JP2000215458A - 光ディスク及び光ディスク再生装置 - Google Patents

光ディスク及び光ディスク再生装置

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JP2000215458A
JP2000215458A JP11016190A JP1619099A JP2000215458A JP 2000215458 A JP2000215458 A JP 2000215458A JP 11016190 A JP11016190 A JP 11016190A JP 1619099 A JP1619099 A JP 1619099A JP 2000215458 A JP2000215458 A JP 2000215458A
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pit
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optical disk
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JP11016190A
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Hideki Hayashi
英樹 林
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Pioneer Electronic Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピットエッジ多値記録方式を用いた光ディス
クを再生するとき、レベル変動による影響を軽減し、デ
ータ誤りが少なく良好な品質のディジタルデータを再生
する。 【解決手段】 光ディスク1には、ディジタルデータを
担うデータ領域1aと再生制御に必要な各種情報を担う
基準ピットパターンが形成された基準領域1bとが交互
に設けられる。再生レーザ光によるビームスポットSP
は、2つのトラックの中心線をトレースし、データ領域
1aにおいて4つのピットエッジが同時に読み取られ、
9値のディジタルデータに対応している。基準領域1b
には、同期ピットPs、トラッキングピットPt、クロ
ックピットPc、レベル基準ピットPlv、チルト基準
ピットPtlが形成され、このうちレベル基準ピットP
lvは、所定のパターンに従って変化し、m点やn点を
読み取ることによりビタビ復号における予測値を与え、
これにより復号レベルを適正に制御する。そのため、レ
ベル変動や波形歪みの影響が軽減され、良好な品質でデ
ィジタルデータを再生することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディジタルデータ
が記録された光ディスクに関し、特にピットエッジ多値
記録方式を用いて高密度にディジタルデータが記録され
た光ディスク、及び、該光ディスクからディジタルデー
タを復号して再生する光ディスク再生装置の技術分野に
属する。
【0002】
【従来の技術】近年、光ディスクにディジタルデータを
高密度に記録再生する方式として、光ディスク上のピッ
トエッジの位置を多段階に変調してディジタルデータを
多値記録するピットエッジ多値記録方式が注目されてい
る。また、パーシャルレスポンスとビタビ復号を組み合
わせたPRML(Partial Response Maximum Likelihoo
d)方式による再生信号処理技術を上記ピットエッジ多
値記録方式と組み合わせた方式が提案されている(例え
ば、電子情報通信学会磁気記録研究会技術研究報告MR
98−30「ピットエッジ多値記録と2次元PRML再
生を用いた高密度光ディスクシステムのシミュレーショ
ン」(1998年10月)に開示されている)。
【0003】このような方式を採用した光ディスクのピ
ット配置の一例を図15に示す。図15において、光デ
ィスク101には、ディジタルデータを担うピットが形
成されたデータ領域101aと、再生制御に必要な各種
情報を担う基準ピットパターンが形成された基準領域1
01bとの2つの領域が交互に設けられている。
【0004】データ領域101aには、光ディスク10
1のトラック上に一定間隔でデータピットPdが配置さ
れている。各々のデータピットPdには、そのピットエ
ッジの位置を多段階にシフトすることにより、3値のデ
ィジタルデータが記録される。具体的には、図16に示
すように、(0,1,2)なる3値のディジタルデータ
を記録する場合、「0」ならピット長が短くなる方向に
ピットエッジの位置を一定距離だけシフトし、「1」な
らピットエッジの位置をそのままにし、「2」ならピッ
ト長が長くなる方向にピットエッジの位置を一定距離だ
けシフトする。このようにして、各々のデータピットP
dには、3値のディジタルデータをピットエッジの位置
情報として記録することができる。なお、図15では、
3通りのピットエッジの位置を重ねて図示したが、実際
にはピットエッジの位置は3通りのうち何れか1つとな
る。
【0005】基準領域101bには、複数トラックにわ
たる基準ピットパターンとして、図15に示すように、
同期ピットPs、トラッキングピットPt、クロックピ
ットPcが形成されている。同期ピットPsは、再生時
の同期制御の基準となるピットであり、他のピットより
もピット長が長くなっている。トラッキングピットPt
は、光ディスク101に対するトラッキング制御の基準
となるピットであり、3トラック周期でピット位置が所
定距離だけずれて配置されている。クロックピットPc
は、再生時のクロック信号生成の際の基準となるピット
であり、各トラックの同一位置に並んで配置されてい
る。
【0006】図15に示す光ディスク101を再生する
に際しては、再生レーザ光を照射して形成されるビーム
スポットSPが、図15の破線で示した2トラックの中
心線上をトレースする。従って、例えば図15のz点に
ビームスポットSPが達するタイミングで、両隣のトラ
ックにおける前後のピットエッジに対応する合計4個の
ピットエッジを同時に読み取ることができる。
【0007】図17は、上述の方式を適用した光ディス
ク再生装置の概略構成を示す図である。図17におい
て、光ピックアップ102から光ディスク101に再生
レーザ光が照射され、ビームスポットSPからの反射光
が光ピックアップ102にて受光され、アナログ再生信
号が出力される。このアナログ再生信号はアンプ103
により増幅された後、A/D変換器104によりディジ
タル化されてサンプル値系列として出力される。このサ
ンプル値系列は、ディジタルフィルタ105によって所
定の周波数特性が乗じられ波形整形を施された後、ビタ
ビ復号回路106により基準レベルと比較され、2乗誤
