JP2000220639A - 積層摺動部材及びその製造方法 - Google Patents

積層摺動部材及びその製造方法

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JP2000220639A
JP2000220639A JP25013799A JP25013799A JP2000220639A JP 2000220639 A JP2000220639 A JP 2000220639A JP 25013799 A JP25013799 A JP 25013799A JP 25013799 A JP25013799 A JP 25013799A JP 2000220639 A JP2000220639 A JP 2000220639A
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Kosaku Asagi
康策 浅黄
Toshiharu Yamabayashi
稔治 山林
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NIPPON ARAMIDO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 芳香族ポリアミドとフッ素樹脂を含む潤滑層
を有し、摩擦摩耗性能に優れた積層摺動部材を提供す
る。 【解決手段】 台金、及び該台金に結合された、芳香族
ポリアミドとフッ素樹脂を含む潤滑層を有する積層摺動
部材において、該芳香族ポリアミドが3〜25m /g
のBET比表面積を有するパルプであり、かつ潤滑層の
重量に対して10〜70重量%の量で潤滑層に含有され
ており、また該フッ素樹脂が5g/10分以上のメルト
フローレイト(372℃で5kgの負荷で測定)を有し
かつ潤滑層の重量に対して5〜70重量%の量で含有さ
れていることを特徴とする積層摺動部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば各種産業
機器の軸受またはブッシュとして使用されうる積層摺動
材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】積層摺動材は、例えば、特開昭52−2
4907に開示されている様に基本構造として四フッ化
エチレン樹脂等の摺動層、青銅層、および台金の3層構
造をとる。今日に至るまで摺動層の摩擦摩耗特性を向上
させることと、その製造方法を経済的に行うことを中心
に技術開発がなされてきた。一般的に、四フッ化エチレ
ン樹脂からなる摺動材組成物は、熱ロールによって焼結
した青銅層に含浸されるため、溶融時の流動性が高いこ
とが摺動層を構成する材料の一つの条件となっている。
特表平9−500195では、潤滑層がフィブリル化し
た芳香族ポリアミド繊維を2〜10体積%含有する四フ
ッ化エチレン樹脂を含む滑り軸受が開示されているが、
潤滑層の溶融流動性を高くするために潤滑層中の芳香族
ポリアミド繊維の含有率が小さい。このため、摺動時の
摩耗性能が改善されないといった性能面での問題点や、
製造時に潤滑層成分と有機潤滑剤(トルエン)を含む泥
漿物を形成していることから、有機潤滑剤の除去を行う
ための装置が必要となり経済的ではない。これらの理由
から、経済的な方法で摺動特性の良い積層摺動材を作る
ことが望まれていた。
【0003】本出願人の特開平11−71469号公報
には、芳香族ポリアミドのパルプとフッ素樹脂からなる
シートを積層して作られた摺動材が記載されており、そ
れは良好な摩擦特性を示す。しかしながら、製造時にお
いてシート状物と台金とを圧着させる要する圧力の低減
と、さらなる摺動特性の向上が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、芳香
族ポリアミドとフッ素樹脂からなる潤滑層を有する摩擦
磨耗性能に優れた積層摺動部材を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、製造時において、比較的低
い圧力で潤滑層と台金を圧着でき、かつ潤滑層と台金と
の間の接着強度が大きいところの積層摺動材の製造方法
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は次に記す
発明である。 (1)台金、及び該台金に結合された、芳香族ポリアミ
ドとフッ素樹脂を含む潤滑層を有する積層摺動部材にお
いて、該芳香族ポリアミドが3〜25m/gのBET
比表面積を有するパルプであり、かつ潤滑層の重量に対
して10〜70重量%の量で潤滑層に含有されており、
また該フッ素樹脂が5g/10分以上のメルトフローレ
イト(372℃で5kgの負荷で測定)を有しかつ潤滑
層の重量に対して5〜70重量%の量で含有されている
ことを特徴とする積層摺動部材。 (2) 芳香族ポリアミドパルプとフッ素樹脂を有する
潤滑層が、該成分を水系分散液から抄造して得られたシ
ートからなることを特徴とする上記(1)記載の積層摺
動部材。 (3) 台金と潤滑層の間における引張剪断強度が45
kgf/cm以上であることを特徴とする(1)記載の積層
摺動部材。 (4)芳香族ポリアミドパルプとフッ素樹脂を含む潤滑
層中に、更にカーボン、二硫化モリブデン、ブロンズお
よび窒化硼素から選ばれた一種類以上を0.5〜25重
量%の割合で含むことを特徴とする(1)又は(2)記
載の積層摺動部材。 (5) 下記の(イ)乃至(ハ)の工程を有することを
特徴とする、(1)の積層摺動部材の製造方法 (イ)芳香族ポリアミドパルプとフッ素樹脂粉末が水中
に分散した分散液において、該フッ素樹脂粉末を凝集剤
により不安定化して、該フッ素樹脂粉末を芳香族ポリア
ミドパルプに沈着させる工程、(ロ)フッ素樹脂粉末が
沈着した上記芳香族ポリアミドパルプを抄造し、乾燥し
てシート状物を得る工程、および(ハ)該シート状物と
台金を圧着し、フッ素樹脂の融点以上に加熱する工程。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる芳香族ポリア
ミドパルプの原料となる芳香族ポリアミド樹脂は、アミ
ド結合の少なくとも85モル%以上が芳香族ジアミン、
芳香族ジカルボン酸成分より得られるものである。
【0007】その具体例としては、ポリパラフェニレン
テレフタルアミド、ポリメタフェニレンテレフタルアミ
ド、ポリパラベンズアミド、ポリ-4,4’-ジアミノベ
ンズアニリド、ポリパラフェニレン-2,6-ナフタリッ
クアミド、コポリパラフェニン/4,4’-(3,3’-
