JP2000158655A - 液体噴射記録装置およびその製造方法 - Google Patents

液体噴射記録装置およびその製造方法

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JP2000158655A
JP2000158655A JP33328798A JP33328798A JP2000158655A JP 2000158655 A JP2000158655 A JP 2000158655A JP 33328798 A JP33328798 A JP 33328798A JP 33328798 A JP33328798 A JP 33328798A JP 2000158655 A JP2000158655 A JP 2000158655A
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liquid
layer
heating resistor
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jet recording
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JP33328798A
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Michiaki Murata
道昭 村田
Atsushi Fukukawa
敦 福川
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
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    • B41J2/14088Structure of heating means
    • B41J2/14112Resistive element
    • B41J2/14129Layer structure
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
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    • B41J2202/01Embodiments of or processes related to ink-jet heads
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発熱部の両端に存在する寄生抵抗を低減して
工ネルギー効率を改善するとともに、液体侵食耐性の強
い構造にして信頼性を向上させ、さらにコスト低減を図
ったサーマルタイプの液体噴射記録装置を提供する。 【解決手段】 Si基板上に発熱抵抗体部31、層間絶
縁膜36、金属配線層38、表面保護膜41をこの順で
形成する。その後、ホトリソグラフィー法とドライエッ
チング法を用いて発熱抵抗体部31の発熱領域上の層間
絶縁膜36、表面保護膜41を除去し、ピット8を開口
させる。そして耐液体層40を形成し、少なくとも開口
を覆うとともに、バイパス流路47の部分を越えて延在
させる。さらに樹脂層54を1層のみ形成する。樹脂層
54には、ピット8を耐液体層40より大きくするとと
もに、バイパス流路47の部分を除去し、発熱素子基板
を形成する。別に形成した流路基板と接合し、液体噴射
記録装置を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体流路内に保持
された液体に熱エネルギーを印加し、液体中に発生する
気泡の成長時の圧力により液体を噴射して記録を行うサ
ーマルタイプの液体噴射記録装置およびその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】図9は、サーマルタイプの液体噴射記録
装置における液体噴射過程の一例の説明図である。図
中、1は流路基板、2は液体流路、3は発熱素子基板、
4は個別電極、5は共通電極、6は発熱抵抗体、7は樹
脂層、8はピット、9はノズル、10は液体、11は気
泡、12は液滴である。流路基板1には、液体流路2と
なる多数の溝が形成される。また発熱素子基板3には、
発熱抵抗体6と、その発熱抵抗体6に電気エネルギーを
供給するための個別電極4および共通電極5が形成さ
れ、その上に2層の樹脂層7が形成される。2層の樹脂
層7は、少なくとも発熱抵抗体6の上部が除去され、ピ
ット8が形成される。そして流路基板1と発熱素子基板
3が位置合わせ後、接合されて液体噴射記録装置が形成
されている。この接合によって液体流路2が形成され、
その端部がノズル9となる。また、液体流路2には図示
しない液体供給手段から液体10が供給される。
【0003】図9(A)に示すように、液体流路2に液
体10が供給されている状態において、外部から与えら
れる画像信号に基づき、駆動すべき発熱抵抗体6に対し
て個別電極4および共通電極5により電気エネルギーを
供給する。発熱抵抗体6は、与えられた電気エネルギー
を熱エネルギーに変換し、液体流路2中の液体10を加
温する。液体流路2内では、液体10が急激に沸騰し、
図9(B)に示すよう気泡11が発生する。発生した気
泡11は液体流路2内で急速に成長する。このときの気
泡11の成長時の圧力によって、液体流路2内の液体1
0は両側に押しやられ、図9(C)に示すように一方は
ノズル9から押し出される。
【0004】発熱抵抗体6による液体10の加熱終了
後、図9(D)に示すように気泡11は縮小し、液体流
路2内の液体は発熱抵抗体6へと引かれる方向に力を受
ける。しかし、ノズル9から押し出された液体10は慣
性力によってそのまま移動を続ける。そして一部が液体
流路2内の液体10からちぎれ、図9(E)に示すよう
に液滴12として飛翔する。飛翔した液滴12は、紙な
どの図示しない被記録媒体に付着し、被記録媒体上に記
録画素を形成する。
【0005】図10は、従来のサーマルタイプの液体噴
射記録装置において発熱素子基板上に形成される発熱抵
