JP2000221155A - 銀/ハロゲン化銀参照電極、その製造方法およびイオン選択性電極 - Google Patents
銀/ハロゲン化銀参照電極、その製造方法およびイオン選択性電極Info
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Abstract
用される酸化剤に由来する重金属元素が、ハロゲン化銀
中にほとんど混入しない銀/ハロゲン化銀参照電極の製
造方法、その銀/ハロゲン化銀参照電極およびイオン選
択性電極を提供すること。 【解決手段】 非導電性支持体、銀層およびハロゲン化
銀層をこの順に有する銀/ハロゲン化銀参照電極であっ
て、ハロゲン化銀層がハロゲン化物の存在下に、キレー
ト化された三価の鉄塩によって銀層の表面を酸化するこ
とによって該表面上に形成された層である銀/ハロゲン
化銀参照電極。
Description
オン活量を測定するための、銀/ハロゲン化銀参照電
極、その製造方法、およびその銀/ハロゲン化銀参照電
極からなるイオン選択性電極に関する。
等)や液体(水道水、河川水、下水、産業排水等)の液
滴量を用い、その中に含まれる特定のイオン活量(イオ
ン濃度)を定量分析するイオン活量測定方法およびその
測定器具が実用化されている(特公平5−28341号
公報)。その方法は、互いに電気的に分離された一対の
銀/塩化銀電極の最上部にイオン選択性膜を備えたシー
ト状イオン選択性電極のそれぞれのイオン選択性膜表面
に、被検液および参照液を滴下し、次いでブリッジによ
り両液体を互いに電気的に導通させた状態において、各
イオン選択性電極間の電位差を測定することにより、被
検液中の特定のイオン活量を測定する方法である。上記
の測定器具については、特開昭56−6148号公報、
特開昭58−211648号公報等に記載がある。
として上記のように銀/塩化銀電極を利用している。銀
/塩化銀電極は、非導電性支持体、非導電性支持体上に
銀を被覆してなる銀層および該銀層を重金属塩等の酸化
剤で酸化して形成する塩化銀層とからなる。イオン選択
性電極を用いてイオン活量を測定するには、一対のイオ
ン選択性電極間の電位差を測定する必要がある。このた
め、イオン選択性電極の導電部位(銀/塩化銀電極にお
いては銀層)の端部に電気接続用領域が設けられる。
塩化銀電極において、銀層の一部に被覆したクロム層、
ニッケル層、あるいはクロムとニッケルとの合金層によ
って銀層との直接電気的接触を改善している。即ち、プ
ローブを塩化銀層を通過させて銀層と接触させると、銀
層が酸化反応の際に望ましくない反応(例えば、銀の腐
食等)を受けるために良好な電気的接触が得られなかっ
た。そこで、銀層の一部に導電性の高い、例えばクロム
層を設け、クロム層を有しない銀層のみを酸化して塩化
銀層を作製し、プローブをクロム層から銀層に接触させ
ることによって良好な電気的接触を達成することができ
る。ここで、銀層を酸化する酸化剤としては、重クロム
酸カリウム(K2Cr2O7)、過マンガン酸カリウム
(KMnO4)、フェリシアン化カリウム(K3Fe(C
N)6)、クロロクロム酸カリウム(KCrO3Cl)、
酸化バナジウムアンモニウム(NH4VO3)もしくは硝
酸セリウムアンモニウム((NH4)2Ce(NO3)6)
が用いられている。また、特開昭58−102146号
公報には、重クロム酸カリウムおよび塩酸からなる処理
剤を用いて銀層を酸化する方法が開示されている。
くは過マンガン酸カリウムが主流である。
/塩化銀参照電極上に塩素イオン選択性膜を備えてなる
塩素イオン選択性電極では、一定電位が発生せず、応答
速度も遅くなるという問題点を有する。これは、塩化銀
層中にクロム元素がクロム酸イオンとしてある程度混入
するためと考えられる。また、以下の問題も生じる。ク
ロム酸イオンが混入した結果、生成する重クロム酸銀
(Ag2Cr2O7)の溶解度は、塩化銀に比較して約1
00倍と大きいため、この重クロム酸銀が溶解し、塩素
イオン選択性膜中に溶出する。ここで、被検液として臭
素イオンを含む液体試料を使用した場合には、上記の銀
イオンは、塩素イオンとよりも臭素イオンと強く結合す
るために、塩素イオン選択性膜中で臭化銀が生成する。
