JP2000171238A - 遊星歯車装置の性能予測方法 - Google Patents

遊星歯車装置の性能予測方法

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JP2000171238A
JP2000171238A JP10347698A JP34769898A JP2000171238A JP 2000171238 A JP2000171238 A JP 2000171238A JP 10347698 A JP10347698 A JP 10347698A JP 34769898 A JP34769898 A JP 34769898A JP 2000171238 A JP2000171238 A JP 2000171238A
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Michio Shirokoshi
教夫 城越
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Harmonic Drive Systems Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小バックラッシ遊星歯車装置において、歯車
誤差および組立誤差による装置の代表特性への影響を精
度良く予測可能な方法を提案すること。 【解決手段】 遊星歯車装置の性能予測方法は、小バッ
クラッシ遊星歯車装置について、各歯車は片当たりをし
ないで軸直角平面内の運動のみを考えた静的な力のつり
あいモデルを設定し、本モデルを用いて、各種偏心誤
差、歯車の累積ピッチ誤差、遊星軸の位置誤差をシミュ
レーション条件に入れて、各遊星歯車の荷重配分、角度
伝達誤差および太陽歯車の軸直角方向変位といった小バ
ックラッシ遊星歯車装置の各代表特性の計算を行なうも
のである。この予測方法により得られたシミュレーショ
ン結果と実験結果は絶対値、データの形状とも良く一致
しており、シミュレーションモデルの妥当性が確認され
た。すなわち、本発明による予測方法は、各部品精度の
測定誤差の影響を考慮しても、各種誤差が各代表特性に
及ぼす影響を、良好な精度で表現できることが確認され
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遊星歯車装置の性
能予測方法に関するものである。さらに詳しくは、本発
明は、歯車のたわみ量が非常に小さいために歯車誤差お
よび組立誤差を歯のたわみおよび各要素の弾性により緩
和させることが困難な小バックラッシ遊星歯車装置にお
いて、歯車誤差および組立誤差に基づき、最終的に得ら
れる製品の代表特性を予測するのに適した方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】小バックラッシ遊星歯車装置は、一般遊
星歯車装置に比べ、設計上歯車のかみあい部および遊星
歯車軸受部の隙間をつめることが必要になるが、このこ
とによって各遊星歯車への荷重等配および滑らかな回転
を維持することは容易でない。また、隙間が小さいこと
は、遊星歯車装置内の各種誤差に対する太陽歯車の軸直
角方向の補正運動に影響が及ぶものと考えられる。した
がって、各遊星歯車への荷重配分、角度伝達誤差および
太陽歯車の軸直角方向変位は小バックラッシ遊星歯車装
置の代表特性として、設計にあたり十分検討する必要が
ある。
【0003】ここで、小バックラッシ遊星歯車装置は、
内歯車のピッチ円径60mm前後のサイズが最も多く使
われている。このサイズの歯車は定格荷重と歯の曲げば
ねこわさの関係から、歯車のたわみ量が非常に小さいた
め歯車誤差および組立誤差が上述した代表特性に及ぼす
影響を歯のたわみおよび各要素の弾性により緩和させる
ことが難しくなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、小バック
ラッシ遊星歯車装置においては、歯車誤差および組立誤
差が、そのまま、最終製品の各種特性に影響を及ぼすこ
