JP2000169490A - 光学活性4−ブタノリド誘導体及びその製造方法 - Google Patents

光学活性4−ブタノリド誘導体及びその製造方法

Info

Publication number
JP2000169490A
JP2000169490A JP34847998A JP34847998A JP2000169490A JP 2000169490 A JP2000169490 A JP 2000169490A JP 34847998 A JP34847998 A JP 34847998A JP 34847998 A JP34847998 A JP 34847998A JP 2000169490 A JP2000169490 A JP 2000169490A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
reaction
compound
butanolide
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP34847998A
Other languages
English (en)
Inventor
Shuji Ichikawa
修治 市川
Machiko Narita
真知子 成田
Hiroshi Iwane
寛 岩根
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP34847998A priority Critical patent/JP2000169490A/ja
Publication of JP2000169490A publication Critical patent/JP2000169490A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シキミ酸誘導体を製造するための中間体
(P)を従来より簡便に且つ効率よく、しかも経済的に
製造することのできる新規中間体(A)及びその製造方
法の提供。 【解決手段】 1 下記一般式(A) 【化1】 (式中、R1 及びR2 は、炭素数1〜20のアルキル基
を表し、それぞれ同一でも、異っていてもよく、R3
びR4 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜2
0のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表
す。但し、R3 とR 4 は、互いに結合して−(CH2
n −(nは2〜7の整数を示す)で表される環を形成し
てもよい)で表される(2S,3S,4R)−4−ブタ
ノリド誘導体。 2 下記一般式(a)で表されるアルデヒド化合物をホ
スホノ酢酸エステルと縮合させることを特徴とする1項
に記載の(2S,3S,4R)−4−ブタノリド誘導体
の製造方法。 【化2】 (式中、R3 及びR4 は、式(A)と同義である)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な光学活性4
−ブタノリド誘導体及びその製造方法に関する。本発明
の4−ブタノリド誘導体は、新規なキラルシントンであ
り、医・農薬中間体の合成原料として期待され、例え
ば、N.Bischofbergerらによって開発さ
れた抗インフルエンザ薬(GS4104)合成(J.A
m.Chem.Soc.,119,681(1997)
及びWO96/26933号公報)における重要な中間
体である、下記一般式(P)
【0002】
【化3】
【0003】(式中、R1 は、アルキル基、シクロアル
キル基及び芳香環から選ばれた炭素数1〜12の基を表
し、R2 は、水素原子又はメシル基を表す。また、R3
及びR 4 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜
20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表
す。但し、R3 とR4 は、互いに結合して−(CH2
n −(nは2〜7の整数を示す)で表される環を形成し
てもよい)で表されるシキミ酸誘導体を製造するための
中間体として有用である。
【0004】
【従来の技術】GS4104製造に関しては、上記N.
Bischofbergerらの合成法の他に、J.R
ohloffらによって、キナ酸より出発する方法が提
案されている(J.Org.Chem.,63,454
5(1998))。この方法は反応工程に、アルコキシ
カルボニル基のα位水酸基の脱離を経て、α,β−不飽
和エステルに変換する必要があるが、二重結合部位出現
に際して位置選択性が低いこと及び原料キナ酸が高価で
ある等工業的製造方法としては十分ではない。このよう
な点からみると上記N.Bischofbergerら
により開発された前記一般式(P)のシキミ酸誘導体を
鍵中間体とするGS4104合成法は優れた方法である
と言える。しかしながら、この方法における問題点は鍵
中間体となる一般式(P)の化合物をいかに経済的に製
造できるかにかかっていた。化合物(P)は、下式
(I)で示されたシキミ酸より数工程で合成可能なこと
が、N.Bischofbergerらにより報告され
ている(WO96/26933号公報)。
【0005】
【化4】
【0006】式(I)の化合物の製造方法としては、例
えばTetrahedron Lettrs.,35
5505(1994)にD−リボースから製造する方
法、D−マンノースより製造する方法(J.Chem.