電極は、この臭化銀に由来する臭素イオンを塩素イオン
として認識してしまうため、測定された塩素イオン活量
の値と実際の塩素イオン活量の値との間に誤差を生じ
る。臭素イオンが、ヨウ素イオンであっても同様であ
る。さらに、臭素イオン等の妨害イオンが電極の性能に
及ぼす影響は、時間と共に大きくなる。但し、重クロム
酸カリウム以外の酸化剤を使用した場合に、塩化銀層中
に生成した重金属を含む酸素酸の銀塩の溶解度が、塩化
銀よりも小さければ、銀イオンの溶出は起こらない。ま
た、重金属を含む酸素酸の銀塩の溶解度が塩化銀よりも
大きく、銀イオンがイオン選択性膜中に溶出したとして
も、被検液中に臭素イオン等の妨害イオンが存在しなけ
れば、電極の性能を低下させる影響を及ぼすことはな
い。
した場合にも、上記と同様に電位が安定しないという欠
点を有する。これは、塩化銀層中に過マンガン酸銀(A
gMnO4)が生成し、一定の電位の発生に悪影響を与
えると考えられる。しかし、重クロム酸カリウムの場合
と異なり、上記のようにイオン選択性膜へ銀イオンが溶
出し、その結果、妨害イオンの影響を受けることは少な
いと考えられる。
ため、その取り扱い、使用後の廃液処理等にも問題点を
有する。
酸カリウム等の重金属の酸素酸塩を酸化剤として使用し
たときに起こる、塩化銀への重金属元素の混入を避ける
ため、重金属元素の酸素酸塩以外で、かつ人体や環境に
無害の酸化剤を使用する銀のハロゲン化方法を開発する
必要がある。
ゲン化銀中に、銀/ハロゲン化銀参照電極の作製におい
て使用される酸化剤に由来する重金属元素の混入が抑制
された銀/ハロゲン化銀参照電極の製造方法、およびそ
の方法で得られた銀/ハロゲン化銀参照電極を提供する
ことにある。また、その銀/ハロゲン化銀参照電極から
なるイオン選択性電極をも提供し、試料中の特定のイオ
ンの活量の正確な定量を目的とする。
非導電性支持体、銀層およびハロゲン化銀層をこの順に
有する銀/ハロゲン化銀参照電極であって、ハロゲン化
銀層がハロゲン化物の存在下に、キレート化された三価
の鉄塩によって銀層の表面を酸化することによって該表
面上に形成された層であることを特徴とする銀/ハロゲ
ン化銀参照電極が上記の課題を解決できることが判明し
た。
において、ハロゲン化銀層は、塩化銀層である。
次いでハロゲン化物の存在下に、キレート剤によりキレ
ート化された三価の鉄塩によって銀層の表面を酸化して
該表面上にハロゲン化銀層を生成させることを特徴とす
る銀/ハロゲン化銀参照電極の製造方法も前記の課題を
解決できることが判明した。
ましい態様は、以下の通りである。 (1)キレート剤が、アミノカルボン酸化合物であるこ
とを特徴とする銀/ハロゲン化銀参照電極の製造方法。 (2)酸化が、pH2乃至6の範囲で行われることを特
徴とする銀/ハロゲン化銀参照電極の製造方法。
ハロゲン化銀層からなる電極層が二個、互いに電気的に
絶縁した状態で形成され、それぞれの電極層の上に電解
質層およびイオン選択性膜が形成され、さらに一方の電
極上のイオン選択性膜の上に被検液付与用開口部を有す
る水不透過性の非導電性部材が、そして他方の電極上の
イオン選択性膜の上に参照液付与用開口部を有する水不
透過性の非導電性部材が配置され、被検液および参照液
を互いに電気的に導通させる架橋部材によって、それぞ
れの開口部が互いに電気的に接続されてなるイオン選択
性電極であって、ハロゲン化銀層がハロゲン化物の存在
下に、キレート化された三価の鉄塩によって銀層の表面
を酸化することによって該表面上に形成されることを特
徴とするイオン選択性電極も前記の課題を解決できるこ
とが判明した。
択性電極の模式図を示す。非導電性支持体(11)上
に、銀層(22)およびハロゲン化銀層(33)からな
る電極層が二個、互いに電気的に絶縁した状態で形成さ
れている。これが、銀/ハロゲン化銀参照電極となる。
それぞれの電極層の上には、電解質層(44)(塩素イ
オン選択性電極の場合を除く)およびイオン選択性膜
(55)がこの順に設置されている。さらに、一方の電
極層のイオン選択性膜の上には、被検液付与用開口部
(61)を有する水不透過性の非導電性部材(マスク)
