JP2000206995A - 受信装置及び方法、通信装置及び方法 - Google Patents

受信装置及び方法、通信装置及び方法

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JP2000206995A
JP2000206995A JP11004339A JP433999A JP2000206995A JP 2000206995 A JP2000206995 A JP 2000206995A JP 11004339 A JP11004339 A JP 11004339A JP 433999 A JP433999 A JP 433999A JP 2000206995 A JP2000206995 A JP 2000206995A
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Japan
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noise reduction
band
reduction processing
signal
sampling frequency
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JP11004339A
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Takahiro Mine
貴宏 嶺
Takashi Araki
貴志 荒木
Shiro Omori
士郎 大森
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 伝送帯域が制限された、入力音声と同様の音
声周波数帯域で出力される音声では音質はあまり良好と
は言えない。つまり、聴覚的品質が劣る。 【解決手段】 信号切換部32は、切換手段として切換
スイッチ150を備え、第1の雑音低減処理(a)47
で雑音が低減された上記第1のサンプリング周波数fs1
(=8KHz)の第1の帯域B1(300Hz〜340
0Hz)の音声信号と、第2の雑音低減処理(b)48
で雑音が低減された第2のサンプリング周波数fs2(=
16KHz)の第1の帯域B1(300Hz〜3400
Hz)の音声信号と、第3の雑音低減処理(b)49で
雑音が低減された第2のサンプリング周波数fs2(=1
6KHz)の広帯域Bw(300Hz〜6000Hz)
の音声信号を切り換える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通信や放送によっ
て伝えられた、音声信号の音声パラメータ符号を使って
音声信号を合成する受信装置及び方法、通信装置及び方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の通信装置では、受話側における入
力音声と出力音声のサンプリング周波数が同一であると
共に、音声周波数帯域も同一であった。これは、電話回
線の伝送帯域が例えば300〜3400Hzと狭く、電
話回線を介して送られてくる音声信号の周波数帯域が制
限されてしまうためである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記伝送帯
域が制限された、入力音声と同様の音声周波数帯域で出
力される音声では音質はあまり良好とは言えない。つま
り、聴覚的品質が劣る。また、ディジタル携帯電話の音
質についても不満がある。
【0004】本発明は、上記実情に鑑みてなされたもの
であり、聴覚的品質を向上させた受話音声を得ることの
できる受信装置及び方法、通信装置及び方法の提供を目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る受信装置
は、上記課題を解決するために、第1のサンプリング周
波数fs1の音声信号を生成するために送信装置から伝送
されてきた伝送信号に基づく音声パラメータ符号を使っ
て生成した第1の帯域B1の音声信号のサンプリング周
波数を第2のサンプリング周波数fs2(fs2>fs1)に
変換するサンプリングレート変換手段と、上記音声パラ
メータ符号を使って生成した第1のサンプリング周波数
s1の第1の帯域B1の音声信号に第1の雑音低減処理
を施すと共に、上記サンプリングレート変換手段からの
第2のサンプリング周波数fs2の第1の帯域B1の音声
信号に第2の雑音低減処理を施す雑音低減処理手段と、
この雑音低減処理手段からの第1の雑音低減処理出力と
第2の雑音低減処理出力とを切り換える切換手段とを備
える。
【0006】ここで、上記雑音低減処理手段は、上記第
1のサンプリング周波数fs1の音声信号を生成するため
に送信装置から伝送されてきた伝送信号に基づく音声パ
ラメータ符号から検出された背景雑音区間の雑音レベル
に応じて制御信号を形成し、この制御信号に基づいた上
記第1の雑音低減処理を上記第1のサンプリング周波数
s1の第1の帯域B1の音声信号に施す。
【0007】また、上記雑音低減処理手段は、上記第1
の雑音低減処理を上記サンプリングレート変換手段から
の第2のサンプリング周波数fs2の第1の帯域B1の音
声信号におけるfs2/fs1倍のサンプルに対し、上記第
2の雑音低減処理として施す。
【0008】本発明に係る受信方法は、上記課題を解決
するために、第1のサンプリング周波数fs1の音声信号
を生成するために送信装置から伝送されてきた伝送信号
に基づく音声パラメータ符号を使って生成した第1のサ
ンプリング周波数fs1の第1の帯域B1の音声信号に第
1の雑音低減処理を施して得られる第1の雑音低減処理
出力と、上記音声パラメータ符号を使って生成した第1
の帯域B1の音声信号のサンプリング周波数を第2のサ
ンプリング周波数fs2(fs2>fs1)に変換して得た第
2のサンプリング周波数fs2の第1の帯域B1の音声信
号に第2の雑音低減処理を施して得られた第2の雑音低
減処理出力とを、切り換える。
【0009】本発明に係る通信装置は、上記課題を解決
するために、入力音声信号に第1のサンプリング周波数
s1による符号化処理を施して伝送信号を生成する送信
手段と、上記第1のサンプリング周波数fs1の音声信号
を生成するために送信手段から伝送されてきた伝送信号
に基づく音声パラメータ符号を使って生成した第1のサ
ンプリング周波数fs1の第1の帯域B1の音声信号に第
1の雑音低減処理を施して得られる第1の雑音低減処理
出力と、上記音声パラメータ符号を使って生成した第1
の帯域B1の音声信号のサンプリング周波数を第2のサ
ンプリング周波数fs2(fs2>fs1)に変換して得た第
1の帯域B1の音声信号に第2の雑音低減処理を施して
得られた第2の雑音低減処理出力とを、切り換えて出力
する受信手段とを備える。
【0010】ここで、上記受信手段は、上記第1のサン
プリング周波数fs1の音声信号を生成するために送信装
置から伝送されてきた伝送信号に基づく音声パラメータ
符号を使って生成した第1の帯域B1の音声信号のサン
プリング周波数を第2のサンプリング周波数fs2(fs2
>fs1)に変換するサンプリングレート変換手段と、上
記音声パラメータ符号を使って生成した第1のサンプリ
ング周波数fs1の第1の帯域B1の音声信号に第1の雑
音低減処理を施すと共に、上記サンプリングレート変換
手段からの第2のサンプリング周波数fs2の第1の帯域
1の音声信号に第2の雑音低減処理を施す雑音低減処
理手段と、この雑音低減処理手段からの第1の雑音低減
処理出力と第2の雑音低減処理出力とを切り換える切換
手段とを備える。
【0011】本発明に係る通信方法は、上記課題を解決
するために、入力音声信号に第1のサンプリング周波数
s1による符号化処理を施して伝送信号を生成すると共
に、上記第1のサンプリング周波数fs1の音声信号を生
成するために送信装置から伝送されてきた伝送信号に基
づく音声パラメータ符号を使って生成した第1のサンプ
リング周波数fs1の第1の帯域B1の音声信号に第1の
雑音低減処理を施して得られる第1の雑音低減処理出力
と、上記音声パラメータ符号を使って生成した第1の帯
域B1の音声信号のサンプリング周波数を第2のサンプ
リング周波数fs 2(fs2>fs1)に変換して得た第2の
サンプリング周波数fs2の第1の帯域B1の音声信号に
第2の雑音低減処理を施して得られた第2の雑音低減処
理出力とを、切り換えて出力する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。この実施の形態は、本
発明に係る受信装置の具体例となる、図1に示す受信装
置1であり、本発明に係る受信方法を適用している。こ
の受信装置1は、パーソナルディジタルセルラー(Pers
onal Digital Cellular,PDC)として、現在広く使
用されている、ディジタル携帯電話の受話側として用い
ることができる。
【0013】受信装置1は、第1のサンプリング周波数
s1の音声信号を生成するために後述する送信装置から
基地局を介して伝送されてきた音声パラメータ符号か
ら、第1のサンプリング周波数fs1の第1の帯域B1
音声信号と、第2のサンプリング周波数fs2(fs2>f
s1)の第1の帯域B1の音声信号と、第2のサンプリン
グ周波数fs2(fs2>fs1)の広帯域Bw(第1の帯域
1+第2の帯域B2)の音声信号を生成し、これら3種
類の音声信号を切り換えて出力する。第1のサンプリン
グ周波数fs1としては8KHzを、第2のサンプリング
周波数fs2としては16KHzを用いる。また、第1の
帯域B1としては300Hz〜3400Hzを、第2の
帯域B2としては3400Hz〜6000Hzを用い
る。したがって、広帯域BWとしては300Hz〜60
00Hzを用いる。
【0014】図1において受信装置1がアンテナ2を介
して基地局から受信した音声パラメータ符号は、RF受
信部3、制御部4を経由して信号処理装置5のメモリ5
aに格納される。
【0015】信号処理装置5のメモリ5aに格納された
音声パラメータ符号は、信号処理装置5の復号部で復号
処理された後、所定の信号処理が施されて出力される。
【0016】信号処理装置5からの出力信号は、D/A
変換部6でアナログ信号とされた後、アンチエイリアシ
ングフィルタ7、ボリューム8及びアンプ9を経由して
スピーカ10から出力される。なお、制御部4には例え
ばキー操作部11とLCD表示部12が接続されてい
る。
【0017】図2には、上記音声パラメータ符号を例え
ば無線伝送路、及び基地局を介して送信する、送信装置
15の構成を示す。この送信装置15もPDCとして、
現在広く使用されている、ディジタル携帯電話の送話側
として使うことができる。
【0018】マイクロホン16から入力された音声信号
は、アンプ17,ボリューム18,アンチエイリアシン
グフィルタ19及びA/D変換器20を経由して信号処
理装置21のメモリ21aに格納される。
【0019】メモリ21aに格納された音声信号は、信
号処理装置21内部の音声符号化部で符号処理され、音
声パラメータ符号として出力される。この音声パラメー
タ符号は、制御部22及びRF送信部23及びアンテナ
