JP2000329738A - 増感型電流測定用具を用いるコレステロールの定量方法 - Google Patents

増感型電流測定用具を用いるコレステロールの定量方法

Info

Publication number
JP2000329738A
JP2000329738A JP11143599A JP14359999A JP2000329738A JP 2000329738 A JP2000329738 A JP 2000329738A JP 11143599 A JP11143599 A JP 11143599A JP 14359999 A JP14359999 A JP 14359999A JP 2000329738 A JP2000329738 A JP 2000329738A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cholesterol
electrode
dna fragment
intercalator
current
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11143599A
Other languages
English (en)
Inventor
Masashi Ogawa
雅司 小川
Shigeori Takenaka
繁織 竹中
Makoto Takagi
誠 高木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP11143599A priority Critical patent/JP2000329738A/ja
Priority to US09/477,973 priority patent/US6261780B1/en
Priority to EP00100126A priority patent/EP1018646A3/en
Publication of JP2000329738A publication Critical patent/JP2000329738A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 試料中のコレステロールの定量方法を提供す
ること。 【解決手段】 二本鎖で構成されているDNA断片がそ
の一端にて電極表面に固定されてなるDNA修飾電極、
および該DNA断片に縫い込まれている電気化学活性縫
い込み型インターカレータからなる増感型電流測定用具
の表面に、電位を付与しながら、コレステロールオキシ
ダーゼの存在下にて、コレステロールを含有する試料溶
液を接触させ、その接触により該測定用具に発生する電
流量を測定することからなる試料溶液中のコレステロー
ルの定量方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、増感型電流測定用
具を用いる試料溶液中のコレステロールの定量方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】コレステロールは、ヒトでは体のほとん
どの細胞に存在し、リポ蛋白や生体膜の構成成分として
細胞の機能を維持し、胆汁酸や各種ホルモンの原料とな
るなどの重要な生理的役割を担っている。コレステロー
ルは、血清中ではリポ蛋白(主に、高比重リポ蛋白およ
び低比重リポ蛋白)の形で存在しており、血清コレステ
ロール値の正常値は、120〜220mg/dLである
が、コレステロール含有量の多い食品を食べ過ぎると血
清コレステロール量が増え、動脈硬化を促進する。ま
た、低比重リポ蛋白の値が170mg/dLを超えると
食事指導が必要とされている。
【0003】全血、血漿、血清、尿、リンパ液、髄液等
に含まれるコレステロールの定量には、他のアナライト
(グルコース、尿素窒素、尿酸、総ビリルビン、アンモ
ニア、ヘモグロビン、中性脂肪、総蛋白等)と同様に、
従来から一般的に湿式法と乾式法とが利用されている。
現在では、測定の簡便性、迅速性の点で乾式法が主流で
ある。乾式法では、発色した色素の濃度を主に比色法に
よって測定し、アナライトを定量する。特開昭60−1
11960号、特開昭60−82859号、特開平4−
324347号、特開平4−324347号等の各公報
には、乾式法による種々のアナライトの測定方法および
測定用具が開示されており、コレステロールについても
数種類の方法および用具が開示され、そのいくつかは既
に実用化されている。
【0004】しかし、既に実用化されているコレステロ
ールの測定方法においては、何れも測定に専用の測定装
置を必要とする。また、その装置は、個人が家庭で使用
できるような簡易なものではなく、また、その方法の中
には、迅速性や簡便性の点で充分であるとは言い難いも
のもある。
【0005】一方、バイオセンサと呼ばれる、生体の持
つ優れた検知能力を真似したり、直接生体を利用して特
定の化学物質を検出する素子が知られている。バイオセ
ンサの基本構成は、一般的には分子認識能を有する生体
関連物質をその活性を維持させたまま固定した生体機能
性膜と、生体関連物質、微生物等が引き起こす物理化学
的な現象を電気信号に変換するトランスデューサーとか
らなっている。生体関連物質としては、基質、微生物、
酵素、組織・オルガネラ、補酵素、ビタミン、抗生物
質、抗原、抗体等が用いられ、生体機能性膜は、生体関
