JP2000249790A - 放射性汚染物の磁気揺動除染方法とその装置 - Google Patents
放射性汚染物の磁気揺動除染方法とその装置Info
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- JP2000249790A JP2000249790A JP11099228A JP9922899A JP2000249790A JP 2000249790 A JP2000249790 A JP 2000249790A JP 11099228 A JP11099228 A JP 11099228A JP 9922899 A JP9922899 A JP 9922899A JP 2000249790 A JP2000249790 A JP 2000249790A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】原子力施設から発生する放射性汚染物の除染処
理における作業効率、除染効率、二次廃棄物、周辺必要
設備、経済性などの問題をかかえた従来の方法に対し、
本発明は磁気揺動を利用する研磨除染法を提供すること
が目的である。 【解決手段】本発明は、磁気揺動処理を利用する放射性
汚染物の除染方法ならびに装置に関する。本発明は、エ
ッチング液を含浸した強力な研削力をもつ磁性研磨材を
外部磁界の磁力によって除染対象物の放射性汚染が存在
している部位に存在させ、外部磁界の磁極を周期的に変
動して汚染部位を表面から強力にブラッシングし研磨す
る。この磁性研磨材の汚染部位表面でのブラッシング運
動と共存するエッチング液の相乗効果により、頑固な放
射性汚染物の場合でも高い効率で除染される。本発明
は、従来の方法では除染処理が困難であった加圧水型原
子炉の蒸気発生器のような大型汚染物や強固な放射性汚
染物に対しても高い効率で除染する能力がある。
理における作業効率、除染効率、二次廃棄物、周辺必要
設備、経済性などの問題をかかえた従来の方法に対し、
本発明は磁気揺動を利用する研磨除染法を提供すること
が目的である。 【解決手段】本発明は、磁気揺動処理を利用する放射性
汚染物の除染方法ならびに装置に関する。本発明は、エ
ッチング液を含浸した強力な研削力をもつ磁性研磨材を
外部磁界の磁力によって除染対象物の放射性汚染が存在
している部位に存在させ、外部磁界の磁極を周期的に変
動して汚染部位を表面から強力にブラッシングし研磨す
る。この磁性研磨材の汚染部位表面でのブラッシング運
動と共存するエッチング液の相乗効果により、頑固な放
射性汚染物の場合でも高い効率で除染される。本発明
は、従来の方法では除染処理が困難であった加圧水型原
子炉の蒸気発生器のような大型汚染物や強固な放射性汚
染物に対しても高い効率で除染する能力がある。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射性汚染物や廃
棄物の放射性汚染物質の除去を目的とし、放射性元素に
より表面汚染している放射性汚染物の汚染を、図1に示
した原理によって、外部磁界の磁極の変動によって酸な
どのエッチング溶解液を含有する磁性研磨材を放射性汚
染物の汚染表面で揺動させる方法、あるいは磁性研磨材
としてエッチング液を含浸保持した研削材含有多孔質磁
性研磨材を放射性汚染物の汚染表面で揺動させる方法に
より放射性汚染物の除染処理において、磁気揺動処理を
特徴とする方法とその装置に関するものである。
棄物の放射性汚染物質の除去を目的とし、放射性元素に
より表面汚染している放射性汚染物の汚染を、図1に示
した原理によって、外部磁界の磁極の変動によって酸な
どのエッチング溶解液を含有する磁性研磨材を放射性汚
染物の汚染表面で揺動させる方法、あるいは磁性研磨材
としてエッチング液を含浸保持した研削材含有多孔質磁
性研磨材を放射性汚染物の汚染表面で揺動させる方法に
より放射性汚染物の除染処理において、磁気揺動処理を
特徴とする方法とその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、原子力産業分野において、放
射性物質で汚染された物品や機器設備、あるいは廃棄物
などの放射性汚染物から放射性汚染物質を効果的に除染
