JP2000244372A - 係数転送判別器及びそれを用いたエコーキャンセラ - Google Patents

係数転送判別器及びそれを用いたエコーキャンセラ

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幼華 王
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダブルトーク区間で、係数誤転送の可能性が
低くなる係数転送判別器およびそれを用いるエコーキャ
ンセラを提供する。 【解決手段】 ダブルトークを正確に検出できる第一の
係数転送判別手段と、遠端信号のない区間での誤転送を
防ぐための第二の係数転送判別手段と、BGフィルタの残
留誤差はFGフィルタの残留誤差より小さい第三の係数転
送判別手段を備え、それら第一乃至第三の判別条件のす
べてを満足する場合だけ、係数転送を行なうようにした
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、係数転送判別器お
よびそれを用いたエコーキャンセラに関し、特にダブル
トーク区間で、係数誤転送の可能性が低くなるように構
成したものである。
【0002】
【従来の技術】FG/BGフィルタを用いるエコーキャンセ
ラについては、従来、K.Ochiai, T.Araseki and T.Ogih
ara,"Echo canceler with two echo path models", IEE
E Trans.on Communications, vol.COM-25, no.6, pp.58
9-595, June 1977(以下、参考文献1という)に記載され
たものが知られている。
【0003】従来のFG/BGフィルタを用いるエコーキャ
ンセラの原理図を図11に示す。図11に示されるてい
るように、エコーキャンセラは、基本的には、FG(Fore
Ground)フィルタ、BG(Back Ground)フィルタ、係数転送
判別装置から構成されている。
【0004】ここで、従来の係数転送判別装置について
説明する。BGフィルタからFGフィルタへの係数転送は以
下の三つの条件を同時に満す場合に行なわれる。
【0005】条件1: BGフィルタの残留エコーの二乗
平均値は、FGフィルタの残留エコーの二乗平均値のβ倍
より小さい。これを式(1)で表すと、以下のようにな
る。すなわち、
【数1】
【0006】条件2: BGフィルタの残留エコーの二乗
平均値は、近端信号の二乗平均値のγ倍より小さい。こ
れを式(2)で表すと、以下のようになる。すなわち、
【数2】
【0007】条件3: 近端信号の二乗平均値は、遠端
信号の二乗平均値より小さい。これを式(3)で表す
と、以下のようになる。すなわち、
【数3】
【0008】また最近では、F.Sugaya, et al., "An ec
ho canceler with two quasi-echoestimators", 1991 N
ational Spring Conference, vol.3, p310, Mar. 199
1、(以下、参考文献2という)のように、FGフィルタ
の残留エコーをBGフィルタのエコー信号として用いるこ
とにより、上記した条件1だけで係数転送の判別を行な
う方法が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の係数転
送判別装置は、いくつかの問題点がある。すなわち、
(1)遠端信号と近端信号ともに音声の場合、上記した
条件1だけを用いると、ダブルトーク区間で、係数誤転
送の可能性が高い。その理由は以下のように説明され
る。
【0010】例えば、FGフィルタの係数はすでに収束し
ている状態で、遠端話者の信号が存在すると同時に、近
端話者の信号も入ってくる、いわゆるダブルトーク区間
の場合、係数転送を行なう上記した条件1を計算する二
乗平均値は以下のようになる。
【0011】
【数4】
【0012】
【数5】
【0013】そして、ダブルトーク区間においても、BG
フィルタの係数調整を停止しないため、係数は乱れ、エ
コーと擬似エコーの差が大きくなってしまう。つまり、
【数6】
【0014】式(6)を式(5)に代入して整理する
と、次の式(7)になる。すなわち、
【数7】
【0015】もし、遠端信号が白色ノイズの場合、上記
した式(7)右辺の第2項は相関性がないため、ゼロに
なる可能性が高く、ダブルトークの区間、上記した条件
1が満たせなくなるが、遠端信号と近端信号がともに音
声の場合、上記した式(7)右辺の第2項は相関性があ
るため、ゼロにならない。また、式(7)右辺の第2項
の符号はマイナスになる可能性がある。そこで、ダブル
トークの区間において、上記した条件1(式(1))を
満たす可能性がある。特に、遠端話者と近端話者ともに
母音のとき、誤転送率が高くなることが報告されている
(参考文献1参照)。
【0016】(2)従来の係数転送を行なう上記した条
件3は、ダブルトーク区間での係数転送を防ぐために設
けた条件であるはずなのに、上記した条件3は遠端信号
のパワーレベルと近端信号のパワーレベルの比較に基い
てダブルトークを検出するものである。しかしこの検出
方法の不確実さについては、多数の参考書や特許(例え
ば、辻井重男「適応信号処理」(昭晃堂)、特開平7-28
8493、特開平7-303070など)の中で指摘されている。
【0017】(3)従来の係数転送を行なう上記した条
件2は、BGフィルタがある程度収束できたら、係数転送
を行なうというものである。しかしダブルトークの区間
では、条件2の式の右辺は次のようになる。
【数8】 式(8)と式(7)を比較すると、ダブルトーク区間で
も、条件2を満たす可能性はあることが分かる。
【0018】(4)従来のFG/BGフィルタを用いるエコ
ーキャンセラの構成は、ダブルトークとエコーパス変動
を区別しにくいという問題点がある。その原因として、
一つは上記で述べた係数転送条件の問題が考えられる
が、もう一つは、BGフィルタを調整するアルゴリズムに
も問題点がある。参考文献1〜2では、すべて学習同定
法を用いるアルゴリズムが採用されている。学習同定法
