JP2000202511A - 圧延機スピンドルの診断方法 - Google Patents

圧延機スピンドルの診断方法

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JP2000202511A
JP2000202511A JP659299A JP659299A JP2000202511A JP 2000202511 A JP2000202511 A JP 2000202511A JP 659299 A JP659299 A JP 659299A JP 659299 A JP659299 A JP 659299A JP 2000202511 A JP2000202511 A JP 2000202511A
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spindle
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JP659299A
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Sokichi Fujiwara
宗吉 藤原
Takaaki Ishikawa
貴章 石川
Takeshi Hitomi
威 人見
Takeshi Sagawa
剛 佐川
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NAKAMURA JIKO KK
JFE Steel Corp
Original Assignee
NAKAMURA JIKO KK
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧延機に適用するユニバーサルジョイントス
ピンドルに使用するクロスベアリングの異常診断をオン
ラインで正確に診断する。 【解決手段】 クロスベアリングの潤滑油を補給する給
油タイミングで潤滑油をサンプリングし、これを分析フ
ェログラフィー法を使用して長さ5μm以上10μm未
満の平板状摩耗粒子数X5 と長さ10μm以上20μm
未満の平板状摩耗粒子数X10とを測定し、これらをもと
に判別式に基づいて演算することにより、その演算結果
からクロスピンに剥離の発生の有無を診断すると共に、
重回帰式に基づいて演算することにより、損傷面積のク
ロスピンの被荷重面積における割合を表す損傷程度を求
める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば熱間圧延機
のユニバーサルスピンドルに使用するベアリングの異常
診断を行う圧延機スピンドルの異常診断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延工場を保全する場合に、熱間圧
延機に使用するユニバーサルスピンドルの長寿命化が望
まれている。このユニバーサルスピンドルは、その構成
部品がクロスベアリング、ベアリングシール、バネキッ
ト、エンドヨーク、スプラインブッシュ、スプライン、
スピンドルキャリア等の部品で構成され、これらの部品
のうちクロスベアリングの寿命が約1年程度と一番短い
ため、スピンドルの時間基準保全間隔はクロスベアリン
グの寿命に合わせて設定されているのが現状である。
【0003】ところが、転がり軸受の疲労寿命計算式を
使用して7スタンドの仕上げミルF1〜F7のユニバー
サルスピンドルに使用するクロスベアリングの寿命を計
算すると、図10に示すように、上流側の仕上げミルF
1から順次圧延負荷が小さくなることにより、クロスベ
アリング計算寿命は、第1スタンドF1では1.3年、
第2スタンドでは3.3年と、第4スタンドF4までは
順に寿命が長くなるが、第5スタンドでは再度4.2年
まで低下し、第6スタンドF6では5.4年となり、第
7スタンドでは14.3年となる。
【0004】このため、現状では、第1スタンドF1〜
第4スタンドF4では時間基準保全間隔TBMを1.3
年とし、第5スタンドF5〜第7スタンドF7では時間
保全間隔TBMを1.5年としている。しかしながら、
例えば第1スタンドF1におけるクロスベアリングの使
用実績をクロスベアリングを構成するクロスピンの表面
に剥離が発生するまでの延べ使用期間を測定すると、図
11に示すように、短いものでは、15カ月で剥離が発
生し、長いものでは30カ月で剥離が発生し、平均寿命
は24カ月となり、実績寿命に大きなバラツキがあるこ
とが判明した。
【0005】したがって、オンラインでの点検が困難で
あり、損傷発生時や不転発生時にラインが停止するダウ
ンタイムが20時間以上必要となり、さらに寿命バラツ
キが大きく早期に損傷するものもあるという理由で、上