することは重要な課題となっている。放射性物質が機器
設備や配管などに収着(吸収/付着/沈着)することに
より、放射汚染部位が形成されるが、そのほとんどの汚
染部位は当該表面層(表面酸化層/母材最表面層)であ
ることが明らかとなっている。このような放射性汚染を
除染する方法として、従来より多くの技術が提案され検
討されており、まず湿式法としては、化学薬剤を用いて
汚染表面をエッチングする化学除染法や電解研磨法ある
いはエッチング液を共存させた状態で金ブラシや砥粒等
でブラッシングする方法など、次に乾式法としては、表
面の汚染層を機械的に研削する機械研磨法、レーザーア
ブレーション法、サンドブラスト法、あるいは気相化学
反応による汚染性放射性元素のガス化除染法、化学反応
性プラズマ除染法、などそのいずれもが表面性汚染の除
染方法としてそれらの装置も含め数多く開発されてい
る。
射性物質で汚染された物品や機器設備、あるいは廃棄物
などの放射性汚染物から放射性汚染物質を効果的に除染
することは重要な課題となっている。放射性物質が機器
設備や配管などに収着(吸収/付着/沈着)することに
より、放射汚染部位が形成されるが、そのほとんどの汚
染部位は当該表面層(表面酸化層/母材最表面層)であ
ることが明らかとなっている。このような放射性汚染を
除染する方法として、従来より多くの技術が提案され検
討されており、まず湿式法としては、化学薬剤を用いて
汚染表面をエッチングする化学除染法や電解研磨法ある
いはエッチング液を共存させた状態で金ブラシや砥粒等
でブラッシングする方法など、次に乾式法としては、表
面の汚染層を機械的に研削する機械研磨法、レーザーア
ブレーション法、サンドブラスト法、あるいは気相化学
反応による汚染性放射性元素のガス化除染法、化学反応
性プラズマ除染法、などそのいずれもが表面性汚染の除
染方法としてそれらの装置も含め数多く開発されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとしている課題】しかし、上記した
従来の方法では実用性、除染効率、作業安全性、除染設
備などの点で問題があり、例えば一般的に行われている
放射性汚染物を酸などのエッチング液で処理する化学除
染法の場合、解体された汚染物や細い汚染配管などのよ
うに小さなサイズの汚染物については除染効率や作業性
などの点では比較的問題は少ないが、機器設備が非解体
状態の場合や対象汚染物が大型の場合にはその作業効
率、除染効率、作業に伴って発生する二次廃棄物、廃液
処理等の周辺必要設備などの点で問題がある。これは、
例えば、大きなタンク内部壁面を除染しようとする場合
に、そのタンク内部に化学エッチング薬剤を満たし(フ
ィル)、エッチング薬剤を汚染壁面に接触させて汚染物
質を溶解させ、その処理後にタンクを空にし(ドレ
ン)、除染効率が低い場合はこの処理を何度も繰り返す
フィルアンドドレン方式と呼ばれる方法が行われる。放
射性汚染物の汚染部位は壁面であるため、その汚染物が
大型で容積が大きいほど、あるいは容積に対して表面積
が小さい場合などは、このようなフィルアンドドレン方
式では効率が非常に悪い。しかも、化学除染の場合に
は、その除染効率を向上させるためにそのエッチング液
を撹拌したり高温に加温する必要があるが、技術的、設
備的、経済的に問題がある。さらに放射性物質が存在す
る汚染面が化学除染液で溶解することが困難な強固な錆
などで覆われている場合は、その除染効率は期待できな
いなどの問題があった。
従来の方法では実用性、除染効率、作業安全性、除染設
備などの点で問題があり、例えば一般的に行われている
放射性汚染物を酸などのエッチング液で処理する化学除
染法の場合、解体された汚染物や細い汚染配管などのよ
うに小さなサイズの汚染物については除染効率や作業性
などの点では比較的問題は少ないが、機器設備が非解体
状態の場合や対象汚染物が大型の場合にはその作業効
率、除染効率、作業に伴って発生する二次廃棄物、廃液
処理等の周辺必要設備などの点で問題がある。これは、
例えば、大きなタンク内部壁面を除染しようとする場合
に、そのタンク内部に化学エッチング薬剤を満たし(フ
ィル)、エッチング薬剤を汚染壁面に接触させて汚染物
質を溶解させ、その処理後にタンクを空にし(ドレ