の特徴として、演算量は少ないが、収束速度は遅いとい
う欠点がある。また、エコーパスが変動する場合、追従
速度が遅いという欠点がある。
【0019】(5)参考文献2に記載のエコーキャンセ
ラの問題点について、Y.Wang, K.Nakayama, Z.Ma, "A n
ew structure for noise and echo cancelers based on
a combined fast adaptive filter algorithm", IEICE
Trans. on Fundamentals, vol.E78-A, no.7, July 199
5(以下、参考文献3という)に解析されているので、必
要ならば参照されたい。
【0020】そこで上記した従来の問題点を克服するた
め本発明は、ダブルトーク区間で、係数誤転送の可能性
を低くし得る係数転送判別器およびそれを用いるエコー
キャンセラを提供することを目的とする。また本発明
は、収束速度・追従速度の速い、誤転送のない、ダブル
トークとエコーパス変動の区別できるエコーキャンセラ
を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】これらの課題を解決する
ために本発明は、ダブルトークを正確に検出できる第一
の係数転送判別手段と、遠端信号のない区間での誤転送
を防ぐための第二の係数転送判別手段と、BGフィルタの
残留誤差はFGフィルタの残留誤差より小さい第三の係数
転送判別手段を備え、それら第一乃至第三の判別条件の
すべてを満足する場合だけ、係数転送を行なうようにし
たことを特徴とする。これにより、ダブルトーク区間
で、係数誤転送の可能性を低くすることができる。
【0022】また、より収束速度の速い適応アルゴリズ
ムを使うようにし、又、帯域分割フィルタ及び帯域合成
フィルタを用いたり、一定周期ごとに再初期化を行なう
手段などを用いることにより、アルゴリズムの安定性、
演算量削減などを実現する。これにより、収束速度・追
従速度の速い、誤転送のない、ダブルトークとエコーパ
ス変動の区別できるエコーキャンセラを提供することが
できる。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、遠端信号と誤差信号からエコー経路の同定を行な
い、エコーを消去するための第一の疑似エコーを算出す
るBG(Back Ground)フィルタと、エコーを消去するため
の第二の疑似エコーを算出する適応フィルタの係数が転
送されたFG(Fore Ground)フィルタを有し、エコー信号
と第一の疑似エコーとの相関と、第一の疑似エコーのパ
ワーの比を求め、その比がある範囲内に収まっているか
を判別する第一の条件判別手段と、第一の疑似エコーの
パワーが、第一の疑似エコーとエコー信号との差である
第一の誤差信号のパワーの1以上正数倍より大きいかを
判別する第二の条件判別手段と、第一の誤差信号のパワ
ーが、第二の疑似エコーとエコー信号との差である第二
の誤差信号のパワーの1未満正数倍より小さいかを判別
する第三の条件判別手段と、前記第一乃至第三の条件判
別手段において全ての条件が満足されたときにBGフィル
タの係数をFGフィルタに転送する係数転送判別手段と、
を有することを特徴とする係数転送判別器としたもので
あり、ダブルトーク区間で、係数誤転送の可能性を低く
することができるという作用を有する。
【0024】また請求項2に記載の発明は、遠端信号と
誤差信号からエコー経路の同定を行ない、エコーを消去
するための第一の疑似エコーを算出するBGフィルタと、
エコーを消去するための第二の疑似エコーを算出する適
応フィルタの係数が転送されたFGフィルタを有し、エコ
ー信号のパワーと、第一の疑似エコーのパワーの比を求
め、その比がある範囲内に収まっているかを判別する第
一の条件判別手段と、第一の疑似エコーのパワーが、第
一の疑似エコーとエコー信号との差である第一の誤差信
号のパワーの1以上正数倍より大きいかを判別する第二
の条件判別手段と、第一の誤差信号のパワーが、第二の
疑似エコーとエコー信号との差である第二の誤差信号の
パワーの1未満正数倍より小さいかを判別する第三の条
件判別手段と、前記第一乃至第三の条件判別手段におい
て全ての条件が満足されたときにBGフィルタの係数をFG
フィルタに転送する係数転送判別手段と、を有すること
を特徴とする係数転送判別器としたものであり、ダブル
トーク区間で、係数誤転送の可能性を低くすることがで
きるという作用を有する。
【0025】また請求項3に記載の発明は、遠端信号と
誤差信号からエコー経路の同定を行ない、エコーを消去
するための第一の疑似エコーを算出するBGフィルタと、
エコーを消去するための第二の疑似エコーを算出する適
応フィルタの係数が転送されたFGフィルタを有し、エコ
ー信号と第一の疑似エコーとの相関と、第一の疑似エコ
ーのパワーの比を求め、その比がある範囲内に収まって
いるかを判別する第一の条件判別手段と、遠端信号のパ
ワーが、第一の疑似エコーとエコー信号との差である第
一の誤差信号のパワーの1以上正数倍より大きいかを判
別する第二の条件判別手段と、第一の誤差信号のパワー
が、第二の疑似エコーとエコー信号との差である第二の
誤差信号のパワーの1未満正数倍より小さいかを判別す
る第三の条件判別手段と、前記第一乃至第三の条件判別
手段において全ての条件が満足されたときにBGフィルタ
の係数をFGフィルタに転送する係数転送判別手段と、を
有することを特徴とする係数転送判別器としたものであ
り、ダブルトーク区間で、係数誤転送の可能性を低くす
ることができるという作用を有する。
【0026】また請求項4に記載の発明は、遠端信号と
誤差信号からエコー経路の同定を行ない、エコーを消去
するための第一の疑似エコーを算出するBGフィルタと、
エコーを消去するための第二の疑似エコーを算出する適
応フィルタの係数が転送されたFGフィルタを有し、エコ
ー信号のパワーと、第一の疑似エコーのパワーの比を求
め、その比がある範囲内に収まっているかを判別する第
一の条件判別手段と、遠端信号のパワーが、第一の疑似