とになる。よって、歯車誤差および組立誤差に基づき遊
星歯車装置の特性を予測できれば、目標とする特性を得
るために必要とされる歯車誤差の許容範囲、組立精度を
求めることができるので極めて便利である。
【0005】遊星歯車の荷重配分、角度伝達誤差および
太陽歯車の軸直角方向変位といった代表特性の関係を解
析することは意義があることと考えられる。また、遊星
歯車の荷重配分、角度伝達誤差および太陽歯車の軸直角
方向変位は、お互いに関連がありこれを体系的に研究す
ることが重要である。
【0006】本発明の課題は、この点に鑑みて、遊星歯
車装置の歯車誤差および組立誤差に基づき、最終製品と
しての遊星歯車装置の代表特性を精度良く予測すること
のできる方法を提案することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明は、遊星歯車装置の歯車誤差および組立誤
差に基づき、少なくとも、当該遊星歯車装置における各
遊星歯車への荷重配分、角度伝達誤差、および太陽歯車
の軸直角方向変位を予測する遊星歯車装置の性能予測方
法において、前記遊星歯車装置の静的な力学モデルを想
定し、当該遊星歯車の誤差として、少なくとも、太陽歯
車の組立時の回転振れと、各遊星歯車の加工時の偏心誤
差と、太陽歯車の組立時の偏心誤差と、各遊星歯車の設
計位置からの位置偏差と、内歯車の組立時の偏心誤差を
採用し、これらの誤差を各かみあい作用線上に換算した
各等価かみあい誤差の算出式を決定し、太陽歯車と各遊
星歯車の間の歯面荷重の算出式、各遊星歯車と内歯車の
間の歯面荷重の算出式、キャリアの回転方向のつりあい
式、各遊星歯車の遊星軸回りの回転方向のつりあい式、
各遊星歯車の原点回りの回転方向のつりあい式、遊星歯
車の半径方向のつりあい式、太陽歯車の正逆回転方向の
各つりあい式、キャリアの正逆回転方向の各つりあい
式、内歯車の正逆方向の各つりあい式を決定し、前記の
各式を解くことにより、太陽歯車の軸直角方向の変位を
求めると共に、各遊星歯車への荷重配分を、遊星軸に作
用する荷重をキャリア出力換算のトルクとして求め、角
度伝達誤差を、太陽歯車の回転各を速比で除した値に対
するキャリア回転角の差として求めることを特徴として
いる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して、本発明
による小バックラッシ遊星歯車装置の性能予測方法を説
明する。
【0009】まず、小バックラッシ遊星歯車装置の性能
向上に関する知見を得るためには、各種誤差と各代表特
性の関係を適切なモデル化によりシミュレーションする
ことが有効であると考えられる。そこで、一般遊星歯車
装置に対して日高らが解析した方法(「シュテキヒト遊
星歯車装置における偏心誤差と太陽歯車の補正運動の解
析」機論C編、56ー521(1990)148)を、
小バックラッシ遊星歯車装置に発展させた静的な力のつ
りあいモデルを考えた。モデルの検証は、各遊星歯車の
荷重配分、角度伝達誤差および太陽歯車の軸直角方向変
位についてのシミュレーション結果と実験結果との比較
検討により行う。シミュレーションにおいては、実験対
象となる遊星歯車装置の加工誤差、組立誤差、負荷荷重
の条件を取り入れる。モデル化および検証の結果を以下
に詳しく説明する。
【0010】[静的な力のつりあいモデルと各種誤差] (小バックラッシ遊星歯車装置の静的な力のつりあいモ
デル)対象とした小バックラッシ遊星歯車装置の構造を
図1に示す。4個ある遊星歯車の2個ずつを、遊星軸を
介し入力側と出力側の2枚のキャリアで支持し、2枚の
キャリアを相対的に回転変位させることによって正・逆
転時のバックラッシをなくしている。
【0011】モデル化にあたっては、なるべく現実に忠
実に、かつ今後の検討の進展に対処できるよう、実用性
を念頭に、合理的な近似化を図って次のように仮定し
た。
【0012】(a) 内歯車、4個の遊星歯車、太陽歯
車、キャリアすべてを可動要素とする。
【0013】(b) 歯当たり試験の結果から対象とし
た遊星歯車装置内の各歯車は片当たりが小さい。従っ
