JP2000193567A - 呼気採取容器 - Google Patents

呼気採取容器

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JP2000193567A
JP2000193567A JP10370948A JP37094898A JP2000193567A JP 2000193567 A JP2000193567 A JP 2000193567A JP 10370948 A JP10370948 A JP 10370948A JP 37094898 A JP37094898 A JP 37094898A JP 2000193567 A JP2000193567 A JP 2000193567A
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breath
flexible bag
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bag
tube
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JP10370948A
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English (en)
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Toshiki Kawabe
俊樹 川辺
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 呼気の採取から保管・運搬及び分析装置にお
ける検査までの工程う容易にかつ確実に行うことがで
き、保管・運搬時の呼気の漏洩や大気の混入が生じ難
く、呼気の採取を容易に確認することができ、分析装置
において用いるのに際し注射針や注射筒などの他の部材
を必要としない、呼気採取容器を得る。 【解決手段】 有底管1、栓体2及び可撓性袋体3を有
し、栓体2が、試料採取針が刺通されるゴム栓2aを有
し、可撓性袋体3の下端に呼気を流入させることができ
る封止可能開放部3cが構成されている呼気採取容器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被験者から呼気を
採取するための呼気採取容器に関し、特に、呼気の採取
から、保存、運搬及び分析作業まで一貫して用いるのに
好適な呼気採取容器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、慢性活動性胃炎や十二指腸潰瘍の
発病と関係のあるグラム陰性桿菌であるヘリコバクター
・ピロリ(Helicobacter pylori)の検査や、アトピー性
皮膚炎の肝機能検査などに、呼気中の炭酸ガスを測定す
る方法が実施されている。
【0003】上記呼気検査は、以下のようにして行われ
ている。まず、被験者から呼気を採取する。次に、空腹
時に炭素の安定同位体である13Cで標識化された尿素を
被験者に経口投与し、13〜30分後に呼気を採取す
る。上記のようにして、13Cで標識化された尿素を投与
する前と投与後の呼気中のCO2 13CO2 12CO2
の比率(以下、CO2 同位体比率とする)を測定する。
すなわち、13Cで標識化された尿素を投与する前後にお
けるCO2 同位体比率の変動幅により、ヘリコバクター
・ピロリ感染の有無が判定されている。なお、CO2
位体比率の分析に際しては、質量分析法や赤外線分析法
が用いられている。
【0004】上記のような13C呼気検査に際しては、被
験者から呼気を採取し、分析装置により呼気中のCO2
同位体比率を測定する必要がある。呼気採取場所と分析
位置とが、時間的及び/または空間的に離れている場
合、呼気を採取した後、保管及び移送しなければならな
い。そこで、呼気の採取及び保存に適した種々の呼気採
取容器が提案されている。
【0005】特開平8−43382号公報には、図8に
示す13C呼気検査システムが開示されている。ここで
は、プラスチック及びアルミホイルの積層シート製袋体
からなる呼気バッグ11に呼気が採取される。呼気バッ
グ11には、管状口部12が取り付けられており、それ
によって呼気の採取が可能とされている。また、管状口
部12には、図示しないキャップが取り付けられ、呼気
採取後に呼気バッグ11内が密封されるように構成され
ている。
