JP2000178091A - 緩効性有機液体複合肥料およびその製造方法 - Google Patents

緩効性有機液体複合肥料およびその製造方法

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    • C05G5/00Fertilisers characterised by their form
    • C05G5/20Liquid fertilisers
    • C05G5/23Solutions

Abstract

(57)【要約】 【課題】農作物の生育に必要な肥料成分がバランス良く
含まれ、高品質の農作物を省力栽培することができ、か
つ緩効性で自然にもやさしい肥料を提供する。 【解決手段】鰹ソリュウブルをプロテアーゼで処理する
ことによりアミノ酸に富む有機消化液を得る。この有機
消化液と尿素とホルムアルデヒドと水酸化カリウムとア
ンモニア水との混合液を加熱して緩効性有機液を得る。
得られた緩効性有機液に、水と燐酸二水素カリウムと水
酸化カリウムとトリポリ燐酸カリウムとの混合物である
燐酸及びカリウム成分含有水溶液を混合して目的の緩効
性有機液体複合肥料を得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、緩効性であり、付
加価値の高い有機成分を含み、しかも高肥料成分の緩効
性有機液体複合肥料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】農作業の省力化や過剰肥料の抑制のため
に使用される緩効性肥料は、肥料の窒素成分が土壌中等
で緩やかに無機化し農作物に吸収されるようになってお
り、通常の肥料形態は固形粒状品となっている。このよ
うな形態の肥料は、土壌施用が主であり葉面散布や養液
栽培等の要素には使用困難という問題がある。
【0003】これに対して、特開平8−290987号
公報には、尿素とホルムアルデヒドを中性〜酸性領域で
反応させて生成する尿素樹脂を微粒化し、水に懸濁させ
た液状の緩効性肥料が開示されている。このような緩効
性液体肥料は尿素−ホルムアルデヒド縮合物によって緩
効度は向上しているが、沈澱を生じないように懸濁させ
るには限界があり高成分肥料は望めない。
【0004】また、従来の緩効性肥料は化学肥料といわ
れるもので、農作物に有効に働き、かつ施用された土壌
にも好結果を示す有機物は含まれていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の緩効性
液体肥料は、尿素由来の窒素成分が主であり、植物の生
育に必要な燐酸及び加里成分が含まれていないため、こ
れらの肥料成分を別途、施用しなくてはならないという
問題点があった。
【0006】また、従来の緩効性液体肥料は含有成分量
が低いため、多量に施用しなくてはならないという問題
点もあった。
【0007】本発明は、このような問題点を解決するも
のであり、その目的は農作物の育成に必要な肥料成分が
高濃度にバランス良く含まれており、しかも、緩効性を
持った緩効性有機液体複合肥料と、その製造方法を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明のうち、請求項1記載の発明は、緩効性有
機液体複合肥料を、アミノ酸含有の有機消化液と尿素と
ホルムアルデヒドとの混合物をアルカリ性下で加熱して
得られる緩効性有機液と、燐酸及びカリウム成分含有水
溶液とで構成したことを特徴とする。
【0009】請求項2記載の発明は、鰹ソリュウブルか
ら有機消化液を得る工程、得られた有機消化液と尿素と
ホルムアルデヒド混合物をアルカリ性下で加熱して得ら
れる緩効性有機液を得る工程、及び得られた緩効性有機
液に燐酸及びカリウム成分含有水溶液を混合する工程と
の三工程を包含することを特徴とする緩効性有機液体複
合肥料の製造方法である。
【0010】請求項3記載の発明は、上記請求項2記載