ジメチルビフェニレン)-テレフタルアミド、コポリパ
ラフェニレン/2,5-ピリジレンーテレフタルアミ
ド、ポリオルソフェニレンフタルアミド、ポリメタフェ
ニレンフタルアミド、ポリパラフェニレンフタルアミ
ド、ポリオルソフェニレンイソフタルアミド、ポリメタ
フェニレンイソフタルアミド、ポリパラフェニレンイソ
フタルアミド、ポリオルソフェニレンテレフタルアミ
ド、ポリ-1,5-ナフタレンフタルアミド、ポリ-4,
4’-ジフェニレンオルソフタルアミド、ポリ-4,4’
-ジフェニレンイソフタルアミド、ポリ-1,4-ナフタ
レンフタルアミド、ポリ-1,4-ナフタレンイソフタル
アミド、ポリ-1,5-ナフタレンイソフタルアミド等、
及びこれらの芳香族ジアミンのベンゼン核の一部をピペ
ラジン、1,5-ジメチルピペラジン、2,5-ジエチル
ピペラジンで置換した化合物等に代表される脂環式アミ
ンを含む芳香族ポリアミド、または芳香族ジアミンが
8,3’-オキシジフェニレンジアミン、3,4-オキシ
ジフェニレンジアミン等のエーテル結台、一S一、一S
O2一、一CO一、一NH一、等の基により結合された
2個のフェニル基を含む芳香族ポリアミドのコポリマ
ー、例えば、ポリ-8,8’-オキシジフェニレンテレフ
タルアミド/ポリパラフェニレンテレフタルアミド共重
合体、ポリ-3,4-オキシジフェニレンテレフタルアミ
ド/ポリパラフェレンテレフタルアミド共重合体等を挙
げることができる。
【0008】本発明に用いられる芳香族ポリアミドパル
プとは、上記の芳香族ポリアミド樹脂の繊維を高度にフ
ィブリル化させたものを言う。フィブリル化の指標とし
てはBET比表面積が良く用いられているが、本発明に
適したBET比表面積の値は3〜25m/g、より好
ましくは4〜20m/g、さらに好ましくは5〜16
/gである。パルプのBET比表面積の値が3m
/gより小さい場合は、繊維同士の絡み合いが充分に得
られないため、摺動特性の低下が認められる。また、比
表面積の値が25m/gより大きい場合は必然的に濾
水性が悪くなるので、抄造に長時間を要するために経済
性が悪くなる。
【0009】本発明に用いられるフッ素樹脂としては、
例えば四フッ化エチレン樹脂(以下PTFEということ
がある)、パーフルオロ-アルコキシ樹脂(以下、PF
Aということがある)、四フッ化エチレン-六フッ化プ
ロピレン共重合樹脂(以下、FEPということがあ
る)、四フッ化エチレン-エチレン共重合樹脂(以下、
ETFEということがある)、フッ化ビニリデン樹脂
(以下、PVDFということがある)、三フッ化塩化エ
チレン樹脂(以下、PCTFEということがある)等を
挙げらることができるが、中でも耐熱性の点でPTFE
の含有率を多くすることが好ましい。フッ素樹脂の好ま
しい平均粒径は0.01〜10μmであり、さらに好ま
しくは0.1〜1μmである。粒径が0.01より小さい
場合には粒子の繊維表面への沈着が困難となり、10μ
mより大きい場合には安定な分散液を得ることが難しく
なる。積層摺動材製造時におけるシート状物と台金との
圧着を低荷重で実現するには、372℃で5kgの負荷
を掛けて測定されるメルトフローレイトが 5g/10
分以上、好ましくは5〜40g/10分であるフッ素樹
脂の含有率を、5〜70重量%、より好ましくは10〜
60重量%、さらに好ましくは15〜50重量%とする
必要がある。メルトフローレイトが上記下限未満では、
あるいは、当該メルトフローレイトのフッ素樹脂の量が
上記下限未満では、低荷重での接着が不可能であり、上
記上限より大きい場合には得られた積層摺動材の潤滑層
と台金との接着強度が低下する。メルトフローレイト
は、フッ素樹脂の種類および分子量に依存し、所定のメ
ルトフローレイトのフッ素樹脂を得ることは当業者にと
って容易である。上記メルトフローレイトの2種類以上
のフッ素樹脂を組み合わせて用いることができる。
【0010】メルトフローレイトが5g/10分未満で
あるフッ素樹脂を更に添加してもよい。そのようなフッ
素樹脂は、摺動時の耐熱性を維持するよう働く。かかる
フッ素樹脂の量は、摺動条件、使用環境などに依存して
決められるが、一般に潤滑層重量に対して、好ましくは
0〜50重量%、特に0〜45重量%である。これより
多く用いると、シートを低荷重で接着できなくなる傾向
にある。
【0011】摺動特性をさらに向上させるために、第三
成分として、カーボン、二硫化モリブデン、ブロンズ、
窒化硼素を潤滑層中に添加することができる。該任意成
分は、本発明方法の工程(イ)において適宜の凝集剤に
より芳香族ポリアミドパルプ上に沈着させられる。
【0012】第三成分が粒子状である場合においての平
均粒径は、最終製品となる軸受等の摺動条件に関連する
が、好ましくは50μm以下で、より好ましくは25μ
m以下、さらに好ましくは、5μm以下である。50μ
mより大きくなると、摺動特性の低下する傾向が見られ
るだけでなく、抄造して得られたシート状物の強度低下
の原因となり、台金との圧着が困難となる。また、第三
成分が繊維状の形態である場合には、その径が50μm
以下で、繊維長が20mm以下であることが好ましい。
径が50μmより大きく、または、繊維長が20mmよ
り大きい場合には、均一に水中に分散させることが困難
であり均一なシート状物を得らることが困難である。潤
滑層中へのこれらの第三成分の添加量は0.5から25
重量%以下で、好ましくは1から15重量%、さらに好
ましくは2から10重量%である。添加量が0.5重量
%より少ない場合は十分に摺動特性を向上させる効果が
発現せず、25重量%より多い場合には、均一に分散し
た場合でもシート強度の低下の原因となり、台金との圧
着が困難となる。
【0013】芳香族ポリアミドパルプの配合比率は、潤
滑層の重量に対して10〜70重量%であり、最終製品
に依存して適宜選ばれる。芳香族ポリアミドパルプが1
0重量パーセント未満では、耐熱性が低くなるために高
速、高負荷をとる摺動条件下では摩耗量の増加が認めら
れる。また、芳香族ポリアミドパルプが70重量パーセ
ントより多いと台金との接着が不十分となり、積層摺動
材を作製することが困難である。フッ素質樹脂の量は好
ましくは、潤滑層の重量に対して5〜90重量%であ
る。
【0014】本発明において台金は、通常の軸受、ブッ
シュ等に用いられている機械構造用炭素鋼、機械構造用
合金鋼、ステンレス鋼、耐熱鋼、超合金、工具鋼、ばね
鋼、快削鋼、クラッド鋼、軸受鋼、鋳鍛造品、銅合金、
アルミニウム合金等である。必要に応じ、メッキ処理を
施したものを使用することができる。
【0015】台金と潤滑層との接着性を向上させるため
に、台金の表面には凹凸を設けることが好ましい。その
