JP2000166600A - 腫瘍の増殖を抑制する化合物をスクリ―ニングする方法 - Google Patents

腫瘍の増殖を抑制する化合物をスクリ―ニングする方法

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JP2000166600A
JP2000166600A JP11276693A JP27669399A JP2000166600A JP 2000166600 A JP2000166600 A JP 2000166600A JP 11276693 A JP11276693 A JP 11276693A JP 27669399 A JP27669399 A JP 27669399A JP 2000166600 A JP2000166600 A JP 2000166600A
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Yasuhiro Furuichi
泰宏 古市
Masanobu Sugimoto
正信 杉本
Takehisa Matsumoto
武久 松本
Yoshikazu Shiratori
美和 白鳥
Makoto Goto
眞 後藤
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EIJIIN KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 RecQ DNA ヘリカーゼファミリー遺伝子の発
現と腫瘍との関係を解明し、これによりRecQ DNA ヘリ
カーゼファミリー遺伝子の発現を指標とした、腫瘍細胞
の増殖を抑制する化合物のスクリーニング方法を提供す
ることを課題とする。 【解決手段】 腫瘍細胞系における RecQ DNAへリカー
ゼファミリー遺伝子の発現レベルを検討したところ、正
常細胞での発現は極めて低い一方で、各種腫瘍細胞系に
おいて著しく高い発現が認められたことから、これら遺
伝子の発現を指標に、腫瘍細胞の増殖を抑制する化合物
のスクリーニングが可能であることを見出した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制癌剤のスクリー
ニング方法に関する。より詳しくは、RecQ DNAヘリカー
ゼ遺伝子の発現の抑制を指標とした、腫瘍の増殖を抑制
する化合物をスクリーニングする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ウェルナー症候群(WS)とは、常染色体の
劣性遺伝的異常が引き起こす、まれな癌を伴う早期加齢
の症状を伴う疾患である。ウェルナー症候群を伴う患者
には低い身長、若年白内障、肌の萎縮、白髪化と脱毛、
真性糖尿病、動脈硬化、骨粗鬆症および腫瘍形成が見ら
れる(O. Werner, 1904, Doctoral dissertion, Kiel U
niv., Schmidt and Klauning, Kiel; C.J. Epstein et
al., 1966, Medicine 45: 177-221; G.M. Martin, 197
8, Birth Defects Orig. Artic. Ser. 14: 5-39;M. Got
o et al., 1996, Cancer Epidemiol. Biomarker Preven
tion 5: 239-246)。
【0003】これらの症状の早期出現は、ウェルナー症
候群が正常な加齢と比較して2〜2.5倍速く加齢を促進す
ることを表していると示唆される。ウェルナー症候群患
者の寿命は、主に悪性腫瘍あるいは心臓血管破損による
死亡のために46±11.6歳となっている(M. Goto, 1997,
Mechanisms of Ageing and Development 98: 239-25
4)。繊維芽細胞の成長特性についてのインビトロでの
研究もまた、ウェルナー症候群が正常な加齢と関連して
いる可能性を示唆している: 個体数の倍加レベル(PDL)
によって表されるウェルナー症候群繊維芽細胞の寿命
は、正常な繊維芽細胞の寿命と比較してはるかに短い
(D. Salk et al., 1985, Adv. Exp. Med. Biol. 190:
305-311)。遺伝子の不安定性のような過剰突然変異誘
発の表現型もまた、ウェルナー症候群繊維芽細胞及びEp
stein-Barrウィルス(EBV)により形質転換したB−リン
パ芽球様細胞において、頻繁に発生する。
【0004】ウェルナー症候群の原因遺伝子(WRN)は、
すでに8p11-12領域のポジショナルクローニングによっ
て同定され、大腸菌のRecQ(N. Irino et al., 1986, M
ol. Gen. Genet. 205: 298-304)や酵母(Saccharomyces
cerevisiae)のSgs1(S. Gangloff et al., 1994, Mol.
