JP2000210292A - 血管の画像化装置および血管の識別装置並びに周波数偏移測定装置 - Google Patents

血管の画像化装置および血管の識別装置並びに周波数偏移測定装置

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JP2000210292A
JP2000210292A JP11331497A JP33149799A JP2000210292A JP 2000210292 A JP2000210292 A JP 2000210292A JP 11331497 A JP11331497 A JP 11331497A JP 33149799 A JP33149799 A JP 33149799A JP 2000210292 A JP2000210292 A JP 2000210292A
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昌宏 戸井田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被検者に対する負荷が少なく、動脈と静脈の
一方を他方と明確に識別して画像化することができる装
置を得る。 【解決手段】 計測光Lを被検体20に入射させ、X−Y
−θステージ21により走査させる。ホモダイン干渉光学
系11により計測光Lを2系統に分岐し、各計測光Lを被
検体20に対して相異なる向きで入射させ、反射した2系
統の計測光Lを合成する。ヘテロダイン干渉光学系12に
より、被検体20に入射する前の計測光Lを一部分岐し、
それに周波数シフター40によって周波数シフトを与え、
ホモダイン干渉光学系11からの計測光Lと合成する。合
成された計測光Lを受光素子13で検出し、信号検出器14
によりビート成分を検出する。そしてパーソナルコンピ
ュータ15により、信号検出器14からのビート信号Iが示
す、ホモダイン干渉光学系11によるビート成分の周波数
と、所定の閾値との大小関係に基づいて画像信号を生成
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血管を画像化して
示す装置に関し、特に詳細には、動脈と静脈の一方を他
方と識別して画像化する装置に関するものである。
【0002】また本発明は、動脈と静脈とを識別する装
置に関するものである。
【0003】さらに本発明は、上記画像化等のために散
乱流体に照射された計測光の周波数が、ドプラー効果に
よって偏移した量を測定する装置に関するものである。
【0004】
【従来の技術】臨床においては、動脈と静脈の一方を他
方と識別して画像化する要求が広く存在する。例えば、
動脈硬化は一般に末梢部から起こるので、この末梢部の
動脈内径像を静脈像と識別して画像化できれば、それは
動脈硬化に対する診断情報として活用することができ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、血管を画像化し
て示す装置としては、X線血管造影撮影装置が広く知ら
れている。しかしこのX線血管造影撮影は、造影剤投与
時に灼熱感が生じたり、造影剤投与のために動脈へカテ
ーテルを刺入するなど侵襲性が高く、外来で簡単に行な
うのは難しいという問題がある。
【0006】それに対して、IEEE Journal of Selected
Topics in Quantum ElectronicsVol.2,p1008,1996 に
示されるように、光透視によって生体の部位を画像化す
る技術も提案されている。この画像化技術は、手指を計
測対象としてそこに光を入射させ、生体内を多重散乱し
ながらも直進して透過して来た光を光ヘテロダイン検出
法によって検出し、X線CT等で用いられる画像再構成
方法を用いて指の断層像を得るというものである。しか
し、この光透視技術による画像では、血管の存在を認識
することはできていない。
【0007】また、日本ME学会雑誌BME Vol.8,No.
5,p41,1994 に示されるように、多数の発光ダイオード
を光源として手掌部を照明し、手内部で散乱した光によ
り浮かび上がった手背側の血管を、高感度TVカメラで
動画として撮像する技術も提案されている。しかし、そ
の場合に画像として写るのは皮下静脈あるいは比較的浅
い領域の血管であり、また、動脈と静脈とを区別するこ
とも不可能である。
【0008】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
であり、被検者に対する負荷が少なく、手足の表面から
比較的深い位置にある末梢動脈等も血管以外の軟組織と
区別して画像化でき、さらに、動脈と静脈の一方を他方
と明確に識別して画像化することができる装置を提供す
ることを目的とする。
【0009】また本発明は、被検者に対する負荷が少な
く、動脈と静脈とを明確に識別することができる装置を
提供することを目的とする。
【0010】さらに本発明は、散乱流体に照射された計
測光の周波数が、ドプラー効果によって偏移した量を測
定できる装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明による第1の血管
の画像化装置は、生体に計測光を照射し、そこからの散
乱反射光を検出して血管を画像化するようにしたもの
で、それに光ホモダイン検出系を適用し、血流速の違い
を利用して動脈と静脈とを識別するようにしたものであ
る。また、この光ホモダイン検出系に光ヘテロダイン検
出系を組み合わせることによって、光ホモダイン検出系
で検出された光のビート成分を、より振幅の大きい信号
として検出できるようにしたものである。
【0012】すなわち、具体的に本発明による第1の血
管の画像化装置は、生体に入射する計測光を発する光源
手段と、この計測光を前記生体に対して走査させる走査
手段と、前記計測光を2系統に分岐し、分岐された各計
測光を生体中の共通の照射点に互いに異なる方向から入
射させる一方、前記照射点で反射した計測光を互いに合
成するホモダイン干渉光学系と、前記計測光の一部を前
記生体に入射する前の光路から分岐した後、前記ホモダ
イン光学系から出射した計測光と合成するヘテロダイン
干渉光学系、このヘテロダイン干渉光学系により分岐が
なされて2系統の光路を進む該計測光に互いに周波数差
を与える周波数シフター、および前記ヘテロダイン干渉
光学系で合成された後の計測光のビート成分を検出する
手段を備えてなる光ヘテロダイン検出系と、この光ヘテ
ロダイン検出系が出力したビート成分検出信号の、前記
ホモダイン干渉光学系によるビート成分の周波数の値に
基づいて画像信号を生成する画像信号生成手段とからな
るものである。
【0013】なお上記画像信号生成手段は、例えば、前
記ホモダイン干渉光学系によるビート成分の周波数が所
定の閾値よりも大となるときは、生体の動脈部分を示す
画像信号を生成するように、一方、ホモダイン干渉光学
系によるビート成分の周波数が所定の閾値よりも小とな
るときは、生体の静脈部分を示す画像信号を生成するよ
うに構成される。
【0014】また上記構成の血管の画像化装置において
は、ホモダイン干渉光学系によって分岐された各計測光
の、前記共通の照射点に対する入射の方向が変化するよ
うに、生体とホモダイン干渉光学系との相対位置を調整
する位置調整手段が設けられるのが望ましい。
【0015】さらに、この第1の血管の画像化装置にお
いては、画像化対象の血管における血流速が所定の値と
なる時点を検出してタイミング信号を出力する同位相点
検出手段が設けられ、前記画像信号生成手段がこのタイ
ミング信号に基づいて、血流速がほぼ最高となる時点の
前記ビート成分検出信号をサンプリングして、そのビー
ト成分検出信号を前記画像信号の生成に供するように構
成されるのが望ましい。
【0016】そのようにする場合、上記の同位相点検出
手段としては、生体の脈波を検出する手段や、前記ホモ
ダイン干渉光学系によるビート成分の周波数が最高周波
数を取った時点を検出する手段等を適用することができ
る。
【0017】また、本発明による第2の血管の画像化装
置は、生体に計測光を照射し、そこからの反射光を検出
して血管を画像化するようにし、さらには、干渉光学系
により血流の向きの違いを利用して動脈と静脈とを識別
するようにしたものである。また、この干渉光学系に光
ヘテロダイン検出系を組み合わせることによって、干渉
光学系で検出された光のビート成分を、より振幅の大き
い信号として検出できるようにしたものである。
【0018】すなわち、具体的に本発明による第2の血
管の画像化装置は、生体に入射する計測光を発する光源
手段と、この計測光を前記生体に対して走査させる走査
手段と、前記計測光を2系統に分岐し、分岐された各計
測光を生体中の共通の照射点に互いに異なる方向から入
射させる一方、この照射点で反射した計測光を互いに合
成する第1の光学系、およびこの第1の光学系により分
岐がなされて2系統の光路を進む計測光に互いに周波数
差を与える第1の周波数シフターからなる干渉光学系
と、前記計測光の一部を前記第1の光学系に入射する前
の光路から分岐した後、該第1の光学系から出射した計
測光と合成する第2の光学系、この第2の光学系により
分岐がなされて2系統の光路を進む計測光に周波数差を
与える第2の周波数シフター、および前記第2の光学系
で合成された後の計測光のビート成分を検出する手段を
備えてなる光ヘテロダイン検出系と、この光ヘテロダイ
ン検出系が出力したビート成分検出信号の、前記干渉光
学系によるビート成分の周波数の値に基づいて画像信号
を生成する画像信号生成手段とからなることを特徴とす
るものである。
【0019】なお上記画像信号生成手段は、例えば、前
記干渉光学系によるビート成分の周波数が所定の閾値よ
りも大となるときは、生体の動脈部分を示す画像信号を
生成するように、一方、干渉光学系によるビート成分の
周波数が所定の閾値よりも小となるときは、生体の静脈
部分を示す画像信号を生成するように構成される。
【0020】また上記構成の血管の画像化装置において
は、干渉光学系によって分岐された各計測光の、前記共
通の照射点に対する入射の方向が変化するように、生体
