JP2000160445A - 交撚糸、交撚糸の製造方法およびオープンエンド紡績装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 オープンエンド紡績糸の具有する嵩高性が損
なわれない風合のよい交撚糸を作ることかできる。 【解決手段】 タービン１４およびセパレータ１５を備
えた加撚機構を有するオープンエンド紡績装置におい
て、スライバー１１を加撚機構のタービン２０の加撚部
に供給し、紡績糸またはフィラメント糸２８をタービン
２０の周壁部２１に設けた開口２２ａからタービン２０
の内部に供給し、加撚部において形成されるオープンエ
ンド紡績糸１７とタービンの内部に供給される紡績糸ま
たはフィラメント糸２８を撚り合わせて交撚糸を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、交撚糸、交撚糸の
製造方法およびオープンエンド紡績装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】オープンエンド紡績装置は、繊維束を開
繊する開繊装置とタービンおよびセパレータを備えた加
撚機構とから構成されており、繊維束を開繊装置におい
て開繊し、開繊した繊維を高速回転するタービンにより
タービンの内壁に層状に堆積し、堆積した繊維層をセパ
レータを通して引き出す際に繊維層に撚りを加えること
で紡績糸を形成するものである。上記オープンエンド紡
績装置は、リング精紡機と比較して、高速化、省エネお
よび省力化が可能であるため、紡績業界において広く利
用されている。

【０００３】オープンエンド紡績装置により作られるオ
ープンエンド紡績糸は、リング精紡機により作られるリ
ング精紡糸と比較して、伸度が大きく、嵩高性に富み、
糸斑が少なく、糸強力が低いことが分かっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記形式のオープンエ
ンド紡績装置は、タービンの加撚室に堆積する繊維層に
撚りを加えることでオープンエンド紡績糸を形成するも
のであり、作られるオープンエンド紡績糸もリング精紡
糸と比較して糸強力が低いため、３０番手程度の糸を紡
績するのが限界であり、それより細番手の糸、たとえば
４０番手の糸を紡績しようとすると、運転時に糸切れが
発生し、これに伴って、生産性が低下する原因となって
しまう。また、上記形式のオープンエンド紡績装置は、
構造的にオープンエンド紡績糸の形成と同時に他の糸を
撚り合わす機能を備えていないので、オープンエンド紡
績糸と他の糸を撚り合わせた交撚糸を作ることができな
い。オープンエンド紡績糸と他の糸の交撚糸は、オープ
ンエンド紡績装置と他の糸を撚糸機を用いて撚り合わす
ことにより作られるが、オープンエンド紡績装置で作ら
れるオープンエンド紡績糸は、細番手の糸が３０番手程
度のものに限られるため、作られる交撚糸は、オープン
エンド紡績糸の糸番手によりその太さが制限されてしま
うことになる。

【０００５】本発明は、上記した点を考慮してなされた
もので、撚り合わされる複数の糸の一部に４０番手以上
のオープンエンド紡績糸を含む交撚糸、交撚糸の製造方
法およびオープンエンド紡績装置を提供することを目的
とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明による交撚糸は、
撚り合わされる複数の糸の一部に４０番手以上のオープ
ンエンド紡績糸を含むことを特徴とする。本発明による
交撚糸の製造方法は、タービンおよびセパレータを備え
た加撚機構を有するオープンエンド紡績装置において、
スライバーを加撚機構のタービンの加撚部に供給し、紡
績糸またはフィラメント糸をタービンの周壁部に設けた
開口からタービンの内部に供給し、加撚部において形成
されるオープンエンド紡績糸とタービンの内部に供給さ
れる紡績糸またはフィラメント糸を撚り合わせて交撚糸
を形成することを特徴とする。本発明によるオープンエ
ンド紡績装置は、タービンおよびセパレータを備えた加
撚機構を有するオープンエンド紡績装置において、上記
タービンの周壁部に糸を通すための開口を設けたことを
特徴とする。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面に
つき説明する。図１において符号１は本発明による交撚
糸の製造方法に使用されるオープンエンド紡績装置の一
実施の形態を示す。上記オープンエンド紡績装置１は、
供給される繊維束にドラフトを加えて繊維束をウエブ状
に開繊する開繊装置２と、開繊した繊維を層状に堆積し
撚を加えて紡績糸を形成する加撚紡糸装置３と、紡績糸
を加撚紡糸装置３から引き出してパッケージ状に巻き取
る巻取装置４から構成されている。

