JP2000163079A - 表面波抑制用表面材料 - Google Patents

表面波抑制用表面材料

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JP2000163079A
JP2000163079A JP10337266A JP33726698A JP2000163079A JP 2000163079 A JP2000163079 A JP 2000163079A JP 10337266 A JP10337266 A JP 10337266A JP 33726698 A JP33726698 A JP 33726698A JP 2000163079 A JP2000163079 A JP 2000163079A
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sound
vibration
suppressing
fibers
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Toru Yamaguchi
透 山口
Hiroyuki Tone
弘之 刀禰
Mitsuru Tanabe
充 田辺
Masaki Maekawa
正樹 前川
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AIKA ENGINEERING KK
Toray Industries Inc
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AIKA ENGINEERING KK
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】振動エネルギーによって振動が加わる構造部材
や音響振動を受ける部材に適用され、表面波を原因とす
る振動の防止を実現するとともに、吸音材など音響振動
を受ける機能部材においても、人にとって極めて不快な
高い周波数の非定常ノイズを防止し、音質劣化を防止す
る表面波抑制用表面材料を提供する。 【解決手段】単繊維繊度が0.0001〜1.0デニー
ル、縦弾性係数が21000Kgf/mm2 以下の極細
繊維群からなり、その極細繊維群を構成する各極細繊維
が振動エネルギーによって相互に振動させられる状態で
集合しているいる。この極細繊維群は織編物と不織布の
場合とがあり、表面波抑制用表面材料は、好適には、振
動伝達物体、被振動物体、吸音材および音響材料の表面
に配設される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振動エネルギーに
よって振動が加わる構造部材や音響振動を受ける部材に
適用される表面波抑制用表面材料に関するものである。
本発明の表面波抑制用表面材料は、好適には、音響振動
を受ける機能部材の表面に配設使用される。
【0002】
【従来の技術】高分解能顕微鏡や超精密アクチュエータ
など、小さな振動の影響も無視し得ない精密な測定器や
機械においては、それらを構成する各部材の表面に発生
する横振動である表面波の、部材内部への再反射等によ
り、精密性や測定値に狂いが生じる。そのために、部材
内部への再反射等を防止することにより、各部材の剛性
を上げたり防振するだけでは得られない表面波を原因と
する振動の防止を実現することが期待されている。
【0003】また、吸音材など音響振動を受ける機能部
材においても、内部に位置する吸音材料が固有の非定常
振動によって、音響としては吸音しながらも、高い周波
数の非定常ノイズ等の人にとって極めて不快な成分が発
生する。そのためにこのような非定常ノイズを防止しも
しくは減衰せしめ、音質劣化のない吸音材などの実現が
期待されている。
【0004】楽器、ホール、オーディオ機器などの音響
に関連するものにおいて共通に重要なものが、その構成
部材の表面物性である。
【0005】振動の伝達する音響部材においては、振動
が与えられると、その振幅の大きさの領域における縦弾
性係数(ヤング率)に依存して主に縦振動(すなわち、
振動進行方向の伸縮み)として部材内部に伝搬するが、
あらゆる物質には横弾性係数に依存して横振動(すなわ
ち、振動進行方向に直角に痩せる太る)も発生する。こ
の横振動は部材表面において表面波(すなわち、水面の
波と同じように表面の凹凸の波)となる。表面波は、定