と干渉光学系との相対位置を調整する位置調整手段が設
けられるのが望ましい。
【0021】あるいは、このような位置調整手段が設け
られる代わりに、前記干渉光学系が2系統設けられて、
これらの干渉光学系の一方における2系統の計測光の前
記照射点への入射方向が、前記照射点に対面する面に写
影されたとき該面内を一方向に延びる直線となる方向
(x方向)に設定され、これらの干渉光学系の他方にお
ける2系統の計測光の前記照射点への入射方向が、前記
面に写影されたとき前記直線と直角になる方向(y方
向)に設定され、前記画像信号生成手段が、前記2系統
の干渉光学系によるビート成分の周波数偏移量をそれぞ
れfx,fyとしたとき、fx+fy の値に基づ
いて画像信号を生成するように構成されてもよい。
【0022】また、上述のような位置調整手段が設けら
れる代わりに、前記干渉光学系が2系統設けられて、こ
れらの干渉光学系の一方における2系統の計測光の前記
照射点への入射方向が、前記照射点に対面する面に写影
されたとき該面内を一方向に延びる直線となる方向に設
定され、これらの干渉光学系の他方における2系統の計
測光の前記照射点への入射方向が、前記面に写影された
とき前記直線と角度θ(0°<θ<90°)をなす方向に
設定され、前記画像信号生成手段が、前記2系統の干渉
光学系によるビート成分の周波数偏移量をそれぞれf
x’,fy’としたとき、これらfx’およびfy’の
値に基づいて画像信号を生成するように構成されてもよ
い。
【0023】さらに、この第2の血管の画像化装置にお
いては、画像化対象の血管における血流速が所定の値と
なる時点を検出してタイミング信号を出力する同位相点
検出手段が設けられ、前記画像信号生成手段がこのタイ
ミング信号に基づいて、血流速がほぼ最高となる時点の
前記ビート成分検出信号をサンプリングして、そのビー
ト成分検出信号を前記画像信号の生成に供するように構
成されるのが望ましい。
【0024】そのようにする場合、上記の同位相点検出
手段としては、生体の脈波を検出する手段や、前記干渉
光学系によるビート成分の周波数が最高周波数を取った
時点を検出する手段等を適用することができる。
【0025】一方、本発明による血管の識別装置は、生
体に入射する計測光を発する光源手段と、検出する前記
計測光による第1のビート成分の周波数が、血流とのド
プラー効果により血流速に応じて変化するように構成さ
れた第1の干渉光学系と、この第1の干渉光学系が検出
するビート成分の周波数と異なる周波数で変調された局
発光と信号光とを干渉させることにより、前記ビート成
分の周波数と異なる周波数の第2のビート成分を生じさ
せる第2の干渉光学系と、前記第2のビート成分による
ビート信号の、前記局発光の変調周波数からの周波数偏
移を測定する偏移測定手段と、この偏移測定手段が求め
た周波数偏移の大きさと所定の閾値との大小関係に基づ
いて、前記血流の有る血管が動脈であるか静脈であるか
を識別する識別手段とからなることを特徴とするもので
ある。
【0026】なお、この本発明による血管の識別装置に
おいては、第1の干渉光学系により分岐された各計測光
の、共通の照射点に対する入射の方向が変化するよう
に、生体と第1の干渉光学系との相対位置を調整する位
置調整手段が設けられるのが望ましい。
【0027】また、上記第1の干渉光学系は2系統設け
られて、これらの干渉光学系の一方における2系統の計
測光の照射点への入射方向が、照射点に対面する面に写
影されたとき該面内を一方向に延びる直線となる方向に
設定され、これらの干渉光学系の他方における2系統の
計測光の前記照射点への入射方向が、前記面に写影され
たとき前記直線と直角になる方向に設定され、その上で
前記識別手段は、前記2系統の干渉光学系によるビート
成分の周波数偏移量をそれぞれfx,fyとしたとき、
fx+fy の値に基づいて血流速と血流方向とを
求めるように構成されるのが望ましい。
【0028】あるいは、上記第1の干渉光学系が2系統
設けられて、これらの干渉光学系の一方における2系統
の計測光の照射点への入射方向が、照射点に対面する面
に写影されたとき該面内を一方向に延びる直線となる方
向に設定され、これらの干渉光学系の他方における2系
統の計測光の前記照射点への入射方向が、前記面に写影
されたとき前記直線と角度θ(0°<θ<90°)をなす
方向に設定され、前記識別手段が、前記2系統の干渉光
学系によるビート成分の周波数偏移量をそれぞれf
x’,fy’としたとき、これらfx’およびfy’の
値に基づいて血流速と血流方向とを求めるように構成さ
れてもよい。
【0029】さらに、本発明による血管の識別装置にお
いては、識別対象の血管における血流速が所定の値とな
る時点を検出してタイミング信号を出力する同位相点検
出手段が設けられ、前記識別手段がこのタイミング信号
に基づいて、血流速がほぼ最高となる時点のビート成分
検出信号をサンプリングして、そのビート成分検出信号
を血管識別に供するように構成されるのが望ましい。
【0030】その場合、同位相点検出手段としては、生
体の脈波を検出する手段から構成することもできるし、
あるいは、第1の干渉光学系によるビート成分の周波数
が最高周波数を取った時点を検出する手段から構成する
こともできる。
【0031】他方、本発明による周波数偏移測定装置
は、散乱流体に入射する計測光を発する光源手段と、検
出する前記計測光による第1のビート成分の周波数が、
前記散乱流体とのドプラー効果により散乱流体流速に応
じて変化するように構成された第1の干渉光学系と、こ
の第1の干渉光学系が検出する第1のビート成分の周波
数と異なる周波数で変調された局発光と信号光とを干渉
させることにより、前記ビート成分の周波数と異なる周
波数の第2のビート成分を生じさせる第2の干渉光学系
と、前記第2のビート成分によるビート信号の、前記局
発光の変調周波数からの周波数偏移を測定する偏移測定
手段とからなることを特徴とするものである。
【0032】なお上記第1の干渉光学系は、例えばホモ
ダイン干渉光学系や、あるいはヘテロダイン干渉光学系
からなるものが好適に用いられ得る。
【0033】また上記偏移測定手段は、測定した周波数
偏移の大きさから散乱流体の流速の絶対値を求めるよう
に構成されるのが望ましい。
【0034】
【発明の効果】まず、本発明による第1の血管の画像化
装置における作用について説明する。この装置における
上述のホモダイン干渉光学系により計測光を2系統に分
岐し、分岐された各計測光を生体上の共通の照射点に互
いに異なる方向から入射させ、そしてこの照射点で散乱
反射した計測光を互いに合成する際、照射点において流
体が流れていると、反射した計測光の周波数がドプラー
効果により偏移する。
【0035】分かりやすいように、2系統の計測光の一
方が、生体に対面する面内の2点の一方を通過して散乱
反射後に光軸上を通過する光路を辿り、2系統の計測光
の他方が上記2点の他方を通過して散乱反射後に光軸上
を通過する光路を辿る場合を考えると、散乱反射点が速
度成分を有している場合、一方の計測光の周波数偏移は
Δfとなり、他方の計測光の周波数偏移は−Δfとな
る。そこで、これら2系統の計測光を散乱反射後に合成
すると、計測光には干渉によって周波数2Δfのビート
成分が発生する。
【0036】したがって、計測光の走査位置毎に周波数
2Δfのビート成分の有無を観測し、画像信号生成手段
により、例えばこのビート成分が観測されたときは高濃
度を担持する画像信号を生成し、ビート成分が観測され
ないときは比較的低濃度のバックグラウンドを担持する
画像信号を生成すれば、流体が流れている部分つまり血
管部を、他の軟組織と区別して高濃度で示す画像を得る
ことができる。
【0037】そして、動脈部分と静脈部分は、以下のよ
うにして識別することができる。上述した周波数偏移量
Δfは流体流速に比例し、また動脈では静脈よりも血流
速が速いので、計測光が動脈部分を照射した場合の周波
数偏移量Δfaは、静脈部分を照射した場合の周波数偏
移量Δfνと比べて、より大きな値をとる。そこで画像
信号生成手段において、ビート成分検出信号(ビート信
号)の周波数2Δfに対して適当な閾値を設定し、ビー
ト信号周波数2Δfがこの閾値を上回るときは動脈部分
を示す画像信号を生成し、ビート信号周波数2Δfがこ
の閾値を下回るときは静脈部分を示す画像信号を生成す
れば、動脈部分と静脈部分とを互いに識別して画像化す
ることができる。
【0038】また、特にこのような閾値処理は行なわな
くても、例えばビート信号周波数2Δfの値が大である
ほどより高濃度を担持する画像信号を生成する等によ
り、動脈部分と静脈部分とを濃度(輝度)差によって互
いに識別して画像化することができる。
【0039】なお、生体の血管部分で反射する計測光は
極めて弱いものであるから、上記のビート信号も本来極
めて微弱である。しかし本発明においては、前述した通
りのヘテロダイン干渉光学系、周波数シフター、および
ビート成分検出手段からなる光ヘテロダイン検出系を設
けて、この光ヘテロダイン検出系が出力したビート信号
を検出しているので、ホモダイン干渉光学系によるビー
ト成分を示す信号の振幅は、光ヘテロダイン検出系によ
るビート成分が重畳されて、原理的には、ホモダイン検
出系および光ヘテロダイン検出系によるビート信号振幅
を各々A1、A2として(A2/A1)1/2 倍に増
幅される。そこで、光ヘテロダイン検出系によるビート
信号はその光量を任意に設定可能であるから、それを適
宜設定することによりビート信号を高S/Nで検出可能
となり、手足の表面から比較的深い位置にある末梢動脈
等も明確に画像化できるようになる。
【0040】また本発明の第1の血管の画像化装置にお
いて、ホモダイン干渉光学系によって分岐された各計測
光の、共通の照射点に対する入射の方向が変化するよう
に、生体とホモダイン干渉光学系との相対位置を調整す
る位置調整手段が設けられていると、ビート信号をより
高S/Nで検出可能となる。
【0041】すなわち、前述したように2系統の計測光
が、生体に対面する面内の2点から相対する方向でそれ
ぞれ入射する場合を考えると、ホモダイン干渉光学系に