【０００８】上記開繊装置２は、図１に示すように、ソ
ーチース型フィードローラ５と平板状プレッシングロー
ラ６を有する繊維供給装置７と、金属針布８を巻き付け
た櫛梳ローラ９を有するドラフト装置１０を備え、カー
ドスライバーまたは粗糸１１を繊維供給装置７を通して
ドラフト装置１０に導き、ドラフト装置１０において開
繊し、開繊した繊維をチャンネル１２を通して加撚紡糸
装置３に供給する。

【０００９】上記加撚紡糸装置３は、図１および図２に
示すように、加撚室１３を形成するタービン１４と、タ
ービン１４の入口側に配置されたセパレータ１５とを有
し、タービン１４とセパレータ１５の間を通して加撚室
１３に送り込まれる繊維を高速回転するタービン１４に
より発生する遠心力により加撚室１３の内壁の大径部に
層状に堆積し、堆積した繊維層１６をセパレータ１５を
通して外部に引き出す際に、繊維層に撚りを加えること
でオープンエンド紡績糸１７を形成する。

【００１０】上記タービン１４は、図２に示すように、
タービン本体１８とこのタービン本体１８の中心に設け
られた回転軸１９を有する。タービン本体１８は、円板
部２０とこの円板部２０の周縁から内側に傾斜する周壁
２１を有し、円板部１８に開口２２が形成され、周壁２
１に開口２２ａが形成されている。また、回転軸１９に
はタービン本体１８の内部に開口する貫通孔２３が形成
されている。

【００１１】上記セパレータ１５は、図２に示すよう
に、全体形状をほぼ皿状とし、中心部に導糸部２４を有
する。導糸部２４は，タービン１４の加撚室１３におい
て形成されるオープンエンド紡績糸１７を外部に案内す
るために作用をする。

【００１２】上記糸巻取装置４は、引出しローラ２５と
巻取りローラ２６を有し、引出しローラ２５により導糸
部２４を通して引出される糸２７をローラ２５にコーン
状に巻き取る。

【００１３】つぎに、交撚糸の製造方法を説明する。ま
ず、オープンエンド紡績糸に撚り合わされる糸を準備す
る。この糸としては、たとえば２．５デニールのフィラ
メントを１２本引き揃えた３０デニールのマルチフィラ
メント糸２８が適当であるが、マルチフィラメント糸２
８は必要に応じてリング精紡糸に替えることができる。

【００１４】上記フィラメント糸２８は、図２に示すよ
うに、オープンエンド紡績装置１の運転を開始する前に
タービン１４の回転軸１９に設けた貫通孔２３からター
ビン１４の内部空間１３を通り、内部空間１３からター
ビン本体１８の円板部２０に設けた開口２２を通してタ
ービン本体１８の外側に導かれた後、タービン本体１８
の外側からタービン本体１８の周壁２１に設けた開口２
２ａを通してタービン１４の内部空間１３に導かれるよ
うに配置される。この場合、フィラメント糸２８の先端
部分は、タービン１４の加撚室１３において形成される
オープンエンド紡績糸１７に臨むように位置される。

【００１５】ついで、オープンエンド紡績装置１の運転
を開始すると、カードスライバーまたは粗糸１１は、繊
維供給装置７の供給装置６からドラフト装置１０に送ら
れ、ドラフト装置１０に設けた櫛梳ローラ９により開繊
された後、チャンネル１２を通して加撚紡糸装置３に送
られる。

【００１６】加撚紡糸装置３に送られる繊維１６は、図
２に示すように、タービン１４とセパレータ１５との間
の間隙を通して加撚室１３に送られ、高速回転するター
ビン１４により発生する遠心力によりタービン１４の加
撚室１３の内壁の大径部に層状に堆積される。