Soc.Perkin I.,,905(198
4))、キナ酸から合成する方法(Tetrahedr
onLett.,39,6027(1998)、J.A
m.Chem.Soc.,95,7821(197
3))及びディールスアルダー反応を利用した製造方法
(Chem.Lett.,987(1996)、J.C
hem.Soc.,1560(1960))等が報告さ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、式
(I)の従来の製造方法は、高価な原料を使用する、位
置選択性及び立体選択性がなお不十分である、多工程の
低収率の反応である等の問題点があるため、式(I)を
原料とする化合物(P)の製造方法は工業的に満足でき
るものではない。本発明の目的は、鍵中間体である式
(P)の化合物を従来より簡便に且つ効率良く、しかも
経済的に製造することのできる新規中間体(A)及びそ
の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる事
情に鑑み鋭意検討した結果、L−アスコルビン酸から得
られる新規な光学活性4−ブタノリド誘導体(A)を出
発原料として、式(P)の化合物を高い総収量で、高い
立体選択性を以って従来法より簡便に且つ安価に製造で
きることを見い出し、本発明を完成するに至った。更に
キラルシントンとしての本質的な判断基準は、置換基の
種類、位置及び立体位置、更には各炭素における正確に
配列された絶対配置も関係する。本発明の化合物(A)
は、反応点として利用可能でしかも、立体配置の整っ
た、保護された形式の四種の水酸基を有し、更に化合物
を構成する炭素原子において正確な絶対配置の配列(炭
素部位2位から5位がS,S,R,S)を有し、キラル
シントンとして、光学活性な各種医農薬中間体の出発物
質として有用である。
【0009】即ち、本発明の要旨は、 1 下記一般式(A)
【0010】
【化5】
【0011】(式中、R1 及びR2 は、炭素数1〜20
のアルキル基を表し、それぞれ同一でも、異っていても
よく、R3 及びR4 は、それぞれ独立して、水素原子、
炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリ
ール基を表す。但し、R3 とR 4 は、互いに結合して−
(CH2 n −(nは2〜7の整数を示す)で表される
環を形成してもよい)で表される(2S,3S,4R)
−4−ブタノリド誘導体。
【0012】2 下記一般式(a)で表されるアルデヒ
ド化合物をホスホノ酢酸エステルと縮合させることを特
徴とする1項に記載の(2S,3S,4R)−4−ブタ
ノリド誘導体の製造方法、
【0013】
【化6】
【0014】(式中、R3 及びR4 は、式(A)と同義
である)にある。
【0015】
【発明の実施の形態】(光学活性4−ブタノリトセ誘導
体)本発明の(2S,3S,4R)−4−ブタノリド誘
導体は、式(A)で表される化合物である。
【0016】
【化7】
【0017】(式中、R1 及びR2 は、炭素数1〜20
のアルキル基を表し、それぞれ同一でも、異っていても
よく、R3 及びR4 は、それぞれ独立して、水素原子、
炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリ
ール基を表す。但し、R3 とR 4 は、互いに結合して−
(CH2 n −(nは2〜7の整数を示す)で表される
環を形成してもよい)で表される(2S,3S,4R)
−4−ブタノリド誘導体。
【0018】式(A)において、R1 及びR2 が、炭素
数1〜20、好ましくは1〜4のアルキル基である場
合、アルキル基の具体例としては、例えばメチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル
基、ドデシル基等が挙げられる。これらの中、メチル
基、エチル基が好ましい。
【0019】R3 及びR4 が、炭素数1〜20、好まし
くは1〜6のアルキル基である場合、アルキル基の具体
例としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、
n−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル
基、ドデシル基等が挙げられる。これらの中、メチル
基、エチル基、ブチル基が好ましい。また、R3 及びR
4 が、炭素数6〜20、好ましくは6〜10のアリール
基である場合、アリール基の具体例としては、例えばフ
ェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチ
ル基等が挙げられる。これらの中、フェニル基が好まし
い。
【0020】そして、このような光学活性−4−ブタノ
リド誘導体の中、R1 及びR2 が、炭素数1〜5のアル
キル基であり、それぞれ同一でも、異なっていてもよ
く、且つR3 及びR4 が、互いに異なり、水素原子又は
フェニル基であるもの、R1 及びR2 が、炭素数1〜5
のアルキル基であり、それぞれ同一でも、異なっていて
もよく、且つR3 及びR4 がメチル基であるもの、R1
及びR2 が炭素数1〜5のアルキル基であり、それぞれ
同一でも、異なっていてもよく、且つR3 及びR 4 が互
いに結合してペンタメチレン環を形成するものが好まし
く、これらの中、R1 及びR2 がエチル基であり、且つ
3 及びR4 がメチル基であるものが特に好ましい。
【0021】(光学活性4−ブタノリド誘導体の合成
法)本発明の式(A)の(2S,3S,4R)−4−ブ
タノリド誘導体の合成法の一例を合成経路(II)に従っ
て説明する。
【0022】
【化8】
【0023】(式(1),(2)及び(a)において、
1 、R2 、R3 及びR4 は、式(A)と同義である)
【0024】上記ルートにおいて、L−グロノラクトン
誘導体(1)は、公知の方法に従ってビタミンCとして
工業的製造方法が確立されている安価なL−アスコルビ
ン酸をパラジウム−炭素のようなパラジウム系触媒を用
いて水素化して先ずL−グロノラクトンとし、引き続き