(77)が配置され、他方の電極層のイオン選択性膜の
上には、参照液付与用開口部(62)を有する水不透過
性の非導電性部材(マスク)(77)が配置されてい
る。被検液および参照液を互いに電気的に導通させる架
橋部材(88)がそれぞれの開口部を横切るように固定
され、このことによって、それぞれの開口部が互いに電
気的に接続される。
ン活量を測定するには、イオン選択性電極間の電位差を
測定する必要がある。まず、イオン選択性膜表面の被検
液付与用開口部と参照液付与用開口部とに、それぞれ被
検液および参照液を滴下する。被検液としては、液体試
料であれば何れのものであってもよい。生物液体試料
(血液、尿、唾液、髄液等)や液体試料(水道水、河川
水、下水、産業排水等)を用いることもできる。参照液
としては、後述する実施例で示す標準液Mを用いること
が好ましい。次いで、架橋部材により両溶液を互いに電
気的に導通させた状態において、イオン選択性電極間の
電位差を測定する。このため、イオン選択性電極の導電
部位の両端部に電気接続用領域を設ける。銀/ハロゲン
化銀参照電極においては、導電部位は銀層であり、銀層
の両端部に電気接続用領域が設けられる。
液側に生じた電位(E(被検液))と参照液に生じた電
位(E(参照液))との差によって与えられ、下記式
(I): (I) E(被検液)−E(参照液)=(N/z)×Log(被
検液の活量/参照液の活量) で表される。ここで、Nは、ネルンスト(Nerns
t)の定数であり、25℃におけるNは、59.2mV
である。zは、イオン価数である。
リエチレンテレフタレート、セルロースエステル、ビス
フェノールAのポリカーボネート、ポリメチルメタクリ
レート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。ポ
リエチレンテレフタレートもしくはセルロースエステル
を用いることが好ましい。ポリエチレンテレフタレート
を用いることが特に好ましい。
mの範囲にあることが好ましく、80〜400μmの範
囲にあることが特に好ましい。
漬被覆、ロール被覆、ブラッシュ被覆等により行うこと
が好ましい。銀層の厚さは、0.5〜1μmの範囲にあ
ることが好ましく、0.6〜0.8μmの範囲にあるこ
とがさらに好ましい。
は、イオン選択性電極の電気接続用領域になるため、ハ
ロゲン化されないように油溶性ポリマーで被覆してお
く。油溶性ポリマーは、塩化ビニルあるいは塩化ビニリ
デンを主成分とするポリマー組成物であることが好まし
い。ポリマーは、ホモポリマーあるいはコポリマーの何
れであってもよい。コポリマーは、塩化ビニリデンを少
なくとも全体の50モル%、好ましくは80モル%を含
み、これと共重合しうるモノマーからなる。このような
モノマーとしては、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、
メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、アクリロ
ニトリル、エチレン、プロピレンもしくはビニルエーテ
ルであることが好ましい。また、塩化ビニル−塩化ビニ
リデンコポリマーは、両モノマーの含有率の広い範囲に
渡って用いることができるが、概して塩化ビニリデンの
含有率が約5〜50モル%の範囲にあることが好まし
い。ポリマーの分子量は、約2千〜約20万の範囲にあ
り、約3千〜約10万の範囲にあることが好ましい。
価の鉄塩およびハロゲン化物を有する反応槽に、銀を被
覆した非導電性支持体を浸漬して行うことが望ましい。
反応槽中の鉄塩の濃度は、100〜500mMの範囲に
あることが好ましく、150〜250mMの範囲にある
ことがさらに好ましい。浸積後、水洗を行い乾燥する。
これらのハロゲン化、水洗および乾燥の一連の工程は、
反応槽、水洗槽および乾燥ゾーンを有する連続自動処理
機を用いて行ってもよい。
合物を用いることが好ましい。アミノカルボン酸化合物
としては、プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、エチ
レンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミ
ン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸
(THHA)、エチレンジアミンジスクシネート(ED
DS)もしくはN,N−ジカルボキシメチルグルタメー
ト・4Na(GLDA・4Na)を用いることが好まし
い。プロパンジアミン四酢酸(PDTA)もしくはエチ
レンジアミン四酢酸(EDTA)を用いることが特に好
ましい。アミノカルボン酸化合物でキレート化された三
価の鉄塩ではないが、フェリシアン化カリウム(K3F
e(CN)6)、フェロシアン化カリウム(K2Fe(C
N)6)を用いることもできる。
DTAでキレート化した三価の鉄塩(PDTA・F
e3+)もしくはEDTAでキレート化した三価の鉄塩
(EDTA・Fe3+)であることが好ましく、PDTA
・Fe3+であることが特に好ましい。
て使用された後、二価の鉄塩となるが、空気、窒素等の
気体の吹き付け、あるいは過酸化水素によって、容易に
元の三価の鉄塩に変換することができる。過酸化水素以
外の酸化剤を用いることもできるが、酸化剤の残存等の
影響を生じないものが好ましい。キレート化した三価の
鉄塩は、何回でも繰り返し使用することができる。
発生するものであれば何れも用いることができ、ハロゲ
ン化銀の種類に応じて選択することができる。ハロゲン
化銀が塩化銀である場合、塩化ナトリウムを用いること
が好ましい。塩化ナトリウムの濃度は、50〜150m
Mの範囲にあることが好ましい。
ることが好ましい。一方、重クロム酸カリウムを酸化剤
として使用する場合には、pHを1.1〜2.1の範囲
に厳密にコントロールする必要があり、反応のpH依存
性が大きい。反応槽中には、キレート化した三価の鉄塩
およびハロゲン化物の他にpH調整剤を含む。pH調整
剤としては、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝
液、ホウ酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝液等を用
いることができる。緩衝液は、1〜10mg/m2の濃
度範囲で用いられることが好ましい。
好ましい。ハロゲン化銀層の厚さは、銀層の厚さの約1
/3〜1/2の範囲にあることが好ましい。
る電極層上に、以下の塩の水溶液を必要に応じ連続塗布
機を用いて塗布することによって形成される。塩は、ハ
ロゲン化銀の組成に依存して、アンモニウム、アルカリ
金属、アルカリ土類金属およびその混合物からなる群よ
り選ばれるカチオンと、ハロゲンイオンとからなること
が好ましい。即ち、ハロゲン化銀と同一のハロゲンイオ
ンおよび検出することを目的とするイオンを含んでいる
ことが好ましい。例えば、塩化銀を有するナトリウムイ
オン選択性電極では、塩化ナトリウムの水溶液を塗布す
ることが好ましい。塩化銀を有するカリウムイオン選択
性電極では、塩化ナトリウムであってもよいが、塩化カ
リウムの水溶液を塗布することがさらに好ましい。塩化
銀を有する塩素イオン選択性電極では、電解質層を設け
る必要がない。電解質層の厚さは、1〜10g/m2の
範囲にあることが好ましい。
される。固体膜には、ガラス膜、単結晶膜、難溶性沈殿
膜等が、液膜には、液状イオン交換体膜、ニュートラル
キャリア膜等がある。難溶性沈殿膜は、沈殿を加圧成型
した膜、あるいはシリコーンゴム等のマトリックスを加
えてペレット状に成型した膜である。液膜は、イオン交
換体やニュートラルキャリアの非水溶液そのものである
か、あるいはそれをポリ塩化ビニル等のポリマー膜に含
浸保持させたものである。イオン選択性膜は、測定すべ
きイオンに対応したイオン選択性物質を電解質層上にロ
ール被覆によって形成されることが好ましい。イオン選
択性膜の厚さは、5〜50μmの範囲にあることが好ま
しい。
被検液付与用開口部と参照液付与用開口部とを有する部
材であり、イオン選択性膜と接合される。マスク上に
は、被検液および参照液を互いに電気的に導通させる架
橋部材が接合固定される。接合は、接着剤(感圧接着
剤、感熱接着剤等)、熱融着、あるいは物理的係合材に
より行われることが好ましい。