24を経由して基地局へ送信される。なお、制御部22
にはキー操作部25とLCD表示部26が接続されてい
る。
【0020】ここで、信号処理装置21内部の音声符号
化部は、無線伝送路により制限される狭帯域化を考慮し
た音声パラメータ符号を生成する。一般的には、300
Hz〜3400Hzの伝送帯域を考慮している。上記伝
送信号に基づく音声パラメータ符号は、制御部22を介
してRF送信部23に供給される。例えば、音声パラメ
ータ符号としては、励振源に関する線形予測(LPC)
残差や、線形予測係数αがある。他には、ピッチ周波数
に関するラグLAGや、例えば20msecのフレームにお
けるフレームパワーR0等がある。
【0021】図1の受信装置1内部の信号処理装置5
は、図3に示すデコーダ27と、図4に示す信号切換部
32とを備えてなる。
【0022】上記図2に示した送信装置15の信号処理
装置21における音声符号部での符号化方法がPSI−
CELP(Pitch Synchronus Innovation - CELP:ピッ
チ同期雑音励振源−CELP)符号化方式によるもので
あるとすれば、デコーダ27は、PSI−CELP符号
化による伝送信号を用いて音声をデコードし、出力端子
28にデコード音声SndNを、出力端子29に線形予
測係数αNを、出力端子30に励振源NExcNを供給す
る。PSI−CELP符号化による伝送信号は、第1の
サンプリング周波数fs1=8KHzの第1の帯域B1
300〜3400Hzの音声信号を生成するために伝送
されてきたものである。
【0023】信号切換部32は、第1のサンプリング周
波数fs1(=8KHz)の音声信号を生成するために送
信装置から伝送されてきたPSI−CELP符号による
伝送信号を使ってデコーダ27が復号した第1の帯域B
1(300Hz〜3400Hz)のデコード音声SndN
のサンプリングレートを第2のサンプリング周波数fs2
(=16KHz)に変換するサンプリングレート変換手
段と、上記音声パラメータ符号を使って生成した第1の
サンプリング周波数fs1の第1の帯域B1の音声信号に
第1の雑音低減処理を施す共に、上記サンプリングレー
ト変換手段からの第2のサンプリング周波数fs2の第1
の帯域B1の音声信号に第2の雑音低減処理を施す雑音
低減処理手段とこの雑音低減処理手段からの第1の雑音
低減処理出力と第2の雑音低減処理出力とを切り換える
切換手段とを備える。
【0024】さらに、この受信装置は、上記デコーダ2
7が上記PSI−CELP符号をデコードして得た線形
予測係数αNと、励振源NExcNとを使って第2のサン
プリング周波数fs2(=16KHz)の第2の帯域B2
(3400Hz〜6000Hz)の信号を推測する帯域
外成分推測手段と、上記サンプリングレート変換手段か
らの第2のサンプリング周波数fs2の第1の帯域B1
音声信号に上記帯域外成分推測手段で推測された第2の
サンプリング周波数fs2の第2の帯域B2の音声信号を
加算する加算手段とを備え、上記雑音低減処理手段は上
記加算手段からの加算出力に第3の雑音低減処理を施
し、上記切り換え手段は上記第3の雑音低減処理出力も
上記第1及び第2の処理出力とともに切り換える。
【0025】ここで、上記雑音低減処理手段は図4に示
す第1の雑音低減処理(a)47、第2の雑音低減処理
(b)48、第3の雑音低減処理(b)49を行う。こ
れら各雑音低減処理47〜49は、上記雑音低減処理手
段の行う、雑音低減処理をブロックとして示したもので
ある。第2又は第3の雑音低減処理(b)48又は49
は、第1の雑音低減処理(a)47を第2のサンプリン
グ周波数fs2の第1の帯域B1又は広帯域BWの音声信号
におけるfs2/fs1倍のサンプルに対して施す。なお、
上記雑音低減処理部に付加している(a),(b)は、
サンプリング周波数fs1で動作する処理と、fs2で動作
する処理を区別する記号である。
【0026】上記サンプリングレート変換手段は図4に
おけるアップサンプル部45である。上記切り換え手段
は切り換えスイッチ部150である。上記加算手段は加
算部46である。そして、上記帯域外成分推測手段は、
アップサンプル部45と雑音低減処理(a)47,
(b)48及び(b)49と切り換えスイッチ部150
と加算部46を除いた部分である。
【0027】以下、信号切換部32の構成を詳細に説明
する。
【0028】先ず、上記帯域外成分推測手段は、線形予
測係数→自己相関(αN→rN)変換回路36と、自己相
関(r)広帯域化部37と、広帯域コードブック(rw
CB)38と、自己相関→線形予測係数(rw→αw)変
換部39と、LPC合成部40と、励振源拡張部41
と、高域抽出&抑圧フィルタ42と、乗算部43とから
なる。
【0029】入力端子34から供給された線形予測係数
αNは、線形予測係数→自己相関(αN→rN)変換部3
6に供給される。このαN→rN変換部36は、線形予測
係数αNを自己相関rNに変換し、自己相関(r)広帯域
化部37に供給する。自己相関(r)広帯域化部37は
広帯域コードブック(rwCB)38を用いて自己相関
rを広帯域化(拡張化)する。広帯域コードブック(r
wCB)38は広帯域音から抽出した自己相関パラメー
タrwを用いて予め作成されている。
【0030】広帯域コードブック(rwCB)38を用
い、自己相関(r)広帯域化部37が拡張した拡張自己
相関rwは自己相関→線形予測係数(rw→αw)変換部
39に供給される。rw→αw変換部39は拡張自己相関
wを拡張線形予測係数αwに再度変換してからLPC合
成部40に供給する。
【0031】LPC合成部40はrw→αw変換部39か
らの広帯域線形予測係数αwと後述する励振源拡張部4
1からの拡張励振源に基づいて広帯域音声を合成する。
【0032】LPC合成部40の合成出力は、高域抽出
&抑圧フィルタ42に供給される。高域抽出&抑圧フィ
ルタ42は、周波数帯域300Hz〜3400Hzの信
号成分を除去し、第2の帯域B2=3400Hz〜60
00Hzの信号成分を抽出するように、高い周波数成分
を抑圧する。このフィルタ42からのフィルタ出力に
は、端子44から供給されるゲインが乗算部43で乗算
される。乗算部43でゲインが乗算された出力(第2の
帯域B2=3400Hz〜6000Hz)は、加算部4
6に供給される。
【0033】上記LPC合成部40には、励振源拡張部
41からの拡張励振源も供給される。励振源拡張部41
は、入力端子35から供給された励振源に関するパラメ
ータとしてのLPC残差(このLPC残差を励振源NE
xcNと記す。)を拡張する。励振源拡張部41の詳細
な構成を図5に示す。
【0034】先ず、入力端子35を介して供給された励
振源NExcNは、アップサンプル部50によりアップ
サンプルされる。アップサンプル部50の出力は、LP
F51、ブースト部52を介して出力端子55からLP
C合成部40に送られる。すなわち、励振源NExcN
をアップサンプルした信号は、音声信号を合成する際の
上記拡張励振源として用いられる。ブースト部52は、
破擦音や摩擦音が検出された場合に、上記拡張励振源を
ブーストするためのもので、そのブースト量は破擦音検
出部54の出力により制御される。破擦音検出部54
は、入力端子53を介して上記αN→rN変換部36から
の自己相関rNを受け取り、破擦音や摩擦音を検出す
る。
【0035】このような構成の励振源拡張部41からの
励振源が上記LPC合成部40に供給される。そして、
LPC合成部40は、rw→αw変換部39からの広帯域
線形予測係数αwと上記拡張励振源に基づいて広帯域音
声を合成する。ここまでの構成が上記帯域外成分推測手
段である。
【0036】次に、入力端子33を介して上記図3のデ
コーダ27から供給されるデコード音声SndNに第1
の雑音低減処理を施す雑音低減処理手段について説明す
る。
【0037】この雑音低減処理手段は、本件出願人が既
に出願した、特開平7−193548号公報に開示され
ている、雑音低減処理方法を用いて、背景雑音を検出
し、抑圧する。この雑音低減処理方法は、上記第1のサ
ンプリング周波数fs1の音声信号を生成するために送信
装置から伝送されてきた伝送信号に基づく音声パラメー
タ符号から検出された背景雑音区間の雑音レベルに応じ
て制御信号を形成し、この制御信号に基づいて雑音低減
処理の内容を変化させる。
【0038】図6には、上記雑音低減処理方法を適用し
た、雑音低減処理手段の詳細な構成を示す。帯域300
〜3400Hz、サンプリング周波数が8kHzの上記
デコード音声SndNは入力端子141を介して、フレ
ームパワー計算回路142に供給される。フレームパワ
ー計算回路142は、例えば周期20msecのフレー
ム毎のパワーとして、自乗平均の平方根、いわゆるrm
s値を計算する。このフレームパワー計算回路142で
計算されたフレーム平均パワー値は、抑圧比計算回路1
43に供給される。抑圧比計算回路143は、上記フレ
ームパワー計算回路142で計算されたフレーム平均パ
ワーを用いて、雑音を抑圧するための係数である抑圧比
を計算する。抑圧比計算回路143で計算された抑圧比
は、スムージング回路144に送られる。スムージング
回路144は、抑圧比計算回路143で計算された抑圧
比にスムージング処理を施す。このスムージング処理と
は、例えば20msecで160サンプルのフレーム単
位で分割された入力音声信号のつながりの不連続性を避
けるための処理である。このスムージング処理が施され
た抑圧比は、ノイズリデュース回路145に送られ、こ
のノイズリデュース回路145において上記広帯域音声
信号Sndwの雑音を除去するために用いられる。
【0039】抑圧比計算回路143には、端子148を
介して入力された雑音レベル検出信号をレベル弁別回路
147で弁別して得られた制御信号が供給されており、
この制御信号に応じて、例えば上記抑圧比計算のしきい
値が切換制御されるようになっている。このような構成
の雑音低減処理手段の詳細な動作については後述する。
【0040】次に、上記サンプリング周波数変換手段と
してのアップサンプル部45は、サンプリング周波数が
第1のサンプリング周波数fs1=8kHzの第1の帯域
1=300Hz〜3400Hzの音声信号のサンプリ
ング周波数を第2のサンプリング周波数fs2=16kH
zに変換する。このアップサンプル部45からの、サン
プリング周波数が第2のサンプリング周波数fs2=16
kHzに変換された第1の帯域B1=300Hz〜34
00Hzの音声信号成分は、加算部46及び雑音低減処
理(b)48に供給される。
【0041】また、加算部46が乗算部43からの乗算
出力である、第2のサンプリング周波数fs2=16kH
zの第2の帯域B2=3400Hz〜6000Hzの音
声信号成分に、アップサンプル部45からの上記音声信
号成分を加算することによって得られた加算出力は雑音
低減処理(b)49に供給される。
【0042】また、信号切換部32は、上述したよう
に、上記切換手段として切換スイッチ150を備え、第
1の雑音低減処理(a)47で雑音が低減された上記第
1のサンプリング周波数fs1(=8KHz)の第1の帯
域B1(300Hz〜3400Hz)の音声信号と、第
2の雑音低減処理(b)48で雑音が低減された第2の