p−トルエンスルホン酸のような酸触媒の存在下にアセ
トンのようなケトン化合物とケタール化反応させること
により製造することができる。
【0025】L−グロノラクトン誘導体(1)は分子
中、ラクトンの2、3位及び5、6位の水酸基が二つの
アセタールないしはケタノールで保護された化合物であ
る。化合物(1)に酸触媒を作用させると、反応性の類
似した二つのアセタール若しくはケタールのうち5、6
位に導入された保護基のみを選択的に脱離することが可
能である。酸触媒としてはプロトン酸やルイス酸が挙げ
られるが、高選択性を維持するためにはプロトン酸が好
ましい。プロトン酸としては、塩酸、硫酸、酢酸、トシ
ル酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸等を用いることができる
が、反応の選択性及び工業的な汎用性の見地から、塩酸
や酢酸が好ましい。化合物(1)1モルに対する酸触媒
の使用量を塩酸の場合で例示すると、通常0.005〜
0.5モルの範囲であり、特に0.01〜0.1モルの
範囲が好ましい。また、酢酸の場合で例示すると、単独
或いは混合物で反応溶媒として用いることができ、通常
基質1モルに対し0.1〜50モルの範囲であり、好ま
しくは1〜30モルの範囲である。
【0026】本反応において用いる溶媒は、原料(1)
及び添加する酸を溶解せしめ、反応を阻害しないもので
あれば特に制限を受けず任意である。斯様な溶媒は用い
る基質(1)の構造により一概に規定することは出来な
いが、例えば水、アルコール、エーテル等が挙げられ
る。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プ
ロパノール、ブタノール等の脂肪族アルコール類、フェ
ノール、ベンジルアルコール等の芳香族アルコール類が
挙げられ、エーテルとしてはテトラヒドロフラン、1,
4−ジオキサン等の環状エーテル類、ジエチルエーテル
等の鎖状エーテル類が挙げられる。中でも水又は水溶性
の溶媒、即ち、脂肪族アルコール類、環状エーテル類が
好ましい。水、メタノール、エタノールが特に好まし
い。これらは単独で用いても、混合して用いても良い
し、必要に応じ反応中に反応系に逐次添加して用いても
良い。使用する溶媒の量は基質1モルに対し、0.1〜
50モルの範囲であり、好ましくは1〜30モルの範囲
である。反応温度は10〜80℃の範囲であり、20〜
50℃が好ましく、高選択性を維持する為には20〜3
0℃がより好ましい。
【0027】得られる化合物(2)はα−グリコール開
裂に用いられる一般的な条件を用い、アルデヒド(a)
に酸化できる。通常用いる酸化剤は過ヨウ素酸及び過ヨ
ウ素酸塩や四酢酸鉛であるが、取り扱い易さや経済的な
見地から過ヨウ素酸塩が好ましい。本発明で用いられる
過ヨウ素酸塩としては過ヨウ素酸ナトリウムや過ヨウ素
酸カリウムが挙げられるが、過ヨウ素酸カリウムは中性
又は弱酸性では反応溶媒に対する溶解度が低いことか
ら、過ヨウ素酸ナトリウムが好ましい。過ヨウ素酸塩の
使用量は基質1モルに対し1モル当量である。過ヨウ素
酸塩を過剰に加えると反応の選択性が数%減少すること
及び経済的観点から見て好ましくない。
【0028】反応溶媒は、所望の過ヨウ素酸塩を溶解せ
しめ反応に影響を与えないものであれば任意であり特に
制限を受けない。本反応で用いることのできる溶媒を例
示すると、水及びメタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール等の脂肪族アルコール類が挙げられ、メ
タノールが特に好ましい。これらは単独でも、混合して
用いても良いし、必要に応じて反応中に反応系に逐次添
加して用いても良い。また、アルコールを溶媒として用
いた場合、濃度によっては生成したアルデヒドと反応し
アセタールが副生する場合がある。これら副反応を防ぐ
ために、液性を中性に保つ目的でリン酸塩やホウ酸塩の
緩衝液を加えても良い。この場合液性はpH=6〜8に
保つことが好ましく、反応温度は0〜40℃の範囲であ
り、好ましくは20〜30℃である。0℃以下にすると
反応時間が長くなり、40℃以上にすると副反応を促進
するからである。反応時間は温度や液性に依存し一概に
規定できないが、25℃、pH=6〜8の条件下では、
1〜4時間程度である。
【0029】得られたアルデヒド(a)はホスホノ酢酸
エステルとの公知の縮合反応により化合物(A)を生成
する。本縮合反応に用いられる触媒としては以下のもの
が例示出来る。四塩化チタン/塩基、クロロトリアルコ
キシチタン/塩基、ピペリジン等である。クロロトリア
ルコキシチタンは煩雑な前処理を必要とし、ピペリジン
は高温で長時間反応する必要があり、実用上四塩化チタ
ン/塩基の系が好ましい。四塩化チタンと共に用いる塩
基としては、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジ
イソプロピルメチルアミン、イミダゾール、ピリジン、
4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリン等
の有機塩基が挙げられるが、ピリジン、N−メチルモル
ホリンが好ましい。これら有機塩基の使用量は基質1モ
ルに対し2〜5モルの範囲であり、好ましくは3〜4モ
ルの範囲である。四塩化チタンの使用量は基質に対し1
〜2.5モルの範囲であるが、好ましくは1.2〜2モ
ルの範囲である。
【0030】使用する溶媒は、原料を溶解し縮合反応を
妨げないものであれば何れでも良く、その具体例として
は例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン
等の芳香族炭化水素類が挙げられる。これら溶媒は予め
脱水等の前処理をすることなくそのまま使用することが
可能である。用いる溶媒としてはテトラヒドロフランが
特に好ましい。四塩化チタンのテトラヒドロフラン錯体
が系内で形成し、本錯体が反応を促進するからである。
反応温度は−20〜40℃の範囲であるが、好ましくは
0〜25℃である。ホスホノ酢酸エステルとしては、ホ
