δnフィルムと液晶層の厚みdフィルムとの積、すなわち、
Δndフィルム値が通常250nm〜500nm、好ましく
は270nm〜470nm、さらに好ましくは300n
m〜450nmの範囲にある。この値が500nmより
大きいと視野角改善効果が乏しく、着色が大きくなるた
め好ましくない。250nmより小さいと本発明の補償
フィルムと組み合わせた場合、視野角の改善効果はある
ものの、正面の輝度、コントラストの低下を生じ好まし
くない。本発明の補償フィルムのツイスト角は、通常8
0゜〜100゜、好ましくは83゜〜97゜、さらに好
ましくは85゜〜95゜の範囲にある。ツイスト角が8
0゜に満たない場合および100゜を越える場合、正面
のコントラストが低下する恐れがある。補償フィルムの
ツイスト方向は、駆動用液晶セルと逆方向であることが
好ましい。
【0007】上記補償フィルムを液晶表示装置(NB−
TN−LCD)に配置する際の諸条件ついて説明する。
補償フィルムは、駆動用液晶セルを挟んで対向する2枚
の偏光板と、駆動用液晶セルとの間に配置され、その配
置位置は液晶セルの上面側、下面側のどちらであっても
差し支えない。1枚の補償フィルムを駆動用液晶セルの
下面側に配置する場合、液晶セル下側界面のラビング方
向と、セル下側と向き合う補償フィルム面の液晶の遅相
軸とのなす角度が、通常80度〜100度、好ましくは
85度〜95度となるように、あるいは0度〜10度、
好ましくは0度〜5度となるように配置することにより
本発明の液晶表示装置の効果をより顕著に発現させるこ
とができる。一方、1枚の補償フィルムをセルの上面側
に配置する場合は、液晶セル上側界面のラビング方向
と、セル上側と向き合う補償フィルム面の液晶の遅相軸
とのなす角度が、通常80度〜100度、好ましくは8
5度〜95度となるように、あるいは−10度〜10
度、好ましくは−5度〜5度となるように配置すること
により本発明の液晶表示装置の効果をより顕著に発現さ
せることができる。なお、本発明の液晶表示装置(NB
−TN−LCD)にあっては、駆動用液晶セルの上下に
それぞれ1枚または2枚以上の補償フィルムを配置する
こともできれば、液晶セルの上側、下側いずれか一方に
2枚以上の補償フィルムを配置することもできるが、通
常は駆動用液晶セルの上下いずれか一方に、1枚の補償
フィルムを配置すれば、本発明の効果を顕著に発現する
させることが可能である。
【0008】次いで偏光板の配置について説明する。通
常、TN−LCDでは上下2枚の偏光板は、その透過軸
が互いに直交または平行になるよう配置される。上下偏
光板の透過軸が互いに直交するように配置する場合は、
それぞれの偏光板の透過軸と、それぞれの偏光板に近い
側の駆動用液晶セルのラビング方向とが直交、平行また
はに45度の角度をなすように配置される。本発明の液
晶表示装置においては、上記した配置を任意に選ぶこと
ができるが、さらに選択の範囲を広げることができ、具
体的には、上下偏光板の透過軸のなす角度は、通常80
度〜100度、好ましくは85度〜95度の範囲で、そ
れぞれの偏光板の透過軸とそれぞれの偏光板に近い側の
駆動用液晶セルのラビング方向のなす角は、通常80度
〜100度、好ましくは85度〜95度の範囲、または
0度〜10度、好ましくは0度〜5度の範囲で選ぶこと
ができる。
【0009】本発明の液晶表示装置(NB−TN−LC
D)は、上述のごとき特定のパラメーターを有する駆動
用液晶セル、補償フィルムを用い、かつ駆動用液晶セ
ル、補償フィルムおよび偏光板を特定の条件で配置した
ものである。また本発明の液晶表示装置(NB−TN−
LCD)に備えられる補償フィルムは光学的に正の一軸
性を示す液晶から形成されたものであれば、そのフィル
ム製法等に何ら限定されるものではなく、上述のごとき
パラメーターを有するものであれば如何なる製法で作製
されたフィルムであっても構わない。ここで本発明の液
晶表示装置(NB−TN−LCD)に用いられる、より
好適なノーマリーブラックモード液晶表示装置用補償フ
ィルム(以下、NBフィルムと略称する。)について説
明する。本発明のNBフィルムは、光学的に正の一軸性
を示す液晶、具体的には液晶性高分子材料または低分子
液晶材料を使用して製造することができる。何れの材料
を使用する場合でも、前記の液晶材料が液晶状態におい
て形成したツイステッドネマティック配向は固定化され
ている。ツイステッドネマティック配向の固形化には、
適宜の方法を採用することができる。液晶性高分子材料
を使用する場合、典型的には、材料を一旦ガラス転移点
温度(Tg)以上に加熱して液晶状態とし、ツインステ
ッドネマティック配向させた後、Tg以下の温度まで冷
却して前記の配向状態を固定化する方法が採用される。
また、低分子液晶材料を使用する場合は、材料を液晶状
態にして、ツインステッドネマティック配向を形成させ
た後、この配向状態を維持したまま光硬化させて前記配
向状態を固定する方法が採用される。
【0010】光学的に正の一軸性を示す液晶性高分子材
料とは、光学的に正の一軸性を示す液晶性高分子から少
なくとも構成され、この材料には必要に応じて、光学活
性基を有する低分子化合物および/または高分子化合物
を適宜混合することができる。本発明に用いられる液晶
性高分子は、Tg以上に加熱して液晶を形成させた際
に、ツイステッドネマティック相より低温域にスメクチ
ック相等の高次の液晶相や結晶相が存在せず、ガラス相
を有するものが望ましい。高次の液晶相や結晶相が存在
しても、ツイステッドネマティック相からの冷却時の温
度勾配を急にすれば、過冷却によりツイステッドネマテ
ィック配向を固定化することはできるが、条件によって
は一度得られた前記配向がスメクチック相等の高次の液
晶相で破壊させる恐れがある。本発明で使用可能は液晶
性高分子の具体例としては、例えば、ポリエステル、ポ
リアミド、ポリカーボネート、ポリエステルイミドなど
の主鎖型液晶ポリマー、あるいはポリアクリレート、ポ
リメタクリレート、ポリマロネート、ポリシロキサンな
どの側鎖型液晶ポリマーなどが挙げられる。なかでもツ
イステッドネマティック配向を形成する上で配向性が良
く、合成も比較的容易である液晶性ポリエステルが望ま
しい。上記ポリマーの構成単位は、特開平4−2291
7号公報に記載されているような芳香族あるいは脂肪族
ジオール単位、芳香族あるいは脂肪族ジカルボン酸単
位、芳香族あるいは脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位が
好ましい。液晶性高分子にツイステッドネマティック配
向を誘起させるためには、その液晶性高分子には少なく
とも1種類の光学活性基を含んでいることが好ましく、
含んでいない場合は光学活性基を有する低分子化合物お
よび/または高分子化合物を、液晶性高分子と併用する
ことが好ましい。ここで使用する光学活性基を有する低
分子化合物または高分子化合物は、それ自身の液晶性の
有無は問わない。光学活性基を有する低分子化合物に
は、例えば、特開平10−310612号公報に記され
ている化合物等を好適な例として挙げることができる。
また、当該化合物を構成単位として含む高分子化合物
は、光学活性基を有する高分子化合物の好適な一例であ
る。液晶性高分子が光学活性基を含んでいる場合、液晶
性高分子の構成単位の全モル数に占める光学活性基含有
構成単位のモル数の割合は、通常0.01〜40%、好
ましくは0.1〜30%、さらに好ましくは0.2〜2