連物質識別部位と固定膜とからなる。バイオセンサは、
特定成分のみを測定できる選択性、そして簡便性および
迅速性を有し、医療のみならず、食品管理、発酵工業、
環境保全、生化学研究などに広汎に利用されている。
【0006】バイオセンサの一つとして、血液中のグル
コース濃度を簡単に測定できる測定用具である、グルコ
ースオキシダーゼを利用するグルコースセンサが既に実
用化されている。グルコースセンサにおいては、グルコ
ースオキシダーゼがグルコースを酸化した際に、グルコ
ン酸と共に生ずる過酸化水素を過酸化水素電極等で電気
信号に変換してグルコース濃度を決定する。また、グル
コースセンサ以外に実用化されているものとしては、ス
クロースセンサ、乳酸センサ、ピルビン酸センサ、L−
グルタミン酸センサ、尿素センサ、資化糖センサ、酢酸
センサ、エタノールセンサ、ビタミンB12センサ、アン
モニアセンサおよびBOD(生物化学的酸素要求量)セ
ンサがある。しかし、コレステロールセンサについて
は、未だ実用化されているものがない。コレステロール
についても、従来の湿式法あるいは乾式法とは異なった
迅速かつ手軽な定量方法の一つとして、コレステロール
センサおよびコレステロールセンサを用いる定量方法の
開発が求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、新規なコレ
ステロールセンサを用いる試料中のコレステロールの定
量方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者の研究により、
二本鎖で構成されているDNA断片がその一端にて電極
表面に固定されてなるDNA修飾電極、および該DNA
断片に縫い込まれている電気化学活性縫い込み型インタ
ーカレータからなる増感型電流測定用具の表面に、電位
を付与しながら、コレステロールオキシダーゼの存在下
にて、コレステロールを含有する試料溶液を接触させ、
その接触により該測定用具に発生する電流量を測定する
ことからなる試料溶液中のコレステロールの定量方法が
上記の課題を解決できることが判明した。
【0009】本発明のコレステロールの定量方法の好ま
しい態様は、以下の通りである。 (1)DNA修飾電極が、電極上でハイブリダイゼーシ
ョンによって調製されたDNA断片が電極に固定されて
なるもの、あるいは予め調製されたDNA断片が電極に
固定されてなるものであることを特徴とするコレステロ
ールの定量方法。 (2)電気化学活性縫い込み型インターカレータが、酸
化還元活性を有するフェロセン修飾電気化学活性縫い込
み型インターカレータであることを特徴とするコレステ
ロールの定量方法。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、後述する増感型検出方
法を利用する定量方法である。さらに、この増感型検出
方法は、以下に説明する、増感効果を特に持たない試料
DNA断片の検出方法を応用したものである。増感効果
を特に持たない試料DNA断片の検出方法を増感型検出
方法と区別するために「DNAの非増感型検出方法」と
いう。
【0011】「DNAの非増感型検出方法」として、D
NAプローブを電極型センサに適用する方法が知られて
いる(第47回高分子学会予稿集、p3155〜315
6(1998年))。即ち、出力端子を備えた電極表面
に固定されたDNAプローブに、試料DNA断片を電気
化学活性縫い込み型インターカレータ(フェロセン化ナ
フタレンジイミド)の存在下に反応させ、該プローブと
試料DNA断片とで形成されるハイブリッドDNAに結
合した該インターカレータの応答電流を測定することに
よって、相補性を有する該試料DNA断片を検出・定量
する方法である。また、上記の文献には、DNAの非増
感型検出方法の条件に、さらに基質(グルコース)およ
びその基質との反応によって還元型に変化する酸化酵素
(グルコースオキシダーゼ)を存在させることによっ
て、高い感度での試料DNA断片が検出できる増感型検
出方法についても記載されていいる。
【0012】図1は、DNAの増感型検出方法の原理を
示す代表的な模式図である。二本鎖で構成されているD
NA断片(21)が電極(11)表面にその一端にて固
定されてなるDNA修飾電極、および該DNA断片(2
1)に縫い込まれている電気化学活性縫い込み型インタ
ーカレータ(31)からなる増感型電流測定用具に、電
位を付与すると、電流は該インターカレータ(31)の
フェロセン分子間を流れる。上記の増感型電流測定用具
は、該DNA断片(21)に縫い込まれるべき相当量の
電気化学活性縫い込み型インターカレータ(31)の縫
い込みが完了していないものであってもよい。増感型電
流測定用具に電位を付与後、ここに、酸化酵素(41)
およびその対象となるアナライト(51)を含む試料溶
液を接触させると、アナライト(51)はその酸化体
(61)に変換される。電位の付与は、酸化酵素(4
1)およびその対象となるアナライト(51)を含む試
料溶液を増感型電流測定用具に接触後に行ってもよい。
酸化酵素が還元型に変化すると共に発生する電子がフェ
ロセン分子の方向へ移動することにより、フェロセン分
子間を流れる電流は増幅される。この増幅された電流量
が試料溶液中のアナライト(51)の量に相当する。
【0013】以下、増感型電流測定用具を用いるコレス
テロールの定量方法について詳述する。