スホノ酢酸トリエチル、ホスホノ酢酸トリメチル、ホス
ホノ酢酸エチルジメチル、ホスホノ酢酸メチルジエチ
ル、ホスホノ酢酸t−ブチルジエチル等が挙げられる。
これらのうち、ホスホノ酢酸トリエチルが最も広く利用
されており、工業用に入手可能であるため実用性が高
い。
【0031】本発明により得られた、上記一般式(A)
で表される(2S,3S,4R)−4−ブタノリド誘導
体は更に、優れた抗インフルエンザ活性を示すGS41
04の重要な中間体である、シキミ酸誘導体(P)に導
くことが出来る。以下合成経路III に従って説明する。
【0032】
【化9】 なお、Msは、メタンスルホニル基を示す。
【0033】(A)は置換基変換という観点において反
応性の優れた亜リン酸ジエステル基を有している。この
基の反応性を利用することにより、(A)をキラルシン
トンとして更に有効に活用出来る。即ち、本化合物を還
元し、亜リン酸ジエステル基の隣接する炭素を活性化す
れば良い。炭素−炭素二重結合の還元は公知方法によっ
て行う。即ち、触媒としては、アルカリ金属、アルカリ
土類金属、亜鉛、アルミニウム、イリジウム、クロム、
スズ、鉄、チタン、銅等の金属やその塩類、ロジウム錯
体、ルテニウム錯体、白金錯体等の均一系接触水素添加
用触媒、パラジウム系、白金系、ロジウム系、ルテニウ
ム系、ニッケル系、クロム系等を用いた不均一系接触水
素添加触媒が挙げられる。或いは金属水素化物で還元し
ても良い。反応性の高いホスホナートカルボアニオンの
発生を抑制する目的及び工業的な見地から、不均一系接
触水素添加用触媒を用いることが好ましい。高い選択性
が得られ、また多くの場合再生可能であるからである。
【0034】かかる触媒としては、好ましくはパラジウ
ム系、白金系、ロジウム系、ルテニウム系、ニッケル
系、クロム系等の不均一系接触水素添加触媒が例示でき
るが、パラジウム系触媒がより好ましい。パラジウム系
触媒としてはパラジウム−炭素、パラジウム−硫酸バリ
ウム、パラジウム−炭酸カルシウム等が挙げられるが、
パラジウム炭素が特に好ましい。触媒の使用量は基質1
重量部に対し、0.1〜10重量部の範囲であるが、反
応性と経済的な見地より1〜3重量部の範囲がより好ま
しい。溶媒としてはメタノール、エタノール、プロパノ
ール、ブタノール等の脂肪族アルコール類、酢酸等が挙
げられるが、メタノール、エタノール、プロパノール、
ブタノール等の脂肪族アルコール類が好ましい。この反
応に用いる圧力条件としては、常圧〜3kg/cm2
範囲が挙げられるが、副反応の抑制のためには常圧がよ
り好ましい。反応温度としては、常温〜50℃の範囲が
挙げられるが、やはり選択性の観点から好ましくは常温
である。
【0035】得られた化合物(4)は金属水素化物を作
用させて、1位ラクトンを還元せしめヘミアセタールと
し化合物(5)とする。金属水素化物は、水素化アルミ
ニウム化合物、水素化ホウ素化合物が挙げられるが、よ
り高い選択性を得るためには水素化ホウ素化合物が好ま
しい。本発明で用いられる水素化ホウ素化合物として、
水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素
化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素亜鉛、水素化ホウ素
マグネシウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素ベ
リリウム、水素化ホウ素バリウム、シアノトリヒドリド
ホウ酸ナトリウム、シアノトリヒドリドホウ酸リチウ
ム、シアノトリヒドリドホウ酸カルシウム、シアノトリ
ヒドリドホウ酸亜鉛、シアノトリヒドリドホウ酸マグネ
シウム、シアノトリヒドリドホウ酸カリウム等を用いる
ことができるが、主として反応の選択性及び経済的な見
地から、水素化ホウ素ナトリウム及びシアノトリヒドリ
ドホウ酸ナトリウムが好ましい。水素化ホウ素ナトリウ
ム及びシアノトリヒドリドホウ酸ナトリウムは、市販の
ものをそのまま使用しても差し支えない。また他は、水
素化ホウ素ナトリウム又はシアノトリヒドリドホウ酸ナ
トリウムと対応するハロゲン化物との反応、例えば水素
化ホウ素カルシウムは水素化ホウ素ナトリウムと塩化カ
ルシウムとの反応により得られる。これら、ホウ素化合
物は、前もって調製しておき還元反応を行う際に添加し
ても良いが、反応容器内で調製し、そのまま使用しても
良い。ホウ素化合物の原料であるラクトン(4)1モル
に対する使用量は、通常0.3〜6モルの範囲であり、
また、0.5〜3モルの範囲が好ましい。特に、0.5
〜1モルの範囲で用いることが経済的見地から見て好ま
しい。
【0036】本発明の反応に使用する溶媒は、原料を溶
解し還元反応を妨げないようなものなら何れでも良く、
その具体例としては例えばジエチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。
これら溶媒は予め脱水等の前処理をすることなくそのま
ま使用することができる。本還元反応において、還元剤
としてシアノトリヒドリドホウ酸化合物を使用する場
合、溶媒にアルコールを使用するとより好ましい結果が
得られる。使用するアルコールは、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、ブタノール等の脂肪族アルコール
類、フェノール、ベンジルアルコール等の芳香族アルコ
ール類が挙げられる。これらの中、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、ブタノール等の脂肪族アルコール
類が好ましく、更にメタノールが特に好ましい。メタノ
ールを存在させることにより、高い反応性、選択性が得
られるからである。使用するアルコールは、原料1モル
に対し、0.1〜50モル、好ましくは1〜30モルの
範囲である。
【0037】また、シアノトリヒドリドホウ酸化合物を
使用する場合、使用する基質により一概に規定できない
が、適当な酸を添加し、反応系をpH=3〜6程度に調
整することにより、選択率が向上する等の利点が得られ