差を最小とする再生データ系列が復号される。ビタビ復
号回路106からは、復号された再生データ系列が後段
の回路に出力される。
【0008】また、クロック位相検出回路109は、デ
ィジタルフィルタ105から出力されたサンプル値系列
から上記クロックピットPcに対応するサンプル値を抽
出し、これにより再生信号と再生クロックとの位相誤差
を算出して、位相誤差信号として出力する。クロック発
生回路108は、再生クロックの周波数を位相誤差信号
に対応して変化させ、A/D変換器104に出力する。
これにより、再生クロックを再生信号に位相同期させる
ことができる。
【0009】また、トラッキングエラー検出回路110
は、ディジタルフィルタ105から出力されたサンプル
値系列から上記トラッキングピットPtに対応するサン
プル値を抽出し、これにより光ディスク101の再生に
伴うトラッキング誤差を算出し、トラッキングエラー信
号として出力する。トラッキングサーボ回路107は、
光ピックアップ102のディスク半径方向の位置をトラ
ッキングエラー信号に対応して制御する。
【0010】また、同期検出回路111は、ディジタル
フィルタ105から出力されたサンプル値系列から上記
同期ピットPsに対応するサンプル値を検出し、再生系
の同期をとるための同期検出信号を出力する。タイミン
グ発生回路112は、同期検出信号に基づいて発生した
各種のタイミング信号を光ディスク再生装置の各部に供
給する。
【0011】以上のように構成された光ディスク再生装
置では、上述のように各々(0,1,2)なる3値のデ
ィジタルデ−タを担うピットエッジが4個同時に読み取
られるので、その再生信号は、4個のピットエッジごと
の3値をそれぞれ加算した0〜8の9値レベルが得られ
ることになる。この9値レベルの再生信号に対してPR
ML方式を適用し、光ディスク101に記録されるディ
ジタルデータを復号することができる。そのため、2値
レベルのディジタルデータを記録再生する場合に比べ、
光ディスク101の記録密度の向上という点では有利で
ある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の方式においては、上述のように再生信号が9値レベ
ルに細分化されるので、各レベルの差が小さくなり、正
確にレベル判定を行うことが困難になってデータ誤りが
増加する傾向がある。特に、再生信号の波形が種々の要
因によって歪んでいるときは、このデータ誤りが顕著に
増加する。例えば、光ディスク再生装置や光ディスク自
体の特性変動、サーボエラー、光ディスク面のチルトな
どに起因する波形歪み、あるいは、隣接する2トラック
のピットを同時に読み取ることに伴う光ディスク接線方
向のピット位置のずれやトラックピッチむら等に起因す
る波形歪みが要因となって、データ誤りが増加する。更
に、記録時の記録パワーずれによりピット長が全体に伸
びたり、全体に縮んだりするアシンメトリと呼ばれる現
象に伴う波形歪みが要因となって、データ誤りが増加す
る。このように、上記従来の方式では、再生信号のレベ
ルが細分化された結果、各種の劣化要因によりデータ誤
りが増加しやすく、結果的に光ディスクの再生品質の劣
化を招くという点が問題であった。
【0013】そこで、本発明はこのような問題に鑑みな
されたものであり、ピットエッジ多値記録方式によりデ
ィジタルデータが記録された光ディスクを再生するに際
し、データ誤りを増加させることなく正確なディジタル
データを再生することができる光ディスク及び光ディス
ク再生装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載の光ディスクは、ピットエッジの位
置を多段階に変化させるピットエッジ多値記録方式によ
りピットが形成された光ディスクであって、ピットエッ
ジ多値記録方式によりディジタルデータを記録したデー
タピットが形成されたデータ領域と、複数の基準ピット
が複数トラックにわたる所定のパターンを形成する基準
領域とが、光ディスクの周方向に交互に設けられると共
に、前記基準ピットには、前記ディジタルデータの復号
における基準レベルを与えるレベル基準ピットが含まれ
ることを特徴とする。
【0015】この発明によれば、光ディスクにはピット
エッジ多値記録方式が用いられ、データ領域と基準領域
が交互に設けられている。データ領域には、多値のディ
ジタルデータがピットエッジの位置情報として記録さ
れ、基準領域には、データ領域に記録されるディジタル
データを再生する際の動作制御などに用いる複数の基準
ピットが形成されている。そして、基準ピットのうちの
レベル基準ピットが、ディジタルデータを復号するとき
の基準レベルを担う。よって、ディジタルデータを高密
度に光ディスクに記録可能としつつ、多値化に伴ってレ
ベル変動や波形歪みの影響を受けやすくなるのに対応し
て、レベル基準ピットを用いて正確かつ頻繁に基準レベ
ルを制御することで、再生品質を良好に保つことができ
る。
【0016】請求項2に記載の光ディスク再生装置は、
ピットエッジの位置を多段階に変化させるピットエッジ
多値記録方式によりディジタルデータを記録したデータ
ピットが形成されたデータ領域と、複数の基準ピットが
複数トラックにわたる所定のパターンを形成する基準領
域とが、光ディスクの周方向に交互に設けられると共
に、前記基準ピットには、前記ディジタルデータの復号
における基準レベルを与えるレベル基準ピットが含まれ
る光ディスクからディジタルデータを再生する光ディス
ク再生装置であって、前記データ領域から同時に複数の
トラック上のピットエッジを読み取って再生信号を生成
する読取手段と、前記再生信号から多値のディジタルデ
ータを復号する復号手段とを備え、前記復号手段は、前
記レベル基準ピットが与える基準レベルに基づいて前記
ディジタルデータを復号することを特徴とする。
【0017】この発明によれば、請求項1に記載の光デ
ィスクを再生するために、読取手段により、データ領域
から同時に複数のトラック上のピットエッジが読み取ら
れ、再生信号が生成される。また、復号手段により、再
生信号から多値のディジタルデータが復号される。この
とき、基準領域からレベル基準ピットが与える基準レベ
ルが検出され、これに基づきディジタルデータの復号が
行われる。よって、高密度にディジタルデータが記録さ
れた光ディスクを再生しながら、復号手段において正確
かつ頻繁に基準レベルを制御することで、多値化に伴う
レベル変動や波形歪みの影響を軽減し、高品質なディジ
タルデータの再生が可能となる。
【0018】請求項3に記載の光ディスク再生装置は、
請求項2に記載の光ディスク再生装置において、前記復
号手段は、ビタビ復号方式によりディジタルデータを復
号し、前記レベル基準ピットが与える基準レベルをビタ
ビ復号における予測値として用いることを特徴とする。