0%、最も好ましくは0.4〜10%の範囲にある。
0.01%より少ないときはネマティック液晶に十分な
ねじれを与えることができない恐れがあり、また40%
より多い場合にはねじれを誘起する性質が強すぎ所望の
ねじれ角を得ることが困難となる恐れがある。液晶性高
分子の分子量の指標となる対数粘度は、例えば、フェノ
ール/テトラクロロエタンの60/40混合溶媒中で2
5℃にて測定して、通常0.05〜3.0、好ましくは
0.07〜2.0に範囲にある。この値が0.05より
も小さい液晶性高分子は、その機械的強度が小さい。ま
た、この値が3.0よりも大きい液晶性高分子は、液晶
配向過程での溶融粘度が高すぎるためにり配向性が低下
し、均一配向を形成したフィルムを得るために長時間の
配向処理を必要とする恐れがありプロセス上望ましくな
い。液晶性高分子のガラス転移温度Tgは配向固定化し
た後の配向の安定性に影響を及ぼす。本発明においては
Tgが、通常40℃〜180℃、好ましくは50℃〜1
50℃、さらに好ましくは60℃〜120℃の範囲にあ
る液晶性高分子を使用することが望ましい。
【0011】進んで、上に説明した液晶性高分子材料を
用いてNBフィルムを製造する工程を説明する。配向基板 液晶性高分子材料にツイステッドネマティック配向を形
成させるためには、配向規制力を有する配向基板を通常
使用する。具体的には、配向基板上に液晶性高分子材料
を塗布し、配向基板上に液晶性高分子材料の層を形成さ
せ、当該材料層の下面を配向基板に接触させ、上面は空
気界面とする方法を採用することができる。上下界面と
も配向基板に挟み込むことも可能ではあるが、必ずしも
そうする必要はない。配向基板は、液晶分子の基板界面
でのダイレクターを規定できるように、異方性を有して
いることが望ましい。配向基板が異方性を備えていない
場合には、所望のツイステッドネマティック配向を得る
ことができない恐れがある。本発明に用いることのでき
る配向基板の具体例には、ポリイミド、ポリアミドイミ
ド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエ
ーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルフ
ァイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポ
リフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイ
ド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセター
ル、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹
脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロー
ス系プラスチックス、エポキシ樹脂、フェノール樹脂な
どのプラスチックフィルム基板および一軸延伸プラスチ
ックフィルム基板、表面にスリット状の溝を付けたアル
ミ、鉄、銅などの金属基板、表面をスリット状にエッチ
ング加工したアルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、フリン
トガラスなどのガラス基板などが例示できる。このほ
か、上記プラスチックフィルム基板にラビング処理を施
したラビングプラスチックフィルム基板、ラビング処理
を施したプラスチック薄膜、例えばラビングポリイミド
膜、ラビングポリビニルアルコール膜などを有する各種
の基板、さらに酸化珪素の斜め蒸着膜などを有する各種
基板なども、配向基板に使用可能である。本発明に用い
て好適な配向基板としては、ラビングポリイミド膜を有
する各種基板、ラビングポリイミド基板、ラビングポリ
エーテルエーテルケトン基板、ラビングポリエーテルケ
トン基板、ラビングポリエーテルスルフォン基板、ラビ
ングポリフェニレンサルファイド基板、ラビングポリエ
チレンテレフタレート基板、ラビングポリエチレンナフ
タレート基板、ラビングポリアリレート基板、ラビング
セルロース系プラスチック基板等を挙げることができ
る。本発明のNBフィルムは、上記の如き配向基板上に
液晶性高分子材料を均一に塗布し、そのTg以上の温度
で均一なツイステッドネマティク配向を形成させ、次い
でその配向を固定化することで得ることができる。液晶
性高分子材料は、通常、溶媒に溶解した溶液状態または
溶融した溶融状態で配向基板に塗布される。製造プロセ
ス上、液晶性高分子材料を溶媒に溶解した溶液を用いて
塗布する溶液塗布が望ましい。溶液塗布 液晶性高分子材料を溶媒に溶解して所定濃度の溶液を調
製する。フィルムの膜厚(正の一軸性の液晶性高分子よ
り形成される層の膜厚)は、液晶性高分子材料を基板に
塗布する段階で決まるため、溶液の濃度、塗膜の膜厚な
どは精密に制御をする必要がある。前記溶媒の種類は、
これに溶解する液晶性高分子材料の種類や組成比等によ
って適宜選択されるが、通常は、クロロホルム、ジクロ
ロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロ
エタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、
クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼンなどのハロゲ
ン化炭化水素類、フェノール、パラクロロフェノールな
どのフェノール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メ
トキシベンゼン、1,2−ジメトキベンゼンなどの芳香
族炭化水素類、アセトン、酢酸エチル、tert−ブチ
ルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリ
エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチ
ルセルソルブ、ブチルセルソルブ、2−ピロリドン、N
−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、トリエチルアミ
ン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニト
リル、ブチロニトリル、二硫化炭素など、およびこれら
の混合溶媒、例えばハロゲン化炭化水素類とフェノール
類との混合溶媒などが使用される。溶液の濃度は、用い
る結晶性高分子材料の溶解性や所望するNBフィルムの
膜厚を考慮して選択される。通常は3〜50重量%、好
ましくは7〜30重量%の範囲で溶液濃度が選ばれる。
液晶性高分子材料の溶液には、界面活性剤等の添加剤を
本発明の効果を損なわない範囲で添加できる。液晶性高
分子材料の溶液は、スピンコート法、ロールコート法、
ダイコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテン
コート法等の適宜な方法で、配向基板上に塗布される。
塗布後、溶媒を除去し、配向基板上に膜厚の均一な液晶
性高分子材料の層を形成させる。溶媒除去条件は特に限
定されず、溶媒がおおむね除去でき、液晶性高分子材料
層が流動したり、流れ落ちたりさえしなければ良い。通
常、室温での乾燥、乾燥炉での乾燥、温風や熱風の吹き
付けなどを利用して溶媒を除去する。この塗布・乾燥工
程の段階は、基板上に均一に液晶性高分子材料の層を形