せる架橋部材としては、ポリエチレンテレフタレート加
撚糸、メンブレンフィルタ、濾紙、特開昭55−204
99号公報に記載の両面に疎水性有機ポリマー層をラミ
ネートした濾紙等からなる糸ブリッジを好ましく使用す
ることができる。
の大きさは、何れも2〜5μmの範囲にあることが好ま
しい。滴下する標準液および被検液の量は、何れも5〜
15μLの範囲にあることが好ましい。
活量の測定は、例えば塩素イオン活量が、50〜175
ミリ当量/Lの範囲の液体試料について実施するのが好
ましい。カリウムイオン活量およびナトリウムイオン活
量については、それぞれ1〜14ミリ当量/Lの範囲、
75〜250ミリ当量/Lの範囲の液体試料について実
施することが好ましい。
ンテレフタレート(PET)フィルム上に、銀を0.8
μmの厚みになるように蒸着した。フィルム上に蒸着さ
れてなる銀層の中央部分を電気的に絶縁して、二つに分
離した銀層を有するフィルムとした。このものを幅方向
に24mmの幅で切断した。
被覆 上記(1)で得られた銀層を有するフィルムの両端部分
に5mm幅の油溶性ポリマー(フロンマスクMA−1
(古藤産業(株)製))を塗布して乾燥した。
フィルムを、プロパンジアミン四酢酸(PDTA)でキ
レート化した鉄塩(III)(200mM)、酢酸(5
0mM)、酢酸ナトリウム(50mM)および塩化ナト
リウム(100mM)を含むpH4.6の水溶液(50
0mL)有する反応槽に浸積し、室温(約25℃)で1
80秒間反応を行った。次いで、水洗し、50℃で乾燥
を行い、銀/塩化銀参照電極(I)とした。
塩化ナトリウム水溶液を塗布し電解質層を形成した。次
いで、電解質層上に、トリ−n−オクチルメチルアンモ
ニウムクロリドおよびポリビニルブチラールのエタノー
ル溶液を塗布し、塩素イオン選択性膜を形成した。さら
に、被検液付与用開口部と参照液付与用開口部とを有す
る両面テープを、一方の塩素イオン選択性膜上に被検液
付与用開口部が位置し、他方の塩素イオン選択性膜上に
参照液付与用開口部が位置するように接着した。そし
て、開口部間を横切るように糸ブリッジを固定し、塩素
イオン選択性電極(1)とした。同様にして、塩化カリ
ウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液をそれぞれ塗布し
て、カリウムイオン選択性電極(2)、ナトリウムイオ
ン選択性電極(3)を作製した(図1)。
ぞれ、実施例1で得られた塩素イオン選択性電極(2)
の被検液付与用開口部、参照液付与用開口部に同時点着
し、60秒後に電位計(901型機、オリオン社製)に
より電位を測定した。各標準液の組成については、下記
第1表に示す。但し、PVPK−15は、ポリビニルピ
ロリドンを表す。 第1表 ──────────────────────────────────── 組成 標準液L 標準液M 標準液H ──────────────────────────────────── 塩化ナトリウム 70mM 100mM 140mM 炭酸水素ナトリウム 20mM 30mM 30mM リン酸第二水素カリウム 2.5mM 4mM 6mM PVPK−15 3容量% 3容量% 3容量% グリセリン 2容量% 2容量% 2容量% ────────────────────────────────────
場合についても、同様にして60秒後の電位を測定し
た。これらの結果を図2に示す。横軸を、被検液中の塩
素イオン活量に対する参照液中の塩素イオン活量の比の
対数(Log[被検液中の塩素イオン活量/参照液中の
塩素イオン活量])とし、縦軸を電位とすると、図2の
−黒塗り四角−は、Log[被検液中の塩素イオン活量
/参照液中の塩素イオン活量]値が大きくなる方向に、
順にLog[標準液L中の塩素イオン活量/標準液M中
の塩素イオン活量]における電位、Log[標準液M中
の塩素イオン活量/標準液M中の塩素イオン活量]にお
ける電位、およびLog[標準液H中の塩素イオン活量
/標準液M中の塩素イオン活量]における電位である。
Log[被検液中の塩素イオン活量/参照液中の塩素イ
オン活量]値をX、電位をYとすると、これらの関係
は、下記式(II): (II) Y=−47.414×(X)+95.145 で表される。