【００１７】つぎに、図示しない案内糸をセパレータ１
５の中心部に設けた導糸部２４を通して加撚室１３の内
部に導入すると、導入した糸に加撚室１３の内壁に堆積
される繊維層が絡み付く。ついで、導入した糸を引き出
すと、導入した糸に絡み付いた繊維層がタービン１４の
加撚室１３の内壁から剥離し、剥離した繊維層にタービ
ン１４の回転による撚りが加えられ、オープンエンド紡
績糸１７が形成される。

【００１８】一方、タービン１４の加撚室１３に通され
たフィラメント糸２８は、加撚室１３の内壁に堆積され
る繊維層に臨む位置にあるので、繊維層が加撚室１３の
内壁から剥離してタービン１４の回転により撚りが加え
られてオープンエンド紡績糸１７を形成する際に、この
オープンエンド紡績糸１７に撚り合わされる。この場
合、オープンエンド紡績糸１７とフィラメント糸２８に
タービン１４の回転数に対応した撚りが加えられる。

【００１９】加撚紡糸装置３において撚り合わされたオ
ープンエンド紡績糸１７とフィラメント糸２８は、引出
しローラ２５によりセパレータ１５の導糸部２４を通し
て外部に引出され、巻取りローラ２６に巻き取られる。

【００２０】このようにして作られたオープンエンド紡
績糸１７とフィラメント糸２８の交撚糸は、従来の技法
では得られないオープンエンド紡績糸の嵩高性を活かし
た杢目調の糸となる。

【００２１】

【発明の効果】以上述べたように、本発明による交撚糸
は、撚り合わされる複数の糸の一部に４０番手以上のオ
ープンエンド紡績糸を含むことで、オープンエンド紡績
糸の嵩高性を活かした杢目調の糸となる。本発明による
オープンエンド紡績装置は、タービンおよびセパレータ
を備えた加撚機構を有し、タービンの周壁部に糸を通す
ための開口を設けたことで、従来のものでは得られなか
った４０番手以上の細番手のオープンエンド紡績糸の紡
出が可能になる。本発明による交撚糸の製造方法は、タ
ービンおよびセパレータを備えた加撚機構を有するオー
プンエンド紡績装置において、スライバーを加撚機構の
タービンの加撚部に供給し、紡績糸またはフィラメント
糸をタービンの周壁部に設けた開口からタービンの内部
に供給し、加撚部において形成されるオープンエンド紡
績糸とタービンの内部に供給される紡績糸またはフィラ
メント糸を撚り合わせて交撚糸を形成することで、オー
プンエンド紡績工程とオープンエンド紡績糸と他の糸と
の撚り合わせ工程を一工程で行うことができるととも
に、オープンエンド紡績糸の具有する嵩高性が損なわれ
ない風合のよい交撚糸を作ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるオープンエンド紡績装置の概略
図。

【図２】本発明によるオープンエンド紡績装置の加撚機
構を示す図。

【符号の説明】

１ オープンエンド紡績装置 １４ タービン １５ セパレータ １７ オープンエンド紡績糸 １８ タービン本体 １９ 回転軸 ２１ 周壁 ２２ 開口 ２２ａ 開口 ２３ 貫通孔 ２４ 導糸部 ２８ 別の紡績糸またはフィラメント糸

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】撚り合わされる複数の糸の一部に４０番手
   以上のオープンエンド紡績糸を含むことを特徴とする交
   撚糸。
2. 【請求項２】タービンおよびセパレータを備えた加撚機
   構を有するオープンエンド紡績装置において、上記ター
   ビンの周壁部に糸を通すための開口を設けたことを特徴
   とするオープンエンド紡績装置。
3. 【請求項３】タービンおよびセパレータを備えた加撚機
   構を有するオープンエンド紡績装置において、スライバ
   ーを加撚機構のタービンの加撚部に供給し、紡績糸また
   はフィラメント糸をタービンの周壁部に設けた開口から
   タービンの内部に供給し、加撚部において形成されるオ
   ープンエンド紡績糸とタービンの内部に供給される紡績
   糸またはフィラメント糸を撚り合わせて交撚糸を形成す
   ることを特徴とする交撚糸の製造方法。