【0019】この発明によれば、復号手段はレベル基準
ピットから検出した基準レベルを予測値としてビタビ復
号方式を行う。よって、多値のディジタルデータに好適
なビタビ復号方式を利用しつつ、時々刻々再生信号のレ
ベルが変動するとき、常に予測値を適正に変化させるの
で、復号性能をさらに向上させてディジタルデータを再
生することができる。
【0020】請求項4に記載の光ディスク再生装置は、
請求項2又は請求項3に記載の光ディスク再生装置にお
いて、前記読取手段は、隣接する2つの記録トラックの
中心線上を再生レーザ光により走査し、ビームスポット
が形成されるディスク半径ラインに位置する4つのピッ
トエッジを同時に読み取って再生信号を生成することを
特徴とする。
【0021】この発明によれば、読取手段は、再生レー
ザ光により2つの記録トラックの中心線上を走査してビ
ームスポットを形成し、同時に4つのピットエッジを読
み取る。生成された再生信号からは、4つのピットエッ
ジのそれぞれの位置情報に基づく多値のディジタルデー
タが復号される。よって、読取手段におけるレベル変動
や波形歪みの各種要因が多くなるのに対応して、復号レ
ベルの安定化を図り、高品質かつ高密度なディジタルデ
ータの再生が可能となる。
【0022】請求項5に記載の光ディスク再生装置は、
請求項4に記載の光ディスク再生装置において、前記復
号手段は、前記レベル基準ピットが与える9値の基準レ
ベルを検出し、前記基準レベルに基づいて、それぞれ3
段階に位置が変化する4つのピットエッジに記録された
データを加算した9値のディジタルデータを復号するこ
とを特徴とする。
【0023】この発明によれば、ピットエッジはそれぞ
れ3段階に位置が変化し、読取手段により4つのピット
エッジが同時に読み取られるので、これらの加算に対応
して9値のディジタルデータが復号手段により復号され
る。一方、復号手段は、レベル基準ピットから9値の基
準レベルを検出し、これらに基づいてディジタルデータ
を復号する。よって、2値に比べて高密度化には好適で
あるが、レベル変動や波形歪みの影響を大きく受けるこ
とへの対策として、復号手段において高精度にレベル制
御を行い、高品質かつ高密度なディジタルデータの再生
が可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を図面に基づいて説明する。
【0025】図1に本実施形態に係る光ディスクのピッ
ト配置を示す。図1に示す光ディスク1には、ディジタ
ルデータを担うピットが形成されたデータ領域1aと、
再生制御に必要な各種情報を担う基準ピットパターンが
形成された基準領域1bとの2つの領域が交互に設けら
れている。
【0026】データ領域1aには、光ディスク1のトラ
ック上に一定間隔でデータピットPdが配置されてい
る。各々のデータピットPdは、従来方式と同様にピッ
トエッジ多値記録方式に基づいてピットエッジの位置を
多段階にシフトすることにより、図16に示すように、
(0,1,2)なる3値のディジタルデータが記録され
ている。よって、各々のデータピットPdには、3値の
ディジタルデータをピットエッジの位置情報として記録
することができる。
【0027】基準領域1bには、複数トラックにわたる
基準ピットパターンとして、図1に示すように、同期ピ
ットPs、トラッキングピットPt、クロックピットP
c、レベル基準ピットPlv、チルト基準ピットPtl
が形成されている。このうち、同期ピットPs、トラッ
キングピットPt、クロックピットPcの役割は、上述
の従来方式と同様である。本実施形態の場合は、基準領
域1bにレベル基準ピットPlv及びチルト基準ピット
Ptlを設けた点が従来方式の場合と異なる。
【0028】このうち、レベル基準ピットPlvは、復
号レベルを制御するための基準値に対応して、所定のパ
ターンに従って変化する。すなわち、アナログ再生信号
のレベル変動や信号波形の歪みの影響で復号レベルが安
定しないと、再生品質が劣化するので、レベル基準ピッ
トPlvに基づいて復号レベルを安定に制御するために
設けられたピットである。個々のレベル基準ピットPl
vは、データピットPdと同様に3値に変化し得るが、
データピットPdのような任意のパターンを有するので
はなく、パターンの変化の仕方は周期性がある。
【0029】また、チルト基準ピットPtlは、光ディ
スク1のチルトを制御する基準値に対応するもので、2
トラックに1個ずつ設けられる。すなわち、ディスク面
と再生レーザ光の垂直からの傾きによるチルトエラーが
生じると、再生信号の波形が歪むので、チルト基準ピッ
トPtlに基づいてチルトエラーを検出するために設け
られたピットである。
【0030】なお、データ領域1aと基準領域1bの繰
り返し回数は、1トラック内で適宜に設定することがで
きる。例えば、1トラック内で100〜10000回程
度、交互に繰り返すようにすることができる。
【0031】図1に示す光ディスク1を再生するに際し
ては、図15の場合と同様、再生レーザ光を照射して形
成されるビームスポットSPが、図1に破線で示した2
トラックの中心線上をトレースする。図1においては、
ビームスポットSPによるトレースに伴う基準領域1b
における読み取りのポイントを、a〜nの各点で示して
いる。
【0032】図2は、本実施形態に係る光ディスク再生
装置の概略構成を示す図である。図2に示す光ディスク
再生装置は、光ディスク1に記録されるディジタルデー
タを再生するために、光ピックアップ11と、アンプ1
2と、A/D変換器13と、ディジタルフィルタ14
と、ビタビ復号回路15と、トラッキングサーボ回路1
6と、クロック発生回路17と、クロック位相検出回路
18と、レベル検出回路19と、トラッキングエラー検
出回路20と、同期検出回路21と、タイミング発生回
路22と、液晶チルトサーボ回路23と、チルト検出回
路24とを含んで構成される。
【0033】以上の構成において、光ピックアップ11
から光ディスク1に再生レーザ光が照射され、ビームス
ポットSPからの反射光が光ピックアップ11にて受光
され、アナログ再生信号が出力される。このアナログ再
生信号はアンプ12により増幅された後、A/D変換器
13によりディジタル化されてサンプル値系列として出
力される。このサンプル値系列は、ディジタルフィルタ
14によって所定の周波数特性が乗じられ波形整形を施
された後、ビタビ復号回路15により基準レベルと比較
され、2乗誤差を最小とする再生データ系列が復号され
る。ビタビ復号回路15からは、復号された再生データ
系列が後段の回路に出力される。
【0034】また、クロック位相検出回路18は、ディ
ジタルフィルタ14から出力されたサンプル値系列から
上記クロックピットPcに対応するサンプル値を抽出
し、これにより再生信号と再生クロックとの位相誤差を