よるビート成分の振幅は、血流が上記2点を結ぶ直線と
平行な向きになっているとき最大となる。上述の位置調
整手段が設けられていれば、それを操作することによっ
て、計測光の入射の向きと血流の向きとの関係を上記の
ように設定し、高レベルのビート信号を得ることができ
る。
【0042】なおその際には、計測光の入射の向きと血
流の向きを特に確認する必要はなく、ビート信号をモニ
ターしながら位置調整手段を操作して、ビート信号が最
大強度を示したときにそれをサンプリングすればよい。
【0043】一方、動脈流の流速は脈動に応じて変動
し、その最低流速が静脈流の流速に極めて近づくことも
ある。したがって、そのように動脈流が最低流速となっ
ているときにビート成分を検出すると、動脈と静脈との
識別が不正確になることもあり得る。
【0044】しかしここで、前述したように画像化対象
の血管における血流速が所定の値となる時点を検出して
タイミング信号を出力する同位相点検出手段が設けられ
るとともに、画像信号生成手段がこのタイミング信号に
基づいて、血流速がほぼ最高となる時点のビート信号を
サンプリングして、そのビート信号を画像信号の生成に
供するように構成されていると、動脈を画像化する際
に、常に動脈流が最高流速となる時点のビート信号に基
づいて画像信号を生成可能となり、動脈流の流速変動の
ために動脈と静脈との識別が不正確になることを防止で
きる。
【0045】次に、本発明による第2の血管の画像化装
置における作用について説明する。この装置の干渉光学
系により計測光を2系統に分岐し、分岐された各計測光
を生体上の共通の照射点に互いに異なる方向から入射さ
せ、そしてこの照射点で反射した計測光を互いに合成す
る際、照射点において流体が流れていると、反射した計
測光の周波数がドプラー効果により偏移する。
【0046】分かりやすいように、2系統の計測光の周
波数が各々ω+Δω、ω(Δωは第1の周波数シフター
による周波数シフト量)であって、それらの一方が、生
体に対面する面内の2点の一方を通過して散乱反射後に
光軸上を通過する光路を辿り、他方は上記面内の2点の
他方を通過して散乱反射後に光軸上を辿る場合を考える
と、周波数偏移により一方の計測光の周波数はω+Δω
+fa(fa:周波数偏移量)となり、他方の計測光の
周波数はω−faとなる。そこで、これら2系統の計測
光を反射後に合成すると、計測光には干渉によって周波
数=ω+Δω+fa−(ω−fa)=Δω+2faのビ
ート成分が発生する。また、流体の流れの方向が上記と
正反対であれば、そのときの周波数偏移量をfνとし
て、周波数=ω+Δω−fν−(ω+fν)=Δω−2
fνのビート成分が発生する。
【0047】人体の手指部分等では、動脈流と静脈流は
互いにほぼ反対方向に流れているので、計測光が動脈部
分を照射している場合と、静脈部分を照射している場合
とで、ビート成分の周波数は上述の通りに変化する。
【0048】そこで画像信号生成手段において、ビート
成分検出信号(ビート信号)の周波数に対してΔωと同
程度の適当な閾値を設定し、ビート信号周波数がこの閾
値を上回るときは動脈部分を示す画像信号を生成し、ビ
ート信号周波数がこの閾値を下回るときは静脈部分を示
す画像信号を生成する等により、動脈部分と静脈部分と
を互いに識別して画像化することができる。
【0049】なお、周波数が各々ω+Δω、ωの計測光
の入射方向と、動脈流および静脈流の方向との相対関係
によっては、上記と反対に、計測光が動脈部分を照射し
ている場合は周波数シフト量Δωを低下させる方向に周
波数が偏移し、計測光が静脈部分を照射している場合は
周波数シフト量Δωを増大させる方向に周波数が偏移す
る。
【0050】また、特に上述のような閾値処理は行なわ
なくても、例えばビート信号周波数の値が大であるほど
より高濃度を担持する画像信号を生成する等により、動
脈部分と静脈部分とを濃度(輝度)差によって互いに識
別して画像化することができる。
【0051】なお、生体の血管部分で反射する計測光は
極めて弱いものであるから、上記のビート信号も本来極
めて微弱である。しかし本発明においては、前述した通
りの第2の光学系、第2の周波数シフター、およびビー
ト成分検出手段からなる光ヘテロダイン検出系を設け
て、この第2の光ヘテロダイン検出系が出力したビート
信号を検出しているので、干渉光学系(第1のヘテロダ
イン干渉光学系)によるビート成分を示す信号の振幅
は、第2の光ヘテロダイン検出系によるビート成分が重
畳されて、原理的には、干渉光学系および第2の光ヘテ
ロダイン検出系によるビート信号振幅を各々A1、A2
として(A2/A1)1/2 倍に増幅される。そこ
で、ビート信号を高S/Nで検出可能となり、手足の表
面から比較的深い位置にある末梢動脈等も明確に画像化
できるようになる。
【0052】また本発明の第2の血管の画像化装置にお
いて、干渉光学系によって分岐された各計測光の、共通
の照射点に対する入射の方向が変化するように、生体と
干渉光学系との相対位置を調整する位置調整手段が設け
られていると、ビート信号をより高S/Nで検出可能と
なる。
【0053】すなわち、前述したように2系統の計測光
の一方が、生体に対面する面内の2点の一方を通過して
散乱反射後に光軸上を通過する光路を辿り、2系統の計
測光の他方が上記面内の2点の他方を通過して散乱反射
後に同様に光軸上の光路を辿る場合を考えると、干渉光
学系によるビート成分の振幅は、血流が上記2点を結ぶ
直線と平行な向きになっているとき最大となる。上述の
位置調整手段が設けられていれば、それを操作すること
によって、計測光の入射の向きと血流の向きとの関係を
上記のように設定し、高レベルのビート信号を得ること
ができる。
【0054】なおその際には、計測光の入射の向きと血
流の向きを特に確認する必要はなく、ビート信号をモニ
ターしながら位置調整手段を操作して、ビート信号が最
大強度を示したときにそれをサンプリングすればよい。
【0055】また、前述したように干渉光学系が2系統
設けられて、これらの干渉光学系の一方における2系統
の計測光の照射点への入射方向が、照射点に対面する面
に写影されたとき該面内を一方向に延びる直線となる方
向(x方向)に設定され、これらの干渉光学系の他方に
おける2系統の計測光の照射点への入射方向が、前記面
に写影されたとき前記直線と直角になる方向(y方向)
に設定され、その上で画像信号生成手段が、それら2系
統の干渉光学系によるビート成分の周波数偏移量をそれ
ぞれfx,fyとしたとき、fx+fy の値に基
づいて画像信号を生成するように構成された場合は、計
測光の入射の向きと血流の向きを特に上記のように設定
しなくても、同様の効果が得られる。
【0056】すなわち、上記x方向、y方向に対して任
意の方向に流れる血流が存在するとき、図16に示すよ
うに血流の速度をvとし、x方向速度成分をvx、y方
向速度成分をvyとすると、v=vx+vy
である。そしてビート成分の周波数偏移量fx,fyは
それぞれvx、vyに比例するから、fx+fyの値
に基づいて画像信号を生成すれば、これはvの値に基
づいて、さらにはvの値に基づいて画像信号を生成する
ことになり、結局、血流速度vの方向のみについてドプ
ラー効果が生じた場合(これは、計測光の入射の向きと
血流の向きとの関係が、位置調整手段により上記のよう
に設定されている場合である)のビート信号周波数に基
づいて画像信号を生成するのと同じ効果が得られる。
【0057】以上、x方向とy方向とが互いに直角な場
合について説明したが、本発明の第2の血管の画像化装
置において干渉光学系が2系統設けられて、これらの干
渉光学系の一方における2系統の計測光の照射点への入
射方向が、照射点に対面する面に写影されたとき該面内
を一方向に延びる直線となる方向(x’方向)に設定さ
れ、これらの干渉光学系の他方における2系統の計測光
の照射点への入射方向が、前記面に写影されたとき前記
直線と角度θ(0°<θ<90°)をなす方向(y’方
向)に設定された場合でも、動脈と静脈とを識別して画
像化することが可能である。以下、その点について詳し
く説明する。
【0058】上記のx’方向およびy’方向を図17に
示すように規定し、それらの方向の速度成分を各々v
、vとする。それらの方向なす角度を上述の通
りθ(0°<θ<90°)とし、また、x’方向と血流方
向とがなす角度をφとする。ここでまず、血流速度vお
よび血流方向φを求めることを考える。図17より
【数1】 となる。上記式(2)よりvsinφ=vsinθ………
(3)となる。この(3)式を(1)式に代入すると、
【数2】
【数3】 以上の(数2)および(数3)式より
【数4】 として血流速度vおよび血流方向φを求めることができ
る。血流速度vが分かれば、動脈と静脈との間の血流速
の差から、それらを互いに識別して画像化できることは
既述の場合と同様である。
【0059】以上説明した本発明による血管の画像化装
置においては、計測光が血管部分を照射した場合の周波
数偏移量が、動脈を照射した場合と静脈を照射した場合
とで異なることを利用し、動脈を静脈から区別して画像
化するものであって、画像化の過程でビート成分検出信
号(ビート信号)の周波数偏移量を求めている。そこで
このビート信号の周波数偏移量に基づけば、動脈と静脈
とを区別することができる。本発明による血管の識別装
置は、以上の仕組みによって血管を識別するものであ
る。
【0060】また本発明による周波数偏移測定装置は、
上記の周波数偏移量を求める手法を、散乱流体全般を対
象とした場合の周波数偏移測定に適用して、正確に周波
数偏移を測定可能としたものである。
【0061】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。
【0062】<第1実施形態>図1は、本発明の第1実
施形態による血管の画像化装置を示す概略構成図であ
る。この実施形態の装置は、波長λ(周波数ω)の計測
光Lを発するレーザー10と、ホモダイン干渉光学系11
と、ヘテロダイン干渉光学系12と、このヘテロダイン干
渉光学系12から出射した計測光Lを受光する受光素子13
と、この受光素子13に接続された信号検出器14と、この