サンプリング周波数fs2(=16KHz)の第1の帯域
1(300Hz〜3400Hz)の音声信号と、第3
の雑音低減処理(b)49で雑音が低減された第2のサ
ンプリング周波数fs2(=16KHz)の広帯域B
w(300Hz〜6000Hz)の音声信号を切り換え
る。
【0043】切り換えスイッチ150は、上記第1のサ
ンプリング周波数fs1(=8KHz)の第1の帯域B1
(300Hz〜3400Hz)の音声信号を被選択端子
aで受け、第2のサンプリング周波数fs2(=16KH
z)の第1の帯域B1(300Hz〜3400Hz)の
音声信号を被選択端子bで受け、第2のサンプリング周
波数fs2(=16KHz)の広帯域Bw(300Hz〜
6000Hz)の音声信号を被選択端子cで受ける。そ
して、切り換え制御信号端子151からの切り換え制御
信号に基づいて選択片dを切り換えることにより、いず
れか一の音声信号をD/A変換器6に供給する。
【0044】以上の構成の信号切換部32における、主
要な動作原理について以下に説明する。信号切換部32
は、300Hz〜3400Hzの第1の帯域B1の音声
信号を生成するための音声パラメータ符号から3400
Hz〜6000Hzという第2の帯域B2用の音声符号
化パラメータを生成し、広帯域LPC合成を行う。その
後、原音声の周波数帯域である低域(300Hz〜34
00Hz)側を、原音声を16KHzにアップサンプル
したものに置換する。すなわち、高域通過フィルタを施
し高域(3400Hz〜6000Hz)のみを残し、こ
の高域成分の中でも高い周波数成分を抑圧し、さらにゲ
インを調整し、その後、原音声(300Hz〜3400
Hz)をアップサンプル(第2のサンプリング周波数f
s2)したものに加算して、第2のサンプリング周波数f
s2(=16KHz)の広帯域Bw(300Hz〜600
0Hz)の音声信号を得る。
【0045】ここで、音声パラメータ符号の広帯域化
(或いは拡張化)は、線形予測係数αの広帯域化、励振
源NExcNの広帯域化の二つが必要である。また、α
の広帯域化には、αと相互に変換可能なパラメータであ
る自己相関rによるコードブックを予め作成しておく必
要がある。このコードブックによる量子化、逆量子化に
よって自己相関rが広帯域化される。
【0046】先ず、線形予測係数αの広帯域化について
説明する。αはスペクトル包絡を表すフィルタ係数であ
ることに着目し、高域側を推定しやすい別のスペクトル
包絡を表すパラメータである自己相関rに一旦変換し、
これを広帯域化し、その後で広帯域(或いは拡張)自己
相関rwから広帯域(或いは拡張)線形予測係数αwに逆
変換する。拡張にはベクトル量子化を用いる。狭帯域自
己相関rnをベクトル量子化し、そのインデックスから
対応するrwを求めればよい。
【0047】狭帯域自己相関と広帯域自己相関には、後
述するように一定の関係が成り立つため、広帯域自己相
関によるコードブックのみを用意すればよく、狭帯域自
己相関をこれによりベクトル量子化でき、また逆量子化
により広帯域自己相関が求まる。
【0048】狭帯域信号を、広帯域信号を帯域制限した
ものとすれば、広帯域自己相関と狭帯域自己相関には以
下の(1)式に示す関係がある。
【0049】
【数1】
【0050】ここで、φは自己相関、xnは狭帯域信
号、xwは広帯域信号、hは帯域制限フィルタのインパ
ルス応答である。
【0051】さらに、自己相関とパワースペクトルの関
係から、次の(2)式が得られる。
【0052】
【数2】
【0053】この帯域制限フィルタのパワー特性と等し
い周波数特性を持つ、もう一つの帯域制限フィルタを考
え、これをH’とすれば、上記(2)式は、次の(3)
式のようになる。
【0054】
【数3】
【0055】この新たなフィルタの通過域、阻止域は当
初の帯域制限フィルタと同等であり、減衰特性が2乗と
なる。したがって、この新たなフィルタもまた、帯域制
限フィルタといえる。これを考慮すると、狭帯域自己相
関は、広帯域自己相関と帯域制限のフィルタのインパル
ス応答との畳み込み、すなわち広帯域自己相関を帯域制
限したものと単純化される。すなわち、次の(4)式と
なる。
【0056】
【数4】
【0057】以上より、狭帯域自己相関をベクトル量子
化するにあたっては、広帯域コードブックのみを用意す
れば、量子化時に必要な狭帯域ベクトルは演算により作
成が可能であり、狭帯域自己相関から予めコードブック
を用意しておく必要がないことが分かる。
【0058】さらに、各広帯域自己相関のrwコードベ
クタは単調減少もしくはなだらかに増減するカーブを持
つために、上記H’により低域通過させても大きな変化
がなく、rn量子化は、直接rwコードブックで行える。
ただし、サンプリング周波数が1/2のため、1次おき
に比較する必要がある。
【0059】線形予測係数αの拡張は有声音(V)と無
声音(UV)に分けることによって、さらに精度良い拡
張が可能であるため、これも行っている。これに伴いコ
ードブックもV用、UV用の二つを用いている。
【0060】次に、励振源の拡張について説明する。P
SI−CELPにおいては狭帯域での励振源を、図5の
アップサンプル回路50でゼロ値を挿入することでアッ
プサンプルし、エイリアシング歪みを発生させたものを
用いる。この方法は非常に単純であるが、元の音声のパ
ワーや調波構造の差分が保存されるので、励振源として
は十分な品質であるといえる。
【0061】そして、以上で得られた広帯域αと広帯域
励振源によりLPC合成部40でLPC合成を行う。
【0062】また、広帯域LPC合成された音声は、こ
のままでは品質が悪いので、低域側はコーデック出力の
オリジナル音声SndNで置換する。このために、合成
音のうち3400Hz以上を抽出し、一方でコーデック
出力をfs=16KHzにアップサンプルし、これらを
加算する。
【0063】このとき、乗算部43で高域側に乗算する
ゲインをユーザの好みに応じてゲイン調整器で調整可能
としている。ユーザ毎の個人差が大きいため、この値を
可変にしている。高域側ゲインの値をユーザからの入力
により予め設定しておき、この値を参照し、乗算を行
う。
【0064】また、加算前に高域側に対し、高域抽出&
抑圧フィルタ42で約6KHz以上の成分を若干抑圧す
るフィルタリングを施すことで、聴きやすい音にしてい
る。このフィルタ係数を選択可能とし、予め選択された
フィルタにより処理を行うことで、好みに応じ高域側の
周波数帯域を選択可能とした。このフィルタの選択もユ
ーザの入力により設定する。
【0065】なお、このフィルタ42を用いての処理
は、低域側のパワー特性に影響を与えないため、加算後
に行っても良い。あるいは、あえて低域側にも影響のあ
るフィルタを加算後に施す事も可能である。以上により
広帯域音声が得られる。
【0066】次に、以上の動作原理に基づいて、信号切
換部32が広帯域音声信号を生成する動作について図7
のフローチャートを用いて説明する。
【0067】ステップS1で図4に示したαN→rN変換
部36は、図3に示したデコーダ27によりデコードさ
れた線形予測係数αNを自己相関rNに変換する。また、
デコーダ27でデコードされた音声信号SndNはステ
ップS2でV/UV判定される。
【0068】このステップS2での判定結果がVである
と、ステップS4では有声音用自己相関rNを量子化す
る。この量子化は、ステップS3で求めた狭帯域V用パ
ラメータを用いる。すなわち、広帯域Vのコードブック
38から、1次おきに比較して求めた狭帯域V用パラメ
ータを用いる。
【0069】一方、ステップS2での判定結果がUVで
あるときには、ステップS4ではステップS3で求めた
狭帯域UV用パラメータを用いて無声音用自己相関rを
量子化する。
【0070】そして、ステップS5でそれぞれ広帯域V
コードブック又は広帯域UVコードブックを用いて逆量
子化し、これにより広帯域自己相関rWが得られる。広
帯域自己相関rWはステップS6でrW→αW変換部39
によりαWに変換される。
【0071】一方、デコーダ27からの励振源は、ステ
ップS7で図5に示したアップサンプル回路50により
サンプル間にゼロが詰められることでアップサンプルさ
れ、エイリアシングにより広帯域化される。これが広帯
域励振源として、LPC合成部40に供給される。
【0072】そして、ステップS8で、LPC合成部4
0が広帯域αWと広帯域励振源とを、LPC合成し、広
帯域の音声信号が得られる。
【0073】しかし、このままでは予測によって求めら
れた広帯域信号にすぎず、予測による誤差が含まれてい
るので品質が悪い。特に入力狭帯域音声の周波数範囲
(300Hz〜3400Hz)に関しては、コーデック
出力のオリジナル音声SndN(入力音声)をそのまま利
用したほうが良い。
【0074】したがって、LPC合成部40からの合成
音のうち、入力狭帯域音声の周波数範囲300〜340
0HzをステップS9でバンドストップフィルタ(BS
P)を用いたフィルタリングにより除去する。
【0075】そして、ステップS10でアップサンプル
部45により上記オリジナル音声SndNをアップサン
プルしたものと、ステップS13で加算部46により加
算する。このとき、ステップS11で高域側に対し、約
6KHz以上の成分を若干抑圧する高域抽出&抑圧フィ
ルタ42によりフィルタリングすることで、聴きやすい
音にしている。このフィルタ係数は上述したように選択
可能とされている。
【0076】さらに、ステップS12では、乗算部43
を用いてユーザの好みに応じて高域側ゲインを調整可能
としている。
【0077】なお、ここで、信号切換部32で用いる、
コードブックの作成について説明する。コードブックの
作成は一般によく知られたGLA(Generalized Lloyd A
lgorithm)による方法である。広帯域音声を一定時間、
例えば20msecごとのフレームに区切り、そのフレーム
毎に、一定次例えば6次までの自己相関を求めておく。
このフレーム毎の自己相関をトレーニングデータとし、
6次元のコードブックを作成する。このとき、有声音、
無声音の区別を行い、有声音の自己相関、無声音の自己
相関を別々に集め、それぞれのコードブックを作成して
もよい。この場合、帯域拡張処理中αの拡張時、コード
ブックを参照するが、このときにも有声音、無声音の判
別を行い、対応するコードブックを利用する。
【0078】信号切換部32では、広帯域有声音用コー
ドブックと広帯域無声音用コードブックを用いている。
この広帯域有声音用コードブックの作成については図8
を、広帯域無声音用コードブックの作成については図9
を参照しながら説明する。
【0079】先ず、広帯域音声信号を学習用に用意し、
図8のステップS31で1フレーム20msecにフレーミ
ングする。次に、ステップS32で各フレームにおい
て、例えばフレームエネルギーやゼロクロスの値等を調
べることによって有声音(V)か無声音(UV)かの分
類を行う。
【0080】そして、ステップS33で広帯域有声音フ
レームにおいて、例えば6次までの自己相関パラメータ
rを計算する。また、ステップS34では広帯域無声音
フレームにおける、例えば6次までの自己相関パラメー
タrを求める。
【0081】この各フレームの6次の自己相関パラメー