て、歯車の運動、力のつりあいは軸直角平面内で考え
る。
【0014】(c) 静的な力のつりあいを考えたシミ
ュレーションを目的とし、各要素のマス、ダンパは考慮
しない。
【0015】(d) 歯のかみあい部および軸受部は、
接触時にはばねこわさ一定の圧縮ばね、分離時にはばね
こわさをゼロとした非線形ばねとして取り扱う。
【0016】(e) 誤差として、各種偏心誤差、歯車
の累積ピッチ誤差、遊星軸の位置偏差を取り上げる。歯
形、歯筋誤差は他に比べ一般に小さいので、本報では考
慮しない。
【0017】(f) 各歯車およびキャリアの誤差およ
び軸直角断面内での微小変位によってかみあい圧力角は
わずかに異なってくるが、歯車中心距離に対する誤差お
よび微小変位の割合が1%以下となるので近似的に圧力
角一定とする。
【0018】図2は、静的な力のつりあいモデルの模式
図である。白抜きの星印およびべた黒の星印を付けた各
の遊星歯車では、各歯車かみあい部および遊星軸受部の
ばね要素の向きが、それぞれ異なった方向になる。図2
について、キャリアの回転各θc における、各歯車、キ
ャリアそれぞれの力のつりあいを考える。
【0019】(座標系の定義)中立状態にある内歯車の
中心を原点とし、水平および垂直方向をそれぞれξ、η
とする座標を設定し、原点および各遊星軸回りの回転方
向、原点から半径方向の座標位置を考える。なお符号
は、水平方向は右、垂直方向は上、回転方向は反時計ま
わり、半径方向は外側を正とする。
【0020】(計算に用いる記号の定義)表1には、計
算に用いる各変数と定数を表わす。なお添字は、s、
p、i、c、aがそれぞれ太陽歯車、遊星歯車、内歯
車、キャリア、遊星軸を表し、jが遊星歯車または遊星
軸の番号を表わす。
【0021】
【表1】
【0022】(遊星歯車装置内の各種誤差量の表現方
法)遊星歯車装置の各種誤差の種類と誤差量を表2に表
わす。
【0023】この表において、は太陽歯車の組立時の
回転振れである。大きさをEs 、θc=0のとき位相角
をβs とする。
【0024】はj番目遊星歯車の加工時の偏心誤差
(累積ピッチ誤差の一次成分)である。大きさをEpj
θ c=0のとき位相角をに示す角度βpjとする。
【0025】は太陽歯車の組立時の偏心誤差である。
大きさをΑs 、位相をγs とする。
【0026】は遊星軸の設計位置からの位置偏差であ
る。半径方向および原点回り偏角について、図2で定義
した記号を用いてそれぞれ、Raj−Ra 、δΘajと示さ
れる。
【0027】は内歯車の組立時の偏心誤差である。大
きさをAi 、位相をγi とする。表1のほかに、太陽歯
車の累積ピッチ誤差とj番目遊星歯車の2次成分以上の
累積ピッチ誤差の合成成分をかみあい作用線上に換算し
たものをEpitchspj、j番目遊星歯車の2次成分以上の
累積ピッチ誤差と内歯車の累積ピッチ誤差の合成成分を
かみあい作用線上に換算したものをEpitchpjiとする。
なお、累積ピッチ誤差は歯面が離れる方向を正符号とす
る。
【0028】
【表2】
【0029】(等価かみあい誤差の導出方法)各種誤差
を各かみあい作用線上に換算した各等価かみあい誤差は
次式により示される。添字は、かみあう歯車と換算され
る誤差を表わしている。
【0030】
【数1】
【0031】また、j番目の遊星歯車と太陽歯車・内歯
車それぞれの間のバックラッシと遊星軸受部の隙間をか
みあい作用線方向に換算したものの合計を、太陽−遊
星、遊星−内歯車各かみあい部に等しく振り分けた値を
BLj と表わす。これと式(1)より、太陽歯車および
内歯車とj番目の遊星歯車間の総等価かみあい誤差E
spj 、Epji は次式で示される。
【0032】
【数2】
【0033】(各要素間の力のつりあい式)図2におい
てξ軸から太陽歯車とj番目遊星歯車のかみあい作用線
までの角度をAj 、ξ軸からj番目遊星歯車と内歯車の
かみあい作用線までの角度をBj とするとそれぞれ以下
で示される。
【0034】
【数3】
【0035】太陽歯車とj番目の遊星歯車間の歯面荷重
は次式で示される。
【0036】
【数4】