算出して、位相誤差信号として出力する。クロック発生
回路17は、再生クロックの周波数を位相誤差信号に対
応して変化させ、A/D変換器13に出力する。これに
より、再生クロックを再生信号に位相同期させることが
できる。
【0035】また、トラッキングエラー検出回路20
は、ディジタルフィルタ14から出力されたサンプル値
系列から上記トラッキングピットPtに対応するサンプ
ル値を抽出し、これにより光ディスク1の再生に伴うト
ラッキング誤差を算出し、トラッキングエラー信号とし
て出力する。トラッキングサーボ回路16は、光ピック
アップ11のディスク半径方向の位置をトラッキングエ
ラー信号に対応して制御する。
【0036】また、同期検出回路21は、ディジタルフ
ィルタ14から出力されたサンプル値系列から上記同期
ピットPsに対応するサンプル値を抽出し、再生系の同
期をとるための同期検出信号を出力する。タイミング発
生回路22は、同期検出信号に基づいて発生した各種の
タイミング信号を光ディスク再生装置の各部に供給す
る。
【0037】更に本実施形態では、レベル検出回路19
がディジタルフィルタ14からのサンプル値系列を入力
し、上記レベル基準ピットPlvに対応するサンプル値
を抽出し、これによりビタビ復号回路15に供給すべき
複数の基準レベルを求めて、いったん図示しないメモリ
に記憶保持しておく。なお、複数の基準レベルに対する
ビタビ復号回路15における処理については後述する。
【0038】一方、チルト検出回路24は、ディジタル
フィルタ14からのサンプル値系列を入力し、上記チル
ト基準ピットPtlに対応するサンプル値を抽出し、こ
れによりラジアルチルト(光ディスク1の半径方向に生
じるチルト)及びタンジェンシャルチルト(光ディスク
1のトラック接線方向に生じるチルト)を求めて、対応
するチルト検出信号を出力する。
【0039】そして、ディジタルフィルタ14は、タン
ジェンシャルチルトに対応するチルト検出信号に基づい
てタップ係数を変更し、周波数特性をタンジェンシャル
チルトに適合させて変化させる。また、液晶チルトサー
ボ回路23は、ラジアルチルトに対応するチルト検出信
号に基づいて、光ピックアップ11の光路中に挿入され
た液晶パネルに印加する制御電圧を調整し、いわゆる液
晶チルトサーボを行う。すなわち、パターン分割された
液晶パネルの各分割領域の屈折率を制御電圧に応じて可
変することにより、ラジアルチルトによる波面収差を打
ち消すように、液晶パネルを通過するレーザ光を補正す
る。なお、液晶チルトサーボについては、例えば映像情
報メディア学会技術報告Vol.21,No.50,pp1-6,VIR’97-5
1「光ディスク用ヘッドへの液晶の応用」(1997年
9月)に開示されている。
【0040】図3は、本実施形態に係る光ディスク再生
装置におけるアナログ再生信号の波形パターンと、対応
するサンプル値系列のパターンを示す図である。図3に
示すアナログ再生信号及びサンプル値系列は、図1にお
けるビームスポットSPが、隣合う2トラックの中心線
上を図1の上から下へトレースを行うと共に、トレース
する中心線は光ディスク1が1回転するごとに図1の左
から右へ移動するときのパターンである。図3のアナロ
グ再生信号の波形パターンでは、ピットの有無により信
号レベルが変動し、ピットにおいては信号レベルが高く
なるものとする。
【0041】図3に示すように、サンプル値系列のパタ
ーンにおいて、黒点で示されるa〜nを付したサンプル
値は、図1におけるa〜nの各点での信号レベルをサン
プリングした場合に対応している。最初は、図1の破線
で示す中心線の左隣の中心線がビームスポットSPによ
りトレースされるので、h点とi点のサンプル値が得ら
れる。続いて、図1の破線で示す中心線がビームスポッ
トSPによりトレースされ、a〜g、j、k、m、nの
各点のサンプル値が得られる。なお、以下の説明では、
a〜nの各点に対応するサンプル値に対しても便宜上a
〜nとして表している。
【0042】同期ピットPsはピット長が長くなってい
るため、対応するアナログ再生信号の信号レベルは所定
期間だけ高く保たれ、サンプル値も大きくなる。図3の
場合は、a点とb点を含む3つのサンプル値が連続して
大きな値を示すので、これを同期検出回路21にて判定
すれば、同期ピットPsを検出することができ、これ以
降のサンプル値系列に対する同期の基準となる。
【0043】トラッキングピットPtには、c、d、e
の3点のサンプル値が対応する。トラッキングピットP
tは3トラックごとに周期的な配置となっている。図3
の場合は、ピット位置が近いd点とe点の信号レベルは
高く、ピット位置が1トラック分離れているc点の信号
は相対的に低くなっている。そこで、トラッキングエラ
ー検出回路20において、c、d、eの3つのサンプル
値を比較することにより、図1の配置に従ってビームス
ポットSPのトレースが行われたと判断できる。そし
て、トラッキングエラー信号Vtが、
【0044】
【数1】Vt=d−e を算出して求められる。
【0045】すなわち、図1の破線で示されるトレース
位置が最適であれば、d=eとなるため算出結果はVt
=0となるが、実際にはトラッキングのずれに応じてト
ラッキングエラー信号Vtが変動するので、これを利用
してトラッキングサーボを行うものである。
【0046】クロックピットPcには、f点とg点のサ
ンプル値が対応する。図1に示すように、クロックピッ
トPcの両端にf点とg点が位置する関係にあり、2点
とも信号レベルが同程度に大きくなっている。そこで、
クロック位相検出回路18において、f点とg点のサン
プル値に基づいて、再生クロックに対する位相誤差信号
Vcが、
【0047】
【数2】Vc=f−g を算出して求められ、これにより正確な再生クロックの
生成を可能としている。
【0048】レベル基準ピットPlvには、m点とn点
のサンプル値が対応する。図1に示すように、n点はレ
ベル基準ピットPlvのピット中央に位置し、m点は2
つのレベル基準ピットPlvの間のランド中央に位置す
る。図1の場合には、m点の周囲にある4個のピットエ
ッジは、左上と右上が「0」、左下が「1」、右下が
「2」に相当し、これらを加算すると0+0+1+2=
3の信号レベルが得られる。また、n点の周囲にある4
個のピットエッジは、左上と左下が「1」右上と右下が
「2」、に相当し、これらを加算すると1+2+1+2
=6に対応する信号レベルが得られる。レベル検出回路
19では、図1の配置に対応して、ランド中央における
上記レベル3のランド基準レベルVl3と、ピット中央
におけるレベル6のピット基準レベルVp6を得て、こ
れをビタビ復号回路15における予測値として用いる。
【0049】具体的には、m点でのランド基準レベルV
l3は、
【0050】
【数3】Vl3=m で与えられ、n点でのピット基準レベルVp6は、
