JP2000190606A - インクリボンカセット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明はプリンタ等に使用されるインクリボン
カセットに関し、比較的強力な走行負荷、つまりバック
テンションを安定して得ることができ、高品位な印字物
を得ることができるインクリボンカセットを得ること。 【解決手段】カセットケースのリボン収納部にエンドレ
スインクリボンを折り畳み収納し、カセットケースの特
定位置にリボンパス規制部とバックテンション付勢手段
を設けたインクリボンカセット。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はプリンタ等に使用さ
れるインクリボンカセットに関し、さらに詳しくは、カ
セットケースのリボン収納部にエンドレスインクリボン
を折り畳み収納して使用する、インクリボンカセットに
おいて、比較的強力な走行負荷を安定発生するバックテ
ンション機構を有するインクリボンカセットに関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】インクリボンカセットとしては、エンド
レスでループ状のインクリボンの大部分をカセットケー
ス内に折り畳んで収納したインクリボンカセットが知ら
れている。このインクリボンカセットは、ドットインパ
クトプリンタに装填することにより、プリンタが印字動
作を始めるとインクリボンがリボン引き出し口から印字
ヘッドを挟んで逆側に設けられたリボン繰り込みローラ
などによって引き出される。引き出されたインクリボン
は、プラテンと印字ヘッドとの隙間に入り、印字ヘッド
はプラテンに対向して往復運動をし、インクリボンを介
して印字用紙を打撃し、インクを転写させて印字を行
う。そして、プラテンと印字ヘッドとの隙間を通過した
インクリボンは、前記リボン繰り込みローラによって再
びインクリボンカセット内に繰り入れられるという一連
の印字動作に用いられるものである。

【０００３】このような一連の印字動作において、リボ
ンがプラテンと印字ヘッドとの隙間に入り印字される際
に、適当なバックテンションを与えてリボンを張ってお
かないと印字不良が発生することがある。従来のインク
リボンカセットにおいてバックテンションを設けたもの
は数多くあるが、その大半はリボン引き出し口近傍に板
バネやコイルバネなどの弾性体でリボンをカセットケー
スとの間に挟み、バックテンションを得るものが多かっ
た。その際、付勢強度はバネの強度に委ねられるため、
このバネの調整や強度の統一が難易であった。

【０００４】また、比較的強力なバックテンションを得
ようとすると、バネの強度を上げる必要があり、カセッ
トケースが曲がってしまったり、製造時やリボン交換時
にリボンが通しにくく、問題があった。

【０００５】さらに強力なバックテンションを得ようと
すると、バネの強度を著しく上げる必要があり、使用す
るに従ってリボンの走行によりカセットケースがリボン
の部分のみ研磨され、リボン幅より広い付勢手段を用い
ている場合、リボン部分のみ研磨されることとなりリボ
ンの走行部分とそれ以外の部分に段部ができ、バネ力で
リボンを押さえることができなくなってバックテンショ
ンが効かなくなる直接印字品位に影響を与えるような不
具合が発生していた。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】比較的強力な走行負荷
を得るためのバックテンション機構がバネの強度だけに
左右されるものではなく、かつ安定した走行負荷を得る
ことが出来るインクリボンカセットは、まだ提案されて
いない。本発明の目的は、まさに上述のような課題の解
決手段を提案することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、カセットケースにループ状のエンドレス
インクリボンを折り畳み収納し、カセットケースの特定
位置にリボンパス規制部とバックテンション付勢手段を
設けたことによって、本発明のインクリボンカセットを
完成した。すなわち、本発明は、 「１．カセットケースにループ状のエンドレスインクリ
ボンを折り畳み収納するリボン収納部とインクリボンと
交差する方向でカセットケースに少なくとも２カ所以上
設けられたリボンパス規制部とバックテンション付勢手
段とを少なくとも設け、リボンパス規制部がバックテン
ション付勢手段を境にリボン走行下流側に多く設けられ
ていることを特徴とするインクリボンカセット。 ２．メビウスループをなすエンドレスインクリボンを用
いるカセットに、インクリボンの表裏を反転させるメビ
ウス機構を設けたインクリボンカセットにおいて、メビ
ウス機構のメビウス反転部材がカセットケースのリボン
パス規制部と別部材で設けられており、両者の材質の表
面摩擦係数がメビウス反転部材よりリボンパス規制部の
方が大きいことを特徴とする第１項に記載のインクリボ
ンカセット。 ３．リボンパス規制部を含むカセットケースがＡＢＳ樹
脂、メビウス反転部材がポリカーボネート樹脂で成形さ
れていることを特徴とする第１項または第２項にに記載
のインクリボンカセット。」である。