する参照液中の塩素イオン活量の比の対数と電位との関
係は、良好な直線関係を示したことから、塩素イオン選
択性電極(1)は、ネルンスト(Nernst)の理論
に従った電位の応答をしていることが分かった。
M)を、前記記載の塩素イオン選択性電極(1)のそれ
ぞれの開口部に同時点着した後、6秒おきに電位を測定
した。測定は、3回づつ行った(後述する図4以降で
は、測定を4回行った場合もある)。また、標準液Mお
よびHをそれぞれ被検液とした場合についても同様にし
て電位の測定を行った。これらの電位測定の結果を図3
に示す。但し、−□−、−△−および−○−は、それぞ
れ被検液として、標準液L、MおよびHを用いたときの
電位を表す。
応答速度が速く、電位が収束していることが分かった。
用いる電位の測定 実施例1で得られたカリウムイオン選択性電極(2)を
用いる以外は、上記(A)と同様にして被検液として標
準液L、MおよびHをそれぞれ用い、電位の測定を行っ
た。電位測定の結果を図4に示す。但し、−×−、−黒
塗り丸−および−□−は、それぞれ被検液として、標準
液L、MおよびHを用いたときの電位を表す。
を用いる電位の測定 実施例1で得られたナトリウムイオン選択性電極(3)
を用いる以外は、前記(A)と同様にして被検液として
標準液L、MおよびHをそれぞれ用い、電位の測定を行
った。電位測定の結果を図5に示す。但し、−×−、−
黒塗り丸−および−□−は、それぞれ被検液として、標
準液L、MおよびHを用いたときの電位を表す。
電極(2)およびナトリウムイオン選択性電極(3)を
用いた場合にも、塩素イオン選択性電極(1)と同様
に、一定の電位の発生が認められた。特に、標準液Lを
用いた場合には、経過時間に伴う電位の変化が小さいこ
とが分かった。また、何れの電極においても、塩素イオ
ン選択性電極(1)と同様に、被検液のイオン活量に対
する参照液のイオン活量の比の対数とその電位との関係
は、ネルンスト(Nernst)の理論に従うことが別
途確認された(データ非表示)。
ウムを用いる以外は実施例1と同様にして、銀/塩化銀
参照電極(II)を得た。但し、反応は、25℃で90
秒間行った。続いて3種類のイオン選択性電極(塩素イ
オン選択性電極(4)、カリウムイオン選択性電極
(5)およびナトリウムイオン選択性電極(6))を作
製した。
ン選択性電極(4)、カリウムイオン選択性電極(5)
およびナトリウムイオン選択性電極(6)のそれぞれに
変える以外は実施例2と同様にした。結果をそれぞれ図
6、7および8に示す。但し、図6における−□−、−
△−および−○−は、それぞれ被検液として、標準液
L、MおよびHを用いたときの電位を表し、図7および
8における−×−、−黒塗り丸−および−□−は、それ
ぞれ被検液として、標準液L、MおよびHを用いたとき
の電位を表す。
ムを酸化剤として用いて得られた銀/塩化銀参照電極
(II)からなるイオン選択性電極は、キレートされた
鉄塩を用いて得られた対応する銀/塩化銀参照電極
(I)からなるイオン選択性電極に比べて、電極の応答
性や収束性が低下することが分かった。特に、カリウム
イオン選択性電極においては、電位の収束性に欠けた。
このことは、重クロム酸カリウムによる銀層の酸化によ
って生成した塩化銀中に、クロム元素が重クロム酸イオ
ンとして取り込まれた結果、生成した重クロム酸銀が電
極の性能に影響を及ぼしたと考えられる。実際に取り込
まれた量については、後述する実施例3に示す。
リウムを用いる以外は実施例1と同様にして、銀/塩化
銀参照電極(III)を得、続いて塩素イオン選択性電
極(7)を作製した。
を、上記の塩素イオン選択性電極(7)に変える以外
は、実施例2と同様にした。結果を図9に示す。但し、
−□−、−△−および−○−は、それぞれ被検液とし
て、標準液L、MおよびHを用いたときの電位を表す。
は、塩素イオン選択性電極(1)に比べて、電位の応答
性や収束性が低いことが分かった。
ガン酸イオンとして混入した結果、生成した過マンガン
酸銀が電極の性能に影響を与えたものと考えられる。実
際の混入の割合については、後述する実施例3に示す。