エコーとエコー信号との差である第一の誤差信号のパワ
ーの1以上正数倍より大きいかを判別する第二の条件判
別手段と、第一の誤差信号のパワーが、第二の疑似エコ
ーとエコー信号との差である第二の誤差信号のパワーの
1未満正数倍より小さいかを判別する第三の条件判別手
段と、前記第一乃至第三の条件判別手段において全ての
条件が満足されたときにBGフィルタの係数をFGフィルタ
に転送する係数転送判別手段と、を有することを特徴と
する係数転送判別器としたものであり、ダブルトーク区
間で、係数誤転送の可能性を低くすることができるとい
う作用を有する。
【0027】また請求項5に記載の発明は、遠端信号と
誤差信号からエコー経路の同定を行ない、エコーを消去
するための第一の疑似エコーを算出するBGフィルタと、
エコーを消去するための第二の疑似エコーを算出する適
応フィルタの係数が転送されたFGフィルタを有し、前記
請求項1〜4記載のいずれかの係数転送判別器によっ
て、BGフィルタの係数をFGフィルタに転送するかの判別
を行なうことを特徴とするエコーキャンセラとしたもの
であり、ダブルトーク区間で、係数誤転送の可能性を低
くすることができるという作用を有する。
【0028】また請求項6に記載の発明は、入力信号の
帯域を制限するバンドパスフィルタと、該バンドパスフ
ィルタのPF出力信号のサンプリング周波数を下げるダウ
ンサンプリング手段と、サンプリング周波数を下げた信
号を入力とする適応フィルタとを有し、サンプリング周
波数を下げた信号を用いて係数転送の判別を行なうこと
を特徴とする請求項5記載のエコーキャンセラとしたも
のであり、演算量を減らすことができ、収束速度・追従
速度の速い、誤転送のない、ダブルトークとエコーパス
変動の区別できるという作用を有する。
【0029】また請求項7に記載の発明は、サンプル信
号を用いてサンプル数をカウントするカウンタと、係数
転送判別手段への入力のON、OFFを制御するスイッチと
の有し、前記カウンタによってカウントされた数によっ
て、前記スイッチのON、OFFを制御することを特徴とす
る請求項5記載のエコーキャンセラとしたものであり、
演算量を減らすことができ、収束速度・追従速度の速
い、誤転送のない、ダブルトークとエコーパス変動の区
別できるという作用を有する。
【0030】また請求項8に記載の発明は、信号を一つ
以上のサブバンド信号に分割する帯域分割手段と、サブ
バンド信号をフルバンドの信号に合成する帯域合成手段
とを有し、各サブバンドごとに前記請求項1〜4記載の
いずれからの係数転送判別器とBGフィルタとFGフィルタ
とを有することを特徴とする請求項5記載のエコーキャ
ンセラとしたものであり、演算量を減らすことができ、
収束速度・追従速度の速い、誤転送のない、ダブルトー
クとエコーパス変動の区別できるという作用を有する。
【0031】また請求項9に記載の発明は、信号を一つ
以上のサブバンド信号に分割する帯域分割手段と、サブ
バンド信号をフルバンドの信号に合成する帯域合成手段
とを有し、サブバンドを幾つかのグループに分け、各グ
ループ内で、適応フィルタの間引き処理を行ない、各サ
ブバンドごとに前記請求項1〜4記載のいずれからの係
数転送判別器とBGフィルタとFGフィルタとを有すること
を特徴とする請求項5記載のエコーキャンセラとしたも
のであり、演算量を減らすことができ、収束速度・追従
速度の速い、誤転送のない、ダブルトークとエコーパス
変動の区別できるという作用を有する。
【0032】また請求項10に記載の発明は、BGフィル
タの係数更新アルゴリズムとして、最小二乗法(LS)タ
イプのアルゴリズムを用いることを特徴とする請求項1
〜4記載の係数転送判別器としたものであり、収束速度
・追従速度の速い、誤転送のない、ダブルトークとエコ
ーパス変動の区別できるという作用を有する。
【0033】また請求項11に記載の発明は、BGフィル
タの係数更新アルゴリズムとして、LSタイプのアルゴリ
ズムを用いることを特徴とする請求項5〜9記載のエコ
ーキャンセラとしたものであり、収束速度・追従速度の
速い、誤転送のない、ダブルトークとエコーパス変動の
区別できるという作用を有する。
【0034】また請求項12に記載の発明は、FGフィル
タとして、固定フィルタの代わりに適応フィルタを用い
ることを特徴とする請求項1〜4、10記載の係数転送
判別器としたものであり、誤転送のない、ダブルトーク
とエコーパス変動の区別できるという作用を有する。
【0035】また請求項13に記載の発明は、FGフィル
タとして、固定フィルタの代わりに適応フィルタを用い
ることを特徴とする請求項5〜9、11記載のエコーキ
ャンセラとしたものであり、誤転送のない、ダブルトー
クとエコーパス変動の区別できるという作用を有する。
【0036】また請求項14に記載の発明は、FGフィル
タとして、固定フィルタを用い、計算手段としてFFT
を用いることを特徴とする請求項1〜4、10記載の係
数転送判別器としたものであり、誤転送のない、ダブル
トークとエコーパス変動の区別できるという作用を有す
る。
【0037】また請求項15に記載の発明は、FGフィル
タとして、固定フィルタを用い、計算手段としてFFT
を用いることを特徴とする請求項5〜9、11記載のエ
コーキャンセラとしたものであり、誤転送のない、ダブ
ルトークとエコーパス変動の区別できるという作用を有
する。
【0038】以下、本発明の実施の形態について、図面
を用いながら説明する。
【0039】(第1の実施の形態)図1は本発明の第1
の実施形態の係数転送判別器及びそれを用いたエコーキ
ャンセラの構成を示すブロック図である。図1におい
て、BG(Back Ground)フィルタ(適応フィルタ)100は、
遠端信号と誤差信号からエコー経路の同定を行ない、エ
コーを消去するための第一の疑似エコーを算出する。FG
(Fore Ground)フィルタ(固定フィルタ)200は、適応フ
ィルタの係数が転送されるようにされ、エコーを消去す
るための第二の疑似エコーを算出する。
【0040】第一の条件判別手段31は、相関器10により
エコー信号zと第一の疑似エコーy bとの相関を取り、
