JP2000199754A - 増感型電流測定用具を用いるアナライトの定量方法 - Google Patents

増感型電流測定用具を用いるアナライトの定量方法

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JP2000199754A
JP2000199754A JP11001111A JP111199A JP2000199754A JP 2000199754 A JP2000199754 A JP 2000199754A JP 11001111 A JP11001111 A JP 11001111A JP 111199 A JP111199 A JP 111199A JP 2000199754 A JP2000199754 A JP 2000199754A
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electrode
dna
oxidase
intercalator
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Masashi Ogawa
雅司 小川
Shigeori Takenaka
繁織 竹中
Makoto Takagi
誠 高木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、検体中のアナライト、特にグルコ
ース、コレステロール、乳酸、フルクトシルアミノ酸も
しくはL−グリセロールリン酸の定量方法を提供するこ
と。 【解決手段】 二本鎖で構成されているDNA断片がそ
の一端にて電極に固定されてなるDNA修飾電極、およ
び電気化学活性縫い込み型インターカレータからなる増
感型電流測定用具に、電位を付与しながら、該測定用具
表面に、アナライトとの反応によって還元型に変化する
酸化酵素の存在下にて、アナライトを含有する試料溶液
を接触させ、その接触により該測定用具に発生する電流
量を測定することからなる試料溶液中のアナライトの定
量方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、増感型電流測定用
具を用いるアナライトの定量方法に関する。
【0002】
【従来の技術】生物液体試料(全血、血漿、血清、尿、
リンパ液、髄液等)に含まれるアナライト(グルコー
ス、総コレステロール、尿素窒素、尿酸、総ビリルビ
ン、アンモニア、ヘモグロビン、中性脂肪、総蛋白等)
の定量分析には、従来から一般的にに液体法と乾式法と
が利用されている。現在では、測定の簡便性、迅速性の
点で乾式法が多く利用されている。乾式法では、発色し
た色素の濃度を主に比色法によって測定し、アナライト
を定量する。
【0003】乾式法による、種々の特徴を有したアナラ
イトの定量用試験具が報告さている(特開昭60−11
1960号公報、特開昭60−82859号、公報特開
平4−324347号公報、特開平4−324347号
公報等)。これらの試験具を用いる定量方法は、全血を
直接、試料として使用したときに従来問題となってい
た、ヘモグロビンによる赤色色素の妨害、血液中のカタ
ラーゼ等の過酸化水素分解活性物質による分析精度の低
下、酸化酵素に働く酸素の供給などの問題を解決してい
る。
【0004】比色法以外では、試料中に含まれるナトリ
ウム、カリウム、塩素等の定量に、乾式法による示差電
位法も利用されている。
【0005】しかし、既に実用化されている液体法、乾
式法等では、何れの場合にも測定に専用の測定装置が必
要とされる。また、それらの方法の中には、迅速性や簡
便性の点で充分であるとは言い難いものもある。
【0006】一方、生物活性物質の機能を利用して、各
種のバイオセンサが開発されている。バイオセンサは、
各種の生体、生理活性物質および測定結果を電気的信号
に変換するためのトランスデューサからなっているが、
この活性物質の固定膜として導電性物質を用いることに
より、酵素センサ、免疫センサ、微生物センサ、オルガ
ネラセンサ等が検討されている。例えば、酵素センサで
は、酵素を固定した膜に種々の物質からなる液体が接触
すると、固定されている酵素とのみ反応する物質(基
質)が選ばれ、酵素反応が生ずる。この反応で生成する