ン)、除染効率が低い場合はこの処理を何度も繰り返す
フィルアンドドレン方式と呼ばれる方法が行われる。放
射性汚染物の汚染部位は壁面であるため、その汚染物が
大型で容積が大きいほど、あるいは容積に対して表面積
が小さい場合などは、このようなフィルアンドドレン方
式では効率が非常に悪い。しかも、化学除染の場合に
は、その除染効率を向上させるためにそのエッチング液
を撹拌したり高温に加温する必要があるが、技術的、設
備的、経済的に問題がある。さらに放射性物質が存在す
る汚染面が化学除染液で溶解することが困難な強固な錆
などで覆われている場合は、その除染効率は期待できな
いなどの問題があった。
【0004】そこで、本発明は、従来の方法の問題を解
決するべく、エッチング液を共存させた磁性研磨材を放
射性汚染物の汚染表面で外部磁石を用いて揺動させるこ
とによって効率的な除染処理が可能となる、放射性汚染
物の除染方法とその装置を提供することを目的としてい
る。
決するべく、エッチング液を共存させた磁性研磨材を放
射性汚染物の汚染表面で外部磁石を用いて揺動させるこ
とによって効率的な除染処理が可能となる、放射性汚染
物の除染方法とその装置を提供することを目的としてい
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、エッチング液
を含浸した強力な研削力をもつ磁性研磨材を外部磁界の
磁力によって除染対象物の放射性汚染が存在している部
位にのみ存在させ、外部磁界の磁極を周期的に変動して
汚染部位を表面から強力にブラッシングする。この磁性
研磨材の汚染部位表面でのブラッシング運動と共存する
エッチング液の相乗効果により、例えば強固な錆などの
内部や金属母材表面層に拡散した放射性汚染物質でもそ
の汚染部位は高い効率で除染される。図2に示すよう
に、本発明によれば、放射性汚染が存在している部位に
のみ研磨材とエッチング液を存在させることが可能とな
り、余分な化学除染液は不要で、しかも高い除染効率が
期待できる高い研削力を有する研磨材を必要最小量使用
すれば良いため、二次廃棄物の発生の低減、除染作業の
効率化に伴う作業者の被曝低減、磁性研磨材やエッチン
グ液等の除染用物品の使用量が少ないことに伴う廃液処
理や最終廃棄物処理等の周辺設備機器が小さくて済むこ
となど、経済的効果も大きい。さらに、磁界が届く部分
ならば磁石から離れた場所でも磁気揺動除染が可能であ
るため、これまで困難とされてきた加圧水型原子炉蒸気
発生器などの多管式熱交換用配管内部汚染の場合でも図
3に示した方式によって効率よく除染できる。
を含浸した強力な研削力をもつ磁性研磨材を外部磁界の
磁力によって除染対象物の放射性汚染が存在している部
位にのみ存在させ、外部磁界の磁極を周期的に変動して
汚染部位を表面から強力にブラッシングする。この磁性
研磨材の汚染部位表面でのブラッシング運動と共存する
エッチング液の相乗効果により、例えば強固な錆などの
内部や金属母材表面層に拡散した放射性汚染物質でもそ
の汚染部位は高い効率で除染される。図2に示すよう
に、本発明によれば、放射性汚染が存在している部位に
のみ研磨材とエッチング液を存在させることが可能とな
り、余分な化学除染液は不要で、しかも高い除染効率が
期待できる高い研削力を有する研磨材を必要最小量使用
すれば良いため、二次廃棄物の発生の低減、除染作業の
効率化に伴う作業者の被曝低減、磁性研磨材やエッチン
グ液等の除染用物品の使用量が少ないことに伴う廃液処
理や最終廃棄物処理等の周辺設備機器が小さくて済むこ
となど、経済的効果も大きい。さらに、磁界が届く部分
ならば磁石から離れた場所でも磁気揺動除染が可能であ
るため、これまで困難とされてきた加圧水型原子炉蒸気
発生器などの多管式熱交換用配管内部汚染の場合でも図
3に示した方式によって効率よく除染できる。
【0006】
【実施例】
【実施例1】空気中で長時間500℃の高温雰囲気に置
かれた約5cm角のステンレス板(SUS304)表面
に強固な酸化被膜が発生し、その酸化層及び母材表面層
に約500Bqのコバルト60が存在している汚染試料
を使い、本発明の磁気揺動処理による除染効果を調べ
た。汚染試料と磁性研磨材20g、さらにエッチング液