方法としては、例えばJISH9300等に記載されて
いる方法によりブラスト処理して台金の表面を粗くする
方法や、台金上に青銅等の銅合金、鉛、錫、亜鉛等を含
む合金等を溶射乃至は焼結して多孔質金属層を形成する
方法等をとることができるが、本発明はこれらの方法に
よって限定されるものではない。
【0016】本発明に従う積層摺動材の製造方法におけ
る工程(イ)における分散液中の芳香族ポリアミドパル
プの濃度は自由に選ぶことができるが、分散液の流動性
を損なわない範囲で、できるだけ高い濃度を選ぶ方が経
済性の点で望ましい。芳香族ポリアミドパルプの分散方
法は、木質パルプを抄紙する際に従来から用いられてい
る方法をそのまま適用することができる。例えば、各種
の離解機(パルパー)、ナイヤガラビーター等の各種の
ビーター、あるいはシングルディスクリファイナー等の
各種のリファイナー等を用いて分散液を調整することが
できる。
【0017】第三成分をも含む分散液を作る場合には、
フッ素樹脂粉末及び第三成分の夫々の水中分散液を作
り、それらを芳香族ポリアミドパルプの水中分散物と一
緒にすることが好ましい。フッ素樹脂粉末及び第三成分
の夫々の分散液(ディスパージョン又はエマルジョン等
と呼ばれることがある)は、アニオン系、カチオン系、
またはノニオン系の界面活性剤を含む水中にフッ素樹脂
粉末又は第三成分を安定に分散させて作製する。フッ素
樹脂粉末の分散液は、一般的には、1種類以上の界面活
性剤の存在下でフッ素樹脂の原料のモノマーを水系重合
させることによって調整することもできる。また、市販
されているフッ素樹脂粉末のディスパージョンをそのま
ま利用することも可能である。そのようなフッ素樹脂粉
末の水分散液として、例えば、旭硝子(株)、ダイキン
工業(株)等から市販されているフッ素樹脂ディスパー
ジョンを挙げることができる。また、第三成分について
も、例えば、日本黒鉛工業(株)等から市販されている
水系のカーボン分散液、二硫化モリブデン分散液、窒化
硼素分散液等をそのまま使用することができる。
【0018】凝集剤は、フッ素樹脂粉末及び第三成分の
水中での分散を不安定化させる作用を持ち、フッ素樹脂
粉末や第三成分を芳香族ポリアミドパルプの表面に沈着
させる役割を果たす。適用する凝集剤の種類、及び添加
量は、フッ素樹脂粉末や第三成分を分散させるのに用い
ている界面活性剤の種類、及び芳香族ポリアミドパルプ
の比表面積により決定される。
【0019】例えば、フッ素樹脂粉末と第三成分がノニ
オン系の界面活性剤で安定化されている場合は、凝集剤
として、強電解質、あるいはポリアクリルアミド系等の
高分子凝集剤、さらにはこれらの高分子凝集剤と強電解
質とを組合わせて適用することができる。凝集剤とし
て、ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸とグルコース類と
の縮合物及び多価の金属塩を併用することは、使用する
界面活性剤の種類に係わらず、特に有効である。縮合物
の例としては、タンニン酸、没食子酸等が挙げられる。
金属塩の例として、硫酸アルミニウムや塩化カルシウム
等が挙げられる。この時、系に水酸化カルシウム、アン
モニア、アルミン酸ソーダ等のアルカリ成分を加えて系
のpHを3.5から6.0の範囲に調整することは、フッ
素樹脂粉末や第三成分の実質上総てをパルプに沈着させ
るので有効である。
【0020】本発明においては、芳香族ポリアミドパル
プ、フッ素樹脂粉末、第三成分および凝集剤を最適に組
み合わせ、フッ素樹脂粉末や第三成分が緻密、且、均一
に付着した潤滑層を作製することが重要である。この点
から、芳香族ポリアミドパルプとしては、BET比表面
積の値が3〜25m/g、より好ましくは4〜20m
/g、さらに好ましくは5〜16m/gの範囲にあ
るものが適当である。
【0021】工程(ロ)では、フッ素樹脂粉末や第三成
分が沈着した芳香族ポリアミドパルプを常法に従って抄
造した後、必要に応じて脱水し、ついで乾燥してシート
状物を得る。本発明の方法においては、抄造は一般的に
利用されている長網式や丸網式の抄造機をそのまま適用
して行うことができる。
【0022】台金とシート状物の圧着は、プレスを用い
て行うことも可能であるが、生産性を向上させる観点か
らロールを用いて行うことが好ましい。例えば、抄造し
たシートと台金とをロールを用いて圧着した後、フッ素
樹脂の融点以上に加熱して摺動面となるシート層の焼成
を行う。圧着時のロール線圧は、ロールの温度が室温付
近である場合には、好ましくは200から1500kg
f/cmである。線圧が200kgf/cm未満の場合
には、台金とシート状物の接着が不十分となり、線圧が
1500kgf/cmより大きい場合には、圧着後のシ
ート面にしわが発生する。また、ロールの表面を加熱し
て圧着を行うことは、圧着に必要となる線圧を減少させ
るのに有効である。従来では多孔質金属層の孔中に潤滑
層となる部材を圧入するには高圧を必要をとしていた
が、本発明の潤滑層となるシートは流動性に優れるた
め、台金の表面性状に関わらず比較的低圧力でシートと
台金との圧着が可能であり、かつシートと台金との間の
接着が良好である。
【0023】圧着された積層材の焼成はフッ素樹脂の融
点以上の温度のオーブン中でバッチ式で行なうこともで
きるが、フッ素樹脂の融点以下の温度で台金に圧着した
シートをその後、該フッ素樹脂の融点以上の温度の加熱
ロールに台金と共に焼成することもできる。また、乾燥
後のシート状物を直接フッ素樹脂の融点以上の温度の加
熱ロールに台金と共に通して、圧着と焼成を同時に行な
うこともできる。さらに、台金をフッ素樹脂の融点以上
の温度に加熱しておき、シート状物を重ねて、ロールを
通過させる方法によっても圧着と焼成を行うことができ
る。ここで、潤滑層中に含まれるフッ素樹脂が二種類以
上になった場合は、融点の高い方の樹脂に焼成温度を合
わせる必要がある。本発明の積層摺動材は、必要に応じ
潤滑層中に合成油や鉱油等の潤滑油を含浸させて使用す
ることがあるが、本発明は潤滑油の種類やその含浸状態
によって限定されるものではない。
【0024】以下に本発明を実施例に基づいて、より具
体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
【0025】
【実施例】実施例中の測定は、以下に述べる測定方法に
従って実施した。 「物性評価方法」 1.摩擦磨耗試験 試験機:リングオンディスク縦型摩擦磨耗試験機(高千
穂精機社製) 試験片(平板状):縦30mm、横30mm 相手材:炭素鋼S55C、外径25.6mm、内径20.