物質が電極で反応すれば、電気信号として取り出すこと
ができる。酵素センサの例として、グルコースセンサが
知られている。グルコースセンサは、グルコースオキシ
ダーゼがグルコースを酸化すると、グルコン酸と共に過
酸化水素を生ずるため、この過酸化水素を過酸化水素電
極等で電気信号に変換してグルコース濃度を決定するも
のである。糖尿病患者が多くなって以来、このグルコー
スセンサはますます重要となっている。
【0007】従って、グルコース濃度の測定は、医療機
関等で行われる場合だけでなく、特定の糖尿病患者にと
っては自身で定期的あるいは頻繁に行う場合もある。コ
レステロール、フルクトシルアミノ酸、L−グリセロー
ルリン酸および乳酸についても成人病等の観点から重要
な測定対象成分である。そのため、従来の測定方法とは
異なった、迅速、廉価、簡易および正確のすべての点を
満足する測定法、およびその測定具の開発が求められて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、検体中のア
ナライト、特にグルコース、コレステロール、乳酸、フ
ルクトシルアミノ酸もしくはL−グリセロールリン酸の
定量方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者の研究により、
二本鎖で構成されているDNA断片がその一端にて電極
に固定されてなるDNA修飾電極、および電気化学活性
縫い込み型インターカレータからなる増感型電流測定用
具に、電位を付与しながら、該測定用具表面に、アナラ
イトとの反応によって還元型に変化する酸化酵素の存在
下にて、アナライトを含有する試料溶液を接触させ、そ
の接触により該測定用具に発生する電流量を測定するこ
とからなる試料溶液中のアナライトの定量方法が上記の
課題を解決できることが判明した。
【0010】アナライトの定量方法の好ましい態様は、
以下の通りである。 (1)DNA修飾電極が、電極上でハイブリダイゼーシ
ョンによって調製されたDNA断片が電極に固定されて
なるもの、あるいは予め調製されたDNA断片が電極に
固定されてなるものであることを特徴とするアナライト
の定量方法。 (2)アナライトがグルコースであって、そのアナライ
トとの反応によって還元型に変化する酸化酵素がグルコ
ースオキシダーゼであることを特徴とするアナライトの
定量方法。 (3)試料溶液中のグルコースが、1乃至35mMの濃
度範囲にあることを特徴とするアナライトの定量方法。 (4)電気化学活性縫い込み型インターカレータが、酸
化還元活性を有する化合物であることを特徴とするアナ
ライトの定量方法。 (5)電気化学活性縫い込み型インターカレータが、フ
ェロセン修飾電気化学活性縫い込み型インターカレータ
であることを特徴とするアナライトの定量方法。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明では、後述するDNAの増
感型検出方法を利用する。さらに、この増感型検出方法
は、以下に説明する、増感効果を特に持たないDNAの
検出方法を応用したものである。増感効果を特に持たな
いDNAの検出方法をDNAの増感型検出方法と区別す
るために、「DNAの非増感型検出方法」という。「D
NAの非増感型検出方法」については、文献に開示され
ている(特開平9−288080号公報および第57回
分析化学討論会予稿集、p137〜138(1996
年))。
【0012】DNAの非増感型検出方法の特徴は、電極
表面にプローブDNAが固定されてなるDNA修飾電極
上にて、プローブDNAと一本鎖に解離させた試料DN
Aとを電気化学活性縫い込み型インターカレータ存在下
に接触させ、形成したハイブリッドDNAに結合してい
る該インターカレータに流れる電流を測定することによ
って、試料DNAの相補性を検出することである。電極
上で既にハイブリッドDNAが形成されているものに、
該インターカレータを接触させてもよい。
【0013】DNAの増感型検出方法は、上記のDNA
の非増感型検出方法の条件に、さらに基質およびその基
質との反応によって還元型に変化する酸化酵素を存在さ
せることによって、高い感度でのDNAの検出を可能と
した(第47回高分子学会予稿集、p3155〜315