抗体を含む電気回路の概略を示す平面図である。図中、
21は駆動素子、22は接地電極である。発熱抵抗体6
は、発熱素子基板3上に多数配列されている。各発熱抵
抗体6には、これらに対して個別に駆動エネルギーを伝
達するための個別電極4と、通常、電源電極配線として
機能する共通電極5が接続されている。
【0006】個別電極4は、それぞれの発熱抵抗体6を
駆動制御するための駆動素子21に接続されている。ま
た駆動素子21の端部にも共通の配線が接続され、通
常、接地電極22として機能する。また、駆動素子21
には図示しない信号線が接続されており、この信号線を
介して画像情報に応じた駆動素子21のON/OFF信
号が送られる。信号線を介してON信号が駆動素子21
に与えられると、駆動素子21がON状態となり、この
ON状態になった駆動素子21に接続されている発熱抵
抗体6に電流が流れ、発熱抵抗体6が発熱することにな
る。
【0007】発熱抵抗体6の材料としてどのような材料
を用いるかは、各種検討されている。その中で多結晶S
iは、通常のMOSLSIプロセスのゲート電極材料と
して用いられるため、LSIロジック回路を搭載した液
体噴射ヘッドにおいては、駆動素子21などのLSIの
ゲート電極と発熱抵抗体6の材料の共通化が可能であ
る。そのため、製造工程を簡略化でき、ひいては低コス
トでヘッドを作製できるという利点があり、検討されて
きた。例えば特公平7−64072号公報などにも記載
されている。また、多結晶Siの抵抗値はn型あるいは
p型の不純物イオン(ドナーもしくはアクセプタ)の注
入量で規定されるため、抵抗値の調整が容易でしかも制
御性が高いという特長もある。
【0008】図11、図12は、発熱抵抗体の材料とし
て多結晶Siを用いた場合の従来の液体噴射記録装置の
製造工程の一例を示す断面図、図13は、従来の液体噴
射記録装置の一例を示す断面図である。図中、31は発
熱抵抗体部、32は高抵抗多結晶Si、33は低抵抗多
結晶Si、34はゲート電極、35はソース/ドレイン
拡散層、36は層間絶縁膜、37はコンタクトホール、
38は金属配線層、39はボンディングパッド、40は
耐液体層、41は表面保護膜、42は第1の樹脂層、4
3は第2の樹脂層、44はフィールド酸化膜、45はロ
ジック回路領域、46は液体供給口、47はバイパス流
路、48はリザーバである。
【0009】発熱素子基板3となるSi基板上にフィー
ルド酸化膜44を形成し、発熱抵抗体部31の蓄熱層を
形成するとともに、駆動素子21の領域、ロジック回路
領域45などを分離する。その後、図示しないゲート酸
化膜を成膜し、その上に多結晶Siを成膜する。多結晶
Siには、高抵抗多結晶Si32の部分を除き、不純物
をドープして低抵抗化する。そしてパターニングし、高
抵抗多結晶Si32および低抵抗多結晶Si33からな
る発熱抵抗体部31と、駆動素子21およびロジック回
路領域45のゲート電極34が形成される。駆動素子2
1およびロジック回路領域45には、さらに、ソース/
ドレイン拡散層35を形成する。このような工程を経た
後、層間絶縁膜36が形成され、図11(A)の状態と
なる。なお、駆動素子21のゲート電極34は、多結晶
Siによってロジック回路領域45のLSIと接続して
いる。
【0010】図11(B)に示す工程において、層間絶
縁膜36にコンタクトホール37を開口する。このコン
タクトホール37は、発熱抵抗体部31の両端に設けら
れた低抵抗多結晶Si33の部分や、駆動素子21のソ
ースおよびドレインなどに設けられる。
【0011】図11(C)に示す工程において、各素子
間を接続するための金属配線層38を形成する。これに
より、発熱抵抗体部31の一端と駆動素子21が個別電
極4により接続されるとともに、発熱抵抗体部31の他
端には共通電極5が形成される。共通電極5は、チップ
の外周部分を利用して後部に引き回される。また、駆動
素子21の他端も共通化され、ロジック回路部45を避
けて後部に引き回される。これらの配線の端部は、ボン
ディングパッド39となる。もちろん、ロジック回路部
45内の配線も形成されるとともに、ロジック回路部4
5への電力および信号線も後部に引き出され、ボンディ
ングパッド39が形成される。
【0012】図11(D)に示す工程において、発熱抵
抗体部31上のピット8となる部分の層間絶縁膜36を
ウェットエッチング法にて除去する。そして図12
(A)に示す工程において、液体から発熱抵抗体部31
を保護する耐液体層40(例えばSi窒化膜とTaの2
層膜)を形成する。さらに図12(B)に示す工程にお
いて、デバイスの表面を保護するため、例えば化学的気
相成長(CVD)法で形成した燐珪酸ガラスなどにより
表面保護膜41を形成する。
【0013】最後に図12(C)に示す工程において、
液体からデバイスを保護するためのポリイミドなどによ
る第1の樹脂層42および第2の樹脂層43を形成す
る。このとき、第1の樹脂層42は、ピット8の部分お
よびボンディングパッド39の部分が除去される。第2
の樹脂層43は、さらに、流路基板1に形成される液体
流路2とリザーバ48とを連通させるバイパス流路47
の部分が除去される。このようにして、発熱素子基板3
が作製される。
【0014】これとは別に、発熱抵抗体部31に対応し
て液体流路2となる多数の溝が形成されるとともに、リ
ザーバ48となる貫通孔などが流路基板1に形成され
る。この貫通孔の開口が液体供給口46となる。そし
て、上述のようにして作製された発熱素子基板3と位置
合わせし、接合することによって、図13に示すような
液体噴射記録装置となる。
【0015】このような液体噴射記録装置では、発熱素
子基板3上に、多結晶Siからなる発熱抵抗体部31
と、その発熱抵抗体部31に電流を供給する駆動素子2
1と、画像情報の信号処理を行うロジック回路部45を
LSIプロセスを用いて形成している。そのため、発熱
抵抗体部31を形成する工程を別に設ける必要がなく、
工程が簡素化されて製造コストを低減することができ
る。
