JP2000201954A - 埋め込み可能な人工膀胱 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の課題は、平らな構造を可能とし、体
に与えるストレスが少ない埋め込み可能な人工膀胱を提
供することにある。 【解決手段】 本発明に関わる埋め込み可能な人工膀胱
は、開き状態に偏している、少なくとも二つの圧縮でき
る室(１０，１１)を具え、前記室は接続体(１６，２０)
を有し、且つ前記室は逆止め弁(２３)を通して結合され
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、腎臓から分泌され
る尿を受け取るために、患者の皮下に埋め込まれる埋め
込み可能な人工膀胱に関する。

【０００２】

【従来の技術】既知の人工膀胱は、広くなる方向に偏し
た弾力性のある容器から成る。

【０００３】容器の一つの結合は一つ或いは両腎臓に結
合され、容器が腎臓から尿をくむ。

【０００４】容器の他の結合は尿道に結合される。

【０００５】容器は弾性力に抗して手で圧縮されて空に
なる、それによって、容器内の液体は尿道に追い出され
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】これら既知の膀胱は、
比較的大きな容器で、一般に平らな丸い容器であり、肋
骨と腸骨の翼状部との間の利用できるスペースに対して
はたいがいは大き過ぎ、患者に不便をかけるという点に
おいて、不利である。

【０００７】その上、容器のふくらみは、埋め込み場所
の皮膚の縫合に応力をかける。

【０００８】人工膀胱は自ら汲まなければならない、例
えば、人工膀胱は尿管の機能を維持するために、腎臓か
ら尿を汲まなければならない。

【０００９】腎臓からの汲み出しの止めは、普通、筋肉
の蠕動性の動きによって、尿管経由でなされる。

【００１０】通常、少し過度の圧力が腎臓の骨盤にかか
っているが、予備の調査によれば、又、腎臓の実質は少
しの陰圧を容認する。

【００１１】もし、陰圧が人工膀胱によって作られるな
らば、人工膀胱の全ての充填レベルに対して、一定の陰
圧を持続することは困難である。

【００１２】又、膀胱がほぼ一杯である時、必要な吸い
込み効果を作るため、人工膀胱は、通常、空の時に非常
に強すぎる吸い込み効果を作るように設計される、それ
によって、腎臓は損傷を受けるだろう。

【００１３】本発明は上記実状に鑑みて、平らな構造を
可能とし、体に与えるストレスが少ない埋め込み可能な
人工膀胱を提供することを目的としている。

【００１４】

【課題を解決するための手段】請求項１に関わる埋め込
み可能な人工膀胱は、開き状態に偏している、少なくと
も二つの圧縮できる室(１０，１１)を具え、前記室は接
続体(１６，２０)を有し、且つ前記室は逆止め弁(２３)
を通して結合されることを特徴とする。

【００１５】請求項２に関わる埋め込み可能な人工膀胱
は、前記室(１０，１１)が、８の字形に並んで配置され
ることを特徴とする請求項１記載の人工膀胱である。

【００１６】請求項３に関わる埋め込み可能な人工膀胱
は、前記室(１０，１１)が、自己復元する第一壁(１
２，１３)と第一壁によって張られる弾力性のある薄板
壁(１４，１５)とを有することを特徴とする請求項１又
は請求項２記載の人工膀胱である。

【００１７】請求項４に関わる埋め込み可能な人工膀胱
は、前記室(１０，１１)間の逆止め弁(２３)が、流れ方
向に偏しており、且つ、差圧が限界値を越えた時に開く
ことを特徴とする請求項１から３のうちいずれか一項記
載の人工膀胱である。

【００１８】請求項５に関わる埋め込み可能な人工膀胱
は、下流の前記室(１１)が、上流の前記室(１０)よりも
より強い吸い込み効果を有することを特徴とする請求項
１から４のうちいずれか一項記載の人工膀胱である。

