JP2000179843A - バーナ燃焼診断装置 - Google Patents

バーナ燃焼診断装置

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JP2000179843A JP10351661A JP35166198A JP2000179843A JP 2000179843 A JP2000179843 A JP 2000179843A JP 10351661 A JP10351661 A JP 10351661A JP 35166198 A JP35166198 A JP 35166198A JP 2000179843 A JP2000179843 A JP 2000179843A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バーナ火炎の状態を評価することにより、火
炎の保炎状態の良否等の燃焼状態を診断すること。 【解決手段】 バーナ火炎の発光を受光する複数の視野
を持つ光プローブと、火炎の発光を視野毎に所定の数点
の波長の単色光に分光して電気信号に変換する分光分析
部と、所定の数点の波長の単色光強度から視野毎の火炎
温度と燃焼生成ガスの吸収・放射スペクトル強度を計算
する計算手段と、を備えたバーナ火炎の燃焼状態を診断
する診断装置であって、火炎温度と燃焼生成ガスの光吸
収・放射スペクトル強度の時間的な変動を視野毎に周波
数分析する周波数分析手段を有し、各視野毎の変動の周
波数分布と周波数分布の視野間での差異を基準燃焼状態
時の値と比較してバーナ火炎の燃焼状態を評価する評価
手段を有すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発電用火力プラン
ト等の燃焼炉内バーナ火炎の燃焼状態を監視する装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の火力発電用ボイラでは、環境対策
等の面から、ボイラ等の燃焼装置においては窒素酸化
物、すす並びに一酸化炭素を極力発生させないことが望
まれている。このような燃焼状態を形成するためには燃
焼炉内で燃料と空気が適度に混合するバーナ火炎を形成
し、これにより燃焼炉内に極端な高温度領域及び極端な
低温度領域を形成させないことが必要である。このよう
な燃焼状態の監視を行う装置の一つにバーナの燃焼火炎
からの発光を所定の数点の波長について分光分析(発光
スペクトル分析)した結果から燃焼状態を診断する、特
開平04−270820号公報に記載の燃焼診断装置が
ある。
【0003】従来の燃焼診断装置の構成例を図9に示
す。図9に示した燃焼診断装置では、バーナ1に取り付
けられ、火炎2の軸方向の異なる3領域から発せられる
火炎発光を受ける3本の光ファイバからなる視野を3つ
(視野a、視野b、視野c)有した光プローブ3、光プ
ローブ3で受けた火炎発光を伝送する3芯光ファイバケ
ーブル4、3芯光ファイバケーブル4により伝送された
各視野の火炎発光をそれぞれ所定の波長について分光分
析する分光分析部101、分光分析部101の分析結果
をもとに火災の燃焼状態を評価する指標を計算し診断を
行う計算機5、から主に構成される。
【0004】光プローブ3は受光端の曲げ角が異なる3
本の光ファイバからなっており、この光ファイバの曲げ
角によりバーナ火炎の異なる3領域を監視する機能(3
視野)を持つ。視野aが火炎2の根元領域、視野bが火
炎中央領域、視野cが火炎先端領域をそれぞれ監視す
る。
【0005】燃焼診断装置は、分光分析の結果から、火
炎の発光のうち火炎中の炭素質粒子(スート等)による
固体発光の灰色近似性をもとに火炎温度を計算し、ま
た、水蒸気、炭酸ガス等の燃焼生成ガスによる赤外線ガ
ス吸収・放射スペクトル強度の状況を分析することによ
りバーナ火炎の状態をとらえ、燃焼状態を評価・診断す
るものである。図10に微粉炭燃焼火炎の分光放射特性
例を示す。
【0006】図10において、0.6μmより長波長側
には火炎中の炭素質粒子(スート等)の固体粒子の発光
による連続スペクトルが見られ、この連続スペクトル上
に1.4μm近傍に水蒸気の赤外線ガス吸収による発光
スペクトル強度の減少が見られる。炭素質粒子は黒体に
近い発光特性を有しており一般に放射率が波長に対して
一定とした灰色体として扱うことができる。灰色体の波
長と単色放射エネルギー(単色発光スペクトル強度)の