【0014】本発明では、図1に従って、コレステロー
ルの濃度を以下のようにして求めることができる。該D
NA修飾電極および該インターカレータからなる増感型
電流測定用具に、アナライトとしてコレステロールを、
酸化酵素としてコレステロールオキシダーゼを接触させ
ることによって、二本鎖DNA断片に結合したインター
カレータを流れる電流量A1を測定する。そして、別
に、二本鎖DNA断片が固定されてなる電極に、コレス
テロールおよびコレステロールオキシダーゼは接触させ
ず、電気化学活性縫い込み型インターカレータのみを接
触させたときの電流量A2(基本電流量)を測定する。
この基本電流量は、前記記載の非増感型検出方法によっ
て得られる電流量である。よって、電流量A1と電流量
2との差が、コレステロールオキシダーゼが還元型に
変化したときに発生する電子が運ぶ電流量、即ちコレス
テロールの濃度に対応する電流量A3である。
【0015】コレステロール濃度が未知の生物試料(全
血、血漿、血清、尿、リンパ液、髄液等)の濃度を決定
することができる。即ち、濃度が既知の互いに異なる三
点以上の標準液をそれぞれ増感型電流測定用具に付し、
そのときのそれぞれの電流量を測定し、コレステロール
の濃度と電流量A3との関係を示す検量線を作成する。
次いで、測定対象の、濃度が未知のコレステロールを含
む試料溶液の電流量を測定し、この値を上記検量線と照
合することによってコレステロールの濃度を決定するこ
とができる。
【0016】電極としては、二本鎖DNA断片を固定で
きるものであれば何れも用いることができ、金、グラシ
ーカーボン、炭素等を用いることが好ましく、金を用い
ることが特に好ましい。電極の数は、二以上の複数であ
れば特に制限されない。
【0017】二本鎖DNA断片としては、電極上で調製
したハイブリッドDNA、あるいは予め調製した二本鎖
DNA断片の何れも用いることができる。ハイブリッド
DNAとしては、一本鎖DNA断片を電極に固定してな
るDNA修飾電極に、一本鎖の試料DNA断片を接触さ
せて得られる。ハイブリッドDNAの二本鎖の形成度は
特に制限されない。予め調製した二本鎖DNA断片とし
ては、生物試料から抽出したDNA、遺伝子操作によっ
て作成したDNA等を制限酵素で切断し、次いで電気泳
動による分離操作等で精製したDNA断片を用いること
が好ましい。また、一本鎖の合成オリゴヌクレオチドお
よび該ヌクレオチドと相補性を示す一本鎖の合成オリゴ
ヌクレオチドを用いて二本鎖DNA断片を形成させたも
のを用いてもよい。電極に固定されてなる二本鎖DNA
断片の濃度は、電極1mm2当たり10-11〜10-10
ルの量の範囲にあることが好ましい。
【0018】一本鎖DNA断片、および該断片とハイブ
リダイズする試料DNA断片としては、何れも生物試料
から抽出したDNA、遺伝子操作によって作成したDN
A等を制限酵素で切断し、次いで電気泳動による分離等
で精製したDNA断片、あるいは化学合成で得られた一
本鎖のDNA断片を用いることができる。生物試料から
抽出したDNA等の場合には、熱処理あるいはアルカリ
処理によって、一本鎖のDNA断片に解離させておくこ
とが好ましい。
【0019】制限酵素で切断を受けた試料DNA断片
は、複数個の試料DNA断片となるが、DNA断片との
接触に使用される試料DNA断片は、一個であっても複
数個であってもよい。試料DNA断片は、DNA修飾電
極1mm2当たり10-10〜10 -9モルの範囲の量で用い
ることが好ましい。
【0020】二本鎖DNA断片は、電極に固定する。固
定方法としては、公知の方法が用いられる。電極が金で
ある場合、予め調製した二本鎖DNA断片の片方の鎖の
5’もしくは3’末端(好ましくは、5’末端)にチオ
ール基を導入し、金とイオウとの配位結合を介して、該
DNA断片を電極に固定する。該DNA断片にチオール
基を導入する方法は、文献(M.Maeda et a
l.,Chem.Lett.,1805〜1808(1
994)およびB.A.Connolly,Nucle
ic Acids Res.,13,4484(198
5))に記載されている。電極上で二本鎖DNA断片を
調製する場合には、電極に固定されている一本鎖DNA
断片の5’もしくは3’末端(好ましくは、5’末端)
にチオール基を導入する。実際には、チオール基を有す
る二本鎖DNA断片もしくは一本鎖DNA断片を金電極
に滴下し、所定の温度(好ましくは、室温)下で数時間
放置すると二本鎖DNA断片もしくは一本鎖DNA断片
が電極に固定される。
【0021】電極がグラシーカーボンである場合、グラ
シーカーボンを過マンガン酸カリウムで酸化することに
よって、電極表面にカルボン酸基を導入する。二本鎖D
NA断片もしくは一本鎖DNA断片は、アミド結合によ
り電極表面に固定される。実際の固定方法については、
文献(K.M.Millan et al.,Anal
ytical Chemistry,65,2317〜
2323(1993))に詳細が記載されている。
【0022】電気化学活性縫い込み型インターカレータ
は、DNA修飾電極を該インターカレータを含む溶液に
浸積する方法、あるいはDNA修飾電極上に該インター
カレータを含む溶液を滴下する方法によってDNA修飾
電極に接触させることができる。必要であれば、室温〜
40℃の温度範囲でインキュベーションを行ってもよ