0mm、高さ15.0mm 圧力:50kgf/cm、 速度:10m/分、 P
V=500 試験時間:20時間 2.メルトフローレイトの測定 試験機:メルトインデクサーTYPE C-5059D2(東洋精機
製作所製) ASTM D1238準拠 測定条件:温度 372℃、負荷 5kg 3.抄造したシートの流動性の評価 (1) 抄造したシートを6×6cmに切断し、345℃の平
板金型で500kgf/cmの面圧をかけて5分間プレスを
行う。(プレスには、神藤金属工業製、ホットプレスNS
FA-50を使用する。) (2) 続いて、室温の金型で500kgf/cmの面圧をかけ
て10分間プレスを行いシートを取り出す。シートの面
積を求め、元のシートの大きさ(6×6cm)に比べシ
ート面積がどれだけ増加したかを求め、面積の増加率を
シートの流動性の指標とする。 台金と潤滑層の間における引張剪断強度(以下、単に引
張剪断強度と云う)の測定方法 幅20mm,長さ100mmの積層摺動材(試料)を用
意する。この試料を構成する台金と潤滑層(シート)と
の間における引張剪断強度を測定するために、先ず、シ
ート層を引張ることができるようにする準備を行う。試
料の長さ方向の端乃至15mmのエリア(面積3c
)にフッ素樹脂用表面処理剤(テトラエッチA(商
標)、潤工社株式会社)を塗布することによって表面の
エッチングを行う。次に、十分に水洗し、乾燥させる。
エッチングした面にエポキシ樹脂系接着剤(EPOXI-PATC
H KIT 9340 GRAY(商標)、THE DEXTER CO.)を塗布
し、この塗布面に鋼板(幅20mm,長さ100mm、
厚さ1.6mm)の長さ方向の端乃至15mmのエリア
を貼り合わせ、60℃で2時間加熱する。用いた鋼版
は、一般構造用圧延鋼材(SS400)に#110のアルミ
ナ粉でブラスト処理を行ったものである。上記のように
して、積層摺動材のシート側に別の鋼版を接着剤で接着
された測定用試料を用意する。なお、シート側に別の鋼
版を接着する手段は上記に限定されるものではなく、積
層摺動材中の台金とシートとの間の接着よりも強い接着
を与える手段であればよい。 (3) 引張試験機を用いて、積層摺動材(台金とシー
ト)の他端及び上記別の鋼板の他端とをゲージ長50m
mで把持し、引張速度10mm/分で引張ることによ
り、引張破断荷重(kgf)を求める。 引張破断荷重/剪断面積(=3cm)=引張剪断強度
(kgf/cm) なお、別の鋼板を貼り合わせていない部分のシートの引
張破断荷重への寄与(シートの単なる引張強度)は、測
定された引張破断荷重の1/100オーダーなので無視
する。
【0026】
【実施例1】絶乾重量 2.34gのパラ系芳香族ポリ
アミドパルプ(商品名:トワロン1094(日本アラミ
ド(有)製、BET比表面積:12.9m/g、重量
平均繊維長1.5mm))と絶乾重量 3.91gのパラ
系芳香族ポリアミドパルプ(商品名:トワロン1097
(日本アラミド(有)製、BET比表面積:6.5m
/g、重量平均繊維長1.5mm))を400gのイオ
ン交換水と一緒に家庭用のミキサーにかけてパルプを水
中に均一に分散させた。さらに、11.72gのPTF
Eの分散液(商品名:フルオンディスパージョンAD1
(旭硝子(株)製、平均粒径0.25μm、固形分濃度
60%)、メルトフローレイト0g/10分)と4.6
9gのPFAの分散液(商品名:ネオフロンPFAディ
スパージョンAD-2CR(ダイキン工業(株)製、固
形分濃度50%)、メルトフローレイト27g/10
分)を上記のパラ系芳香族ポリアミドパルプ分散液に添
加した。その後、0.2重量%のアルミン酸ソーダ水溶
液6.25gとイオン交換水約161gを加え全量を5
90.1gとし、十分に攪拌を行った。そこにタンニン
酸0.6重量%及び硫酸アルミニウム0.4重量%を含
む水溶液34.9gを加えて、系内のタンニン酸の濃度
を335ppm、硫酸アルミニウムの濃度を223pp
mとした。そのまま10分間攪拌した後、高分子凝集剤
(商品名:サンフロックCH-799P、カチオン系、
三洋化成工業(株)製)の0.1%水溶液10gを添加
して1分間攪拌を行い、芳香族ポリアミドパルプの表面
にPTFEとPFAを沈着させた。これを角型シートマ
シン(熊谷理機(株)製)を用いて250mm角の金網
上に抄造し、脱水乾燥して芳香族ポリアミドパルプ/P
TFE/PFAの重量組成比が40/45/15のシー
ト状物を得た。このシートは、メルトフローレイトが2
7g/10分であるフッ素樹脂PFAを15重量%含
む。シートの流動性を測定した所、シートの面積増加率
は20%であった。厚さ1.6mmの一般構造用圧延鋼
材(SS400)に #110のアルミナ粉でブラスト処理を行
い、中心線平均粗さRa=5ミクロン、最大高さRmax=46