記のようなに短い時間基準保全間隔TBMを設定せざる
を得ないものである。このため、従来、クロスベアリン
グの異常診断をオンラインで行うために、亀裂の発生や
進展を音響により診断する音響診断法(AE法)や回転
軸受に加速度センサを取り付け異音の周期性により異常
診断を行う振動診断法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記音
響診断法にあっては、ホットプレス設備での実用化の実
績はあるが、圧延機に使用するユニバーサルジョイント
スピンドルではノイズレベルが非常に高いため適用する
ことが困難であり、また振動診断法にあっては、小型の
ユニバーサルジョイントで実践した結果、クロスベアリ
ングを構成するクロスピンに剥離が生じた場合と剥離が
生じていない場合とで加速度センサの出力波形に明確な
有為差が無いことが判明し、従来の何れの診断方法も圧
延機におけるユニバーサルジョイントスピンドルにおけ
るクロスベアリングの異常診断を正確に行うことができ
ないものであった。
【0007】これを解決するために、各種軸受ギヤなど
の診断に実績が多数あるフェログラフィー法を使用して
クロスベアリングに供給する潤滑油中の摩耗粉を観察す
ることにより、フェログラフィー法を使用した異常診断
方法が試みられている。この従来のフェログラフィー法
を使用した異常診断方法は、クロスベアリングに供給す
る潤滑油を給油タイミングでサンプリングし、そのサン
プルをフェログラムスライドに流し、このフェログラム
スライドの底に沿って上流側から下流側にかけで徐々に
強くなる磁場を形成し、沈着した粒子の大きさ・形状な
どによりベアリングの状態を診断するものであるが、具
体的には摩耗粒子濃度を光学的に測定して5μm以上の
大摩耗粒子濃度DLと、5μm未満の小摩耗粒子濃度D
Sを測定し、これらをもとにIS値(=DL2 −D
2 )を算出する定量フェログラフィー法と、顕微鏡に
より摩耗粉の種類、大きさ(50μm以上の摩耗粉の有
無)等を観察し、球形粒子と共に平板状粒子が確認され
れば、ベアリングが損傷しているものと判断する分析フ
ェログラフィー法とが考えられている。
【0008】しかしながら、上記定量フェログラフィー
法及び分析フェログラフィー法を使用して実際に実験を
行ってみると、図5に示すように、横軸に試験時間を計
算寿命で除した計算寿命比をとり、縦軸に各摩耗粒子数
及びIS値をとると、定量フェログラフィー法によるI
S値は図5(b)で実線図示の特性線L1で示すよう
に、計算寿命比とは無関係に増減を繰り返し、実際にク
ロスピンの表面に剥離が発生する計算寿命比1.9の直
前で高い値を示してはいるが、その後減少すると共に、
計算寿命比0.2〜0.6及び1.0でも高い値を示し
ており、剥離発生状態を特定することは困難であると共
に、図5(a)に示す損傷部面積をクロスピン被荷重部
面積で除して表される損傷程度を推測することも困難で
ある。
【0009】また、分析フェログラフィー法では、球形
粒子数及び50μm以上の平板状粒子数は図5(b)で
●印の細線図示の特性線L2及び◆印の細線図示の特性
線L3で示すように球状粒子数は、剥離が発生した計算
寿命比1.9では粒子数が少ないが、その直前で粒子数
が多く、50μm以上の平板状粒子は剥離が発生した計
算寿命比より長い計算寿命比2.4で高い値となること
から、これらによって剥離発生の有無を診断することも
できないと共に、損傷程度を推測することも困難であ
る。
【0010】そこで、本発明は、上記従来例の未解決の
課題に着目してなされたものであり、クロスベアリング
に供給する潤滑油中の摩耗粉を観察する分析フェログラ
フィー法を使用してクロスベアリングの異常即ち剥離の
有無、損傷程度を正確に検出することができる圧延機ス
ピンドルの異常診断方法を提供することを目的としてい
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る圧延機スピンドルの異常診断方法
は、圧延機スピンドルに使用するユニバーサルスピンド
ルにおけるクロスベアリングの異常診断方法であって、
前記ベアリングの潤滑油を採取して、分析フェログラフ
ィー分析法を使用して長さ5μm以上20μm未満の平
板状摩耗粒子を大きさ別に2群に分割し、分割された各
群における平板状摩耗粒子数を測定し、各測定値を基に
所定の判別式の演算を行って異常の有無を判定するよう
にしたことを特徴としている。
【0012】この請求項1に係る発明においては、前述
した従来の分析フェログラフィー法では正常摩耗粒子と
して分析対象外とされていた長さ5〜20μmの平板状
摩耗粒子数をもとにクロスベアリングの異常診断を行う
ことにより、剥離の発生を正確に診断することが可能と