6(1998年))点が非増感型検出方法と異なる。
【0014】また、既に形成されているハイブリッドD
NAに、酸化酵素、基質、および電気化学活性縫い込み
型インターカレータを接触させ、該インターカレータに
流れる電流を還元型に変化した酸化酵素と電極との間の
電子移動によって増幅させ、その電流を測定する点もD
NAの増感型検出方法が非増感型検出方法と異なる点で
ある。
【0015】本発明は、二本鎖で構成されているDNA
断片がその一端にて電極に固定されてなるDNA修飾電
極、および電気化学活性縫い込み型インターカレータか
らなる増感型電流測定用具に電位をかけながら、アナラ
イトに対応する酸化酵素の存在下にて、該測定用具表面
にアナライトを接触させ、該電流測定用具に発生する電
流量を測定することによって、試料溶液中のアナライト
を定量する方法である。
【0016】以下、増感型電流測定用具を用いる定量方
法について詳述する。
【0017】図1は、電気化学活性縫い込み型インター
カレータ(31)が、還元型に変化した酸化酵素と二本
鎖で構成されているDNAが結合した電極(11)との
間の電子移動反応を仲介する模式図である。電極上に固
定されてなるDNAは、二本鎖であればハイブリダイゼ
ーションによって作成されたものでなくてもよい。電極
(11)にチオール基を介して固定されている二本鎖D
NA(21)に、電気化学活性縫い込み型インターカレ
ータ(31)が二つのフェロセン分子を二本鎖の外側に
突出した状態で結合している。電流は、結合したインタ
ーカレータ(31)のフェロセン分子間を流れる。ここ
に、酸化酵素(41)およびその対象となるアナライト
(51)を存在させると、アナライト(51)は酸化さ
れたアナライト(61)に変換される。発生する電子が
フェロセン分子の方向へ流れると電流は増幅される。即
ち、インターカレータ(31)は、還元型に変化した酸
化酵素と電極(11)との間の電子移動反応を仲介して
いる。
【0018】本発明では、上記の増幅された電流量Aを
測定する。そして、別に、二本鎖DNAが固定されてな
る電極に、アナライトおよび酸化酵素は接触させず、電
気化学活性縫い込み型インターカレータのみを接触させ
たときに、二本鎖DNAに結合したインターカレータを
流れる電流量A’(基本電流量)を測定する。この基本
電流量は、前記の非増感型検出方法によって得られる電
流量である。よって、電流量Aと電流量A’との差が、
酸化酵素が還元型に変化したときに発生する電子が運ぶ
電流量、即ちアナライトの濃度に対応する電流量Bであ
る。
【0019】例えば、アナライトとしてグルコースおよ
びその酸化酵素としてグルコースオキシダーゼを存在さ
せたときに電極に流れる電流量は、存在させない場合に
比較して約20〜100倍に増幅する。反応に使用する
緩衝液あるいはスキャン速度を変えることにより、10
0倍以上の電流量の増幅も可能である。
【0020】電流量Bとアナライトの濃度との関係を示
す検量線を作成しておけば、濃度が未知のアナライトに
ついて、アナライトおよびその酸化酵素を増感型電流測
定用具に接触させ、電極の電流量を測定することによっ
て、その電流量からアナライトの濃度を求めることがで
きる。
【0021】電極としては、二本鎖DNAを固定できる
ものが好ましい。金、グラシーカーボンもしくは炭素を
用いることが好ましい。電極の数は、二以上の複数であ
れば特に制限されない。
【0022】二本鎖DNAとしては、電極上で調製した
ハイブリッドDNA、あるいは予め調製した二本鎖DN
Aを用いることができる。ハイブリッドDNAとして
は、一本鎖DNAを電極に固定してなるプローブDNA
に、一本鎖の試料DNAを接触させて得られるDNAを
用いる。二本鎖の形成度は特に制限されない。予め調製
した二本鎖DNAとしては、生物試料から抽出したDN
Aあるいは遺伝子操作によって作成したDNAを制限酵
素で切断し、次いで電気泳動による分離等で精製したD
NAを用いることが好ましい。また、一本鎖の合成オリ
ゴヌクレオチドおよび該ヌクレオチドと相補する一本鎖
の合成オリゴヌクレオチドを用いて二本鎖DNAを形成
させてもよい。電極に固定されてなる二本鎖DNAの濃
度は、10〜20ピコモルの範囲にあることが好まし
い。