ミクロン、十点平均粗さRz=32ミクロンの鋼材を台金と
して用意した。上記シート状物のうちの1枚と台金を重
ね、室温で650kgf/cmの線圧を掛けてロール圧
着後、380℃の窒素雰囲気で1時間焼成して、潤滑層
の厚さが0.15mmの積層摺動材を得た。該積層摺動
材を再度ロールで矯正してそりをなくした後、摩擦摩耗
試験を行った。この積層摺動材の動摩擦係数は0.10
であり、摩耗量8ミクロンで磨耗係数は1.3×10
−5mm/kgf/cm・kmであった。
【0027】
【実施例2】絶乾重量 2.34gのパラ系芳香族ポリ
アミドパルプ(商品名:トワロン1094(日本アラミ
ド(有)製、BET比表面積:12.9m/g、重量
平均繊維長1.5mm))と絶乾重量 3.91gのパラ
系芳香族ポリアミドパルプ(商品名:トワロン1097
(日本アラミド(有)製、BET比表面積:6.5m
/g、重量平均繊維長1.5mm))を400gのイオ
ン交換水と一緒に家庭用のミキサーにかけてパルプを水
中に均一に分散させた。さらに、7.81gのPTFE
の分散液(商品名:フルオンディスパージョンAD1
(旭硝子(株)製、平均粒径0.25μm、固形分濃度
60%)、メルトフローレイト0g/10分)と9.3
8gのPFAの分散液(商品名:ネオフロンPFAディ
スパージョンAD−2CR(ダイキン工業(株)製、固
形分濃度50%)、メルトフローレイト27g/10
分)を上記のパラ系芳香族ポリアミドパルプ分散液に添
加した。その後、0.2重量%のアルミン酸ソーダ水溶
液6.25gとイオン交換水約160g加え全量を59
0.1gとし、十分に攪拌を行った。そこにタンニン酸
0.6重量%、硫酸アルミニウム0.4重量%を含む水
溶液34.9gを加えて、系内のタンニン酸の濃度を3
35ppm、硫酸アルミニウムの濃度を223ppmと
した。そのまま10分間攪拌した後、高分子凝集剤(商
品名:サンフロックCH−799P、カチオン系、三洋
化成工業(株)製)の0.1%水溶液10gを添加して
1分間攪拌を行い、芳香族ポリアミドパルプの表面にP
TFEとPFAを沈着させた。これを角型シートマシン
(熊谷理機(株)製)を用いて250mm角の金網上に
抄造し、脱水乾燥して芳香族ポリアミドパルプ/PTF
E/PFAの重量組成比が40/30/30のシート状
物を得た。このシートは、メルトフローレイトが27g
/10分であるフッ素樹脂PFAを30重量%含む。シ
ートの流動性を測定した所、シートの面積増加率は22
%であった。厚さ1.6mmの一般構造用圧延鋼材(SS
400)に #110のアルミナ粉でブラスト処理を行い、中
心線平均粗さRa=5ミクロン、最大高さRmax=46ミクロ
ン、十点平均粗さRz=32ミクロンの鋼材を台金として用
意した。上記シート状物と台金を重ね、室温で650k
gf/cmの線圧を掛けてロール圧着後、380℃の窒
素雰囲気で1時間焼成して、潤滑層の厚さが0.15m
mの積層摺動材を得た。該積層摺動材を再度ロールで矯
正してそりをなくした後、摩擦摩耗試験を行った。この
積層摺動材の動摩擦係数は0.13であり、摩耗量11
ミクロンで磨耗係数は1.8×10−5mm/kgf/
cm・kmであった。
【0028】
【実施例3】絶乾重量 2.34gのパラ系芳香族ポリ
アミドパルプ(商品名:トワロン1094(日本アラミ
ド(有)製、BET比表面積:12.9m/g、重量
平均繊維長1.5mm))と絶乾重量 3.91gのパラ
系芳香族ポリアミドパルプ(商品名:トワロン1097
(日本アラミド(有)製、BET比表面積:6.5m
/g、重量平均繊維長1.5mm))を400gのイオ
ン交換水と一緒に家庭用のミキサーにかけてパルプを水
中に均一に分散させた。さらに、18.75gのPFA
の分散液(商品名:ネオフロンPFAディスパージョン
AD−2CR(ダイキン工業(株)製、固形分濃度50
%)、メルトフローレイト27g/10分)を上記のパ
ラ系芳香族ポリアミドパルプ分散液に添加した。その
後、0.2重量%のアルミン酸ソーダ水溶液6.25g
とイオン交換水約158gを加え全量を590.1gと
して、十分に攪拌を行った。そこにタンニン酸0.6重
量%及び硫酸アルミニウム0.4重量%を含む水溶液3
4.9gを加えて、系内のタンニン酸の濃度を335p
pm、硫酸アルミニウムの濃度を223ppmとした。
そのまま10分間攪拌した後、高分子凝集剤(商品名:
サンフロックCH−799P、カチオン系、三洋化成工
業(株)製)の0.1%水溶液10gを添加して1分間
攪拌を行い、芳香族ポリアミドパルプの表面にPFAを
沈着させた。これを角型シートマシン(熊谷理機(株)
製)を用いて250mm角の金網上に抄造し、脱水乾燥
して芳香族ポリアミドパルプ/PFAの重量組成比が4
0/60のシート状物を得た。このシートは、メルトフ