信号検出器14に接続されて該信号検出器14とともに画像
信号生成手段を構成するパーソナルコンピュータ15と、
このパーソナルコンピュータ15に接続された、例えばC
RT表示装置等からなる画像モニター16とを有してい
る。
【0063】また、血管画像化の対象である被検体(例
えば人体の指等)20を載置して2次元方向に移動し、か
つ回転し得るX−Y−θステージ21が設けられている。
このX−Y−θステージ21の駆動は、上記パーソナルコ
ンピュータ20によって制御されるようになっている。さ
らに、被検体20を提供している人体25には心電計からな
る同期用心拍信号検出手段26が取り付けられている。こ
の同期用心拍信号検出手段26は、パーソナルコンピュー
タ15に接続されている。
【0064】ホモダイン干渉光学系11は、レーザー10か
ら出射した計測光Lを2系統に分岐するハーフミラー30
と、ここで反射、分岐した計測光Lをさらに2系統に分
岐するハーフミラー31と、このハーフミラー31で反射し
た計測光Lを反射させるミラー32と、このミラー32で反
射した計測光Lを反射させる一方、上記ハーフミラー30
を透過して来た計測光Lを透過させて、これら2系統の
計測光Lを互いに芯ズレした状態で平行に進行するよう
に合成するハーフミラー33と、このハーフミラー33を経
た2系統の計測光Lを被検体20の内部で収束させる集光
レンズ34と、被検体20で反射した計測光Lを反射させ
て、被検体20に向かう計測光Lの光路から分岐させるハ
ーフミラー35と、このハーフミラー35で反射した計測光
Lを集光する集光レンズ36および37とから構成されてい
る。ここで、集光レンズ37から出射する計測光Lは、ヘ
テロダイン干渉光学系12の信号光Lとなる。
【0065】一方ヘテロダイン干渉光学系12は、上記の
ハーフミラー31、35および集光レンズ36、37に加えて、
ハーフミラー31を透過して来た計測光Lを反射させるミ
ラー38と、ここで反射した計測光Lとハーフミラー35で
反射後に集光レンズ36および37によって集光された計測
光Lとを合成するハーフミラー39とを設けて構成されて
いる。
【0066】そして、上記ミラー38で反射した計測光L
の光路には、例えばAOMから構成されてこの計測光L
に中心周波数Δωの所定の周波数シフトを与える周波数
シフター40が挿入されている。ここで、上記中心周波数
Δωの周波数シフトが与えられた計測光Lは、ヘテロダ
イン干渉光学系12の局発光Lとなる。
【0067】以下、上記構成を有する本実施形態の装置
の作用について説明する。被検体20の血管画像を得る際
には、レーザー10から発せられた計測光Lが被検体20に
照射され、それとともにX−Y−θステージ21の駆動に
より、レーザー10が被検体20をX−Y方向に2次元走査
する。このとき、前述したように2系統の計測光Lが互
いに芯ズレした状態で集光レンズ34に入射するので、こ
れら2系統の計測光Lが被検体20内の共通の照射点に互
いに異なる方向から入射する。
【0068】図2は、この状態を概略的に示すものであ
る。ここに図示の通り、一方の系統の計測光Lは実線表
示の光路を辿って照射点Pに至り、そこで散乱反射後は
集光レンズ34により集光され、光軸上を辿って被検体20
から出射する。また他方の系統の計測光Lは破線表示の
光路を辿って照射点Pに至り、そこで散乱反射後は同様
に集光レンズ34により集光され、光軸上を辿って被検体
20から出射する。
【0069】このとき照射点Pが血管部にあると、血流
の影響で、散乱反射した各計測光Lの周波数がドプラー
効果により偏移する。この場合、一方の系統の計測光L
における周波数偏移をΔfとすると、他方の計測光Lの
周波数偏移は−Δfとなる。これら2系統の計測光Lは
散乱反射後に集光レンズ34により合成されるが、それぞ
れの周波数が上記のように偏移しているので、合成後の
計測光Lすなわち信号光Lには干渉によって周波数2
Δfのビート成分が発生する。
【0070】このホモダイン干渉光学系11によるビート
成分を含む信号光Lはハーフミラー35により、被検体
20に向かう計測光Lの光路から分岐され、集光レンズ36
および37によって集光された後、ヘテロダイン干渉光学
系12のハーフミラー39に入射する。このハーフミラー39
には、周波数シフター40により中心周波数Δωの周波数
シフトが与えられた局発光Lも入射し、そこで上記集
光レンズ36および37からの信号光Lと合成される。
【0071】こうしてヘテロダイン干渉光学系12によっ
て合成された後の計測光Lには、干渉によって中心周波
数Δωのビート成分が発生し、それと上記周波数2Δf
のビート成分が重畳されるので、この周波数2Δfのビ
ート成分の振幅は原理的に、ホモダイン検出系および光
ヘテロダイン検出系によるビート信号振幅を各々A1、
A2として(A2/A1)1/2 倍に増幅される。
【0072】ハーフミラー39を経た計測光Lは、受光素
子13によって光電的に検出される。この受光素子13の出
力は、上記周波数2Δfのビート成分によるビート信号
Iを含むものであり、該出力は信号検出器14に入力され
る。この信号検出器14は、例えばバンドパスフィルター
とレベル検出器等から構成されたもので、上記ビート信
号Iを抽出してパーソナルコンピュータ15に入力する。
【0073】パーソナルコンピュータ15は、ビート信号
Iの周波数2Δfに対して図3に示すような閾値ftを
設定し、周波数2Δfがこの閾値ftを上回るときは比
較的高濃度(低輝度)を担持する画像信号を、周波数2
Δfが閾値以下の場合は比較的低濃度(高輝度)のバッ
クグラウンドを担持する画像信号を生成し、それらの画
像信号を画像モニター16に入力させる。
【0074】先に述べた通り、ホモダイン干渉光学系11
による周波数偏移量Δfは流体流速に比例し、また動脈
では静脈よりも血流速が速いので、計測光Lが動脈部分
を照射した場合の周波数偏移量Δfaは、静脈部分を照
射した場合の周波数偏移量Δfνと比べて、より大きな
値をとる。図3に示す通り閾値ftは、実験あるいは経
験に基づいて求められた周波数2Δfaと2Δfνとの
間に設定されたものである。したがって、パーソナルコ
ンピュータ15によって生成される上記高濃度(低輝度)
を担持する画像信号は、動脈部分を示すものとなる。
【0075】パーソナルコンピュータ15からは、計測光
Lの2次元走査位置毎にこのような画像信号、あるいは
バックグラウンドを担持する画像信号が生成される。そ
こでこれらの画像信号に基づいて、画像モニター16にお
いて画像を表示させれば、動脈部分のみが比較的高濃度
で示された画像が得られる。
【0076】なお、周波数2Δfが閾値ftを下回ると
きは比較的高濃度(低輝度)を担持する画像信号を、周
波数2Δfが閾値以上の場合は比較的低濃度(高輝度)
のバックグラウンドを担持する画像信号を生成し、それ
らの画像信号を画像モニター16に入力すれば、静脈部分
のみが比較的高濃度で示された画像を得ることができ
る。
【0077】ここで、生体の血管部分で反射する計測光
Lは極めて弱いものであるから、上記のビート信号Iも
本来極めて微弱である。しかし、上述した通り本装置に
おいては、光ヘテロダイン検出系を設けたことによりビ
ート信号Iの振幅は、光ヘテロダイン検出系を設けない
場合と比べて前述の通りに増幅されている。そこで、ビ
ート信号Iを高S/Nで検出可能となり、手足の表面か
ら比較的深い位置にある末梢動脈等も明確に画像化でき
るようになる。
【0078】なおX−Y−θステージ21は、既述のよう
にX−Y方向に移動し得る他、図1においてほぼ左右方
向に延びる軸を中心としてθ方向に回転可能である。以
下、このX−Y−θステージ21の回転に関して、図4も
参照して説明する。
【0079】この図4は、集光レンズ34から被検体20に
向けて出射する2系統の計測光Lと、血流との相対位置
関係を示すものである。ホモダイン干渉光学系11による
ビート成分の振幅は、同図(1)のように、被検体20に
対面する面内で2系統の計測光Lを結ぶ直線a−a’に
対して血流が平行な向きになっているときに最大とな
る。そこで、同図(2)のように、直線a−a’に対し
て血流が平行になっていない場合は、同図(3)のよう
にX−Y−θステージ21を回転させて、ホモダイン干渉
光学系11に対する被検体20の相対位置を調整することに
より、同図(1)の状態に設定することができる。この
ようにすれば、ビート信号Iをより高S/Nで検出可能
となる。
【0080】なおその際には、計測光Lの入射の向きと
血流の向きを特に確認する必要はなく、ビート信号Iを
モニターしながらX−Y−θステージ21を操作して、ビ
ート信号Iが最大強度を示したときにそれをサンプリン
グすればよい。
【0081】しかし、被検体20が手指等であって、画像
化対象の血管の延びる方向が分かりやすい場合は、ホモ
ダイン干渉光学系11と被検体20との相対位置を調整する
ことは、必ずしも必要ではない。つまり図5に示すよう
に、被検体20である手指において動脈20aはほぼ手指の
長手方向に延びているので、この方向に対して上記直線
a−a’が平行となるように予め被検体20を固定すれば
よい。なお図5中の20vは、静脈を示している。
【0082】一方、動脈流の流速は脈動に応じて変動
し、その最低流速が静脈流の流速に極めて近づくことも
ある。したがって、そのように動脈流が最低流速となっ
ているときにホモダイン干渉光学系11によるビート成分
を検出すると、動脈と静脈との識別が不正確になること
もあり得る。
【0083】同期用心拍信号検出手段26は、この問題の
発生を防止するために設けられている。つまり、同位相
点検出手段としてのこの同期用心拍信号検出手段26は、
図6(1)に示すような心電計の出力波形をモニター
し、最高電位が検出された時点でパーソナルコンピュー
タ15にタイミング信号Stを入力する。パーソナルコン
ピュータ15は、このタイミング信号Stが入力されてか
ら所定時間が経過した時点でビート信号Iをサンプリン
グして、そのビート信号Iを画像信号の生成に供する。
【0084】図6(2)には、動脈血流速の変化の様子
を概略的に示してある。この動脈血流速は、同図(1)