タから、図9のステップS41で広帯域パラメータを抽
出し、GLAにより次元6の広帯域V(UV)コードブ
ックをステップS42で作成する。
【0082】以上のようにして広帯域有声音用及び広帯
域無声音用コードブックを作成できる。
【0083】次に、上記雑音低減処理手段の動作につい
て詳細に説明する。
【0084】図6のフレームパワー計算回路142は、
上記フレーム当たりの上記デコード音声信号SndN
平均パワーrmsを計算する。この平均パワーrmsは
抑圧比計算回路143に供給される。
【0085】抑圧比計算回路143は、平均パワーrm
sと、あるしきい値nr1とを比較し、その比較結果に
より、抑圧比scaleを計算する。すなわち、この抑圧比s
caleは、上記平均パワーrmsがしきい値nr1以上の
とき1とし、しきい値nr1よりも小さいとき、 scale=rms/K ・・・(5) とする。ここで、Kは定数である。この例の場合には、
K=nr1となる。
【0086】あるいは、全てのrmsについて上記
(5)式を計算し、その計算結果としての抑圧比scale
が1よりも小(scale<1)となる場合には、この
(5)式で計算された抑圧比scaleを上記デコード音声
信号SndNに乗算する。これは、上記平均パワーrm
sが上記しきい値rn1よりも小となるフレームにおい
ては、上記デコード音声信号SndNに1よりも小さい
ゲインを乗算することを意味する。また、この(5)式
の結果、抑圧比scaleが1以上(scale≧1)となる場合
には、上記デコード音声信号SndNには何も処理を施
さずそのまま出力する。これは、抑圧比scaleが上記し
きい値となるフレームにおいては、上記デコード音声信
号SndNに1のゲインを乗算することを意味する。し
たがって、このしきい値nr1を適切に選ぶことによ
り、雑音部分のようなパワーの小さい部分ではゲインが
小さく制御されることになり、実質的に雑音低減の効果
が得られる。なお、上記(5)式を用いた場合のノイズ
抑圧の効果は、入力信号の平均パワーに対して1/2倍
となる。
【0087】また、ノイズの抑圧がききすぎる場合や、
一定レベル以下をミュートする回路と組み合わせて使用
する場合などにおいては、上記しきい値nr1(これを
第1のしきい値とする。)よりも小さい第2のしきい値
nr2を設定し、入力レベルがこの第2のしきい値nr
2よりも小さくなる領域で、抑圧を小さく、すなわちエ
キスパンダの伸長作用の強さを弱めることが好ましい。
【0088】ところで、入力された信号に対して音声と
雑音とを区別して処理しているわけではないので、子音
などの音声パワーが相対的に小さいところで音声が無く
なる傾向がある。特に強くノイズリデュースをかけたと
きにこの現象が顕著に現れ、音声の種類によってはかな
りの違和感を感じる。したがって、フレーム平均パワー
に対して、どの程度の強さでノイズリデュースをかける
か、またどのくらいの大きさからかけるかの検討が必要
になってくる。
【0089】また、上記のような処理をフレーム単位で
行うと、フレームでの音声のつながりが不連続になり、
聞いたときに不自然感を感じてしまう。
【0090】これらのことを考慮して、上記抑圧比scal
eに対してアタックタイム、リカバリタイムを設定し、
例えばフレーム単位のスムージングを行うことにより、
上記不自然感が出ないようにすることが考えられる。
【0091】すなわち、上記図6の構成からも明らかな
ように、抑圧比計算回路143で計算して求められた抑
圧比scaleは、一旦スムージング回路144によるスム
ージング処理を施した後、ノイズリデュース回路145
に送るようにしている。
【0092】このスムージング回路144は、上述した
ようなノイズ低減処理において生じる問題を解決するた
めに設けられたものであり、上記アタックタイム、リカ
バリタイムを設定している。この例では、アタックタイ
ムを“0”とし、リカバリータイムは可変としている。
【0093】すなわち、計算した現在のフレームの音声
パワーが前のフレームより大きい時にはその値をそのま
ま使い、逆に小さい場合は所定の特性を備えるローパス
フィルタ(LPF)によりスムージングを行い、フレー
ムパワーの変化による処理の不自然感が出ないようにす
る。ノイズリデュース回路145は、上記デコード音声
信号SndNにスムージング回路144を介した抑圧比s
caleを乗算して入力信号SndNの雑音低減処理を行
い、雑音が低減された出力信号を出力端子146から出
力している。
【0094】ところで、上記抑圧比計算回路143に
は、端子148を介した雑音レベル検出信号をレベル弁
別回路147で弁別して得られた制御信号が供給されて
いる。この制御信号に応じて、上記抑圧比計算のしきい
値が切換制御されている。すなわち、抑圧比計算のしき
い値は、雑音レベル検出信号に基づいている。
【0095】この雑音レベル検出信号は、上記第1のサ
ンプリング周波数fs1の音声信号を生成するために送信
装置から伝送されてきた伝送信号に基づく音声パラメー
タ符号から検出された背景雑音区間の音声レベルであ
る。
【0096】ここでは、図示を省略しているが、上記音
声パラメータ符号から背景雑音区間を検出する雑音区間
検出回路と、この雑音区間検出回路で検出された雑音区
間の雑音レベルを検出する雑音レベル検出回路が必要と
され、端子148には雑音レベル検出回路で検出された
雑音レベル検出信号が供給される。
【0097】ところで、この上記雑音低減処理手段は、
上記第1の雑音低減処理(a)47として、上記第1の
サンプリング周波数fs1(8KHz)の音声信号を生成
するために送信装置から伝送されてきた伝送信号を用い
て上記デコード音声に雑音低減処理を施しているが、上
記第2の雑音低減処理(b)48及び第3の雑音低減処
理(b)49が実際に雑音低減処理を施すのは、第2の
サンプリング周波数fs2(16KHz)とされた音声信
号に対してである。このため、上記雑音低減処理手段
は、第2の雑音低減処理(b)48及び第3の雑音低減
処理(b)49として、上記第1の雑音低減処理(a)
47をサンプリング周波数が16KHzの第1の帯域B
1又は広帯域BWの音声信号における2(=fs2/fs1
倍のサンプルに対して施している。
【0098】このようにして、上記雑音低減処理手段
は、第1の雑音低減処理(a)47で上記デコード音声
信号中の雑音成分を低減でき、第2の雑音低減処理
(b)48及び第3の雑音低減処理(b)49で第2の
サンプリング周波数fs2(16KHz)とされた第1の
帯域B1及び広帯域BWの音声信号中の雑音成分を低減で
きる。
【0099】そして、図4に示した信号切換部32は、
切り換えスイッチ150により、上記雑音低減処理手段
の第1の雑音低減処理(a)47,第2の雑音低減処理
(b)48及び第3の雑音低減処理(b)49で雑音の
低減された音声信号、つまりサンプリング周波数が8K
Hzの第1の帯域B1(300〜3400Hz)の音声
信号と、サンプリング周波数が16KHzの第1の帯域
1(300〜3400Hz)の音声信号と、サンプリ
ング周波数が16KHzの広帯域BW(300〜600
0Hz)の広帯域音声信号とを切り換えてD/A変換器
6に送ることができる。
【0100】このため、上記図1に示した受信装置1
は、サンプリング周波数が8KHz,16KHzと異な
る、第1の帯域B1(300Hz〜3400Hz)のP
SI−CELPによる受話音声信号や、サンプリング周
波数が16KHzの広帯域(300Hz〜6000H
z)のPSI−CELPによる受話音声信号を雑音低減
処理を施した上で、ユーザに選択させることができる。
ユーザ側では選択肢が広がる。また、状況に応じて受話
音声を帯域拡張するだけでなく、入力時の帯域と同様に
することができるので、内蔵のバッテリーの減りを抑え
ることもできる。
【0101】なお、D/A変換器6でのサンプリング周
波数を16KHzに固定して、16KHz固定での第1
の帯域B1の音声信号と、広帯域BWの音声信号を切り換
えるようにしてもよい。D/A変換器6で用いるクロッ
クを8Kz/16KHzと切り換えなくて済むため、ハ
ードウェア負担を減らすことができる。
【0102】また、アップサンプル部45では、切り換
えスイッチ150における、サンプリング周波数の8K
Hz/16KHz切り換え持に、フィルタ出力をクリア
しておく。ノイズ発生を防ぐためである。
【0103】次に、図1の受信装置1内部の信号処理装
置5の他の具体例について図10〜図12を用いて説明
する。この他の具体例は、図10に示すデコーダ58
と、図11に示す信号切換部65とを備えてなる。
【0104】上記図2に示した送信装置15の信号処理
装置21における音声符号部での符号化方法がVSEL
P(Vector Sum Excited Linear Prediction:ベクトル
和励起線形予測)符号化方式によるものであるとすれ
ば、デコーダ58はVSELP符号化による伝送信号を
デコードして出力端子59にデコード音声SndNを、
出力端子60に線形予測係数αNを、出力端子61に励
振源1ExcN1を、出力端子62に励振源2ExcN2
供給する。
【0105】信号切換部65は、図11に示すような構
成であり、上記図4に示した信号切換部32と異なるの
は励振源切換&拡張部68を設けている点である。
【0106】PSI−CELPは、コーデック自体、特
に有声音Vを聴感上滑らかに聞こえるような処理を行っ
ているが、VSELPにはこれがなく、このために帯域
幅拡張したときに若干雑音が混入したように聞こえる。
そこで、広帯域励振源を作成する際に、励振源を切り換
える回路を内部に備えた励振源切換&拡張部68を用
い、図12に示すような処理を施す。この図12に示す
処理は、上記図6に示した励振源処理をステップS87
〜ステップS89のように変えたものである。
【0107】VSELPの励振源は、コーデックに利用
されるパラメータβ(長期予測係数), bL[i](長期フィル
タ状態),γ(利得), c1[i](励起コードベクタ)により、 β * bL[i] + γ * c1[i] として作成されるが、このうち前者がピッチ成分、後者
がノイズ成分を表すので、これをβ * bL[i]とγ * c1
[i]に分け、ステップS87で、一定の時間範囲におい
て、前者のエネルギーが大きい場合にはピッチが強い有
声音と考えられるため、ステップS88でYESに進
み、励振源をパルス列とし、ピッチ成分のない部分では
NOに進み0に抑圧した。また、ステップS87でエネ
ルギーが大きくない場合には従来どおりとし、こうして
作成された狭帯域励振源にステップS89でゼロ詰め処
理によりPSI-CELP同様0を詰めアップサンプルすること
で広帯域励振源とした。これにより、VSELPにおけ
る有声音の聴感上の品質が向上する。
【0108】そして、ステップS92でアップサンプル
部45により上記オリジナル音声SndNをアップサン
プルしたものと、ステップS95で加算部46により加
算する。このとき、ステップS91で高域側に対し、約
6KHz以上の成分を若干抑圧する高域抽出&抑圧フィ
ルタ42によりフィルタリングを施すことで、聴きやす
い音にしている。このフィルタ係数は上述したように選