【0006】呼気採取後には、呼気バッグ11は密封し
た状態で保存されたり、分析装置の存在する場所まで運
搬される。検査に際しては、キャップを取り外し、管状
口部12に接続栓13を挿入し、呼気バッグ11を押圧
して呼気を押出し、13CO2測定装置14により呼気を
分析する。
【0007】特開平8−304394号公報には、図9
に示す呼気採取バッグが開示されている。この呼気採取
バッグ21では、エチレン−ビニルアルコール共重合樹
脂からなるフィルムにより呼気採取バッグ本体22が構
成されており、それによって保存に際してのCO2 の同
位体比率の変動が抑制されるとされている。また、取り
扱い性を高めるために、呼気採取バッグ本体22には、
一方向バルブ23が取り付けられている。すなわち、一
方向バルブ23は、呼気を呼気採取バッグ本体22内に
流入させることができるが、採取された呼気が外部に漏
洩しないように構成されている。
【0008】また、特開平7−31607号公報には、
呼気検査に際しての呼気を採取するための息捕集装置が
開示されている。ここでは、被験者が息を吐き出してい
るときに、内部空間の全てを、新しく吐き出された息に
より連続的にパージし得るように、息捕集装置が構成さ
れている。すなわち、2つの開口端部を有する内部空間
を構成するための本体と、内部空間に呼気を導く際に、
所望の時期に望ましくは1回の動作に応答して袋本体に
連結された2つのクロージャ部材を動作させて2つの開
口端部を閉成することにより、所定の時間に吐き出され
た息を補集することが可能とされている装置が開示され
ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】特開平8−43382
号公報や特開平8−304394号公報に開示されてい
る方法では、可撓性の袋からなる呼気採取バッグが用い
られている。このような呼気採取バッグを用いて呼気を
採取し、外部の検査センターなどに運搬する場合には、
可撓性を有する呼気採取バッグが膨らんだままで運搬し
なければならない。しかしながら、運搬時に押圧された
り、鋭利な部材との接触により破れたりすると、呼気が
漏洩したり、大気が侵入したりするおそれがある。加え
て、呼気採取バッグが一定の形状を保ち難いため、多数
の呼気採取バッグを運搬する場合に嵩が大きくなり、作
業性が十分でないという問題があった。
【0010】さらに、分析装置によっては、真空採血管
のようなガラス製真空試験管に呼気を移し替える必要が
ある。このような場合、ガラス製真空試験管に注射器を
連結し、注射器の注射針を呼気採取バッグに刺し通し、
真空試験管に呼気を移し替えるという煩雑な作業が強い
られる。のみならず、呼気採取バッグだけでなく、注射
器、真空試験管などの様々な器具を必要とする。さら
に、上記のように真空試験管に呼気採取バッグ中の呼気
を移し替える作業中に呼気が漏洩したりするおそれもあ
った。
【0011】他方、特開平7−31607号公報に開示
されている息捕集装置は、保形性を有する管状容器を用
いるため、運搬に際し破れたり、押圧されて呼気が漏洩
したりするおそれは少ない。また、分析装置に呼気を供
給するに際し、注射針や注射筒は必要としない。しかし
ながら、構造が非常に複雑であり、息捕集装置のコスト
が高くつくだけでなく、その操作も煩雑であった。加え
て、呼気が採取されているか否かを外部から目視により
確認することができなかった。さらに、特殊な形状を有
するため、慣用されている分析装置用試験管ラックにそ
のままでは架設し難いという問題もあった。
【0012】本発明の目的は、呼気の採取を容易に確認
することができ、保存や運搬時に破損等により呼気が漏
洩し難くかつ大気の侵入も生じ難く、分析装置に呼気を
供給するに際し他の多数の器具を必要とせず、一般的な
分析装置のターンテーブルや試験管ラックに容易に適用
することができる呼気採取容器を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、呼気中の特定
成分を測定するために、被験者の呼気の採取に用いられ
る呼気採取容器であって、一端が開口された有底管と、
前記有底管の開口を閉成するように該開口に固定される
栓体と、前記有底管内に挿入される可撓性袋体とを備
え、前記栓体は、試料採取針を刺通し得るように、少な
くとも一部が弾性体で構成されており、前記可撓性性袋
体の一部には、呼気を流入させることができ、かつ呼気
採取後に封止し得る封止可能開放部が設けられているこ