【０００８】上記インクリボンカセットによれば、バッ
クテンションは、バックテンション付勢手段によって得
られるのはもちろんであるが、それに加えて、リボンパ
ス規制部の端面がインクリボンと擦れあう際の摩擦力が
作用して総合的に得られるものである。よって、比較的
強力な走行負荷を得たい場合においても、付勢手段がバ
ネだけによらないので、テンションのバラツキが起きに
くく、安定したバックテンションを得られ、バネだけで
は得られないような大きなバックテンションさえもコン
トロールできる優れたものである。

【０００９】本発明のインクリボンカセットで印字を行
う際に、カセットをプリンタに装着し駆動させると、イ
ンクリボンがリボン引き出し口から印字ヘッドを挟んで
逆側に設けられたリボン繰り込みローラなどによって引
き出される。引き出されたインクリボンは、プラテンと
印字ヘッドとの隙間に入り、印字され、プラテンと印字
ヘッドとの隙間を通過したインクリボンは、前記リボン
繰り込みローラによって再びインクリボンカセット内に
繰り入れられるという一連の印字動作が行われる。

【００１０】このような一連の印字動作においては、前
述したように、リボンがプラテンと印字ヘッドとの隙間
に入り、印字される際に、高品位の印字物を得たい場合
に適当なバックテンションを与えて、リボンを張ってお
かないと印字不良が発生してしまう。

【００１１】本発明は、バックテンションを与える手段
として、まずはバックテンション付勢手段を用いる。該
バックテンション付勢手段は、板バネやコイルバネなど
の弾性部材によりリボンを挟持することでバックテンシ
ョンを得るものである。通常、板バネの場合はリボンを
バネとカセットケースの間に挟む形を取り、コイルバネ
の場合は樹脂製のコマとカセットケースの底面からリボ
ン走行方向に平行に設けられた壁部との間にリボンを挟
み、押圧する事により得ることが出来る。さらに、本発
明においては、リボンカセットの底面からリボン走行方
向に交わり、リボンが間を通過するように設けられた少
なくとも２カ所以上のリボンパス規制部が、該付勢手段
を境にリボン走行下流側に多く設けられており、該規制
部は、リボン進行方向に対して位置をずらして設けられ
ているので、リボンは、規制部を通過する際に、規制部
の端面に接しながら通過することになる。リボンは繰り
込みローラなどによって走行されるが、バックテンショ
ン付勢手段が走行上流側に位置しているので、バックテ
ンション付勢手段の張力が各規制部を通過する際に倍加
され、リボンパス規制部の数だけ、テンションが上がる
ことになる。つまり、このリボンパス規制部を設ける数
と位置を調整することによりバックテンション付勢手段
のバネの強さを必要以上に上げることなく、任意のバッ
クテンションを得ることが出来るのである。

【００１２】さらに、該リボンパス規制部をリボンが通
過する部分において、規制部の設ける位置を調整すると
バックテンションの倍加の程度を調整することが出来
る。つまり、規制部を通過する際に、リボンが屈曲する
が、その角度を鋭角に近づけると倍加の程度が大きくな
るのである。ただし、必要以上に鋭角化すると、規制部
の端面にかかる負荷が大きくなり、摩耗したり、リボン
への負担が大きくなることによるリボン破損のおそれが
出てくるので、好ましくない。リボンパスの角度は、２
０〜１３０°が好ましい。

【００１３】本発明のカセットケースを成形する樹脂材
料は、一般に射出成形などにより用いられる材料が使用
可能である。たとえば、ＡＢＳ樹脂、ポリスチロール樹
脂、ボリカーボネート樹脂などが挙げられる。

