JP2000213179A - 構造物の曲げ補強材及び該補強材による構造物の曲げ補強方法 - Google Patents

構造物の曲げ補強材及び該補強材による構造物の曲げ補強方法

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JP2000213179A
JP2000213179A JP1890199A JP1890199A JP2000213179A JP 2000213179 A JP2000213179 A JP 2000213179A JP 1890199 A JP1890199 A JP 1890199A JP 1890199 A JP1890199 A JP 1890199A JP 2000213179 A JP2000213179 A JP 2000213179A
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bending
fiber
reinforcing material
reinforced resin
reinforcing
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JP1890199A
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Tomoo Sano
智雄 佐野
Shigeji Hayashi
繁次 林
Yasunori Murano
靖則 村野
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大きなボイドを生じること無く、又強化繊維
の蛇行を生じることなく構造物に貼着することのできる
曲げ補強材、及び該曲げ補強材を用いた効果的な補強効
果が得られる構造物の曲げ補強方法を提供すること。 【解決手段】 長尺状をなす繊維強化樹脂成形体1の複
数を、該成形体1の長さ方向の側辺部同士が対向するよ
うにして並列させる共に、該隣接する成形体1の長さ方
向の側辺部同士を連結片2によって連結してあり、しか
も該成形体1における強化繊維が、該成形体1の長さ方
向に引き揃えてある構造物の曲げ補強材3。及び構造物
の所定箇所の表面に、前記構成によるの構造物の曲げ補
強材3を、樹脂を用いて貼着する構造物の曲げ補強方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばコンクリー
ト構造物等の曲げ強度を向上させるための曲げ補強材、
及び該補強材による構造物の曲げ補強方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、強化繊維を使用するコンクリート
構造物の補修・補強工法が注目されており、例えば長繊
維からなる強化繊維を一方向あるいは多方向に配列して
固定したシート状の繊維補強材を、ハンドレイアップ法
によってコンクリート構造物の表面に貼り付ける補修・
補強工法が実施されている。
【0003】このコンクリート構造物の補修・補強工法
にて使用するシート状の繊維補強材には、例えば長繊維
糸条を配列させたシート状物を少量の樹脂と裏打ちの形
状支持体とによって保持したいわゆるトウシートタイプ
(特開平3−222734号公報)、長繊維糸条を配列
させたシート状物に熱硬化性樹脂を含浸させて得られる
プリプレグタイプ(特開平3−212568号公報)、
織物タイプ、経,緯糸のうちの一方をなす強化繊維と他
方をなす熱融着性繊維とによる織布を熱処理することに
より、該織布の経糸と緯糸との交点を熱融着性繊維の熱
融着能によって固定したいわゆる一方向クロスタイプ
(特開平7−243149号公報)などの補強材があ
る。
【0004】これらのシート状をなす繊維補強材による
構造物の補強には、構造物の引張応力がかかり易い面、
例えば床版の底面や梁の底面等に繊維補強材を貼着する
ことによって耐引張応力を補強したり、或いは床版等の
剛性を上げることによってその曲げ歪みの抑制を図る曲
げ補強と、柱や梁等の周囲に巻き付けて耐せん断力を補
強するせん断補強とがある。
【0005】ところで、上記の構造物の曲げ補強を行な
う場合に、その補強効果、特に剛性向上効果を効率的に
得るためには、繊維補強材を形成している強化繊維が直
線をなすようにして該補強材を構造物に貼着する必要が
ある。
【0006】従って、可撓性のある上記のシート状の繊
維補強材を用いる場合には、該繊維補強材の被貼着面で
ある構造物の表面の不陸修正を厳密に行わなければなら