【0037】また、j番目の遊星歯車と内歯車間の歯面
荷重は次式で示される。
【0038】
【数5】
【0039】キャリアの回転方向のつりあい式は、
【0040】
【数6】
【0041】j番目の遊星歯車の遊星軸回りの回転方向
のつりあい式は、
【0042】
【数7】
【0043】j番目の遊星歯車の原点回りの回転方向の
つりあい式は、
【0044】
【数8】
【0045】j番目の遊星歯車の半径方向のつりあい式
は、
【0046】
【数9】
【0047】太陽歯車のξ方向のつりあい式は、
【0048】
【数10】
【0049】太陽歯車のη方向のつりあい式は、
【0050】
【数11】
【0051】キャリアのξ方向のつりあい式は、
【0052】
【数12】
【0053】キャリアのη方向のつりあい式は、
【0054】
【数13】
【0055】内歯車のξ方向のつりあい式は、
【0056】
【数14】
【0057】内歯車のη方向のつりあい式は、
【0058】
【数15】
【0059】式(4)〜式(15)による27元連立一
次方程式を解き、各遊星歯車の荷重配分、角度伝達誤
差、太陽歯車軸直角方向変位を求める。すなわち各遊星
歯車への荷重配分は、j番目の遊星軸にかかる荷重をキ
ャリア出力換算のトルクTpjとして次式で示される。
【0060】
【数16】
【0061】また、角度伝達誤差は、太陽歯車の回転角
を速比で除した値に対するキャリア回転角の差θerror
として次式で示される。
【0062】
【数17】
【0063】太陽歯車の軸直角方向の変位はξs 、ηs
から直接表わされる。
【0064】[シミュレーションと実験との比較] (遊星歯車装置の諸元および諸定数の値)表3に対象と
した遊星歯車装置の諸元を示す。
【0065】
【表3】
【0066】ばねこわさについて次の3種類は実験によ
る。
【0067】すなわち、太陽歯車の軸直角方向の曲げば
ねこわさ Ks =10.8/μm、遊星歯車がキャリア
に支持されている部分のばねこわさ Kpj=44N/μ
m、キャリアが内歯車に支持されている部分のばねこわ
さ Kc =39N/μmとする。
【0068】さらに、太陽と遊星歯車および遊星歯車と
内歯車のかみあい部の歯の曲げばねこわさをそれぞれ、 Kspj =201N/μm Kpji =402N/μm とする。なお、1対かみあい時と2対かみあい時の歯の
たわみの影響は非常に小さいため、本報ではかみあい1
ピッチ中の平均値としてKspj 、Kpji を算出する。内
歯車が外部に支持されている部分のばねこわさは構造上
十分に大きいものとみなし、Ki =106 N/μmとす
る。
【0069】負荷条件は、無負荷と歯面許容荷重の50
%に相当する負荷状態とする。後者の場合には、負荷ト
ルクは5.9N・mとなる。
【0070】(各歯車の加工誤差)図3に各歯車の累積
ピッチ誤差を示す。遊星歯車は偏心の影響を調べるため
に意図的に13〜14μmの偏心誤差を設ける。
【0071】(シミュレーションと実験時の組立条件)
表4および表5に示す2つの組立条件を設定する。表4
の場合には、βpjで示すように遊星歯車の偏心方向が軸
直角平面内で同じ向き(平行)になるようにし、それに
対して表5の場合には、遊星歯車の偏心方向が軸直角平
面内で外向き(放射状)になるようにしている。表4
(平行)の組立条件は、各遊星歯車の荷重配分、太陽歯
車軸直角方向変位に対しては偏心誤差が大きく影響す
る。表5(放射状)の組立条件は、角度伝達誤差に対し
ては遊星歯車の偏心誤差が大きく影響するが、各遊星歯
車の荷重配分、太陽歯車軸直角方向変位に対してはほと
んど影響しない。従って、表4(平行)および表5(放
射状)はシミュレーションにおいて意図的に大きくした
遊星歯車の偏心誤差および他の小さな各歯車誤差がそれ
ぞれ上述した代表特性に影響しているかどうかを検証す
るのに適している組立条件であると考えられる。以上の
2条件に対して前述した数値条件を用いてシミュレーシ
ョンを行い実験結果と比較する。
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】(各遊星歯車の荷重配分、角度伝達誤差お