常的に位相遅れがあるだけでなく、部材表面の微視的形
状やさらには結晶の状態によって変調歪みと位相歪みと
が生じ、当然、機械インピーダンスの大きな編曲点であ
るため、多くは部材内部へ再反射していく。したがつ
て、同一の素材、形状の部材でも、表面状態で大きく音
質が異なる。
【0006】また、音響空間の吸反射音面について、ま
ず反射面においては、音波が当たると断熱圧縮が生じ、
続いて断熱膨張に移って、音波はあたかも鏡に反射する
光のように折り返す。しかしながら、実際には完全剛体
は存在しないので、音波エネルギーは一旦部材の振動に
変換され、さらにその一部が熱エネルギーとなり、残り
は、部材固有の変調を受けて反射する。したがって反射
率が同じものでも部材ごとに音質が異なるわけてある。
この変調は、部材表面の影響が最も大きいことはいうま
でもない。
【0007】ましてや、吸音部材では、熱エネルギー変
換が大きいと同時に部材固有の変調が著しく大きいの
で、その反射量の絶対量が少なくても、反射面以上に音
質にも多大な影響を与える。換言すれば、硬い反射面よ
り柔らかい吸音面のほうがはるかに癖が強く出やすい。
【0008】従来、吸音性音響材としては、ロックウー
ル、ガラスウール、粗毛フェルト、などが用いられてき
たが、定常特性としては吸音目的を達し得ても、前述の
ように人の聴感覚上不快な音響となってしまうのが一般
的であった。
【0009】例えば、劇場ホールやコンサートホールな
どでは、ホール場内の音響特性を調整するために、上記
のような音響材料が部分的に単体であるいは複合して用
いられている。また、ホール場内に配置される椅子に
も、ホールの音響性を調整するために同じような音響材
料が用いられている。しかしながら、このような従来の
音響材料を用いると、聴感上の音質はひずみ感やにごり
感のあるものとなり、好ましいものではなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、極細繊
維からなる特定の繊維布帛が、精密な測定器や機械を構
成する各部材の剛性を上げ、防振するだけでは得られな
い表面波を原因とする振動の防止を実現することがで
き、また、音響振動を受ける機能部材においても、人に
とって極めて不快な高い周波数の非定常ノイズを防止し
得ることを見いだし、本発明に至った。
【0011】本発明の目的は、振動エネルギーによって
振動が加わる構造部材や音響振動を受ける部材に適用さ
れ、表面波を原因とする振動の防止を実現するととも
に、吸音材など音響振動を受ける機能部材においても、
人にとって極めて不快な高い周波数の非定常ノイズを防
止し、音質劣化を防止する表面波抑制用表面材料を提供
することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成せんとするものであって、本発明の表面波抑制用表
面材料は、単繊維繊度が0.0001〜1.0デニー
ル、縦弾性係数が21000Kgf/mm2 以下の極細
繊維群からなり、それを構成する各極細繊維が振動エネ
ルギーによって相互に振動させられる状態で集合されて
いることを特徴とするものであって、本発明の好ましい
実施態様においては、上記極細繊維群は、極細繊維から
なる繊維布帛であり、繊維布帛としては織編物の場合と
不織布の場合とがある。本発明の表面波抑制用表面材料
は、好適には、振動伝達物体、被振動物体、吸音材およ
び音響材料の表面に配設される。そして、音響関係で
は、コンサートホール、劇場ホールおよび映画館等のホ
ール用に好適に使用される。
【0013】
【発明の実施の形態】材料物性として音響振動の減衰
は、主に縦弾性係数のヒステリシス分が熱エネルギーと
して消費されることによる。このヒステリシスは粘性オ
イルに浸されたバネのように滑らかに弧を描くものと、
容器にたくさん詰められた砂粒を叩くようにぎざぎざと
なめらかでなく非定常なものがある。当然、この2つの
振動減衰能の大きさを完全に同一に設定しても、そこか
ら発せられる音響は全く異質である。部材表面での振動
は音響上影響が大きい。したがってまた表面での振動減
衰の作用秩序は、聴覚パターン認識にとって最大の影響
がある。
【0014】例えばグラスウールやフェルトに音が入射
すると、音圧(すなわち空気圧力振動の単位面積当たり
のエネルギー)は、繊維によって複雑に区切られた空間
を通過するので熱エネルギーとして圧力損失が生ずる。