い。接触後は電極を洗浄し、遊離のインターカレータを
除去しておくことが好ましい。該インターカレータは、
10nM〜10mMの濃度範囲で用いることが好まし
く、0.05〜5mMの濃度範囲で用いることがさらに
好ましく、0.05〜0.5mMの濃度範囲で用いるこ
とが特に好ましい。
【0023】電極上でハイブリッドDNAを調製する場
合には、電気活性縫い込み型インターカレータは、一本
鎖のDNA断片と一本鎖の試料DNA断片とのハイブリ
ダイゼーションの速度を促進する効果を有すると共に、
形成されたハイブリッドDNAに高い特異性で結合し、
ハイブリッドDNAを安定化させる効果を有する。この
とき、該インターカレータとハイブリッドDNAとの複
合体は、一次元マトリックスを支持体とした擬ポリフェ
ロセンポリマー(フェロセン分子の擬ポリマー)と見な
される。このポリマー配列化が、還元型に変化したコレ
ステロールオキシダーゼと電極との間の電子移動反応を
可能にしていると考えられる。ハイブリッドDNAが形
成されない場合には、該インターカレータは、一本鎖の
DNA断片には結合しないか、あるいは一旦結合しても
すぐに解離して遊離のインターカレータとなる。予め調
製した二本鎖DNA断片を用いる場合にも、該インター
カレータが電極に固定された該二本鎖DNA断片に結合
することによって、該二本鎖DNA断片を安定化し、ま
た、形成したフェロセン分子の擬ポリマーが電子移動反
応を可能にしている点は上記と同様である。
【0024】電気化学活性縫い込み型インターカレータ
は、酸化還元活性を有する物質であり、かつDNA断片
の二本鎖に縫い込まれる構造を有する物質であることが
好ましい。酸化還元活性部分としては、フェロセン化合
物、カテコールアミン化合物、金属ビピリジン錯体、金
属フェナントロリン錯体あるいはビオローゲン化合物で
あることが好ましく、フェロセン化合物であることが特
に好ましい。縫い込み型インターカレータ部分として
は、ナフタレンジイミド、アントラセン、アントラキノ
ン等であることが好ましい。従って、電気化学活性縫い
込み型インターカレータは、フェロセンカルボン酸N−
ヒドロキシスクシンイミドエステルと対応するアミン体
との反応により合成される、下記式で表されるフェロセ
ン化ナフタレンジイミド誘導体(S.Takenaka
et al.,J.Chem.Soc.,Commu
n.,1111(1998))であることが好ましい。
【0025】
【化1】
【0026】また、下記式で表されるフェロセン化ナフ
タレンジイミド誘導体も好ましく用いられる。
【0027】
【化2】
【0028】但し、Aは下記式で表されるフェロセン誘
導体である。
【0029】
【化3】
【0030】
【化4】
【0031】
【化5】
【0032】
【化6】
【0033】電気活性縫い込み型インターカレータに
は、酸化還元活性部分と縫い込み型インターカレータ部
分とを繋ぐリンカー部分がある。上記式で表される1,
4−ジプロピルピペラジン基がリンカー部分に相当す
る。このピペラジン基の代わりに、二価の四級アミン基
を導入することもできる。四級アミン基を導入した下記
式で表される化合物は、反応溶液中のpHに関わらずカ
チオン性となるために、二本鎖DNAとより強く結合す
る。リンカー部分に相当する基としては、上記のものに
限定されない。リンカー部分に相当する基の構造によっ
て、フェロセン分子の酸化還元電位が異なる。
【0034】
【化7】
【0035】電気活性縫い込み型インターカレータとし
て上記のナフタレンジイミド誘導体を用いた場合、ナフ
タレンジイミド誘導体は、二塩基おきに配列して二本鎖
DNA断片に飽和している。このことは、ナフタレンジ
イミド誘導体の二つのフェロセン部分が、それぞれ、二
本鎖DNA断片の主溝と副溝とに密に並んだ状態(「イ
ンターカレーションモード」という。)を意味してい
る。このため、ナフタレンジイミド誘導体は、二本鎖D
NA断片からの解離速度が極めて遅くなる。ここで、ナ
フタレンジイミド誘導体の二本鎖DNA断片への結合が
インターカレーションモードであることは、例えば、二
本鎖DNA断片にインターカレータを接触させたとき
に、粘度の変化が認められることにより決定することが
できる。実際に、二本鎖DNA断片が閉環状プラスミド
(例えば、ウイルスSV40)である場合、この閉環状
プラスミドにインターカレーションが起こると、超らせ
んの変化に伴って粘度も変化することが知られている。
【0036】コレステロールとの反応によって還元型に
変化するコレステロールオキシダーゼの存在下で、増感
型電流測定用具にコレステロールを含む試料溶液を接触
させるには、コレステロールおよびコレステロールオキ
シダーゼを含有する溶液に増感型電流測定用具を浸積す
ることが好ましい。また、コレステロールオキシダーゼ
を予め増感型電流測定用具に含有させたものを、コレス
テロールを含む試料溶液に浸積してもよい。
【0037】電気化学活性縫い込み型インターカレータ
を含む溶液、およびコレステロールとコレステロールオ
キシダーゼとを含む溶液は、何れもその塩濃度が0.1
〜0.9Mの範囲にあることが好ましい。
【0038】コレステロールオキシダーゼは、Noca
rdia erythroporis、Breviba
cterium、Pseudomonas、Mycob
acterium、スエヒロタケ等由来のものを用いる