【００１９】

【発明の実施の形態】以下、実施例を示す図面に基づい
て、本発明を詳細に説明する。

【００２０】図１は人工膀胱の長手方向断面図である。

【００２１】図２は図１に関する上部から見た平面図で
あり、図３は膀胱の(陰圧／容積)図の図式的経過を示
す。

【００２２】図解された人工膀胱は、体が良く許容する
弾性プラスチック材、特にシリコン材料、から作られ
る。

【００２３】平面図においては、概ね８の字形をしてお
り、その形は二つの並んだ円形の室１０，１１によって
形成される。

【００２４】室１０は凸面状に弓形の上壁１２を有し、
その壁厚は中央部で(頂上域で)最も厚く、側面縁に向か
って減じている。

【００２５】室１１は上壁１２と同じ設計の上壁１３を
有し、しかし、壁厚はより厚い、それによって、室１１
においては、室１０に比べより強い吸い込み効果が作ら
れる。

【００２６】各室１０，１１は、それぞれ薄板壁１４，
１５によって形成される底を有する。

【００２７】薄板壁１４，１５は併合しており、完全な
薄板から成る。

【００２８】上壁１２，１３の円周縁は薄板壁１４，１
５にくっつけられ、すなわち結合しており、それによっ
て、室１０、１１は外側とは密封してシールされる。

【００２９】上壁１２の頂上では、室１０は外部ホース
と結合される接続体１６を有する。

【００３０】接続体１６は、ホース１８によって腎臓１
９に結合され、室１０に向かってのみ開き、反対方向に
はホースを塞ぐ逆止め弁１７を備えている。

【００３１】室１１の上壁１３は、出口方向へ、例え
ば、室１１から外側へ、のみ開く逆止め弁２１に結合さ
れる接続体２０を備えている。ホース２２は逆止め弁２
１から尿道(図解されていないが)へ導かれる。

【００３２】図２において、逆止め弁１７、２１は各々
接続体１６、２０と一体に結合されている。

【００３３】両室１０、１１は結合膜２４によって結合
されており、両室１０、１１は８が横になったような形
の膀胱を形成する。

【００３４】逆止め弁２３は両室１０，１１に備わり、
室１０から室１１へのみ流れを許し、なお反対方向への
流れは阻止する。

【００３５】逆止め弁は、差圧が一定の限界値を越えた
時のみ開く、予め負荷がかかった逆止め弁である。

【００３６】各室が空き状態では、各薄板壁１４，１５
は上壁１２或いは１３の内面と境を接し、室容積はゼロ
に減じられている。

【００３７】薄板壁１４，１５の弾性と共に、上壁の弾
性が復元力、すなわち室によってなされる吸い込み力の
大きさを決定する。

【００３８】膀胱の吸い込み特性の変更は、同じ上壁１
２、１３を使用しても薄板壁１４，１５の適当な材料の
選択によって、可能である。

【００３９】第二室１１の上壁１３の壁厚は第一室の上
壁１２より厚いので、第二室は第一室より大きい吸い込
み効果を作る。なお、差圧は、逆止め弁２３が開く限界
値より小さい。

【００４０】第一室１０はより低い吸い込み力で腎臓１
９から尿を汲む。

【００４１】室１０が部分的に液体で満たされると、逆
止め弁２３が開き、この液体の一部が第二室１１に入
る。

【００４２】こういうふうにして、結果として、両室は
満たされる、液体は常に最初に室１０に達し、その後、
液体の一部が室１１に送られる。

【００４３】両室１０，１１が満たされると、液体は室
１１への手による圧力或いはポンプ動作によって押し出
される。

【００４４】圧力が開放されると、液体が再び室１０か
ら室１１へ取り入れられ、室１１からそれに加えられる
圧力によって外へ押し出される。

【００４５】図３は、膀胱内に含まれる液体容積Ｖの働
きに応じた陰圧−Ｐの経過を図解したものである。

【００４６】曲線は若干浅いことが明らかである、例え
ば、液体容積の働きに対して吸い込み圧力はほんの少し
しか変化しない。

【００４７】上述した如く、本発明の膀胱は、逆止め弁
２３によって結合される二つの室１０，１１を備えてい
る。

【００４８】両室１０，１１は、吸い込みができるよう
に、開き状態に偏している。両室１０，１１は並んで配
置され、それによって、両室１０，１１の容積は空間的
に分布される。この構造は、膀胱が不便をかけずに肋骨
と腸骨の翼状部の間に埋め込まれることが可能であるよ
うに、体の組織へのより良い適用を可能とする。