好ましい。反応温度は−10〜50℃の範囲であり、−
5〜30℃が好ましく、0〜10℃の範囲がより好まし
い。また、本還元反応を有効に実施するため、予め原料
ラクトン(4)にトシルヒドラジンを添加し前処理する
ことも可能である。即ち、原料ラクトン(4)に対し等
モルのトシルヒドラジンを添加し、N,N′−ジメチル
ホルムアミド、N,N′−ジメチルスルホキシド、N,
N′−ジメチルアクリルアミド、或いはN−メチルピロ
リドン等の非プロトン性な極性溶媒中、50〜120
℃、好ましくは70〜100℃で処理し対応するトシル
ヒドラゾンとした後、上記還元反応を実施しても何ら差
し支えない。
【0038】得られた化合物(5)は、塩基で処理する
と燐に隣接した炭素から水素が引き抜かれ、ホスホナー
トカルボアニオンを与える。このカルボアニオンはカル
ボニル化合物と反応してアルケンを与える。即ち、アル
ケン合成に有用な反応の一つであるWittig−Ho
rner反応が起こる。化合物(5)は環状ヘミアセタ
ール構造であるが、これは鎖状アルデヒド構造と等価体
である。よって、化合物(5)から生じたカルボアニオ
ンはアルデヒドと反応し、分子内Wittig−Hor
ner反応が起こり、五員環フラノースより六員環構造
が容易に導かれ、シキミ酸誘導体(P−1)が得られ
る。本発明で使用する塩基としては水素化ナトリウム、
ナトリウムアミド、金属アルコキシド等が挙げられる
が、均一系の反応場が得られることから、金属アルコキ
シドが好ましい。金属アルコキシドとしては、ナトリウ
ムエトキシドやナトリウムメトキシド等のナトリウムア
ルコキシド類、カリウムエトキシドやカリウムt−ブト
キシド等のカリウムアルコキシド類等が挙げられるが、
汎用性の見地からナトリウムアルコキシド類が特に好ま
しい。
【0039】これらナトリウムアルコキシドは金属ナト
リウムと対応するアルコールを作用させて自製して用い
ても良いし、市販品をそのまま用いても良い。本発明で
用いるナトリウムアルコキシドの使用量は、基質1モル
に対し1〜5モルの範囲が好ましく、2〜3モルの範囲
がより好ましい。溶媒としてはメタノール、エタノー
ル、プロパノール、ブタノール等の脂肪族アルコール
類、フェノール、ベンジルアルコール等の芳香族アルコ
ール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化
水素類、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチ
ルエーテル等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、
1,4−ジオキサン等の環状エーテル類、N,N′−ジ
メチルスルホキシド、N,N′−ジメチルホルムアミド
等の含窒素極性溶媒類等が挙げられる。本発明において
はメタノール、エタノール、プロパノール等の脂肪族ア
ルコールが好ましく、エタノールがより好ましい。反応
温度は−20〜80℃の範囲であるが、好ましくは20
〜40℃の範囲である。
【0040】また本化合物は、(A)より金属アルミニ
ウム水素化物等、金属水素化物で処理することにより、
直接製造することも可能である。シキミ酸誘導体(P−
1)は、メタンスルホン酸ハライドと塩基存在下で反応
させるとシキミ酸誘導体(P−2)が得られる。(P−
1)は油状であるが、水酸基をメシル化することにより
結晶となるため、精製が容易となる。本発明で用いる塩
基としては、ピリジン、トリエチルアミン等が挙げら
れ、ジクロロメタン溶媒中、0〜20℃の温度範囲が好
まれる。この手法により得られた(P−2)は晶析精製
が可能であるため、前段反応で得られる油状の化合物は
特に精製を行わずに用いても本精製工程にて副生物等を
除去でき、工業化に適している。
【0041】
【実施例】以下、本発明について実施例を挙げて説明す
るが、本発明は、その要旨を越えない限りこれらの実施
例に限定されるものではない。 参考例1 L−グロノ−1,4−ラクトンの合成 L−アスコルビン酸1.4gを水10mlに溶解し、P
d/C(10%)1.3gと共に、マグネチックスター
ラーを入れた30mlのオートクレーブ内に仕込む。反
応容器内を窒素置換した後、容器内圧力が8kg/cm
2 になるまで水素を充填した。内圧が5kg/cm2
上を保つように水素を逐次追加しながら、90℃で3時
間攪拌した。反応液は放冷の後、濾過を行い、濾液を減
圧濃縮して目的物を無色の水飴状液体として0.94g
得た(転化率74%、選択率≧95%)。
【0042】参考例2 2,3;5,6−O−ジイソプ
ロピリデン−L−グロノ−1,4−ラクトンの合成 L−グロノ−1,4−ラクトン50.0gをアセトン4
00mlに溶解し、2,2−ジメトキシプロパン100
mlとp−トルエンスルホン酸1.0gを加え、室温で
三日間攪拌した。減圧濃縮した後、蒸留残渣にジクロロ
メタンと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を各400ml
加え抽出を行った。有機層は水洗を三回繰り返し、硫酸
マグネシウム上で乾燥させ、減圧濃縮を行った。蒸留残
渣は酢酸エチルで晶析を行い、目的化合物を白色針状結
晶として41.6g(収率57%)回収した。
【0043】参考例3 2,3−O−イソプロピリデン
−L−グロノ−1,4−ラクトンの合成 2,3;5,6−O−ジイソプロピリデン−L−グロノ
−1,4−ラクトン20.0gに酢酸/水=7/1の混
合溶媒160mlに溶解し、室温で18時間攪拌した。
反応液は減圧濃縮を行い、蒸留残渣はベンゼン50ml
で洗浄し、未反応原料を取り除く。濾別した固体は酢酸
エチルで晶析を行い、目的化合物を白色針状結晶として
14.4g(収率85%)得た。
【0044】1H−NMR(300MHz,DMSO−
6 )δ1.36,1.41(6H,2s,CM
2 ),3.70(2H,s,6−H),3.86(1
H,dd,5−H),4.57,4.83,4.93
(3H,m,2,3,4−H)13 C−NMR(300MHz,DMSO−d6 )δ17
4.5(1−C),112.6(CMe2 ),80.