尚、塩素イオン選択性電極(4)、カリウムイオン選択
性電極(5)、ナトリウムイオン選択性電極(6)およ
び塩素イオン選択性電極(7)についても、被検液のイ
オン活量に対する参照液のイオン活量の比の対数とその
電位との関係は、ネルンスト(Nernst)の理論に
従うことを別途確認した(データ非表示)。
較例2でそれぞれ得られた銀/塩化銀参照電極(I)、
(II)、(III)について、蛍光X線測定機(SE
A2001、セイコー電子工業(株)製)によって、含
有元素の元素分析を行った。結果を第2表に示す。数字
は、蛍光X線の強度(cps)を示す。 第2表 ──────────────────────────────────── 電極(I) 電極(II) 電極(III) ──────────────────────────────────── 塩素 121.71 140.93 121.33 クロム 0.00 75.36 0.00 マンガン 0.00 0.00 52.09 鉄 4.56 0.00 0.00 銀 292.09 288.94 291.28 ────────────────────────────────────
製において、酸化剤としてキレートした三価の鉄塩を用
いた場合には、鉄元素の塩化銀中への混入がかなりの低
濃度で起こることが分かった。しかし、図3、4および
5に示すように、この混入が電極の性能に与える影響は
ほとんどないことが認められた。そのため、酸化剤とし
てキレートした三価の鉄塩を用いて作製された銀/塩化
銀参照電極(I)からなるイオン選択性電極は、重クロ
ム酸カリウムや過マンガン酸カリウムを用いた場合に比
べて、電位の応答性や収束性に優れることが明らかとな
った。
M)、炭酸水素ナトリウム(30mM)、リン酸第二水
素カリウム(4mM)、PVPK−15(3容量%)お
よびグリセリン(2容量%)を含む水溶液(参照液とす
る)に、臭素イオンの濃度がそれぞれ0、2、4、6お
よび8mMとなるように臭化ナトリウムを添加し、臭素
イオンの濃度が互いに異なる各溶液を調製した。これら
を被検液とした。次いで、上記の被検液(臭素イオン濃
度:0mM)および参照液を、実施例2の塩素イオン選
択性電極(1)のそれぞれの開口部に同時点着した後、
60秒後、1週間後、2週間後および4週間後のそれぞ
れの塩素イオン活量を測定した。また、臭素イオン濃度
がそれぞれ2、4、6および8mMである各被検液につ
いても、同様に上記の経過時間での塩素イオン活量を測
定した。結果を図10に示す。ここで、−黒塗りひし形
−、−黒塗り四角−、−×−および−△−は、それぞれ
塩素イオン活量の測定を60秒後、1週間後、2週間後
および4週間後に行った結果である。
(重クロム酸カリウムを用いて作製した塩素イオン選択
性電極)を用いる以外は、実施例4と同様にして塩素イ
オン活量を測定した。結果を図11に示す。
塩素イオン活量が増えたのは、以下の理由によるものと
考えられる。塩素イオン選択性電極(4)を構成する銀
/塩化銀参照電極中には、前記第2表に示した通り、ク
ロム原子が重クロム酸イオンとして取り込まれており、
この重クロム酸イオンは、塩化銀中で重クロム酸銀を生
成している。重クロム酸銀は溶解度が高いため、溶解し
た結果、銀イオンが塩素イオン選択性膜中へ移行し、参
照液由来の臭素イオンは、銀イオンと強く結合する。そ
の結果、銀/塩化銀参照電極がこの臭素イオンまでをも
塩素イオンとして認識していまい、応答してしまったも
のと考えられる。従って、時間が経過すると、塩素イオ
ン選択性膜中のこの臭素イオンの濃度が高くなり、塩素
イオン活量として測定される値の誤差が大きくなること
が判明した。図10および11に示すように、塩素イオ
ン選択性電極(4)では、時間経過に伴い塩素イオン活
量の測定値が臭素イオンの影響をより大きく受けるのに
対して、塩素イオン選択性電極(1)では、この影響を
ほとんど受けないことが分かった。
の鉄塩を用いる銀/ハロゲン化銀参照電極の製造方法で
は、ハロゲン化銀中への鉄元素の混入をほぼ回避するこ
とができる。よって、この銀/ハロゲン化銀参照電極に
イオン選択性膜を付したイオン選択性電極を使用するこ
とによって、試料中の特定のイオンの活量を正確に定量