ローレイトが 27g/10分であるフッ素樹脂を60
重量%含む。シートの流動性を測定した所、シートの面
積増加率は35%であった。厚さ1.6mmの一般構造
用圧延鋼材(SS400)に #110のアルミナ粉でブラスト
処理を行い、中心線平均粗さRa=5ミクロン、最大高さR
max=46ミクロン、十点平均粗さRz=32ミクロンの鋼材
を台金として用意した。上記シート状物のうちの1枚と
台金を重ね、室温で650kgf/cmの線圧を掛けて
ロール圧着後、380℃の窒素雰囲気で1時間焼成し
て、潤滑層の厚さが0.15mmの積層摺動材を得た。
該積層摺動材を再度ロールで矯正してそりをなくした
後、摩擦摩耗試験を行った。この積層摺動材の動摩擦係
数は0.11であり、摩耗量7ミクロンで磨耗係数は
1.2×10−5mm/kgf/cm・kmであっ
た。
【0029】
【実施例4】絶乾重量 2.34gのパラ系芳香族ポリ
アミドパルプ(商品名:トワロン1094(日本アラミ
ド(有)製、BET比表面積:12.9m/g、重量
平均繊維長1.5mm))と絶乾重量 3.91gのパラ
系芳香族ポリアミドパルプ(商品名:トワロン1097
(日本アラミド(有)製、BET比表面積:6.5m
/g、重量平均繊維長1.5mm))を400gのイオ
ン交換水と一緒に家庭用のミキサーにかけてパルプを水
中に均一に分散させた。さらに、11.72gのPTF
Eの分散液(商品名:フルオンディスパージョンAD1
(旭硝子(株)製、平均粒径0.25μm、固形分濃度
60%)、メルトフローレイト0g/10分)と4.6
9gのPFAの分散液(商品名:ネオフロンPFAディ
スパージョンAD−2CR(ダイキン工業(株)製、固
形分濃度50%)、メルトフローレイト27g/10
分)と1.56gの炭素粒子(商品名:ベルパールC2
000S、鐘紡(株)製)を上記のパラ系芳香族ポリア
ミドパルプ分散液に添加した。その後、0.2重量%の
アルミン酸ソーダ水溶液6.25gとイオン交換水約1
59gを加え、全量を590.1gとして、十分に攪拌
を行った。そこにタンニン酸0.6重量%、硫酸アルミ
ニウム0.4重量%を含む水溶液34.9gを加えて、
系内のタンニン酸の濃度を335ppm、硫酸アルミニ
ウムの濃度を223ppmとした。そのまま10分間攪
拌した後、高分子凝集剤(商品名:サンフロックCH−
799P、カチオン系、三洋化成工業(株)製)の0.
1%水溶液10gを添加して1分間攪拌を行い、芳香族
ポリアミドパルプの表面にPTFEとPFA及び炭素粒
子を沈着させた。これを角型シートマシン(熊谷理機
(株)製)を用いて250mm角の金網上に抄造し、脱
水乾燥して芳香族ポリアミドパルプ/PTFE/PFA
/炭素粒子の重量組成比が36/41/14/9のシー
ト状物を得た。このシートは、メルトフローレイトが
27g/10分であるフッ素樹脂を14重量%含む。シ
ートの流動性を測定した所、シートの面積増加率は19
%であった。厚さ1.6mmの一般構造用圧延鋼材(SS
400)に #110のアルミナ粉でブラスト処理を行い、中
心線平均粗さRa=5ミクロン、最大高さRmax=46ミクロ
ン、十点平均粗さRz=32ミクロンの鋼材を台金として用
意した。上記シート状物のうちの1枚と台金を重ね、室
温で650kgf/cmの線圧を掛けてロール圧着後、
380℃の窒素雰囲気で1時間焼成して、潤滑層の厚さ
が0.16mmの積層摺動材を得た。該積層摺動材を再
度ロールで矯正してそりをなくした後、摩擦摩耗試験を
行った。この積層摺動材の動摩擦係数は0.09であ
り、摩耗量10ミクロンで磨耗係数は1.7×10−5
mm/kgf/cm・kmであった。
【0030】
【実施例5】絶乾重量 2.34gのパラ系芳香族ポリ
アミドパルプ(商品名:トワロン1094(日本アラミ
ド(有)製、BET比表面積:12.9m/g、重量
平均繊維長1.5mm))と絶乾重量 3.91gのパラ
系芳香族ポリアミドパルプ(商品名:トワロン1097
(日本アラミド(有)製、BET比表面積:6.5m
/g、重量平均繊維長1.5mm))を400gのイオ
ン交換水と一緒に家庭用のミキサーにかけてパルプを水
中に均一に分散させた。さらに、7.81gのPTFE
の分散液(商品名:フルオンディスパージョンAD1
(旭硝子(株)製、平均粒径0.25μm、固形分濃度
60%)、メルトフローレイト0g/10分)と9.3
8gのFEPの分散液(商品名:ネオフロンFEPディ
スパージョンND−1(ダイキン工業(株)製、固形分
濃度50%)、メルトフローレイト8g/10分)を上
記のパラ系芳香族ポリアミドパルプ分散液に添加した。
その後、0.2重量%のアルミン酸ソーダ水溶液6.2
5gとイオン交換水約160gを加え全量を590.1
gとして、十分に攪拌を行った。そこにタンニン酸0.