関係はPlanckの式により温度の関数として与えら
れるため、分光分析結果から所定の2波長の単色発光ス
ペクトル強度の比率から火炎温度を計算可能である(2
色温度計の原理による)。
【0007】1.4μm近傍における発光スペクトル強
度の減少は光プローブ3と火炎2の間に存在する燃焼排
ガス中の比較的低温な水蒸気によって特定の波長帯
(1.4,1.9,2.7μm等)に限って火炎からの
光が吸収された結果生じたものである。また、この同波
長帯に水蒸気のガス放射も存在しており、この1.4μ
m近傍における発光スペクトル強度の減少は、火炎中の
高温燃焼生成水蒸気によるガス放射及び火炎近傍の燃焼
排ガス中の低温水蒸気によるガス吸収が重なり合ったも
のである(これ以外にも、より長波長側に二酸化炭素に
よる同様のガス吸収・放射帯が存在する)。
【0008】水蒸気等のガス吸収・放射スペクトル強度
は、ガス吸収・放射波長の近傍でかつその影響を受けな
い数点の波長から背景となるスートの固体放射のガス吸
収・波長帯における値を近似し、この値とガス吸収・放
射帯における単色発光スペクトル強度の比率から、Be
erの吸収則により吸収係数をもとめ、水蒸気等のガス
吸収・放射スペクトル強度の状況を定量化して火炎の状
態の評価指標としている。
【0009】図9の燃焼診断装置の計算機5において
は、処理1において図9の分光分析部101の分光分析
結果から火炎の燃焼状態の評価値として上記の火炎温度
と水蒸気等のガス吸収・放射スペクトル強度の状況(吸
収係数)を光プローブ3の各視野ごとに計算し、処理2
において評価値の時間的な変動を加算平均あるいは移動
平均等により平滑化し評価値の平均値レベルを求め、処
理3において基準燃焼状態における評価値(基準値)と
の偏差を分析し、処理4において評価値の現在値と基準
値に有意差が認められるか否かにより対象バーナ火炎の
異常・正常を判定し、異常と判定される場合は評価値と
燃焼条件の因果関係のデータベースをもとに異常の要因
を推定する燃焼診断を行う。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】複数本のバーナからな
るマルチバーナ炉であり、個々のバーナ火炎も大規模で
ある火力発電用ボイラにおいては、実験・研究規模の単
一かつ小規模火炎と比較し火炎発光状態の時間的な変動
が大きく、このため、火炎発光の分光分析結果をもとに
計算される火炎温度等の評価値も時間的に変動が大き
い。特に微粉炭燃焼火炎では、ミルにより粉砕された微
粉炭をバーナへ送る送炭管の中での微粉炭の偏流状態に
よって火炎の状態が変動するため、油やガス火炎と比較
して火炎発光及びその分光分析により計算される火炎温
度等の評価値の変動が大である。
【0011】また、光プローブによって受光される光量
(光プローブによって観測される火炎輝度)の変動の要
因としては、特に微粉炭焚き火炎で顕著であるが、燃焼
により生成されたすすを含む排ガスが光プローブの視野
内を流れることにより火炎からの光が遮られることによ
って生じる予測困難な受光量変動がある。
【0012】従来、この変動のため瞬時瞬時の評価値を
用いることが困難であり、平均化により時間的な変動を
平滑化し、平滑化後の評価値をもとにバーナ火炎の燃焼
状態の診断を行っていた。しかしながら、この平滑化に
おいても周期の短い変動(比較的高周波数の変動)の抑
制は容易であっても周期の長い(低高周波数)変動の抑
制は容易ではなく、また一般にこの周期の長い変動のほ
うが変動の振幅が大きい。
【0013】バーナ火炎の燃焼状態において、燃焼空気
と微粉炭等の燃料が適切に混合するように火炎の保炎が
良好に保たれていることが重要である。保炎が悪く燃焼
空気が燃料と適切に混合していない場合、火炎は拡散ぎ
みになりCO、煤塵等の環境汚染物質生成の要因とな
る。バーナ火炎の燃焼状態を監視・診断する上で保炎状
態の良否の判定は重要である。
【0014】保炎が悪くなり、燃焼空気と燃料が適切に
混合しなくなると、火炎の輝度や火炎温度等のレベルも
それに応じて変化するが、視野内の火炎発光状況の空間
的、時間変動も大きくなるため火炎温度等の変化分が変
動レベルに埋もれ、大きく状態がかわらないか、あるい
は比較的長時間の監視を行わないと状態変化を検知でき
ない問題があった。
【0015】火炎の保炎性評価に関する公知例として
は、特開平4−186014号公報「火炎分光診断装
置」がある。特開平4−186014号公報「火炎分光