成させることが目的であり、該高分子材料は未だツイス
テッドネマティック配向を形成していない。次の熱処理
工程により、モノドメインなツイステッドネマティック
配向を完成させる。熱処理によってツイステッドネマテ
ィック配向を形成するにあたって、液晶性高分子材料の
粘性は、界面効果による配向を助ける意味で低い方が良
く、従って熱処理温度は高い方が望ましい。またツイス
ト角は、おおむね高分子材料に含まれる光学活性基の量
によって調整できるが、使用する液晶性高分子材料の種
類または組成等によっては、得られるツイスト角が熱処
理温度によっても異なることがある。この事情から、本
発明で規定する範囲のツイスト角を得るためには、熱処
理温度を加減調整する方法も採り得る。例えば、あるツ
イスト角を有するツイステッドネマティック配向を得る
ために比較的低い温度で熱処理を行う必要が生じた場
合、低い温度では液晶性高分子材料の粘性が高く、配向
に要する時間が長くなる。そのような場合には、一旦高
温で熱処理し、モノドメインな配向を得た後に、段階的
もしくは連続的に熱処理の温度を目的とする温度まで下
げる方法が有効となる。いずれにせよ、用いる高分子材
料の特性に従い、Tg以上の温度で熱処理することが好
ましい。熱処理温度は、通常50℃〜300℃、好まし
くは100℃〜260℃の範囲である。また配向基板上
において、液晶性高分子が十分な配向をするために必要
な熱処理時間は、用いる液晶性高分子の種類や熱処理温
度によって異なるが、通常10秒〜120分、好ましく
は20秒〜60分の範囲である。10秒より短い場合は
配向が不十分となる恐れがある。また120分より長い
場合は、生産性が低下する恐れがあり望ましくない。こ
のようにして、液晶状態で配向基板上全面にわたって均
一なツイステッドネマティック配向を得ることができ
る。なお、本発明においては上記の熱処理工程におい
て、液晶性高分子をツイステッドネマティック配向させ
るために磁場や電場を利用することもできる。しかし、
熱処理しつつ磁場や電場を印加した場合、印加中は均一
な場の力が液晶性高分子に働くために、該液晶のダイレ
クターは一定の方向を向きやすくなる。すなわち、本発
明の如くダイレクターがフィルムの膜厚方向によって異
なる角度を形成しているツイステッドネマティック配向
は得られ難くなる。一旦ツイステッドネマティック配向
以外、例えばねじれのないネマティック配向またはそれ
以外の配向を形成させた後、場の力を取り除けば熱的に
安定なツイステッドネマティック配向を得ることもでき
るが、プロセス上特にメリットはない。こうして液晶性
高分子の液晶状態において形成したツイステッドネマテ
ィック配向を、次に該液晶性高分子の液晶転移点以下の
温度に冷却することにより、該配向の均一性を損なわず
に固定化する。一般的にネマティック相より低温部にス
メクチック相または結晶相を持っている液晶性高分子を
用いた場合、液晶状態におけるネマティック配向は冷却
することによって壊れてしまう恐れがある。しかしなが
ら、 ネマティック相を示す温度領域より下の温度において
スメクチック相または結晶相を全く有しない、 潜在的に結晶相またはスメクチック相を有していても
冷却時にはスメクチック相または結晶相が現れない、 NBフィルムの使用温度範囲において流動性がなく外
場や外力を加えても配向形態が変化しない、 といった性質を有する液晶性高分子を使用すれば、スメ
クチック相あるいは結晶相への相転移による配向形態の
破壊は起こらず、完全にモノドメインなツイステッドネ
マティック配向を固定化することができる。上記冷却温
度は、液晶転移点以下の温度であれば特に制限はない。
たとえば液晶転移点より10℃低い温度に冷却すること
により、均一なツイステッドネマティック配向を固定化
することができる。冷却の手段は、特に制限はなく、熱
処理工程における加熱雰囲気中から液晶転移点以下の雰
囲気中、例えば室温中に出すだけで固定化される。ま
た、生産の効率を高めるために、空冷、水冷などの強制
冷却、徐冷を行ってもよい。但し、液晶性高分子の種類
によっては、冷却速度によって得られるツイスト角が若
干変化することがある。このような液晶性高分子を使用
し、厳密にツイスト角を制御する必要が生じた際には、
冷却操作も適宜冷却条件を考慮して行うことが望まし
い。このようにして配向基板上に形成したツイステッド
ネマティック配向を固定化した液晶性高分子の層は、そ
のままの形態でNBフィルムとして用いることもできる
が、配向基板としてラビングポリイミドフィルムやラビ
ングポリエチレンテレフタレートフィルム等の光学的に
等方でない、あるいは可視光波長域において不透明なフ
ィルムを用いた場合には、液晶性高分子層のみを光学的
に実質上透明、等方なフィルムあるいは基板上に転写す
る。転写する方法として具体的には、例えば液晶性高分
子層に接着剤を塗布し、光学的に実質上透明、等方なフ
ィルムをラミネートした後接着剤を硬化し、該フィルム
積層体から配向基板を剥離することで液晶性高分子層の
みを転写できる。このような目的に用いることが出来る
透明かつ等方なフィルムとしては、例えばフジタック
(富士写真フィルム製)、コニカタック(コニカ製)な
どのトリアセチルセルロースフィルム、TPXフィルム
(三菱化成製)、アートンフィルム(日本合成ゴム
製)、ゼオネックスフィルム(日本ゼオン製)、アクリ
プレンフィルム(三菱レーヨン製)等が挙げられる。あ
るいは同様の操作によりガラス基板などに液晶層を転写
しても良い。配向基板として実質上透明かつ等方なフィ
ルムあるいは基板を用いた場合には、このような転写操
作は必ずしも必要ではないが、NBフィルムに要求され
る光学特性、あるいはフィルムとしての信頼性を考慮し
て転写を行った方が好ましい場合もあるので、その要求
に応じて転写等の操作を行うことが推奨される。
【0012】次に、本発明のNBフィルムは、光学的に
正の一軸性を示す低分子液晶材料を使用して本発明のN
Bフィルムを製造する場合について説明する。ここで言
う低分子液晶材料とは、光学的に正の一軸性を示す液晶
性低分子から少なくとも構成され、この液晶性低分子
は、後述する光照射により重合・硬化可能なアクリル
基、メタクリル基、ビニル基、アリル基、エポキシ基、
フタルイミド基等の光反応性基を含有する。さらにこの
材料には必要に応じて、光学活性基を有する低分子化合
物および/または高分子化合物を混合することができ
る。液晶性低分子としては、例えば、ビフェニル誘導
体、フェニルベンゾエート誘導体、スチルベン誘導体な
どを基本骨格としたものが挙げられる。具体的な構造と
しては、特開平2−6927号などに示されている液晶
性低分子等を例示することができる。液晶性低分子は、
ライオトロピック性またはサーモトロピック性のどちら
を用いることができるが、サーモトロピック性を示すも
のがフィルム化プロセスなどの面でより好適である。ま
た、ツイステッドネマティック配向を誘起させるため
に、その結晶性低分子子には少なくとも1種類の光学活
性基を含んでいることが好ましく、含んでいない場合は
光学活性基を有する低分子化合物および/または高分子
化合物を、液晶性低分子と併用することが好ましい。こ
こで使用する光学活性基を有する低分子化合物および/
または高分子化合物は、それ自身の液晶性の有無は問わ
ない。低分子液晶材料に占める光重合性基の量は、光重
合性基等量として、通常0.005〜20mmol、好
ましくは0.01〜5mmol、さらに好ましくは0.