それに伴って、繊維自身に容易に振動が誘発され、さら
に繊維同士の摩擦が生じる。このいずれの過程でもただ
熱エネルギー変換されるのではなく、繊維とその構成・
絡まり方で決定される物性にしたがって新たに固有音が
発生する。この固有音は、元の音に対して比例関係でな
いばかりか線形関係になく、非定常である。すなわち、
独立しては聴こえるレベルでないにせよ、元の音を汚く
変換した異音がガサガサとかブアブアと鳴る。
【0015】したがって、この異音の絶対値が小さいこ
とも重要であるが、人の聴覚パターン認識にとって耳つ
かない種類の音、不快でない種類の音であることが最も
肝要であり、本発明の表面波抑制用表面材料は、これら
の音を排斥することができる。本発明の表面波抑制用表
面材料は、単繊維繊度が0.0001〜1デニールで、
縦弾性係数が21000Kgf/mm2 以下の極細繊維
群で基本的に構成され、その極細繊維群を構成する各極
細繊維が振動エネルギーによって相互に振動させられる
状態で集合されているが、本発明のこの表面波抑制用表
面材料を用いることにより、聴感上の音質が明瞭でにご
り感がなく艶やかになることは驚くべきことである。そ
の理由は明らかではないが、繊維間の摩擦音や固有振動
による変調が小さくなるためと考えられる。
【0016】本発明では、極細繊維群は好適には繊維布
帛の形態を有する。本発明で用いられる極細繊維からな
る繊維布帛は、長繊維からなる織物または編物であって
もよく、また短繊維からなりその短繊維が絡合している
不織布の形態であってもよい。聴感上の音質は、織編物
の場合は適度に艶やかなものとなり、不織布の場合は、
癖のない心地よさを与える傾向があるので、必要に応じ
適宜選択し、適宜組み合わせて使用することができる。
【0017】[不織布]本発明で用いられる不織布は、
単繊維繊度が0.0001〜1デニールの極細繊維が用
いられる。単繊維繊度が小さすぎると、本発明の効果に
乏しくなり、また大きすぎると、不快な非定常成分の音
が大きくなる等の問題がある。
【0018】また、この極細繊維は縦弾性係数が210
00Kgf/mm2 以下であり、好ましくは40〜1
3、000Kgf/mm2 である。縦弾性係数が210
00Kgf/mm2 を上回ると、柔軟性がなくなって効
果が減少するという問題がある。
【0019】また、この極細繊維の比重は、好ましくは
0.5〜12であり、より好ましくは1.0〜2.5で
ある。この内において、1.14〜1.38が特に好ま
しい効果を示す。
【0020】不織布を構成する極細繊維は、短繊維でも
長繊維でもいいが、短繊維の場合は通常1mm以上であ
り、好ましくは30〜70mmである。
【0021】極細繊維からなる不織布は、例えば、次の
ようにして製造することができる。
【0022】すなわち、2以上の成分からなる分割型複
合繊維もしくは海島型複合繊維をニードルパンチで絡合
せしめたフェルトに、必要に応じポリウレタン樹脂をバ
インダーとして含浸させそれを凝固させる。次いで、分
割型複合繊維を分割し、または海島型複合繊維を脱海処
理して極細繊維化せしめ、このものにさらにサンドペー
パーによるバフ処理等を行ない、必要に応じ少なくとも
表面を起毛処理することにより得ることができる。
【0023】繊維布帛が極細繊維からなる不織布の場合
は、極細繊維によって空間がより細分化されることによ
り、音圧の分散は均質に行なわれ、減衰パワースペクト
ルの不連続性が高域に至るまで微少レベルにおいても生
じない。つぎに誘発される繊維振動も均質でより高域成
分しか含まず、通常の繊維では最も非線形成分の大きい
繊維間摩擦も、同様に連続的で低域成分を含まない。す
なわち、自然界で環境雑音として違和感をもたないホワ
イトノイズ(からさらに低域を除いたもの)が、減衰し
たた原音に微量加わるのみである。これこそが他の表面
材料との本質的にして決定的な差異である。
【0024】不織布は用途に応じバインダーを含浸する
ことができる。バインダーを含浸することで、不織布の
形態保持性を向上せしめ、制振材利用として好適なダン
ピング性を付与することができる。バインダーとして用
いられる樹脂としては、低モジュラスの樹脂が好ましく
用いられ、ポリウレタン樹脂が挙げられる。バインダー
付量は、繊維重量に対し100重量%を超えないように
する。多すぎると、バインダー樹脂の固有の音色が付加
され、好ましい聴感上の音質が得られ難い。