とを特徴とする。
【0014】本発明に係る呼気採取容器では、好ましく
は、上記可撓性袋体は栓体に固定され、それによって取
り扱いに際し栓体と可撓性袋体とを1つの部品として取
り扱うことができる。この場合、可撓性袋体を栓体に固
定する形態については特に限定されず、栓体の内面に可
撓性袋体が接着等により固定されていてもよく、栓体の
側面周囲に気密的に接着等により固定されていてもよ
く、あるいは可撓性袋体の栓体に固定される部分が開口
されており、該開口周縁を複数の栓体構成部材により挟
持することにより可撓性袋体が栓体に固定されていても
よい。
【0015】本発明に係る呼気採取容器では、上記可撓
性袋体の封止可能開放部は、呼気を可撓性袋体の内部方
向に流入させることができ、呼気採取後に封止し得る限
り適宜の構造とし得るが、好ましくは、従来より気体の
採取に用いられている一方向バルブを好適に用いること
ができる。
【0016】また、本発明に係る呼気採取容器において
は、好ましくは、有底管は透明もしくは半透明の容器で
構成される。もっとも、有底管は、透明もしくは半透明
でなくともよい。さらに、上記有底管は、好ましくは、
ガスバリア性を有する樹脂により構成される。
【0017】本発明に係る呼気採取容器は、呼気中の特
定成分を測定する用途に一般的に用いられるが、好まし
くは、13C呼気検査、すなわち炭素と炭素の安定同位体
である13Cを特定成分とする検査に好適に用いられる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ、本発明
の具体的な実施例を挙げることにより、本発明をより詳
細に説明する。
【0019】図1(a)〜(d)は、本発明の一実施例
に係る呼気採取容器を説明するための図であり、(a)
は栓体の平面図、(b)は栓体と可撓性袋体とを連結し
た構造の略図的縦断面図、(c)はその側面図、(d)
は有底管の断面図である。
【0020】本実施例の呼気採取容器は、図1(d)に
示す有底管1を有する。有底管1は、上端に開口1aを
有する有底の管状容器で構成されている。有底管1がこ
のような形状を有するため、最終的に組み立てられた本
実施例の呼気採取容器は、分析装置に呼気採取容器を供
給するための試験管ラックなどに容易に架設することが
できる。
【0021】有底管1を構成する材料については特に限
定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレ
ンなどの適宜の合成樹脂やガラスなどを用いることがで
きる。もっとも、運搬時の破損を防止するためには、合
成樹脂により有底管1を構成することが好ましい。さら
に、より好ましくは、ガスバリア性の高い合成樹脂を用
いることが好ましく、従ってポリエチレンテレフタレー
トを用いることが望ましい。
【0022】また、上記有底管1は、好ましくは、透明
もしくは半透明とされる。透明もしくは半透明とされる
ことにより、内部の可撓性袋体3の状態を外部から目視
により確認することができる。
【0023】有底管1の寸法についても、特に限定され
るわけではないが、分析装置に呼気採取容器を供給する
ための試験管ラックに架設するには、外径10〜20m
m程度、長さ50〜150mm程度とすることが好まし
い。
【0024】有底管1内には、栓体2に可撓性袋体3を
連結した構造が挿入される。もっとも、栓体2と可撓性
袋体3とは分離されていてもよい。栓体2は、有底管1
の開口1aを気密封止し得るように構成されている。す
なわち、栓体2は、開口1aに挿入し得るゴム栓2a
と、ゴム栓2aの外側に装着された合成樹脂よりなるカ
バーキャップ2bとを有する。カバーキャップ2bは、
側面カバー部2b1 と、側面カバー部2b1 の上方開口
に固定されたリング部2b2 とを有する。
【0025】もっとも、栓体2は、その全体がゴムなど
の弾性体により構成されていてもよい。リング部2b2
の中央開口においては、ゴム栓2aの上面中央に凹部2
cが形成されている。凹部2cが形成されている部分で
ゴム栓2aの厚みが薄くされており、それによって試料
採取針の刺通が容易とされている。
【0026】上記ゴム栓2aを構成するゴム材料につい
ても特に限定されず、ブチルゴム、ブチルゴムに二酸化
珪素フィラーを混合したもの、熱可塑性エラストマーな
どの適宜の材料を用いることができる。
【0027】上記凹部2cが形成されている部分、すな
わち刺通部の厚みについても特に限定されるわけではな