なった。また、請求項2に係る圧延機スピンドルの異常
診断方法は、圧延機スピンドルに使用するユニバーサル
スピンドルにおけるクロスベアリングの異常診断方法で
あって、圧延機スピンドルに使用するユニバーサルスピ
ンドルにおけるクロスベアリングの異常診断方法であっ
て、前記ベアリングの潤滑油を採取して、分析フェログ
ラフィー法を使用して長さ5μm以上10μm未満の平
板状摩耗粒子数X 5 及び長さ10μm以上20μm以下
の平板状摩耗粒子数X10を測定し、各測定値X5 及びX
10をもとに下記判別式の演算を行い、 f(x) =A1 ・X5 +A2 ・X10−B(A1,2,Bは係
数である) 演算結果が正値であるか負値であるかに基づいてベアリ
ングの異常判定を行うようにしたことを特徴としてい
る。
【0013】この請求項2に係る発明においては、前述
した従来の分析フェログラフィー法では正常摩耗粒子と
して分析対象外とされていた長さ5〜20μmの平板状
摩耗粒子数をもとに判別式を使用してクロスベアリング
の異常診断を行うことにより、剥離の有無をより正確に
診断することが可能となった。また、請求項3に係る圧
延機スピンドルの異常診断方法は、圧延機スピンドルに
使用するユニバーサルスピンドルにおけるクロスベアリ
ングの異常診断方法であって、前記ベアリングの潤滑油
を採取して、分析フェログラフィー法を使用して長さ5
μm以上10μm未満の平板状粒子数X5 及び長さ10
μm以上20μm以下の平板粒子数X10を測定し、各測
定値X5 及びX10をもとに下記(2)式の演算を行っ
て、 S/A=C1 ・X5 +C2 ・X10−D(C1,2,Dは係数である)……(2) 損傷面積の前記クロスベアリングを構成するクロスピン
の被荷重面積における割合を表す損傷程度S/Aを算出
するようにしたことを特徴としている。
【0014】この請求項3に係る発明においても、前述
した従来の分析フェログラフィー法では正常摩耗粒子と
して分析対象外とされていた長さ5〜20μmの平板状
摩耗粒子数をもとに演算式を使用して損傷程度を損傷面
積比を算出するので、クロスベアリングを構成するクロ
スピンに発生する損傷状態の大きさを表す損傷程度を正
確に診断することができる。
【0015】さらに、請求項4に係る圧延機スピンドル
の異常診断方法は、前記請求項2に記載のベアリングの
異常判定結果が異常であるときに、前記請求項3に記載
の損傷程度S/Aを算出するようにしたことを特徴とし
ている。この請求項4に係る発明においては、ベアリン
グの剥離発生による異常状態を検出した後、剥離の進行
状態を表す損傷程度を求めることができ、ベアリングの
交換時期を正確に判断することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は、本発明を適用し得る圧延
機を示す概略構成図であり、被圧延材1を挟んで対向す
るワークロール2A,2Bと、これらワークロール2
A,2Bの上下に転接されたバックアップロール3A,
3Bとを有する。
【0017】そして、固定部に配設された主機モータ4
の回転力が減速機5で減速されてピニオンスタンド6に
伝達され、このピニオンスタンド6で同期する2系統の
回転力に分岐されてユニバーサルスピンドル7A,7B
を介してワークロール2A,2Bが回転駆動される。ユ
ニバーサルスピンドル7A,7Bのそれぞれは、図2に
示すように、中央部のスリーブヨーク8とこれにスプラ
イン結合されたスプラインヨーク9と、スリーブヨーク
8にクロスベアリング10を介して連結されたフランジ
ヨーク11と、スプラインヨーク9にクロスベアリング
12を介して連結されたエンドヨーク13とで構成さ
れ、エンドヨーク13がワークロール2A,2Bに連結
され、フランジヨーク11がピニオンスタンド6の出力
軸に連結されている。
【0018】そして、クロスベアリング10,12の夫
々は、図3に示すように、インナーレースを構成する十
字状のクロスピン13と、このクロスピン13の各軸部
13a〜13dにコロベアリング14を介して被冠され
たアウターレースを構成するベアリングケース15とで
構成されている。このような圧延機1において、これに
装着されたユニバーサルジョイント7A,7Bのクロス
ベアリング10,12の異常診断を行うに当たり、これ
らクロスベアリング12,12に対する潤滑油の給油タ
イミングで使用状態にあった所定量の潤滑油をサンプリ
ングし、これを図4に示すフェログラフィー分析装置2
1で摩耗粒子の大きさ毎に分類する。
【0019】ここで、フェログラフィー分析装置21
は、図4に示すように、表面に僅かな深さで一端が端面
側に開放された凹部22を有するガラス製のフェログラ
ムスライド23を着脱自在に配置し、このフェログラム
スライド22の下面側に凹部22に沿ってその閉塞端側