【0051】
【数4】Vp6=n で与えられる。
【0052】そして、9値レベル分の各レベル0〜8に
対応する各ランド基準レベル及び各ピット基準レベルの
計18個のサンプル点を、所定のパターンに従って周期
的にレベル基準ピットPlvの近辺に設定することで、
ビタビ復号回路15における後述の処理に必要な予測値
が全て得られることになる。
【0053】チルト基準ピットPtlには、h〜k点の
サンプル値が対応する。図1に示すように、ビームスポ
ットSPがトレースする中心線にあるj点とk点のサン
プル値に加え、既に1つ前にトレースされた中心線h点
とi点のサンプル値を用いて処理を行う。
【0054】ここで、図4は再生レーザ光の光強度分布
(ビームプロファイル)を示す図である。図4(a)に
示すように、チルトが発生しない理想的な条件の下で
は、ほぼガウス分布に従った光強度分布となる。一方、
チルトが発生すると、図7(b)に示すように、光強度
分布が波打ってサイドローブが現れる。このサイドロー
ブは、チルトによる傾きの方向とは逆方向で、チルト角
に応じた大きさで発生する。また、サイドローブの発生
する位置は、再生レーザ光の波長と光ピックアップ11
の対物レンズのNAによって一意に決まる。そこで、光
ディスク1の鏡面部にチルト基準ピットPtlを孤立し
た状態で設け、チルト基準ピットPtlの周囲でサイド
ローブが現れる位置に対応するアナログ再生信号に基づ
いて、発生したチルトの方向及びチルト角を検出するこ
とができる。
【0055】具体的には、タンジェンシャルチルト信号
Vtanは、
【0056】
【数5】Vtan=(h+j)−(i+k) を算出して求めることができる。また、ラジアルチルト
信号Vradは、
【0057】
【数6】Vrad=(h+i)−(j+k) を算出して求めることができる。
【0058】次に、レベル基準ピットPlvに基づく複
数の基準レベルを用いたビタビ復号回路15における処
理について図5を用いて説明する。図5は、ビタビ復号
回路15の内部構成を示すブロック図である。
【0059】図5において、入力されたサンプル値系列
をブランチメトリック演算部15aにおいて9分岐し
て、それぞれ9つの予測値y0〜y8との差をとって2
乗し、ブランチメトリックλ0〜λ8を得る。すなわ
ち、このブランチメトリックλ0〜λ8は、再生サンプ
ル値と予測値との2乗誤差に相当する。次いで、パスメ
トリック演算部15bにおいて、ブランチメトリックλ
0〜λ8を累積加算してパスメトリックを得る。パスメ
トリックとしては複数の値が得られるが、このうち最小
となるものを選択して、選択信号s0〜s4をパスメモ
リ15cに出力する。パスメモリ15cは、選択信号s
0〜s4に応じて保持するデータ系列を更新し、最終的
に復号データとして出力する。その結果、入力されたサ
ンプル値系列に対し、2乗誤差が最も小さくなるデータ
系列を復号データとすることができる。
【0060】そして、図5において、処理対象が光ディ
スク1のランド中央のサンプル値である場合は、予測値
y0〜y8として、上述のランド基準レベルVl0〜V
l8を選択して使用する。一方、処理対象が光ディスク
1のピット中央のサンプル値である場合は、予測値y0
〜y8として、上述のピット基準レベルVp0〜Vp8
を選択して使用する。通常は交互にピット中央とランド
中央の各基準レベルを用いるので、同期ピットPsを時
間基準として1クロックごとにランド基準レベルVl0
〜Vl8とピット基準レベルVp0〜Vp8を切り換え
て選択すればよい。
【0061】以上説明した図3に示すアナログ再生信号
及びサンプル値系列のパターンは、それぞれのピットが
正確な位置に記録され、再生レーザ光のビームスポット
SPによるトレースが正しく行われている場合のもので
ある。これに対し以下の説明では、各種の劣化要因によ
りアナログ再生信号に波形歪みとレベル変動が生じた場
合について、図6〜12を参照して説明する。なお、図
6〜12においては、劣化要因により影響を受ける処理
に対応するサンプル値を黒点で示し、簡単のため、それ
以外の他のサンプル値は正常であると仮定して図示し
た。
【0062】図6は、光ディスク再生装置において、ト
ラッキングエラーを生じる場合のサンプル値系列におけ
るパターンの変化を示す図である。光ディスク1の再生
に際し、トラッキングが正常な場合を図6(a)に、ト
ラッキングが左寄りになる場合を図6(b)に、トラッ
キングが右寄りになる場合を図6(c)にそれぞれ示
す。なお、上記左右方向は、図1における方向であるも
のとする。
【0063】このとき、トラッキングエラー信号Vt
は、上述の数1により求められるが、図6(a)では、
dとeが等しくVt=0となり、図6(b)では、d>
eとなってVtが正となり、図6(c)では、d<eと
なってVtが負となるので、数1の算出結果と整合する
ことがわかる。
【0064】図7は、光ディスク再生装置において、再
生クロックの位相誤差を生じる場合のサンプル値系列に
おけるパターンの変化を示す図である。光ディスク1の
再生に際し、再生クロックが正常な場合を図7(a)
に、再生クロックが所定量だけ進む場合を図7(b)
に、再生クロックが所定量だけ遅れる場合を図7(c)
にそれぞれ示す。
【0065】このとき、再生クロックに対する位相誤差
信号Vcは、上述の数2により求められるが、図7
(a)では、fとgが等しくVc=0となり、図7
(b)では、f<gとなってVcが負となり、図7
(c)では、f>gとなってVcが正となるので、数2
の算出結果と整合することがわかる。
【0066】図8は、光ディスク再生装置において、光
ディスク1のタンジェンシャルチルトが発生する場合の
サンプル値系列におけるパターンの変化を示す図であ
る。光ディスク1の再生に際し、タンジェンシャルチル
トが発生しない場合を図8(a)に、タンジェンシャル
チルトにより再生レーザの照射方向が上向きに傾く場合
を図8(b)に、タンジェンシャルチルトにより再生レ
ーザの照射方向が下向きに傾く場合を図8(c)にそれ
ぞれ示す。なお、上記上下方向は、図1における方向で
あるものとする。
【0067】このとき、タンジェンシャルチルト信号V
tanは、上述の数5により求められるが、図8(a)
では、h、i、j、kが等しくVtan=0となり、図
8(b)では、h、jに比べi、kが大きくVtanが
負になり、図7(c)では、h、jに比べi、kが小さ
くVtanが正になるので、数5の算出結果と整合する
ことがわかる。
【0068】図9は、光ディスク再生装置において、光
ディスク1のラジアルチルトが発生する場合のサンプル
値系列におけるパターンの変化を示す図である。光ディ
スク1の再生に際し、ラジアルチルトが発生しない場合
を図9(a)に、ラジアルチルトにより再生レーザの照