ことが好ましく、Nocardia erythrop
oris由来のものを用いることが特に好ましい。コレ
ステロールオキシダーゼは、10〜1000Uの量の範
囲で用いることが好ましい。
【0039】本発明は、コレステロールが1〜500m
Mの濃度範囲にある試料溶液について実施することが好
ましい。
【0040】電流量の測定には、電位をかけて流れる電
流を測定できる方法であれば何れの方法も用いることが
でき、サイクリックボルタンメトリー、リニアスィープ
ボルタンメトリー、デファレンシャルパルスボルタンメ
トリー、ポテンショスタット等を用いることがさらに好
ましく、サイクリックボルタンメトリーを用いることが
特に好ましい。増感型検出方法における電流量の増幅の
割合は、スキャン速度がその一因となるため、スキャン
の速度は、1mV/sec以下であることが好ましい。
【0041】
【実施例】[実施例1] (1)DNA修飾電極の作製 面積が2.25mm2の金電極に、5’末端にメルカプ
トヘキシル基を有するチミンの20量体(HS−d
20)(75ピコモル/μL)の水溶液2μLを滴下し
た。室温で2時間放置した後、超純水で洗浄し、DNA
修飾電極を作製した。滴下前のHS−dT20の水溶液お
よび放置後に回収したHS−dT20の水溶液をHPLC
(高速液体クロマトグラフィー)に付すことによって、
そのピーク量より、電極2.25mm2当たり20ピコ
モルの量のHS−dT20が固定されたことを確認した。
dT20およびHS−dT20の合成については、文献(特
開平9−288080号公報)に記載の方法に従って行
った。
【0042】(2)フェロセン縫い込み型インターカレ
ータの合成 下記式で表されるフェロセン縫い込み型インターカレー
タは、上記公報に記載の方法に従って合成した。
【0043】
【化8】
【0044】(3)試料DNA断片の合成 試料DNA断片として、アデニンの20量体(dA20
を上記公報に記載の方法に従って合成した。
【0045】(4)DNA修飾電極上のDNA断片と試
料DNA断片とのハイブリダイゼーション、および電気
化学測定 上記(3)で得られたdA20(286ピコモル)および
上記(2)のフェロセン縫い込み型インターカレータ
(50μM)とを含む0.1M酢酸/酢酸カリウム水溶
液(pH5.6)−0.1M塩化カリウム水溶液の混合
液に、(1)のDNA修飾電極を浸し、25℃で20分
間インキュベートした。インキュベート後、該修飾電極
を引き上げ、このものを5秒間、0.1Mリン酸二水素
ナトリウム−リン酸水素二ナトリウム水溶液(pH7.
0)にて洗浄し、遊離のインターカレータおよび未反応
のdA20を除去した。次いで、コレステロール(64m
g/dL)およびコレステロールオキシダーゼ(Noc
ardia erythroporis由来、和光
(株)製)(20U)を含む0.1Mリン酸二水素ナト
リウム/リン酸水素二ナトリウム水溶液−0.1M塩化
カリウム水溶液(pH7.0)の混合液に、遊離のイン
ターカレータおよび未反応のdA20を除去して得られた
上記修飾電極(作用極)、白金電極(対極)および銀/
塩化銀参照電極を浸積して三電極を形成させ、掃引速度
10mV/秒においてサイクリックボルタモグラムを測
定した。測定は、スキャン速度1mV/秒にて行った。
【0046】コレステロールの濃度を190、340m
g/dLにそれぞれ変える以外は上記と同様な操作を行
い、それぞれのサイクリックボルタモグラムを測定し
た。
【0047】(5)コレステロールの濃度とピーク応答
電流値との関係を示す検量線の作成 上記(4)おける各サイクリックボルタモグラムより、
それぞれのピーク応答電流の値を求め、コレステロール
の濃度とピーク応答電流値との関係を示す検量線を作成
した(図2)。但し、図2の各応答電流値は、基本電流
の値(コレステロールおよびコレステロールオキシダー
ゼを存在させない以外は、上記(4)と同様の操作を行
って得られた応答電流の値であり、約−0.1μAであ
る)を差し引いた値である。図2より、64〜340m
Mの範囲のコレステロールの濃度とピーク応答電流値と
は良好な直線関係を示すことが分かる。
【0048】上記の結果は、臨床医学検査法として本発
明がコレステロール値の測定に適用できることを示して
おり、正常人のコレステロール値として知られている1
20〜220mMの範囲のコレステロールの濃度が充分
に測定できる。
【0049】
【発明の効果】本発明において、実際にコレステロール
を含有する血清を用いれば、血清中のコレステロールを
迅速、かつ簡便に定量することが可能である。従って、
本発明は、臨床医学検査項目として特に重要なコレステ
ロール値の新規な定量方法として充分に利用できるもの
であり、コレステロールオキシダーゼを固定化酵素とす
ることができれば繰り返し使用できる優れたコレステロ
ールセンサの開発に繋がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気化学活性縫い込み型インターカレータが、
還元型に変化した酸化酵素とDNA修飾電極との間の電
子移動反応を仲介する模式図である。
【図2】コレステロールの濃度とピーク応答電流との関
係を示す検量線である。
【符号の説明】
11 電極 21 二本鎖DNA断片 31 電気化学活性縫い込み型インターカレータ 41 酸化酵素 51 アナライト 61 アナライトの酸化体