6重量%及び硫酸アルミニウム0.4重量%を含む水溶
液34.9gを加えて、系内のタンニン酸の濃度を33
5ppm、硫酸アルミニウムの濃度を223ppmとし
た。そのまま10分間攪拌した後、高分子凝集剤(商品
名:サンフロックCH−799P、カチオン系、三洋化
成工業(株)製)の0.1%水溶液10gを添加して1
分間攪拌を行い、芳香族ポリアミドパルプの表面にPT
FEとFEPを沈着させた。これを角型シートマシン
(熊谷理機(株)製)を用いて250mm角の金網上に
抄造し、脱水乾燥して芳香族ポリアミドパルプ/PTF
E/FEPの重量組成比が40/30/30のシート状
物を得た。このシートは、メルトフローレイトが 8g
/10分であるフッ素樹脂を30重量%含む。シートの
流動性を測定した所、シートの面積増加率は33%であ
った。厚さ1.6mmの一般構造用圧延鋼材(SS400)
に #110のアルミナ粉でブラスト処理を行い、中心線平
均粗さRa=5ミクロン、最大高さRmax=46ミクロン、十
点平均粗さRz=32ミクロンの鋼材を台金として用意し
た。上記シート状物のうちの1枚と台金を重ね、室温で
650kgf/cmの線圧を掛けてロール圧着後、38
0℃の窒素雰囲気で1時間焼成して、潤滑層の厚さが約
0.15mmの積層摺動材を得た。該積層摺動材を再度
ロールで矯正してそりをなくした後、摩擦摩耗試験を行
った。この積層摺動材の動摩擦係数は0.12であり、
摩耗量7ミクロンで磨耗係数は1.2×10−5mm/
kgf/cm・kmであった。
【0031】
【実施例6】絶乾重量 2.34gのパラ系芳香族ポリ
アミドパルプ(商品名:トワロン1094(日本アラミ
ド(有)製、BET比表面積:12.9m/g、重量
平均繊維長1.5mm))と絶乾重量 3.91gのパラ
系芳香族ポリアミドパルプ(商品名:トワロン1097
(日本アラミド(有)製、BET比表面積:6.5m
/g、重量平均繊維長1.5mm))を400gのイオ
ン交換水と一緒に家庭用のミキサーにかけてパルプを水
中に均一に分散させた。さらに、11.72gのPTF
Eの分散液(商品名:フルオンディスパージョンAD1
(旭硝子(株)製、平均粒径0.25μm、固形分濃度
60%)、メルトフローレイト0g/10分)と4.6
9gのFEPの分散液(商品名:ネオフロンFEPディ
スパージョンND−1(ダイキン工業(株)製、固形分
濃度50%)、メルトフローレイト8g/10分)を上
記のパラ系芳香族ポリアミドパルプ分散液に添加した。
その後、0.2重量%のアルミン酸ソーダ水溶液6.2
5gとイオン交換水約161gを加え全量を590.1
gとして十分に攪拌を行った。そこにタンニン酸0.6
重量%及び硫酸アルミニウム0.4重量%を含む水溶液
34.9gを加えて、系内のタンニン酸の濃度を335
ppm、硫酸アルミニウムの濃度を223ppmとし
た。そのまま10分間攪拌した後、高分子凝集剤(商品
名:サンフロックCH−799P、カチオン系、三洋化
成工業(株)製)の0.1%水溶液10gを添加して1
分間攪拌を行い、芳香族ポリアミドパルプの表面にPT
FEとFEPを沈着させた。これを角型シートマシン
(熊谷理機(株)製)を用いて250mm角の金網上に
抄造し、脱水乾燥して芳香族ポリアミドパルプ/PTF
E/FEPの重量組成比が40/45/15のシート状
物を得た。このシートは、メルトフローレイトが 8g
/10分であるフッ素樹脂を15重量%含む。シートの
流動性を測定した所、シートの面積増加率は26%であ
った。厚さ1.6mmの一般構造用圧延鋼材(SS400)
に #110のアルミナ粉でブラスト処理を行い、中心線平
均粗さRa=5ミクロン、最大高さRmax=46ミクロン、十
点平均粗さRz=32ミクロンの鋼材を台金として用意し
た。上記シート状物のうちの1枚と台金を重ね、室温で
650kgf/cmの線圧を掛けてロール圧着後、38
0℃の窒素雰囲気で1時間焼成して、潤滑層の厚さが約
0.15mmの積層摺動材を得た。該積層摺動材を再度
ロールで矯正してそりをなくした後、摩擦摩耗試験を行
った。この積層摺動材の動摩擦係数は0.12であり、
摩耗量11ミクロンで磨耗係数は1.8×10−5mm
/kgf/cm・kmであった。
【0032】
【実施例7】絶乾重量 5.47gのパラ系芳香族ポリ
アミドパルプ(商品名:トワロン1094(日本アラミ
ド(有)製、BET比表面積:12.9m/g、重量
平均繊維長1.5mm))を400gのイオン交換水と
一緒に家庭用のミキサーにかけてパルプを水中に均一に
分散させた。さらに、15.63gのPTFEの分散液
(商品名:フルオンディスパージョンAD1(旭硝子
(株)製、平均粒径0.25μm、固形分濃度60
%)、メルトフローレイト0g/10分)と1.56g
のPFAの分散液(商品名:ネオフロンPFAディスパ
ージョンAD−2CR(ダイキン工業(株)製、固形分
濃度50%)、メルトフローレイト27g/10分)を
上記のパラ系芳香族ポリアミドパルプ分散液に添加し
た。その後、0.2重量%のアルミン酸ソーダ水溶液
6.25gとイオン交換水約161gを加え全量を59
0.1gとし、十分に攪拌を行った。そこにタンニン酸
0.6重量%及び硫酸アルミニウム0.4重量%を含む
水溶液34.9gを加えて、系内のタンニン酸の濃度を
335ppm、硫酸アルミニウムの濃度を223ppm
とした。そのまま10分間攪拌した後、高分子凝集剤
(商品名:サンフロックCH−799P、カチオン系、
三洋化成工業(株)製)の0.1%水溶液10gを添加
して1分間攪拌を行い、芳香族ポリアミドパルプの表面
にPTFEとPFAを沈着させた。これを角型シートマ
シン(熊谷理機(株)製)を用いて250mm角の金網
上に抄造し、脱水乾燥して芳香族ポリアミドパルプ/P
TFE/PFAの重量組成比が35/60/5のシート
状物を得た。このシートは、メルトフローレイトが27
g/10分であるフッ素樹脂PFAを5重量%含む。シ
ートの流動性を測定した所、シートの面積増加率は36
%であった。厚さ1.6mmの一般構造用圧延鋼材(SS
400)に #110のアルミナ粉でブラスト処理を行い、中
心線平均粗さRa=5ミクロン、最大高さRmax=46ミクロ
ン、十点平均粗さRz=32ミクロンの鋼材を台金として用
意した。上記シート状物のうちの1枚と台金を重ね、室
温で650kgf/cmの線圧を掛けてロール圧着後、
380℃の窒素雰囲気で1時間焼成して、潤滑層の厚さ
が0.15mmの積層摺動材を得た。再び室温で700
kgf/cmの線圧を掛けてロール圧延を行った。該積
層摺動材を再度ロールで矯正してそりをなくした後、摩
擦摩耗試験を行った。この積層摺動材の動摩擦係数は
0.10であり、摩耗量15ミクロンで磨耗係数は2.