いが、6mm以下が望ましく、4mm以下とすることが
より望ましい。刺通部の厚みを薄くすることにより、試
料採取針の刺通をより一層容易とすることができる。
【0028】本実施例では、栓体2は、ゴム栓2aの下
方部分が有底管1の開口1aに圧入されることにより有
底管1に固定される。もっとも、栓体2による開口1a
の閉栓は、嵌合、ねじによるものなど適宜変形すること
ができる。例えば、カバーキャップ2bの側面カバー部
2b1 の内面には、雌ねじ2dが形成されているので、
該雌ねじ2dと噛み合う雄ねじを有底管1の開口1aの
近傍において有底管1の外周面に形成しておけば、螺合
により栓体2を有底管1に固定することができる。
【0029】カバーキャップ2bを構成する合成樹脂材
料についても特に限定されず、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンなどの適宜の材料からなるものを用
いることができる。またカバーキャップ2bは、金属な
どの他の材料で構成されていてもよい。
【0030】可撓性袋体3は、図1(b)及び(c)に
示すように、使用前の状態では略矩形の形状を有し、か
つ扁平とされている。なお、図1(c)では、栓体2の
うちカバーキャップ2bの図示は省略してある。この可
撓性袋体3の上端が、栓体2のゴム栓2aの下面に接着
されて固定されている。可撓性袋体2を構成する材料に
ついては、特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリエステル、エチレン−ビニルアルコール共重
合体などの適宜の合成樹脂からなるフィルムまたはこれ
らの合成樹脂フィルムの積層体あるいは合成樹脂と金属
箔などの他の材料との積層体を用いることができる。特
に、袋状とするために、熱融着性に優れているものを用
いることが好ましく、さらに、呼気を封止する必要があ
るため、ガスバリア性に優れたものであることが望まし
い。従って、このような観点からは、エチレン−ビニル
アルコール共重合体樹脂などのガスバリア性及び熱融着
性に優れた合成樹脂フィルムまたはこれと他の材料との
積層体を用いることが望ましい。
【0031】また、可撓性袋体3を構成するに際して
は、前述した合成樹脂フィルム等をヒートシールするこ
とにより、あるいは接着することにより製袋すればよ
く、袋状とする方法についても特に限定されるものでは
ない。
【0032】可撓性性袋体3は、下方に封止可能開放部
3aを有する。封止可能開放部3aは、本実施例では一
方向バルブを形成することにより構成されている。この
一方向バルブの構造については、後述の使用方法の説明
において、より詳細に説明する。
【0033】本実施例の呼気採取容器は、上記有底管
1、栓体2及び可撓性性袋体3により構成されており、
使用前には、図2に示すように、有底管1内に可撓性袋
体3が挿入されており、可撓性袋体3に連結された栓体
2が有底管1の開口1aを閉栓するように取り付けられ
ている。
【0034】使用に際しては、有底管1から栓体2を取
り外し、栓体2と栓体2に連結されていた可撓性袋体3
を有底管1から引き抜く。このようにして、図3(a)
に示すように(なお、図3では栓体2の構造は略図的に
図示してある)栓体2に可撓性袋体3が連結された構造
を取り出す。しかる後、被験者が、例えばストロー4を
可撓性袋体3の一方向バルブから可撓性袋体3内に挿入
し、呼気を流入させる。その結果、可撓性袋体3が図3
(b)に示されているように膨らむ。
【0035】しかる後、ストロー4を抜き取れば、呼気
が可撓性袋体3内に閉じ込められる。すなわち、一方向
バルブは、呼気の可撓性袋体3内への流入は許容する
が、可撓性袋体3から外部に向かって呼気が流出するこ
とを防止するように作用する。
【0036】上記一方向バルブの構造については特に限
定されるわけではないが、その一例を図4及び図5を参
照して説明する。図5に示すように、一方向バルブは、
可撓性袋体3の下端において、対向している袋壁3c,
3d間に、同じく可撓性フィルムよりなるフラップ3e
を配置することにより構成されている。フラップ3e
は、下端が一方の袋壁3cの内面に接着または熱融着な
どにより固定されている。図4の斜線のハッチングを付
した領域A,Aで袋壁3c,3dがシールされており、
反対方向の斜線でハッチングされた領域Bでフラップ3
eが袋壁3cに固定されている。また、フラップ3e
は、多点のハッチングを付した領域C,Cで袋壁3dに