Cell. Biol. 14: 8391-8398)と相同性を有する RecQD
NAへリカーゼファミリーに属すDNAへリカーゼをコード
している(C.-E. Yu etal., 1996, Science 272: 258-2
62)。
【0005】RecQ DNAヘリカーゼファミリーに属するヘ
リカーゼとしては、WRNヘリカーゼ以外にも、ブルーム
症候群(Bloom's syndrome; BLM)の原因遺伝子であるB
LMヘリカーゼ(N.A. Ellis et al., 1995. Cell 83: 65
5-666)、RecQ1ヘリカーゼ(Nucleic Acids Res. 22: 4
566-4573)、ロスムンド−トムソン症候群(RTS)の原
因遺伝子の産物である RecQ4ヘリカーゼ(RTSヘリカー
ゼともいう)(S. Kitao et al., 1998, Genomics, 54,
pp443-452; S. Kitao et al., 1999, Nat. Genet. 22:
82-84; 特願平9-200387; 特願平11-11218号)、RecQ5
ヘリカーゼ(S. Kitao et al., 1998, Genomics, 54, p
p443-452; 特願平10-81492)が知られている。DNAへリ
カーゼは、エネルギー的に安定なDNAの二本鎖構造を解
きほぐし、複製、組み換え及び修復といった細胞内の重
要な過程の一本鎖を提供する酵素であるため、DNA代謝
の欠陥により、ウェルナー症候群患者の若年加齢に複雑
な過程が起こる(T.M. Lohman, 1993, J. Biol. Chem.
268: 2269-2272)。最近、昆虫細胞及びバキュロウイル
スの系を用いて発現させたWRNヘリカーゼは、実際にDNA
依存的ATPアーゼおよびDNAの巻き戻し活性を示すこと
が、本発明者らと他者らによって証明された(N. Suzuk
i et al., 1997, Nucleic Acids Res. 25: 2973-2978;
M.D. Gray et al., 1997, Nature Genet. 17: 100-10
3)。本発明者らはまた、N-末端FLAGペプチドあるいは
増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)で標識したWRNへリカー
ゼタンパク質が、ヒーラ細胞の核内のみに局在し、核内
のDNAへリカーゼの役割と一致していることを明らかに
した(T. Matsumoto et al., 1997 Nature Genet. 16:
335-336; N. Suzuki et al., 1997, Nucleic Acids Re
s. 25: 2973-2978)。
【0006】ウェルナー症候群患者に発生する突然変異
については、本発明者らと他者らによって、100人以上
の患者に対して長期にわたり調査されてきた。現在まで
に、異なる20種類の突然変異が明らかにされており、こ
れらはWRNの全体のコード領域によって分類され、それ
ぞれの患者にはホモ(homozygous)あるいは複合したヘ
テロ(compound heterozygous)の突然変異として存在
している(T. Matsumoto et al., 1997, Hum. Genet. 1
00: 123-130; J. Oshima et al., 1997, Hum. Mol. Gen
et. 5: 1909-1913)。さらに最近になって、本発明者ら
はこれらの突然変異の多くが、C末端領域に存在する核
局在性シグナル(NLSs)を欠失した末端のないDNAへリカ
ーゼ分子を生じ、翻訳された全てのWRN産物がDNAへリカ
ーゼの機能を発揮する場である核に移動できないことを
明らかにした(T. Matsumoto etal., 1997 Nature Gene
t. 16: 335-336; T. Matsumoto et al., 1998, Int. J.