5×10−5mm/kgf/cm・kmであった。ま
た、この積層摺動材の引張剪断強度は53kgf/cmであ
った。破断は、台金とシートとの間で剥離する様にして
起っていた。
【0033】
【比較例1】絶乾重量 2.34gのパラ系芳香族ポリ
アミドパルプ(商品名:トワロン1094(日本アラミ
ド(有)製、BET比表面積:12.9m/g、重量
平均繊維長1.5mm))と絶乾重量 3.91gのパラ
系芳香族ポリアミドパルプ(商品名:トワロン1097
(日本アラミド(有)製、BET比表面積:6.5m
/g、重量平均繊維長1.5mm))を400gのイオ
ン交換水と一緒に家庭用のミキサーにかけてパルプを水
中に均一に分散させた。さらに、15.63gのPTF
Eの分散液(商品名:フルオンディスパージョンAD1
(旭硝子(株)製、平均粒径0.25μm、固形分濃度
60%)、メルトフローレイト0g/10分)を上記の
パラ系芳香族ポリアミドパルプが分散した液に添加し
た。その後、0.2重量%のアルミン酸ソーダ水溶液
6.25gとイオン交換水約161gを加え全量を59
0.1gとして、十分に攪拌を行った。そこにタンニン
酸0.6重量%及び硫酸アルミニウム0.4重量%を含
む水溶液34.9gを加えて、系内のタンニン酸の濃度
を335ppm、硫酸アルミニウムの濃度を223pp
mとした。そのまま10分間攪拌して、芳香族ポリアミ
ドパルプの表面にPTFEを沈着させた。これを角型シ
ートマシン(熊谷理機(株)製)を用いて250mm角
の金網上に抄造し、脱水乾燥して芳香族ポリアミドパル
プ/PTFEの重量組成比が40/60のシート状物を
得た。このシートは、メルトフローレイトが 5g/1
0分 以上であるフッ素樹脂を含まない。シートの流動
性を測定した所、シートの面積増加率は僅か10%であ
った。厚さ1.6mmの一般構造用圧延鋼材(SS400)
に #110のアルミナ粉でブラスト処理を行い、中心線平
均粗さRa=5ミクロン、最大高さRmax=46ミクロン、十
点平均粗さRz=32ミクロンの鋼材を台金として用意し
た。上記シート状物のうちの1枚と台金を重ね、室温で
900kgf/cmの線圧を掛けてロール圧着後、38
0℃の窒素雰囲気で1時間焼成して、潤滑層の厚さが
0.15mmの積層摺動材を得た。該積層摺動材を再度
ロールで矯正してそりをなくした後、摩擦摩耗試験を行
った。この積層摺動材の動摩擦係数は0.12であり、
摩耗量32ミクロンで磨耗係数は5.3×10−5mm
/kgf/cm・kmであった。また、この積層摺動
材の引張剪断強度は42kgf/cmであった。破断は、シ
ート層中で剪断破壊して生じていた。上記ロール圧着の
際に、線圧を実施例1と同じく650kgf/cmとし
た場合には、フッ素樹脂としてメルトフローレイトが0
g/10分のもののみを含有するので、焼成時において
シートの流動性が不足し、従って得られた摺動材の摺動
特性が更に悪い。
【0034】
【発明の効果】本発明により、摩擦磨耗性能に優れた潤
滑層を有する積層摺動材が提供される。本発明の方法
は、従来の一般的な抄造方法を適用して積層摺動材の潤
滑層を形成するため、簡便な装置及び操作により積層摺
動材を作製することができ、特に比較的低い圧力でシー
トと台金を圧着することができ、工業的に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B32B 27/34 B32B 27/34 C08J 5/16 CFG C08J 5/16 CFG D21H 13/26 D21H 13/26 F16C 33/10 F16C 33/10 D

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 台金、及び該台金に結合された、芳香族
    ポリアミドとフッ素樹脂を含む潤滑層を有する積層摺動
    部材において、該芳香族ポリアミドが3〜25m/g
    のBET比表面積を有するパルプであり、かつ潤滑層の
    重量に対して10〜70重量%の量で潤滑層に含有され
    ており、また該フッ素樹脂が5g/10分以上のメルト
    フローレイト(372℃で5kgの負荷で測定)を有し
    かつ潤滑層の重量に対して5〜70重量%の量で含有さ
    れていることを特徴とする積層摺動部材。
  2. 【請求項2】 芳香族ポリアミドパルプとフッ素樹脂を
    有する潤滑層が、該成分を水系分散液から抄造して得ら
    れたシートからなることを特徴とする請求項1記載の積
    層摺動部材。
  3. 【請求項3】 台金と潤滑層の間における引張剪断強
    度が45kgf/cm以上であることを特徴とする請求項1
    記載の積層摺動部材。
  4. 【請求項4】芳香族ポリアミドパルプとフッ素樹脂を含
    む潤滑層中に、更にカーボン、二硫化モリブデン、ブロ
    ンズおよび窒化硼素から選ばれた一種類以上を0.5〜
    25重量%の割合で含むことを特徴とする請求項1又は
    2記載の積層摺動部材。
  5. 【請求項5】 下記の(イ)乃至(ハ)の工程を有する
    ことを特徴とする、請求項1の積層摺動部材の製造方法 (イ)芳香族ポリアミドパルプとフッ素樹脂粉末が水中
    に分散した分散液において、該フッ素樹脂粉末を凝集剤
    により不安定化して、該フッ素樹脂粉末を芳香族ポリア
    ミドパルプに沈着させる工程、 (ロ)フッ素樹脂粉末が沈着した上記芳香族ポリアミド
    パルプを抄造し、乾燥してシート状物を得る工程、およ
    び (ハ)該シート状物と台金を圧着し、フッ素樹脂の融点
    以上に加熱する工程。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP4754781B2 (ja) * 2001-07-24 2011-08-24 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 低摩擦軸受表面用の不織材料

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