【0023】プローブDNAを構成するDNA、および
プローブDNAにハイブリダイズするDNA(以下、試
料DNAという)としては、生物試料から抽出したDN
Aを制限酵素で切断し、電気泳動による分離等で精製し
た一本鎖のDNAあるいは化学合成で得られた一本鎖の
DNAを用いることができる。生物試料から抽出したD
NAの場合には、熱処理あるいはアルカリ処理によっ
て、一本鎖のDNAに解離させておくことが好ましい。
【0024】制限酵素で切断を受けた試料DNAは、複
数個のDNA断片となるが、プローブDNAとの接触に
使用されるDNA断片は、一個であっても複数個であっ
てもよい。試料DNAは、数10-18〜数10-10モルの
範囲の量で用いられることが好ましい。数10-18〜数
10-12モルの範囲の量で用いられることがさらに好ま
しい。
【0025】二本鎖DNAは、電極に固定する。固定化
方法としては、公知の方法が用いられる。電極が金であ
る場合、予め調製した二本鎖DNAの片方の鎖の5’−
もしくは3’−末端(好ましくは、5’−末端)にチオ
ール基を導入し、金とイオウとの配位結合を介して、該
DNAが電極に固定される。該DNAにチオール基を導
入する方法は、文献(M.Maeda et al.,
Chem.Lett.,1805〜1808(199
4)およびB.A.Connolly,Nucleic
Acids Res.,13,4484(198
5))に記載されている。電極上で二本鎖DNAを調製
する場合には、プローブDNAを構成する一本鎖DNA
の5’−もしくは3’−末端(好ましくは、5’−末
端)にチオール基を導入する。実際には、チオール基を
有する二本鎖DNAもしくは一本鎖DNAを金電極に滴
下し、低温下で数時間放置すると二本鎖DNAもしくは
一本鎖DNAが電極に固定される。
【0026】電極がグラシーカーボンである場合、グラ
シーカーボンを過マンガン酸カリウムで酸化することに
よって、電極表面にカルボン酸基を導入する。二本鎖D
NAもしくは一本鎖DNAは、アミド結合により電極表
面に固定される。実際の固定化方法については、文献
(K.M.Millan et al.,Analyt
ical Chemistry,65,2317〜23
23(1993))に詳細が記載されている。
【0027】電気活性縫い込み型インターカレータは、
DNA修飾電極を該インターカレータを含む溶液に浸積
する方法、あるいはDNA修飾電極上に該インターカレ
ータを含む溶液を滴下する方法によってDNA修飾電極
に接触させることができる。該インターカレータは、1
0nM〜10mMの濃度範囲で用いることが好ましい。
ハイブリダイゼーション終了後、電極を洗浄し、遊離の
インターカレータを除去しておくことが好ましい。
【0028】電極上でハイブリッドDNAを調製する場
合には、該インターカレータは、プローブDNAと試料
DNAとのハイブリダイゼーションの速度を促進すると
共に、形成されたハイブリッドDNAに高い特異性で結
合し、該DNAを安定化する。このとき、該インターカ
レータと該DNAとの複合体は、一次元マトリックスを
支持体とした擬ポリフェロセンポリマー(フェロセン分
子の擬ポリマー)と見なすことができる。このポリマー
配列化が、還元型に変化した酸化酵素と電極との間の電
子移動反応の仲介を可能にしている。該DNAが形成さ
れない場合には、該インターカレータは、一本鎖のDN
Aには結合しないか、あるいは一旦結合してもすぐに解
離して遊離のインターカレータとなる。予め調製した二
本鎖DNAを用いる場合にも同様である。
【0029】電気化学活性縫い込み型インターカレータ
は、酸化還元活性を有する物質であり、かつDNAの二
本鎖に縫い込まれる構造を有する物質であることが好ま
しい。酸化還元活性部分として好ましくは、フェロセン
化合物、カテコールアミン化合物、金属ビピリジン錯
体、金属フェナントロリン錯体もしくはビオローゲン化
合物である。さらに好ましくは、フェロセン化合物であ
る。縫い込み型インターカレータ部分として好ましく
は、ナフタレンジイミド、アントラセン、アントラキノ
ン等である。よって、好ましく用いられる該インターカ
レータは、フェロセンカルボン酸N−ヒドロキシスクシ
ンイミドエステルと対応するアミン体との反応により合