よび太陽歯車の軸直角方向変位の実験方法)各遊星歯車
への荷重配分は、各遊星軸に貼付されたひずみゲージに
よる出力電圧を各遊星軸にかかるキャリア出力換算のト
ルクに変換して表わす。角度伝達誤差は、太陽歯車とキ
ャリアの回転角をそれぞれエンコーダで測定し、太陽歯
車の回転角を速比で除した値に対するキャリア回転角の
差として求める。測定精度は、1.9×10-5rad
(4'')である。太陽歯車の軸直角方向の変位は、太陽
歯車のボス部を、非接触形変位計を用いてξ−η方向に
検出する。変位計の測定精度は±0.5μm以内であ
る。実験方法の詳細は前報と同じである。なお、それぞ
れの実験値はデータ数を考慮して測定データを移動平均
し1ピッチかみあい分の高周波成分を除去する。
【0075】(シミュレーションと実験結果との比較)
表4(平行)および表5(放射状)に示す組立条件に基
づくシミュレーション結果と実験結果を考察する。
【0076】図4および図5に、各遊星歯車への荷重配
分のシミュレーション結果と実験結果の比較を示す。図
4、図5ともは無負荷時、は負荷時のシミュレーシ
ョン結果と実験結果であり各遊星軸ごとに示している。
縦軸は各遊星軸にかかる荷重をキャリア出力換算のトル
ク値で表わし、横軸はキャリア1回転間の角度を表わし
ている。図4、図5とも、キャリアの回転に伴う各遊星
軸のトルク値の絶対値および変動形状がよく類似してい
る。図4中では、シミュレーション結果と実験結果の差
がトルク値の遊星歯車の偏心誤差に起因したうねりのピ
ーク前後で大きくなっているが、この原因として遊星歯
車偏心誤差位相角の評価の不十分さの影響が最も大きい
と推測される。図5は、図4に比べ一致性が良い。これ
は表4(放射状)の場合、遊星歯車の偏心誤差の影響が
各遊星歯車への荷重配分に対して現れにくくなる組立条
件であるためである。従って遊星歯車偏心誤差位相角の
評価による影響も小さくなったものと推測される。
【0077】次に図6および図7に、角度伝達誤差のシ
ミュレーション結果と実験結果の比較を示す。縦軸は角
度伝達誤差値で進み誤差を上方向に表わし、1目盛は1
分である。横軸はキャリア1回転間の角度を表わしてい
る。図6、図7ともは無負荷時、は負荷時である。
この場合も両者とも絶対値および形状がよく類似してい
る。
【0078】シミュレーション結果と実験結果の比較に
おいて、遊星歯車の偏心誤差に起因した角度伝達誤差値
のうねりの山の位置が少し横軸方向にずれている。これ
も遊星歯車偏心誤差位相角の評価による影響が出ている
ものと推測される。
【0079】次に図8および図9に、遊星歯車装置入力
側からみた太陽歯車の軸直角方向変位のシミュレーショ
ン結果と実験結果の比較を示す。座標1目盛が10μm
を示している。図8、図9ともは無負荷時の、また
は負荷時の、キャリア1回転間の軌跡を示す。両者とも
軌跡の形状および移動範囲が良く類似している。移動軌
跡の細部は必ずしも一致していないが、この原因として
各偏心誤差の位相角の評価の不十分さの影響が最も大き
い(10degで偏心誤差量の2割弱のシミュレーショ
ン誤差が生じる)と推測される。その他各種測定誤差の
影響などが推測される。
【0080】図4〜図9を総合して考察すると、シミュ
レーション結果と実験結果は比較的良く合っており、本
モデルが現実の遊星歯車装置の定常運転時における状態
をよく表わしていると考えられる。若干の相違点の主因
は、各種偏心誤差の位相角度についての評価の難しさ
や、その他各種の測定誤差の影響であると推測してい
る。
【0081】以上から歯形誤差、歯筋誤差が他の誤差に
比べ十分小さくかみあい部の片当たりが小さい遊星歯車
装置において、部品精度を設計する段階での各性能の検
討に本モデルを用いたシミュレーションは十分有効であ
ると期待される。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、次の
手順により、歯車誤差および組立誤差に基づき代表特性
を予測している。