から開放端側に行くに従い強くなる大きな磁気勾配の磁
場を形成する磁石24が配設され、フェログラムスライ
ド23の凹部22の閉塞端側からサンプリングされた潤
滑油25を流し、凹部22の開放端側で回収することに
より、潤滑油内に含まれる摩耗粒子がフェログラムスラ
イド23の凹部22内に図4で拡大図示するようにその
大きさ順に沈着される。
【0020】その後、フェログラムスライド23を顕微
鏡に装着して、沈着した摩耗粒子の内、長さ5μm以上
10μm未満の平板状粒子数X5 及び長さ10μm以上
20μm未満の平板状粒子数X10を測定する。そして、
測定した平板状粒子数X5 及びX10をもとに下記(1)
式の判定式に従って判別関数f(x) を算出し、算出した
判別関数f(x) が正値であるときにクロスピン13にフ
レーキング剥離が生じているものと判断し、逆に負値で
あるときにクロスピン13にフレーキング剥離が生じて
いないものと判断する。
【0021】 f(x) =0.23X5 +0.34X10−4.9 ………(1) この(1)式の判別式は、小型ユニバーサルジョイント
スピンドル回転疲労試験機を用いて、クロスピン13に
作用する面圧(ヘルツ面圧)が実際の第1スタンドF1
での定常トルク作用時と略等しくなるように100kg
f−m程度のトルクを負荷として与え、傾角と回転数を
大きくしてフェログラフィー実験用に早くフレーキング
剥離が発生するようにL10寿命で550時間となる条件
を設定してクロスベアリング回転寿命試験を行い、この
実験結果に基づいて決定している。
【0022】すなわち、クロスベアリング回転寿命試験
により得たオイルサンプル(オイル潤滑のベアリング2
個より採取)をフェログラフィー分析した結果を、図5
及び図6に示す。この図5及び図6では、横軸に試験時
間を計算寿命(550時間)で割って無次元化した計算
寿命比をとり、縦軸にフェログラフィー分析によって得
られる各パラメータをとっており、パラメータとして
は、IS値、球状摩耗粒子数、及び10μm毎の大きさ
別の平板状摩耗粒子数としている。なお、5μm未満の
大きさの平板状摩耗粒子はカウント不可能であり、正常
摩耗粒子であるとしてパラメータとして選択していな
い。
【0023】この図5(a)及び図6(a)から明らか
なように、2つのベアリングとも10回目の解体時(総
試験時間1057時間、計算寿命比1.9)でフレーキ
ング剥離が発生し、以後図5のベアリングでは時間の経
過と共に剥離面積が徐々に増加して剥離が進行したが、
図6のベアリングではフレーキング剥離が殆ど進行しな
かった。
【0024】これら図5(b)及び図6(b)から明ら
かなように、前述した従来例で述べたように、定量フェ
ログラフィー法によるIS値では剥離の発生を判別する
ことができないと共に、球形摩耗粒子と50μm以上の
平板状摩耗粒子とを使用した分析フェログラフィー法で
も剥離の発生を判別することができない。しかしなが
ら、長さ5μm以上10μm未満の平板状粒子及び長さ
10μm以上20μm未満の平板状粒子についてはフレ
ーキング剥離について何らかの相関関係があるように推
測される。
【0025】このため、統計的手法である判別分析法を
適用して、実験結果に基づくクロス損傷判別式を構成す
る。この判別分析法とは、いくつかの変量x1,2,……
nに関して群ごとに得られている過去のデータ(サン
プル)に基づき、これらの変量の値から個体がどの群に
属するかを式(2)で示されるような判別式によって判
定する方法であって、例えばx1 及びx2 の2変量によ
って判定を行う場合、各群の平均値となる値を求め、判
定を行うサンプルからのマハラノビスの距離を計算しど
ちらに近いかによって判別を行う。
【0026】 f(x) =b+a1 1 +a2 2 +……an n ………(2) f(x) >0(I群) f(x) <0(II群) そして、図5及び図6のクロスベアリング回転寿命試験
での2個のベアリングの解体点検毎の分析結果計28組
のデータを使用して計算ソフトを使用して判別式を構成
したが、式の構成にあたってはあるしきい値に基づき有
為正の高いパラメータから採用していき、最も誤判別の
確率の低い式を構築するようにプログラムされている。
【0027】この結果、クロスベアリング損傷有無の判
定には5μm以上10μm未満の径の平板状摩耗粒子X
5 及び10μm以上20μm未満の径の平板状摩耗粒子
10の2つのパラメータが採用されて前述した(1)式
が得られ、このとき全サンプルに対する誤判別の確率は
3.6%となり、96%以上の信頼性でフレーキング剥
離を検出することができる。
【0028】そして、前記(1)式に前述したクロスベ
アリング回転寿命試験での2個のベアリングの解体点検