することができる。従来は、生物液体試料等を検体とし
たときには、試料中に含まれる妨害イオンの影響によっ
て特定のイオン活量の正確な定量が困難であったが、本
発明はこの問題を解決するものである。また、鉄は、他
の重金属に比べ、人体および環境への有害性が低い上
に、キレートされた三価の鉄塩は、酸化剤として使用し
た後、容易に三価の鉄塩へと再生することができ、コス
トの面でも優れている。
る。
たときの、標準液Lのイオン活量に対する参照液のイオ
ン活量の比の対数(Log[被検液中の塩素イオン活量
/参照液中の塩素イオン活量])と電位との関係を示す
グラフである。
を示すグラフである。
性能を示すグラフである。
の性能を示すグラフである。
を示すグラフである。
性能を示すグラフである。
の性能を示すグラフである。
を示すグラフである。
響を示すグラフである。
響を示すグラフである。
橋部材
Claims (6)
- 【請求項1】 非導電性支持体、銀層およびハロゲン化
銀層をこの順に有する銀/ハロゲン化銀参照電極であっ
て、ハロゲン化銀層がハロゲン化物の存在下に、キレー
ト化された三価の鉄塩によって銀層の表面を酸化するこ
とによって該表面上に形成された層であることを特徴と
する銀/ハロゲン化銀参照電極。 - 【請求項2】 ハロゲン化銀層が、塩化銀層であること
を特徴とする請求項1に記載の銀/ハロゲン化銀参照電
極。 - 【請求項3】 非導電性支持体上に銀層を形成し、次い
でハロゲン化物の存在下に、キレート剤によりキレート
化された三価の鉄塩によって銀層の表面を酸化して該表
面上にハロゲン化銀層を生成させることを特徴とする銀
/ハロゲン化銀参照電極の製造方法。 - 【請求項4】 キレート剤が、アミノカルボン酸化合物
であることを特徴とする請求項3に記載の銀/ハロゲン
化銀参照電極の製造方法。 - 【請求項5】 酸化が、pH2乃至6の範囲で行われる
ことを特徴とする請求項3に記載の銀/ハロゲン化銀参
照電極の製造方法。 - 【請求項6】 非導電性支持体上に、銀層およびハロゲ
ン化銀層からなる電極層が二個、互いに電気的に絶縁し
た状態で形成され、それぞれの電極層の上に電解質層お
よびイオン選択性膜が形成され、さらに一方の電極上の
イオン選択性膜の上に被検液付与用開口部を有する水不
透過性の非導電性部材が、そして他方の電極上のイオン
選択性膜の上に参照液付与用開口部を有する水不透過性
の非導電性部材が配置され、被検液および参照液を互い
に電気的に導通させる架橋部材によって、それぞれの開
口部が互いに電気的に接続されてなるイオン選択性電極
であって、ハロゲン化銀層がハロゲン化物の存在下に、
キレート化された三価の鉄塩によって銀層の表面を酸化
することによって該表面上に形成されることを特徴とす
るイオン選択性電極。
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---|---|---|---|
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EP00101658A EP1026500A1 (en) | 1999-02-01 | 2000-02-01 | Silver/silver halide electrode and ion-selective electrode element |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007263798A (ja) * | 2006-03-29 | 2007-10-11 | Fujifilm Corp | 塩素イオン選択電極 |
-
1999
- 1999-02-01 JP JP02414399A patent/JP3808227B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2007263798A (ja) * | 2006-03-29 | 2007-10-11 | Fujifilm Corp | 塩素イオン選択電極 |
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