JP2000153380A - レーザ肉盛方法 - Google Patents

レーザ肉盛方法

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JP2000153380A
JP2000153380A JP10327904A JP32790498A JP2000153380A JP 2000153380 A JP2000153380 A JP 2000153380A JP 10327904 A JP10327904 A JP 10327904A JP 32790498 A JP32790498 A JP 32790498A JP 2000153380 A JP2000153380 A JP 2000153380A
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Japan
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laser
sintered body
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laser beam
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JP10327904A
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English (en)
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Yoshihiro Naito
藤 善 博 内
Makoto Kawamura
村 誠 川
Kenji Suzuki
木 健 司 鈴
Makoto Kano
納 眞 加
Hironori Sakamoto
元 宏 規 坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daido Steel Co Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のフィラーワイヤなどの線材を用いた場
合に比べてより少ない入熱エネルギーで肉盛材料を溶融
することができ、従来の粉末を用いた肉盛加工と同程度
の入熱エネルギーで済ますことができると共に、従来の
粉末を用いる場合には不可能であった三次元形状へのレ
ーザ肉盛を行うことができるレーザ肉盛方法を提供す
る。 【解決手段】 被加工材12の表面に被加工材12とは
異なった特性を持つ材料をレーザビーム13を用いて肉
盛加工することによって肉盛層15を形成するにあた
り、肉盛加工用の肉盛材料10として、粉末材料をバイ
ンダーと混合し成形して焼結したより望ましくは空孔率
が5〜50%範囲である線状ないしは棒状の焼結体(1
0)を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被加工材に、この
被加工材とは異なった特性をその表面に付加する肉盛技
術に用いるのに好適なレーザ肉盛方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来において、肉盛加工は、フレームも
しくはプラズマなどを熱源として用い、肉盛材料と母材
とを溶融して肉盛層を形成するが、レーザビーム,電子
ビーム等の高エネルギ密度の熱源を用い、肉盛材料であ
る粉末材料を被加工材表面に溶着させるのが一般的であ
った。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このうち、レーザ肉盛
の場合は、フレームもしくはプラズマを熱源として用い
る場合に比べて、被加工材の溶融は小さいが、肉盛材料
である粉末材料の供給がパイプまたはその他の誘導装置
による自由落下で行われるため、例えば、重力に反した
方向への肉盛や、三次元的な加工に対しては有効ではな
いという問題があった。
【0004】このような粉末材料を使用するレーザ肉盛
加工では、肉盛加工時に供給される粉末が被加工材に照
射されるレーザビームの面積以上に広がって供給される
場合があり、粉末の歩留まり(供給される粉末量に対す
る肉盛に消費される粉末量)が低くなって、部品のコス
トを上昇させる原因のひとつとなる可能性があるという
問題点も有していた。
【0005】また、フィラーワイヤなどの線材を肉盛材
料としたレーザ肉盛技術の適用も一部では行われている
が、粉末に比べてフィラーワイヤの熱容量が相対的に高
いために、ワイヤを溶かすに際して高い出力のエネルギ
ーが必要であり、そのため、被加工材への溶け込みが大