成される下記式で表されるフェロセン化ナフタレンジイ
ミド誘導体(S.Takenaka et al.,
J.Chem.Soc.,Commun.,1111
(1998))である。
【0030】
【化1】
【0031】また、下記式で表されるフェロセン化ナフ
タレンジイミド誘導体も好ましく用いられる。
【0032】
【化2】
【0033】但し、Aは下記式で表されるフェロセン誘
導体である。
【0034】
【化3】
【0035】
【化4】
【0036】
【化5】
【0037】
【化6】
【0038】電気活性縫い込み型インターカレータに
は、酸化還元活性部分と縫い込み型インターカレータ部
分とを繋ぐリンカー部分がある。上記式で表される1,
4−ジプロピルピペラジン基がリンカー部分に相当す
る。このピペラジン基の代わりに、二価の四級アミン基
を導入することもできる。四級アミン基を導入した下記
式で表される化合物は、反応溶液中のpHに依らずカチ
オン性となるために、二本鎖DNAとの結合がより強く
なる。リンカー部分に相当する基としては上記のものに
限定されない。リンカー部分に相当する基の構造の違い
より、フェロセン分子の酸化還元電位が異なる。
【0039】
【化7】
【0040】電気活性縫い込み型インターカレータとし
て上記のナフタレンジイミド誘導体を用いた場合、ナフ
タレンジイミド誘導体は、二塩基おきに配列して二本鎖
DNAに飽和している。このことは、ナフタレンジイミ
ド誘導体の二つのフェロセン部分が、それぞれ、二本鎖
DNAの主溝と副溝とに密に並んだ状態を意味してい
る。このため、ナフタレンジイミド誘導体は、二本鎖D
NAからの解離速度が極めて遅くなる。ここで、ナフタ
レンジイミド誘導体の二本鎖DNAへの結合がインター
カレーションモードであることは、二本鎖DNAにイン
ターカレータを接触させたときに、粘度の変化が認めら
れたことにより決定した。閉環状プラスミド(例えば、
ウイルスSV40)の場合、インターカレーションが起
こると超らせんの変化に伴って粘度も変化することが知
られている。
【0041】アナライトとの反応によって還元型に変化
する酸化酵素の存在下で、増感型電流測定用具にアナラ
イトを含む試料溶液を接触させるには、該酸化酵素およ
びアナライトを含有する溶液に増感型電流測定用具を浸
積させることが好ましい。また、アナライトとの反応に
よって還元型に変化する酸化酵素を予め増感型電流測定
用具に含有させた後、該測定用具を該アナライトを含有
する溶液に浸積してもよい。
【0042】アナライトは、グルコース、コレステロー
ル、乳酸、L−グリセロールリン酸もしくはフルクトシ
ルアミノ酸であることが好ましい。この他に、アルコー
ル、コリン、ピルビン酸、シュウ酸、L−アスコルビン
酸、尿酸、ピラノース等も定量することができる。グル
コースもしくはコレステロールであることがさらに好ま
しい。グルコースであることが特に好ましい。アナライ
トの濃度は、1〜10mMの範囲にあることが好まし
い。
【0043】酸化酵素は、上記のアナライトに対してそ
れぞれ、グルコースオキシダーゼ、コレステロールオキ
シダーゼ、乳酸オキシダーゼ、フルクトシルアミノ酸オ
キシダーゼ、L−グリセロールリン酸オキシダーゼ、ア
ルコールオキシダーゼ、コリンオキシダーゼ、ピルビン
酸オキシダーゼ、シュウ酸オキシダーゼ、L−アスコル
ビン酸オキシダーゼ、ウリカーゼ、ピラノースオキシダ
ーゼを使用する。酸化酵素の濃度は、100〜1000
Uの範囲にあることが好ましい。
【0044】グルコースオキシダーゼは、Asperg
illus nigerもしくはPenicilliu
m notatum等由来のものを用いることが好まし
い。
【0045】コレステロールオキシダーゼは、Noca
rdia erythroporis、Breviba
cterium、Pseudomonas、Mycob
acterium、スエヒロタケ等から得られたものを
用いることが好ましい。
【0046】乳酸オキシダーゼは、Aerococcu
s viridans、Pediococcus sp
等から得られたものを用いることが好ましい。他の酸化
酵素の起源については略すが、それぞれ最適な微生物等
から得られたものを用いることが好ましい。
【0047】電流量の測定には、電位をかけて流れる電