の方法において、有機消化液を得る工程を、鰹ソルュウ
ブル液にプロテアーゼを添加したものを、加熱処理する
ことにより得られた透明液部を分取するものと、限定し
たことを特徴とする。
【0011】請求項4記載の発明は、上記請求項2記載
の方法において、緩効性有機液を得る工程で、水酸化カ
リウムとアンモニア水を添加したことを特徴とする。
【0012】請求項5記載の発明は、上記請求項2記載
の方法において、緩効性有機液に燐酸及びカリウム成分
含有水溶液を混合する工程で、混合後の液のpHが8以
上となるように、予めカリウム成分含有水溶液のpHを
燐酸二水素カリウムと水酸化カリウム及びトリポリ燐酸
カリウムとで調整したことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0014】まず、本発明の緩効性有機液体複合肥料
は、アミノ酸含有の有機消化液と尿素とホルムアルデヒ
ドとの混合物をアルカリ性下で加熱して得られる緩効性
有機液と、燐酸及びカリウム成分含有水溶液とで構成さ
れている。
【0015】上記の緩効性有機液体複合肥料の製造は、
鰹ソリュウブルから有機消化液を得る工程と、得られた
有機消化液と尿素とホルムアルデヒド混合物をアルカリ
性下で加熱して得られる緩効性有機液を得る工程、及び
得られた緩効性有機液に燐酸及びカリウム成分含有水溶
液を混合する工程の三つの工程で行われる。
【0016】上記の有機消化液を得る工程としては、例
えば、鰹ソルュウブル液にプロテアーゼを添加し、これ
を加熱することにより、得られた透明液部を分取する方
法がある。
【0017】上記の緩効性有機液を得る工程としては、
例えば、上記の有機消化液に尿素とホルムアルデヒドを
混合し、これに水酸化カリウムとアンモニア水を添加し
たうえで煮沸する方法がある。
【0018】なお、上記の緩効性有機液に燐酸及びカリ
ウム成分含有水溶液を混合する工程においては、混合後
の液のpHが8以上となるように、予め混合されるカリ
ウム成分含有水溶液のpHを、燐酸二水素カリウムと水
酸化カリウム及びトリポリ燐酸カリウムなどで調整して
おくことが望ましく、このことにより、良好な結果が得
られた。
【0019】次に本発明の緩効性有機液体複合肥料の製
造方法を具体的な例を挙げて説明する。
【0020】
【実施例】有機消化液の製造工程は、以下のとおりであ
る。
【0021】鰹ソリュウブルを2倍の重量の水で希釈し
て、鰹ソリュウブルが十分に懸濁するように攪拌する。
この懸濁液に、産業用プロテアーゼを0.01%添加し
て軽く攪拌して均一に混合する。この液を50〜55℃
に2時間以上保ち、以後冷却すると、液は下層の褐色透
明液(約60%)と、上層の未消化粕(約40%)の2
層に分離する。そして下層の褐色透明液を取り出して、
有機消化液とした。
【0022】上記の操作において、未消化粕は熱により
油脂に包含され、上層に浮上すると思われる。従って、
魚油の含有が低い鰹ソリュウブルは使用できない。ま
た、下層の液層は酵素を使用することにより浮遊する低
分子の蛋白質が消化され、より透明な液が得られるとと
もに遊離のアミノ酸も付加されてくる。
【0023】上記工程で得られた有機消化液の分析値を
表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】表1に示された通り、上記の工程で得られ
た有機消化液は、比重1.29、pH6.1であり、液
の組成は水分71%と固形物29%となっていた。固形
物29%の内容は灰分(無機物)5.7%と灼熱残量
(有機物)23.3%であった、肥料成分は窒素(N)
3.4%、燐酸(P)0.7%及び加里(K
O)0.8%であって、窒素分が最も多かった
【0026】緩効性有機液の製造工程は、以下の通りで
ある。
【0027】緩効性有機液の製造原料及び原料量(重量
比)は、上記有機消化液=13、尿素=30)苛性加里
(KOH)=1.5,ホルマリン(37%)=15.