として硫酸(1モル溶液)、硝酸(1モル溶液)、ある
いは硝酸(1モル)と塩酸(0.4モル)の混合液をそ
れぞれ20mlずつ密閉型の除染容器に入れ、約300
0〜4000ガウスの磁力を有する複数個のネオジム系
永久磁石を磁極を互い違いに配置したモータードライブ
方式の装置を用いて、磁極変動周波数最大50ヘルツの
条件で常温30分間磁気揺動処理した。その処理前後の
γ計測値の差から除染率を求めた。この結果、処理前に
約500Bqあったコバルト60は、処理後は検出限界
値(0.05Bq)以下、汚染の除去率99.99%以
上(除染効率:DF10000以上)となり完全に汚染
試料は除染され、その汚染材料は非放射性物質となっ
た。この結果は、上記の3種類のエッチング液の種類に
係わらず同等であった。さらに、同様に空気中で長時間
700℃の高温雰囲気に置かれた上記の汚染試料よりさ
らに強固な酸化層を有する汚染試料を使い、上記と同様
の磁気揺動処理による除染処理を行った場合も上記とほ
ぼ同等の結果が得られた。なお、上記の除染処理で磁気
揺動処理を行わないエッチング液に浸漬するだけの化学
除染の場合には、コバルト60除去率は52〜63%
(除染効率:DF2.1〜2.7)であった。この結果
より、高い除染効率が得られる磁気揺動処理を用いる本
発明の有効性が判断できる。
かれた約5cm角のステンレス板(SUS304)表面
に強固な酸化被膜が発生し、その酸化層及び母材表面層
に約500Bqのコバルト60が存在している汚染試料
を使い、本発明の磁気揺動処理による除染効果を調べ
た。汚染試料と磁性研磨材20g、さらにエッチング液
として硫酸(1モル溶液)、硝酸(1モル溶液)、ある
いは硝酸(1モル)と塩酸(0.4モル)の混合液をそ
れぞれ20mlずつ密閉型の除染容器に入れ、約300
0〜4000ガウスの磁力を有する複数個のネオジム系
永久磁石を磁極を互い違いに配置したモータードライブ
方式の装置を用いて、磁極変動周波数最大50ヘルツの
条件で常温30分間磁気揺動処理した。その処理前後の
γ計測値の差から除染率を求めた。この結果、処理前に
約500Bqあったコバルト60は、処理後は検出限界
値(0.05Bq)以下、汚染の除去率99.99%以
上(除染効率:DF10000以上)となり完全に汚染
試料は除染され、その汚染材料は非放射性物質となっ
た。この結果は、上記の3種類のエッチング液の種類に
係わらず同等であった。さらに、同様に空気中で長時間
700℃の高温雰囲気に置かれた上記の汚染試料よりさ
らに強固な酸化層を有する汚染試料を使い、上記と同様
の磁気揺動処理による除染処理を行った場合も上記とほ
ぼ同等の結果が得られた。なお、上記の除染処理で磁気
揺動処理を行わないエッチング液に浸漬するだけの化学
除染の場合には、コバルト60除去率は52〜63%
(除染効率:DF2.1〜2.7)であった。この結果
より、高い除染効率が得られる磁気揺動処理を用いる本
発明の有効性が判断できる。
【0007】
【実施例2】次に、空気中で長時間500〜700℃の
高温雰囲気に置かれた内径約2cm、長さ30cmのス
テンレス管(SUS316)の内表面に強固な酸化被膜
が発生し、その内面酸化層中に約500Bqのコバルト
60が存在している汚染試料を使い、本発明の磁気揺動
処理による除染効果を調べた。汚染試料内部に磁性研磨
材10g、さらにエッチング液として硫酸(1モル溶
液)、硝酸(1モル溶液)、あるいは硝酸(1モル)と
塩酸(0.4モル)の混合液をそれぞれ10mlずつ入
れ、約3000〜4000ガウスの磁力を有するネオジ
ム系永久磁石を複数個配置したモータードライブ方式の
装置を用いて、磁極変動周波数最大50ヘルツの条件で
常温30分間磁気揺動処理した。その処理前後のγ計測
値の差から除染率を求めた。この結果、処理前に約50
0Bqあったパイプ内部のコバルト60は、処理後は検
出限界値(0.05Bq)以下、汚染の除去率99.9
9%以上(除染効率:DF10000以上)となり完全
に汚染試料は除染され、その汚染材料は非放射性物質と
なった。この結果は、上記の3種類のエッチング液の種
類に係わらず同等であった。なお、上記の除染処理で磁
気揺動処理を行わないエッチング液に浸漬するだけの化
学除染の場合には、コバルト60除去率は23〜37%