1〜3mmolである。0.005mmolより少ない
場合、ツイステッドネマティック配向させた後の光硬化
が十分に行われず固定化できない可能性があり、また2
0mmolよりも多い場合には材料の保存安定性に乏し
くなる恐れがある。また、低分子液晶材料に占める光学
活性基の割合は、低分子液晶材料全体のモル%で、通常
0.01〜40%、好ましくは0.1〜30%、さらに
好ましくは0.2〜20%、最も好ましくは0.4〜1
0%の範囲である。0.01%より少ないときはネマテ
ィック液晶に十分なねじれを与えることが出来ず、また
40%より多い場合には所望のツイスト角を得ることが
困難となる。低分子液晶材料には、その光硬化を容易に
するため、光反応開始剤を適宜添加しても構わない。光
反応開始剤の添加量は、低分子材料の通常0.01〜2
0重量%、好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ま
しくは0.5〜5重量%である。光反応開始剤として
は、当該分野で公知である例えばベンジル、ベンゾイン
エーテル、ミヒラーケトン、アントラキノン、アセトフ
ェノン、ベンゾフェノン、ビイミダゾール、トリアジ
ン、チオキサントン、アシルホスフィンオキシド等の各
種誘導体やジアリールヨードニウム塩、トリアリールス
ルホニウム塩、スルホン酸エステル等の1種または2種
以上を混合して用いることができ、配向固定化の際に配
向破壊等の弊害が起きないものであれば特に限定される
ものではない。光反応開始剤の他に増感剤を、本発明の
効果を損なわない範囲で適宜添加することも可能であ
る。また、光反応開始剤を全く用いずにEB(電子ビー
ム)を照射することにより硬化させても何ら構わない。
【0013】進んで、上に説明した低分子液晶材料を用
いてNBフィルムを製造する工程を説明する。配向基板 低分子液晶材料にツイステッドネマティック配向を形成
させるためには、配向規制力を有する配向基板を通常使
用する。具体的には、配向基板上に低分子液晶材料を塗
布し、配向基板上に低分子液晶材料層を形成させ、当該
材料層の下面を配向基板に接触させ、上面は空気界面と
する方法を採用することができる。上下界面とも配向基
板に挟み込むことも可能ではある。配向基板としては、
前述の液晶性高分子材料を用いる場合と同様な液晶配向
用基板が使用できる。例えば、ポリイミド、ポリアミド
イミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテ
ルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサ
ルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォ
ン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキ
サイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタ
ール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹
脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロー
ス、トリアセチルセルロースおよびその部分鹸化物、エ
ポキシ樹脂、フェノール樹脂などからなるプラスチック
フィルム基板などを用いることができる。これらフィル
ム基板は、必要に応じて一軸または二軸延伸操作を適宜
加えたものであっても構わない。また基板表面を親水化
処理や疎水化処理等の表面処理を施したものであっても
構わない。また配向基板としては、2種以上のフィルム
基板を積層してなる積層フィルムを配向基板として用い
ても構わない。さらに上記フィルム基板以外に、表面に
スリット状の溝をつけたアルミ、鉄、銅などの金属基
板、表面をスリット状にエッチング加工したアルカリガ
ラス、ホウ珪酸ガラス、フリントガラスなどのガラス基
板等を用いることもできる。このほか、本発明において
は上記プラスチックフィルム基板にラビング処理を施し
たラビングプラスチックフィルム基板、ラビング処理を
施したプラスチック薄膜、例えばラビングポリイミド
膜、ラビングポリビニルアルコール膜などを有する上記
各種基板、さらに酸化珪素の斜め蒸着膜などを有する上
記各種基板なども用いることができる。本発明に用いて
好適な配向基板としては、ラビングポリイミド膜を有す
る各種基板、ラビングポリイミド基板、ラビングポリエ
ーテルエーテルケトン基板、ラビングポリエーテルケト
ン基板、ラビングポリエーテルスルフォン基板、ラビン
グポリフェニレンサルファイド基板、ラビングポリエチ
レンテレフタレート基板、ラビングポリエチレンナフタ
レート基板、ラビングポリアリレート基板、ラビングセ
ルロース系プラスチック基板等を挙げることができる。
低分子液晶材料を使用する場合、その種類及び/又は組
成にもよるが、液晶を配向させる際に、高分子材料ほど
高い温度を必要としないことがある。このような低分子
液晶材料を用いる場合、配向基板としてトリアセチルセ
ルロースフィルムを用いることが望ましい。トリアセチ
ルセルロースフィルムは、光学的に十分な透明性・等方
性を有することから、所望のツイステッドネマティック
配向を固定化した後、そのままNBフィルムとして本発
明の液晶表示装置(NB−TN−LCD)に供すること
ができる。配向基板としてトリアセチルセルロースフィ
ルムを用いる場合、特に表面処理等を行わずに用いるこ
ともできるが、例えば表面鹸化処理、コロナ放電処理、
UV−オゾン処理等の表面処理を適宜施したものであっ
てもよい。またトリアセチルセルロースフィルムは、そ
れ自身高い配向能を有するものではあるが、例えば該フ
ィルムの表面に直接ラビング処理等を施してもよい。さ
らにポリイミドやポリビニルアルコール等の配向膜をト
リアセチルセルロースフィルム上に形成して用いても構
わない。この場合、トリアセチルセルロースフィルムと
配向膜との間にゼラチン層等の易接着層を設ける等によ
って、当該フィルムと配向膜との密着力の改善をはかる
ことができる。本発明のNBフィルムは、上記の如き配
向基板上に低分子液晶材料を均一に塗布し、次いで均一
配向形成工程、配向固定化工程(光硬化工程)を経て得
ることがでっきる。低分子液晶材料の配向基板への塗布
は、通常、低分子液晶材料を溶媒に溶解した溶液状態
で、またはこれをそのまま溶融した溶融状態で行うこと
ができる。製造プロセス上、溶液状態で塗布することが
望ましい。溶液塗布 低分子液晶材料を溶媒に溶かし、所定濃度の溶液を調製
する。フィルムの膜厚(正の一軸性の液晶性低分子で形
成される層の膜厚)は、低分子液晶材料を基板に塗布す
る段階で決まるため、溶液の濃度、塗膜の膜厚などは精
密に制御する必要がある。溶媒としては、これに溶かす
低分子液晶材料の種類及び/又は組成によって適宜選択
されるが、通常は、クロロホルム、ジクロロメタン、四
塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリ
クロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼ
ン、オルソジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素
類、フェノール、パラクロロフェノールなどのフェノー
ル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼ
ン、1,2−ジメトキベンゼンなどの芳香族炭化水素
類、アセトン、酢酸エチル、tert−ブチルアルコー
ル、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレング
リコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジ
エチレングリコールジメチルエーテル、エチルセルソル
ブ、ブチルセルソルブ、2−ピロリドン、N−メチル−
2−ピロリドン、ピリジン、トリエチルアミン、テトラ
ヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ブチ
ロニトリル、二硫化炭素など、およびこれらの混合溶
媒、例えばハロゲン化炭化水素類とフェノール類との混
合溶媒などが使用される。溶液の濃度は、用いる低分子
液晶材料の溶解性や所望するNBフィルムの膜厚を考慮
して選択される。通常は3〜50重量%、好ましくは7
〜30重量%の範囲で選ばれる。この溶液には、界面活
性剤等の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で適宜
配合できる。上記のようにして調製された溶液は、スピ
ンコート法、ロールコート法、ダイコート法、プリント
法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法等の任意の方法
で配向基板上に塗布される。塗布後は溶媒を除去し、配
向基板上に膜厚の均一な低分子液晶材料の層を形成させ
る。溶媒除去条件は特に限定されず、溶媒がおおむね除
去でき、低分子液晶材料の層が流動したり、流れ落ちた
りさえしなければよい。通常、室温での乾燥、乾燥炉で
の乾燥、温風や熱風の吹き付けなどを利用して溶媒を除
去する。この塗布・乾燥工程は、基板上に均一に低分子
液晶材料の層を形成させることに、主たる目的がある
が、低分子液晶材料の種類及び/又は組成によっては、
溶剤が除去される温度でサーモトロピックに、または溶
剤が除去される過程においてライオトロピックに配向
し、これ以上の配向処理を必要としない場合もある。す
なわち溶媒除去後に、目的とするツイステッドネマティ
ック配向が完了していることがある。本発明では、この
段階で後述の光硬化工程に供しても構わないが、液晶性
低分子化合物の配向をより均一に形成させる目的でさら
に熱処理をおこなった後に光硬化工程に供することもで
きる。熱処理は、液晶性低分子の液晶転移点以上でおこ
なうことが望ましい。具体的には、液晶性低分子を液晶
状態にして所望の配向を形成させるか、または、一旦液
晶相を呈する温度範囲よりもさらに高温の等方性液体状
態にした後、液晶相を呈する温度範囲にまで温度を下げ
ることによって配向させる方法等を採用することができ
る。さらに液晶相を呈する温度範囲内で適宜温度を変化
させ、所望のツイステッドネマティック配向を形成させ
る方法も採用することができる。具体的には、同じネマ
ティック相を呈する温度範囲内で、高温で熱処理し液晶
をおおかた配向させた後、温度を下げることによって液
晶配向の秩序度を増す方法、またはアイソトロピック相
を呈する温度で熱処理した後に温度を下げてネマティッ
ク相の液晶相で配向させる方法などが挙げられる。熱処
理温度は、使用した低分子液晶材料の種類及び/又は組
成にもよるが、通常40〜220℃、好ましくは50〜
180℃、さらに好ましくは60〜160℃の範囲で適
宜選択される。また液晶性低分子が十分な配向を形成す
るために必要な時間は、液晶性低分子材料の種類及び/
又は組成を勘案して適宜調節されるが、通常5秒〜2時
間、好ましくは10秒〜40分,さらに好ましくは20
秒〜20分の範囲である。5秒より短い場合、該液晶性
低分子層の温度が所定温度まで上がりきらず配向不十分
となる恐れがある。また2時間より長い場合には、生産
性が低下するので望ましくない。溶媒乾燥除去後または
熱処理後、光照射により液晶性低分子を硬化させ、液晶
性低分子が形成したツイステッドネマティック配向を固
定化する。光照射に用いられる光の波長は特に限定され
ず、電子線、紫外線、可視光線、赤外線(熱線)を必要
に応じて用いることができる。通常、紫外線または可視
光線で、波長150〜500nm、好ましくは250〜
450nm、さらに好ましくは300〜400nmの照
射光が好適に用いられる。光源としては、低圧水銀ラン
プ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライ
ト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライ
ドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ラ
ンプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)などが挙
げられる。なかでもメタルハライドランプやキセノンラ
ンプ、高圧水銀ランプ灯からの紫外線や可視光線が最も
一般的であり、本発明にも好適に用いることができる。
尚、これらの光源と被照射体(液晶性低分子層)との間
にフィルター等を設置して特定の波長領域を露遮するこ
とにより、照射光源の波長領域を選択して光硬化をおこ
なってもよい。光源から照射する光の量は,液晶性低分
子の種類(組成比など)や光反応開始剤の添加量などに
もよるため一概には言えないが,通常2〜5000mJ
/cm2,好ましくは10〜3000mJ/cm2,さ
らに好ましくは100〜2000mJ/cm2の範囲で
ある。光照射を行う温度については、液晶性低分子の液
晶相挙動や流動性、硬化性などに強く影響されるため一
概には言えないが、通常0〜200℃、好ましくは20
〜180℃、さらに好ましくは25〜160℃の範囲で
ある。但し、例えば室温付近の低温領域にスメクチック
相や結晶相などの高次相を持ち、さらにその上の温度領
域にネマティック相の領域を持つような液晶性低分子
を、ネマティック相の状態で光硬化により固定化する場
合には、高次相−ネマティック相の相転移点以上の温度
で光照射を行わなければならない場合等もあり得る。ま
た光照射に供する前段階、例えば熱処理によって液晶性
低分子を配向形成した後、一旦冷却されることによって
ネマティック相が過冷却により固定化されることもあ
る。このような状態では液晶相がガラス化されて流動性
に乏しく硬化速度が遅くなることも起こりうるが、上記
温度条件を高温側に設定して光照射することにより、す
なわち液晶性低分子に熱を加え、液晶に再度流動性を持
たせ後に光照射を行うといった方法等を採用することに