【００４９】その上、単一の室のみを有する既知の膀胱
と比較して、同じ容積のより平らな構造が得られる。結
果として、埋め込み場所の皮膚の縫合にかかる応力はよ
り少ない。

【００５０】その上、膀胱の充填レベルの働きとして、
吸い込み圧力の曲線はより一定になる。それ故、より低
い吸い込み圧力は、腎臓に生理的にストレスを与えな
い。

【００５１】室１０，１１間の逆止め弁２３は、尿が逆
流するのを防ぐ。室１０，１１間の逆止め弁２３は、入
り口側の室１０の中身を出口側の室１１へ追い出すこと
を許す。

【００５２】なるべくなら、二つの室１０，１１の吸い
込み効果は異なり、出口側の室１１は最も大きな吸い込
み効果を有すると良い。

【００５３】逆止め弁２３は、流れ方向に偏しており、
二つの室１０，１１の圧力差が限界値を越えた時のみ開
く。

【００５４】この限界値は、室壁の異なる反力の結果と
して室内に生じる圧力差より高い。

【００５５】流体が入り口側の室１０に流れ込み、室容
積の一部を満たすと、圧力差が限界値を越えて、逆止め
弁２３が再び閉じるまで流体が出口側の室１１に流れ込
む。

【００５６】こうして、吸い込み圧力すなわち陰圧は、
膀胱の充填レベルが上がるように、ほんの比較的少しだ
け減じられる。

【００５７】本発明の好適な実施例においては、各室１
０，１１は自己復元する第一壁１２，１３と第一壁によ
って張られる弾力性のある薄板壁１４，１５とを有す
る。

【００５８】こうして、各室１０，１１は、比較的厚い
壁である柔軟で弾力性のある第一壁１２，１３と、実際
には柔軟な弾力性を有さない弾力的に伸ばせる薄板壁１
４，１５とから成る。

【００５９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の膀胱は、
逆止め弁によって結合される二つの室を具えて並んで配
置されるので、肋骨と腸骨の翼状部の間にスムーズに埋
め込まれ、体の組織へのより良い適用が可能である。

【００６０】その上、単一の室のみを有する既知の膀胱
と比較し、同じ容積のより平らな構造が得られ、埋め込
み場所の皮膚の縫合にかかる応力はより少ない。

【００６１】そして、膀胱の充填レベルの働きとして、
吸い込み圧力の変化はより一定で、より低い吸い込み圧
力であり、腎臓に生理的にストレスを与えない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に関わる埋め込み可能な人工膀胱の長手
方向断面図。

【図２】本発明に関わる埋め込み可能な人工膀胱の図１
における上部から見た平面図。

【図３】本発明に関わる埋め込み可能な人工膀胱の(陰
圧／容積)の関係の経過を示す図。

【符号の説明】

１０，１１…室、 １０…上流の室、 １１…下流の室、 １２，１３…第一壁、 １４，１５…薄板壁、 １６，２０…接続体、 ２３…逆止め弁。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジュアーゲン、ルーター ドイツ、アルハイム36211、ツームエスペ １ (72)発明者 ドロテア、ローマン ドイツ、ランガーウェー52379、キルシュ シュトラッセ63

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 開き状態に偏している、少なくとも二つ
   の圧縮できる室を具え、前記室は接続体を有し、且つ前
   記室は逆止め弁を通して結合されることを特徴とする埋
   め込み可能な人工膀胱。
2. 【請求項２】 前記室は、８の字形に並んで配置される
   ことを特徴とする請求項１記載の埋め込み可能な人工膀
   胱。
3. 【請求項３】 前記室は、自己復元する第一壁と第一壁
   によって張られる弾力性のある薄板壁とを有することを
   特徴とする請求項１又は請求項２記載の埋め込み可能な
   人工膀胱。
4. 【請求項４】 前記室間の逆止め弁は、流れ方向に偏し
   ており、且つ、差圧が限界値を越えた時に開くことを特
   徴とする請求項１から３のうちいずれか一項記載の埋め
   込み可能な人工膀胱。
5. 【請求項５】 下流の前記室は、上流の前記室よりもよ
   り強い吸い込み効果を有することを特徴とする請求項１
   から４のうちいずれか一項記載の埋め込み可能な人工膀
   胱。