【0025】本発明においては、同じ極細繊維からなる
不織布であっても、バインダーを含浸させない不織布を
用いることができる。特にウオーターパンチ処理を施し
たバインダーレスタイプの不織布は、繊維がより安定し
て絡み、それでいて繊維間の摩擦を阻害する要因がない
ので、かえって分散して微少摩擦が生じやすく、通常の
極細繊維不織布よりもさらに固有異音のない画期的素材
である。
【0026】もっとも、不織布は薄手の素材であるか
ら、厚手の圧縮グラスウールやフェルトのように吸音量
の絶対値が大きいわけではない。そこで、吸音量の絶対
値大きくする必要があるときは、これらの外装仕上げ材
として用いれば表面部材が最もその音質を左右するか
ら、音質劣化を防ぐことができる。
【0027】また、固有異音が生じないということは、
振動伝達部材の表面に張り付けた場合も際だった効果を
もたらす。表面波は元振動に対して、変調をもたらすの
で、本発明の表面材料を用いることにより、みごとに解
決することができる。
【0028】[織編物]本発明で用いられる織編物は、
単繊維繊度が0.0001〜1デニールの極細繊維が用
いられる。単繊維繊度が小さすぎると、本発明の効果に
乏しくなり、また大きすぎると、不快な非定常成分の音
が大きくなる等の問題がある。
【0029】また、この極細繊維は縦弾性係数が210
00Kgf/mm2 以下であり、好ましくは40〜1
3、000Kgf/mm2 である。縦弾性係数が210
00Kgf/mm2 を上回ると、柔軟性がなくなって効
果が減少するという問題がある。
【0030】また、この極細繊維の比重は、好ましくは
0.5〜12であり、より好ましくは1.0〜2.5で
ある。この内において、1.14〜1.38が特に好ま
しい効果を示す。
【0031】織編物を構成する極細繊維は、短繊維でも
長繊維でもいいが、長繊維の方が好ましい。
【0032】極細繊維からなる織編物は、次のようにし
て製造することができる。
【0033】すなわち、2以上の成分からなる分割型複
合繊維もしくは海島型複合繊維からなる織編物を製編織
し、次いで、分割型複合繊維を分割し、または海島型複
合繊維を脱海処理して極細繊維化せしめる。このものに
さらにウオーターパンチを施し極細繊維を絡合せしめて
もよい。
【0034】繊維布帛が極細繊維からなる織編物の場合
は、不織布の場合と作用秩序が異なり、音質にも特徴が
ある。極細繊維からなる織編物は、薄手で表面も起毛さ
れていないので、吸音量は少なく、定量的にみればあっ
てもなくても同じようなものである。そして反射音量も
多くない。しかしながら、音が入射すると、高音域にお
いては異音発生のない整流格子として働き、さらに誘発
される極細繊維の振動は、微細ながら比較的整然と発生
する。すなわち、本発明の極細繊維からなる織編物を透
過した音は、原音の音色を著しく変調することなく、美
しく艶やかにして、しかも原音の明瞭度を下げることな
くさわやかな余韻を付加してくれるである。
【0035】極細繊維からなる織編物の吸音量は少ない
ので、かえって、反射面に組み合わせても吸音面に組み
合わせても、その特徴をプラスαの形で発揮する。小さ
な空間で音の美しさも両立させたい音楽練習室などでは
特に画期的特性である。
【0036】本発明の表面波抑制用表面材料は、上述の
繊維布帛で基本的に構成されているが、本発明の態様に
おいて、かかる繊維布帛を表面とし、裏面側にフェルト
等の吸音材やガラスなどの反射材を積層させた構造とす
ることができる。このような吸音材や反射材は本発明の
繊維布帛に貼着、縫製、キルティング等で一体化させる
ことができる。
【0037】本発明の表面波抑制用表面材料の厚さは、
好ましくは、0.1〜5mmである。薄すぎると、本発
明の効果に乏しくなる。
【0038】本発明の表面波抑制用表面材料の使用形態
は多様であり、振動伝達物体、被振動物体、吸音材およ
び音響材料等の表面に配設し使用される。また、ピアノ
など楽器の手入れする、パーティション、カーテンロー
ルブラインドのように楽器の練習室での壁に広げて掛け
る、会議室などの壁面に垂らし静かな落ち着いた空間に
するなど、その使用態様は枚挙にいとまがない。次に、
本発明で特に好適に使用される事例を示す。 [織編物の例]表面波抑制用表面材料として、単繊維繊
度が0.07デニール、フィラメント数680本のポリ
エチレンテレフタレートマルチフィラメント(縦弾性係
数:980Kgf/mm2 、比重:1.38)からなる、織密