診断装置」は、ガスタービン燃焼器のガス焚き火炎にお
いて保炎器付近のOHラジカル発光分布をOH発光波長
帯のみを選択的に透過する光学フィルタを通したのち画
像計測し、代表的な数点を選びOHラジカル発光の輝度
の時間変動を計測し、2点間での相互相関計算を行い、
火炎の変動特性を判定し保炎性を評価するものである。
【0016】この公知例では、対象がガスタービン燃焼
器のガス焚き火炎であることから、火力発電用ボイラに
おいて主力になっている微粉炭焚きの火炎と比較して燃
焼によるすすの生成がきわめて少ないため、火炎の発光
をとらえる光プローブ受光端の汚れ等による受光量の変
化や、光プローブの観測視野内を黒煙やすすを含んだ燃
焼排ガスが流れることによるランダムな受光量変化の影
響がきわめて少ない。
【0017】このため、分析した輝度(この公知例では
OHラジカル発光波長帯の輝度)は、すすや排ガスによ
る外乱の影響を受けず、火炎からの情報をそのままの形
でとらえることができる。外乱の影響を受けにくいた
め、計測した数点の観測点の輝度の時間変動の相互相関
係数の計算結果にも信頼性が高い。
【0018】一方、本発明が対象とする火力発電用ボイ
ラのバーナ火炎、特に微粉炭火炎においては、観測され
る輝度にすすや排ガス等による外乱の影響が強く、単に
観測される輝度及びその時間変動を用いて、特開平4−
186014号公報記載のように火炎の状態を評価する
ことは困難である。
【0019】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は主として次のような構成を採用する。
【0020】バーナ火炎の複数の領域から発せられる火
炎発光を受光する複数の視野を持つ光プローブと、前記
光プローブによって受光した複数の視野からの火炎の発
光を、視野毎に、火炎中の炭素質粒子の発光を分析する
波長と燃焼生成ガス固有の光吸収・放射スペクトル帯の
波長を含む所定の数点の波長の単色光に分光して電気信
号に変換する分光分析部と、前記分光分析部により分析
した所定の数点の波長の単色光強度から視野毎の火炎温
度と燃焼生成ガスの吸収・放射スペクトル強度を計算す
る計算手段と、を備えたバーナ火炎の燃焼状態を診断す
る診断装置であって、前記火炎温度と燃焼生成ガスの光
吸収・放射スペクトル強度の時間的な変動を視野毎に周
波数分析する周波数分析手段を有し、各視野毎の変動の
周波数分布と前記周波数分布の視野間での差異を基準燃
焼状態時の値と比較してバーナ火炎の燃焼状態を評価す
る評価手段を有するバーナ火炎の燃焼診断装置。
【0021】また、前記燃焼診断装置において、前記火
炎温度と燃焼生成ガスの光吸収・放射スペクトル強度の
各視野毎の時間的な変動の周波数分布と前記変動周波数
分布の視野間の差異を火炎点火時の値より定めたしきい
値レベルと比較することにより、火炎の点消火判定を行
う火炎検出機能を有するバーナ火炎の燃焼診断装置。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態に係るバーナ燃
焼診断装置を図1〜図8をもちいて以下説明する。図1
は火炎の燃焼状態を評価する指標を計算し診断を行う計
算機における処理の流れを示す図である。即ち、図1は
図9に示した計算機5内の処理の流れを改良したもので
ある。
【0023】図1の処理1において、バーナ火炎発光の
分光分析結果から各視野(図9の視野a,視野b,視野
c:視野aが火炎根元領域、視野bが火炎中央領域、視
野cが火炎先端領域に対応)の火炎温度、ガス吸収・放
射スペクトル強度の状況(吸収計数)を従来技術と同様
にして計算する。本実施形態ではガス吸収・放射スペク
トル強度として図10の分光放射特性に示した1.4μ
m帯の水蒸気による吸収・放射スペクトル強度を用いて
おり、以下これを水蒸気吸光度と定義して記述する。
【0024】処理2−1においては、従来技術と同様に
各視野の評価値の平滑化を行い平均値レベルを求める。
処理2−2においては、処理1において計算した各視野
の評価値(火炎温度、水蒸気吸光度)の変動状況をFF
T(高速フーリエ変換)アルゴリズムにより解析し、評
価値変動の周波数スペクトルを分析する。
【0025】処理3においては、基準燃焼状態における
評価値(基準値)と現在の評価値(処理2−1における
評価値の平均レベル)との偏差、及び基準値の変動の周
波数スペクトルと処理2−2において分析した現在値の