【００１４】前記リボンパス規制部は、カセットケース
に一体に設けられることがほとんどであるから、このリ
ボンパス規制部の材質、つまりカセットケースの材質は
バックテンションの倍加に影響する。摩擦係数の大きな
材料ほどバックテンションを効果的に倍加させることが
出来、複雑なリボンパスルートを取る必要が無くなるの
で、各種負担が軽減でき、好ましい。使用する材質を中
でも摩擦係数の大きなＡＢＳ樹脂にすると、成形性もよ
く非常に好ましい結果を得ることが出来る。リボンパス
規制部をカセットケースと別体に設けた場合には、リボ
ンパス規制部の材質のみ考慮すれば足り、カセットケー
スの材料は自由であることは云うまでもない。

【００１５】表面摩擦係数はいわゆる動摩擦係数で比較
するが、ＡＢＳ樹脂は０．１９程度、ポリスチロール樹
脂は０．１０程度、ボリカーボネート樹脂は０．１３程
度であった。この値は組み合わせ材料の種類、面間圧
力、摩擦速度、温度、湿度などに影響されるものであ
る。ここでの比較は、組み合わせ材料としてリボン材料
であるナイロンを用い、面間圧力、摩擦速度、温度、湿
度は、それぞれ０．３８ｋｇｆ／ｃｍ²、６．２ｃｍ／
ｓｅｃ、２０℃、６０％ＲＨの条件下で行った。

【００１６】また、メビウスループをなすエンドレスイ
ンクリボンを用いるカセットに、インクリボンの表裏を
反転させるメビウス機構を設けたインクリボンカセット
において、バックテンション付勢手段の下流側、リボン
引き出し口との間に、リボンパス規制部と共にメビウス
ループを反転させ、正常にリボンを走行させるためのメ
ビウス反転部が設けられている。このメビウス反転部
は、リボンを反転させる部分であるために、走行時にリ
ボンの張力による負荷が大きい部分である。そこで、こ
の部分に必要以上の負荷を与えないようにするために別
部材にするとよい。さらにこの部分には、バックテンシ
ョンを倍加させるためのリボンパス規制部の材料に比べ
て摩擦係数の小さな、摺動性のよい材料を用いると、負
荷を効果的に低減できるので、好ましい。

【００１７】また、上記のように負荷がかかるので、メ
ビウス反転部材には摩耗の問題もあり、この点を考慮
し、低摩耗性の材料を用いると問題が解決され、好適で
ある。以上の理由からメビウス反転部材には、ポリカー
ボネート樹脂が好適に使用される。

【００１８】なお、本発明に使用されるインクリボン
は、６，６ナイロンなどのファブリック地に難揮発性の
インクを浸み込ませたような構成のリボンが通常用いら
れる。

【００１９】

【発明の実施の形態】以下に、本発明のインクリボンカ
セットの一例を挙げ、図面により具体的に説明する。

【００２０】図１は、本発明のインクリボンカセットの
ケースカバーを取り除いた状態で表した一例を示す斜視
図である。図１中の（１）はカセットケースで、そのリ
ボン収納部（２）に、インクリボン（３）が折り畳んで
繰り込んであり、１対の繰り込みローラ（４）の間を通
されている。

【００２１】インクリボンは、６，６ナイロンのファブ
リック地に難揮発性のインクを浸み込ませたものが用い
られており、インクリボンは、走行経路順に説明する
と、リボン収納部（２）から引き出され、板バネ（５）
とカセットケースとの間にリボンを挟んだバックテンシ
ョン付勢手段部を通過し、カセットケースに設けられた
３カ所のリボンパス規制部（６）を通り、バックテンシ
ョンが倍加される。そして、メビウス反転部（７）によ
りメビウスループが反転され、リボン引き出し口（８）
から印字ヘッド（図示せず）に導かれ、リボン取り入れ
口（９）よりカセット内に戻され、繰り込みローラ
（４）の間を通り、リボン収納部（２）に収納される。
この一連の動作は、リボンを挟んだ１対の繰り込みロー
ラ（４）によってリボン搬送が行われる。

【００２２】図１において、リボンパスルートにおける
リボンパス規制部とバックテンション付勢手段の位置関
係は、バックテンション付勢手段を境にリボンパス規制
部が上流側に１カ所、下流側に４カ所設けられている。