さらに、二乗平均回路21で第一の疑似エコーybのパワ
ーを求めてから、それらの比の絶対値を求めてその比が
ある範囲内に収まっているかを判別する。
【0041】第二の条件判別手段41は、二乗平均回路21
で求めた第一の疑似エコーybのパワーが、二乗平均回
路22で求めた第一の疑似エコーybとエコー信号zとの
差である第一の誤差信号ebのパワーの1以上正数倍より
大きいかを判別する。
【0042】第三の条件判別手段51は、二乗平均回路22
で求めた第一の疑似エコーybとエコー信号zとの差で
ある第一の誤差信号ebのパワーが、二乗平均回路23で
求めた第二の疑似エコーyfとエコー信号zとの差であ
る第二の誤差信号efのパワーの1未満正数倍より小さ
いかを判別する。
【0043】係数転送判別手段60、70は、上記第一乃至
第三の条件判別手段において全ての条件が満足されたか
どうかを判別し、もしも条件が三つとも満足されたとき
にBGフィルタの係数をFGフィルタに転送する。
【0044】次に、本発明の実施形態における係数転送
判別のアルゴリズムについて述べるが、上記したように
本発明においては第一乃至第三の条件判別手段において
すべて満足したときに係数転送が行なわれるものであ
る。そこで、各条件判別手段における条件について詳し
く以下に述べる。
【0045】第一の条件判別手段31における条件は、以
下の式(9)によって与えられる。すなわち、
【数9】
【0046】この式は、エコー信号と疑似エコーのずれ
を測るものであり、ダブルトークの検出およびエコーパ
ス変動を判断する基準になるものである。この式(9)
を満たすとき、BGフィルタ(適応フィルタ)100はダブル
トークのない区間で、かつBGフィルタ(適応フィルタ)の
残留誤差が許容できる範囲内に収まっていることを示す
状態にあると判別できる。
【0047】第二の条件判別手段41における条件は、以
下の式(10)によって与えられる。すなわち、
【数10】
【0048】これは、遠端信号が小さい、或いはないと
きの係数転送を防ぐものである。遠端信号が音声信号の
場合、信号は断続的であり、BGフィルタ(適応フィルタ)
100の係数を収束する駆動信号は、ある信号区間だけで
は足りない場合がある。遠端信号の小さい或いはないと
きに、BGフィルタ(適応フィルタ)係数が収束していな
いにかかわらず、上記の第一条件判別手段31の条件であ
る式(9)と下記の第三条件判別手段51の条件である式
(11)を満たす可能性があり、誤転送する可能性があ
る。
【0049】第三の条件判別手段51における条件は、以
下の式(11)によって与えられる。すなわち、
【数11】
【0050】これは、BGフィルタ(適応フィルタ)100の
残留誤差がFGフィルタ200の残留誤差のγ倍より小さい
ときに係数転送を行なうというものである。
【0051】このように本発明の第1の実施形態におい
て、係数転送判別器300は、上記した第一乃至第三の条
件判別手段(31、41、51)と、上記した係数転送判別手段
(60、70)とから構成されているものであり、エコーキャ
ンセラはこのような係数転送判別器を用いて構成されて
いるものである。したがって、ダブルトーク区間で、係
数誤転送の可能性を低くすることができる。
【0052】(第2の実施の形態)図2は本発明の第2
の実施形態の係数転送判別器及びそれを用いたエコーキ
ャンセラの構成を示すブロック図である。図2におい
て、BG(Back Ground)フィルタ(適応フィルタ)100は、
遠端信号と誤差信号からエコー経路の同定を行ない、エ
コーを消去するための第一の疑似エコーを算出する。FG
(Fore Ground)フィルタ(固定フィルタ)200は、適応フ
ィルタの係数が転送されるようにされ、エコーを消去す
るための第二の疑似エコーを算出する。
【0053】第一の条件判別手段32は、二乗平均回路24
で求めたエコー信号zのパワーと、二乗平均回路21で第
一の疑似エコーybのパワーを求めてから、それらの比
の絶対値を求めてその比がある範囲内に収まっているか
を判別する。
【0054】第二の条件判別手段41は、二乗平均回路21
で求めた第一の疑似エコーybのパワーが、二乗平均回
路22で求めた第一の疑似エコーybとエコー信号zとの
差である第一の誤差信号ebのパワーの1以上正数倍よ
り大きいかを判別する。
【0055】第三の条件判別手段51は、二乗平均回路22
で求めた第一の疑似エコーybとエコー信号zとの差で
ある第一の誤差信号ebのパワーが、二乗平均回路23で
求めた第二の疑似エコーyfとエコー信号zとの差であ
る第二の誤差信号efのパワーの1未満正数倍より小さ
いかを判別する。
【0056】係数転送判別手段60、70は、上記第一乃至
第三の条件判別手段において全ての条件が満足されたか
どうかを判別し、もしも条件が三つとも満足されたとき
にBGフィルタの係数をFGフィルタに転送する。
【0057】次に、本発明の実施形態における係数転送
判別のアルゴリズムについて述べるが、上記したように
本発明においては第一乃至第三の条件判別手段において
すべて満足したときに係数転送が行なわれるものであ
る。そこで、各条件判別手段における条件について詳し
く以下に述べる。
【0058】第一の条件判別手段32における条件は、以
下の式(12)によって与えられる。すなわち、
【数12】
【0059】この式は、エコー信号と疑似エコーのずれ
を測るものであり、ダブルトークの検出およびエコーパ
ス変動を判断する基準になるものである。この式(1
2)を満たすとき、BGフィルタ(適応フィルタ)100はダ
ブルトークのない区間で、かつBGフィルタ(適応フィル
タ)の残留誤差が許容できる範囲内に収まっていること
を示す状態にあると判別できる。
【0060】第二の条件判別手段41における条件は、上
記の第1の実施形態の説明に用いた式(10)によって
与えられるので、ここでは再説しない。
【0061】第三の条件判別手段51における条件は、上
記の第1の実施形態の説明に用いた式(11)によって
与えられるので、ここでは再説しない。
【0062】本発明の第2の実施形態は、第1の条件判
別手段32の構成が上記した第1の実施形態と多少異なる