5,76.3,76.2(2,3,4−C),70.4
(5−C),62.4(6−C),26.7,25.8
(CMe2
【0045】参考例4 3,4−O−イソプロピリデン
−L−アラビノウロン酸−2,5−ラクトンの合成 2,3−O−イソプロピリデン−L−グロノ−1,4−
ラクトン5.5gをリン酸塩緩衝液(pH=6.86)
70mlに溶解し、ここに過ヨウ素酸ナトリウム5.4
gの0.5M水溶液を加え、室温で遮光しながら1時間
攪拌した。反応液は15〜20℃に保ちながら減圧濃縮
した後、蒸留残渣にジクロロメタン150mlと硫酸ナ
トリウム6gを加え、室温で1時間、激しく攪拌した。
不溶物を濾別した後、濾液は減圧濃縮を行い、白色結晶
を4.1g(収率81%)得た。
【0046】1H−NMR(300MHz,CDC
3 )アルデヒド型δ1.39,1.47(6H,2
s,CMe2 ),4.84,4.93,5.16(3
H,dd,2,3,4−H),9.63(1H,s,C
HO);水和物型(生成物のうち約20mol%がアル
デヒドの水和体として存在)δ1.42,1.50(6
H,2s,CMe2 13 C−NMR(300MHz,CDCl3 )アルデヒド
型δ195.5(CHO),173.3(1−C),1
15.3(CMe2 ),81.0,76.4,75.7
(2,3,4−C),26.7,25.8(CM
2 );水和物型δ174.3(C−1),114.6
(CMe2 ),89.2(C−5,C(OH)2),2
6.9,26.0(CMe2
【0047】実施例1 (2S,3S,4R)−2,3
−イソプロピリデンジオキシ−4−(2−ジエトキシホ
スホロ−2−エトキシカルボニル−1−エチニル)4−
ブタノリドの合成 テトラヒドロフラン3mlを窒素気流下、攪拌しながら
氷冷する。ここにジクロロメタン1mlに混合した四塩
化チタン204mgを10分かけて滴下した。次いで、
3,4−O−イソプロピリデン−L−アラビノウロン酸
−2,5−ラクトン100mgとホスホノ酢酸トリエチ
ル120mgをテトラヒドロフラン1mlに溶解した溶
液を5分かけて滴下した。更にN−メチルモルホリン2
17mgとテトラヒドロフラン1mlの混合液を5分か
けて滴下した。滴下終了後、氷浴を外し、窒素気流下、
室温で16時間攪拌した。水100mlを加え反応を終
了し、ジエチルエーテル100mlで抽出を行い、有機
層は水洗、分液操作を三回行った。有機層は硫酸マグネ
シウム上で乾燥された後、減圧濃縮を行った。蒸留残渣
には未反応のホスホノ酢酸トリエチルが残存していたた
め、減圧蒸留(95℃、0.4〜0.5mmHg)によ
り原料を留去し、目的化合物を黄色油状として86mg
(収率41%)得た。 1H−NMRスペクトルより、生
成物はE体とZ体の混合物であり、その組成比は72/
28であった。
【0048】1H−NMR(300MHz,CDC
3 )E体δ1.32(12H,m,CMe2 ,OCH
2 CH3 ),1.47(3H,s,CMe2 ),4.1
9(4H,m,POCH2 ),4.31(2H,m,C
2 CH2 ),4.85(1H,d,2−H),5.1
3(1H,t,3−H),5.74(1H,m,4−
H),7.08(1H,dd,C=CH);Z体δ5.
13(1H,t,3−H),6.18(1H,m,4−
H),7.47(1H,dd,C=CH)13 C−NMR(300MHz,CDCl3 )E体δ17
3.4(1−C),163.8(CO2 ),153.
7,153.6(C=CH),128.0,126.2
(C=CPO(OEt)2 ),114.6(CM
2 ),77.9,77.5,75.8(2,3,4−
C),63.3,63.2(POCH2 ),62.3
(CO2 CH2 ),26.9,25.8(CMe2 ),
16.5,16.4(POCH2 CH3 ),14.3
(CO2 CH2 CH3 );Z体δ173.6(1−
C),163.9(CO2 ),155.9,155.8
(C=CH),128.8,126.4(C=CPO
(OEt)2 ),114.5(CMe2 ),78.7,
76.5,75.9(2,3,4−C),63.4,6
3.3(POCH 2 ),62.1(CO2 CH2 ),2
6.8,26.0(CMe2 ),16.5,16.4
(POCH2 CH3 ),14.3(CO2 CH2
3
【0049】実施例2 (2S,3S,4R)−2,3
−イソプロピリデンジオキシ−4−(2−ジエトキシホ
スホロ−2−エトキシカルボニルエチル)4−ブタノリ
ドの合成 (2S,3S,4R)−2,3−イソプロピリデンジオ
キシ−4−(2−ジエトキシホスホロ−2−エトキシカ
ルボニルエチル−1−エチニル)4−ブタノリド30m
gをエタノール5mlに溶解し、Pd/C(10%)1
5mgを加えて攪拌する。反応容器内を窒素置換した
後、常圧で水素を充填した。室温で12時間攪拌した
後、濾過を行い、減圧濃縮により目的物を黄色油状とし
て26mg(収率86%)得た。
【0050】1H−NMR(300MHz,CDC
3 )δ1.24(12H,m,CMe2,OCH2
3 ),1.47(3H,s,CMe2 ),2.37
(2H,m,5−H),3.05(1H,m,6−
H),4.10(6H,m,OCH2 CH 3 ),4.5
0,4.72(1H,2H,m,2,3,4−H)13 C−NMR(300MHz,CDCl3 )δ173.