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二本鎖で構成されているDNA断片がそ
    の一端にて電極表面に固定されてなるDNA修飾電極、
    および該DNA断片に縫い込まれている電気化学活性縫
    い込み型インターカレータからなる増感型電流測定用具
    の表面に、電位を付与しながら、コレステロールオキシ
    ダーゼの存在下にて、コレステロールを含有する試料溶
    液を接触させ、その接触により該測定用具に発生する電
    流量を測定することからなる試料溶液中のコレステロー
    ルの定量方法。
  2. 【請求項2】 DNA修飾電極が、電極上でハイブリダ
    イゼーションによって調製されたDNA断片が電極に固
    定されてなるもの、あるいは予め調製されたDNA断片
    が電極に固定されてなるものであることを特徴とする請
    求項1に記載のコレステロールの定量方法。
  3. 【請求項3】 電気化学活性縫い込み型インターカレー
    タが、酸化還元活性を有するフェロセン修飾電気化学活
    性縫い込み型インターカレータであることを特徴とする
    請求項1に記載のコレステロールの定量方法。
JP11143599A 1999-01-06 1999-05-24 増感型電流測定用具を用いるコレステロールの定量方法 Pending JP2000329738A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11143599A JP2000329738A (ja) 1999-05-24 1999-05-24 増感型電流測定用具を用いるコレステロールの定量方法
US09/477,973 US6261780B1 (en) 1999-01-06 2000-01-05 Quantitative analysis of biochemical compound utilizing electrochemical reaction
EP00100126A EP1018646A3 (en) 1999-01-06 2000-01-07 Quantitative analysis of biochemical compound utilizing electrochemical reaction