5、アンモニア水=1である。この原料割合は液体肥料
の有機率を上げるために有機消化液を増量するなど、多
少の変更は可能である。
【0028】この原料を混合して加熱して緩効性(尿素
−ホルムアルデヒド縮合体)有機液を得るのであるが、
液のpHをアルカリ性に保って反応を進めて緩効性のあ
る液が得られる。ここでは、肥料成分にもなる苛性加里
を用いて液を十分にアルカリ性にした。アンモニア水は
必ずしも必要でないが、少量添加することにより液の緩
効度が上昇するようである。
【0029】尿素とホルムアルデヒドを完全に縮合させ
るには、尿素1モルに対してホルムアルデヒド1モル以
上を必要とするが、製造する目的が液体肥料であるため
農作物の初期育成に係わる遊離体の尿素及び農作物育成
中に適宜可給化される低縮合尿素が必要であり、かつ、
不必要な遊離のホルムアルデヒドを含まないようにする
ため、ホルムアルデヒド量は、尿素1モルに対し、ホル
ムアルデヒドは0.5モル程度で十分と考えられる。本
実施例では、尿素1モルに対してホルムアルデヒドを
0.53モル用いた。
【0030】この原料による有機緩効液の製造法は、上
記原料混合液を軽く攪拌しながら加熱する、液温が70
℃程度になると尿素等は完全に溶解し透明液になってく
るため、攪拌を中止する。加熱は液が沸騰するまで継続
する。沸騰時間は2分間が最適である。沸騰時間が2分
以下の場合は、尿素−ホルマリンの縮合が十分でなく緩
効性液は得られない。また、2分をすぎると縮合が進み
すぎ沈澱が生じてきて、液体肥料製造には不適当であ
る。このような方法で得られた緩効性有機液には、少量
の粘ちょう物質が含まれている。この粘ちょう物質は、
次の工程で添加する燐酸及び加里成分と反応し沈澱生成
の核となるため、除去する必要がある。このため、液を
冷却後、加熱による液量の減少を水で補正のうえ、濾過
する。
【0031】得られた緩効性有機液には、尿素及びホル
ムアルデヒド由来のメチロール尿素化合物及び低縮合の
メチレン尿素、有機消化液とホルムアルデヒド由来のア
ミノメチレン尿素が生成していると考えられる。又、未
反応の尿素及びアミノ酸等の有機物が含まれていると推
測される。
【0032】燐酸及び加里成分含有液の製造工程は次の
通りである。
【0033】製造原料及び原料の重量比は水=22,燐
酸2水素カリウム(KHPO)=6,水酸化カリウ
ム=7,燐酸=4.5,トリポリ燐酸カリウム(K
10)=0.5である。
【0034】製造方法は、燐酸二水素カリウム,水酸化
カリウム,燐酸及びトリポリ燐酸カリウムを秤取し、こ
れに水と燐酸の溶解液を徐々に添加する。燐酸液の添加
は強い発熱を伴うので注意が必要である。添加終了後、
液量が減少していれば水を加えて補正する。
【0035】トリポリ燐酸カリウムは、次の工程で緩効
性有機液とこの酸・カリウム液を合して、緩効性有機液
体複合肥料を製造した場合、沈澱を生じることがあるた
め、その防止策として添加するものである。
【0036】以上の三工程を経て得られた緩効性有機液
及び加里・燐酸含有液を重量比で6:4の割合で合し
て、目的の緩効性有機液体複合肥料を得る。
【0037】このようにして得られた本発明の緩効性有
機液体複合肥料を肥料分析法で分析した結果を表2に示
す。
【0038】
【表2】
【0039】上記表2に示されたように、本発明方法で
製造された緩効性有機液体複合肥料は、窒素・燐酸・加
里の成分保証量が14−6−9と、高成分となってい
る。
【0040】なお、この成分保証量及び有機物含有割合
は、各工程毎の原料割合を変えることにより、多少は可
能であり、このことで各種成分の肥料が得られる。
【0041】〈土壌中無機化試験〉土壌に尿素を施用す
ると主として微生物の作用により無機化して、先ず、ア
ンモニアが生成し、次いでアンモニアが硝酸に変わって
いく。農作物はアンモニアや硝酸に変わって初めて土壌