【0016】上述の構成では、発熱抵抗体部31は高抵
抗多結晶Si32と低抵抗多結晶Si33とからなる。
高抵抗多結晶Si32の領域は主に発熱領域を規定す
る。一方、層間絶縁膜36、表面保護膜41や第1の樹
脂層42の下に位置する多結晶Siは、たとえ抵抗が高
く十分な発熱量があっても、液体に伝わる熱エネルギー
は小さくなる。そのため、余分なエネルギーロスを小さ
くするという点から、層間絶縁膜36、表面保護膜41
や第1の樹脂層42の下に位置する多結晶Siには、あ
らかじめ高濃度の不純物イオンを注入し、抵抗を十分に
下げておくことが望ましい。
【0017】しかし、低抵抗多結晶Si33の部分につ
いても多少の発熱があるため、エネルギー効率は低下す
る。図14は、発熱抵抗体部31と駆動素子21の等価
回路の説明図である。ここでRend は低抵抗多結晶Si
33の抵抗値、Rheaterは高抵抗多結晶Si32(発熱
部)の抵抗値、Rdriverは駆動素子21の0N抵抗値、
onはON電流値、VDDは電源電圧であり、(1)式の
関係にある。 VDD=Ion×(Rend +Rheater+Rend +Rdriver) …(1) なおここでは、それぞれの素子間を接続する金属配線層
38の抵抗値はほとんど無視できるほど小さいので省略
している。
【0018】この中で、気泡の発生に寄与する熱エネル
ギーはほとんどIon 2 ×Rheaterで決まり、残りのIon
2 ×(Rend +Rend +Rdriver)は気泡の発生には寄
与しない余分な発熱(エネルギーロス)となる。この余
分な熱エネルギーは連続記録時の蓄熱を増大させ、液体
噴射記録装置の温度を上昇させることになる。温度が上
昇すると液体流路2内で気泡が発生し、ドット抜け等の
画質欠陥を引き起こす原因となる。そのため、装置の温
度がある規定温度に到達すると記録を中断するように設
定されている。
【0019】このような理由で、低抵抗多結晶Si33
による寄生抵抗成分は高速記録を行う上で障害の一つに
なっている。またこの昇温は、高速記録させるため同時
記録ビット数を増大させた場合、より顕著になる。ま
た、この液体噴射記録装置を駆動するための最大投入電
力は、 Ion 2 ×(Rend +Rheater+Rend +Rdriver)×同
時記録ビット数 で規定されるため、寄生抵抗成分であるRend とR
driverを低減させることにより投入電力を下げることが
できる。これはまた、ある最大投入電力を有する電源を
用いた時に、寄生抵抗成分(およびRheater)を低下さ
せただけ同時記録ビット数を増やせることを示してい
る。
【0020】ここで、寄生抵抗成分の一つであるRend
について考える。図15は、従来の液体噴射記録装置の
一例における発熱抵抗体部31での抵抗値の説明図であ
る。図15(A)は、低抵抗多結晶Si33の領域の拡
大図、図15(B)は発熱抵抗体部31の平面図であ
る。図中、aはコンタクトホール37のピット8側の端
部からコンタクトホール37を越えて形成された金属配
線層38の長さである。bは金属配線層38の端部と耐
液体層40の端部との間の長さである。cは耐液体層4
0と層間絶縁膜36が重複した部分の長さである。dは
層間絶縁膜36のピット8側の端部から表面保護膜41
の端部までの長さである。eは表面保護膜41の端部か
ら第1の樹脂層42及び第2の樹脂層43の端部(すな
わちピット8の側壁)までの長さである。fは第1の樹
脂層42及び第2の樹脂層43の端部(すなわちピット
8の側壁)から高抵抗多結晶Si32の端部までの長さ
である。これらの長さa〜fは、上述の図11,図12
で説明した各層を形成する際のプロセス合わせマージン
から決定されている。なお、高抵抗多結晶Si32の長
さをAとし、発熱抵抗体部31の幅をBとしている。
【0021】ここで、高抵抗多結晶Si32および低抵
抗多結晶Si33のシート抵抗値をそれぞれRshh およ
びRshe とすると、発熱抵抗体部31の抵抗値は(2)
式で表される。 R=Rend +Rhrater =2×Rshe ×(a+b+c+d+e+f)/B+Rshh ×A/B…(2) この関係式からRend はa+b+c+d+e+fに比例
して大きくなることがわかる。従来の液体噴射記録装置
では、低抵抗多結晶Si33の抵抗値Rend は、6つの
層を形成する際のプロセス合わせマージンから決まるこ
とになる。そのため、どうしても低抵抗多結晶Si33
の抵抗値Rend が大きくなり、エネルギー効率が改善し
ないという問題を有していた。
【0022】また、上述した図13に示したような従来
の液体噴射記録装置においては、耐久性に劣り、信頼性
について問題があった。すなわち、記録動作を繰り返し
ているうちに第1の樹脂層42が耐液体層40の表面か
ら浮き上がり、液体が表面保護膜41および金属配線層
38ヘと侵入する。この記録に用いる液体は、その組成
により差はあるが、これら表面保護膜41およびその下
層の金属配線層38を溶解し、断線不良を引き起こす。
実験によれば、同モードによる故障は3×10 7 回程度
の駆動で発生することが確認されている。
【0023】さらに、従来の液体噴射記録装置の構造で
は、製造コストが高いという問題もある。上述した図1
3に示したような従来の液体噴射記録装置の構造では、
流路基板1には液体流路2となる溝とリザーバ48とな
る貫通孔が設けられ、この溝とリザーバ48との連通を
発熱素子基板3に形成したバイパス流路47によって行
っている。このバイパス流路47は、第2の樹脂層43
を除去することによって形成した溝により構成されてい
る。その下層の第1の樹脂層42は、液体侵食耐性の弱
い表面保護膜41が直接液体にさらされるのを防止し、
液体からデバイスを保護する役目を果たしている。この
ように従来の液体噴射記録装置では、樹脂層は2層必要
になる。このような用途に使用されるポリイミド樹脂層
は、液体耐性と加工性を両立させなくてはならないた
め、要求される仕様が厳しく、高価なものとなってい
た。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みてなされたもので、発熱部の両端に存在する寄