毎の分析結果における平板状摩耗粒子数X5 及びX10
数値を代入して演算した結果、図7に示すように、解体
時に損傷が無いときの判別関数f(x) の値を表す■はす
べて負値となり、解体時に損傷があるときの判別関数f
(x) の値を表す□は1つを除いて正値となり、損傷の有
無を96%以上の信頼性で判定できることが確認され
た。
【0029】このようにして、クロスベアリング10,
12のクロスピン13についてフレーキング剥離の有無
を高信頼性で判定することができるが、実際にクロスベ
アリングの交換を行うためには、図8に示す損傷面積S
のクロスピン被荷重面積Aに占める割合S/Aで表され
る損傷程度を判別することはできない。そこで、本実施
形態では、前述した図5のベアリングが剥離がよく進展
しているので、この結果を利用し、クロスベアリング損
傷状態を診断する方法を特定した。
【0030】すなわち、図5の実験結果によると、長さ
5μm以上10μm未満の平板状摩耗粒子数X5 と長さ
10μ以上20μm未満の平板状摩耗粒子数X10は剥離
の進行に対応して数値が増大しており、この2つのパラ
メータを説明変数とし、剥離面積比を独立変数として重
回帰分析を行った結果、下記(3)式の損傷程度を表す
剥離面積比S/Aを算出する重回帰式を得ることができ
た。
【0031】 S/A=1.3×10-25 +2.6×10-210−0.11 ……(3) この(3)式に前述した図5の実験データを代入して剥
離面積比S/Aを演算すると、図9で破線図示の特性線
L4で表され、実線図示の特性線L5で表される実際の
剥離面積比と高い相関関係があることが実証され、重相
関係数Rは0.98(R2 =0.96)となっている。
【0032】以上のように、圧延機に使用するユニバー
サルジョイントスピンドルのクロスベアリングに対する
潤滑油給油タイミングで潤滑油のサンプルを採取し、こ
のサンプルを分析フェログラフィー法で長さ5μm以上
10μm未満の平板状摩耗粒子数X5 と長さ10μm以
上20μm未満の径を有する平板状摩耗粒子数X10とを
測定し、これらの測定結果を前記(1)式に代入して演
算することにより、クロスベアリングを構成するクロス
ピン13のフレーキング剥離の有無を正確に判定するこ
とができ、フレーキング剥離が生じているときに、上記
測定結果を(3)式に代入して演算することにより、フ
レーキング剥離の進行状態を表す損傷程度即ち損傷面積
割合を求めることができ、高価なユニバーサルジョイン
トスピンドルの交換周期を延長することが可能となる。
【0033】なお、上記実施形態においては、長さ5μ
m〜20μmの平板状摩耗粒子をその中央値10μmで
2群に分けた場合について説明したが、これに限定され
るものではなく、任意のしきい値で2群に分けることも
でき、この場合には、(1)式の判別式及び(3)式の
損傷程度を表す式の係数を変更すればよく、要は従来例
で診断対象としていない長さ5μm〜20μmの範囲内
の平板状粒子を2群に分ければよく、例えば長さ6μm
以上10μm以下の平板状摩耗粒子数と長さ10μm以
上19μm以下の平板状摩耗粒子数とで2群に分けるこ
ともできる。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発
明によれば、ベアリングの潤滑油を採取して、分析フェ
ログラフィー分析法を使用して長さ5μm以上20μm
未満の平板状摩耗粒子を大きさ別に2群に分割し、分割
された各群における平板状摩耗粒子数を測定し、各測定
値を基に所定の判別式の演算を行って異常の有無を判定
するようにしたので、従来の分析フェログラフィー法で
は正常摩耗粒子として分析対象外とされていた長さ5〜
20μmの平板状摩耗粒子数をもとにクロスベアリング
の異常診断を行うことにより、剥離の発生を正確に診断
することが可能となるという効果が得られる。
【0035】また、請求項2に係る発明によれば、従来
の分析フェログラフィー法では正常摩耗粒子として分析
対象外とされていた長さ5μm以上10μm以下の平板
状摩耗粒子数と長さ5μm以上10μm以下の平板状摩
耗粒子数とをもとに判別式を使用してクロスベアリング
の異常診断を行うことにより、剥離の有無をより正確に
診断することが可能となるという効果が得られる。
【0036】さらに、請求項3に係る発明によれば、従
来の分析フェログラフィー法では正常摩耗粒子として分
析対象外とされていた長さ5〜20μmの平板状摩耗粒
子数をもとに演算式を使用して損傷程度を損傷面積比を
算出するので、クロスベアリングを構成するクロスピン
に発生する損傷状態の大きさを表す損傷程度を正確に診
断することができるという効果が得られる。
【0037】さらにまた、請求項4に係る発明によれ