から吸収し育成していく。尿素等ではその無機化作用は
極めて速く、窒素成分が農作物に吸収されない前に溶脱
や脱窒作用により多くの部分が失われ肥料の利用率を低
下させている。従って、尿素をホルマリンで処理し、緩
効化し、窒素成分の無機化をコントロールさせ、肥効の
持続性を図ることが重要になってくる。
【0042】本発明の緩効性有機液体複合肥料は、肥料
成分中、最重要成分である窒素を緩効化し、肥効が長続
きするようにしたものである。肥料を土壌に加えて窒素
成分の無機化状況を測定することにより緩効化の状況を
明らかにするために、土壌中無機化試験を、無肥料区を
ブランク及び尿素区を対照として行った。
【0043】土壌中無機化試験は実施例区、尿素区及び
無肥料区を設け、実施した。土壌に添加した肥料量は、
無肥料区を除き窒素成分量150mgに相当する緩効性
有機液体複合肥料及び尿素である。これを土性Lの造成
畑土から得られた風乾細土300gに水70mLととも
に添加してよく混合し、ポリ袋に入れ密封した。そし
て、このポリ袋を35℃の恒温器に入れて所定の日数が
経過する毎に、土壌の水分、pH、電気伝導度、アンモ
ニア態窒素及び硝酸態窒素の分析を行った。その結果
は、表3及び図1〜5に示した通りである。
【0044】
【表3】
【0045】土壌pHは、土壌中にアンモニアが生成す
ると上昇し、アンモニアが硝酸に変わると共に低下して
いく。従って、土壌pHは、無機化状況を間接的に示す
ものである。表3並びに図1に示されたように、日数の
経過と共に無肥料区では余り変化がないのに対し、尿素
及び実施例区では施用後、直ちにpHが上昇し、以後は
低下していくことが確認された。この変化速度は、実施
例区に比べ尿素区の方が速く、実施例区の施用肥料は窒
素分は緩効化していることが伺える。
【0046】土壌の電気伝導度は、土壌中に硝酸が増え
ると上昇してきており、pHとともに無機化状況が間接
的に推定される。
【0047】表3並びに図2に示されるように、無肥料
区の電気伝導度は緩やかに上昇していったのに対し、尿
素区及び実施例区では当初数日間は無肥料区と同様に緩
い上昇であったが、以後は12日頃までは急速に上昇
し、13日以降はまた緩やかな変化に転じた。尿素区と
実施例区では尿素区の方が常に高い値を示し、硝酸の土
壌中への蓄積が多いことが伺われた。
【0048】アンモニアについては、表3並びに図3に
示している。無肥料区においても、土壌中に窒素が少し
残存していて僅かの量が検出され、ほぼ1週間以後は硝
酸に変わってしまい検出されなくなった。尿素区及び実
施例区ではアンモニア化成は極めて速く、1日後におい
て尿素区及び実施例区のそれぞれ100g乾土当たり2
7.6及び19.8mgNのアンモニアが検出された。
アンモニア量はアンモニア化成より硝酸化成速度が大き
いため3日後をピークに急減していき、20日後以降の
検出は微量となっていった。また、検出量は3日以降は
常に尿素区より実施例区が遅れて発現していた。
【0049】また、硝酸についは、表3と図4に示し
た。無肥料区においては硝酸量が緩やかに上昇し最終的
に100g乾土当たりほぼ10mgNが検出され、供試
土中にもかなりの窒素が含まれていたことが示された。
尿素及び実施例区の推移は、3日後まで緩やかに上昇
し、以後13日後まで急上昇した。それ以後の変化は少
なくかなり乱れた結果になったが、これは窒素ガスとな
って脱窒したり、土壌中の微生物が活性化して窒素が再
有機化したためと考えられる。しかし、硝酸化成量はア
ンモニアと同様に実施例区の方が尿素区より常に遅れて
発現し、しかも最終的には実施区の方が高い値を示した
実施例区の緩効性が明らかになっている。
【0050】前述したように農作物に対しての肥効は、
有機体の肥料では土壌中で無機化してアンモニア及び硝