変動の周波数スペクトルとの差異を分析する。
【0026】処理4においては、現在の評価値の平均値
と基準値に有意差が認められるか否か、並びに現在の評
価値の変動の周波数スペクトルと基準値の変動の周波数
スペクトルに有意差が認められるか否か、により対象バ
ーナ火炎の異常・正常を判定し、異常と判定される場合
は評価値及びその変動周波数スペクトルと燃焼条件の因
果関係のデータベースをもとに異常の要因を推定する。
【0027】そして、図1の処理2−2において分析し
た評価値(火炎温度、水蒸気吸光度)の変動周波数スペ
クトルの例を図2〜図5に示す。図2は保炎良好時の火
炎温度の変動周波数スペクトルであり、図3は燃焼空気
の旋回を弱め保炎が不良になったときの火炎温度の変動
周波数スペクトルである。
【0028】同様に、図4は保炎良好時の水蒸気吸光度
の変動周波数スペクトル、図5は保炎不良時の変動周波
数スペクトルである。図2と図3の比較、及び図4と図
5を比較してわかるように、火炎温度、水蒸気吸光度と
も燃焼空気の旋回力が弱まり保炎が不良になることによ
り、視野b(火炎中央領域)、視野c(火炎先端領域)
の変動の周波数スペクトルの0.01Hz〜0.1Hz
の成分が増加し、視野a(火炎根元領域)では変化無
い。直流に近いより低い周波数での変動成分は保炎状態
の変化による差異は顕著にあらわれていない。
【0029】これは、前述したように直流に近い低い周
波数成分(図1の処理2−1で求める評価値の平均値レ
ベルに相当)では微粉炭の給炭状況(送炭管内の偏流)
等の火炎全体規模の変動の影響を強く受けるため差異が
現れにくいが、より高い周波数領域の変動は観測視野内
の局所的な燃料と空気の混合状態の影響が強くあらわ
れ、保炎状態の悪化にともない増加するためである。
【0030】また、燃焼空気は火炎の軸方向に対し外周
方向から供給されることから、火炎軸方向の分布で見る
と、火炎根元(視野a)よりも、火炎中央(視野b)及
び先端(視野c)領域において燃料と混合するため、保
炎状態の影響は、火炎中央及び先端領域(視野b及び視
野c)において顕著であり、火炎根元領域である視野a
では小さい。
【0031】図1の処理2−2において、図2〜図5に
示すような各視野の評価値(火炎温度、水蒸気吸光度)
の変動の周波数スペクトルを分析し、その結果と処理2
−1の結果である各視野の評価値の平均値レベルを処理
3において、基準値と比較する。この処理3において、
平均値レベルでは値の変動が大きく基準値との有意差が
認められない場合でも、評価値の変動の周波数スペクト
ルのうちより高い周波数成分(本実施形態においては、
0.01〜0.1Hz帯域)のレベルが視野b、視野c
(火炎中央、先端領域)において基準値の変動の周波数
スペクトルと差異があり、視野a(火炎根元領域)では
差異がない場合、保炎状態の変化と推定でき、基準値と
の差異の方向性(+−)により基準状態の火炎に対して
保炎強あるいは保炎低を診断することができる。
【0032】また、通常安定している火炎根元領域であ
る視野aの変動の周波数スペクトルが基準値の変動の周
波数スペクトルと大きく異なる場合、着火の不安定、ブ
ラックスカート形成と診断することができる。
【0033】ブラックスカート形成時の火炎温度の変動
周波数スペクトル例を図6に示す。火炎の根元領域に燃
料(微粉炭)の燃えていない領域が形成されるため、図
2と比較してわかるように視野aの火炎温度の変動周波
数成分が小さくなる。ただし、ブラックスカート形成時
においてもブラックスカート領域の空間的変動により光
プローブ視野に火炎が捉えられるため、直流に近い低周
波数領域の変動成分は比較的レベルが高い。
【0034】本発明の他の効果として、評価値(火炎温
度、水蒸気吸光度)の変動の周波数スペクトル分析より
火炎検出が可能になる。図7及び図8に自火炎が消火
し、対向火炎が点火している時の火炎温度、水蒸気吸光
度の変動周波数スペクトルを示す。自火炎が消火してい
ても対向火炎や炉壁からの輻射を受光することにより、
火炎温度は自火炎点火時と大差ない値を示し、また、水
蒸気吸光度も対向火炎中の燃焼生成高温水蒸気によるガ
ス放射及び燃焼炉内排ガス中水蒸気によるガス吸収の影
響により自火炎点火時と大差ない値を示す。
【0035】しかしながら、図7、図8に示すように自
火炎消火時は、図2〜図5に示した自火炎点火中の評価
値の変動周波数スペクトルと比較し、全視野とも点火中