なく、しかも繊維補強材を蛇行させずに貼着するための
技量を必要とする等の煩雑な問題がある。又、上記のシ
ート状の繊維補強材を用いる場合には、施工の前又は施
工の際に、この繊維補強材に樹脂を含浸させなければな
らなく、該繊維補強材を構造物の表面に貼着するための
接着剤である樹脂の塗工に加えて、繊維補強材への樹脂
の含浸工程をも必要とする。
【0007】これに対して特開昭63−35967号公
報には、強化繊維に予め樹脂を含浸・硬化させた繊維強
化樹脂板からなる補強材を構造物の表面に貼着する構造
物の曲げ補強工法が説明されている。この工法による構
造物の曲げ補強方法においては、強化繊維が予め直線状
に固定されている繊維強化樹脂板を使用するものである
ために、貼り付け作業に伴う繊維の蛇行を避けることが
でき、しかも施工の前又は施工の際の樹脂の含浸工程も
必要でない。
【0008】しかしながら、上記の繊維強化樹脂板を構
造物の表面に貼着する曲げ補強方法においては、補強材
の被貼着面である構造物の表面と補強材である繊維強化
樹脂板との間に大きなボイドが残り易いという問題があ
り、十分な補強効果が得られなく、しかもこの大きなボ
イドを起点とした破壊によって、補強材自体が構造物の
表面から剥離する危険性もある。
【0009】このために、補強材の被貼着面である構造
物の表面と補強材との間に大きなボイドが残らないよう
な繊維強化樹脂板からなる補強材として、通気孔を穿設
した繊維強化樹脂板が提案された(特開平9−7210
7号公報)。
【0010】しかるに、この通気孔を穿設した繊維強化
樹脂板からなる補強材は、該繊維強化樹脂板に形成した
穿設孔の数が少ないとボイドの除去効果が低くなる。又
穿設孔の数が多いと、繊維強化樹脂板における強化繊維
の連続性が寸断されるためにその補強効果が小さくなる
だけでなく、その穿設孔の周辺部が他の部分に比べて強
度が低くなるために、該部分からの破壊の恐れも出てく
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明が解決し
ようとする課題は、構造物の表面に貼着したときに該構
造物の表面と補強材との間に大きなボイドを生じること
が無く、又貼り付け作業に伴う強化繊維の蛇行を生じる
ことがなく、しかも構造物の表面に貼着する前或いは貼
着するときに樹脂の含浸工程が必要でなく、効果的な曲
げ補強効果が得られる構造物の曲げ補強材を提供するこ
とにある。
【0012】又、本発明が解決しようとするもう1つの
課題は、上記の曲げ補強材を用いた効果的な補強効果を
容易、かつ確実に達成することのできる構造物の曲げ補
強方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、以下に記
載する構成による本発明の構造物の曲げ補強材、及び該
補強材による構造物の曲げ補強方法によって解決するこ
とができる。すなわち本発明は、長尺状をなす複数の繊
維強化樹脂成形体を、隣接する繊維強化樹脂成形体の長
さ方向の側辺部同士が対向するようにして間隔を置いて
並列させると共に、該隣接する繊維強化樹脂成形体の長
さ方向の側辺部同士を可撓性材料による連結片によって
連結してあり、しかも前記長尺状をなす繊維強化樹脂成
形体における強化繊維が、該繊維強化樹脂成形体の長さ
方向に引き揃えてある引き揃え糸条からなる構造物の曲
げ補強材である。
【0014】上記の構成を備えてなる本発明の構造物の
曲げ補強材においては、長尺状をなす繊維強化樹脂成形
体の断面の最大幅が1〜50mmの範囲内にあることが
好ましい。
【0015】又、上記の構成を備えてなる本発明の構造
物の曲げ補強材においては、長尺状をなす繊維強化樹脂
成形体における強化繊維が主として炭素繊維からなるも
のであることが好ましい。
【0016】本発明の構造物の曲げ補強方法は、構造物
の所定箇所の表面に、上記の構成を備えてなる構造物の
曲げ補強材を、樹脂を用いて貼着する工程からなる。
【0017】上記の構成を備えてなる本発明の構造物の
曲げ補強方法においては、JISK7117による粘度
が2〜50Pa・sの樹脂を用いて、構造物の曲げ補強
材を構造物の所定箇所の表面に貼着することが好まし
い。
【0018】又、上記の構成を備えてなる本発明の構造
物の曲げ補強方法においては、JIS K7117によ
る粘度が10〜50Pa・sの樹脂を用いて、構造物の
曲げ補強材を構造物の所定箇所の表面に貼着することが
更に好ましい。
【0019】更に、上記の構成を備えてなる本発明の構
造物の曲げ補強方法においては、構造物の曲げ補強材を