流を測定できる方法であれば何れの方法も用いることが
できる。サイクリックボルタンメトリー、デファレンシ
ャルパルスボルタンメトリー、ポテンショスタット等が
好ましく用いられる。
【0048】
【実施例】[実施例1] (1)プローブDNAが固定されてなる電極の作成 面積が2.25mm2の金電極に、5’−末端にメルカ
プトヘキシル基を有する150ピコモルのチミジンの2
0量体(dT20); 5’−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTT−
3’ の水溶液2μLを滴下し、プローブDNAを作成した。
実際には、電極2mm2当たり20ピコモルのdT20
固定されたことになる。dT20の合成および固定化につ
いては、文献(特開平9−288080号公報)に従っ
て行った。 (2)フェロセン縫い込み型インターカレータの合成 下記式で表されるフェロセン縫い込み型インターカレー
タは、文献(上記公報)に従って合成した。
【0049】
【化8】
【0050】(3)プローブDNAにハイブリダイズさ
せるDNAの合成 ハイブリダイズさせるDNAとして、下記式で表される
アデニンの20量体(dA20); 5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAA−
3’ を合成した。合成法については、上記文献に従った。 (4)グルコース濃度と電流量との関係を示す検量線の
作成 上記(3)で得られたdA20(286ピコモル)および
上記式で表されるフェロセン縫い込み型インターカレー
タ(50μM)とを含む0.1M酢酸/酢酸カリウム水
溶液(pH5.6)−0.1M塩化カリウム水溶液の混
合液に、dT20が固定された金電極を浸し、25℃で2
0分間インキュベートさせた。インキュベート後、電極
を引き上げ、電極を5秒間、0.1Mリン酸二水素ナト
リウム−リン酸水素二ナトリウム水溶液(pH7.0)
にて洗浄し、遊離のインターカレータおよび未反応のd
20を除去した。次いで、グルコース(10mM)およ
びグルコースオキシダーゼ(Aspergillus
niger由来、和光(株)製(200U)を含む0.
1Mリン酸二水素ナトリウム/リン酸水素二ナトリウム
水溶液−0.1M塩化カリウム水溶液(pH7.0)の
混合液に、遊離のインターカレータおよび未反応のdA
20を除去して得られた金電極、白金電極および銀/塩化
銀参照電極を浸積して三電極を形成させ、掃引速度10
mV/sにおいて金電極のサイクリックボルタモグラム
を測定した。この結果を図2に示す。測定は、電位51
4mV、スキャン速度25mV/秒にて行った。
【0051】次に、グルコースおよびグルコースオキシ
ダーゼを存在させなかった以外は、上記記載の方法と同
様にして金電極のサイクリックボルタモグラムを測定し
た。この結果を図2に示す。
【0052】図2より、グルコースおよびグルコースオ
キシダーゼの存在下で増幅された電流値(実線サイクリ
ックボルタモグラム)は、電位514mVにおいて、−
2.9μAであったのに対し、存在させない場合の電流
(点線サイクリックボルタモグラム)は、−0.1μA
(基本電流とする)であった。従って、還元型に変化し
たグルコースオキシダーゼと電極との間の電子移動によ
って増幅した電流は、−2.8μAであることが分かっ
た。
【0053】そこで、グルコース濃度を2、4および6
mMにそれぞれ変える以外は、上記と同様にして、それ
ぞれのサイクリックボルタモグラムを測定した。但し、
電位480mVでの電流をピーク電流とし、グルコース
濃度が10mMである場合についてもサイクリックボル
タモグラムを測定し、電位480mVでの電流を求め
た。そして、各グルコース濃度とピーク電流との関係を
示す検量線を作成した。この検量線を図3に示す。
【0054】図3より、2〜10mMの範囲のグルコー
ス濃度とピーク電流とは良好な直線関係を示すことが分
かった。尚、ピーク電流は、上記の基本電流を差し引い
た値である。この直線関係は、Xをグルコース濃度(m
M)、Yをピーク電流(μA)とすると下記式(1): (1) Y=−1.9487−0.15823×(X) で表され、相関係数は0.99867であった。