酸に変わって初めて発現されるものである。従って(処
理区のアンモニア+硝酸)−(無肥料区のアンモニア+
硝酸)=無機量を見ることにより肥効の状況を知ること
ができる。この無機化の状況を表3並びに図5に示し
た。無機化量は実施例区は常に尿素区に遅れて発現して
いた。しかし20日以後の発現量は実施例区の方が高く
なり、肥効が長続きすることが示された。
【0051】以上のことから、本発明の緩効性有機液体
複合肥料は緩効性を持ち、しかも無機化窒素の発現が定
常的であり農作物へ好結果を与えるものであることが期
待される。
【0052】〈小松菜の肥効試験〉上述した土壌中無機
化試験の室内試験で、本発明肥料の緩効性が明らかにな
ったので、農作物への効果を確認するため圃場での栽培
試験を行った。
【0053】栽培試験は会社内の造成畑(土性L)で、
粒状の化学肥料を対照区として液体の本発明肥料の実施
例区を設け、1区1.5m、畝間90cm、2連性で
小松菜を栽培して行った。実施例区の施肥量は緩効性有
機液体複合肥料を窒素成分で1アール当たり0.5Kg
とした。この場合、燐酸生成及び加里成分は、1アール
当たりそれぞれ0.21Kg及び0.31Kgとなっ
た。対照区の施肥は実施例区と同量の窒素、燐酸及び加
里成分を尿素、過燐酸石灰及び塩化加里で行った。
【0054】1998年9月22日に、供試肥料を試験
区全面に施用し、作土全層に混和し表面を均平にした
後、直ちに広葉小松菜を播種した。播種密度は株間15
cm、2条千鳥植えとし、1穴に種子を数粒播種した。
【0055】この栽培試験の結果を表4に示す、
【0056】
【表4】
【0057】上記表4に示されたように、小松菜の草丈
及び茎葉重は常に実施区の方が対照区を上回り緩効性有
機液体複合肥料の肥効が大きいことが伺える。
【0058】小松菜の生育の経過を見ると、生育初期に
おいても速効性成分が少ないと思われる実施例区の方が
良く、従って初期生育に必要な速効性肥料成分も十分で
あるうえ生育が対照区を上回っていることから、本発明
の緩効性有機液体複合肥料の有機成分も有効に働いてい
るようである。又、生育後期になっても実施区の生育は
旺盛で肥効の持続性が大きいことが示されている。しか
し、小松菜茎葉中の窒素成分の推移を見ると、生育中期
の窒素含有量がやや低下していて、この一時期肥効が停
滞しているようである。これは、肥効が速効性の部分か
ら緩効性の部分に移る時期に、一時肥効が低下する時期
が存在しているようであるが、この期間は短く、農作物
栽培には支障はないと考えられる。
【0059】この栽培試験の結果から、本発明の緩効性
有機液体複合肥料は、緩効性を有する上、肥効がバラン
ス良く発現していた。従って、農作物栽培において追肥
の回数の低減等も図られ、省力性のある優れた肥料にな
っていると考えられる。
【0060】〈西洋芝の葉面散布試験〉本発明の緩効性
有機液体複合肥料は緩効性を有すると供に、アミノ酸の
有機物やメチロール尿素等の有機物が含まれ、農作物の
品質向上や葉面散布の効果を期待される。
【0061】本発明肥料の農作物に対する葉面散布の効
果を知るため、ワグネルポットを用いた西洋芝で試験を
行った。用いたワグネルポットは1/5000aの大き
さで、1998年8月19日にワグネルポットの下部に
赤玉土0.7Kgを入れ、その上部に基肥として有機配
合肥料(6−6−6)2.3gを混合した芝生の目土
2.3Kgを詰め、西洋芝(ロンググラス)種子2gを
播種した。西洋芝が発芽後、9月9日及び9月22日の
2回刈り取りながら生育を揃え、9月29日から試験を
開始した。
【0062】葉面散布試験は、本発明肥料による実施例
区及び三要素組成が本発明肥料と同一の化学薬品(尿
素、燐酸、苛性加里)液体肥料による対照区を設けて行
った。葉面散布は、ワグネルポット当たり一回窒素40
mgになるように秤取し、水で100mLに希釈し、展