射方向が左向きに傾く場合を図9(b)に、ラジアルチ
ルトにより再生レーザの照射方向が右向きに傾く場合を
図9(c)にそれぞれ示す。なお、上記左右方向は、図
1における方向であるものとする。
【0069】このとき、ラジアルチルト信号Vrad
は、上述の数6により求められるが、図9(a)では、
h、i、j、kが等しくVrad=0となり、図9
(b)では、h、iに比べj、kが大きくVradが負
になり、図9(c)では、h、iに比べj、kが小さく
Vradが正となるので、数6の算出結果と整合するこ
とがわかる。
【0070】次に、図10乃至図12は、光ディスク再
生装置において、各種要因で光ディスク1のアナログ再
生信号にレベル変動が生じる場合に対応する図であり、
レベル基準ピットPlvに基づくビタビ復号の際の補正
で対処可能な場合を示している。
【0071】図10は、光ディスク1のピット位置がト
ラック接線方向にずれを生じる場合のサンプル値系列に
おけるパターンの変化を示す図である。光ディスク1の
ピット位置が正常な場合を図10(a)に、互いにずれ
ている場合を図10(b)にそれぞれ示す。
【0072】このとき、m点でのランド基準レベルVl
3は上述の数3により与えられ、n点でのピット基準レ
ベルVp6は上述の数4により与えられる。図10
(a)では、mよりnが十分大きく、適正なレベル比で
あるのに対し、図10(b)では、mが大きくなる方向
に、nが小さくなる方向にそれぞれ変化し、差が縮まっ
ている。従って、数3と数4の算出結果にピット位置の
ずれに起因するレベル変動が反映され、これを予測値と
してビタビ復号回路15における処理を行うことによ
り、ピット位置のずれによる影響を軽減することができ
る。
【0073】図11は、光ディスク1のトラックピッチ
が変動した場合のサンプル値系列におけるパターンの変
化を示す図である。光ディスク1のトラックピッチが正
常な場合を図11(a)に、広くなっている場合を図1
1(b)に、狭くなっている場合を図11(c)にそれ
ぞれ示す。
【0074】この場合も、m点でのランド基準レベルV
l3は上述の数3により与えられ、n点でのピット基準
レベルVp6は上述の数4により与えられる。mとnの
レベルが適正である図11(a)に対して、図11
(b)では、mとnが共に小さくなる方向に変化する
が、図11(c)では、mとnが共に大きくなる方向に
変化する。従って、数3と数4の算出結果にトラックピ
ッチの変動に起因するレベル変動が反映され、これを予
測値としてビタビ復号回路15における処理を行うこと
により、トラックピッチむらの影響を軽減することがで
きる。
【0075】図12は、光ディスク1にアシンメトリが
生じてピット長が変動した場合のサンプル値系列におけ
るパターンの変化を示す図である。光ディスク1のピッ
ト長が正常な場合を図12(a)に、短くなっている場
合を図12(b)に、長くなっている場合を図12
(c)にそれぞれ示す。
【0076】この場合も、m点でのランド基準レベルV
l3は上述の数3により与えられ、n点でのピット基準
レベルVp6は上述の数4により与えられる。mとnの
レベルが適正である図12(a)に対して、図12
(b)では、mとnが共に小さくなる方向に変化する
が、図12(c)では、mとnが共に大きくなる方向に
変化する。従って、数3と数4の算出結果にピット長の
変動に起因するレベル変動が反映され、これを予測値と
してビタビ復号回路15における処理を行うことによ
り、アシンメトリの影響を軽減することができる。
【0077】以上のように、レベル基準ピットPlvに
基づいてアナログ再生信号のレベル変動を検知すること
により、各種要因で生じるレベル変動はビタビ復号回路
15における基準レベルとしてフィードバックされる。
よって、各種要因で生じるレベル変動を補正する方向に
制御が行われ、これらの要因による影響を軽減すること
ができ、より信頼性の高い再生を行うことができる。
【0078】(変形例)上記実施形態の変形例として、
基準領域1bにおける各基準ピットに対し、複数の機能
を兼用させる例を説明する。図13は、本変形例に係る
光ディスク1のピット配置を示す図である。
【0079】図13に示すように、基準領域1bにおけ
る基準ピットパターンとして、同期ピットPs、トラッ
キングピットPt、レベル基準ピットPlvが形成され
ている。すなわち、本変形例では、上述のクロックピッ
トPc及びチルト基準ピットPtlが形成されておら
ず、他の基準ピットにより機能を兼用させている点が図
1の場合と異なっている。なお、図13において、再生
レーザ光を照射して形成されるビームスポットSPが破
線で示す2トラックの中心線上をトレースし、基準領域
1bのm、n、p〜wの各点を読み取りのポイントとす
る。
【0080】同期ピットPsは、クロックピットPcの
機能を併せ持っている。図13における同期ピットPs
の両端にp点とq点を対応させ、そのピット長は図1の
同期ピットPsよりも短いが、図1のクロックピットP
cよりは長くなっている。そして、同期ピットPsの両
端に対応するp点とq点のサンプル値に基づいて、再生
クロックに対する位相誤差信号Vcは、
【0081】
【数7】Vc=p−q を算出して求められる。
【0082】また、トラッキングピットPtは、チルト
基準ピットPtlの機能を併せ持っている。図13で
は、トラッキングピットPtを3トラックごとに周期的
な配置とすることに加え、読み取りポイントの設定を図
1のチルト基準ピットPtlと同様にしている。これに
より、トラッキングピットPtに対応するサンプル値か
ら、タンジェンシャルチルトエラー信号Vtanは、
【0083】
【数8】Vtan=(r+t)−(s+u) を算出して求められる。同様に、ラジアルチルトエラー
信号Vradは、
【0084】
【数9】Vrad=(r+s)−(t+u) を算出して求められる。
【0085】一方、トラッキングエラー信号Vtは、 Vt=(t+u)−(v+w) を算出して求めればよい。
【0086】なお、図13において、レベル基準ピット
Plvに対応する各基準レベルの算出方法は、上述の数
3、4と同様に行えばよい。
【0087】以上のように、本変形例によれば、複数の
機能を基準領域1bにおける各基準ピットに兼用させる
ことにより、基準領域1bを短く構成することができ、
光ディスク1全体の記録容量を向上させることができ
る。
【0088】次に、上記実施形態の他の変形例として、
光ディスク再生装置において最尤復号方式の一つである
FDTS(Fixed Delay Tree Search)を採用した場合
を説明する。図14は、本変形例に係る光ディスク再生
装置の概略構成を示す図である。なお、図14では、図
2と同一の構成要素には、同一の番号を付して説明を省
略する。