には顕著であった比較的高い周波数(本実施形態におい
ては約0.01〜0.1Hzの帯域)の変動成分が失わ
れ、また、視野間(視野a,b,c)の分布が失われ
る。
【0036】これは、自火炎点火中は図9の光プローブ
3の近傍にバーナ火炎が存在するため、光プローブ3を
構成する光ファイバの受光角(光ファイバの開口数は
0.2程度)による観測視野面積の広がりが小さく、自
火炎の部分的な領域からの放射を選択的に受光すること
ができるが、光プローブ近傍にある自火炎が失われた場
合、より離れた対向バーナ火炎や炉内浮遊粒子の放射を
視野面積の広がった状態で光プローブが受光するため、
比較的高い周波数での変動は打ち消され、対向火炎のゆ
らぎなど直流レベルに近い低周波数の変動成分のみが検
出されるためである。
【0037】したがって、評価値(火炎温度、水蒸気吸
光度)の変動周波数スペクトルのうち比較的高い周波数
成分(例えば0.01〜0.1Hz)が火炎点火中のレ
ベルから定めたしきい値より低く、かつ視野間での分布
が失われた場合、失火と判定でき、火炎検出機能を燃焼
診断装置に併せ持つことができる。
【0038】以上説明したように、本発明の実施形態は
次のような構成と機能並びに作用を奏するものを含むも
のである。
【0039】火炎発光の分光分析によって得られる火炎
温度、燃焼生成ガスによる吸収・発光スペクトル強度の
変動の周波数特性を分析し、特定の周波数帯域のレベル
及びその視野分布(火炎軸方向分布)から火炎の状態、
特に保炎状態の変化を検知することにより、バーナ火炎
の燃焼診断を行おうとするものである。
【0040】この際、燃焼空気と燃料が適切に混合しな
くなり、火炎の保炎状態が不良になると火炎が拡散ぎみ
になることから、火炎発光状況の空間的、時間的変動が
増加する。また、燃焼空気は火炎の軸方向に対し外周方
向から供給されるため、火炎軸方向の分布で見ると火炎
根元よりも、火炎中央及び先端領域において燃料と混合
するため、保炎状態の良否による火炎発光状況の変動
は、火炎中央及び先端領域において顕著である。
【0041】火炎発光状況の変動を表す指標としては単
に火炎の輝度の変動を用いても原理的には良いが、実際
の装置構成においては例えば図9の光プローブ3のよう
に光ファイバの曲げ角により観測視野を設定している場
合、光ファイバの曲げ角により光の伝送損失が異なるた
め、この光プローブを経由して受光した火炎の輝度は実
際とは異なり、したがって輝度変動レベルの視野分布も
実際とは異なる。
【0042】また、最近の火力発電用ボイラにおいて主
となっている微粉炭焚き火炎では、すすの付着による光
プローブ端面の汚れや、すすを含む排ガスが視野内を流
れることによって予測困難な輝度の変動が生じる。この
ことから装置構成及び実際の運用を考えた場合、火炎発
光状況の変動を表す指標として単に輝度を用いるのは不
適切である。
【0043】このため、火炎発光の分光分析結果から前
記従来の構成で記述したように複数波長の単色光スペク
トル強度(単色輝度)比率をもとに計算し、受光した火
炎の輝度レベルそのものにはよらない指標である火炎温
度及び燃焼生成ガスによるガス吸収・発光スペクトル
(吸収係数)の変動を用いるのが適当である。
【0044】観測される変動の周波数は、火炎全体規模
の変動や局所的な燃料と空気の反応等に起因する変動の
影響を受け、低周波数から比較的高い周波数まで連続し
て存在する(周波数レンジは装置のサンプリング周波数
など応答特性にも依存する)。このうち直流レベルに近
い比較的低い周波数での変動レベルは、微粉炭の給炭状
況(送炭管内での偏流によるバーナ出口での微粉炭分布
状況の変化)や炉内圧の変動等による火炎全体規模の変
動や光プローブの視野内をすすを含んだ排ガスが流れる
ことによる視野遮蔽の影響が強く、通常の状態での変動
レベルと区別が困難である。
【0045】しかし、比較的高い周波数での変動レベル
は観測視野内の局所的な燃料と空気の混合状態の影響が
強くあらわれ(火炎全体規模での変動は直流に近い低周
波数側で顕著であり、比較的高い周波数領域では生じに
くい。このため、相対的に比較的高い周波数領域におい
て燃料と空気の局所的な混合状態の変化による変動が顕
著になる)、保炎状態の悪化にともない増加する。ま
た、この変動レベルの火炎軸方向視野分布は、前述のよ
うに保炎状態の変化に伴って火炎根元領域では差異が小
さく、火炎中央、先端領域において差異が大となる分布