3(1−C),168.6(CO2 ),114.5(C
Me2 ),78.6(4−C),77.4(3−C),
75.6(2−C),63.2,63.1(POC
2 ),61.9(CO2 CH2 ),44.6,42.
7(6−C),26.9,26.0(CMe2),2
5.5,24.8(5−C),16.5,16.4(P
OCH2 CH3 ),14.3(CO2 CH2 CH3
【0051】実施例3 エチル(5,6−ジデオキシ−
6−ジエトキシホスホリル−2,3,−O−イソプロピ
リデン−α−D−リキソヘプトフラノ)ウロネートの合
成 (2S,3S,4R)−2,3−イソプロピリデンジオ
キシ−4−(2−ジエトキシホスホリル−2−エトキシ
カルボニルエチル)4−ブタノリド3gをテトラヒドロ
フラン60mlに溶解し、氷冷下、攪拌しながら、水素
化ホウ素ナトリウム0.14gを少量ずつ、2時間かけ
て添加した。添加終了後、更に氷冷下で1時間攪拌の
後、酢酸を加えて中和した。減圧濃縮した後、蒸留残渣
にジクロロメタンと水を各100ml加え抽出を行っ
た。有機層は水洗を三回繰り返し、硫酸マグネシウム上
で乾燥させた後、減圧濃縮を行い、目的物を黄色油状と
して2.17g(収率72%)得た。
【0052】1H−NMR(300MHz,CDC
3 )δ1.25(3H,s,CMe2 ),1.33
(9H,m,OCH2 CH3 ),1.46(3H,s,
CMe2 ),2.32(2H,m,5−H),3.26
(1H,m,6−H),4.17(7H,m,POCH
2 ,CO2 CH2 ,3−H),4.60(1H,d,2
−H),4.67(1H,d,4−H),5.33(1
H,s,1−H)13 C−NMR(300MHz,CDCl3 )δ169.
3(CO2 ),112.7(CMe2 ),100.9,
100.8(1−C),86.2,86.1,80.
8,80.2(2,3,4−C),63.2,63.0
(POCH2 ),61.8(CO2 CH2 ),43.
6,41.9(6−C),26.5,23.1(5−
C),26.3,25.2(CMe2 ),16.6,1
6.5(POCH 2 CH3 ),14.3(CO2 CH2
CH3
【0053】実施例4 エチル3,4−O−イソプロピ
リデンシキメートの合成 エチル(5,6−ジデオキシ−6−ジエトキシホスホリ
ル−2,3−O−イソプロピリデン−α−D−リキソヘ
プトフラノ)ウロネート1.6gをエタノール100m
lに溶解し、窒素気流下、攪拌しながら氷冷する。ここ
にエタノール50mlに溶解したナトリウムエトキシド
0.8gを5分かけて滴下した。滴下終了後、氷冷しな
がら、窒素気流下、2時間攪拌した。1Nの塩酸で反応
液を中和した後、減圧濃縮を行い、蒸留残渣はジクロロ
メタンと食塩水各200mlを加え抽出を行った。有機
層は水で三回洗浄を繰り返し、硫酸マグネシウム上で乾
燥させた後、減圧濃縮を行った。蒸留残渣は分取薄層ク
ロマトグラフィー(酢酸エチル100%)により分離精
製を行った。目的物は無色油状として0.4g(収率3
8%)単離した。
【0054】1H−NMR(300MHz,CDC
3 )δ1.31(3H,t,OCH2 CH3 ),1.
42,1.46(6H,2s,CMe2 ),2.24
(2H,dd,6−H),2.82(1H,dd,O
H),3.90(1H,m,5−H),4.10(1
H,t,4−H),4.23(1H,q,OCH2 CH
3 ),4.76(1H,m,3−H),6.94(1
H,s,2−H)13 C−NMR(300MHz,CDCl3 )δ166.
3(CO2 ),133.8(2−C),131.3(1
−C),109.9(CMe2 ),78.3(3−
C),72.5(4−C),69.1(5−C),6
1.3(CO2 CH2 ),29.6,28.2(CMe
2 ),25.9(6−C),14.4(CO2 CH2
3
【0055】実施例5 エチル3,4−O−イソプロピ
リデン−5−O−メタンスルホニルシキメートの合成 エチル3,4−O−イソプロピリデンシキメート332
mgをジクロロメタン5mlに溶解し、窒素気流下、氷
冷する。ここに攪拌しながらトリエチルアミン226m
gを加え、更にメタンスルホニルクロライド186mg
を1分かけて滴下した。滴下終了後、氷冷しながら、窒
素気流下、1.5時間攪拌した。氷水を加え反応停止
後、分液し、有機層は0.5Nの塩酸、5%の炭酸水素
ナトリウム水溶液各5mlで各々洗浄を行った。硫酸ナ
トリウム上で乾燥させた後、減圧濃縮を行い、目的物を
黄白色結晶として312mg(収率71%)得た。
【0056】1H−NMR(300MHz,CDC
3 )δ1.31(3H,t,OCH2 CH3 ),1.
42,1.50(6H,2s,CMe2 ),2.50
(1H,dd,6−H),3.01(1H,dd,6′
−H),3.13(3H,s,SO2Me),4.24
(2H,q,OCH2 CH3 ),4.28(1H,m,
4−H),4.79(2H,m,3−H,5−H),
6.96(1H,m,2−H)13 C−NMR(300MHz,CDCl3 )δ165.