(除染効率:DF1.3〜1.6)と極めて低かった。
高温雰囲気に置かれた内径約2cm、長さ30cmのス
テンレス管(SUS316)の内表面に強固な酸化被膜
が発生し、その内面酸化層中に約500Bqのコバルト
60が存在している汚染試料を使い、本発明の磁気揺動
処理による除染効果を調べた。汚染試料内部に磁性研磨
材10g、さらにエッチング液として硫酸(1モル溶
液)、硝酸(1モル溶液)、あるいは硝酸(1モル)と
塩酸(0.4モル)の混合液をそれぞれ10mlずつ入
れ、約3000〜4000ガウスの磁力を有するネオジ
ム系永久磁石を複数個配置したモータードライブ方式の
装置を用いて、磁極変動周波数最大50ヘルツの条件で
常温30分間磁気揺動処理した。その処理前後のγ計測
値の差から除染率を求めた。この結果、処理前に約50
0Bqあったパイプ内部のコバルト60は、処理後は検
出限界値(0.05Bq)以下、汚染の除去率99.9
9%以上(除染効率:DF10000以上)となり完全
に汚染試料は除染され、その汚染材料は非放射性物質と
なった。この結果は、上記の3種類のエッチング液の種
類に係わらず同等であった。なお、上記の除染処理で磁
気揺動処理を行わないエッチング液に浸漬するだけの化
学除染の場合には、コバルト60除去率は23〜37%
(除染効率:DF1.3〜1.6)と極めて低かった。
【0008】
【実施例3】さらに、熱交換機の多数本から構成される
加圧水型蒸気発生器に想定し、上記パイプ状の汚染試料
を20本用い、これを5本ずつ4段にスペーサーを介し
て重ねたパイプ状汚染物の束を作り、そのステンレス管
の全てに上記と同様の磁性研磨材とエッチング液を入
れ、上記と同様の磁気揺動除染処理を行った。この結
果、外部磁界から離れた位置の汚染試料の除染効率は多
少低かったものの、全体に高い除染効率が得られた。加
圧水型原子炉の多数本の管束から構成される蒸気発生器
の除染に本発明が有効である。
加圧水型蒸気発生器に想定し、上記パイプ状の汚染試料
を20本用い、これを5本ずつ4段にスペーサーを介し
て重ねたパイプ状汚染物の束を作り、そのステンレス管
の全てに上記と同様の磁性研磨材とエッチング液を入
れ、上記と同様の磁気揺動除染処理を行った。この結
果、外部磁界から離れた位置の汚染試料の除染効率は多
少低かったものの、全体に高い除染効率が得られた。加
圧水型原子炉の多数本の管束から構成される蒸気発生器
の除染に本発明が有効である。
【0009】
【実施例4】次に、大径配管やタンクを想定した試験を
行った。直径5mの曲率を有する厚み3mmのステンレ
ス壁面(SUS304)の一部が約6cm角の範囲で約
1000Bqのコバルト60で汚染している部分を、硝
酸(1モル)と塩酸(0.4モル)の混合エッチング液
を含浸した研削材含有多孔質磁性研磨材20gを用い、
4つの磁極から構成される1kW電磁石をステンレス壁
面の外部に配置し、この外部磁界の磁極変動周波数10
〜30ヘルツで磁気揺動研磨除染処理を行った。処理は
常温で行ったが、この結果、汚染物を貼り付けた曲率を
有するステンレス容器の外側直近に外部磁界を配置すれ
ば、その汚染物が側面であろうが上面であろうがその位
置に関係なく磁性研磨材の脱落や含浸したエッチング液
の研磨材からの分離などは起こらず、しかも汚染の除去
率99.99%以上(除染効率:DF10000以上)
の高い除染効果があることが明らかとなった。この現象
や除染効率結果からも、本発明が大径配管や大型タンク
の壁面の放射性物質による汚染の除染に有効である。
行った。直径5mの曲率を有する厚み3mmのステンレ
ス壁面(SUS304)の一部が約6cm角の範囲で約
1000Bqのコバルト60で汚染している部分を、硝
酸(1モル)と塩酸(0.4モル)の混合エッチング液
を含浸した研削材含有多孔質磁性研磨材20gを用い、
4つの磁極から構成される1kW電磁石をステンレス壁
面の外部に配置し、この外部磁界の磁極変動周波数10
〜30ヘルツで磁気揺動研磨除染処理を行った。処理は
常温で行ったが、この結果、汚染物を貼り付けた曲率を
有するステンレス容器の外側直近に外部磁界を配置すれ
ば、その汚染物が側面であろうが上面であろうがその位
置に関係なく磁性研磨材の脱落や含浸したエッチング液