生抵抗を低減して工ネルギー効率を改善するとともに、
液体侵食耐性の強い構造にして信頼性を向上させ、さら
にコスト低減を図ったサーマルタイプの液体噴射記録装
置を提供することを目的とするものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明は、Si基板上に
発熱抵抗体、層間絶縁膜、金属配線層、表面保護膜を形
成した後に、ホトリソグラフィー法とドライエッチング
法を用いて発熱抵抗体の発熱領域上を開口させ、少なく
とも該開口を耐液体層で覆う。あるいは、Si基板上に
発熱抵抗体、第1の層間絶縁膜、第1の金属配線層、第
2の層間保護膜、第2の金属配線層、表面保護膜を形成
した後に、ホトリソグラフィー法とドライエッチング法
を用いて発熱抵抗体の発熱領域上を開口させ、少なくと
も該開口を耐液体層で覆う。これによって層形成の際の
プロセス合わせマージンを小さくすることができるの
で、低抵抗の多結晶Si領域における寄生抵抗を小さく
してエネルギー効率の向上とそれに伴う印字速度の向上
を図ることができる。
【0026】また、発熱抵抗体を駆動したときに最も力
を受ける開口の奥部は耐液体層で覆われているため、耐
液体層と樹脂層の剥離も少なくなり、高寿命化して信頼
性を向上させることができる。特に耐液体層を金属配線
層または第1および第2の金属配線層の上部まで延在さ
せることによって、たとえ耐液体層と樹脂層が剥離した
場合でも、液体による配線層の浸食を防止することがで
き、さらに信頼性を向上させることができる。
【0027】さらに本発明では、耐液体層をバイパス流
路の下部まで形成しておくことによって、樹脂層を1層
のみで構成することができる。すなわち、バイパス流路
部分の樹脂層を除去するとその底部に耐液体層が露出
し、耐液体層が従来の1層目の樹脂層として内部を保護
する。これによって、樹脂層を1層のみとすることがで
き、製造コストを低減することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の液体噴射記録装
置の第1の実施の形態を示す断面図、図2ないし図4
は、同じく製造工程の一例を示す工程図である。図中、
図9ないし図13と同様の部分には同じ符号を付してあ
る。51はゲート酸化膜、52は多結晶Si薄膜、53
は導電性多結晶Si膜、54は樹脂層である。
【0029】まず図2(A)に示す発熱素子基板8とな
るSi基板の表面に、図2(B)に示すように通常のL
OCOS(Local Oxidation of S
i)法を用いてフィールド酸化膜44を形成し、トラン
ジスタ領域を規定する。ここでは、後にロジック回路領
域45および駆動素子21の領域等に相当する領域をフ
ィールド酸化膜44によってそれぞれ分離している。フ
ィールド酸化膜44は、例えば1000℃の水素燃焼酸
化で約1.5μm成長させて形成することができる。こ
のフィールド酸化膜44は、素子分離用としてだけでな
く、後に発熱抵抗体である多結晶Siの下の蓄熱層とし
ても機能させるので、できるだけ厚いことが望ましい。
【0030】続いて図2(C)に示す工程において、ト
ランジスタのゲート酸化膜51を形成する。このゲート
酸化膜51は、例えば、1000℃の水素燃焼酸化で約
100nm成長させて形成することができる。
【0031】続いて図2(D)に示す工程において、M
OSトランジスタのゲート電極34と発熱抵抗体部31
の材料となる多結晶Si薄膜52を着膜する。多結晶S
i薄膜52は、例えばCVD(化学的気相成長)法で約
0.4μm着膜させることができる。次に図2(E)に
示す工程において、多結晶Si薄膜52にn型不純物で
あるリンをイオン注入法にて全面に導入する。この段階
で多結晶Si薄膜52は、導電性多結晶Si膜53にな
る。この導電性多結晶Si膜53は、後に高抵抗多結晶
Si32となるものである。さらに図2(F)に示す工
程において、高抵抗多結晶Si32となる領域をホトリ
ソグラフィー法で形成したレジストで覆い、n型不純物
であるリンをイオン注入し、高抵抗多結晶Si32とな
る領域を除く領域を、さらに抵抗の低い導電性多結晶S
i膜にする。この抵抗の低い導電性多結晶Si膜は、発
熱抵抗体部31の低抵抗多結晶Si33あるいはMOS
トランジスタのゲート電極34となるものである。ここ
では低抵抗多結晶Si33として示している。続いて図
3(A)に示す工程において、ホトリソグラフィー法と
フッ素系のガスを用いたドライエッチング法を用いて、
発熱抵抗体部31と、MOSトランジスタのゲート電極
34をパターニング(加工)する。発熱抵抗体部31
は、高抵抗多結晶Si32および低抵抗多結晶Si33
によって構成される。
【0032】その後、図3(B)に示す工程において、
MOSトランジスタのソース/ドレイン拡散層35を、
批素のイオン注入法とその後の熱処理にて形成する。続
いて図3(C)に示す工程において、層間絶縁膜36を
形成する。ここでは、層間絶縁膜36として、CVD法
で約600nm着膜したBPSG(Borophosp
ho silicate glass)膜に平坦化のた
めの熱処理を施したものを用いる。
【0033】続いて図3(D)に示す工程において、ホ
トリソグラフィー法とフッ素系のガスを用いたドライエ
ッチング法にて各素子の電気的接続口となるコンタクト
ホール37を開口する。
【0034】続いて図3(E)に示す工程において、金
属配線層38を形成する。ここでは金属配線層38とし
て、スパッタ法で約1μm着膜したAl−1%Si膜を
用い、パターニングはホトリソグラフィー法と塩素系ガ
スを用いたドライエッチング法で実施した。ドライエッ
チング法を用いることによって微細な配線を形成するこ
とができ、ウェットエッチング法に比べ、高精細化が可
能である。また図3(E)以降では、このパターニング
後の金属配線層38を、機能ごとに、個別電極4、共通
電極5、接地電極22として示している。
【0035】続いて図4(A)に示す工程において、表