度タテ150本/インチ、ヨコ110本/インチの平織
組織の厚さ0.12mmの織物を用いた。
【0039】(a)音楽ホール 定常残響特性がほとんど同一でも、音楽ホールは全く異
なる響きであることがよくある。それより木を多用した
ホールはどこも木の響き、石を多用したホールはどこも
石の響きが感じられる。これは人の聴覚認識が主として
過渡特性に依存しているためであるが、そのために最も
重要な表面仕上げ材料として、本発明の表面波抑制用表
面材料は極めて効果がある。
【0040】本発明の極細繊維からなる織物を、天井や
舞台後方の仕上げに用いることにより、奏者や楽器の特
徴を損なうことのない、すなわち癖のない、なめらかで
美しい響きを得ることができる。
【0041】(b)楽器 鍵盤楽器の蓋は、響きを反射拡大させる機能をもってい
て、楽器の音を決める重要な要素の一つである。しかし
ながら、従来、楽器本体に比べてそのことは重視されて
きたとはいえない。
【0042】そこで本発明の極細繊維からなる織物を、
木枠に張ってイタリアンチェンバロの蓋とした。すると
木の蓋のように楽器の明瞭なアーティキュレーションを
阻害することなく、美しい響きが得られた。
【0043】また、ダブルフレッテドクラヴィコードに
用いたところ、奏者の微妙なコントロールによる表現を
全く祖またげることなく、音量が上がり深くのびる余韻
が得られた。
【0044】(c)会議場等の内装材料 会議場にて、本発明の極細繊維からなる織物を、発言席
後方の壁に貼ったところ、声が明瞭に通るようになり聞
き易くなっただけでなく、発言者の疲労が減少する結果
が得られた。パネルや屏風状にに仕上げて設置しても近
い効果が得られる。 [不織布の例]表面波抑制用表面材料として、ニードル
パンチで絡合せしめた単繊維繊度が0.04デニール、
繊維長51mm、捲縮数14山/インチのポリエチレン
テレフタレート繊維(縦弾性係数:980Kgf/mm2 、比
重:1.38)からなる、厚み1mm、目付290g/
2 の不織布に、ポリウレタン樹脂のジメチルホルムア
ミド溶液を含浸後、湿式凝固させ、その表面をサンドペ
ーパーで起毛した厚み0.6mmの皮革様の表面材料を
用いた。
【0045】(a)音楽ホール 音楽ホールでも客席後方や、客席椅子は一般に吸音性に
仕上げられる。しかしながら、従来の吸音材や吸音構造
は吸音しきれずに反射する成分が固有の音に変調され、
それが極めて人の聴覚認識にとって不快であるため、音
を悪くする一因ともなっていた。
【0046】本発明の極細繊維からなる表面材料を椅子
張りに用いたところ、空席があって多少残響が多くなる
場合でも響きが不明瞭にならない。また、客席後方の吸
音部の仕上げに用いると後部座席における響きの質が向
上する。
【0047】(b)精密機械 レーザピックアップなどの機械可動部分をもつ超精密セ
ンサに、本発明の極細繊維からなる表面材料を張り付け
たところ、振動外乱に強くなった。これによってさらに
計測精度を上げたり計測装置の軽量化、使用条件の緩和
などの効果が得られた。極めて安価にして有用な方式で
ある。
【0048】(c)ビジュアル機器 本発明の極細繊維からなる表面材料を、ビデオカメラの
レンズ可動部と持ち手部に用いたところ、画像のシャー
プネスが向上し、オートフォーカス動作時間も短縮され
た。動きのある画像がリアルになっただけでなく、奥行
きのある画像によって深みがあると評価された。
【0049】また、磁気ヘッド周辺とビデオカセットの
スタビライザーに用いたところ、更に効果が倍増した。
【0050】(d)音響機器 アンプの内部部品は振動を防ぐためフェルトを巻き付け
たり張ったりして防振することがあるが、そのフェルト
の代わりに本発明の極細繊維からなる表面材料を適用し
たところ、振動防止効果が著しく増大した。
【0051】また、CDプレーヤ、LPプレーヤ、テー
プレコーダいずれにおいても大きな音質改善が得られ
た。
【0052】(e)楽器 チェンバロのブリッジの端に本発明の極細繊維からなる
表面材料を張り付けたところ、アーティキュレーション
が明確になりその上しばしば相反する音色変化の柔軟性
をも向上させることができた。
【0053】また、クラヴィコードの本体の外周角に本
発明の表面材料を張り付けたところ、音色が澄み美しく
なった。また、ピアノのフェルトを本発明に置き換えた
ところ、明瞭度と音色いずれも向上した。