の研磨材からの分離などは起こらず、しかも汚染の除去
率99.99%以上(除染効率:DF10000以上)
の高い除染効果があることが明らかとなった。この現象
や除染効率結果からも、本発明が大径配管や大型タンク
の壁面の放射性物質による汚染の除染に有効である。
【0010】
【発明の効果】本発明は、エッチング液を含浸した強力
な研削力をもつ磁性研磨材を外部磁界の磁力によって汚
染部位表面でのブラッシング運動と共存するエッチング
液の相乗効果により、従来の除染方法では除染処理が不
可能であった汚染物や高い除染効率が得られない放射性
汚染物に対しても高い効率で除染する能力がある。本発
明によれば、放射性汚染が存在している部位にのみ研磨
材とエッチング液を存在させるため、余分な化学除染液
は不要で、しかも高い除染効率が期待できる高い研削力
を有する研磨材を必要最小量使用すれば良いため、二次
廃棄物の発生の低減、除染作業の効率化や原子力施設の
供用中除染処理によって作業者の被曝低減、磁性研磨材
やエッチング液等の除染用物品の使用量が少ないことに
伴う廃液処理や最終廃棄物処理等の周辺設備機器が小さ
くて済むことなど、経済的効果も大きい。
な研削力をもつ磁性研磨材を外部磁界の磁力によって汚
染部位表面でのブラッシング運動と共存するエッチング
液の相乗効果により、従来の除染方法では除染処理が不
可能であった汚染物や高い除染効率が得られない放射性
汚染物に対しても高い効率で除染する能力がある。本発
明によれば、放射性汚染が存在している部位にのみ研磨
材とエッチング液を存在させるため、余分な化学除染液
は不要で、しかも高い除染効率が期待できる高い研削力
を有する研磨材を必要最小量使用すれば良いため、二次
廃棄物の発生の低減、除染作業の効率化や原子力施設の
供用中除染処理によって作業者の被曝低減、磁性研磨材
やエッチング液等の除染用物品の使用量が少ないことに
伴う廃液処理や最終廃棄物処理等の周辺設備機器が小さ
くて済むことなど、経済的効果も大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による磁気揺動研磨除染の原理を示す図
である。
である。
【図2】本発明による電磁石を用いた大径配管や大型タ
ンクの内面汚染の除染処理を示す説明図である。
ンクの内面汚染の除染処理を示す説明図である。
【図3】本発明による電磁石を用いた加圧水炉型原子炉
の蒸気発生器(PWR−SG)の熱交換管束の内面汚染
の除染処理を示す説明図である。
の蒸気発生器(PWR−SG)の熱交換管束の内面汚染
の除染処理を示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸祭 智 茨城県水戸市堀町1044 株式会社化研内 (72)発明者 野口 恒行 茨城県水戸市堀町1044 株式会社化研内 (72)発明者 西川 元之 東京都千代田区大手町1丁目6番1号 原 電事業株式会社内
Claims (20)
- 【請求項1】放射性元素により表面汚染している放射性
汚染物の汚染部分を、外部磁界の磁極の変動により水や
酸などのエッチング液を含有する磁性研磨材をその汚染
表面で揺動させ研磨することを特徴とする放射性汚染物
の磁気揺動除染方法。 - 【請求項2】磁性研磨材として、磁性を有する短径で短
長のステンレスワイヤを用いることを特徴とする前記請
求項1記載の放射性汚染物の磁気揺動除染方法。 - 【請求項3】磁性研磨材として、研削材含有磁性研磨材
を用いることを特徴とする前記請求項1記載の放射性汚
染物の磁気揺動除染方法。 - 【請求項4】磁性研磨材として、エッチング液の含有保
持力の高い多孔質磁性研磨材を用いることを特徴とする
前記請求項1記載の放射性汚染物の磁気揺動除染方法。 - 【請求項5】磁性研磨材を揺動させるための外部磁界の
磁極を変動させるための磁石として永久磁石を用いる場
合は、多数の磁石の磁極を適宜反転配置したものをモー
ターや磁気カップリングで回転を与え伝えて磁極を切り
換える方式を特徴とする請求項1記載の放射能汚染物の
磁気揺動除染方法。 - 【請求項6】磁性研磨材を揺動させるための外部磁界の
磁極を変動させるための磁石として電磁石を用いる場合
は、複数のコイルを除染対象物の廻りに配置してそれぞ