面保護膜41として、例えばSiH 4 系ガスを用いたプ
ラズマCVD法で約500nmのSi酸化膜を着膜す
る。
【0036】続いて図4(B)に示す工程において、ピ
ット8とボンディングパッド39をホトリソグラフィー
法とフッ素系ガスを用いたドライエッチング法で同時に
開口する。図11,図12に示した従来の製造方法で
は、層間絶縁膜36に対するピット8の開口と、表面保
護膜41に対するピット8およびボンディングパッド3
9の開口とをそれぞれ独立に行っていた。しかし本発明
では、ドライエッチング法によって同時に開口すること
が可能となる。ここで、ピット8は異種の2層構造の
膜、すなわち層間絶縁膜36と表面保護膜41(プラズ
マCVDSi酸化膜)を除去する。従来の製造方法にお
いて用いていたウエットエッチング法では、いわゆるア
ンダーカットが発生するため、両者のエッチングレート
を高精度で合わせない限り、形状の制御が難しい。その
点、本発明で用いているドライエッチング法による加工
では、膜種によらずほぼ垂直に加工できるため、2層構
造の膜でも形状制御性よく加工できるという利点があ
る。
【0037】続いて図4(C)に示す工程において、耐
液体層40を形成する。耐液体層40としては、Si窒
化膜とTa膜を用いることができる。Si窒化膜は、ア
ンモニア系ガスを用いたプラズマCVD法で着膜するこ
とができ、その上にTa膜をスパッタ法で着膜すること
ができる。これら2層膜をホトリソグラフィー法とフッ
素系ガスを用いたプラズマエッチング法でパターニング
する。耐液体層40は、ピット8の凹部を覆うように形
成される。また、耐液体層40を個別電極4や共通電極
5の上部まで延在させて形成することによって、液体の
浸入による電極の溶解を防止し、長寿命化して信頼性を
向上させることができる。さらに耐液体層40は、バイ
パス流路47の下部を越えて延在させて形成している。
これによって、バイパス流路47において内部回路を保
護することができる。
【0038】最後に図4(D)に示す工程において、液
体流路を形成するための樹脂層54を形成する。ここで
は樹脂層54として感光性ポリイミドを用い、露光現像
によりピット8およびバイパス流路47の部分を開口し
た。従来はバイパス流路47において内部回路を保護す
るため、2層の樹脂層が必要であった。しかし、耐液体
層40が樹脂層54の直下の層としてバイパス流路47
の下部まで延在させて形成している。これによって、バ
イパス流路47の樹脂層54を除去しても耐液体層40
によって内部回路を保護することができ、1層のみの樹
脂層で構成することが可能になり、製造コストを低減す
ることができる。なお、樹脂層54に形成されるピット
8の部分の開口は、耐液体層40によって形成されてい
るピット8の大きさよりも少し大きく開口させるとよ
い。これによって樹脂層54の端部を発熱領域からなる
べく遠ざけることができ、熱による剥離を低減させるこ
とができる。このようにして、発熱素子基板3の作製を
完了する。
【0039】一方、流路基板1については従来と同様で
あり、例えばSi基板に、発熱抵抗体部31に対応した
液体流路となる溝と、リザーバ48および液体供給口4
6となる貫通孔を形成する。そして、上述のようにして
作製された発熱素子基板3と位置合わせ後、接合する。
これによって、図1に示すような液体噴射記録装置が作
製される。
【0040】図5は、本発明の液体噴射記録装置の第1
の実施の形態における発熱抵抗体部31での抵抗値の説
明図である。図5(A)は、低抵抗多結晶Si33の領
域の拡大図、図5(B)は発熱抵抗体部31の平面図で
ある。図中、aはコンタクトホール37のピット8側の
端部からコンタクトホール37を越えて形成された金属
配線層38の長さである。gは金属配線層38の端部と
耐液体層40の立ち上がり部分との間の長さである。h
は耐液体層40の立ち上がり部分から高抵抗多結晶Si
32の端部までの長さである。これらの長さa、g、h
は、上述の図2ないし図4で説明した各層を形成する際
のプロセス合わせマージンから決定されている。なお、
高抵抗多結晶Si32の長さをAとし、発熱抵抗体部3
1の幅をBとしている。
【0041】図1に示すような第1の実施の形態におけ
る構成では、ピット8が層間絶縁膜36と表面保護膜4
1の2層膜の開口により形成されている。また、樹脂層
54のピット8における開口が、層間絶縁膜36のピッ
ト8の開口よりも外側に形成されている。そのため、図
15(A)に示したほぼc〜eの長さは必要なくなる。
そのため、図15(A)におけるb、fに相当する部分
のみが必要になる。このうち、fに相当する部分につい
ては、樹脂層54の端部が発熱領域から離れているた
め、図5(A)に示すように長さhは非常に短くでき
る。
【0042】いま、高抵抗多結晶Si32および低抵抗
多結晶Si33のシート抵抗値をそれぞれRshh および
she とすると、発熱抵抗体部31の抵抗値は(3)式
で表される。 R=Rend +Rheater =2×Rshe ×(a+g+h)/B+Rshh ×A/B …(3) この関係式からRend はa+g+hに比例して大きくな
ることがわかる。従来の構成では、図15で説明したよ
うにRend はa〜fの6つのプロセス合わせマージンか
ら決まっていた。しかし本発明の第1の実施の形態で
は、a,g,hの3つのプロセス含わせマージンから決
まるだけであり、これら長さの合計、つまり抵抗値R
end を従来に比べ、非常に小さくできる。一例として
は、抵抗値Rendを従来の42%に低減することができ
た。
【0043】また、図1に示した本発明の液体噴射記録
装置の構成では、耐液体層40が金属配線層38を覆う
ように配設されている。これは、金属配線層38と耐液
体層40の間に挿入された表面保護膜41により、これ
らの層間の絶縁性を確保していることによって実現でき
るものである。このように耐液体層40により金属配線
層38を覆うことによって、繰り返しの記録動作中に、
たとえ樹脂層54が剥離してその界面から液体が侵入し