【0055】上記の結果は、実際に検体を使ってアナラ
イトの定量は行っていないが、臨床医学検査法として血
糖値測定に適用できることを示している。正常人の血糖
値の範囲として知られている4.2〜5.6mMの範囲
のグルコース濃度が充分に測定可能である。
【0056】
【発明の効果】本発明により、試料中のグルコースを定
量することができる。本発明は、グルコース以外のアナ
ライト、例えばコレステロール、乳酸、フルクトシルア
ミノ酸、L−グリセロールリン酸等の定量にも適用する
ことができる。本発明の試料として検体を用いれば、検
体中のグルコース、コレステロール、乳酸、フルクトシ
ルアミノ酸もしくはL−グリセロールリン酸に限らず、
過酸化水素を発生する種々のアナライトの定量を行うこ
とも可能であると考えられる。従って、本発明は、臨床
医学検査項目として特に重要な血糖値あるいはコレステ
ロール値の新規な定量方法として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気化学活性縫い込み型インターカレータが、
還元型に変化した酸化酵素と二本鎖DNAが結合してい
る電極との間の電子移動反応を仲介する模式図である。
【図2】グルコースおよびグルコースオキシダーゼ存在
下のサイクリックボルタモグラム、並びにグルコースお
よびグルコースオキシダーゼが共に非存在下のサイクリ
ックボルタモグラムである。
【図3】グルコース濃度とピーク電流との関係を示す検
量線である。
【符号の説明】
11 電極 21 二本鎖DNA 31 電気化学活性縫い込み型インターカレータ 41 酸化酵素 51 アナライト 61 酸化されたアナライト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 27/327 G01N 27/30 351 27/416 27/46 338 Fターム(参考) 4B063 QA01 QA19 QQ68 QR03 QR32 QR41 QR76 QR84 QS24 QS39 QX04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二本鎖で構成されているDNA断片がそ
    の一端にて電極に固定されてなるDNA修飾電極、およ
    び電気化学活性縫い込み型インターカレータからなる増
    感型電流測定用具に、電位を付与しながら、該測定用具
    表面に、アナライトとの反応によって還元型に変化する
    酸化酵素の存在下にて、アナライトを含有する試料溶液
    を接触させ、その接触により該測定用具に発生する電流
    量を測定することからなる試料溶液中のアナライトの定
    量方法。
  2. 【請求項2】 DNA修飾電極が、電極上でハイブリダ
    イゼーションによって調製されたDNA断片が電極に固
    定されてなるもの、あるいは予め調製されたDNA断片
    が電極に固定されてなるものであることを特徴とする請
    求項1に記載のアナライトの定量方法。
  3. 【請求項3】 アナライトがグルコースであって、その
    アナライトとの反応によって還元型に変化する酸化酵素
    がグルコースオキシダーゼであることを特徴とする請求
    項1に記載のアナライトの定量方法。
  4. 【請求項4】 試料溶液中のグルコースが、1乃至35
    mMの濃度範囲にあることを特徴とする請求項3に記載
    のアナライトの定量方法。
  5. 【請求項5】 電気化学活性縫い込み型インターカレー
    タが酸化還元活性を有する化合物であることを特徴とす
    る請求項1に記載のアナライトの定量方法。
  6. 【請求項6】 電気化学活性縫い込み型インターカレー
    タが、フェロセン修飾電気化学活性縫い込み型インター
    カレータであることを特徴とする請求項1に記載のアナ
    ライトの定量方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006506644A (ja) * 2002-11-15 2006-02-23 アプレラ コーポレイション 核酸配列検出

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