【0054】(f)内装材料 従来、吸音性天井材などは存在したが、部屋の響きは押
さえられるものの、かさかさした音質になるため、特に
音響用の部屋でなくても疲労感がますなどの問題が残っ
た。そこで、本発明の極細繊維からなる表面材料を天井
や壁面に適用すると、音の明瞭度は損なわずに響きが自
然に抑制されるため、会議室や応接室、ホテルなどに適
用することにより人間工学的に優れた空間を提供でき
る。
【0055】本発明の表面波抑制用表面材料は、このよ
うに、振動伝達物体の表面、被振動物体の表面、および
音響材料の表面に好適に配設され、特に、音響関係で
は、コンサートホール、劇場ホールおよび映画館等のホ
ール用に好適に使用される。
【0056】
【実施例】(実施例1)ニードルパンチで絡合せしめた
単繊維繊度が0.04デニール、繊維長51mm、捲縮
数14山/インチのポリエチレンテレフタレート繊維
(縦弾性係数:980Kgf/mm2 、比重:1.38)から
なる、厚み1mm、目付290g/m2 のの不織布によ
る表面波抑制用表面材料を得た。このものを、JIS
A 6003に規定されるロックウールフェルトの表面
に積層し吸音材とした。
【0057】(実施例2)実施例1で得られた不織布
に、JIS K 6031に基づいて測定される乾式膜
の100%応力(3号ダンベル、厚み0.2mm、引張
速度500mm/分)が50Kg/cm2 のポリウレタ
ン樹脂のジメチルホルムアミド溶液を、繊維重量に対す
るポリウレタン樹脂の付量が30重量%となるように含
浸後、湿式凝固させた。次いで、表面にサンドペーパー
よにるバフ処理を行ない、極細繊維を起毛せしめ、厚み
0.6mm、目付170g/m2 の皮革様の表面波抑制
用表面材料を得た。このものを、JIS A 6003
に規定されるロックウールフェルトの表面に積層し吸音
材とした。
【0058】(実施例3)単繊維繊度が0.07デニー
ル、フィラメント数680本のポリエチレンテレフタレ
ートマルチフィラメント(縦弾性係数:980Kgf/m
m2 、比重:1.38)からなる、織密度タテ150本
/インチ、ヨコ110本/インチの平織組織の厚さ0.
12mmの織物による表面波抑制用表面材料を得た。こ
のものを、JIS A 6003に規定されるロックウ
ールフェルトの表面に積層し吸音材とした。
【0059】(比較例1)単繊維繊度3.0デニール、
繊維長51mm、捲縮数13山/インチのポリエチレン
テレフタレート繊維(縦弾性係数:980Kgf/mm2 、比
重:1.38)からなる、厚み1mm、目付290g/
2 の不織布による表面波抑制用表面材料を得た。この
ものを、JIS A 6003に規定されるロックウー
ルフェルトの表面に積層し吸音材とした。
【0060】(比較例2)JIS A 6003に規定
されるロックウールフェルを吸音材とした。
【0061】実施例1〜3および比較例1〜2で得られ
た各吸音材を、スピーカー側面の壁面に配設し、その壁
面から約30cmの距離に配置したスピーカーから音楽
を再生し、音質の官能評価を行なった。なお、音質の官
能評価は無作為に選出した10名の試聴者によって実施
した。結果を表1に示す。
【0062】表1のとおり、本発明の表面波抑制用表面
材料を用いた吸音材を用いると、音質が明瞭となり、艶
やかであった。
【0063】
【表1】
【0064】(実施例4)実施例2で得られた表面波抑
制用表面材料を木製ポードの表面に積層し、音響反射板
として用いたところ、音質が明瞭であった。
【0065】(実施例5)実施例2で得られた表面波抑
制用表面材料を制振材として、CDプレーヤーの樹脂製
脚部に張り付け試聴を行なったところ、音質が明瞭であ
った。
【0066】(実施例6)実施例2で得られた表面波抑
制用表面材料を表面部に使用した椅子に着座して、スピ
ーカーから再生される音楽を試聴したところ、音質が明
瞭であった。
【0067】(実施例7)実施例2で得られた表面波抑
制用表面材料を、ガラスと金属からなる市販のパーティ
ーションの金属部分に積層し、パーティーションで仕切
られた内部で会話をしたところ、会話の音声が明瞭であ
った。
【0068】(実施例8)実施例2で得られた表面波抑
制用表面材料を、会議室の窓ガラスを覆うように、カー
テンおよびロールブラインドとして使用したところ、と
金属からなる市販のパーティーションの金属部分に積層
し、パーティーションで仕切られた内部で会話をしたと