の心電計出力波形と時間軸上で図示の通りに対応してい
る。そこで、パーソナルコンピュータ15がタイミング信
号Stに基づいて上記のようにビート信号Iをサンプリ
ングすれば、常に動脈流がほぼ最高流速となる時点のビ
ート信号Iから画像信号を生成可能となり、動脈流の流
速変動のために動脈と静脈との識別が不正確になること
を防止できる。
【0085】<第2実施形態>次に、本発明の第2の実
施形態について説明する。図7は、本発明の第2実施形
態による血管の画像化装置の概略構成を示すものであ
る。なおこの図7において、図1中の要素と同等の要素
には同番号を付し、それらについての説明は特に必要の
無い限り省略する(以下、同様)。
【0086】この第2の実施形態の装置においては、図
1の装置におけるX−Y−θステージ21と同様に2次元
移動および回転が可能なピックアップ50が設けられ、こ
のピックアップ50には集光レンズ34と、ハーフミラー35
と、集光レンズ36および37とが搭載されている。さらに
このピックアップ50には、ハーフミラー35越しに集光レ
ンズ34上の互いに異なる位置に対向するロッドレンズ51
および52が固定されている。
【0087】一方ピックアップ50の外には、ハーフミラ
ー30を透過した計測光Lが入射する位置にロッドレンズ
53が、ハーフミラー31で反射した計測光Lが入射する位
置にロッドレンズ54が、そしてハーフミラー39越しに受
光素子13に対向する位置にロッドレンズ55がそれぞれ配
設されている。
【0088】ロッドレンズ53は、光ファイバー56を介し
てロッドレンズ51と光学的に接続されている。そこで、
ハーフミラー30を透過した計測光Lはロッドレンズ53で
集光されて光ファイバー56に入射し、そこを伝搬してロ
ッドレンズ51から出射し、集光レンズ34を経て被検体20
中の一点を照射する。またロッドレンズ54は、光ファイ
バー57を介してロッドレンズ52と光学的に接続されてい
る。そこで、ハーフミラー31で反射した計測光Lはロッ
ドレンズ54で集光されて光ファイバー57に入射し、そこ
を伝搬してロッドレンズ52から出射し、集光レンズ34を
経て被検体20中の一点を照射する。
【0089】一方、ロッドレンズ55は、光ファイバー58
を介して集光レンズ37と光学的に接続されている。そこ
で、被検体20で反射した後にハーフミラー35で反射し、
集光レンズ36、37によって集光された計測光Lは光ファ
イバー58に入射し、そこを伝搬してロッドレンズ55から
出射し、受光素子13に受光される。
【0090】以上の通り本例においては、ピックアップ
50に搭載された光学要素と該ピックアップ50の外の光学
要素とが、可撓性の有る光ファイバーを介して結合され
ているので、ピックアップ50を移動させて計測光Lの2
次元走査を行なうことができ、またピックアップ50を回
転させて、計測光Lの入射の向きと血流の向きとの関係
を最適に設定することができる。
【0091】またこの実施形態においては、図1の装置
における同期用心拍信号検出手段26に代えて同期用周波
数検出手段60が設けられている。同位相点検出手段とし
てのこの同期用周波数検出手段60は、信号検出器14から
出力されるビート信号Iをモニターし、その周波数が最
高値となった時点でパーソナルコンピュータ15にタイミ
ング信号Stを入力する。パーソナルコンピュータ15
は、このタイミング信号Stが入力された時点でビート
信号Iをサンプリングして、そのビート信号Iを画像信
号の生成に供する。
【0092】以上によりこの場合も、常に動脈流がほぼ
最高流速となる時点のビート信号Iから画像信号を生成
可能となり、動脈流の流速変動のために動脈と静脈との
識別が不正確になることを防止できる。
【0093】<第3実施形態>図8は、本発明の第3実
施形態による血管の画像化装置を示す概略構成図であ
る。この実施形態の装置は、波長λ(周波数ω)の計測
光Lを発するレーザー110と、干渉光学系を構成する第
1の光学系111と、光ヘテロダイン検出系を構成する第
2の光学系112と、この第2の光学系112から出射した計
測光Lを受光する受光素子113と、この受光素子113に接
続された信号検出器114と、この信号検出器114に接続さ
れて該信号検出器114とともに画像信号生成手段を構成
するパーソナルコンピュータ115と、このパーソナルコ
ンピュータ115に接続された、例えばCRT表示装置等
からなる画像モニター116とを有している。
【0094】また、血管画像化の対象である被検体(例
えば人体の指等)120を載置して2次元方向に移動し、
かつ回転し得るX−Y−θステージ121が設けられてい
る。このX−Y−θステージ121の駆動は、上記パーソ
ナルコンピュータ120によって制御されるようになって
いる。さらに、被検体120を提供している人体125には心
電計からなる同期用心拍信号検出手段126が取り付けら
れている。この同期用心拍信号検出手段126は、パーソ
ナルコンピュータ115に接続されている。
【0095】第1の光学系111は、レーザー110から出射
した計測光Lを2系統に分岐するハーフミラー130と、
ここで反射、分岐した計測光Lをさらに2系統に分岐す
るハーフミラー131と、このハーフミラー131で反射した
計測光Lを反射させるミラー132と、このミラー132で反
射した計測光Lを反射させる一方、上記ハーフミラー13
0を透過して来た計測光Lを透過させて、これら2系統
の計測光Lを互いに芯ズレした状態で平行に進行するよ
うに合成するハーフミラー133と、このハーフミラー133
を経た2系統の計測光Lを被検体120の内部で収束させ
る集光レンズ134と、被検体120で散乱反射した計測光L
を反射させて、被検体120に向かう計測光Lの光路から
分岐させるハーフミラー135と、このハーフミラー135で
反射した計測光Lを集光する集光レンズ136および137と
から構成されている。
【0096】そして、上記ハーフミラー131で反射した
計測光Lの光路には、例えばAOMから構成されてこの
計測光Lに中心周波数Δωの所定の周波数シフトを与え
る第1の周波数シフター122が挿入されている。
【0097】一方第2の光学系112は、上記のハーフミ
ラー131、135および集光レンズ136、137に加えて、ハー
フミラー131を透過して来た計測光Lを反射させるミラ
ー138と、ここで反射した計測光Lとハーフミラー135で
反射後に集光レンズ136および137によって集光された計
測光Lとを合成するハーフミラー139とを設けて構成さ
れている。
【0098】そして、上記ミラー138で反射した計測光
Lの光路には、例えばAOMから構成されてこの計測光
Lに中心周波数Δω1の所定の周波数シフトを与える第
2の周波数シフター140が挿入されている。
【0099】以下、上記構成を有する本実施形態の装置
の作用について説明する。被検体120の血管画像を得る
際には、レーザー110から発せられた計測光Lが被検体1
20に照射され、それとともにX−Y−θステージ121の
駆動により、レーザー110が被検体120をX−Y方向に2
次元走査する。このとき、前述したように2系統の計測
光Lが互いに芯ズレした状態で集光レンズ134に入射す
るので、これら2系統の計測光Lが被検体120内の共通
の照射点に互いに異なる方向から入射する。
【0100】図9は、この状態を概略的に示すものであ
る。ここに図示の通り、一方の系統の周波数ωの計測光
Lは実線表示の光路を辿って照射点Pに至り、そこで散
乱反射後は光軸上の光路を辿って被検体120から出射す
る。また他方の系統の周波数(ω+Δω)の計測光Lは
破線表示の光路を辿って照射点Pに至り、そこで散乱反
射後は同様に光軸上の光路を辿って被検体120から出射
する。
【0101】これら2系統の計測光Lは散乱反射後に合
成されるが、このとき照射点Pに血流が無ければ、合成
後の計測光Lには干渉によって周波数Δωのビート成分
が発生する。しかし、照射点Pが血管部にある場合は、
血流の影響で、反射した各計測光Lの周波数がドプラー
効果により偏移する。照射点Pが動脈部分にあるときの
反射計測光Lの周波数をω+Δω+fa(fa:周波数
偏移量)とすると、他方の計測光Lの周波数はω−fa
となる。そこで、これら2系統の計測光Lを反射後に合
成すると、計測光Lには干渉によって周波数=ω+Δω
+fa−(ω−fa)=Δω+2faのビート成分が発
生する。
【0102】他方、照射点Pが静脈部分にある場合を考
えると、人体の手指等において動脈流と静脈流の方向は
互いにほぼ反対向きであるので、周波数偏移量をfνと
すると、周波数=ω+Δω−fν−(ω+fν)=Δω
−2fνのビート成分が発生する。
【0103】この第1の光学系111によるビート成分を
含む計測光Lはハーフミラー135により、被検体120に向
かう計測光Lの光路から分岐され、集光レンズ136およ
び137によって集光された後、第2の光学系112のハーフ
ミラー139に入射する。このハーフミラー139には、第2
の周波数シフター140により中心周波数Δω1の周波数
シフトが与えられた計測光Lも入射し、そこで上記集光
レンズ136および137からの計測光Lと合成される。
【0104】こうして合成された後の計測光Lには、第
2の周波数シフター140からの計測光Lと、集光レンズ1
36および137からの計測光Lとの干渉によって周波数Δ
ω1のビート成分が発生し、それと上記周波数(Δω+
2fa)あるいは(Δω−2fν)のビート成分が重畳
されるので、この周波数(Δω+2fa)あるいは(Δ
ω−2fν)のビート成分の振幅は原理的に、第1の光
学系111からなる干渉光学系および第2の光学系112から
なる光ヘテロダイン検出系によるビート信号振幅を各々
A1、A2として(A2/A1)1/2 倍に増幅され
る。
【0105】ハーフミラー139を経た計測光Lは、受光
素子113によって光電的に検出される。この受光素子113
の出力は、最終的には周波数(Δω−Δω1+2fa)
あるいは(Δω−Δω1−2fν)のビート信号Iとな
り、該出力は信号検出器114に入力される。この信号検
出器114は、例えばバンドパスフィルターとレベル検出