【0089】図14において、AGC(Automatic Gain
Control)回路31は、基準レベルのp−p(Peak To
Peak)値に応じてアナログ再生信号の振幅を制御する。
すなわち、アナログ再生信号に対し、p−p値が大きい
ときはゲインを低くするように制御し、p−p値が小さ
いときはゲインを高くするように制御する。これによ
り、アナログ再生信号の信号レベルが一定に保たれる非
線形回路32は、レベル検出回路19で求められた複数
の基準レベルに基づいて、レベル分布の非線形特性を検
出した上で、これを補正する。すなわち、非線型回路3
2では、複数の基準レベルの分布から非線形特性を判別
し、ディジタルフィルタ14から出力されたサンプル値
系列に、判別された非線型特性の逆特性を与えて非線形
特性をキャンセルする。具体的には、メモリを用いたル
ックアップテーブルを用いて非線型回路32を構成でき
る。
【0090】直流除去回路33は、レベル検出回路19
で求められた複数の基準レベルに対し、その中心値を判
別して補正レベルとし、これにより上記サンプル値系列
の中心レベルを制御する。すなわち、直流除去回路33
では、サンプル値系列の直流オフセットを取り除くため
に、サンプル値系列の中心値が大きいときは補正レベル
を減算し、サンプル値系列の中心値が小さいときは補正
レベルを加算して、サンプル値系列の中心レベルが一定
に保たれるよう制御する。
【0091】FDTS復号回路34は、再生信号と複数
の基準レベルとの2乗誤差を計算し、この2乗誤差を2
〜6クロック程度の一定期間にわたって累積加算し、こ
の加算値を最小にするような復号データを選択する。以
上の動作を1クロックごとに反復して行うことにより、
再生データ系列が復号される。
【0092】また、図14の構成では、チルト検出回路
24からは、ラジアルチルトとタンジェンシャルチルト
の両方に対応するチルト検出信号が液晶チルトサーボ回
路23に対して供給される。すなわち、図1の構成で
は、ラジアルチルトのみを液晶チルトサーボ回路23に
より補正する構成としたが、本変形例では、ラジアルチ
ルトとタンジェンシャルチルトの両方を液晶チルトサー
ボ回路23により補正する構成になっている。この場
合、光ピックアップ11には、2枚の液晶パネルを直交
配置して、一方でラジアルチルトを補正し、他方でタン
ジェンシャルチルトを補正すればよい。この点は前掲の
文献「光ディスク用ヘッドへの液晶の応用」にも開示さ
れている。
【0093】なお、以上説明した実施形態では、同期ピ
ットPs、トラッキングピットPt、クロックピットP
cと、レベル基準ピットPlv及びチルト基準ピットP
tlは、何れも基準領域1b内に連続して設けている。
しかし、同期ピットPs、トラッキングピットPt、ク
ロックピットPcは主にサーボを目的とするのに対し、
レベル基準ピットPlvとチルト基準ピットPtlは主
に波形整形を目的とするので、これら2つのピット群に
分けて、両者をデータ領域1aを挟んで離れた配置にし
てもよい。また、サーボ用、波形整形用の各ピット群は
出現頻度が異なるように光ディスク1に形成してもよ
い。例えば、サーボ用のピット群は、1トラック内に1
000個設ける一方、波形補正用のピット群は、1トラ
ック内に100個設けるという構成であってもよい。
【0094】また、上述の実施形態では、ピットエッジ
多値記録方式を用いて、それぞれのピットエッジを3段
階にシフトさせ、3値のディジタルデータを記録する場
合について説明したが、これに限られず、2値あるいは
4値以上のディジタルデータを記録するピットエッジ記
録方式に対しても、本発明の適用が可能である。
【0095】また、上述の実施形態では、再生レーザ光
を照射して同時に2トラック、2半径ライン上に位置す
る4個のピットエッジを同時に読み取る方式について説
明したが、これに限られず、種々の読み取り方法に対し
て本発明の適用が可能である。例えば、2トラック、1
半径ライン上に位置する2個のピットエッジを同時に読
み取ったり、3トラック、1半径ライン上に位置する3
個のピットエッジを読み取ったり、更には、2トラッ
ク、3半径ライン上に位置する6個のピットエッジを読
み取る方式に採用してもよい。更には、1トラック上の
複数のピットエッジを同時に読み取る方法であっても、
本発明の適用が可能である。
【0096】また、上述の実施形態では、液晶チルトサ
ーボ回路23によって光ピックアップ11の光路中に挿
入された液晶パネルの制御電圧を調整してラジアルチル
トの補正を行う場合について説明したが、一般にラジア
ルチルトは緩やかに変動するので、チルトモータと呼ば
れる光ピックアップ11を傾けるためのモータを用い
て、機械的にラジアルチルトを補正してもよい。
【0097】また、上述の実施形態では、凹凸形状のピ
ットを形成してディジタルデータを記録する再生専用型
の光ディスク1を用いる場合について説明したが、これ
以外にも、光磁気ディスク、相変化ディスクのような書
き換え型の光ディスクを用いる場合であっても、本発明
の適用が可能である。例えば、超解像膜を用いて記録レ
ーザ光のピームスポットを微小化して微小ピットを記録
し、再生レーザ光で複数トラック上の微小ピットを同時
に読み取るようにしてもよい。
【0098】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、ピット
エッジ多値記録方式を用いた光ディスクの基準領域に、
レベル基準ピットを設けて多値のディジタルデータを復
号するときの基準レベルを担わせたので、ディジタルデ
ータの再生に際し、レベル変動や波形歪みがある場合で
も、正確かつ頻繁にレベルが制御されて、良好に再生品
質を保つことができる光ディスクが提供できる。
【0099】請求項2に記載の発明によれば、ピットエ
ッジ多値記録方式によりディジタルデータが記録された
光ディスクを再生する際、基準領域のレベル基準ピット
が与える基準レベルを検出して復号動作を制御するよう
にしたので、レベル変動や波形歪みの影響を軽減し、デ
ィジタルデータを良好な品質で再生することができる。
【0100】請求項3に記載の発明によれば、ビタビ復
号方式を採用し、レベル基準ピットが与える基準レベル
を予測値としてビタビ復号を行うようにしたので、レベ
ル変動に追従して予測値を適正に変化させ、良好な復号
性能でディジタルデータを再生することができる。
【0101】請求項5に記載の発明によれば、レベル基
準ピットから検出された9値の基準レベルに基づいて、
3段階に位置が変化する4つのピットエッジを同時に読
み取って9値のディジタルデータを復号するようにした
ので、復号レベルが9値に細分化され、レベル変動や波
形歪みの影響が大きくなる場合であっても、高品質かつ
高密度にディジタルデータを再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る光ディスクのピット配