より短時間で光硬化を進行させることができる。さらに
光照射は一定の温度条件下で行う必然性はない。例えば
加熱下で光照射をおこなった後、冷却し、再度光照射を
行うこともできる。このように異なる温度条件下におい
て数回に分けて光照射をおこなう方法等を採用すること
によって、より光反応の反応率を向上させることができ
る。光照射雰囲気は、液晶性低分子の硬化性、光反応開
始剤の種類、照射光の強度、光照射温度等の様々な要因
により一概に言えないが、例えば液晶性低分子層の硬化
阻害、配向破壊、着色、またオゾン発生等起こりうる場
合には、例えば窒素ガス雰囲気下で光照射をおこなうこ
とが望ましい。または最終的に得られるNBフィルムの
効果を損なわない範囲において、適当なカバーフィル
ム、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリ
エチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフ
ァイドフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリカーボ
ネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ
酢酸ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロ
ピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビ
ニリデンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフ
ィルム、ポリエチレン−酢酸ビニル共押し出しフィルム
等で被硬化物(液晶性低分子層)表面を覆い光照射する
こともできる。このように配向、固定化(光硬化)され
た液晶性低分子の層は、光照射の後、さらに熱処理を行
い未反応部位をさらに反応させる、いわゆるエージング
を行っても構わない。以上の如くして得られた液晶性低
分子の層は、そのままの形態でNBフィルムとして用い
ても構わないが、前述の液晶性高分子を用いた場合と同
様、配向固定化された液晶層のみを光学的に実質上透
明、等方なフィルムあるいは基板上に転写して用いても
よい。転写する方法として具体的には、例えば液晶層に
接着剤を塗布し、光学的に実質上透明、等方なフィルム
をラミネートした後、接着剤を硬化し、該フィルム積層
体から配向基板を剥離することで液晶層のみを転写する
ことができる。このようなフィルム、基板としては、例
えばフジタック(富士写真フィルム製)、コニカタック
(コニカ製)などのトリアセチルセルロースフィルム、
TPXフィルム(三菱化成製)、アートンフィルム(日
本合成ゴム製)、ゼオネックスフィルム(日本ゼオン
製)、アクリプレンフィルム(三菱レーヨン製)等が挙
げられる。あるいは同様の操作によりガラス基板などに
液晶層を転写しても良い。配向基板として先に説明した
ようにトリアセチルセルロースフィルム等のように実質
上透明かつ等方なフィルムあるいは基板を用いた場合に
はこのような転写操作は必ずしも必要ではないが、NB
フィルムに要求される光学特性、あるいはフィルムとし
ての信頼性を考慮して転写を行った方が好ましい場合も
あるので、その要求に応じて転写等の操作を行うことが
推奨される。これまでフィルム材料として液晶性高分子
および液晶性低分子を用いたNBフィルムの製法につい
て説明したが、さらに表面保護、強度増加、環境信頼性
向上などを目的として透明プラスチックフィルムなどの
保護層をNBフィルムに設けることもできる。保護層と
しては光学性質上、例えばポリメタクリレート、ポリカ
ーボネート、ポリビニルアルコール、ポリエーテルスル
フォン、ポリスルフォン、ポリアリレート、ポリイミ
ド、アモルファスポリオレフィン、トリアセチルセルロ
ースなどのプラスチック基板が挙げられ、これら基板を
光学グレードの接着剤または粘着剤を介してNBフィル
ムに貼り合わせて用いることもできる。このようなNB
フィルムを駆動用液晶セルと偏光板の間に配置すること
により、視認性に優れ、かつ視野角改良されたノーマリ
ーブラックモードのツイステッドネマティック型液晶表
示装置を得ることができる。また必要に応じて例えばポ
リカーボネート、ポリメタクリレート等からなる位相差
フィルムや、入射光を等方的または異方的に拡散させる
光拡散層等を本発明の液晶表示装置(NB−TN−LC
D)に配置することもできる。
【0014】
【実施例】以下に実施例を述べるが、本発明はこれらに
制限されるものではない。実施例1 テレフタル酸50mmol、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸50mmol、メチルヒドロキノンジアセテート
40mmol、カテコールジアセテート62mmol、
およびN−メチルイミダゾール60mgを用いて窒素雰
囲気下、270℃で12時間重合を行った。次に得られ
た反応生成物をテトラクロロエタンに溶解したのち、メ
タノールで再沈殿を行って精製し、液晶性ポリエステル
14.7gを得た。この液晶性ポリエステルの対数粘度
は0.17、液晶相としてネマティック相をもち、等方
相−液晶相転移温度は250℃以上、ガラス転移点は1
15℃であった(ポリマー1)。ビフェニルジカルボニ
ルクロリド90mmol、テレフタロイルクロリド10
mmol、2R,3R−ジメトキシブタンジオール10
5mmolをジクロロメタン中で室温にて20時間反応
させ、反応液をメタノール中に投入し再沈殿させること
により液晶性ポリエステル12.3gを得た(ポリマー
2)。ポリマー2の対数粘度は0.11、室温でキラル
スメクチック相を示し、アイソトロピック転移温度は4
0〜50℃の間であった。またTgは室温付近と思わ
れ、DSCによる測定では観測できなかった。ポリマー
1の19.3gとポリマー2の0.7gを80gのフェ
ノール/テトラクロロエタン混合溶媒(6/4重量比)
に溶解させ溶液を調製した。この溶液を、レーヨン布に
てラビング処理したポリイミドフィルム(デュポン製、
商品名カプトン)上に、バーコート法により塗布し、乾
燥し、240℃で30分熱処理したのち、室温下で冷却
・固定化し、実膜厚2.15μmの均一に配向したフィ
ルムを得た(サンプル1)。なお実膜厚は触針式膜厚計
をもちいて測定した。まず、サンプル1の液晶の屈折率
を測定するため以下の実験を行った。屈折率の測定に当
たってはアッベ屈折計(アタゴ(株)製Type−4)
を用いた。屈折計のプリズム面にポリイミド基板が接す
るように置き、液晶フィルムの基板界面側が空気界面側
より下にくるように配置した場合、フィルム面内の屈折
率には異方性が有りラビング方向に垂直な面内の屈折率
は1.55、平行な面内の屈折率は1.75であり、膜
厚方向の屈折率は試料の方向によらず1.55で一定で
あった。このことから、ガラス基板側では棒状の液晶分
子が基板に対して、かつラビング方向に平行に平面配向
しており、液晶のno,neはそれぞれ1.55、1.