れの磁極を電気回路で切り換える方式を特徴とする請求
項1記載の放射能汚染物の磁気揺動除染方法。 - 【請求項7】放射性汚染物が、非解体状態の加圧水型原
子炉の蒸気発生器であり、その多数の熱交換用配管中の
全てに前記請求項2〜4記載の磁性研磨材を挿入した状
態に、エッチング液を外部から注入、補充、循環させた
状態で、周期的にN極とS極に変化する磁界を外部から
与えることで、熱交換器配管内部の磁性体に揺動を与え
て処理する方式を特徴とする多管式熱交換用配管内部汚
染表面の磁気揺動除染方法。 - 【請求項8】放射性汚染物が、放射性物質取り扱い施設
から発生する各種放射性汚染物、あるいは非解体状態の
汚染機器設備や配管、さらに原子炉一次系配管や放射性
廃液の貯蔵タンク等の大型構造物であり、その内部に前
記請求項2〜4記載の磁性研磨材がエッチング液を保持
した状態で、周期的にN極とS極に変化する磁界を外部
から与えることで内部の磁性体に揺動を与えて処理する
方式を特徴とする前記請求項1記載の放射性汚染物の磁
気揺動除染方法。 - 【請求項9】前記請求項1〜8に示した放射性汚染物の
除染処理を行う際、前記請求項2〜4記載の磁性研磨材
を除染すべき部分に移動させる場合、ならびに除染処理
した後に磁性研磨材を回収する場合、あるいは除染処理
後に磁性研磨材の再利用を目的として放射能を含むエッ
チング液を分離する場合において、外部磁界を利用して
内部の磁性研磨材を所定の位置へ移動し分離する方法。 - 【請求項10】前記請求項1〜8に示した放射性汚染物
の除染処理を行う際、前記請求項2〜4記載の磁性研磨
材による除染処理を行った後、磁性研磨材の再利用の目
的、ならびに放射能を含むエッチング液を処理する目的
で、磁性研磨材とエッチング液を分離する場合におい
て、磁性フィルタを利用することを特徴とする磁性研磨
材とエッチング液の分離回収方法。 - 【請求項11】前記請求項7及び8記載の大型構造物等
の除染を目的として、その放射性汚染部分を少量の磁性
研磨材で広い範囲の除染処理を行うために、外部の磁石
ワークを移動させる方式を特徴とする放射能汚染物の磁
気揺動除染方法。 - 【請求項12】作業者の放射線被曝を低減する目的で、
原子力施設の供用中に行う前記請求項1〜11記載の磁
気揺動除染方法。 - 【請求項13】前記請求項5記載の放射性汚染物の磁性
研磨材を使った磁気揺動除染方法における永久磁石を用
いる場合は、多数の磁石を配置したものをモーターや磁
気カップリングで回転を与え伝えて磁極を切り換える方
式を特徴とする放射能汚染物の磁気揺動除染装置。 - 【請求項14】前記請求項6記載の放射性汚染物の磁性
研磨材を使った磁気揺動除染方法における電磁石を用い
る場合は、複数のコイルを除染対象物の廻りに配置して
それぞれの磁極を電気回路で切り換える方式を特徴とす
る放射能汚染物の磁気揺動除染装置。 - 【請求項15】前記請求項7記載の加圧水型原子炉の蒸
気発生器の磁性研磨材を使った磁気揺動除染方法におい
て、その多数の熱交換用配管中の全てに磁性研磨材を挿
入した状態で、エッチング液を外部から注入、補充、循
環させ、周期的にN極とS極に変化する磁界を外部から
与えることで、熱交換器配管内部の磁性体に揺動を与え
て処理する方式を特徴とする加圧水型原子炉の蒸気発生
器等の多管式熱交換用配管内部汚染の磁気揺動除染装
置。 - 【請求項16】前記請求項8記載の各種放射性汚染物、
非解体状態の汚染機器設備や配管、あるいは原子炉一次
系配管や放射性廃液の貯蔵タンク等の大型構造物内部に
入れた磁性研磨材を、外部磁石によって周期的にN極と
S極に変化する磁界を外部から与えることで磁性体に揺
動を与えて処理する方式を特徴とする放射性汚染物の磁
気揺動除染装置。 - 【請求項17】前記請求項9記載の磁性研磨材を放射性
汚染物の除染すべき部分に移動させる場合において、な
らびに除染処理した後に磁性研磨材を回収する場合にお
いて、外部磁界を利用して内部の磁性研磨材を所定の位
置へ移動し分離する機能を有することを特徴とする放射
性汚染物の磁気揺動除染装置。 - 【請求項18】前記請求項10記載の磁性フィルタを用
いて除染処理後の磁性研磨材とエッチング液を分離する
方法において、磁性ステンレス網のフィルタを設備の一