構造物の所定箇所の表面に樹脂を用いて貼着するに先立
って、前記構造物の所定箇所の表面にプライマーを塗工
する工程を設けることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の構造物の曲げ補強材を形
成している長尺状をなす繊維強化樹脂成形体は、該樹脂
成形体の断面形状には特に制限がなく、例えば円柱形
(芯がプラスチックなどの繊維強化樹脂以外の材料から
なるものも含む)、円筒形、角柱形、角筒形、更には撚
り線の様に複数の円形の組合わさせ形状などにすること
ができる。
【0021】上記長尺状をなす繊維強化樹脂成形体は、
その断面の最大幅が1〜50mmの範囲内にあることが
望ましい。ここで、繊維強化樹脂成形体の断面の最大幅
は、該断面が円形のときにはその直径を、楕円形のとき
にはその長径を、又長方形のときには長辺の長さを表わ
す。繊維強化樹脂成形体の断面の最大幅が1mm未満の
ものは、その製造が煩雑であり、又断面の最大幅が50
mmを超えるものは、曲げ補強材を構造物の表面に貼着
したときに、該補強材と構造物の表面との間に大きなボ
イドが残り易くなる。
【0022】長尺状をなす繊維強化樹脂成形体における
強化繊維は、該繊維強化樹脂成形体の長さ方向に引き揃
えてある引き揃え糸条からなり、例えば炭素繊維、ガラ
ス繊維、アラミド繊維などの高強度有機繊維、金属繊維
などが使用される。又この強化繊維は、2種以上のハイ
ブリッドにしたものでもあってもよい。特に比強度、比
弾性率の高い炭素繊維、あるいは該炭素繊維を主原料に
したハイブリッドが好適である。
【0023】上記の長尺状をなす繊維強化樹脂成形体の
マトリックス樹脂は、通常の繊維強化樹脂のマトリック
ス樹脂として用いられている樹脂であればよく、例えば
エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、ビニルエステル樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹
脂、マレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹
脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、PEEK樹脂等の
熱可塑性樹脂、紫外線あるいは可視光線の照射によって
硬化する光硬化型樹脂などが挙げられる。
【0024】長尺状をなす繊維強化樹脂成形体における
強化繊維の含有率は、繊維強化樹脂成形体を形成し得る
範囲であればよい。
【0025】上記の長尺状をなす繊維強化樹脂成形体
は、例えば引き抜き成形、オートクレーブ成形、シート
ラップ成形、ハンドレイアップ成形、スプレーアップ成
形等によって成形し得るが、強化繊維の直線性を保持し
つつ長尺体を成形し得ることから、特に引き抜き成形や
シートラップ成形によるものが好ましい。
【0026】隣接する繊維強化樹脂成形体の長さ方向の
側辺部同士を連結する可撓性材料による連結片は、繊維
強化樹脂成形体同士の相対位置を規制するためのもので
あり、これによって繊維強化樹脂成形体の強化繊維の方
向性を一方向に固定するものである。
【0027】連結片をなす可撓性材料は、繊維強化樹脂
成形体同士を連結し得るものであればよく、例えば繊
維、繊維束、あるいは樹脂透過性を具備する面状体、例
えば不織布、スクリムクロス、織布等を利用し得る。
【0028】連結片をなす可撓性材料と繊維強化樹脂成
形体との連結方法としては、例えば繊維あるいは繊維束
によって繊維強化樹脂成形体を締結する、熱融着性を有
する繊維あるいは繊維束を繊維強化樹脂成形体に熱融着
する、繊維あるいは繊維束と繊維強化樹脂成形体とを接
着剤によって接着する、熱融着性を有する面状体を繊維
強化樹脂成形体に熱融着する、面状体を接着剤を用いて
繊維強化樹脂成形体に接着する、面状体に繊維強化樹脂
成形体を糸によって縫い付ける等の方法を利用し得る。
【0029】繊維強化樹脂成形体と可撓性材料からなる
連結片とは、長尺状をなす繊維強化樹脂成形体の長手方
向の全体に亙って連結していてもよいし、或いは長尺状
をなす繊維強化樹脂成形体の長手方向において、所定の
間隔を置いてピッチ毎に連結していてもよい。
【0030】本発明の構造物の曲げ補強方法において、
構造物の所定箇所の表面に曲げ補強材を貼着するときに
接着剤として使用する樹脂は、曲げ補強材との間に接着
能を具備するものであればよく、例えばエポキシ樹脂、
ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリ
ル樹脂、ポリウレタン樹脂等を使用し得る。
【0031】上記の構造物の所定箇所の表面に曲げ補強
材を貼着するときに接着剤として使用する樹脂は、JI
S K7117による粘度が2〜50Pa・sのものが
好ましい。つまり、JIS K7117による粘度が2
Pa・s未満の樹脂を使用すると、特に曲げ補強を必要
とする床版下面のような天井面や、柱側面のような立ち
面に塗工するときの樹脂の垂れ落ちが多くなる。又JI
S K7117による粘度が50Pa・sを超える樹脂
は、粘度が高すぎるために構造物の表面への塗工作業が
容易でなくなる。
【0032】特に、JIS K7117による粘度が1
0〜50Pa・sの樹脂を使用することにより、曲げ補
強材を貼着する面、すなわち曲げ補強材の被貼着面であ
る構造物の表面の厳密な不陸修正を行なうことなく、接
着剤としての樹脂の厚塗りによって、不陸修正と曲げ補
強材の貼着のための接着剤としての樹脂の塗工とを1工
程で行なうことが可能になる。
【0033】曲げ補強材の施工方法としての特別な制限
はないが、補強を要する方向と曲げ補強材を形成してい
る繊維強化樹脂成形体の長さ方向とが合致するようにし
て、曲げ補強材を構造物の表面に貼着するのがよい。
【0034】更に、複数の曲げ補強材を貼り重ねて施工
することも可能である。このときには、繊維強化樹脂成
形体の長さ方向が全て同一方向になるようにして貼着も
よく、或いは単一の補強材毎に繊維強化樹脂成形体の長
さ方向の角度を変えて貼着してもよい。
【0035】曲げ補強材の施工に際しては、該補強材を
樹脂を用いて貼着するに先立って、構造物の所定箇所の
表面に浸透性のプライマーを下塗りしたり、或いは構造
物の所定箇所の表面の凹部をパテ材によって埋めたりす
ることが可能である。このときのプライマーやパテ材と
しては、曲げ補強材を構造物の表面に貼着する際に接着
剤として用いる樹脂に対して接着性のよいものを使用す
ることが望ましく、このプライマーやパテ材を、そのま
ま接着用の樹脂として使用することも可能である。
【0036】
【実施例】以下、本発明の構造物の曲げ補強材及び該補
強材による構造物の曲げ補強方法のより具体的な構成
を、それぞれ実施例に基づいて説明する。
【0037】実施例1 引張弾性率236GPaの炭素繊維糸条(パイロフィル
TR30S、三菱レイヨン( 株) 製)にエポキシ樹脂
を含浸させてなるトウプリプレグを3本重ねの状態にし
て引き抜き成形することにより、図1において符号1で
表示される幅4mm×厚み0.8mm×長さ500mm
の長尺状をなす繊維強化樹脂成形体1を得た。
【0038】次いで、この繊維強化樹脂成形体1の20
本を、該繊維強化樹脂成形体の4mm幅の面が接地面に
なるようにして、かつ該繊維強化樹脂成形体1の長さ方
向の側辺部同士を対向させるようにして、側辺部同士の
間に幅1mmの間隔を設けて並列させて配置した。
【0039】続いて、この上面にガラス繊維のロービン
グ(ECG225−1/2)2を、繊維強化樹脂成形体
1の長さ方向の軸とガラス繊維のロービング2の長さ方
向の軸とが互いに直角になるように、かつ隣接するガラ
ス繊維のロービング2同士の間に間隔20mmを設けて
配置すると共に、繊維強化樹脂成形体1とガラス繊維の
ロービング2との交点をエポキシ系接着剤によって貼着
することにより、符号3で表示される構造物の曲げ補強
材を得た。
【0040】実施例2 上記の実施例1で得られた構造物の曲げ補強材3を、室
温硬化型エポキシ樹脂(粘度20Pa・s)を用いて、
100mm×100mm×600mmのコンクリートブ
ロックの下表面をなす100mm×600mmの平面に
貼着し、該コンクリートブロックからなる構造物の曲げ
補強を行なった。
【0041】上記工程によるコンクリート構造物の曲げ
補強工法においては、曲げ補強材3を貼着するために接
着剤として用いた樹脂の垂れ落ちが少なく、コンクリー
ト構造物の表面に対しての曲げ補強材3の貼着が容易で
あった。
【0042】更に、接着剤としての樹脂が半硬化したと
きに曲げ補強材3をコンクリート構造物の表面から剥ぎ
取って観察したところ、コンクリート構造物の表面と補
強材3との間には直径2mm以下の小さなボイドが存在
していたが、それ以上に大きなボイドの発生はみられな
かった。
【0043】実施例3 フィラメント数12000本、引張弾性率236GPa
の炭素繊維糸条(パイロフィル TR30S、三菱レイ
ヨン( 株) 製)の5本を束ねた後、これに熱硬化性液状