択可能としている。
【0109】さらに、ステップS93では、乗算部43
を用いてユーザの好みに応じて高域側ゲインを調整可能
としている。
【0110】この信号切換部65でも上記第1の雑音低
減処理(a)47,第2の雑音低減処理(b)48及び
第3の雑音低減処理(b)49を行う雑音低減処理手段
を備えている。この雑音低減処理手段の第1の雑音低減
処理(a)47は上記デコード音声信号中の雑音成分を
低減でき、第2の雑音低減処理(b)48及び第3の雑
音低減処理(b)49は第2のサンプリング周波数fs2
(16KHz)とされた第1の帯域B1及び広帯域BW
音声信号中の雑音成分を低減できる。
【0111】したがって、VSELPによる復号化方法
を用いた信号切換部65でも、ユーザの好みに基づい
て、サンプリング周波数が8KHzの第1の帯域B
1(300〜3400Hz)の音声信号,サンプリング
周波数が16KHzの第1の帯域B1の音声信号又はサ
ンプリング周波数が16KHzの広帯域BWの音声信号
を雑音低減処理を施した上で切り換えてD/A変換器6
に送ることができる。
【0112】このため、上記図1に示した受信装置1
は、サンプリング周波数が8KHz,16KHzと異な
る、第1の帯域B1(300Hz〜3400Hz)のV
SELPによる受話音声信号や、サンプリング周波数が
16KHzの広帯域(300Hz〜6000Hz)のV
SELPによる受話音声信号を雑音低減処理を施した上
で、ユーザに選択させることができる。ユーザ側では選
択肢を広げることができる。状況に応じてVSELPに
よる受話音声を帯域拡張するだけでなく、入力時の帯域
と同様にすることができるので、内蔵のバッテリーの減
りを抑えることもできる。
【0113】さらに、図1の受信装置1内部の信号処理
装置5としては、図13に示す信号切換部70とその前
段の、図14に示すデコード部とからなる信号処理装置
を他の具体例としてもよい。
【0114】図14に示したデコード部は、VSELP
デコーダ77とPSI−CELPデコーダ81とを備
え、送信装置側から伝送されてくる、音声パラメータ符
号の符号化方式に応じて、デコーダ77又は81への音
声パラメータ符号の入力を切り換える。つまり、入力端
子75を介して受け取った上記音声パラメータ符号を切
換スイッチ76で、上記符号化方式の種類、つまりVS
ELP又はPSI-CELPに応じて切り換えている。
【0115】VSELPデコーダ77からの二つの励振
源1ExcN1及び励振源2ExcN2は出力端子78及び
79を介して図13の入力端子66及び67に供給され
る。また、PSI-CELPデコーダ81からの励振源
NExcNは出力端子82を介して図13の入力端子3
5に供給される。
【0116】また、VSELPデコーダ77又はPSI
−CELPデコーダ81からの線形予測係数αV又はαp
は上記符号化方式の種類に応じて切換スイッチ80によ
り選択されてから出力端子83を介して図13の入力端
子34に供給される。
【0117】同様に、VSELPデコーダ77又はPS
I−CELPデコーダ81からのデコード音声も上記符
号化方式の種類に応じて切換スイッチ84により選択さ
れてから出力端子85を介して図13の入力端子33に
供給される。
【0118】また、図13に示す、信号切換部70側で
は、上記符号化方式の種類に応じて切り換わる切換スイ
ッチ71により、励振源切換&拡張部68又は励振源拡
張部41からの励振源出力を切り換えて、LPC合成部
40に供給する。
【0119】この信号切換部70でも第1の雑音低減処
理(a)47,第2の雑音低減処理(b)48及び第3
の雑音低減処理(b)49を行う上記雑音低減処理手段
を備えている。第1の雑音低減処理(a)47は上記デ
コード音声信号中の雑音成分を低減でき、第2の雑音低
減処理(b)48及び第3の雑音低減処理(b)49は
第2のサンプリング周波数fs2(16KHz)とされた
第1の帯域B1及び広帯域BWの音声信号中の雑音成分を
低減できる。
【0120】したがって、この信号切換部70によれ
ば、送信装置側から伝送されてくる伝送信号の符号化方
式の種類に応じ、サンプリング周波数が8KHz,16
KHzと異なる、第1の帯域B1(300Hz〜340
0Hz)の受話音声信号や、サンプリング周波数が16
KHzの広帯域(300Hz〜6000Hz)の受話音
声信号を雑音低減処理を施した上で、ユーザに選択させ
ることができる。ユーザ側では選択肢を広げることがで
きる。状況に応じて受話音声を帯域拡張するだけでな
く、入力時の帯域と同様にすることができるので、内蔵
のバッテリーの減りを抑えることもできる。
【0121】さらに、上記図1の受信装置1内部の信号
処理装置5は、図15に示すような信号切換部90を備
えてもよい。
【0122】信号切換部90の入力端子91には、上記
音声パラメータ符号の内、LPC残差である励振源が供
給される。また、入力端子92には線形予測係数αが供
給される。入力端子91からの励振源は、LPC合成フ
ィルタ93に送られると共に、アップサンプル部100
に送られる。入力端子92からの線形予測係数はLPC
合成フィルタ93に送られる。
【0123】LPC合成フィルタ93は、入力端子91
からの励振源を基に、入力端子92からの線形予測係数
を用いて音声信号を合成する。LPC合成フィルタ93
で合成された音声信号は、上記雑音低減処理手段の第1
の雑音低減処理(a)161及びアップサンプル部94
に供給される。
【0124】第1の雑音低減処理(a)161は、上記
第1の雑音低減処理(a)47と同様に動作する。ここ
では説明を省略する。
【0125】アップサンプル部94は、LPC合成フィ
ルタ93で合成された音声信号のサンプリング周波数f
s1をアップサンプルする。アップサンプルされた上記音
声信号は、上記雑音低減処理手段の第2の雑音低減処理
(b)162及びバンドバスフィルタ(BPF)95に
供給される。
【0126】第2の雑音低減処理(b)162は上記第
2の雑音低減処理(b)48と同様に動作する。すなわ
ち、上記図6に示した構成と同様の構成の雑音低減処理
手段の第1の雑音低減処理(a)161をサンプリング
周波数が16KHzの第1の帯域B1又は広帯域BWの音
声信号における2(=fs2/fs1)倍のサンプルに対し
て施している。
【0127】バンドパスフィルタ95はアップサンプル
部94からの出力のうち所定の帯域のみを通過させ、加
算部96に供給する。このアップサンプル部94、バン
ドパスフィルタ95、加算部96に通じる経路は、元の
周波数帯域の成分の信号を合成された音声信号に付加す
るための経路である。
【0128】また、LPC合成フィルタ93から線形予
測係数−自己相関変換部97に線形予測係数が送られ
る。線形予測係数−自己相関変換部97は、線形予測係
数を自己相関に変換するものである。この自己相関は狭
帯域コードブック98に送られると共に、破擦音検出部
99に送られる。
【0129】また、入力端子91からの励振源は、アッ
プサンプル部100でアップサンプルされ、ローパスフ
ィルタ101、ブースト部102を介して、LPC合成
フィルタ103に送られる。ブースト部102は、破擦
音や摩擦音が検出された場合に励振源をブーストするた
めのもので、ブースト部102のブースト量は、破擦音
検出部99の出力により制御される。
【0130】狭帯域コードブック98には、予め複数の
音声信号のパターンから得られた狭帯域音声信号の自己
相関情報がコードベクタとして格納されている。狭帯域
コードブック98で、線形予測係数−自己相関変換部9
7からの自己相関と、狭帯域コードブック98に格納さ
れている自己相関情報とが比較され、マッチング処理が
行われる。そして、最もマッチしている自己相関情報の
インデックスが広帯域コードブック104に送られる。
【0131】広帯域コードブック104には、狭帯域コ
ードブック98と対応して、狭帯域コードブック98を
作成したときと同一のパターンの音声信号から得られる
広帯域音声信号の自己相関情報がコードベクタとして格
納されている。狭帯域コードブック98で最もマッチし
ている自己相関情報が判断されると、このインデックス
が広帯域コードブック104に送られ、広帯域コードブ
ック104により、最もマッチしていると判断された狭
帯域の自己相関情報に対応する広帯域の自己相関情報が
読み出される。
【0132】広帯域コードブック104から読み出され
た広帯域の自己相関情報は、自己相関−線形予測係数変
換部105に送られる。自己相関−線形予測係数変換部
105により、自己相関から線形予測係数への変換が行
われる。この線形予測係数がLPC合成フィルタ103
に送られる。
【0133】LPC合成フィルタ103ではLPC合成
が行われ、これにより、広帯域音声信号が合成される。
LPC合成フィルタ103で合成された音声信号は、高
域抽出&抑圧フィルタ106及び乗算部107に供給さ
れる。
【0134】高域抽出&抑圧フィルタ106は、LPC
合成フィルタ103からの合成出力から入力狭帯域音声
信号の周波数帯域300Hz〜3400Hzの信号成分
を除去し、3400Hz以上の信号成分を抽出すると共
に、ユーザの好みに応じて高い周波数成分を抑圧する。
乗算部107は、高域抽出&抑圧フィルタ106からの
フィルタ出力に端子108から調整されたゲインを乗算
する。
【0135】そして、加算部96は、乗算部107から
の乗算出力に、BPF95を介した元の狭帯域音声信号
成分を加算し、広帯域の音声信号を出力する。この広帯
域の音声信号は上記雑音低減処理手段の第3の雑音低減
処理(b)163に供給される。
【0136】第3の雑音低減処理(b)163は上記第
3の雑音低減処理(b)49と同様に動作する。すなわ
ち、上記第2の雑音低減処理(b)162と同様に、上
記図6に示した雑音低減処理手段の第1の雑音低減処理
(a)161をサンプリング周波数が16KHzの広帯
域BWの音声信号における2(=fs2/fs1)倍のサン
プルに対して施している。
【0137】第1の雑音低減処理(a)161からの第
1の雑音低減処理出力と、第2の雑音低減処理(b)1
62からの第2の雑音低減処理出力と、第3の雑音低減
処理(b)163からの第3の雑音低減処理出力は切り
換えスイッチ109の被選択端子a,b,cに供給され
る。
【0138】すなわち、切り換えスイッチ109は、上
記第1のサンプリング周波数fs1(=8KHz)の第1
の帯域B1(300Hz〜3400Hz)の雑音低減処
理が施された音声信号を被選択端子aで受け、第2のサ
ンプリング周波数fs2(=16KHz)の第1の帯域B
1(300Hz〜3400Hz)の雑音低減処理が施さ
れた音声信号を被選択端子bで受け、第2のサンプリン
グ周波数fs2(=16KHz)の広帯域Bw(300H
z〜6000Hz)の雑音低減処理が施された音声信号
を被選択端子cで受ける。そして、切り換え制御信号端
子129からの切り換え制御信号に基づいて選択片dを
切り換えることにより、いずれか一の雑音低減処理が施
された音声信号をD/A変換器6に供給する。
【0139】以上より、この図15に示した信号切換部
90を備える受信装置でも、サンプリング周波数が8K