器等から構成されたもので、上記ビート信号Iを抽出し
てパーソナルコンピュータ115に入力する。
【0106】パーソナルコンピュータ115は、ビート信
号Iの周波数(Δω−Δω1+2fa)あるいは(Δω
−Δω1−2fν)に対して図10に示すように閾値Δ
ω−Δω1を設定し、ビート信号Iの周波数がこの閾値
Δω−Δω1を上回るときは比較的高濃度(低輝度)を
担持する画像信号を、ビート信号Iの周波数がこの閾値
Δω−Δω1以下の場合は比較的低濃度(高輝度)のバ
ックグラウンドを担持する画像信号を生成し、それらの
画像信号を画像モニター116に入力させる。上記高濃度
(低輝度)を担持する画像信号は、動脈部分を示すもの
となる。
【0107】パーソナルコンピュータ115からは、計測
光Lの2次元走査位置毎にこのような画像信号、あるい
はバックグラウンドを担持する画像信号が生成される。
そこでこれらの画像信号に基づいて、画像モニター116
において画像を表示させれば、動脈部分のみが比較的高
濃度で示された画像が得られる。
【0108】なお、ビート信号Iの周波数が閾値Δω−
Δω1を下回るときは比較的高濃度(低輝度)を担持す
る画像信号を、ビート信号Iの周波数が閾値Δω−Δω
1以上の場合は比較的低濃度(高輝度)のバックグラウ
ンドを担持する画像信号を生成し、それらの画像信号を
画像モニター116に入力すれば、静脈部分のみが比較的
高濃度で示された画像を得ることができる。
【0109】ここで、生体の血管部分で反射する計測光
Lは極めて弱いものであるから、上記のビート信号Iも
本来極めて微弱である。しかし、上述した通り本装置に
おいては、第2の光学系112、第2の周波数シフター140
および受光素子113からなる光ヘテロダイン検出系を設
けたことによりビート信号Iの振幅は、光ヘテロダイン
検出系を設けない場合と比べて増幅されている。そこ
で、ビート信号Iを高S/Nで検出可能となり、手足の
表面から比較的深い位置にある末梢動脈等も明確に画像
化できるようになる。
【0110】なおX−Y−θステージ121をθ方向に回
転させることにより、ビート信号Iをより高S/Nで検
出可能となることは、先に図4を参照して説明した第1
実施形態の場合と同様である。
【0111】また、被検体120が手指等であって、画像
化対象の血管の延びる方向が分かりやすい場合は、第1
の光学系111と被検体120との相対位置を調整すること
は、必ずしも必要ではない。これも、先に図5を参照し
て説明した第1実施形態の場合と同様である。
【0112】さらに、同期用心拍信号検出手段126によ
る作用、効果は、先に図6を参照して説明した第1実施
形態の同期用心拍信号検出手段26の作用、効果と同様で
ある。 <第4実施形態>次に、本発明の第4の実施形
態について説明する。図11は、本発明の第4実施形態
による血管の画像化装置の概略構成を示すものである。
【0113】この第4の実施形態の装置においては、図
8の装置におけるX−Y−θステージ121と同様に2次
元移動および回転が可能なピックアップ150が設けら
れ、このピックアップ150には集光レンズ134と、ハーフ
ミラー135と、集光レンズ136および137とが搭載されて
いる。さらにこのピックアップ150には、ハーフミラー1
35越しに集光レンズ134上の互いに異なる位置に対向す
るロッドレンズ151および152が固定されている。
【0114】一方ピックアップ150の外には、ハーフミ
ラー130を透過した計測光Lが入射する位置にロッドレ
ンズ153が、ハーフミラー131で反射した計測光Lが入射
する位置にロッドレンズ154が、そしてハーフミラー139
越しに受光素子113に対向する位置にロッドレンズ155が
それぞれ配設されている。
【0115】ロッドレンズ153は、光ファイバー156を介
してロッドレンズ151と光学的に接続されている。そこ
で、ハーフミラー130を透過した計測光Lはロッドレン
ズ153で集光されて光ファイバー156に入射し、そこを伝
搬してロッドレンズ151から出射し、集光レンズ134を経
て被検体120中の一点を照射する。またロッドレンズ154
は、光ファイバー157を介してロッドレンズ152と光学的
に接続されている。そこで、ハーフミラー131で反射し
た計測光Lはロッドレンズ154で集光されて光ファイバ
ー157に入射し、そこを伝搬してロッドレンズ152から出
射し、集光レンズ134を経て被検体120中の一点を照射す
る。
【0116】一方、ロッドレンズ155は、光ファイバー1
58を介して集光レンズ137と光学的に接続されている。
そこで、被検体120で反射した後にハーフミラー135で反
射し、集光レンズ136、137によって集光された計測光L
は光ファイバー158に入射し、そこを伝搬してロッドレ
ンズ155から出射し、受光素子113に受光される。
【0117】以上の通り本例においては、ピックアップ
150に搭載された光学要素と該ピックアップ150の外の光
学要素とが、可撓性の有る光ファイバーを介して結合さ
れているので、ピックアップ150を移動させて計測光L
の2次元走査を行なうことができ、またピックアップ15
0を回転させて、計測光Lの入射の向きと血流の向きと
の関係を最適に設定することができる。
【0118】またこの実施形態においては、図8の装置
における同期用心拍信号検出手段126に代えて同期用周
波数検出手段160が設けられている。同位相点検出手段
としてのこの同期用周波数検出手段160は、信号検出器1
14から出力されるビート信号Iをモニターし、その周波
数が最高値となった時点でパーソナルコンピュータ115
にタイミング信号Stを入力する。パーソナルコンピュ
ータ115は、このタイミング信号Stが入力された時点
でビート信号Iをサンプリングして、そのビート信号I
を画像信号の生成に供する。
【0119】以上によりこの場合も、常に動脈流がほぼ
最高流速となる時点のビート信号Iから画像信号を生成
可能となり、動脈流の流速変動のために動脈と静脈との
識別が不正確になることを防止できる。
【0120】なお以上の説明から明かな通り、計測光L
が被検体120の動脈を横切るように走査する際、照射点
Pが動脈から全く外れているとビート信号Iの周波数は
Δωとなり、照射点Pが動脈上にある場合は、照射点P
が動脈の中央付近にあるか側端付近にあるかに応じて、
ビート信号Iの周波数は図12にAで示す範囲内の値を
取る。このことを利用して、被検体120の動脈を横切る
ように計測光Lを走査させ、ビート信号Iの周波数がΔ
ω+2faから次第に低下してΔωに達したならば走査
の方向を反転させる等により、余分な部位について計測
光Lが走査することを回避して、ほぼ動脈部分のみを画
像化することも可能である。
【0121】<第5実施形態>次に、本発明の第5の実
施形態について説明する。図13は、本発明の第5実施
形態による血管の画像化装置の概略構成を示すものであ
る。この第5実施形態の画像化装置は図11の装置と比
較すると、基本的に、2系統の第1の光学系111x,111
yが設けられている点と、2次元移動および回転が可能
なピックアップ150に代えて、X,Y方向の2次元移動
のみ可能なピックアップ170が設けられている点が異な
るものである。
【0122】上記ピックアップ170には集光レンズ134
と、ハーフミラー135と、集光レンズ136および137とが
搭載されている。さらにこのピックアップ170には、ハ
ーフミラー135越しに集光レンズ134上の互いに異なる位
置に対向するロッドレンズ151x,151y,152xおよび1
52yが固定されている。
【0123】一方ピックアップ150の外には、ハーフミ
ラー130とミラー138との間に3個のハーフミラー131
a,131bおよび131cが配され、ハーフミラー130を透
過した計測光Lが入射する位置にロッドレンズ153x
が、ハーフミラー131aで反射した計測光Lが入射する
位置にロッドレンズ154xが、ハーフミラー131bで反射
した計測光Lが入射する位置にロッドレンズ153yが、
ハーフミラー131cで反射した計測光Lが入射する位置
にロッドレンズ154yが配され、そしてハーフミラー139
越しに受光素子113に対向する位置にロッドレンズ155が
それぞれ配設されている。
【0124】また、レーザー110から出射した周波数ω
の計測光Lは、ハーフミラー130を透過した後に周波数
シフター122x1により+Δωx1の周波数シフトを受
け、ハーフミラー131aで反射した後に周波数シフター1
22x2により+Δωx2の周波数シフトを受け、ハーフ
ミラー131bで反射した後に周波数シフター122y1によ
り+Δωy1の周波数シフトを受け、ハーフミラー131
cで反射した後に周波数シフター122y2により+Δω
y2の周波数シフトを受ける。
【0125】ロッドレンズ153xは、光ファイバー156x
を介してロッドレンズ151xと光学的に接続されてい
る。そこで、ハーフミラー130を透過した周波数(ω+
Δωx1)の計測光Lはロッドレンズ153xで集光され
て光ファイバー156xに入射し、そこを伝搬してロッド
レンズ151xから出射し、集光レンズ134を経て被検体12
0中の一点を照射する。
【0126】ロッドレンズ154xは、光ファイバー157x
を介してロッドレンズ152xと光学的に接続されてい
る。そこで、ハーフミラー131aで反射した周波数(ω
+Δωx2)の計測光Lはロッドレンズ154xで集光さ
れて光ファイバー157xに入射し、そこを伝搬してロッ
ドレンズ152xから出射し、集光レンズ134を経て被検体
120中の一点を照射する。
【0127】ロッドレンズ153yは、光ファイバー156y
を介してロッドレンズ151yと光学的に接続されてい
る。そこで、ハーフミラー131bで反射した周波数(ω
+Δωy1)の計測光Lはロッドレンズ153yで集光さ
れて光ファイバー156yに入射し、そこを伝搬してロッ
ドレンズ151yから出射し、集光レンズ134を経て被検体
120中の一点を照射する。
【0128】ロッドレンズ154yは、光ファイバー157y
を介してロッドレンズ152yと光学的に接続されてい