75であることが分かった。次に屈折率計のプリズム面
にサンプル1の空気界面側が接するように配置した場
合、面内の屈折率はラビング方向に平行な方向が1.5
5、垂直な方向が1.75になり、膜厚方向の屈折率は
試料の方向によらず1.55で一定であった。このこと
から、ポリマー分子は基板界面、空気界面ともおおかた
ホモジニアス配向しており、かつ基板界面側と空気界面
側では棒状の液晶分子がフィルム面内でほぼ90度ねじ
れている様子が確認された。サンプル1は不透明かつ光
学的に異方性のあるポリイミドフィルム上に形成されて
いるため、このままでは光学補償用途としては使用でき
ない。このため、サンプル1の空気界面側にUV硬化型
接着剤(UV−3400、東亞合成製)を約5μmの厚
みに塗布し、この上にコーニング社製白板ガラス(厚さ
1.1mm)をラミネートし、約600mJのUV照射
により該接着剤を硬化させた。こののち、ガラス/接着
剤/液晶層/ポリイミドフィルムが一体となった積層体
からポリイミドフィルムを剥離することにより、液晶層
を光学的に実質上等方な支持体の上に転写した。得られ
た補償フィルム(サンプル1’)の偏光解析をおこなっ
てこのフィルムの△ndとねじれ角を測定したところ、
それぞれ430nmと90度(右ねじれ)の値が得られ
た。実施例2 蒸留精製したテトラヒドロフラン溶媒中、4−(6−ア
クリロイロキシヘキシルオキシ)安息香酸151.3g
(518mmol)、2,6−ジターシャリブチル−4
−メチルフェノール1.5g、ジイソプロピルエチルア
ミン70.1g(543mmol)、メタンスルホニル
クロリド62.1g(543mmol)を反応させ、該
カルボン酸のメタンスルホン酸無水物を合成し、ついで
メチルヒドロキノン29.87g(246mmol)と
のエステル化反応を行うことによりメチルヒドロキノン
ビス(4−(6−アクリロイロキシオヘキシルオキ
シ)安息香酸)エステル(化合物1)を粗生成物として
得た。該粗生成物を酢酸エチル/メタノールにより再結
晶することによりメチルヒドロキノン ビス(4−(6
−アクリロイロキシオヘキシルオキシ)安息香酸)エス
テル146.9gを白色結晶として得た。化合物1のG
PCによる純度は98.7%であった。GPCは溶出溶
媒としてテトラヒドロフランを用い、高速GPC用充填
カラム(TSKgel G−1000HXL)を装着し
た東ソー製GPC分析装置CCP&8000(CP−8
000、CO−8000、UV−8000)により行っ
た。また、化合物1を偏光顕微鏡下メトラーホットステ
ージで観察すると、室温では結晶相、85℃付近でネマ
ティック相に転移し、さらに加熱すると115℃付近で
等方相となった。同様の手法を用い、2,3−ジメチル
ヒドロキノン ビス(4−(11−アクリロイロキシウ
ンデシルオキシ)安息香酸)エステル(化合物2)を得
た。化合物2のGPCによる純度は99.3%であっ
た。同様の手法を用い、2−クロロヒドロキノン ビス
(−)−(4−(2−エチルヘキシル)安息香酸)エス
テル(化合物3)を得た。化合物3の旋光計による測定
では右旋性を有していた。このようにして得た化合物1
を6.5g,化合物2を2.913g、化合物3を0.
587g量り取り、メトキシプロピルアセテート90g
に溶解した。該溶液にフッ素系界面活性剤S−383
(旭硝子製)、光反応開始剤イルガキュアー907(チ
バガイギー製) 0.3g、増感剤ジエチルチオキサン
トン0.1gを添加した。表面をコロナ処理したトリア
セチルセルロースフィルム(フジタック、UVD−8
0)上に、ゼラチン層を介してポリビニルアルコール
(クラレポバールMP−203)を0.2μmの厚みに
均一塗布、乾燥した表面をレーヨン布によりラビング処
理した配向基板に該溶液をバーコーターを用いて塗布し
た。塗布後、該フィルムの裏面を青板ガラス基板貼りつ
け、該ガラス−フィルム一体品を80℃に設定したホッ
トプレートに載せて20分乾燥を行った。乾燥後液晶層
はすでにネマティック配向が完了していた。その後、フ
ィルムがガラス基板に密着した状態で50℃に設定した
オーブンに投入し、2〜3分間雰囲気を酸素濃度が25
0ppm以下になるまで窒素置換しながらオーブン設定
温度まで放冷してからその温度にてUV照射を行った。
UV光源としては高圧水銀灯を使用し、照射強度は12
0W/cm2で、照射時間15秒の間の積算照射量は1
260mJであった。照射後、液晶層が光硬化されたフ
ィルム(サンプル2)を得た。サンプル2の表面硬度は
鉛筆硬度にして2H程度であった。またサンプル2の薄
膜干渉法による実膜厚は3.11μmであった。サンプ
ル2の液晶の屈折率を測定するため以下の実験を行っ
た。サンプル2の材料である液晶性組成物を用いて、同
様な条件でラビングポリイミド膜を有する高屈折率ガラ
ス基板(屈折率は1.84)上に配向・固定化してフィ
ルムを作製した。このフィルムを用いて屈折率測定を行
った。屈折計のプリズム面にガラス基板が接するように
置き、フィルムの基板界面側が空気界面側より下にくる
ように配置した場合、フィルム面内の屈折率には異方性
が有り、ラビング方向に垂直な面内の屈折率は1.5
3、平行な面内の屈折率は1.67であり、膜厚方向の
屈折率は試料の方向によらず1.53で一定であった。
このことから、ガラス基板側では棒状の液晶分子が基板
に対して、かつラビング軸に対して平行に平面配向して
いることが分かった。これより液晶層のno,neはそ
れぞれ1.53、1.67であることがわかった。サン
プル2の△ndとねじれ角を偏光解析により測定したと
ころ、それぞれ435nmと90度(右ねじれ)の値が
得られた。参考例1 実施例2で用いた、化合物1を6.5g,化合物2を
2.796g、化合物3を0.704g量り取り、メト
キシプロピルアセテート90gに溶解した。該溶液にフ
ッ素系界面活性剤S−383(旭硝子製)、光反応開始
剤イルガキュアー907(チバガイギー製) 0.3
g、増感剤ジエチルチオキサントン0.1gを添加し、
参考例2と同様にトリアセチルセルロースフィルム上に
液晶層を形成、固定化してサンプル3を得た。サンプル
3の薄膜干渉法による実膜厚は3.11μmであった。
サンプル3の液晶の屈折率は、実施例2と同様の測定の
結果、no,neはそれぞれ1.53、1.67である
ことがわかった。サンプル3に対して偏光解析をおこな
ってこのフィルムの△ndとねじれ角を測定したとこ
ろ、それぞれ435nmと105度(右ねじれ)の値が
得られた。実施例3 実施例1で作製した補償フィルム(サンプル1)1枚を
TNセルの上に配置し、これを上下2枚の偏光板で挟
み、図1に示す構成の液晶表示装置を作成した。使用し
たTNセルは、液晶材料としてZLI-4792(△n=0.0
98)を用い、セルパラメーターはセルギャップ4.4
μm、△nd=431nm、ツイスト角90度(左ねじ
れ)、プレチルト角3度であった。この液晶表示装置に
おける軸配置は、図2に示すとおりである。すなわち、
下側偏光板の透過軸は45度、TNセルの下側透明基板
のラビング方向は−45度、上側透明基板のラビング方
向は45度、補償フィルムの下側軸は135度、上側軸
は45度、そして、上側偏光板の透過軸は135度であ
る。上記の液晶表示装置に対して、300Hzの矩形波で
電圧を印可した。黒表示0V、白表示6Vの透過率の比
(白表示/黒表示)をコントラスト比として、全方位か