Hz,16KHzと異なる、第1の帯域B1(300H
z〜3400Hz)の受話音声信号や、サンプリング周
波数が16KHzの広帯域(300Hz〜6000H
z)の受話音声信号を、雑音低減処理を施した上でユー
ザに選択させることができる。
【0140】なお、上記受信装置1内部の信号処理装置
5は、各信号切換部32,65,70及び90内に、雑
音低減処理の後段又は前段に接続するようにポストフィ
ルタを備えても良い。
【0141】このポストフィルタは、本件出願人が既に
出願した、特開平9−127996号公報に開示されて
いる、音声復号化方法及び装置で適用している技術によ
り、上記各音声信号にスペクトル整形及び聴感上の品質
向上のためのポストフィルタ処理を施す。
【0142】図16には、上記音声復号化方法及び装置
を適用した第1のポストフィルタ処理(a)171,第
2のポストフィルタ処理(b)172,第3のポストフ
ィルタ処理(b)173を第1の雑音低減処理(a)4
7,第2の雑音低減処理(b)48,第3の雑音低減処
理(b)49の各後に接続した信号切換部32を示す。
また、図17には、ポストフィルタの詳細な構成を示
す。
【0143】ポストフィルタの要部となるスペクトル整
形フィルタ131は、ホルマント強調フィルタ132と
高域強調フィルタ133とからなっている。このスペク
トル整形フィルタ131からの出力は、スペクトル整形
によるゲイン変化を補正するためのゲイン調整器134
に送られており、このゲイン調整器134のゲインG
は、ゲイン制御回路136により決定される。ゲイン制
御回路136は、スペクトル整形フィルタ131の入力
と出力とを比較してゲイン変化を計算し、ゲイン調整器
134のゲインGの補正値を算出する。ここで、スペク
トル整形フィルタ131の上記入力とは端子135を介
して供給される、雑音低減処理部(a)47で雑音が低
減された上記デコード音声信号SndNであり、上記出
力とは端子137を介してこのポストフィルタから導出
されるフィルタ出力である。
【0144】このポストフィルタの動作について詳細に
説明する。
【0145】図17のスペクトル整形フィルタ131の
特性PF(Z)は、線形予測係数αiを用いると、次の
(6)式のように表せる。
【0146】
【数5】
【0147】この(6)式の分数部分がホルマント強調
フィルタ特性を、(1−kz-1)の部分が高域強調フィ
ルタ特性をそれぞれ表す。また、β,γ,kは定数であ
り、一例としてβ=0.6,γ=0.8,k=0.3を挙げるこ
とができる。
【0148】また、ゲイン調整回路134のゲインG
は、次の(7)式のように表せる。
【0149】
【数6】
【0150】この式中のx(i)はスペクトル整形フィ
ルタ131の入力、すなわち上記広帯域音声信号Snd
wであり、y(i)はスペクトル整形フィルタの出力で
ある。
【0151】ここで、上記スペクトル整形フィルタ13
1の係数の更新周期は、図18に示すように、LPC合
成部40の係数であるαwの更新周期と同じく、20サ
ンプル、2.5msecであるのに対し、ゲイン調整回
路134のゲインGの更新周期は、160サンプル、2
0msecである。
【0152】このように、ポストフィルタ171のスペ
クトル整形フィルタ131の係数の更新周期に比較し
て、ゲイン調整回路134のゲインGの更新周期を長く
とることにより、ゲイン調整の変動による悪影響を防止
している。
【0153】すなわち、一般のポストフィルタにおいて
は、スペクトル整形フィルタの係数の更新周期とゲイン
の更新周期とを同じにしており、このとき、ゲインの更
新周期を20サンプル、2.5msecとすると、図1
8からも明らかなように、1ピッチ周期の中で変動する
ことにより、クリックノイズを生じる原因となる。そこ
で、ポストフィルタでは、ゲインの切換周期をより長
く、例えば1フレーム分の160サンプル、20mse
cとすることにより、ゲインの変動を防止することがで
きる。また逆に、スペクトル整形フィルタ131の係数
の更新周期を160サンプル、20msecと長くする
ときには、短時間の音声スペクトルの変化にポストフィ
ルタ特性が追従できず、良好な聴感上の品質改善が行え
ないが、このフィルタ係数の更新周期を20サンプル、
2.5msecと短くすることにより、効果的なポスト
フィルタ処理が可能となる。
【0154】ところで、このポストフィルタは、上記第
1のポストフィルタ処理として上記第1のサンプリング
周波数fs1(8KHz)の音声信号を生成するために送
信装置から伝送されてきた伝送信号に基づく音声パラメ
ータ符号(例えばα)を処理に用いているが、第2のポ
ストフィルタ処理(b)172,第3のポストフィルタ
処理(b)173が実際に施されるは、第2のサンプリ
ング周波数fs2(16KHz)とされた音声信号に対し
てである。このため、第2のポストフィルタ処理(b)
172,第3のポストフィルタ処理(b)173は、上
記図17に示した構成によるポストフィルタの第1のポ
ストフィルタ処理をサンプリング周波数が16KHzの
音声信号における2(=fs2/fs1)倍のサンプルに対
して施している。
【0155】このようにして第1のポストフィルタ処理
は雑音低減処理済みの上記デコード音声信号のスペクト
ル整形及び聴感上の品質を効果的に向上できる。また、
第2のポストフィルタ処理(b)172,第3のポスト
フィルタ処理(b)173は雑音低減処理済みの第2の
サンプリング周波数fs2(16KHz)とされた第1の
帯域B1及び広帯域BWの音声信号のスペクトル整形及び
聴感上の品質を効果的に向上できる。
【0156】すなわち、図16に示した信号切換部32
は、切り換えスイッチ150により、第1の雑音低減処
理(a)47,第2の雑音低減処理(b)48及び第3
の雑音低減処理(b)49で雑音が低減され、第1のポ
ストフィルタ(a)171,第2のポストフィルタ
(b)172及び第3のポストフィルタ(b)173で
スペクトル整形及び聴感上の品質が効果的に向上された
音声信号、つまりサンプリング周波数が8KHzの第1
の帯域B1(300〜3400Hz)の音声信号と、サ
ンプリング周波数が16KHzの第1の帯域B1(30
0〜3400Hz)の音声信号と、サンプリング周波数
が16KHzの広帯域BW(300〜6000Hz)の
広帯域音声信号とを切り換えてD/A変換器6に送るこ
とができる。
【0157】なお、上記信号切換部32、65、70又
は90を備えた信号処理装置を用いた受信装置は、送信
装置と一体化され、図19に示すような、携帯電話装置
110を構成してもよい。この携帯電話装置110も、
PDCとして、現在広くしようされている、ディジタル
携帯電話に適用できる。
【0158】この携帯電話装置110で、マイクロホン
111から入力された音声信号は、アンプ112,ボリ
ューム113,アンチエイリアシングフィルタ114及
びA/D変換器115を経由して信号処理装置116の
メモリ116aに格納される。
【0159】メモリ116aに格納された音声信号は、
信号処理装置116内部の音声符号化部で符号処理さ
れ、音声パラメータ符号として出力される。
【0160】この音声パラメータ符号は、制御部117
及びRF(RF送信)アンプ118及びアンテナ119
を経由して基地局へ送信される。
【0161】ここで、信号処理装置116内部の音声符
号化部は、伝送路により制限される狭帯域化を考慮した
音声パラメータ符号を制御部117を介してRFアンプ
118に供給する。
【0162】また、アンテナ119を介して基地局から
受信した音声パラメータ符号は、RFアンプ118、制
御部117を経由して信号処理装置122のメモリ12
2aに格納される。
【0163】信号処理装置122のメモリ122aに格
納された音声パラメータ符号は、信号処理装置122の
復号部で復号処理された後、所定の信号処理が施されて
出力される。
【0164】信号処理装置122から出力信号は、D/
A変換器123でアナログ信号とされた後、アンチエイ
リアシングフィルター124、ボリューム125及びア
ンプ128を経由してスピーカ127から出力される。
【0165】ここで、信号処理装置122は、上記信号
切換部32、65、70又は90を備えてなる。したが
って、この図19に示した携帯電話装置110は、受話
側でサンプリング周波数を2倍にした高品質の広帯域音
声信号の、スペクトル整形及び聴感上の品質を効果的に
向上し、かつ、雑音成分を低減することができる。
【0166】なお、上記実施の形態では、受信装置、送
信装置、携帯電話装置を、PDCとして使用されている
ディジタル携帯電話装置に適用できるとして説明した
が、広帯域(ワイドバンド)CDMA方式、すなわち、
周波数帯域幅が広い移動体通信システムにも適用が可能
である。
【0167】
【発明の効果】以上、本発明によれば、サンプリング周
波数が例えば8KHz,16KHzと異なる、第1の帯
域B1(300Hz〜3400Hz)のPSI−CEL
P又はVSELPによる受話音声信号や、サンプリング
周波数が16KHzの広帯域(300Hz〜6000H
z)のPSI−CELP又はVSELPによる受話音声
信号に雑音低減処理を施した上で、ユーザに選択させる
ことができる。このため、ユーザ側では選択肢が広が
る。また、状況に応じて受話音声を帯域拡張するだけで
なく、入力時の帯域と同様にすることができるので、内
蔵のバッテリーの減りを抑えることもできる。また、ポ
ストフィルタを施し、スペクトル整形及び聴感上の品質
を効果的に向上させた上で、ユーザに選択させてもよ
い。
【0168】したがって、聴覚的品質を向上させた受話
音声を得ることのできる受信装置及び方法、通信装置及
び方法の提供を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態となる受信装置の構成を示
すブロック図である。
【図2】上記図1に示した受信装置に音声パラメータ符
号を基地局を介して送信する送信装置の構成を示すブロ
ック図である。
【図3】上記図1に示した受信装置内部の信号処理装置
を信号切換部と共に構成するPSI−CELPデコーダ
を示す図である。
【図4】上記図1に示した受信装置内部の信号処理装置
をPSI−CELPデコーダと共に構成する信号切換部
を示すブロック図である。
【図5】上記図4に示した信号切換部に含まれる励振源
拡張部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図6】上記図4に示した信号切換部に含まれる雑音低
減処理手段の詳細な構成を示すブロック図である。
【図7】上記図4に示した信号切換部の詳細な動作を説
明するためのフローチャートである。
【図8】上記図4に示した信号切換部で用いられるコー
ドブックに使われるトレーニングデータ生成処理を説明
するためのフローチャートである。
【図9】上記コードブックの生成を説明するためのフロ
ーチャートである。
【図10】上記図1に示した受信装置内部の信号処理装
置の他の具体例に含まれるVSELPデコーダを示す図
である。
【図11】上記図1に示した受信装置内部の信号処理装
置の他の具体例に含まれる信号切換部の構成を示すブロ
ック図である。