固定されており、かつフラップ3eの上端は自由端とさ
れている。
【0037】図5(a)に略図的に示すように、初期状
態では、袋壁3c,3dが接着または近接されている。
呼気を流入させる際には、図5(b)に示すように、フ
ラップ3eと袋壁3dとの間にストロー4を挿入して呼
気を流入させる。すなわち、フラップ3eの上端が自由
端とされているので、フラップ3eと袋壁3dとの間に
ストローを挿入することができ、それによって呼気を流
入させることができる。
【0038】可撓性袋体3内に呼気が流入されると、袋
壁3c,3d間が広がり、可撓性袋体3が膨らむ。その
結果、図5(c)に示すように、ストロー4を引き抜い
たとしても、フラップ3eの上方部分が、流入した呼気
の圧力により袋壁3dの内面に密着される。呼気が流入
されているので、この呼気の圧力により、フラップ3e
が袋壁3dに密着し、呼気の可撓性袋体3外への流出が
防止される。
【0039】図3(b)に戻り、上記のように、呼気を
採取した後には、可撓性袋体3が膨らむため、その状態
で呼気が可撓性袋体3内に採取されていることを確実に
確認することができる。
【0040】しかる後、栓体2に連結された可撓性袋体
3を、有底管1内に挿入し、栓体2を有底管1の開口1
aに取り付け、閉栓する。その結果、呼気が採取された
可撓性袋体3が、有底管1と栓体2とで保護されるた
め、その状態で保存や運搬したとしても、外部からの衝
撃や圧力等に対して可撓性袋体3が保護される。よっ
て、採取した呼気の可撓性袋体3から外部への漏洩を確
実に防止することができる。
【0041】また、有底管1が透明もしくは半透明の場
合には、呼気採取後、可撓性袋体3を有底管1内に挿入
し、閉栓した後であっても、外部から呼気が採取されて
いるか否かを、可撓性袋体3の状態を目視により容易に
確認することができる。
【0042】さらに、呼気を採取された本実施例の呼気
採取容器は、全体としては、図2に示した使用前の状態
と同様であり、従って通常の真空採血管などと同様に試
験管ラックなどに容易に架設することができる。よっ
て、保存や運搬を容易に行うことができると共に、分析
装置のサンプラーに供給するための試験管ラックなどに
容易に挿入でき、そのまま分析装置に供給することがで
きる。
【0043】また、分析装置が、試料採取針を真空採血
管のゴム栓などに刺通し、試験管内部の試料を採取する
構造の場合には、本実施例の試料採取器具を開栓するこ
となくそのまま用いることができる。すなわち、図6に
縦断面図で示すように、呼気が採取されている試料採取
器具の栓体2のゴム栓2aに、試料採取針6を容易に刺
通させることができる。従って、栓体2を有底管1から
取り外すことなく、分析装置の試料採取針6により、可
撓性袋体3内の呼気を容易に採取し、分析を開始するこ
とができる。よって、呼気の採取から分析装置における
試料の吸引までを、本実施例の呼気採取容器のみを用い
て容易にかつ確実に行うことができる。
【0044】なお、上記実施例の呼気採取容器では、栓
体2を構成しているゴム栓2aの下面に可撓性袋体3が
固定されていたが、可撓性袋体3は、栓体2と別部材と
されていてもよい。その場合であっても、可撓性袋体3
に呼気を採取した後、有底管1内に挿入し、栓体2によ
り有底管1を閉栓した後に、試料採取針6を栓体2に刺
通して、可撓性袋体3をさらに突き破ることにより、上
記実施例の場合と同様に呼気を確実に試料採取針6から
吸引することができる。
【0045】また、栓体2に可撓性袋体3を固定する構
造についても上記実施例のものに限定されず、例えば、
図7に示すように、栓体2のゴム栓2aを、2つのゴム
栓部2a1 ,2a2 で構成し、ゴム栓部2a1 ,2a2
間に可撓性袋体3を挟み込んで、可撓性袋体3をゴム栓
2aに固定してもよい。この場合、ゴム栓部2a1 ,2
2 は、ゴム栓2aを上下2つに分割した形状を有し、
上方のゴム栓部2a1が下方のゴム栓部2a2 の上面に
設けられた凹部に嵌まり合うように構成されている。可
撓性袋体3の上端が開口されており、該開口周縁部が上
記ゴム栓部2a 1 ,2a2 間に挟まれることにより、可
撓性袋体3の上端がゴム栓2aに取り付けられると共
に、可撓性袋体3の上端が密封されている。
【0046】また、可撓性袋体3の封止可能開放部は、
本実施例のように可撓性袋体3の下端に設けられる必要
は必ずしもなく、上端と下端との間の中間高さ位置に設
けられていてもよい。もっとも、可撓性袋体3は有底管