ば、ベアリングの剥離発生による異常状態を検出した
後、剥離の進行状態を表す損傷程度を求めることがで
き、ベアリングの交換時期を正確に判断することができ
るという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用し得る熱間仕上げ圧延機を示す概
略構成図である。
【図2】仕上げ圧延機に使用するユニバーサルジョイン
トスピンドルを示す拡大正面図である。
【図3】ユニバーサルジョイントスピンドルに使用する
クロスベアリングを示す一部を断面とした正面図であ
る。
【図4】フェログラフィー分析装置を示す概略構成図で
ある。
【図5】一方のベアリングにおける計算寿命比と剥離面
積及びフェログラフィー法のパラメータとの関係を示す
特性線図である。
【図6】他方のベアリングにおける計算寿命比と剥離面
積及びフェログラフィー法のパラメータとの関係を示す
特性線図である。
【図7】寿命指数と損傷判定用の判別関数の値との関係
を示すグラフである。
【図8】クロスピンの損傷状態を示す説明図である。
【図9】計算寿命比と剥離面積比との関係を示す特性線
図である。
【図10】仕上げミルのスタンドとクロスベアリング計
算寿命との関係を示す特性線図である。
【図11】剥離発生までの述べ使用期間と発生個数との
関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 被圧延材 2A,2B ワークロール 7A,7B ユニバーサルジョイントスピンドル 10,12 クロスベアリング 13 クロスピン 21 フェログラフィー分析装置 23 フェログラムスライド 24 磁石
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 貴章 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 人見 威 東京都中央区築地3丁目10番10号 株式会 社中村自工内 (72)発明者 佐川 剛 東京都中央区築地3丁目10番10号 株式会 社中村自工内 Fターム(参考) 2G024 AC00 AD08 AD09 BA19 BA21 BA27 CA30

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧延機スピンドルに使用するユニバーサ
    ルスピンドルにおけるクロスベアリングの異常診断方法
    であって、前記ベアリングの潤滑油を採取して、分析フ
    ェログラフィー分析法を使用して長さ5μm以上20μ
    m未満の平板状摩耗粒子を大きさ別に2群に分割し、分
    割された各群における平板状摩耗粒子数を測定し、各測
    定値を基に所定の判別式の演算を行って異常の有無を判
    定するようにしたことを特徴とする圧延機スピンドルの
    診断方法。
  2. 【請求項2】 圧延機スピンドルに使用するユニバーサ
    ルスピンドルにおけるクロスベアリングの異常診断方法
    であって、前記ベアリングの潤滑油を採取して、分析フ
    ェログラフィー法を使用して長さ5μm以上10μm未
    満の平板状摩耗粒子数X5 及び長さ10μm以上20μ
    m以下の平板状摩耗粒子数X10を測定し、各測定値X5
    及びX10をもとに下記判別式の演算を行い、 f(x) =A1 ・X5 +A2 ・X10−B(A1,2,Bは係
    数である) 演算結果が正値であるか負値であるかに基づいてベアリ
    ングの異常判定を行うようにしたことを特徴とする圧延
    機スピンドルの異常診断方法。
  3. 【請求項3】 圧延機スピンドルに使用するユニバーサ
    ルスピンドルにおけるクロスベアリングの異常診断方法
    であって、前記ベアリングの潤滑油を採取して、分析フ
    ェログラフィー法を使用して長さ5μm以上10μm未
    満の平板状粒子数X5 及び長さ10μm以上20μm以
    下の平板粒子数X10を測定し、各測定値X5 及びX10
    もとに次式の演算を行って、 S/A=C1 ・X5 +C2 ・X10−D(C1,2,Dは係数である)……(2) 損傷面積の前記クロスベアリングを構成するクロスピン
    の被荷重面積における割合を表す損傷程度S/Aを算出
    するようにしたことを特徴とする圧延機スピンドルの異
    常診断方法。
  4. 【請求項4】 前記請求項2に記載のベアリングの異常
    判定結果が異常であるときに、前記請求項3に記載の損
    傷程度S/Aを算出するようにしたことを特徴とする圧
    延機スピンドルの異常診断方法。
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