Ml. Med. 1: 71-76)。このように、ウェルナー症候群
患者におけるWRN遺伝子とその変異の解析については、
多くの知見が蓄積してきている。
【0007】しかしながら、WRN遺伝子とウェルナー症
候群患者に見られる腫瘍形成などとの関係については、
何ら報告されていない。また、WRNヘリカーゼ以外の Re
cQ DNAヘリカーゼファミリーと腫瘍形成などとの関係に
ついても、何ら報告されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、RecQ DNA
ヘリカーゼ遺伝子の発現と腫瘍との関係を解明し、これ
によりRecQ DNA ヘリカーゼ遺伝子の発現を指標とし
た、腫瘍細胞の増殖を抑制する化合物のスクリーニング
方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく、腫瘍細胞系における内在性WRNへリカー
ゼの発現レベルを、ウェスタンブロッティングにより検
討した。その結果、内在性WRNへリカーゼは、正常細胞
での発現は極めて低い一方、検討を行ったすべての腫瘍
細胞系において発現しており、いくつかの腫瘍細胞系に
おいては著しく高い発現を示した。さらに、本発明者ら
は、RecQ DNAへリカーゼファミリーに属する他のヘリカ
ーゼであるRecQ1 ヘリカーゼの発現レベルを検討したと
ころ、該ヘリカーゼにおいても、WRNへリカーゼ同様、
腫瘍細胞系においては発現が検出されるが、腫瘍細胞系
の種類によっては、WRNへリカーゼとRecQ1 ヘリカーゼ
との間で発現の強さに相違が存在することを見出した。
BLMヘリカーゼや RecQ4ヘリカーゼ(RTSヘリカーゼ)な
ど、他の RecQ DNA ヘリカーゼの発現も同様に、腫瘍細
胞において発現が高く、腫瘍細胞系の種類によっては、
個々の RecQ DNAへリカーゼにより発現の強さに相違が
存在した。
【0010】本発明者らは、このように RecQ DNAヘリ
カーゼファミリー遺伝子の発現が、速やかに増殖する細
胞、特に腫瘍細胞において正の制御を受けていることか
ら、これら遺伝子の発現を指標に、腫瘍細胞の増殖を抑
制する化合物のスクリーニングが可能であることを見出
すに至り、これにより本発明を完成した。
【0011】即ち、本発明は、RecQ DNAヘリカーゼファ
ミリー遺伝子の発現の抑制を指標とした腫瘍の増殖を抑
制する化合物のスクリーニング方法に関し、より具体的
には、(1) 腫瘍の増殖を抑制する化合物をスクリー
ニングする方法であって、(a)RecQ DNA ヘリカーゼ
ファミリー遺伝子を発現する細胞に被検試料を接触およ
び/または導入する工程、(b)該細胞におけるRecQ D
NAヘリカーゼファミリー遺伝子の発現量を測定する工
程、および(c)該細胞におけるRecQ DNAヘリカーゼフ
ァミリー遺伝子の発現量を低下させる化合物を選択する
工程、を含む方法、(2) RecQ DNA ヘリカーゼファ
ミリー遺伝子を発現する細胞が腫瘍細胞株である、
(1)に記載の方法、(3) RecQ DNA ヘリカーゼフ
ァミリー遺伝子の発現量をRecQ DNA ヘリカーゼファミ
リータンパク質に結合する抗体により測定する、(1)
に記載の方法、(4) RecQ DNA ヘリカーゼファミリ
ー遺伝子が、WRNヘリカーゼ遺伝子、BLMヘリカーゼ遺伝
子、RecQ1ヘリカーゼ遺伝子、RecQ4ヘリカーゼ(RTSヘ
リカーゼ)遺伝子、およびRecQ5ヘリカーゼ遺伝子から
なる群より選択される、(1)から(3)のいずれかに
記載の方法、に関する。
【0012】なお、本発明において「遺伝子の発現」に
は、転写および翻訳の双方が含まれる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明は、RecQ DNA ヘリカーゼ
ファミリー遺伝子の発現の抑制を指標とした腫瘍の増殖
を抑制する化合物のスクリーニング方法に関する。本発
明のスクリーニング方法は、(a)RecQ DNA ヘリカー
ゼファミリー遺伝子を発現する細胞に被検試料を接触お
よび/または導入する工程、(b)該細胞におけるRecQ
DNAヘリカーゼファミリー遺伝子の発現量を測定する工
程、(c)該細胞におけるRecQ DNA ヘリカーゼファミ
リー遺伝子の発現量を低下させる化合物を選択する工
程、を含む。
【0014】本発明のスクリーニングに用いられる被検
試料としては、特に制限はなく、例えば、天然または合
成されたタンパク質、ペプチド、各種有機化合物、細胞
抽出物、菌体成分などが挙げられる。
【0015】また、本発明のスクリーニングに用いる
「RecQ DNA ヘリカーゼファミリー遺伝子を発現する細
胞」としては、該ファミリーに属する少なくとも1つの