ても、表面保護膜41と金属配線層38は液体耐性が強
い耐液体層40(TaとSi窒化膜の2層膜)により保
護され、溶解およびそれによる断線不良を引き起こすこ
とはない。実験では、2×108 回以上の駆動に耐える
寿命を達成している。
【0044】さらに、上述のように耐液体層40はバイ
パス流路47の下部を越えて延在するように形成されて
おり、バイパス流路47の一部(底部)を構成してい
る。耐液体層40の表面は、液体に侵されないTa膜で
構成されているため、従来は第1の樹脂層42が果たし
ていた役割を十分担うことができる。これは、製造プロ
セスのフロー(順序)を変更したことによって実現して
いる。すなわち、従来は図11,図12に示したよう
に、層間絶縁膜36の形成→ピット8の形成→耐液体層
40の形成→表面保護膜41の形成の順であったが、図
2〜図4に示した本発明の第1の実施の形態では、層間
絶縁膜36の形成→表面保護膜41の形成→ピット8の
形成→耐液体層40の形成という順序で形成している。
これによって、耐液体層40を樹脂層54の直前で形成
でき、従来の第1の樹脂層42の機能を果たすことがで
きるようになった。このような構成にすることにより、
樹脂層を従来の2層構造から1層にでき、またボンディ
ングパッド39の開口工程とピット8の開口工程を同一
工程において一括して開口することができる。そのた
め、製造工程を削減し、またそれに伴う材料費の削減を
達成でき、安価に液体噴射記録装置を製造することがで
きる。
【0045】図6は、本発明の液体噴射記録装置の第2
の実施の形態を示す断面図、図7、図8は、同じく製造
工程の一例を示す工程図である。図中、図1ないし図4
と同様の部分には同じ符号を付してある。61は第1の
層間絶縁膜、62は第1の金属配線層、63は第2の層
間絶縁膜、64はVIA開口、65は第2の金属配線
層、66は電源配線、67は接地配線である。上述の第
1の実施の形態では、1層の金属配線プロセスを用いた
場合の例について示した。しかし液体噴射記録装置の仕
様によっては電流を多く流さなくてはならないものがあ
る。この場合には、配線による電圧降下の問題等を抑制
するために電源配線と接地配線を2層目の金属配線で形
成するという方法をとることができる。この第2の実施
の形態では、この2層の金属配線を形成する場合につい
て説明する。
【0046】この第2の実施の形態における発熱素子基
板の製造工程は、上述の第1の実施の形態における図3
(D)に示す工程までは同じであるため、説明を省略す
る。ここで、その後の工程においても層間絶縁膜および
金属配線層を別に形成するため、発熱抵抗体部31など
を形成した後に形成する層間絶縁膜36を第1の層間絶
縁膜61として示す。
【0047】図7(A)に示す工程は、上述の第1の実
施の形態における図3(E)に示す工程と同様に金属配
線層を形成する工程である。ここでは2層目の金属配線
層と区別するため、金属配線層38を第1の金属配線層
62として示している。ここでは第1の金属配線層62
として、スパッタ法で約1μm着膜したAl−1%Si
膜を用い、パターニングはホトリソグラフィー法と塩素
系ガスを用いたドライエッチング法で実施した。この第
1の金属配線層62によって形成される共通電極5は、
発熱抵抗体部31のノズル側の低抵抗多結晶Si33か
ら、隣接する発熱抵抗体部31の間を折り返して配線さ
れる。また、個別電極4は、発熱抵抗体部31の他側の
低抵抗多結晶Si33と駆動素子21の一端を接続す
る。接地電極22は、駆動素子21の他端を電気的に接
続している。
【0048】続いて図7(B)に示す工程において、第
1の金属配線層62と後述する第2の金属配線層65の
間を電気的に絶縁するための第2の層間絶縁膜63を形
成する。ここでは第2の層間絶縁膜63として、シラン
系のガスを用いたプラズマCVD法で形成した約700
nmのSi酸化膜を用いる。
【0049】続いて図7(C)に示す工程において、第
1の金属配線層62と第2の金属配線層65の接続口と
なるいわゆるVIA開口64をホトリソグラフィー法と
フッ素系ガスを用いたドライエッチング法にて開口す
る。VIA開口64は、駆動素子21の他端と接続され
ている接地電極22の上と、共通電極5の図示しない折
り返し端部などに設けられる。また、ボンディングパッ
ド39が形成される位置の第2の層間絶縁膜63も除去
される。
【0050】次に図7(D)に示す工程において、第2
の金属配線層65を形成する。ここでは第2の金属配線
層65として、スパッタ法で約1μm着膜したAl−1
%Si膜を用い、パターニングはホトリソグラフィー法
と塩素系ガスを用いたドライエッチング法で実施した。
また、図7(D)以降では、この第2の金属配線層65
を、機能ごとに電源配線66,接地配線67として示し
ている。駆動素子21の接地電極22は、VIA開口6
4を介して第2の金属配線層65で形成される接地配線
67に接続されている。また、共通電極5も図示しない
VIA開口を介して第2の金属配線層65で形成される
電源配線66に接続される。なお、第2の金属配線層6
5は、ボンディングパッド39の部分にも形成され、こ
の部分の強度を増している。
【0051】続いて図8(A)に示す工程において、第
2の金属配線層65等が形成されたデバイス表面を保護
する表面保護膜41を形成する。ここではシラン系のガ
スを用いたプラズマCVD法により、約500nmのS
i酸化膜を形成した。
【0052】続いて図8(B)に示す工程において、発
熱抵抗体部31の上部の絶縁膜、すなわち第1の層間絶
縁膜61と第2の層間絶縁膜63と表面保護膜41の3
層の膜をホトリソグラフィー法とフッ素系ガスを用いた
ドライエッチング法にて除去してピット8を形成する。
ここでは異種の3層構造の膜、すなわち第1の層間絶縁
膜61と第2の層間絶縁膜63と表面保護膜41を除去
するため、従来、ピットの加工に用いていたウェットエ
ッチング法ではいわゆるアンダーカットが発生するた
め、これらの膜のエッチングレートを高精度で合わせな
い限り、形状の制御が難しい。その点、ドライエッチン