る。そこで、ハーフミラー131cで反射した周波数(ω+
Δωy2)の計測光Lはロッドレンズ154yで集光され
て光ファイバー157yに入射し、そこを伝搬してロッド
レンズ152yから出射し、集光レンズ134を経て被検体12
0中の一点を照射する。
【0129】一方、ロッドレンズ155は、光ファイバー1
58を介して集光レンズ137と光学的に接続されている。
そこで、被検体120で散乱反射した後にハーフミラー135
で反射し、集光レンズ136、137によって集光された計測
光Lは光ファイバー158に入射し、そこを伝搬してロッ
ドレンズ155から出射し、受光素子113に受光される。
【0130】以上の通り本例においては、ピックアップ
170に搭載された光学要素と該ピックアップ170の外の光
学要素とが、可撓性の有る光ファイバーを介して結合さ
れているので、ピックアップ170を移動させて計測光L
の2次元走査を行なうことができる。
【0131】ここで、ピックアップ170に固定されてい
るロッドレンズ151x,152x,151yおよび152yは、各
々から出射した計測光Lが図14に示す状態で進行する
ように配置されている。すなわちこの図14では、ロッ
ドレンズ151x,152x,151yおよび152yの各々から出
射した計測光をLx1,Lx2,Ly1およびLy2として
示してあるが、光学系111x側の2系統の計測光Lx1,
Lx2の照射点Pへの入射方向は、照射点Pに対面する
面(例えば集光レンズ134の光軸に垂直な面)に写影さ
れたとき該面内を一方向(x方向)に延びる直線となる
方向に設定され、それに対して光学系111y側の2系統
の計測光Ly1,Ly2の照射点Pへの入射方向は、上記
面に写影されたとき上記直線と直角になる方向(y方
向)に設定されている。
【0132】なお既述の各実施形態におけるのと同様
に、2系統の計測光Lx1,Lx2の照射点Pへの入射方
向は互いに反対方向で、照射点Pで散乱反射した後は、
集光レンズ134の光軸上の光路を辿るように設定されて
いる。これは計測光Ly1,Ly2についても同様であ
る。
【0133】以上の構成により、得られるビート信号I
の波形は図15に示すようなものとなる。つまり、計測
光Lが動脈部分を照射しているときは、光学系111x側
による周波数(Δωx1−Δωx2−Δω1+2fa)
のビート成分が検出されるとともに、光学系111y側に
よる周波数(Δωy1−Δωy2−Δω1+2fa’)
のビート成分が検出される。また、計測光Lが静脈部分
を照射しているときは、光学系111x側による周波数
(Δωx1−Δωx2−Δω1−2fν)のビート成分
が検出されるとともに、光学系111y側による周波数
(Δωy1−Δωy2−Δω1−2fν’)のビート成
分が検出される。
【0134】そしてこの場合パーソナルコンピュータ11
5は、それら2系統の干渉光学系によるビート成分の周
波数偏移量をそれぞれfx,fyとしたとき、fx
fy の値に基づいて画像信号を生成する。すなわ
ち、上記周波数(Δωx1−Δωx2−Δω1+2f
a)のビート成分と周波数(Δωy1−Δωy2−Δω
1+2fa’)のビート成分が検出されている場合は、
fa+fa’の値に基づいて画像信号を生成し、上
記周波数(Δωx1−Δωx2−Δω1−2fν)のビ
ート成分と周波数(Δωy1−Δωy2−Δω1−2f
ν’)のビート成分が検出されている場合は、fν
fν’の値に基づいて画像信号を生成する。
【0135】このようにすることにより、図14に即し
て説明すれば、計測光Lx1とLx2のみを使用してx方
向を血流方向に合わせた場合や、計測光Ly1とLy2の
みを使用してy方向を血流方向に合わせた場合と同様の
効果が得られる。その理由は、先に詳しく説明した通り
である。
【0136】そこで本実施形態においては、ピックアッ
プ170を、図11の装置のピックアップ150のようにθ方
向に回転させる必要がなくなっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による血管の画像化装置
を示す概略構成図
【図2】上記画像化装置における計測光の一部の光路を
示す側面図
【図3】上記画像化装置において生じるビート信号と閾
値との関係を示す概略図
【図4】上記画像化装置における計測光の入射の向きと
血流の向きとの関係を示す概略図
【図5】上記画像化装置が取り扱う被検体の概略側面図
【図6】心電計の出力波形と動脈血流速の時間変化を示
すグラフ
【図7】本発明の第2実施形態による血管の画像化装置
を示す概略構成図
【図8】本発明の第3実施形態による血管の画像化装置
を示す概略構成図
【図9】上記画像化装置における計測光の一部の光路を
示す側面図
【図10】上記画像化装置において生じるビート信号と
閾値との関係を示す概略図
【図11】本発明の第4実施形態による血管の画像化装
置を示す概略構成図
【図12】計測光の血管に対する照射位置に応じた、ビ
ート信号周波数の変化を説明する概略図
【図13】本発明の第5実施形態による血管の画像化装
置を示す概略構成図
【図14】上記第5実施形態の画像化装置における計測
光の一部の光路を示す斜視図
【図15】上記第5実施形態の画像化装置におけるビー
ト信号の波形を説明する概略図
【図16】血流速度の相直交する方向の成分を説明する
概略図
【図17】血流速度の相異なる2方向の成分を説明する
概略図
【符号の説明】
10 レーザー 11 ホモダイン干渉光学系 12 ヘテロダイン干渉光学系 13 受光素子 14 信号検出器 15 パーソナルコンピュータ 16 画像モニター 20 被検体 21 X−Y−θステージ 25 人体 26 同期用心拍信号検出手段 30、31、33、35、39 ハーフミラー 32、38 ミラー 34、36、37 集光レンズ 40 周波数シフター 50 ピックアップ 51、52、53、54、55 ロッドレンズ 56、57、58 光ファイバー 60 同期用周波数検出手段 110 レーザー 111、111x、111y 第1の光学系 112 第2の光学系 113 受光素子 114 信号検出器 115 パーソナルコンピュータ 116 画像モニター 120 被検体 121 X−Y−θステージ 122、122x1、122x2、122y1、122y2 第1の
周波数シフター 125 人体 126 同期用心拍信号検出手段 130、131、131a、131b、131c、133、135、139 ハ
ーフミラー 132、138 ミラー 134、136、137 集光レンズ 140 第2の周波数シフター 150 ピックアップ 151、151x、151y ロッドレンズ 152、152x、152y ロッドレンズ 153、153x、153y ロッドレンズ 154、154x、154y ロッドレンズ 155 ロッドレンズ 156、156x、156y 光ファイバー 157、157x、157y 光ファイバー 158 光ファイバー 160 同期用周波数検出手段 170 ピックアップ

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体に入射する計測光を発する光源手段
    と、 この計測光を前記生体に対して走査させる走査手段と、 前記計測光を2系統に分岐し、分岐された各計測光を生
    体中の共通の照射点に互いに異なる方向から入射させる
    一方、前記照射点で反射した計測光を互いに合成するホ
    モダイン干渉光学系と、 前記計測光の一部を前記生体に入射する前の光路から分
    岐した後、前記ホモダイン光学系から出射した計測光と
    合成するヘテロダイン干渉光学系、このヘテロダイン干
    渉光学系により分岐がなされて2系統の光路を進む該計
    測光に互いに周波数差を与える周波数シフター、および
    前記ヘテロダイン干渉光学系で合成された後の計測光の
    ビート成分を検出する手段を備えてなる光ヘテロダイン
    検出系と、 この光ヘテロダイン検出系が出力したビート成分検出信
    号の、前記ホモダイン干渉光学系によるビート成分の周
    波数の値に基づいて画像信号を生成する画像信号生成手
    段とからなる血管の画像化装置。
  2. 【請求項2】 前記画像信号生成手段が、前記ホモダイ
    ン干渉光学系によるビート成分の周波数が所定の閾値よ
    りも大となるときに、生体の動脈部分を示す画像信号を
    生成するように構成されていることを特徴とする請求項
    1記載の血管の画像化装置。
  3. 【請求項3】 前記画像信号生成手段が、前記ホモダイ
    ン干渉光学系によるビート成分の周波数が所定の閾値よ
    りも小となるときに、生体の静脈部分を示す画像信号を
    生成するように構成されていることを特徴とする請求項
    1または2記載の血管の画像化装置。
  4. 【請求項4】 前記ホモダイン干渉光学系により分岐さ
    れた各計測光の、前記共通の照射点に対する入射の方向
    が変化するように、該生体とホモダイン干渉光学系との
    相対位置を調整する位置調整手段が設けられていること
    を特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の血管の
    画像化装置。
  5. 【請求項5】 画像化対象の血管における血流速が所定
    の値となる時点を検出してタイミング信号を出力する同
    位相点検出手段が設けられ、 前記画像信号生成手段がこのタイミング信号に基づい
    て、血流速がほぼ最高となる時点の前記ビート成分検出
    信号をサンプリングして、そのビート成分検出信号を前
    記画像信号の生成に供するように構成されていることを
    特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の血管の画
    像化装置。
  6. 【請求項6】 前記同位相点検出手段が、生体の脈波を
    検出する手段からなることを特徴とする請求項5記載の
    血管の画像化装置。
  7. 【請求項7】 前記同位相点検出手段が、前記ホモダイ
    ン干渉光学系によるビート成分の周波数が最高周波数を