だけでその他の構成や判別アルゴリズムはほぼ同様であ
る。
【0063】このように本発明の第2の実施形態におい
て、係数転送判別器300は、上記した第一乃至第三の条
件判別手段(32、41、51)と、係数転送判別手段(60、70)
とから構成されているものであり、エコーキャンセラは
このような係数転送判別器を用いて構成されているもの
である。したがって、ダブルトーク区間で、係数誤転送
の可能性を低くすることができる。
【0064】(第3の実施の形態)図3は本発明の第3
の実施形態の係数転送判別器及びそれを用いたエコーキ
ャンセラの構成を示すブロック図である。図3におい
て、BG(Back Ground)フィルタ(適応フィルタ)100は、
遠端信号と誤差信号からエコー経路の同定を行ない、エ
コーを消去するための第一の疑似エコーを算出する。FG
(Fore Ground)フィルタ(固定フィルタ)200は、適応フ
ィルタの係数が転送されるようにされ、エコーを消去す
るための第二の疑似エコーを算出する。
【0065】第一の条件判別手段31は、相関器10により
エコー信号zと第一の疑似エコーy bとの相関を取り、
さらに、二乗平均回路21で第一の疑似エコーybのパワ
ーを求めてから、それらの比の絶対値を求めてその比が
ある範囲内に収まっているかを判別する。
【0066】第二の条件判別手段42は、二乗平均回路25
で求めた遠端信号xのパワーが、二乗平均回路22で求め
た第一の疑似エコーybとエコー信号zとの差である第
一の誤差信号ebのパワーの1以上正数倍より大きいかを
判別する。
【0067】第三の条件判別手段51は、二乗平均回路22
で求めた第一の疑似エコーybとエコー信号zとの差で
ある第一の誤差信号ebのパワーが、二乗平均回路23で
求めた第二の疑似エコーyfとエコー信号zとの差であ
る第二の誤差信号efのパワーの1未満正数倍より小さ
いかを判別する。
【0068】係数転送判別手段60、70は、上記第一乃至
第三の条件判別手段において全ての条件が満足されたか
どうかを判別し、もしも条件が三つとも満足されたとき
にBGフィルタの係数をFGフィルタに転送する。
【0069】次に、本発明の実施形態における係数転送
判別のアルゴリズムについて述べるが、上記したように
本発明においては第一乃至第三の条件判別手段において
すべて満足したときに係数転送が行なわれるものであ
る。そこで、各条件判別手段における条件について詳し
く以下に述べる。
【0070】第一の条件判別手段31における条件は、上
記の第1の実施形態の説明に用いた式(9)によって与
えられるので、ここでは再説しない。
【0071】第二の条件判別手段42における条件は、以
下の式(13)によって与えられる。すなわち、
【数13】
【0072】これは、遠端信号が小さい、或いはないと
きの係数転送を防ぐものである。遠端信号が音声信号の
場合、信号は断続的であり、BGフィルタ(適応フィルタ)
100の係数を収束する駆動信号は、ある信号区間だけで
は足りない場合がある。遠端信号の小さい或いはないと
きに、BGフィルタ(適応フィルタ)係数が収束していな
いにかかわらず、上記の第一条件判別手段31の条件であ
る式(9)と下記の第三条件判別手段51の条件である式
(11)を満たす可能性があり、誤転送する可能性があ
る。
【0073】第三の条件判別手段51における条件は、上
記の第1の実施形態の説明に用いた式(11)によって
与えられるので、ここでは再説しない。
【0074】本発明の第3の実施形態は、第2の条件判
別手段の構成が上記した第1の実施形態と多少異なるだ
けでその他の構成や判別アルゴリズムはほぼ同様であ
る。
【0075】このように本発明の第3の実施形態におい
て、係数転送判別器300は、上記した第一乃至第三の条
件判別手段(31、42、51)と、係数転送判別手段(60、70)
とから構成されているものであり、エコーキャンセラは
このような係数転送判別器を用いて構成されているもの
である。したがって、ダブルトーク区間で、係数誤転送
の可能性を低くすることができる。
【0076】(第4の実施の形態)図4は本発明の第4
の実施形態の係数転送判別器及びそれを用いたエコーキ
ャンセラの構成を示すブロック図である。図4におい
て、BG(Back Ground)フィルタ(適応フィルタ)100は、
遠端信号と誤差信号からエコー経路の同定を行ない、エ
コーを消去するための第一の疑似エコーを算出する。FG
(Fore Ground)フィルタ(固定フィルタ)200は、適応フ
ィルタの係数が転送されるようにされ、エコーを消去す
るための第二の疑似エコーを算出する。
【0077】第一の条件判別手段32は、二乗平均回路24
で求めたエコー信号zのパワーと、二乗平均回路21で第
一の疑似エコーybのパワーを求めてから、それらの比
の絶対値を求めてその比がある範囲内に収まっているか
を判別する。
【0078】第二の条件判別手段42は、二乗平均回路25
で求めた遠端信号xのパワーが、二乗平均回路22で求め
た第一の疑似エコーybとエコー信号zとの差である第
一の誤差信号ebのパワーの1以上正数倍より大きいかを
判別する。
【0079】第三の条件判別手段51は、二乗平均回路22
で求めた第一の疑似エコーybとエコー信号zとの差で
ある第一の誤差信号ebのパワーが、二乗平均回路23で
求めた第二の疑似エコーyfとエコー信号zとの差であ
る第二の誤差信号efのパワーの1未満正数倍より小さい
かを判別する。
【0080】係数転送判別手段60、70は、上記第一乃至
第三の条件判別手段において全ての条件が満足されたか
どうかを判別し、もしも条件が三つとも満足されたとき
にBGフィルタの係数をFGフィルタに転送する。
【0081】次に、本発明の実施形態における係数転送
判別のアルゴリズムについて述べるが、上記したように
本発明においては第一乃至第三の条件判別手段において
すべて満足したときに係数転送が行なわれるものであ
る。そこで、各条件判別手段における条件について詳し
く以下に述べる。
【0082】第一の条件判別手段32における条件は、上
記の第2の実施形態の説明に用いた式(12)によって