ころ、会話の音声が明瞭であった。
【0069】(実施例9)実施例2で得られた表面波抑
制用表面材料を表面仕上材として、市販の塩化ビニル製
シート仕上げのエンクロージャーが用いられているスピ
ーカーのバッフル面に接着し、音楽を再生したところ、
音質が明瞭であった。
【0070】
【発明の効果】本発明の表面波抑制用表面材料によれ
ば、高分解能顕微鏡や超精密アクチュエータなど、小さ
な振動の影響も無視し得ない精密な測定器や機械におい
て、各部材の表面に発生する横振動である表面波の、部
材内部への再反射を防止することができ、それにより各
部材の剛性を上げたり防振するだけでは得られない表面
波を原因とする振動の防止を実現することができる。
【0071】また、吸音材など音響振動を受ける機能部
材の表面に、本発明の表面材料を配設することにより、
内部に位置することになる吸音材料が固有の非定常振動
によって、音響としては吸音しながらも、人にとって極
めて不快な高い周波数のノイズが発生してもそれを遮断
し、音質劣化のない吸音材などの実現を図ることができ
る。
【0072】本発明の表面波抑制用表面材料は、音響関
係では、コンサートホール、劇場ホールおよび映画館等
のホール用に好適に使用され、聴感上の音質や会話の音
声が明瞭となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 刀禰 弘之 岐阜県安八郡神戸町大字安次900−1東レ 株式会社岐阜工場内 (72)発明者 田辺 充 東京都中央区日本橋室町2丁目2番1号東 レ株式会社東京事業場内 (72)発明者 前川 正樹 岐阜県安八郡神戸町大字安次900−1東レ 株式会社岐阜工場内 Fターム(参考) 2E001 DF04 FA10 FA14 FA26 GA26 GA27 GA28 GA85 HA32 HF15 5D061 AA22 AA23 BB21

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単糸織度が0.0001から1デニール、
    縦弾性係数が21000Kgf/mm2 以下の極細繊維群から
    なり、それを構成する極細繊維が振動エネルギーによっ
    て相互に振動させられる状態で集合されていることを特
    徴とする表面波抑制用表面材料。
  2. 【請求項2】 極細繊維の比重が0.5〜12である請
    求項1記載の表面波抑制用表面材料。
  3. 【請求項3】 極細繊維群が繊維布帛である請求項1ま
    たは2記載の表面波抑制用表面材料。
  4. 【請求項4】 繊維布帛がウオーターパンチされた織編
    物である請求項3記載の表面波抑制用表面材料。
  5. 【請求項5】 繊維布帛が短繊維が絡合している不織布
    からなり、少なくともその表面が起毛されてなる請求項
    3記載の表面波抑制用表面材料。
  6. 【請求項6】 繊維布帛にバインダーが含浸されている
    請求項5記載の表面波抑制用表面材料。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の表面波
    抑制用表面材料を最表面として多層に構成した表面波抑
    制用表面材料。
  8. 【請求項8】 繊維布帛に、吸音材もしくは反射剤を積
    層した構造である請求項3〜7のいずれかに記載の表面
    波抑制用表面材料。
  9. 【請求項9】 厚さが0.1〜5mmであることを特徴
    とする請求項1〜8のいずれかに記載の表面波抑制用表
    面材料。
  10. 【請求項10】 振動伝達物体の表面に配設されること
    を特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の表面波抑
    制用表面材料。
  11. 【請求項11】 被振動物体の表面に配設されることを
    特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の表面波抑制用
    表面材料。
  12. 【請求項12】 音響材料の表面に配設されることを特
    徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の表面波抑制用
    表面材料。
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