らの等コントラスト比を、浜松ホトニクス(株)製FF
P光学系DVS−3000を用いて測定し、等コントラ
スト曲線を描いた。また、トプコン社製色彩輝度系BM
−5を用いて上下方向、左右方向の視野角40度におい
て、階調反転の有無を測定した(0V〜6Vまでを8階
調に区切り、各階調の輝度を測定)。得られた結果を表
1に示す。実施例4 実施例2で作製した補償フィルム(サンプル2)1枚を
実施例3と同様にTNセルの上側に配置し、これを上下
2枚の偏光板で挟み、図1に示す構成の液晶表示装置を
作成した。使用したTNセルは、液晶材料としてDLC-63
001(ロディック社製、△n=0.093)を用い、セル
パラメーターはセルギャップ4.7μm、△nd=437
nm、ツイスト角90度(左ねじれ)、プレチルト角4度
であった。この液晶表示装置における軸配置は、実施例
3と同様とした。当該液晶表示装置に対して、実施例3
と同様に300Hzの矩形波で電圧を印可し、黒表示0
V、白表示6Vの透過率の比(白表示/黒表示)をコン
トラスト比として、全方位からの等コントラスト比を測
定して等コントラスト曲線を描いた。また、上下方向、
左右方向の視野角40度において、階調反転の有無を測
定した。得られた結果を表1に示す。実施例5 液晶表示装置における軸配置は、図3に示すとおりに変
更した以外は、実施例3と全く同様な液晶表示装置を作
成した。この液晶表示装置の軸配置は、次のとおりであ
る。 下側偏光板の透過軸 45度、 TNセルの下側透明基板のラビング方向 −45度、 上側透明基板のラビング方向 45度、 補償フィルムの下側軸 45度、 上側軸 135度、 上側偏光板の透過軸 135度、 上記の液晶表示装置に関して実施例3と全く同様な条件
で等コントラスト曲線を描き、視野角40度の階調反転
の有無を測定した。その結果を表1に示した。比較例1 補償フィルムを使用しなかった以外は実施例4と同様な
液晶表示装置を作成し、黒表示6V、白表示0Vにした
以外は、実施例4と同じ条件で当該液晶表示装置の性能
を評価した。その結果を表1に示す。比較例2 実施例4で用いた補償フィルム(サンプル2)の代わり
に、参考例1にて作成した補償フィルム(サンプル3)
を用いた以外は実施例4と同様にして液晶表示装置を作
成し、実施例4と同じ条件で当該液晶表示装置の性能を
評価した。その結果を表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】なお、表中の上下は液晶表示装置を平面に
置いた場合のy軸方向を指し、左右はx軸方向を指す。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3で作成して液晶表示装置の構成を示す
断面図である。
【図2】図1に示す液晶表示装置を構成する偏光板、T
Nセル及び補償フィルムの軸配置を示す説明図であっ
て、(a)は下側偏光板を、(b)はTNセルを、(c)は補償
フィルムを、(d)は上側偏光板を示す。
【図3】実施例5作成して液晶表示装置を構成する偏光
板、TNセル及び補償フィルムの軸配置を示す説明図で
あって、(a)は下側偏光板を、(b)はTNセルを、(c)は
補償フィルムを、(d)は上側偏光板を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 豊岡 武裕 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日本石 油株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 2H091 FA08X FA08Z FA11X FC12 FC22 FC23 FD08 FD09 GA01 GA06 HA07 JA02 KA02 KA03 KA05 LA17 LA19

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的に正の一軸性を示す液晶が液晶状
    態において形成したツイステッドネマティック配向を固
    定化した少なくとも1枚の補償フィルムを、電極を備え
    た一対の透明基板とネマティック液晶とで構成される駆
    動用液晶セルと、当該液晶セルを挟んで対向する2枚の
    偏光板との間に配置したツイステッドネマティック型液
    晶表示装置であって、前記補償フィルムの液晶層の屈折
    率△n フィルムと前記液晶層の厚みdフィルムとの積△ndフィルム
    の値が250nm〜500nmの範囲にあり、前記液晶
    層のツイスト角が80゜〜100゜の範囲にあり、前記
    駆動用液晶セルの液晶の屈折率異方性△nセルと液晶層の
    厚みdセルとの積△ndセルの値が300nm〜500nm
    の範囲にあり、かつツイスト角が80゜〜100゜の範
    囲にあることを特徴とするノーマリーブラックモード液
    晶表示装置。
  2. 【請求項2】 光学的に正の一軸性を示す液晶が液晶状
    態において形成したツイステッドネマティック配向を固
    定化した補償フィルムであって、前記補償フィルムの液
    晶層の屈折率△nフィルムと前記液晶層の厚みdフィルムとの積
    △ndフィルムの値が250nm〜500nmの範囲にあ
    り、ツイスト角が80゜〜100゜の範囲にある少なく
    とも1層の液晶層から構成されていることを特徴とする
    請求項1記載の液晶表示装置に備えられるノーマリーブ
    ラックモード液晶表示装置用補償フィルム。
  3. 【請求項3】 前記補償フィルムが、光学的に正の一軸
    性を示す液晶性高分子を、液晶状態においてツイステッ
    ドネマティック配向させた後、そのまま冷却してガラス
    化させ、前記の配向状態を固定化した液晶性高分子層か
    ら少なくとも構成されることを特徴とする請求項2に記
    載のノーマリーブラックモード液晶表示装置用補償フィ
    ルム。
  4. 【請求項4】 前記補償フィルムが、光学的に正の一軸
    性を示す光硬化型液晶性低分子をツイステッドネマティ
    ック配向させ、配向後、光照射により前記の配向状態を
    固定化した液晶性低分子層から少なくとも構成されるこ
    とを特徴とする請求項2に記載のノーマリーブラックモ
    ード液晶表示装置用補償フィルム。
  5. 【請求項5】 請求項2、3および4記載の補償フィル
    ムと偏光板とから少なくとも構成されることを特徴とす
    るノーマリーブラックモード液晶表示装置用楕円偏光
    板。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102929040A (zh) * 2012-11-23 2013-02-13 亚世光电股份有限公司 蓝色画面fstn液晶显示器及其制造工艺
CN103105700A (zh) * 2013-01-30 2013-05-15 江苏亿成光电科技有限公司 一种液晶显示器

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CN102929040A (zh) * 2012-11-23 2013-02-13 亚世光电股份有限公司 蓝色画面fstn液晶显示器及其制造工艺
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