エポキシ樹脂を含浸させて撚り線にし、続いて150℃
の炉内にて含浸樹脂の硬化を行なうことにより、図2に
おいて符号4で表示される断面が楕円形(長径2.3m
m)で、長さが500mmの撚り線状の長尺状をなす繊
維強化樹脂成形体を得た。
【0044】次いで、この繊維強化樹脂成形体4の12
本を、該繊維強化樹脂成形体4の長径が設置面と平行を
なすようにして、かつ繊維強化樹脂成形体4の長さ方向
の側辺部同士を対向させるようにして、側辺部同士の間
に幅5.7mmの間隔を設けて並列させて配置した。
【0045】続いて、この上面に20g/m2 の低融点
ナイロン不織布(融点120℃)と45g/m2 の高融
点ナイロン不織布(融点180℃)との重ね合わせ不織
布5を、低融点ナイロン不織布側を下面にして載置した
後、ヒュージングプレス機による130℃、30秒間、
圧力100kPaの条件のプレス成形に付すことによ
り、低融点ナイロン不織布の熱接着能によって繊維強化
樹脂成形体4と重ね合わせ不織布5とを接着し、符号6
で表示される構造物の曲げ補強材を得た。
【0046】実施例4 上記の実施例3で得られた構造物の曲げ補強材6を、室
温硬化型エポキシ樹脂(粘度20Pa・s)を用いて、
100mm×100mm×600mmのコンクリートブ
ロックの下表面をなす100mm×600mmの平面に
貼着し、該コンクリートブロックからなる構造物の曲げ
補強を行なった。
【0047】上記工程によるコンクリート構造物の曲げ
補強工法においては、曲げ補強材6を貼着するために接
着剤として用いた樹脂の垂れ落ちが少なく、コンクリー
ト構造物の表面に対しての曲げ補強材6の貼着が容易で
あった。
【0048】更に、接着剤としての樹脂が半硬化したと
きに曲げ補強材6をコンクリート構造物の表面から剥ぎ
取って観察したところ、コンクリート構造物の表面と補
強材7との間に直径3mm以下の小さなボイドが存在し
ていたが、それ以上に大きなボイドの発生はみられなか
った。
【0049】比較例1 引張弾性率が236GPaである炭素繊維糸条(パイロ
フィル TR30S、三菱レイヨン( 株) 製)とエポキ
シ樹脂とによるプリプレグ4枚を、各プリプレグの炭素
繊維糸条の長さ方向が同一方向になるようにして積層し
た後、これをオートクレーブ成形に付すことにより、幅
100mm×厚さ0.47mm×長さ500mmの繊維
強化樹脂板からなる比較のための曲げ補強材を得た。
【0050】比較例2 上記の比較のための曲げ補強材を室温硬化型エポキシ樹
脂(粘度20Pa・s)を用いて、実施例2で使用した
ものと同じコンクリートブロックの下表面(100mm
×600mm)に貼着し、該コンクリートブロックから
なる構造物の曲げ補強を行なった。
【0051】上記の工程によるコンクリート構造物の曲
げ補強工法においては、曲げ補強材を貼着するために接
着剤として用いた樹脂の垂れ落ちが少なく、コンクリー
ト構造物の表面に対しての曲げ補強材の貼着が容易であ
ったが、接着用の樹脂が半硬化したときに曲げ補強材を
コンクリート構造物の表面から剥ぎ取って観察したとこ
ろ、コンクリート構造物の表面と補強材との間に直径2
0mmにも及ぶ大きなボイドが発生していた。
【0052】
【発明の効果】本発明の構造物の曲げ補強材は、長尺状
をなす複数の繊維強化樹脂成形体を、隣接する繊維強化
樹脂成形体の長さ方向の側辺部同士が対向するようにし
て間隔を置いて並列させると共に、該隣接する繊維強化
樹脂成形体の長さ方向の側辺部同士を可撓性材料による
連結片によって連結してあり、しかも前記長尺状をなす
繊維強化樹脂成形体における強化繊維が、該繊維強化樹
脂成形体の長さ方向に引き揃えてある引き揃え糸条から
なるものである。
【0053】従って、本発明の構造物の曲げ補強材を使
用することにより、強化繊維の蛇行を生じることなく、
しかも構造物の表面と補強材との間に大きなボイドを生
じることなく構造物の表面に貼着して曲げ補強を行なう
ことができるので、構造物に対しての効果的な曲げ補強
効果を達成することができる。
【0054】又、本発明の構造物の曲げ補強材によれ
ば、該曲げ補強材を構造物の表面に貼着する前又は貼着
するときに樹脂の含浸工程を必要としないため、曲げ補
強材の施工作業が容易である。
【0055】更に本発明の構造物の曲げ補強方法は、構
造物の所定箇所の表面に、上記の構成を具備してなる構
造物の曲げ補強材を樹脂を用いて貼着するものであり、
構造物に対する効果的な曲げ補強効果を、容易、かつ確
実に達成することができる。