を持つ。
【0046】したがって、火炎発光の分光分析結果から
得られる火炎温度、燃焼生成ガスによるガス吸収・放射
スペクトル強度の変動の周波数特性の比較的高い周波数
帯域のレベル及びその視野分布(火炎軸方向分布)を分
析することにより、火炎の保炎状態の良否を診断できる
装置を提供することができる。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、火炎発光の分光分析結
果から得られる火炎温度、燃焼生成ガスによるガス吸収
・放射スペクトル強度の変動周波数をスペクトル分析
し、その周波数分布特性、特に比較的高い周波数帯域の
レベルとその火炎軸方向分布である観測視野分布を用い
てバーナ火炎の状態を評価することにより、火炎の保炎
状態の良否等の燃焼状態を診断できる装置を提供でき
る。
【0048】また、同様の手法により火炎の点消火判定
を行う火炎検出機能もあわせて提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る、火炎の燃焼状態を評
価する指標を計算し診断を行う計算機における処理の流
れを示す図である。
【図2】保炎良好時の火炎温度の変動の周波数スペクト
ルを示した図である。
【図3】保炎不良時の火炎温度の変動の周波数スペクト
ルを示した図である。
【図4】火炎良好時の水蒸気吸光度の変動の周波数スペ
クトルを示した図である。
【図5】火炎不良時の水蒸気吸光度の変動の周波数スペ
クトルを示した図である。
【図6】ブラックスカート形成時の火炎温度の変動のス
ペクトルを示した図である。
【図7】バーナ火炎消火時(対向火炎点火)の火炎温度
の変動の周波数スペクトルを示した図である。
【図8】バーナ火炎消火時(対向火炎点火)の水蒸気吸
光度の変動の周波数スペクトルを示した図である。
【図9】従来技術のおける燃焼診断装置の構成を示した
図である。
【図10】微粉炭バーナ火炎の分光放射特性の一例を示
した図である。
【符号の説明】
1 バーナ 2 火炎 3 光プローブ 4 中継光ファイバ 5 計算機 101 分光分析部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バーナ火炎の複数の領域から発せられる
    火炎発光を受光する複数の視野を持つ光プローブと、 前記光プローブによって受光した複数の視野からの火炎
    の発光を、視野毎に、火炎中の炭素質粒子の発光を分析
    する波長と燃焼生成ガス固有の光吸収・放射スペクトル
    帯の波長を含む所定の数点の波長の単色光に分光して電
    気信号に変換する分光分析部と、 前記分光分析部により分析した所定の数点の波長の単色
    光強度から視野毎の火炎温度と燃焼生成ガスの吸収・放
    射スペクトル強度を計算する計算手段と、 を備えたバーナ火炎の燃焼状態を診断する診断装置であ
    って、 前記火炎温度と燃焼生成ガスの光吸収・放射スペクトル
    強度の時間的な変動を視野毎に周波数分析する周波数分
    析手段を有し、 各視野毎の変動の周波数分布と前記周波数分布の視野間
    での差異を基準燃焼状態時の値と比較してバーナ火炎の
    燃焼状態を評価する評価手段を有することを特徴とする
    バーナ火炎の燃焼診断装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の燃焼診断装置におい
    て、 前記火炎温度と燃焼生成ガスの光吸収・放射スペクトル
    強度の各視野毎の時間的な変動の周波数分布と前記変動
    周波数分布の視野間の差異を火炎点火時の値より定めた
    しきい値レベルと比較することにより、火炎の点消火判
    定を行う火炎検出機能を有することを特徴とするバーナ
    火炎の燃焼診断装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の燃焼診断装置におい
    て、 前記評価手段は、前記火炎温度と燃焼生成ガスの光吸収
    ・放射スペクトル強度の各視野毎の時間的な変動の周波
    数特性の比較的高い周波数帯域のレベル及び火炎軸方向
    の視野分布を分析することにより火炎の保炎状態の良否
    を診断することを特徴とするバーナ火炎の燃焼診断装
    置。
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