遺伝子を発現する細胞であれば特に制限はないが、特に
腫瘍細胞が好適である。腫瘍細胞としては、例えば、後
述する実施例等に記載のHT1080(繊維肉腫)、PA-1(卵
巣の奇形癌)、Tera2(胎生期癌)、T24(膀胱癌)、K5
62(慢性骨髄性白血病)、Molt4(急性リンパ芽球性白
血病)、A172(神経膠芽細胞腫)、HeLa(子宮頚癌)な
どの各種腫瘍細胞が好適に用いられる。
【0016】RecQ DNA ヘリカーゼファミリー遺伝子と
しては、例えば、WRNヘリカーゼ遺伝子、BLMヘリカーゼ
遺伝子、RecQ1ヘリカーゼ遺伝子、RecQ4ヘリカーゼ(RT
Sヘリカーゼ)遺伝子、およびRecQ5ヘリカーゼ遺伝子が
挙げられる。
【0017】本発明においては、これらRecQ DNA ヘリ
カーゼファミリー遺伝子を発現する細胞に上記被検試料
を接触および/または導入し、RecQ DNA ヘリカーゼフ
ァミリー遺伝子の発現量を測定する。
【0018】遺伝子の発現量の測定には、当業者に公知
の種々の方法を用いることが可能である。例えば、mRNA
の検出は、ノザンブロット法(T. Maniatis et al., In
Molecular Cloning, Cold Spring Harbor Laboratory,
1987, pp201-206.)あるいはRT-PCR法(A.L. Shaffer
et al., Anal. Biochem., 1990, 190: 292-296)などの
方法により行うことができる。またタンパク質の検出
は、実施例に示すようなウェスタンブロット法または、
エライザ法(enzyme-linked immunosorbent assay, ELI
SA; I. Roitt et al., In "Immunology", The C.V. Mos
by Co., 1989,pp25.5-25.6)等により行うことができ
る。
【0019】発現量の測定の結果、RecQ DNA ヘリカー
ゼファミリー遺伝子の発現の有意な低下が認められれ
ば、用いた被検試料は腫瘍の増殖を抑制する化合物の候
補となる。
【0020】なお、後述する実施例において、RecQ DNA
ヘリカーゼファミリー遺伝子は各種腫瘍細胞株におい
て発現していたが、その発現レベルは、各種腫瘍細胞株
において遺伝子の種類に応じて異なっていた。例えば、
K562細胞(慢性骨髄性白血病)ではRecQ1ヘリカーゼよ
りもWRNヘリカーゼ、BLMヘリカーゼ、および RecQ4ヘリ
カーゼ(RTSヘリカーゼ)の発現が高く、T24細胞(膀胱
癌)では、RecQ1ヘリカーゼおよび RecQ4ヘリカーゼ(R
TSヘリカーゼ)の発現が、WRNヘリカーゼおよびBLMヘリ
カーゼの発現よりも高いことが示された。従って、RecQ
DNA ヘリカーゼファミリー遺伝子の個々の遺伝子の発
現を検出することにより、各種癌の検査を行うことも可
能であると考えられる。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものでは
ない。
【0022】[実施例1] 腫瘍細胞におけるWRNヘリカ
ーゼの発現解析 ヒト腫瘍細胞系におけるWRNヘリカーゼの発現レベル
を、C末端エピトープを認識するモノクローナル抗体4H1
2を用いてウェスタンブロッティングにより比較した。
モノクローナル抗体4H12は、ヒトWRNヘリカーゼのアミ
ノ酸833〜1432残基からなるC末端領域のN末端にグル
タチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)を付加した組換
えタンパク質を大腸菌(E. coli)内で発現させ、グル
タチオンセファロースを用いたアフィニティークロマト
グラフィーにより精製し、これを抗原として用いてBalb
/cマウスへ通常の方法に従い免疫することにより作製し
た。
【0023】解析に用いた細胞系はATCCから購入した。
すべての細胞系は、RPMI1640、McCoy's 5a培地、または
ダルベッコ改変イーグル培地(それぞれ、10%の熱で不
活性化した胎児ウシ血清で補足した)で維持した。細胞
系は、湿条件のCO2インキュベーターで37℃にて培養し
た。
【0024】ウェスタンブロット解析は、下記のように
実施した。細胞溶解物は、Tadaら(S. Tada et al., 19
96, Cell Struct. Funct. 21: 123-132)に記載されて
いるように、細胞のサブコンフルエント培養物から調製
した。およそ107の細胞を氷冷したPBSで洗浄し、沈殿さ
せ、10mM Tris-HClバッファー(pH7.4)、1% NP-40、0.1
% sodium deoxycholate、0.1% ドデシル硫酸ナトリウ