【図12】上記図11に示した信号切換部の詳細な動作
を説明するためのフローチャートである。
【図13】上記図1に示した受信装置内部の信号処理装
置のさらに他の具体例に含まれる信号切換部の構成を示
すブロック図である。
【図14】上記図1に示した受信装置内部の信号処理装
置のさらに他の具体例に含まれるデコード部の構成を示
すブロック図である。
【図15】上記図1に示した受信装置内部の信号処理装
置の、またさらに他の具体例に含まれる信号切換部の構
成を示すブロック図である。
【図16】上記図4に示した信号切換部内の雑音低減処
理部の後段にポストフィルタを接続した構成を示すブロ
ック図である。
【図17】上記図16に示した信号切換部に含まれるポ
ストフィルタの詳細な構成を示すブロック図である。
【図18】上記ポストフィルタのフィルタ係数更新周期
とゲイン更新周期とを説明するための図である。
【図19】上記各信号切換部を用いた信号処理装置を含
んだ受信装置を、送信装置と一体化して有してなる、携
帯電話装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 受信装置、15 送信装置、21 信号処理装置、
27 PSI−CELPデコーダ、32 帯域幅拡張
部、36 線形予測係数→自己相関(αN→rN)変換
部、37 自己相関広帯域化部、38 広帯域コードブ
ック、39 自己相関→線形予測係数変換部、40 L
PC合成部、41 励振源拡張部、45 アップサンプ
ル部、46 加算部、47 雑音低減処理(a)、4
8,49 雑音低減処理(b)、150 切り換えスイ
ッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大森 士郎 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 5D045 CC01 DA11 5J064 AA01 BA01 BB07 BB12 BC01 BC06 BC12 BC18 BC19 BC25 BC27 BD02 9A001 CC05 EE04 HH15 KK56

Claims (45)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1のサンプリング周波数fs1の音声信
    号を生成するために送信装置から伝送されてきた伝送信
    号に基づく音声パラメータ符号を使って生成した第1の
    帯域B1の音声信号のサンプリング周波数を第2のサン
    プリング周波数fs2(fs2>fs1)に変換するサンプリ
    ングレート変換手段と、 上記音声パラメータ符号を使って生成した第1のサンプ
    リング周波数fs1の第1の帯域B1の音声信号に第1の
    雑音低減処理を施すと共に、上記サンプリングレート変
    換手段からの第2のサンプリング周波数fs2の第1の帯
    域B1の音声信号に第2の雑音低減処理を施す雑音低減
    処理手段と、 この雑音低減処理手段からの第1の雑音低減処理出力と
    第2の雑音低減処理出力とを切り換える切換手段とを備
    えることを特徴とする受信装置。
  2. 【請求項2】 上記雑音低減処理手段は、上記第1のサ
    ンプリング周波数fs1の音声信号を生成するために送信
    装置から伝送されてきた伝送信号に基づく音声パラメー
    タ符号から検出された背景雑音区間の雑音レベルに応じ
    て制御信号を形成し、この制御信号に基づいた上記第1
    の雑音低減処理を上記第1のサンプリング周波数fs1
    第1の帯域B1の音声信号に施すことを特徴とする請求
    項1記載の受信装置。
  3. 【請求項3】 上記雑音低減処理手段は、上記第1の雑
    音低減処理を上記サンプリングレート変換手段からの第
    2のサンプリング周波数fs2の第1の帯域B1の音声信
    号におけるfs2/fs1倍のサンプルに対し、上記第2の
    雑音低減処理として施すことを特徴とする請求項2記載
    の受信装置。
  4. 【請求項4】 上記伝送信号はPSI−CELP符号化
    又はVSELP符号化された信号であり、上記雑音低減
    処理手段は上記PSI−CELP符号化又はVSELP
    符号化された信号を復号して得られた音声パラメータ符
    号から検出した背景雑音区間の雑音レベルに応じて制御
    信号を形成し、この制御信号に基づいた第1の雑音低減
    処理を上記第1のサンプリング周波数fs1の第1の帯域
    1の音声信号に施すことを特徴とする請求項1記載の
    受信装置。
  5. 【請求項5】 上記雑音低減処理手段は、上記第1の雑
    音低減処理を、上記サンプリングレート変換手段からの
    第2のサンプリング周波数fs2の第1の帯域B1の音声
    信号におけるfs2/fs1倍のサンプルに対し、上記第2
    の雑音低減処理として施すことを特徴とする請求項4記
    載の受信装置。
  6. 【請求項6】 上記切り換え手段が上記第1のサンプリ
    ング周波数fs1の上記第1の雑音低減処理出力から上記
    第2のサンプリング周波数fs2の上記第2の雑音低減処
    理出力に切り換えるときに、上記サンプリングレート変
    換手段はフィルタ状態の初期化を行うことを特徴とする
    請求項1記載の受信装置。
  7. 【請求項7】 上記音声パラメータ符号を使って上記第
    1の帯域B1の帯域外成分である第2の帯域B2の第2の
    サンプリング周波数fs2の音声信号を推測する帯域外成
    分推測手段と、 上記サンプリングレート変換手段からの第2のサンプリ
    ング周波数fs2の第1の帯域B1の音声信号に上記帯域
    外成分推測手段で推測された第2のサンプリング周波数
    s2の第2の帯域B2の音声信号を加算する加算手段と
    を備え、 上記雑音低減処理手段は上記加算手段からの加算出力に
    第3の雑音低減処理を施し、 上記切り換え手段は上記第3の雑音低減処理出力も上記
    第1及び第2の処理出力とともに切り換えることを特徴
    とする請求項1記載の受信装置。
  8. 【請求項8】 上記雑音低減処理手段は、上記第1の雑
    音低減処理を上記加算手段からの加算出力におけるfs2
    /fs1倍のサンプルに対し、第3の雑音低減処理として
    施すことを特徴とする請求項7記載の受信装置。
  9. 【請求項9】 上記帯域外成分推測手段は、上記音声パ
    ラメータ符号としての線形予測残差を帯域拡張する部分
    と、上記音声パラメータ符号としての線形予測係数を広
    帯域に拡張する部分とからなることを特徴とする請求項
    7記載の受信装置。
  10. 【請求項10】 上記線形予測係数を広帯域に拡張する
    部分は、上記線形予測係数を自己相関に変換する第1変
    換部と、第1変換部の自己相関を予め広帯域の自己相関
    を格納したコードブックを参照することにより拡張する
    自己相関拡張部と、この自己相関拡張部からの拡張自己
    相関を拡張線形予測係数に変換する第2の変換部とを備
    えることを特徴とする請求項9記載の受信装置。
  11. 【請求項11】 上記線形予測残差を帯域拡張する部分
    は、上記線形予測残差をアップサンプルするアップサン
    プル部を備えることを特徴とする請求項9記載の受信装
    置。
  12. 【請求項12】 上記伝送信号はPSI−CELP符号
    化又はVSELP符号化された信号であり、上記帯域外
    成分推測手段は上記PSI−CELP符号化又はVSE
    LP符号化された信号を復号して得られた音声パラメー
    タ符号を使って上記第1の帯域B1の帯域外成分である
    第2の帯域B2の第2のサンプリング周波数fs2の音声
    信号を推測することを特徴とする請求項7記載の受信装
    置。
  13. 【請求項13】 上記第1の雑音低減処理及び第2の雑
    音低減処理の前又は後で第1のポストフィルタ処理及び
    第2のポストフィルタ処理を行うポストフィルタ手段を
    備えることを特徴とする請求項1記載の受信装置。
  14. 【請求項14】 上記ポストフィルタ手段は、上記第1
    のサンプリング周波数fs1の音声信号を生成するために
    送信装置から伝送されてきた伝送信号に基づく音声パラ
    メータ符号に応じて第1のポストフィルタ処理を上記第
    1の雑音低減処理の入力信号又は出力信号に施すことを
    特徴とする請求項13記載の受信装置。
  15. 【請求項15】 上記ポストフィルタ手段は、復号化さ
    れた信号が入力され、フィルタ係数が第1の周期で更新
    されるスペクトル整形フィルタ手段と、このスペクトル
    整形フィルタ手段からの出力が入力され、ゲインが上記
    第1の周期とは異なる第2の周期で更新されるゲイン調
    整手段とを有することを特徴とする請求項14記載の受
    信装置。
  16. 【請求項16】 上記ポストフィルタ手段は、上記第2
    の周期を上記第1の周期よりも長くすることを特徴とす
    る請求項15記載の受信装置。
  17. 【請求項17】 上記ポストフィルタ手段は、第1のポ
    ストフィルタ処理を上記第2の雑音低減処理の入力信号
    又は出力信号におけるfs2/fs1倍のサンプルに対し、
    第2のポストフィルタ処理として施すことを特徴とする
    請求項14記載の受信装置。
  18. 【請求項18】 上記ポストフィルタ手段は、上記第3
    の雑音低減処理の前又は後で第3のポストフィルタ処理
    を行うことを特徴とする請求項13記載の受信装置。
  19. 【請求項19】 上記ポストフィルタ手段は、第1のポ
    ストフィルタ処理を上記第3の雑音低減処理の入力信号
    又は出力信号におけるfs2/fs1倍のサンプルに対し、
    第3のポストフィルタ処理として施すことを特徴とする
    請求項18記載の受信装置。
  20. 【請求項20】 第1のサンプリング周波数fs1の音声
    信号を生成するために送信装置から伝送されてきた伝送
    信号に基づく音声パラメータ符号を使って生成した第1
    のサンプリング周波数fs1の第1の帯域B1の音声信号
    に第1の雑音低減処理を施して得られる第1の雑音低減
    処理出力と、上記音声パラメータ符号を使って生成した
    第1の帯域B1の音声信号のサンプリング周波数を第2
    のサンプリング周波数fs2(fs2>fs1)に変換して得
    た第2のサンプリング周波数fs2の第1の帯域B1の音
    声信号に第2の雑音低減処理を施して得られた第2の雑
    音低減処理出力とを、切り換えることを特徴とする受信
    方法。
  21. 【請求項21】 上記第1の雑音低減処理は、上記第1
    のサンプリング周波数fs1の音声信号を生成するために
    送信装置から伝送されてきた伝送信号に基づく音声パラ
    メータ符号から検出された背景雑音区間の雑音レベルに
    応じて形成された制御信号に基づいており、上記第1の