    取った時点を検出する手段からなることを特徴とする請
    求項5記載の血管の画像化装置。
  8. 【請求項8】 生体に入射する計測光を発する光源手段
    と、 この計測光を前記生体に対して走査させる走査手段と、 前記計測光を2系統に分岐し、分岐された各計測光を生
    体中の共通の照射点に互いに異なる方向から入射させる
    一方、この照射点で反射した計測光を互いに合成する第
    1の光学系、およびこの第1の光学系により分岐がなさ
    れて2系統の光路を進む計測光に互いに周波数差を与え
    る第1の周波数シフターからなる干渉光学系と、 前記計測光の一部を前記第1の光学系に入射する前の光
    路から分岐した後、該第1の光学系から出射した計測光
    と合成する第2の光学系、この第2の光学系により分岐
    がなされて2系統の光路を進む計測光に周波数差を与え
    る第2の周波数シフター、および前記第2の光学系で合
    成された後の計測光のビート成分を検出する手段を備え
    てなる光ヘテロダイン検出系と、 この光ヘテロダイン検出系が出力したビート成分検出信
    号の、前記干渉光学系によるビート成分の周波数の値に
    基づいて画像信号を生成する画像信号生成手段とからな
    る血管の画像化装置。
  9. 【請求項9】 前記画像信号生成手段が、前記干渉光学
    系によるビート成分の周波数が所定の閾値よりも大とな
    るときに、生体の動脈部分を示す画像信号を生成するよ
    うに構成されていることを特徴とする請求項8記載の血
    管の画像化装置。
  10. 【請求項10】 前記画像信号生成手段が、前記干渉光
    学系によるビート成分の周波数が所定の閾値よりも小と
    なるときに、生体の静脈部分を示す画像信号を生成する
    ように構成されていることを特徴とする請求項8または
    9記載の血管の画像化装置。
  11. 【請求項11】 前記第1の光学系により分岐された各
    計測光の、前記共通の照射点に対する入射の方向が変化
    するように、該生体と第1の光学系との相対位置を調整
    する位置調整手段が設けられていることを特徴とする請
    求項8から10いずれか1項記載の血管の画像化装置。
  12. 【請求項12】 前記干渉光学系が2系統設けられて、
    これらの干渉光学系の一方における2系統の計測光の前
    記照射点への入射方向が、前記照射点に対面する面に写
    影されたとき該面内を一方向に延びる直線となる方向に
    設定され、これらの干渉光学系の他方における2系統の
    計測光の前記照射点への入射方向が、前記面に写影され
    たとき前記直線と直角になる方向に設定され、 前記画像信号生成手段が、前記2系統の干渉光学系によ
    るビート成分の周波数偏移量をそれぞれfx,fyとし
    たとき、fx+fy の値に基づいて画像信号を生
    成するように構成されていることを特徴とする請求項8
    から10いずれか1項記載の血管の画像化装置。
  13. 【請求項13】 前記干渉光学系が2系統設けられて、
    これらの干渉光学系の一方における2系統の計測光の前
    記照射点への入射方向が、前記照射点に対面する面に写
    影されたとき該面内を一方向に延びる直線となる方向に
    設定され、これらの干渉光学系の他方における2系統の
    計測光の前記照射点への入射方向が、前記面に写影され
    たとき前記直線と角度θ(0°<θ<90°)をなす方向
    に設定され、 前記画像信号生成手段が、前記2系統の干渉光学系によ
    るビート成分の周波数偏移量をそれぞれfx’,fy’
    としたとき、これらfx’およびfy’の値に基づいて
    画像信号を生成するように構成されていることを特徴と
    する請求項8から10いずれか1項記載の血管の画像化
    装置。
  14. 【請求項14】 画像化対象の血管における血流速が所
    定の値となる時点を検出してタイミング信号を出力する
    同位相点検出手段が設けられ、 前記画像信号生成手段がこのタイミング信号に基づい
    て、血流速がほぼ最高となる時点の前記ビート成分検出
    信号をサンプリングして、そのビート成分検出信号を前
    記画像信号の生成に供するように構成されていることを
    特徴とする請求項8から13いずれか1項記載の血管の
    画像化装置。
  15. 【請求項15】 前記同位相点検出手段が、生体の脈波
    を検出する手段からなることを特徴とする請求項14記
    載の血管の画像化装置。
  16. 【請求項16】 前記同位相点検出手段が、前記干渉光
    学系によるビート成分の周波数が最高周波数を取った時
    点を検出する手段からなることを特徴とする請求項14
    記載の血管の画像化装置。
  17. 【請求項17】 生体に入射する計測光を発する光源手
    段と、 検出する前記計測光による第1のビート成分の周波数
    が、血流とのドプラー効果により血流速に応じて変化す
    るように構成された第1の干渉光学系と、 この第1の干渉光学系が検出するビート成分の周波数と
    異なる周波数で変調された局発光と信号光とを干渉させ
    ることにより、前記ビート成分の周波数と異なる周波数
    の第2のビート成分を生じさせる第2の干渉光学系と、 前記第2のビート成分によるビート信号の、前記局発光
    の変調周波数からの周波数偏移を測定する偏移測定手段
    と、 この偏移測定手段が求めた周波数偏移の大きさと所定の
    閾値との大小関係に基づいて、前記血流の有る血管が動
    脈であるか静脈であるかを識別する識別手段とからなる
    血管の識別装置。
  18. 【請求項18】 前記第1の干渉光学系により分岐され
    た各計測光の、共通の照射点に対する入射の方向が変化
    するように、前記生体と第1の干渉光学系との相対位置
    を調整する位置調整手段が設けられていることを特徴と
    する請求項17記載の血管の識別装置。
  19. 【請求項19】 前記第1の干渉光学系が2系統設けら
    れて、これらの干渉光学系の一方における2系統の計測
    光の照射点への入射方向が、照射点に対面する面に写影
    されたとき該面内を一方向に延びる直線となる方向に設
    定され、これらの干渉光学系の他方における2系統の計
    測光の前記照射点への入射方向が、前記面に写影された
    とき前記直線と直角になる方向に設定され、 前記識別手段が、前記2系統の干渉光学系によるビート
    成分の周波数偏移量をそれぞれfx,fyとしたとき、
    fx+fy の値に基づいて血流速と血流方向とを
    求めるように構成されていることを特徴とする請求項1
    7または18記載の血管の識別装置。
  20. 【請求項20】 前記第1の干渉光学系が2系統設けら
    れて、これらの干渉光学系の一方における2系統の計測
    光の照射点への入射方向が、照射点に対面する面に写影
    されたとき該面内を一方向に延びる直線となる方向に設
    定され、これらの干渉光学系の他方における2系統の計
    測光の前記照射点への入射方向が、前記面に写影された
    とき前記直線と角度θ(0°<θ<90°)をなす方向に
    設定され、 前記識別手段が、前記2系統の干渉光学系によるビート
    成分の周波数偏移量をそれぞれfx’,fy’としたと
    き、これらfx’およびfy’の値に基づいて血流速と
    血流方向とを求めるように構成されていることを特徴と
    する請求項17または18記載の血管の識別装置。
  21. 【請求項21】 識別対象の血管における血流速が所定
    の値となる時点を検出してタイミング信号を出力する同
    位相点検出手段が設けられ、 前記識別手段がこのタイミング信号に基づいて、血流速
    がほぼ最高となる時点のビート成分検出信号をサンプリ
    ングして、そのビート成分検出信号を血管識別に供する
    ように構成されていることを特徴とする請求項17から
    20いずれか1項記載の血管の識別装置。
  22. 【請求項22】 前記同位相点検出手段が、生体の脈波
    を検出する手段からなることを特徴とする請求項21記
    載の血管の識別装置。
  23. 【請求項23】 前記同位相点検出手段が、前記第1の
    干渉光学系によるビート成分の周波数が最高周波数を取
    った時点を検出する手段からなることを特徴とする請求
    項21記載の血管の識別装置。
  24. 【請求項24】 散乱流体に入射する計測光を発する光
    源手段と、 検出する前記計測光による第1のビート成分の周波数
    が、前記散乱流体とのドプラー効果により散乱流体流速
    に応じて変化するように構成された第1の干渉光学系
    と、 この第1の干渉光学系が検出する第1のビート成分の周
    波数と異なる周波数で変調された局発光と信号光とを干
    渉させることにより、前記ビート成分の周波数と異なる
    周波数の第2のビート成分を生じさせる第2の干渉光学
    系と、 前記第2のビート成分によるビート信号の、前記局発光
    の変調周波数からの周波数偏移を測定する偏移測定手段
    とからなる周波数偏移測定装置。
  25. 【請求項25】 前記第1の干渉光学系がホモダイン干
    渉光学系からなることを特徴とする請求項24記載の周
    波数偏移測定装置。
  26. 【請求項26】 前記第1の干渉光学系がヘテロダイン
    干渉光学系からなることを特徴とする請求項24記載の
    周波数偏移測定装置。
  27. 【請求項27】 前記偏移測定手段が、測定した周波数
    偏移の大きさから前記散乱流体の流速の絶対値を求める
    ように構成されていることを特徴とする請求項24から
    26いずれか1項記載の周波数偏移測定装置。
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