ム(SDS)、150mM NaCl、1mM ethylene diamine tetra ac
etate(EDTA)およびプロテアーゼ阻害剤のカクテル(P
harmingen, CA)を含むRIPAバッファー中で溶解させ、2
0μgのタンパク質を含む細胞抽出物の一部を7%SDS-ポ
リアクリルアミドゲル上で電気泳動した。
【0025】あらかじめ染色されたSDS-PAGE標準蛋白質
マーカー(Bio-Rad Laboratories Inc., CA)を分子量
の測定のために用いた。分子量マーカーは、ミオシン
(213kDa)、β-ガラクトシダーゼ(119kDa)、ウシ血
清アルブミン(83kDa)、およびオバルブミン(47kDa)
を含む。
【0026】ゲルに展開した蛋白質をポリビニルジフル
オライド(PVDF)膜、Immobilon(Millipore, MA)に電気
的に転写した。転写された膜を、5%スキムミルクを含
むTBS(20mM Tris-HCl, 150mM NaCl, pH7.5)で1時間処
理した。次いで、膜は、WRNヘリカーゼに対する特異性
および親和性において適度となるように希釈した抗体で
4℃で一晩インキュベートした。次いで、膜を洗浄し、
西洋ワサビペルオキシダーゼ結合抗マウスIgG(Dako, D
enmark)と共にインキュベートした。再び洗浄後、膜上
のWRNヘリカーゼをECLTM(Amersham Life Science, U
K)を用いて検出した。
【0027】その結果を、実施例2〜4の結果と合わせ
て図1および表1に示す。表1において、シグナルが検
出されなかったものは「−」で、シグナルが検出された
ものは、発現の強さに応じて「+」〜「+++++」で
表した。HT1080(繊維肉腫)、PA1(卵巣の奇形癌)、T
era2(胎生期癌)、T24(膀胱癌)、K562(慢性骨髄性
白血病)、Molt4(急性リンパ芽球性白血病)およびA17
2(神経膠芽細胞腫)細胞などの腫瘍細胞において、WRN
遺伝子は、HeLa細胞の発現と同等かそれ以上の発現を示
した(表1他)。最も強い発現を示したのはK562細胞で
あり、Molt4細胞、A2182細胞も強い発現を示した。WRN
ヘリカーゼの分子量は、細胞溶解物中の20μgの蛋白質
(cell lysate proteins)を解析した場合、すべての腫
瘍細胞で同じであり、180kDaであった。
【0028】また、対照として正常細胞(末梢血白血球
細胞および繊維芽細胞)を用いて同様にウェスタンブロ
ッティング解析を行った結果、これらの細胞では、WRN
ヘリカーゼの発現がほとんど見られなかった。
【0029】また、正常細胞 TIG-3 において検出され
た発現も弱いものであった。しかし、これらの細胞をエ
プスタイン・バー・ウイルス(EBV)またはSV40でトラ
ンスフォームすると、WRNヘリカーゼが有意に増加した
(図1)。
【0030】[実施例2] 腫瘍細胞におけるRecQ1ヘリ
カーゼの発現解析 RecQ1ヘリカーゼに対する抗体(Tada, S. et al., 199
6, Cell Struct. Funct. 21: 123-132)を用いて、実施
例1と同様に、ウェスタンブロッティング解析により、
種々の腫瘍細胞等における発現の解析を行った。その結
果、腫瘍細胞ではいずれも発現が観察された。正常繊維
芽細胞(WI38)でもWRNヘリカーゼの発現が検出された
が、腫瘍細胞と比べると発現量は少なかった。また、TI
G-3細胞では高い発現が検出されたが、B細胞ではほとん
ど発現は検出されなかった。WRNヘリカーゼの発現とRec
Q1ヘリカーゼの発現は必ずしも相関していなかった。例
えば、K562細胞ではRecQ1ヘリカーゼよりもWRNヘリカー
ゼの発現が高く、T24細胞では逆にRecQ1ヘリカーゼの発
現の方が高かった(表1、図1)。
【0031】[実施例3] 腫瘍細胞におけるBLMヘリカ
ーゼの発現解析 BLMヘリカーゼに対する抗体を用いて、実施例1と同様
に、ウェスタンブロッティング解析により、種々の腫瘍
細胞等における発現の解析を行った。抗BLMヘリカーゼ
抗体は、大腸菌でBLMヘリカーゼのC末断片を発現させ、
これをマウスに免疫することにより作製したモノクロー
ナル抗体である。解析の結果、正常繊維芽細胞(WI38)で
はほとんど発現が検出されなかった。TIG-3細胞では弱
い発現が検出され、B細胞では発現は検出されなかっ
た。腫瘍細胞ではいずれも発現が観察された(表1、図
1)。腫瘍細胞における BLMヘリカーゼの発現は、WRN
ヘリカーゼの発現と比較的一致していたが、RecQ1ヘリ
カーゼの発現とは必ずしも相関していなかった。
【0032】[実施例4] 腫瘍細胞におけるRTSヘリカ