着剤を数滴加え小型散布器で芝にスプレイした。葉面散
布は9月29日、10月13日、10月27日及び11
月11日と2週おきに4回行った。葉面散布したら、一
週間後の10月6日、10月20日、11月4日及び1
1月16日に芝を刈り取り生草重、草色及び窒素含有量
の調査を行った。
【0063】この調査の結果を表5に示す。
【0064】
【表5】
【0065】葉面散布の結果、草色には両試験区に一定
の傾向は見出せなかった。芝の窒素の含有量について
は、対照区の第一回調査が高い含有量を示した以外は、
時期が経過すると共に次第に上昇していったが、両区に
差は見出せなかった。生草重については、各調査時期と
もおおむね実施例区の方が対照区より多少高く、生育が
旺盛で本発明方法で製造された緩効性有機液体複合肥料
の葉面散布の効果が示されたと考えられる。
【0066】
【発明の効果】以上、説明したように本発明の緩効性有
機液体複合肥料は、土壌中における有機態窒素の無機化
を抑制して肥効持続期間を延長することができ、しか
も、有機物を含んでいるため農作物の生育に良い影響を
与えたり、土壌中の微生物の活性化に寄与する等、価値
あるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の緩効性有機液体複肥料の実施例におけ
るpHの経時変化を示すグラフである。
【図2】本発明の緩効性有機液体複肥料の実施例におけ
る電気伝導度の経時変化を示すグラフである。
【図3】本発明の緩効性有機液体複肥料の実施例におけ
るアンモニア態窒素の経時変化を示すグラフである。
【図4】本発明の緩効性有機液体複肥料の実施例におけ
る硝酸態窒素の経時変化を示すグラフである。
【図5】本発明の緩効性有機液体複肥料の実施例におけ
る無機化量の経時変化を示すグラフである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ酸含有の有機消化液と尿素とホル
    ムアルデヒドとの混合物をアルカリ性下で加熱して得ら
    れる緩効性有機液と、燐酸及びカリウム成分含有水溶液
    とからなる緩効性有機液体複合肥料。
  2. 【請求項2】 鰹ソリュウブルから有機消化液を得る工
    程、得られた有機消化液と尿素とホルムアルデヒド混合
    物をアルカリ性下で加熱して得られる緩効性有機液を得
    る工程、及び得られた緩効性有機液に燐酸及びカリウム
    成分含有水溶液を混合する工程との三工程を包含するこ
    とを特徴とする緩効性有機液体複合肥料の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記の有機消化液を得る工程は、鰹ソル
    ュウブル液にプロテアーゼを添加したものを、加熱処理
    することにより得られた透明液部を分取するものである
    ことを特徴とする請求項2記載の緩効性有機液体複合肥
    料の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記の緩効性有機液を得る工程におい
    て、水酸化カリウムとアンモニア水を添加することを特
    徴とする請求項2記載の緩効性有機液体複合肥料の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 上記の緩効性有機液に燐酸及びカリウム
    成分含有水溶液を混合する工程において、混合後の液の
    pHが8以上となるように、予めカリウム成分含有水溶
    液のpHを燐酸二水素カリウムと水酸化カリウム及びト
    リポリ燐酸カリウムとで調整することを特徴とする請求
    項2記載の緩効性有機液体複合肥料の製造方法。
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