【0056】更に、本発明の構造物の曲げ補強方法にお
いては、曲げ補強材の貼り付け用の接着剤としてJIS
K7117による粘度が2〜50Pa・sの樹脂を用
いることにより、特に曲げ補強を必要とする床版下面の
ような天井面や、柱側面のような立ち面の施工に際し
て、接着剤としての樹脂の垂れ落ちを生じることがな
く、しかも構造物の表面への樹脂の塗工作業を容易に行
なえる。
【0057】更に又、本発明の構造物の曲げ補強方法に
おいては、曲げ補強材の貼り付け用の接着剤としてJI
S K7117による粘度が10〜50Pa・sである
樹脂を用いることにより、曲げ補強材を貼着する面、す
なわち曲げ補強材の被貼着面である構造物の表面の厳密
な不陸修正を行なうことなく、接着剤としての樹脂の厚
塗りによって不陸修正と曲げ補強材の貼着のための接着
剤としての樹脂の塗工とを1工程で済ませることが可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構造物の曲げ補強材の1実施例品の斜
視図である。
【図2】本発明の構造物の曲げ補強材の別の実施例品の
斜視図である。
【符号の説明】
1:長尺状をなす繊維強化樹脂成形体 2:連結片としてのガラス繊維のロービング 3:構造物の曲げ補強材 4:長尺状をなす繊維強化樹脂成形体 5:連結片としての不織布 6:構造物の曲げ補強材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2E164 AA05 2E176 AA03 AA04 BB29 4F211 AA30 AB11 AB18 AD02 AD04 AD16 AD20 AD34 AG02 AG03 AH47 SA17 SC05 SD01 SD17 SD23 SH22 SN05 SN06 SN08 SN09

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長尺状をなす複数の繊維強化樹脂成形体
    を、隣接する繊維強化樹脂成形体の長さ方向の側辺部同
    士が対向するようにして間隔を置いて並列させると共
    に、該隣接する繊維強化樹脂成形体の長さ方向の側辺部
    同士を可撓性材料による連結片によって連結してあり、
    しかも前記長尺状をなす繊維強化樹脂成形体における強
    化繊維が、該繊維強化樹脂成形体の長さ方向に引き揃え
    てある引き揃え糸条からなることを特徴とする構造物の
    曲げ補強材。
  2. 【請求項2】 長尺状をなす繊維強化樹脂成形体の断面
    の最大幅が1〜50mmであることを特徴とする請求項
    1に記載の構造物の曲げ補強材。
  3. 【請求項3】 長尺状をなす繊維強化樹脂成形体におけ
    る強化繊維が主として炭素繊維からなることを特徴とす
    る請求項1又は請求項2に記載の構造物の曲げ補強材。
  4. 【請求項4】 構造物の所定箇所の表面に、請求項1、
    請求項2、又は請求項3に記載の構造物の曲げ補強材
    を、樹脂を用いて貼着することを特徴とする構造物の曲
    げ補強方法。
  5. 【請求項5】 構造物の曲げ補強材を貼着するときに用
    いる樹脂のJISK7117による粘度が2〜50Pa
    ・sであることを特徴とする請求項4に記載の構造物の
    曲げ補強方法。
  6. 【請求項6】 構造物の曲げ補強材を貼着するときに用
    いる樹脂のJISK7117による粘度が10〜50P
    a・sであることを特徴とする請求項4に記載の構造物
    の曲げ補強方法。
  7. 【請求項7】 曲げ補強材を構造物の所定箇所の表面に
    樹脂を用いて貼着するに先立って、前記構造物の所定箇
    所の表面にプライマーを塗工することを特徴とする請求
    項4、請求項5、又は請求項6に記載の構造物の曲げ補
    強方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002285461A (ja) * 2001-03-26 2002-10-03 Chishin Go 強化繊維シート及び構造物の補強方法
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JP2018009334A (ja) * 2016-07-12 2018-01-18 新日鉄住金マテリアルズ株式会社 鋼製煙突の補強方法

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