与えられるので、ここでは再説しない。
【0083】第二の条件判別手段42における条件は、上
記の第3の実施形態の説明に用いた式(13)によって
与えられるので、ここでは再説しない。
【0084】第三の条件判別手段51における条件は、上
記の第1の実施形態の説明に用いた式(11)によって
与えられるので、ここでは再説しない。
【0085】本発明の第4の実施形態は、第1の条件判
別手段32及び第2の条件判別手段42の構成が上記した第
1の実施形態と多少異なるだけでその他の構成や判別ア
ルゴリズムはほぼ同様である。
【0086】このように本発明の第4の実施形態におい
て、係数転送判別器300は、上記した第一乃至第三の条
件判別手段(32、42、51)と、係数転送判別手段(60、70)
とから構成されているものであり、エコーキャンセラは
このような係数転送判別器を用いて構成されているもの
である。したがって、ダブルトーク区間で、係数誤転送
の可能性を低くすることができる。
【0087】(第5の実施の形態)図5は本発明の第5
の実施形態の構成を示すブロック図である。図5は図1
の第1の実施形態に対して、転送判件1を判別する手段
33を計算するために、バンドパスフィルタ82、ダウンサ
ンプリング手段83および適応フィルタ(AF)84を追加
した構成を有するものである。
【0088】図5において、バンドパスフィルタ(BP
F)82は、入力信号の帯域を制限するものであり、ダウ
ンサンプリング手段83はダウンサンプリング処理するた
めにサンプリング周波数を下げるものであり、BPF82と
ダウンサンプリング手段83により処理されたデータは、
適応フィルタ84の入力として使われる。
【0089】そして、適応フィルタ84の出力を用いて、
転送条件1を計算する。転送条件1を満たす場合には、
BGフィルタ100における転送条件2、3を計算する。そ
の結果三つの転送条件が全部満たされる場合には、BGフ
ィルタ100からFGフィルタ200への係数転送を行なう。
【0090】BPFとダウンサンプリング処理の役割は、
まず、入力信号の周波数成分を制限することにより、固
有値分散を小さくして収束速度を速くする、いわゆる白
色化効果を生じせしめ、さらに、ダウンサンプリング処
理により、適応アルゴリズムの演算量を減らしめ、より
収束速度の速いアルゴリズムの採用を可能とするためで
ある。
【0091】図5のように、バンドパスフィルタ82、ダ
ウンサンプリング手段83および適応フィルタ(AF)84
を追加して、転送条件1だけをまず求め、その結果をよ
り簡単なアルゴリズムを用いたBGフィルタ100の係数転
送判別に利用できるようにしたものである。
【0092】(第6の実施の形態)図6は本発明の第6
の実施形態の構成を示すブロック図である。図6と図1
の第1の実施形態と違うところは、BGフィルタ100の調
整アルゴリズムとして、一定の実行回数で確実に収束で
きる適応アルゴリズムを用いることと、実行回数を計数
するカウンタ86を追加した点である。
【0093】例えば、LS(最小二乗法)タイプの適応ア
ルゴリズムはダブルトークのない区間で、入力信号の性
質に関わらず、一定の実行回数で必ず収束できる性質を
持つことが知られている。そこで、収束する所要最小実
行回数をKとし、収束後、三つの係数転送のための転送
条件1〜3を計算し、その結果に基づいて、係数の転送
の判断を行なう。その後、リセット手段87により再初期
化を行なう。
【0094】図7では、係数転送の状況をダブルトーク
の有無、エコーパス変動などを考慮したものである。図
7に、Kは最小実行回数(収束するまでの区間)で、Lは
転送条件の二乗平均値を計算する区間である。図7から
分かるように、ダブルトーク区間では、BGフィルタの係
数は乱れる、すなわち収束することがないために転送条
件を満たせず、係数の転送を行なわれない。また、エコ
ーパス変動の場合、最大2Kの実行回数で、収束できる
ようになる。
【0095】(第7の実施の形態)図8は本発明の第7
の実施形態の構成を示すブロック図である。図8の構成
は、帯域分割手段88により帯域分割した各サブバンドに
おいて、図1のFG/BGフィルタと係数転送判別手段を用
いるようにするものである。
【0096】これは、帯域分割フィルタ88および帯域合
成フィルタ89を用いることによつて、演算量を削減でき
るだけでなく、上記第5の実施形態と同じ理由で、BGフ
ィルタ100の収束速度を速くすることができる。更に、
第6の実施形態で記載したように、BGフィルタ100にお
いて、一定の実行回数で確実に収束できる適応アルゴリ
ズムを用いることと、実行回数を計数するカウンタを用
いれば、より性能のよい(音響)エコーキャンセラが得
られる。例えば、BGフィルタ100の調整アルゴリズムと
して、高速RLS(Recursive Least Square)アルゴリズ
ムを使えば、演算量の削減を更に図れるとともに、周期
的再初期化により、数値的な安定性も期待できる。
【0097】なお、FGフィルタ200として、固定フィル
タを用いる場合、BGフィルタ100からの係数転送が所定
の周期毎に行なわれるものであることから、その周期を
利用すれば、FGフィルタ200の計算にFFT(高速フー
リエ変換)アルゴリズムを用いることが可能である。特
に、上記した帯域分割、合成手段を用いる場合には、す
べての計算は周波数領域で行なうので、FFTアルゴリ
ズムを用いることによって、エコーキャンセラ全体の計
算量をさらに削減することができる。
【0098】(第8の実施の形態)図9は本発明の第8
の実施形態の構成を示すブロック図である。図9の第8
の実施形態は、帯域分割手段88により帯域分割したサブ
バンドを幾つかのグループ、例えば2グループに分け、
各グループ内で、一つの適応フィルタ、例えば図9の例
では、BG1、BGg+1を用いて、逐次的にフィルタの係数
更新を行なう。つまり、適応フィルタの間引き処理を行
なう。
【0099】この方式を用れば、さらに計算量を削減す
ることができる。例えば、(音響)エコーキャンセラの
場合、音声信号のパワーは低位周波数バンドに集中して