置を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光ディスク再生装置の
概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る光ディスク再生装置に
おけるアナログ再生信号の波形パターンと対応するサン
プル値系列のパターンを示す図である。
【図4】再生レーザ光のビームプロファイルを示す図で
あり、(a)はチルトが発生しない場合、(b)はチル
トが発生した場合の図である。
【図5】本実施形態に係る光ディスク再生装置のビタビ
復号回路の内部構成を示すブロック図である。
【図6】本実施形態に係る光ディスク再生装置におい
て、トラッキングエラーを生じる場合のサンプル値系列
におけるパターンの変化を示す図である。
【図7】本実施形態に係る光ディスク再生装置におい
て、再生クロックの位相誤差を生じる場合のサンプル値
系列におけるパターンの変化を示す図である。
【図8】本実施形態に係る光ディスク再生装置におい
て、光ディスクのタンジェンシャルチルトを生じる場合
のサンプル値系列におけるパターンの変化を示す図であ
る。
【図9】本実施形態に係る光ディスク再生装置におい
て、光ディスクのラジアルチルトを生じる場合のサンプ
ル値系列におけるパターンの変化を示す図である。
【図10】本実施形態に係る光ディスク再生装置におい
て、光ディスクのピット位置がトラック接線方向にずれ
る場合のサンプル値系列におけるパターンの変化を示す
図である。
【図11】本実施形態に係る光ディスク再生装置におい
て、光ディスクのトラックピッチが変動した場合のサン
プル値系列におけるパターンの変化を示す図である。
【図12】本実施形態に係る光ディスク再生装置におい
て、光ディスクのアシンメトリによってピット長が変動
した場合のサンプル値系列におけるパターンの変化を示
す図である。
【図13】本実施形態の変形例において、光ディスクの
ピット配置を説明する図である。
【図14】本実施形態の他の変形例において、FDTS
を採用した場合の光ディスク再生装置の概略構成を説明
するブロック図である。
【図15】従来のピットエッジ多値記録方式を用いた光
ディスクのピット配置を説明する図である。
【図16】ピットエッジ多値記録方式における3値のピ
ットエッジの位置の変化を説明する図である。
【図17】従来の光ディスク再生装置の概略構成を示す
ブロック図である。
【符号の説明】
1…光ディスク 1a…データ領域 1b…基準領域 11…光ピックアップ 12…アンプ 13…A/D変換器 14…ディジタルフィルタ 15…ビタビ復号回路 16…トラッキングサーボ回路 17…クロック発生回路 18…クロック位相検出回路 19…レベル検出回路 20…トラッキングエラー検出回路 21…同期検出回路 22…タイミング発生回路 23…液晶チルトサーボ回路 24…チルト検出回路 31…AGC回路 32…非線型回路 33…直流除去回路 34…FDTS復号回路

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピットエッジの位置を多段階に変化させ
    るピットエッジ多値記録方式によりピットが形成された
    光ディスクであって、 ピットエッジ多値記録方式によりディジタルデータを記
    録したデータピットが形成されたデータ領域と、複数の
    基準ピットが複数トラックにわたる所定のパターンを形
    成する基準領域とが、光ディスクの周方向に交互に設け
    られると共に、前記基準ピットには、前記ディジタルデ
    ータの復号における基準レベルを与えるレベル基準ピッ
    トが含まれることを特徴とする光ディスク。
  2. 【請求項2】 ピットエッジの位置を多段階に変化させ
    るピットエッジ多値記録方式によりディジタルデータを
    記録したデータピットが形成されたデータ領域と、複数
    の基準ピットが複数トラックにわたる所定のパターンを
    形成する基準領域とが、光ディスクの周方向に交互に設
    けられると共に、前記基準ピットには、前記ディジタル
    データの復号における基準レベルを与えるレベル基準ピ
    ットが含まれる光ディスクからディジタルデータを再生
    する光ディスク再生装置であって、 前記データ領域から同時に複数のトラック上のピットエ
    ッジを読み取って再生信号を生成する読取手段と、 前記再生信号から多値のディジタルデータを復号する復
    号手段とを備え、 前記復号手段は、前記レベル基準ピットが与える基準レ
    ベルに基づいて前記ディジタルデータを復号することを
    特徴とする光ディスク再生装置。
  3. 【請求項3】 前記復号手段は、ビタビ復号方式により
    ディジタルデータを復号し、前記レベル基準ピットが与
    える基準レベルをビタビ復号における予測値として用い
    ることを特徴とする請求項2に記載の光ディスク再生装
    置。
  4. 【請求項4】 前記読取手段は、隣接する2つの記録ト
    ラックの中心線上を再生レーザ光により走査し、ビーム
    スポットが形成されるディスク半径ラインに位置する4
    つのピットエッジを同時に読み取って再生信号を生成す
    ることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の光デ
    ィスク再生装置。
  5. 【請求項5】 前記復号手段は、前記レベル基準ピット
    が与える9値の基準レベルを検出し、前記基準レベルに
    基づいて、それぞれ3段階に位置が変化する4つのピッ
    トエッジに記録されたデータを加算した9値のディジタ
    ルデータを復号する請求項4に記載の光ディスク再生装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008171543A (ja) * 2007-01-07 2008-07-24 Internatl Business Mach Corp <Ibm> メモリ・セル集合体を操作するための方法、メモリ・コントローラ、メモリ・チップ、およびコンピュータ・プログラム

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JP2008171543A (ja) * 2007-01-07 2008-07-24 Internatl Business Mach Corp <Ibm> メモリ・セル集合体を操作するための方法、メモリ・コントローラ、メモリ・チップ、およびコンピュータ・プログラム

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