1内に挿入されるものであるため、本実施例のように下
端に封止可能開放部を設けることが望ましい。
【0047】次に、具体的な実験例につき説明する。有
底管1として、ポリエチレンテレフタレートからなり、
外径16mm×長さ100mmのものを用意した。栓体
2として、刺通部の厚みが4mmであり、ブチルゴムに
二酸化珪素フィラーを混合してなる混合物からなるゴム
栓2aに、カバーキャップ2bを取り付けたものを用意
した。カバーキャップ2bとしては、ポリエチレン製の
側面カバー部2b1 と、該側面カバー2b1 の上端開口
に固定されたプラスチック製リング部2b2 を連結した
ものを用いた。
【0048】可撓性袋体3としては、ポリエステル製フ
ィルムからなり、使用前の状態で幅22mm×長さ80
mmであり、呼気を流入させて膨らませた場合、外径1
4mm×長さ80mmの円筒状となるものを用意した。
ゴム栓2aの下面に、上記可撓性袋体3の上端をシアノ
アクリレート系接着剤で接着することにより、可撓性袋
体3をゴム栓2aに固定した。また、可撓性袋体3の下
端には、上記一方向バルブが形成されている。
【0049】以下の(a)及び(b)のCO2 ガスを容
積比で5:95の割合で混合してなるCO2 ガスを評価
用試料とした。 (a)13CO2 の存在比が天然における存在比よりも約
300パーミル高いCO2 、(b)天然のCO2 、すな
わちCO2 同位体比率が1.11%のCO2 ガス
【0050】上記評価用試料を可撓性袋体3の一方向バ
ルブ側から挿入し、有底管1内に可撓性袋体3を挿入
し、栓体2により閉栓した。しかる後、評価用試料が採
取された呼気採取容器を、安定同位体比分析用質量分析
計( Europa Scientific社製、品番:ABCA−MS)
を用いて、CO2 の同位体比率の経時変化を測定した。
すなわち、上記のようにして評価試料が採取された呼気
採取容器を多数用意し、採取直後から一定時間経過後ご
とに採取されている評価用試料中のCO2 同位体比率を
測定した。その結果、評価用試料採取直後のCO2 同位
体比率に対し、1週間経過した後の呼気採取容器内のC
2 同位体比率の差は0.2‰(パーミル)以内であっ
た。従って、本実施例の呼気採取容器を用いれば、呼気
を採取した後、1週間保存した場合であっても、正確に
測定を行い得ることがわかる。
【0051】
【発明の効果】本発明に係る呼気採取容器では、有底管
と、栓体と、可撓性袋体とを有し、可撓性袋体の封止可
能開放部から呼気を容易に流入させて呼気を容易に採取
することができる。呼気採取後には、可撓性袋体を有底
管内に挿入し、栓体で閉栓するだけで、採取した呼気を
確実に保存し、運搬することができる。
【0052】すなわち、呼気採取後には、呼気が収納さ
れた可撓性袋体が有底管と栓体により保護されているの
で、保管時や運搬時に破損し難い。よって、呼気の漏洩
や大気の侵入が生じ難いので、呼気を確実に保存・運搬
することができる。
【0053】また、可撓性袋体内に呼気を採取した後に
は、可撓性袋体が膨らむので、呼気を採取したか否かを
確実に確認することができる。さらに、上記栓体が、試
料採取針により刺通し得る弾性体を有するため、分析装
置の試料採取針によりダイレクトに呼気を吸引すること
ができる。
【0054】加えて、全体が有底管に栓体を取り付けた
形状を有するため、真空採血管などと同様に、分析装置
のターンテーブルやラックに容易に架設することができ
る。しかも、呼気採取容器から呼気を採取するにあた
り、注射針と注射筒等などの他の部材を何ら必要としな
い。
【0055】よって、本発明に係る呼気採取容器を用い
れば、呼気を容易に採取することができ、安定に保管・
運搬することができ、保管や運搬時の呼気の漏洩や大気
の侵入が生じ難く、分析装置に容易に提供することがで
きると共に、他の器材を必要とすることなく呼気を分析
装置に供給することが可能となる。
【0056】本発明に係る呼気採取容器において、上記
可撓性袋体が栓体に固定されている場合には、呼気の採
取から採取後の有底管への取り付けを容易に行うことが
できる。特に、可撓性袋体が、栓体の下面に固定されて
いる場合には、試料採取針より栓体を刺通した場合、可
撓性袋体を容易に刺通することができ、それによって可
撓性袋体内の呼気をより確実に採取することが可能とな
る。
【0057】また、上記封止可能開放部として一方向バ
ルブを用いた場合には、可撓性袋体の内部方向に呼気を
流入させることができると共に、呼気の可撓性袋体外へ