いる。そこで、間引き処理を行なうとき、各グループ内
のバンド数を音声信号のパワーに応じて変更する。低位
バンドにおいて、間引き処理を行なうバンドの数を少な
くし、高位バンドにおいて、間引き処理を行なうバンド
の数を多くすれば、少ない計算量で高い性能を得ること
ができる。
【0100】(第9の実施の形態)図10は本発明の第
9の実施形態の構成を示すブロック図である。図10の
第9の実施形態と図8の第7の実施形態の違いは、転送
条件1の計算がBGフィルタ100の一部に限る(少なくと
も1サブバンド以上)点である。残りのサブバンドにお
けるBGフィルタ100は転送条件1の計算結果を受けてか
ら転送条件2,3を計算すればよいが、係数転送判別は
3条件を計算するBGフィルタ100によりコントロールさ
れることに変わりはない。
【0101】(音響)エコーキャンセラの場合、音声信
号のパワーは低周波数域に集中しているので、低域バン
ドだけ、収束速度の速いアルゴリズムを用い、他のサブ
バンドにおいて、計算量の少ないアルゴリズム、例え
ば、学習同定法などを用いれば、よいパフォーマンスを
得ると同時に、演算量の削減ができる。
【0102】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、ダブルト
ークを正確に検出できる第一の係数転送判別手段と、遠
端信号のない区間での誤転送を防ぐための第二の係数転
送判別手段と、BGフィルタの残留誤差はFGフィルタの残
留誤差より小さい第三の係数転送判別手段を備え、それ
ら第一乃至第三の判別条件のすべてを満足する場合だ
け、係数転送を行なうようにしたことを特徴とする。こ
れにより、ダブルトーク区間で、係数誤転送の可能性を
低くすることができる。
【0103】また、より収束速度の速い適応アルゴリズ
ムを使うようにし、又、帯域分割フィルタ及び帯域合成
フィルタを用いたり、一定周期ごとに再初期化を行なう
手段などを用いることにより、アルゴリズムの安定性、
演算量削減などを実現する。これにより、収束速度・追
従速度の速い、誤転送のない、ダブルトークとエコーパ
ス変動の区別できるエコーキャンセラを提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の係数転送判別器及び
それを用いたエコーキャンセラの構成を示すブロック
図、
【図2】本発明の第2の実施形態の係数転送判別器及び
それを用いたエコーキャンセラの構成を示すブロック
図、
【図3】本発明の第3の実施形態の係数転送判別器及び
それを用いたエコーキャンセラの構成を示すブロック
図、
【図4】本発明の第4の実施形態の係数転送判別器及び
それを用いたエコーキャンセラの構成を示すブロック
図、
【図5】本発明の第5の実施形態の係数転送判別器及び
それを用いたエコーキャンセラの構成を示すブロック
図、
【図6】本発明の第6の実施形態の係数転送判別器及び
それを用いたエコーキャンセラの構成を示すブロック
図、
【図7】本発明の第6の実施形態の構成を説明するため
のタイムチャート、
【図8】本発明の第7の実施形態の係数転送判別器及び
それを用いたエコーキャンセラの構成を示すブロック
図、
【図9】本発明の第8の実施形態の係数転送判別器及び
それを用いたエコーキャンセラの構成を示すブロック
図、
【図10】本発明の第9の実施形態の係数転送判別器及
びそれを用いたエコーキャンセラの構成を示すブロック
図、
【図11】従来のFG/BGフィルタを用いるエコーキャン
セラの原理を示す図である。
【符号の説明】
1、100 BGフィルタ 2、200 FGフィルタ 3 係数転送判別装置 10 相関器 21〜25 二乗平均回路 31〜33 転送条件1 41、42 転送条件2 45 転送条件2,3及び転送判別機能 51 転送条件3 60 係数転送判別機能 70 係数転送SW 82 バンドパスフィルタ 83 ダウンサンプリング手段 84 適応フィルタ 85 サンプリング信号 86 カウンタ 87 リセット手段 300 係数転送判別器 330、350 係数転送判別手段

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遠端信号と誤差信号からエコー経路の同
    定を行ない、エコーを消去するための第一の疑似エコー
    を算出するBG(Back Ground)フィルタと、エコーを消去
    するための第二の疑似エコーを算出する適応フィルタの
    係数が転送されたFG(Fore Ground)フィルタを有し、エ
    コー信号と第一の疑似エコーとの相関と、第一の疑似エ
    コーのパワーの比を求め、その比がある範囲内に収まっ
    ているかを判別する第一の条件判別手段と、第一の疑似
    エコーのパワーが、第一の疑似エコーとエコー信号との
    差である第一の誤差信号のパワーの1以上正数倍より大
    きいかを判別する第二の条件判別手段と、第一の誤差信
    号のパワーが、第二の疑似エコーとエコー信号との差で
    ある第二の誤差信号のパワーの1未満正数倍より小さい
    かを判別する第三の条件判別手段と、前記第一乃至第三
    の条件判別手段において全ての条件が満足されたときに
    BGフィルタの係数をFGフィルタに転送する係数転送判別
    手段と、を有することを特徴とする係数転送判別器。
  2. 【請求項2】 遠端信号と誤差信号からエコー経路の同
    定を行ない、エコーを消去するための第一の疑似エコー
    を算出するBGフィルタと、エコーを消去するための第二
    の疑似エコーを算出する適応フィルタの係数が転送され
    たFGフィルタを有し、エコー信号のパワーと、第一の疑
    似エコーのパワーの比を求め、その比がある範囲内に収
    まっているかを判別する第一の条件判別手段と、第一の
    疑似エコーのパワーが、第一の疑似エコーとエコー信号
    との差である第一の誤差信号のパワーの1以上正数倍よ
    り大きいかを判別する第二の条件判別手段と、第一の誤
    差信号のパワーが、第二の疑似エコーとエコー信号との