ーゼの発現解析 RTSヘリカーゼに対する抗体を用いて、実施例1と同様
に、ウェスタンブロッティング解析により、種々の腫瘍
細胞等における発現の解析を行った。抗RTSヘリカーゼ
抗体は、大腸菌でRTSヘリカーゼのC末断片を発現させ、
これをマウスに免疫することにより作製したモノクロー
ナル抗体である。その結果、B細胞では発現は検出され
ず、TIG-3細胞の発現も弱かったが、腫瘍細胞では強く
発現するものが多く検出された(表1、図1)。
【0033】
【表1】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ RecQ1 WRN BLM RTS 細胞株 ヘリカーゼ ヘリカーゼ ヘリカーゼ ヘリカーゼ ─────────────────────────────────── TIG-3 +++++ + + + TIG-3+SV40 +++++ +++++ +++++ ++++ B 細胞 − − − − B 細胞+EBV ++ +++ +++++ ++++ U251 MG ++ +++ +++++ ++++ SK-N-MC ++ ++ + + MOLT4 +++++ +++++ +++++ ++++ K562 + +++++ +++++ +++++ A2182 ++++ +++++ +++ +++ HTB 82 +++ +++ + + HT1080 ++++ +++ ++ +++ YCR ++ ++ ++ +++++ SW620 ++ +++ + ++ COLO 32ODM + ++ + ++ C33 A + ++ +++ ++++ HeLa S3 ++ ++ ++ ++++ PA-1 +++ ++++ ++ ++ T24 +++++ ++ ++ +++++ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0034】
【発明の効果】本発明によりRecQ DNA ヘリカーゼ遺伝
子の発現の抑制を指標とした腫瘍の増殖を抑制する化合
物のスクリーニング方法が提供され、これにより効率的
に抗腫瘍剤のスクリーニングを行うことが可能となっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種細胞におけるRecQ DNAヘリカーゼの発現を
ウェスタンブロットにより解析した結果を示す図であ
る。「TIG-3+SV40」および「B cell+EBV」は、それぞれ
正常細胞TIG-3をSV40によりトランスフォームした細
胞、およびBリンパ球をEBVによりトランスフォームし
た細胞を表す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 武久 神奈川県鎌倉市梶原200番地 株式会社エ イジーン研究所内 (72)発明者 白鳥 美和 神奈川県鎌倉市梶原200番地 株式会社エ イジーン研究所内 (72)発明者 後藤 眞 東京都練馬区関町南4丁目11番12号

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 腫瘍の増殖を抑制する化合物をスクリー
    ニングする方法であって、(a)RecQ DNA ヘリカーゼ
    ファミリー遺伝子を発現する細胞に被検試料を接触およ
    び/または導入する工程、(b)該細胞におけるRecQ D
    NA ヘリカーゼファミリー遺伝子の発現量を測定する工
    程、および(c)該細胞におけるRecQ DNA ヘリカーゼ
    ファミリー遺伝子の発現量を低下させる化合物を選択す
    る工程、を含む方法。
  2. 【請求項2】 RecQ DNA ヘリカーゼファミリー遺伝子
    を発現する細胞が腫瘍細胞株である、請求項1に記載の
    方法。
  3. 【請求項3】 RecQ DNA ヘリカーゼファミリー遺伝子
    の発現量をRecQ DNAヘリカーゼファミリータンパク質に
    結合する抗体により測定する、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 RecQ DNA ヘリカーゼファミリー遺伝子
    が、WRNヘリカーゼ遺伝子、BLMヘリカーゼ遺伝子、RecQ
    1ヘリカーゼ遺伝子、RecQ4ヘリカーゼ(RTSヘリカー
    ゼ)遺伝子、およびRecQ5ヘリカーゼ遺伝子からなる群
    より選択される、請求項1から3のいずれかに記載の方
    法。
JP11276693A 1998-09-30 1999-09-29 腫瘍の増殖を抑制する化合物をスクリ―ニングする方法 Withdrawn JP2000166600A (ja)

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