4(CO2 ),133.5(2−C),130.3(1
−C),110.6(CMe2 ),79.3(3−
C),75.2(5−C),72.5(4−C),6
1.5(CO2 CH2 ),38.8(SO2 Me),2
8.7,27.9(CMe2 ),25.8(6−C),
14.3(CO2 CH2 CH3
【0057】
【発明の効果】本発明の(2S,3S,4R)−4−ブ
タノリド誘導体(A)は新規な医農薬中間体原料として
有用である。更に、本発明の(2S,3S,4R)4−
ブタノリド誘導体(A)を原料として、有用な医薬等の
中間体である、シキミ酸誘導体を工業的に優位に製造で
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩根 寛 茨城県稲敷郡阿見町中央八丁目3番1号 三菱化学株式会社筑波研究所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC81 4H050 AA01 AA02 AB84 AC20

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(A) 【化1】 (式中、R1 及びR2 は、炭素数1〜20のアルキル基
    を表し、それぞれ同一でも、異っていてもよく、R3
    びR4 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜2
    0のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表
    す。但し、R3 とR 4 は、互いに結合して−(CH2
    n −(nは2〜7の整数を示す)で表される環を形成し
    てもよい)で表される(2S,3S,4R)−4−ブタ
    ノリド誘導体。
  2. 【請求項2】 R1 及びR2 が、炭素数1〜5のアルキ
    ル基を表し、それぞれ同一でも、異っていてもよく、且
    つR3 及びR4 が、互いに異なり、水素原子又はフェニ
    ル基を表すか、或いはR3 及びR4 がメチル基を表す
    か、或いはR3及びR4 が互いに結合してペンタメチレ
    ン環を形成する請求項1に記載の(2S,3S,4R)
    −4−ブタノリド誘導体。
  3. 【請求項3】 R1 及びR2 がエチル基であり、R3
    びR4 がメチル基である請求項1に記載の(2S,3
    S,4R)−4−ブタノリド誘導体。
  4. 【請求項4】 下記一般式(a)で表されるアルデヒド
    化合物をホスホノ酢酸エステルと縮合させることを特徴
    とする請求項1に記載の(2S,3S,4R)−4−ブ
    タノリド誘導体の製造方法。 【化2】 (式中、R3 及びR4 は、式(A)と同義である)
JP34847998A 1998-12-08 1998-12-08 光学活性4−ブタノリド誘導体及びその製造方法 Pending JP2000169490A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34847998A JP2000169490A (ja) 1998-12-08 1998-12-08 光学活性4−ブタノリド誘導体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34847998A JP2000169490A (ja) 1998-12-08 1998-12-08 光学活性4−ブタノリド誘導体及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000169490A true JP2000169490A (ja) 2000-06-20

Family

ID=18397295

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34847998A Pending JP2000169490A (ja) 1998-12-08 1998-12-08 光学活性4−ブタノリド誘導体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000169490A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100695964B1 (ko) 2-아미노말론산유도체의 제조방법
EP2632889B1 (en) Intermediate compounds and process for the preparation of fingolimod
EP1783122A1 (en) Process for production of azulene derivatives and intermediates for the synthesis of the same
EA010883B1 (ru) Способ получения гексагидрофуро[2,3-в]фуран-3-ола
Lokot et al. A new approach to the synthesis of 3, 6-and 5, 6-dialkyl derivatives of 4-hydroxy-2-pyrone. Synthesis of rac-germicidin
KR101018983B1 (ko) 콤브레타스타틴의 제조방법 및 중간체
Mandai et al. The palladium-catalyzed reactions of 2-alkynyl carbonates with terminal acetylenes. A new synthetic method for 1, 2-dien-4-ynes
JP2000169490A (ja) 光学活性4−ブタノリド誘導体及びその製造方法
JP2000169494A (ja) L−グロノフラノース誘導体及びその製造方法
Reddy et al. Chemo‐and regioselective allylic oxidation: Oxo‐derivatives of 2‐phospholene sugar analogs
KR100906478B1 (ko) 호모알렌일 알코올 유도체와 인듐을 이용한 이의 제조방법
EP2949642A1 (en) Method for producing 3,5-dimethyldodecanoic acid; and 4-carboxy-3,5-dimethyl-3,5-dodecadienoic acid
US6335458B1 (en) Intermediate compounds in the synthesis of the A ring moiety of 2-substituted vitamin D derivatives
US5250744A (en) Process for the preparation of 2-aryl-1,3-propanediols
US5239121A (en) Process for the preparation of 2-aryl-1,3-propanediols
Johnson et al. Mannich reaction. 6-Alkoxytetrahydro-5, 5-dimethyl-1, 3-oxazines
Wróblewski et al. Synthesis of diethyl (1R, 2R)-and (1S, 2R)-3-acetamido-1, 2-dihydroxypropylphosphonates
JP4509327B2 (ja) N,n−ジ置換−4−アミノクロトン酸エステルの製造方法
JP4561635B2 (ja) 4−アルコキシカルボニルテトラヒドロピラン又はテトラヒドロピラニル−4−カルボン酸の製法
JP2673478B2 (ja) セラミド誘導体とその製造方法及び中間体
JP4643842B2 (ja) 3,5−ビスアルキルフェノールの製造法
US5081268A (en) Process for the preparation of oxetanes from 1,3-glycol monosulfates
Czech et al. Synthesis of benzo‐13‐crown‐4 derivatives
JP2815988B2 (ja) 3―n―シクロヘキシルアミノフェノール誘導体の製造法
JP3619275B2 (ja) アスコルビン酸リンアミド誘導体ならびにその製造方法