【００２３】図２においては、バックテンション付勢手
段を境にリボンパス規制部が上流側に１カ所、下流側に
５カ所設けられている。

【００２４】図３においては、バックテンション付勢手
段を境にリボンパス規制部が上流側に１カ所、下流側に
３カ所設けられている。

【００２５】図４は、従来のインクリボンカセットの一
例である。バックテンション付勢手段が、リボン引き出
し口近傍に設けられており、そのより下流側にはリボン
パス規制部がなく、上流側には１カ所設けられているだ
けである。この際、比較的強力なバックテンションを得
ようとすると、バネの強度を上げる必要があり、カセッ
トケースが曲がってしまったり、製造時やリボン交換時
にリボンが通しにくく、問題が生じやすいものである。

【００２６】本実施例のインクリボンカセットにおい
て、リボンパス規制部（６）はカセットケースに一体に
設けられており、ＡＢＳ樹脂を用いた射出成形により形
成されている。表面摩擦係数は組み合わせ材料にナイロ
ンを用い、面間圧力、摩擦速度、温度、湿度はそれぞれ
０．３８ｋｇｆ／ｃｍ²、６．２ｃｍ／ｓｅｃ、２０
℃、６０％ＲＨの条件下で０．１９１であった。また、
メビウス反転部（７）は、反転部の一部がカセットケー
スカバー（図示せず）に設けられており、ポリカーボネ
ート樹脂により形成されている。表面摩擦係数は上記と
同条件で０．１２９であった。これによりリボンパス規
制部は良好なバックテンションの倍加効果を示し、メビ
ウス反転部は必要以上に摩耗することもなく、良好な摺
動性を得ることが出来た。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のインクリ
ボンカセットは、カセットケースのリボン収納部にエン
ドレスインクリボンを折り畳み収納し、カセットケース
の特定位置にリボンパス規制部とバックテンション付勢
手段を設けた構成になっているので、比較的強力な走行
負荷、つまりバックテンションを得ることができ、かつ
そのバックテンションが安定しているので、高品位な印
字物を得ることが出来るインクリボンカセットを得るこ
とができる優れた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のインクリボンカセットのケースカバー
を外した状態での一例を示す斜視図（メビウス反転部あ
り）

【図２】本発明のインクリボンカセットのケースカバー
を外した状態での別の一例を示す斜視図（メビウス反転
部なし）

【図３】本発明のインクリボンカセットのケースカバー
を外した状態での別の一例を示す斜視図（メビウス反転
部あり）

【図４】従来のインクリボンカセットのケースカバーを
外した状態での一例を示す斜視図（メビウス反転部あ
り）

【符号の説明】

１ カセットケース ２ リボン収納部 ３ エンドレスインクリボン ４ 繰り込みローラ ５ 板バネ（バックテンション付勢手段） ６ リボンパス規制部 ７ メビウス反転部 ８ リボン引き出し口 ９ リボン取り入れ口

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 カセットケースにループ状のエンドレス
   インクリボンを折り畳み収納するリボン収納部とインク
   リボンと交差する方向でカセットケースに少なくとも２
   カ所以上設けられたリボンパス規制部とバックテンショ
   ン付勢手段とを少なくとも設け、リボンパス規制部がバ
   ックテンション付勢手段を境にリボン走行下流側に多く
   設けられていることを特徴とするインクリボンカセッ
   ト。
2. 【請求項２】 メビウスループをなすエンドレスインク
   リボンを用いるカセットに、インクリボンの表裏を反転
   させるメビウス機構を設けたインクリボンカセットにお
   いて、メビウス機構のメビウス反転部材がカセットケー
   スのリボンパス規制部と別部材で設けられており、両者
   の材質の表面摩擦係数がメビウス反転部材よりリボンパ
   ス規制部の方が大きいことを特徴とする請求項１に記載
   のインクリボンカセット。
3. 【請求項３】 リボンパス規制部を含むカセットケース
   がＡＢＳ樹脂、メビウス反転部材がポリカーボネート樹
   脂で成形されていることを特徴とする請求項１または２
   にに記載のインクリボンカセット。