グ法による加工では膜種によらずほぼ垂直に加工できる
ため、3層構造の膜でも形状制御性よく加工できるとい
う利点がある。なお、この工程において同時にボンディ
ングパッド39の位置も開口する。
【0053】続いて図8(C)に示す工程において、耐
液体層40を形成する。耐液体層40としては、Si窒
化膜とTa膜の積層膜を用いることができる。Si窒化
膜は、アンモニア系ガスを用いたプラズマCVD法で着
膜することができ、その上にTa膜をスパッタ法で着膜
することができる。これら2層膜をホトリソグラフィー
法とフッ素系ガスを用いたプラズマエッチング法でパタ
ーニングする。耐液体層40は、ピット8の凹部を覆う
ように形成される。また、第1の金属配線層62および
第2の金属配線層65を覆うように形成することによっ
て、液体の浸入からこれらの金属配線層を保護し、断線
などを防止することができる。さらにこの耐液体層40
は、次の工程で形成されるバイパス流路47の下部とな
る部分を越えて形成されている。
【0054】最後に図8(D)に示す工程において、液
体からデバイスを保護するための樹脂層54を形成す
る。ここでは樹脂層54として感光性ポリイミドを用
い、露光現像によりピット8の部分を開口した。このピ
ット8における樹脂層54の端部は、耐液体層40によ
り形成したピット8の端部よりも外側に位置するように
形成している。このようにして、発熱素子基板3の作製
を完了する。
【0055】一方、流路基板1については従来と同様で
あり、例えばSi基板に、発熱抵抗体部31に対応した
液体流路2となる溝と、リザーバ48となる貫通孔を形
成する。貫通孔の開口が液体供給口46となる。そし
て、上述のようにして作製された発熱素子基板3と位置
合わせ後、接合する。これによって、図6に示すような
液体噴射記録装置が作製される。
【0056】このようにして作製された液体噴射記録装
置の第2の実施の形態においては、ピット8の開口の際
に第1の層間絶縁膜61と第2の層間絶縁膜63と表面
保護膜41の3層の膜を一度に除去する。そのため、上
述の第1の実施の形態と同様に、発熱抵抗体部31と第
1の金属配線層62との接続部から高抵抗多結晶Si3
2までの間のプロセス合わせマージンから決定される長
さを短くすることができる。これによって、エネルギー
効率を向上させ、また、記録速度の向上を図ることがで
きる。
【0057】また、耐液体層40を第1の金属配線層6
2および第2の金属配線層65を覆うように配設してい
る。これによって、繰り返しの記録動作中に、たとえ樹
脂層54が剥離してその界面から液体が侵入しても、表
面保護膜41および第1の金属配線層62,第2の金属
配線層65は耐液体層40(TaとSi窒化膜の2層
膜)により保護され、溶解およびそれによる断線不良を
引き起こすことはない。
【0058】さらに、上述のように耐液体層40はバイ
パス流路47の下部を越えて延在するように形成されて
おり、バイパス流路47の一部(底部)を構成してい
る。これにより、樹脂層を従来の2層構造から1層にで
き、製造工程を削減し、またそれに伴う材料費の削減を
達成でき、安価に液体噴射記録装置を製造することがで
きる。
【0059】さらにこの第2の実施の形態では、第2の
金属配線層65によって電源配線66および接地配線6
7の配線幅を広く取ることができ、配線における電圧降
下をほとんど無視できる程度にすることができる。その
ため、各発熱抵抗体部31に均等に電気エネルギーを供
給することができ、ほぼそろった液量の液滴を噴射し、
記録を行うことができる。そのため、高画質の画像を得
ることができる。
【0060】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、寄生抵抗となる低抵抗の多結晶Si領域の長
さを短くでき、エネルギー効率の向上とそれに伴う印字
速度の向上を図ることができる。また、金属配線層が耐
液体層に保護されるため、長寿命化が達成でき、信頼性
を向上させることができる。さらに、樹脂層を1層にで
きるため、低コスト化を図ることができるという効果が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液体噴射記録装置の第1の実施の形
態を示す断面図である。
【図2】 本発明の液体噴射記録装置の第1の実施の形
態における製造工程の一例を示す工程図である。
【図3】 本発明の液体噴射記録装置の第1の実施の形
態における製造工程の一例を示す工程図(続き)であ
る。
【図4】 本発明の液体噴射記録装置の第1の実施の形
態における製造工程の一例を示す工程図(続き)であ
る。
【図5】 本発明の液体噴射記録装置の第1の実施の形
態における発熱抵抗体部31での抵抗値の説明図であ
る。
【図6】 本発明の液体噴射記録装置の第2の実施の形
態を示す断面図である。
【図7】 本発明の液体噴射記録装置の第2の実施の形
態における製造工程の一例を示す工程図である。
【図8】 本発明の液体噴射記録装置の第2の実施の形
態における製造工程の一例を示す工程図(続き)であ
る。
【図9】 サーマルタイプの液体噴射記録装置における
液体噴射過程の一例の説明図である。
【図10】 従来のサーマルタイプの液体噴射記録装置
において発熱素子基板上に形成される発熱抵抗体を含む
電気回路の概略を示す平面図である。
【図11】 発熱抵抗体の材料として多結晶Siを用い
た場合の従来の液体噴射記録装置の製造工程の一例を示
す断面図である。
【図12】 発熱抵抗体の材料として多結晶Siを用い
た場合の従来の液体噴射記録装置の製造工程の一例を示
す断面図(続き)である。
【図13】 従来の液体噴射記録装置の一例を示す断面
図である。
【図14】 発熱抵抗体部31と駆動素子21の等価回
路の説明図である。
【図15】 従来の液体噴射記録装置の一例における発
熱抵抗体部31での抵抗値の説明図である。
【符号の説明】
1…流路基板、2…液体流路、3…発熱素子基板、4…
個別電極、5…共通電極、6…発熱抵抗体、7…樹脂