部として用いることを特徴とする放射性汚染物の磁気揺
動除染装置。 - 【請求項19】前記請求項11に示した大型構造物等の
除染を目的とした少量の磁性研磨材で広い範囲の除染処
理を行うために、外部の磁石ワークを移動させる方式を
特徴とする前記請求項13〜16記載の放射能汚染物の
磁気揺動除染装置。 - 【請求項20】前記請求項12記載の放射線被曝低減の
ための原子力施設の供用中除染を目的とした磁気揺動除
染装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11099228A JP2000249790A (ja) | 1999-03-02 | 1999-03-02 | 放射性汚染物の磁気揺動除染方法とその装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11099228A JP2000249790A (ja) | 1999-03-02 | 1999-03-02 | 放射性汚染物の磁気揺動除染方法とその装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000249790A true JP2000249790A (ja) | 2000-09-14 |
Family
ID=14241824
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11099228A Pending JP2000249790A (ja) | 1999-03-02 | 1999-03-02 | 放射性汚染物の磁気揺動除染方法とその装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000249790A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE10354251A1 (de) * | 2003-11-20 | 2005-06-23 | Viaceslav Gorodezki | Vorrichtung für eine beschleunigte Entaktivierung von radioaktiven Stoffen |
KR100727011B1 (ko) | 2006-03-14 | 2007-06-14 | 한일플랜트서비스 (주) | 고체방사성폐기물 자기제염설비 |
KR100764043B1 (ko) * | 2006-03-14 | 2007-10-11 | 한일플랜트서비스 (주) | 고체방사성폐기물 자기제염설비 |
JP2010286374A (ja) * | 2009-06-12 | 2010-12-24 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 熱交換器の除染方法および除染装置 |
-
1999
- 1999-03-02 JP JP11099228A patent/JP2000249790A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE10354251A1 (de) * | 2003-11-20 | 2005-06-23 | Viaceslav Gorodezki | Vorrichtung für eine beschleunigte Entaktivierung von radioaktiven Stoffen |
KR100727011B1 (ko) | 2006-03-14 | 2007-06-14 | 한일플랜트서비스 (주) | 고체방사성폐기물 자기제염설비 |
KR100764043B1 (ko) * | 2006-03-14 | 2007-10-11 | 한일플랜트서비스 (주) | 고체방사성폐기물 자기제염설비 |
JP2010286374A (ja) * | 2009-06-12 | 2010-12-24 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 熱交換器の除染方法および除染装置 |
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