の漏洩を確実に防止することができる。
【0058】有底管が透明もしくは半透明に構成されて
いる場合には、呼気を採取した後、可撓性袋体を有底管
内に挿入した後においても、外部から目視により呼気が
採取されているか否かを確実に把握することができる。
有底管としてガスバリア製樹脂材料からなるものを用い
た場合には、より一層可撓性袋体内の呼気の呼気採取容
器外への漏洩を防止することができる。
【0059】本発明に係る呼気採取容器は、上記のよう
に呼気の採取から分析までを本発明に係る呼気採取容器
のみを用いて容易に行い得るので、特定成分として炭素
の安定同位体である13Cを測定するのに、すなわちCO
2 同位体比率を測定するのに好適に用いることができ、
それによってヘリコバクター・ピロリの感染の有無を判
断するのに好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は栓体の平面図、(b)は栓体に可撓性
袋体が連結されている構造の略図的縦断面図、(c)は
栓体に可撓性袋体が固定されている構造の側面図、
(d)は有底管の縦断面図。
【図2】本発明の一実施例に係る呼気採取容器を示す縦
断面図。
【図3】(a)は、呼気採取前の可撓性袋体を説明する
ための斜視図、(b)は呼気採取中の状態を示す斜視
図。
【図4】可撓性袋体に形成されている一方向バルブを説
明するための側面図。
【図5】(a)〜(c)は、可撓性袋体に形成されてい
る一方向バルブを説明するための各断面図。
【図6】本発明の一実施例に係る呼気採取容器に採取さ
れている呼気を試料採取針を用いて分析装置に供給する
工程を説明するための縦断面図。
【図7】栓体と可撓性袋体の固定構造の他の例を示す断
面図。
【図8】従来の呼気採取バッグの一例を示す部分断面正
面図。
【図9】従来の呼気採取バッグの他の例を示す略図的断
面図。
【符号の説明】
1…有底管 1a…開口 2…栓体 2a…ゴム栓 2b…カバーキャップ 2c…凹部 3…可撓性袋体 3a…封止可能開放部 6…試料採取針

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 呼気中の特定成分を測定するために、被
    験者の呼気の採取に用いられる呼気採取容器であって、 一端が開口された有底管と、 前記有底管の開口を閉成するように該開口に固定される
    栓体と、 前記有底管内に挿入される可撓性袋体とを備え、 前記栓体は、試料採取針を刺通し得るように、少なくと
    も一部が弾性体で構成されており、 前記可撓性性袋体の一部には、呼気を流入させることが
    でき、かつ呼気採取後に封止し得る封止可能開放部が設
    けられていることを特徴とする呼気採取容器。
  2. 【請求項2】 前記可撓性袋体が前記栓体に固定されて
    いる請求項1に記載の呼気採取容器。
  3. 【請求項3】 前記封止可能開放部が、可撓性袋体の内
    部方向のみ呼気を流入させ得る一方向バルブである請求
    項1または2に記載の呼気採取容器。
  4. 【請求項4】 前記有底管が透明もしくは半透明である
    請求項1〜3のいずれかに記載の呼気採取容器。
  5. 【請求項5】 前記有底管がガスバリア製樹脂からなる
    請求項1〜4のいずれかに記載の呼気採取容器。
  6. 【請求項6】 前記特定成分が、炭素と炭素の安定同位
    13Cであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか
    に記載の呼気採取容器。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008037471A (ja) * 2006-08-08 2008-02-21 Japan Aerospace Exploration Agency 包装容器
KR100857206B1 (ko) 2007-04-18 2008-09-08 대한민국 증거물 채취 및 분석용 백
JP2010513904A (ja) * 2006-12-17 2010-04-30 マヤ、ゲルマン、アントニオ カムプザノ 病原微生物を検出する呼気検査方法
CN105726069A (zh) * 2016-04-15 2016-07-06 福州艾维德生物医药有限公司 呼出气冷凝液收集装置

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