層、8…ピット、9…ノズル、10…液体、11…気
泡、12…液滴、21…駆動素子、22…接地電極、3
1…発熱抵抗体部、32…高抵抗多結晶Si、33…低
抵抗多結晶Si、34…ゲート電極、35…ソース/ド
レイン拡散層、36…層間絶縁膜、37…コンタクトホ
ール、38…金属配線層、39…ボンディングパッド、
40…耐液体層、41…表面保護膜、42…第1の樹脂
層、43…第2の樹脂層、44…フィールド酸化膜、4
5…ロジック回路領域、46…液体供給口、47…バイ
パス流路、48…リザーバ、51…ゲート酸化膜、52
…多結晶Si薄膜、53…導電性多結晶Si膜、54…
樹脂層、61…第1の層間絶縁膜、62…第1の金属配
線層、63…第2の層間絶縁膜、64…VIA開口、6
5…第2の金属配線層、66…電源配線、67…接地配
線。
フロントページの続き Fターム(参考) 2C057 AF52 AF70 AF93 AG12 AG46 AG50 AG85 AG88 AG92 AG93 AP02 AP14 AP32 AP33 AP53 AQ02 BA03 BA13

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発熱抵抗体が形成された発熱素子基板
    と、前記発熱抵抗体に対応して液体の流路が形成された
    流路基板とが接合された液体噴射記録装置において、前
    記発熱素子基板には、前記発熱抵抗体と層間絶縁膜と金
    属配線層と表面保護膜がこの順で積層されており、前記
    発熱抵抗体の発熱領域上部の前記層間絶縁膜および表面
    保護膜を除去して開口させるとともに該開口を覆うよう
    に耐液体層が配設され、さらに上層に樹脂層が形成され
    るとともに前記開口よりも大きく樹脂層が除去されてい
    ることを特徴とする液体噴射記録装置。
  2. 【請求項2】 発熱抵抗体が形成された発熱素子基板
    と、前記発熱抵抗体に対応して液体の流路が形成された
    流路基板とが接合された液体噴射記録装置において、前
    記発熱素子基板には、前記発熱抵抗体と第1の層間絶縁
    膜と第1の金属配線層と第2の層間絶縁膜と第2の金属
    配線層と表面保護膜がこの順で積層されており、前記発
    熱抵抗体の発熱領域上部の前記第1の層間絶縁膜と前記
    第2の層間絶縁膜と表面保護膜を除去して開口させると
    ともに該開口を覆うように耐液体層が配設され、さらに
    上層に樹脂層が形成されるとともに前記開口よりも大き
    く樹脂層が除去されていることを特徴とする液体噴射記
    録装置。
  3. 【請求項3】 前記耐液体層は、前記金属配線層または
    前記第1および第2の金属配線層の上部まで延在してい
    ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液
    体噴射記録装置。
  4. 【請求項4】 前記流路基板には、前記流路とともに液
    体リザーバ部が形成されており、前記発熱素子基板上に
    形成された前記耐液体層は、前記流路と前記液体リザー
    バとを連通させるバイパス流路部が除去されており、該
    バイパス流路部において前記耐液体層が露出するように
    該耐液体層が形成されていることを特徴とする請求項1
    または請求項2に記載の液体噴射記録装置。
  5. 【請求項5】 前記発熱抵抗体は、多結晶Siであるこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体噴
    射記録装置。
  6. 【請求項6】 前記発熱抵抗体は、高抵抗領域と該高抵
    抗領域に連続する低抵抗領域により形成されており、前
    記開口の端部は前記発熱抵抗体の低抵抗領域の上部に位
    置することを特徴とする請求項1または請求項2または
    請求項5に記載の液体噴射記録装置。
  7. 【請求項7】 Si基板上に発熱抵抗体を形成した後に
    層間絶縁膜を形成し、前記発熱抵抗体の両端に接続口と
    なるスルーホールを形成した後に金属配線層を形成し、
    続いて金属配線層の表面保護膜を形成し、その後ホトリ
    ソグラフィー法とドライエッチング法を用いて前記発熱
    抵抗体の発熱領域上を開口させ、少なくとも該開口を耐
    液体層で覆い、さらに樹脂層を形成して前記開口よりも
    大きく該樹脂層を除去して発熱素子基板を形成し、前記
    発熱抵抗体に対応する液体の流路を形成した流路基板と
    接合して液体噴射記録装置を製造することを特徴とする
    液体噴射記録装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 Si基板上に発熱抵抗体を形成した後に
    第1の層間絶縁膜を形成し、前記発熱抵抗体の両端に接
    続口となる第1のスルーホールを形成した後に第1の金
    属配線層を形成し、続いて前記第2の層間保護膜を形成
    し、前記第1の金属配線層との接続口となる第2のスル
    ーホールを形成した後に第2の金属配線層を形成し、続
    いて第2の金属配線層の表面保護膜を形成し、その後ホ
    トリソグラフィー法とドライエッチング法を用いて前記
    発熱抵抗体の発熱領域上を開口させ、少なくとも該開口
    を耐液体層で覆い、さらに樹脂層を形成して前記開口よ
    りも大きく該樹脂層を除去して発熱素子基板を形成し、
    前記発熱抵抗体に対応する液体の流路を形成した流路基
    板と接合して液体噴射記録装置を製造することを特徴と
    する液体噴射記録装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103035716A (zh) * 2011-09-29 2013-04-10 国际联合科技股份有限公司 喷墨头加热芯片及其制造方法

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