    サンプリング周波数fs1の第1の帯域B1の音声信号に
    施されることを特徴とする請求項20記載の受信方法。
  22. 【請求項22】 上記第2の雑音低減処理は、上記第1
    の雑音低減処理を、上記第2のサンプリング周波数fs2
    の第1の帯域B1の音声信号におけるfs2/fs 1倍のサ
    ンプルに対して施すことを特徴とする請求項21記載の
    受信方法。
  23. 【請求項23】 入力音声信号に第1のサンプリング周
    波数fs1による符号化処理を施して伝送信号を生成する
    送信手段と、 上記第1のサンプリング周波数fs1の音声信号を生成す
    るために送信手段から伝送されてきた伝送信号に基づく
    音声パラメータ符号を使って生成した第1のサンプリン
    グ周波数fs1の第1の帯域B1の音声信号に第1の雑音
    低減処理を施して得られる第1の雑音低減処理出力と、
    上記音声パラメータ符号を使って生成した第1の帯域B
    1の音声信号のサンプリング周波数を第2のサンプリン
    グ周波数fs2(fs2>fs1)に変換して得た第1の帯域
    1の音声信号に第2の雑音低減処理を施して得られた
    第2の雑音低減処理出力とを、切り換えて出力する受信
    手段とを備えることを特徴とする通信装置。
  24. 【請求項24】 上記受信手段は、 上記第1のサンプリング周波数fs1の音声信号を生成す
    るために送信装置から伝送されてきた伝送信号に基づく
    音声パラメータ符号を使って生成した第1の帯域B1
    音声信号のサンプリング周波数を第2のサンプリング周
    波数fs2(fs2>fs1)に変換するサンプリングレート
    変換手段と、 上記音声パラメータ符号を使って生成した第1のサンプ
    リング周波数fs1の第1の帯域B1の音声信号に第1の
    雑音低減処理を施すと共に、上記サンプリングレート変
    換手段からの第2のサンプリング周波数fs2の第1の帯
    域B1の音声信号に第2の雑音低減処理を施す雑音低減
    処理手段と、 この雑音低減処理手段からの第1の雑音低減処理出力と
    第2の雑音低減処理出力とを切り換える切換手段とを備
    えることを特徴とする請求項23記載の通信装置。
  25. 【請求項25】 上記雑音低減処理手段は、上記第1の
    サンプリング周波数fs1の音声信号を生成するために送
    信装置から伝送されてきた伝送信号に基づく音声パラメ
    ータ符号から検出された背景雑音区間の雑音レベルに応
    じて制御信号を形成し、この制御信号に基づいた上記第
    1の雑音低減処理を上記第1のサンプリング周波数fs1
    の第1の帯域B1の音声信号に施すことを特徴とする請
    求項24記載の通信装置。
  26. 【請求項26】 上記雑音低減処理手段は、上記第1の
    雑音低減処理を上記サンプリングレート変換手段からの
    第2のサンプリング周波数fs2の第1の帯域B1の音声
    信号におけるfs2/fs1倍のサンプルに対し、上記第2
    の雑音低減処理として施すことを特徴とする請求項25
    記載の通信装置。
  27. 【請求項27】 上記伝送信号はPSI−CELP符号
    化又はVSELP符号化された信号であり、上記雑音低
    減処理手段は上記PSI−CELP符号化又はVSEL
    P符号化された信号を復号して得られた音声パラメータ
    符号から検出した背景雑音区間の雑音レベルに応じて制
    御信号を形成し、この制御信号に基づいた第1の雑音低
    減処理を上記第1のサンプリング周波数fs1の第1の帯
    域B1の音声信号に施すことを特徴とする請求項24記
    載の通信装置。
  28. 【請求項28】 上記雑音低減処理手段は、上記第1の
    雑音低減処理を、上記サンプリングレート変換手段から
    の第2のサンプリング周波数fs2の第1の帯域B1の音
    声信号におけるfs2/fs1倍のサンプルに対し、上記第
    2の雑音低減処理として施すことを特徴とする請求項2
    7記載の通信装置。
  29. 【請求項29】 上記切り換え手段が上記第1のサンプ
    リング周波数fs1の上記第1の雑音低減処理出力から上
    記第2のサンプリング周波数fs2の上記第2の雑音低減
    処理出力に切り換えるときに、上記サンプリングレート
    変換手段はフィルタ状態の初期化を行うことを特徴とす
    る請求項24記載の通信装置。
  30. 【請求項30】 上記音声パラメータ符号を使って上記
    第1の帯域B1の帯域外成分である第2の帯域B2の第2
    のサンプリング周波数fs2の音声信号を推測する帯域外
    成分推測手段と、 上記サンプリングレート変換手段からの第2のサンプリ
    ング周波数fs2の第1の帯域B1の音声信号に上記帯域
    外成分推測手段で推測された第2のサンプリング周波数
    s2の第2の帯域B2の音声信号を加算する加算手段と
    を備え、 上記雑音低減処理手段は上記加算手段からの加算出力に
    第3の雑音低減処理を施し、 上記切り換え手段は上記第3の雑音低減処理出力も上記
    第1及び第2の処理出力とともに切り換えることを特徴
    とする請求項24記載の通信装置。
  31. 【請求項31】 上記雑音低減処理手段は、上記第1の
    雑音低減処理を上記加算手段からの加算出力におけるf
    s2/fs1倍のサンプルに対し、第3の雑音低減処理とし
    て施すことを特徴とする請求項30記載の通信装置。
  32. 【請求項32】 上記帯域外成分推測手段は、上記音声
    パラメータ符号としての線形予測残差を帯域拡張する部
    分と、上記音声パラメータ符号としての線形予測係数を
    広帯域に拡張する部分とからなることを特徴とする請求
    項30記載の通信装置。
  33. 【請求項33】 上記線形予測係数を広帯域に拡張する
    部分は、上記線形予測係数を自己相関に変換する第1変
    換部と、第1変換部の自己相関を予め広帯域の自己相関
    を格納したコードブックを参照することにより拡張する
    自己相関拡張部と、この自己相関拡張部からの拡張自己
    相関を拡張線形予測係数に変換する第2の変換部とを備
    えることを特徴とする請求項32記載の通信装置。
  34. 【請求項34】 上記線形予測残差を帯域拡張する部分
    は、上記線形予測残差をアップサンプルするアップサン
    プル部を備えることを特徴とする請求項32記載の通信
    装置。
  35. 【請求項35】 上記伝送信号はPSI−CELP符号
    化又はVSELP符号化された信号であり、上記帯域外
    成分推測手段は上記PSI−CELP符号化又はVSE
    LP符号化された信号を復号して得られた音声パラメー
    タ符号を使って上記第1の帯域B1の帯域外成分である
    第2の帯域B2の第2のサンプリング周波数fs2の音声
    信号を推測することを特徴とする請求項30記載の通信
    装置。
  36. 【請求項36】 上記第1の雑音低減処理及び第2の雑
    音低減処理の前又は後で第1のポストフィルタ処理及び
    第2のポストフィルタ処理を行うポストフィルタ手段を
    備えることを特徴とする請求項24記載の通信装置。
  37. 【請求項37】 上記ポストフィルタ手段は、上記第1
    のサンプリング周波数fs1の音声信号を生成するために
    送信装置から伝送されてきた伝送信号に基づく音声パラ
    メータ符号に応じて第1のポストフィルタ処理を上記第
    1の雑音低減処理の入力信号又は出力信号に施すことを
    特徴とする請求項36記載の通信装置。
  38. 【請求項38】 上記ポストフィルタ手段は、復号化さ
    れた信号が入力され、フィルタ係数が第1の周期で更新
    されるスペクトル整形フィルタ手段と、このスペクトル
    整形フィルタ手段からの出力が入力され、ゲインが上記
    第1の周期とは異なる第2の周期で更新されるゲイン調
    整手段とを有することを特徴とする請求項37記載の通
    信装置。
  39. 【請求項39】 上記ポストフィルタ手段は、上記第2
    の周期を上記第1の周期よりも長くすることを特徴とす
    る請求項38記載の通信装置。
  40. 【請求項40】 上記ポストフィルタ手段は、第1のポ
    ストフィルタ処理を上記第2の雑音低減処理の入力信号
    又は出力信号におけるfs2/fs1倍のサンプルに対し、
    第2のポストフィルタ処理として施すことを特徴とする
    請求項37記載の通信装置。
  41. 【請求項41】 上記ポストフィルタ手段は、上記第3
    の雑音低減処理の前又は後で第3のポストフィルタ処理
    を行うことを特徴とする請求項36記載の通信装置。
  42. 【請求項42】 上記ポストフィルタ手段は、第1のポ
    ストフィルタ処理を上記第3の雑音低減処理の入力信号
    又は出力信号におけるfs2/fs1倍のサンプルに対し、
    第3のポストフィルタ処理として施すことを特徴とする
    請求項41記載の通信装置。
  43. 【請求項43】 入力音声信号に第1のサンプリング周
    波数fs1による符号化処理を施して伝送信号を生成する
    と共に、上記第1のサンプリング周波数fs1の音声信号
    を生成するために送信装置から伝送されてきた伝送信号
    に基づく音声パラメータ符号を使って生成した第1のサ
    ンプリング周波数fs1の第1の帯域B1の音声信号に第
    1の雑音低減処理を施して得られる第1の雑音低減処理
    出力と、上記音声パラメータ符号を使って生成した第1
    の帯域B1の音声信号のサンプリング周波数を第2のサ
    ンプリング周波数fs2(fs2>fs1)に変換して得た第
    2のサンプリング周波数fs2の第1の帯域B1の音声信
    号に第2の雑音低減処理を施して得られた第2の雑音低
    減処理出力とを、切り換えて出力することを特徴とする
    通信方法。
  44. 【請求項44】 上記第1の雑音低減処理は、上記第1
    のサンプリング周波数fs1の音声信号を生成するために
    送信装置から伝送されてきた伝送信号に基づく音声パラ
    メータ符号から検出された背景雑音区間の雑音レベルに
    応じて形成された制御信号に基づいており、上記第1の
    サンプリング周波数fs1の第1の帯域B1の音声信号に
    施されることを特徴とする請求項43記載の通信方法。
  45. 【請求項45】 上記第2の雑音低減処理は、上記第1
    の雑音低減処理を、上記第2のサンプリング周波数fs2
    の第1の帯域B1の音声信号におけるfs2/fs 1倍のサ
    ンプルに対して施すことを特徴とする請求項44記載の
    通信方法。
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