    差である第二の誤差信号のパワーの1未満正数倍より小
    さいかを判別する第三の条件判別手段と、前記第一乃至
    第三の条件判別手段において全ての条件が満足されたと
    きにBGフィルタの係数をFGフィルタに転送する係数転送
    判別手段と、を有することを特徴とする係数転送判別
    器。
  3. 【請求項3】 遠端信号と誤差信号からエコー経路の同
    定を行ない、エコーを消去するための第一の疑似エコー
    を算出するBGフィルタと、エコーを消去するための第二
    の疑似エコーを算出する適応フィルタの係数が転送され
    たFGフィルタを有し、エコー信号と第一の疑似エコーと
    の相関と、第一の疑似エコーのパワーの比を求め、その
    比がある範囲内に収まっているかを判別する第一の条件
    判別手段と、遠端信号のパワーが、第一の疑似エコーと
    エコー信号との差である第一の誤差信号のパワーの1以
    上正数倍より大きいかを判別する第二の条件判別手段
    と、第一の誤差信号のパワーが、第二の疑似エコーとエ
    コー信号との差である第二の誤差信号のパワーの1未満
    正数倍より小さいかを判別する第三の条件判別手段と、
    前記第一乃至第三の条件判別手段において全ての条件が
    満足されたときにBGフィルタの係数をFGフィルタに転送
    する係数転送判別手段と、を有することを特徴とする係
    数転送判別器。
  4. 【請求項4】 遠端信号と誤差信号からエコー経路の同
    定を行ない、エコーを消去するための第一の疑似エコー
    を算出するBGフィルタと、エコーを消去するための第二
    の疑似エコーを算出する適応フィルタの係数が転送され
    たFGフィルタを有し、エコー信号のパワーと、第一の疑
    似エコーのパワーの比を求め、その比がある範囲内に収
    まっているかを判別する第一の条件判別手段と、遠端信
    号のパワーが、第一の疑似エコーとエコー信号との差で
    ある第一の誤差信号のパワーの1以上正数倍より大きい
    かを判別する第二の条件判別手段と、第一の誤差信号の
    パワーが、第二の疑似エコーとエコー信号との差である
    第二の誤差信号のパワーの1未満正数倍より小さいかを
    判別する第三の条件判別手段と、前記第一乃至第三の条
    件判別手段において全ての条件が満足されたときにBGフ
    ィルタの係数をFGフィルタに転送する係数転送判別手段
    と、を有することを特徴とする係数転送判別器。
  5. 【請求項5】 遠端信号と誤差信号からエコー経路の同
    定を行ない、エコーを消去するための第一の疑似エコー
    を算出するBGフィルタと、エコーを消去するための第二
    の疑似エコーを算出する適応フィルタの係数が転送され
    たFGフィルタを有し、前記請求項1〜4記載のいずれか
    の係数転送判別器によって、BGフィルタの係数をFGフィ
    ルタに転送するかの判別を行なうことを特徴とするエコ
    ーキャンセラ。
  6. 【請求項6】 入力信号の帯域を制限するバンドパスフ
    ィルタと、該バンドパスフィルタのBPF出力信号のサン
    プリング周波数を下げるダウンサンプリング手段と、サ
    ンプリング周波数を下げた信号を入力とする適応フィル
    タとを有し、サンプリング周波数を下げた信号を用いて
    係数転送の判別を行なうことを特徴とする請求項5記載
    のエコーキャンセラ。
  7. 【請求項7】 サンプル信号を用いてサンプル数をカウ
    ントするカウンタと、係数転送判別手段への入力のON、
    OFFを制御するスイッチとの有し、前記カウンタによっ
    てカウントされた数によって、前記スイッチのON、OFF
    を制御することを特徴とする請求項5記載のエコーキャ
    ンセラ。
  8. 【請求項8】 信号を一つ以上のサブバンド信号に分割
    する帯域分割手段と、サブバンド信号をフルバンドの信
    号に合成する帯域合成手段とを有し、各サブバンドごと
    に前記請求項1〜4記載のいずれからの係数転送判別器
    とBGフィルタとFGフィルタとを有することを特徴とする
    請求項5記載のエコーキャンセラ。
  9. 【請求項9】 信号を一つ以上のサブバンド信号に分割
    する帯域分割手段と、サブバンド信号をフルバンドの信
    号に合成する帯域合成手段とを有し、サブバンドを幾つ
    かのグループに分け、各グループ内で、適応フィルタの
    間引き処理を行ない、各サブバンドごとに前記請求項1
    〜4記載のいずれからの係数転送判別器とBGフィルタと
    FGフィルタとを有することを特徴とする請求項5記載の
    エコーキャンセラ。
  10. 【請求項10】 BGフィルタの係数更新アルゴリズムと
    して、最小二乗法(LS)タイプのアルゴリズムを用いる
    ことを特徴とする請求項1〜4記載の係数転送判別器。
  11. 【請求項11】 BGフィルタの係数更新アルゴリズムと
    して、LSタイプのアルゴリズムを用いることを特徴とす
    る請求項5〜9記載のエコーキャンセラ。
  12. 【請求項12】 FGフィルタとして、固定フィルタの代
    わりに適応フィルタを用いることを特徴とする請求項1
    〜4、10記載の係数転送判別器。
  13. 【請求項13】 FGフィルタとして、固定フィルタの代
    わりに適応フィルタを用いることを特徴とする請求項5
    〜9、11記載のエコーキャンセラ。
  14. 【請求項14】 FGフィルタとして、固定フィルタを用
    い、計算手段としてFFTを用いることを特徴とする請
    求項1〜4、10記載の係数転送判別器。
  15. 【請求項15】 FGフィルタとして、固定フィルタを用
    い、計算手段としてFFTを用いることを特徴とする請
    求項5〜9、11記載のエコーキャンセラ。
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