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11143599A JP2000329738A (ja) 1999-05-24 1999-05-24 増感型電流測定用具を用いるコレステロールの定量方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000329738A true JP2000329738A (ja) 2000-11-30

Family

ID=15342479

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11143599A Pending JP2000329738A (ja) 1999-01-06 1999-05-24 増感型電流測定用具を用いるコレステロールの定量方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000329738A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10138470B2 (en) 2014-10-28 2018-11-27 Amano Enzyme Inc. Mutated enzyme having dehydrogenase activity and use thereof

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10138470B2 (en) 2014-10-28 2018-11-27 Amano Enzyme Inc. Mutated enzyme having dehydrogenase activity and use thereof

Similar Documents

Publication Publication Date Title
D'Orazio Biosensors in clinical chemistry
Cui et al. A reusable ratiometric electrochemical biosensor on the basis of the binding of methylene blue to DNA with alternating AT base sequence for sensitive detection of adenosine
US5312527A (en) Voltammetric sequence-selective sensor for target polynucleotide sequences
Ronkainen et al. Electrochemical biosensors
Erdem et al. Novel hybridization indicator methylene blue for the electrochemical detection of short DNA sequences related to the hepatitis B virus
Kueng et al. Amperometric ATP biosensor based on polymer entrapped enzymes
EP1194585B1 (en) Amperometric sensor
JPS62294958A (ja) アツセイ法
Qian et al. A novel signal-on electrochemical DNA sensor based on target catalyzed hairpin assembly strategy
Cui et al. Disposable amperometric glucose sensor electrode with enzyme-immobilized nitrocellulose strip
Bai et al. Amperometric aptasensor for thrombin detection using enzyme-mediated direct electrochemistry and DNA-based signal amplification strategy
Castilho et al. Amperometric biosensor based on horseradish peroxidase for biogenic amine determinations in biological samples
JP2001194298A (ja) 表面プラズモン共鳴酵素センサーおよび表面プラズモン共鳴の測定方法
US7169273B2 (en) Enzyme electrode
Zhao et al. Analyte-induced formation of partial duplexes for the preparation of a label-free electrochemiluminescent aptasensor
KR100423021B1 (ko) 혼합 인터칼레이터, 이를 이용한 디엔에이의 전기화학적검출방법 및 이를 위한 검출 키트
JP3665707B2 (ja) Dnaセンサおよびdnaの検出方法
Li et al. Electrogenerated chemiluminescence aptasensor for ultrasensitive detection of thrombin incorporating an auxiliary probe
CN109136336B (zh) 一种纸基miRNA电化学传感器的制备方法及应用
US6261780B1 (en) Quantitative analysis of biochemical compound utilizing electrochemical reaction
JP2005118014A (ja) 分析方法およびそれに用いる試薬
Fathi et al. Chemical binding of pyrrolidinyl peptide nucleic acid (acpcPNA‐T9) probe with AuNPs toward label‐free monitoring of miRNA‐21: A novel biosensing platform for biomedical analysis and POC diagnostics
Simkova et al. Electrochemical DNA biosensors and flow-through analysis. A review
JP2000329738A (ja) 増感型電流測定用具を用いるコレステロールの定量方法
JP4702341B2 (ja) フェニルアラニンセンサ及びフェニルアラニン測定方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040824

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060310

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060519

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060922