【0083】(1)小バックラッシ遊星歯車装置につい
て、各歯車は片当たりをしないで軸直角平面内の運動の
みを考えた静的な力のつりあいモデルを設定する。
【0084】(2)本モデルを用いて、各種偏心誤差、
歯車の累積ピッチ誤差、遊星軸の位置誤差をシミュレー
ション条件に入れて、各遊星歯車の荷重配分、角度伝達
誤差および太陽歯車の軸直角方向変位といった小バック
ラッシ遊星歯車装置の各代表特性の計算を行なう。
【0085】前述のように、本発明の予測方法により得
られたシミュレーション結果と実験結果は絶対値、デー
タの形状とも良く一致しており、シミュレーションモデ
ルの妥当性が確認された。すなわち、本発明による予測
方法は、各部品精度の測定誤差の影響を考慮しても、各
種誤差が各代表特性に及ぼす影響を、良好な精度で表現
できることが確認された。
【0086】よって、本発明の予測方法は、部品精度を
設計する段階での各代表特性の検討のために用いること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対象となる小バックラッシ遊星歯車装
置の構造を示す説明図である。
【図2】図1の装置の静的な力学的なつりあいモデルを
示す模式図である。
【図3】各歯車の累積ピッチ誤差を示すグラフである。
【図4】無負荷時および負荷時におけるキャリア1回転
の間に発生する各遊星軸のトルク値のシミュレーション
結果と実験値を示すグラフである。
【図5】無負荷時および負荷時におけるキャリア1回転
の間に発生する各遊星軸のトルク値のシミュレーション
結果と実験値を示すグラフである。
【図6】無負荷時および負荷時におけるキャリア1回転
の間に発生する角度伝達誤差のシミュレーション結果と
実験値とを示すグラフである。
【図7】無負荷時および負荷時におけるキャリア1回転
の間に発生する角度伝達誤差のシミュレーション結果と
実験値とを示すグラフである。
【図8】無負荷時および負荷時における太陽歯車の軸直
角方向変位のシミュレーション結果と実験結果を示すグ
ラフである。
【図9】無負荷時および負荷時における太陽歯車の軸直
角方向変位のシミュレーション結果と実験結果を示すグ
ラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遊星歯車装置の歯車誤差および組立誤差
    に基づき、少なくとも、当該遊星歯車装置における各遊
    星歯車への荷重配分、角度伝達誤差、および太陽歯車の
    軸直角方向変位を予測する遊星歯車装置の性能予測方法
    において、 前記遊星歯車装置について各歯車が片当たりをしないで
    軸直角平面内の運動のみを考慮した静的な力のつりあい
    モデルを設定し、 当該遊星歯車の誤差として、少なくとも、太陽歯車の組
    立時の回転振れと、各遊星歯車の加工時の偏心誤差と、
    太陽歯車の組立時の偏心誤差と、各遊星歯車の設計位置
    からの位置偏差と、内歯車の組立時の偏心誤差を採用
    し、 これらの誤差を各かみあい作用線上に換算した各等価か
    みあい誤差の算出式を決定し、 太陽歯車と各遊星歯車の間の歯面荷重の算出式、各遊星
    歯車と内歯車の間の歯面荷重の算出式、キャリアの回転
    方向のつりあい式、各遊星歯車の遊星軸回りの回転方向
    のつりあい式、各遊星歯車の原点回りの回転方向のつり
    あい式、遊星歯車の半径方向のつりあい式、太陽歯車の
    正逆回転方向の各つりあい式、キャリアの正逆回転方向
    の各つりあい式、内歯車の正逆方向の各つりあい式を決
    定し、 前記の各式を解くことにより、太陽歯車の軸直角方向の
    変位を求めると共に、各遊星歯車への荷重配分を、遊星
    軸に作用する荷重をキャリア出力換算のトルクとして求
    め、角度伝達誤差を、太陽歯車の回転各を速比で除した
    値に対するキャリア回転角の差として求めることを特徴
    とする遊星歯車装置の性能予測方法。
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