きくなってキーホールが形成されやすくなり、本来、被
加工材の溶融を最小限するための手段としては不十分で
あるという問題を有していた。
【0006】
【発明の目的】本発明は、上記した従来の課題に着目し
てなされたものであって、従来のフィラーワイヤなどの
線材を用いた場合に比べてより低い出力の入熱エネルギ
で肉盛材料を溶融することができ、従来の粉末を用いた
レーザ肉盛加工と同程度の入熱エネルギーで済ますこと
ができると共に、従来の粉末を用いる場合には不可能で
あった三次元形状へのレーザ肉盛を可能にし、生産性の
向上および部品コストの低減を実現できる焼結体を肉盛
材料として使用したレーザ肉盛方法を提供することを目
的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるレーザ肉
盛方法は、請求項1に記載しているように、被加工材の
表面に被加工材とは異なった特性を持つ材料をレーザビ
ームを用いて肉盛加工するにあたり、肉盛加工用の肉盛
材料として、粉末材料をバインダーと混合し成形して焼
結した焼結体を使用するようにしたことを特徴としてお
り、この焼結体を使用したレーザ肉盛方法の構成を前述
した従来の課題を解決するための手段としている。
【0008】そして、本発明に係わるレーザ肉盛方法の
実施態様においては、請求項2に記載しているように、
粉末材料をバインダーと混合し成形して焼結した焼結体
からなる肉盛材料の単位断面積中における空孔の占める
割合(空孔率)が5〜50%の範囲であるものとしたこ
とを特徴としている。
【0009】同じく、本発明に係わるレーザ肉盛方法の
実施態様においては、請求項3に記載しているように、
粉末材料をバインダーと混合し成形して焼結した焼結体
からなる肉盛材料の形状が線状ないしは棒状であるもの
としたことを特徴としている。
【0010】同じく、本発明に係わるレーザ肉盛方法の
実施態様においては、請求項4に記載しているように、
粉末材料の成分組成は、Fe,Cu,Al,Ti,S
i,Ni,Cr,Mn,Co,Mg,B,C,V,N
b,W,Mo,Zr,Ta,Hfのうち1種または2種
以上の元素と製造上不可避的に含まれる不純物からなる
ものとしたことを特徴としている。
【0011】同じく、本発明に係わるレーザ肉盛方法の
実施態様においては、請求項5に記載しているように、
使用するレーザビームとして、Nd:YAGレーザビー
ムを使用するようにしたことを特徴としている。
【0012】同じく、本発明に係わるレーザ肉盛方法の
実施態様においては、請求項6に記載しているように、
レーザビームの加工点でのビームの直径をDとし、焼結
体の肉盛方向に対して垂直でかつ被加工材に平行な方向
の幅をWとしたときに、幅Wの範囲が、0.5×D≦W
≦1.0×Dであるようにすることを特徴としている。
【0013】同じく、本発明に係わるレーザ肉盛方法の
実施態様においては、請求項7に記載しているように、
肉盛加工点でレーザビームが被加工材と焼結体の両方に
照射されるようにしたことを特徴としている。
【0014】同じく、本発明に係わるレーザ肉盛方法の
実施態様においては、請求項8に記載しているように、
加工点でのレーザビームの照射面積をAとしたときに、
レーザビームが被加工材に照射する面積aが、0.3×
A≦a≦0.7×Aの範囲であるようにすることを特徴
としている。
【0015】
【発明の作用】本発明に係わるレーザ肉盛方法では、被
加工材の表面に被加工材とは異なった特性を持つ材料を
レーザビームを用いて肉盛加工するにあたり、肉盛加工
用の肉盛材料として、粉末材料をバンダーと混合し成形
して焼結した焼結体を使用するようにしたから、このよ
うな焼結体からなる肉盛材料を使用することにより、粉
末とほぼ同等のレーザ入熱で肉盛加工が行えることとな
り、かつまた、従来の粉末を用いる場合では不可能であ
った三次元的な肉盛加工が容易に行えることとなる。
【0016】本発明に係わるレーザ肉盛方法において
は、粉末材料をバインダーと混合し成形して焼結した焼
結体からなる肉盛材料を使用するに際し、焼結体の単位
断面積中における空孔の占める割合(空孔率)が5〜5
0%の範囲のものとすることで、焼結時にバインダーの
大部分が蒸発し、粉末と粉末との間に空孔ができ、肉盛
加工に際してのレーザ照射時にレーザビームが粉末と粉
末との間の空孔内で乱反射することにより、焼結体から
なる肉盛材料のエネルギ吸収率をフィラーワイヤからな
る肉盛材料のエネルギ吸収率に比べて高くすることが可
能であり、また、粉末同士が強固に冶金的に結合してい
ないため熱容量は粉末材料に近いので、より少ないレー
ザ入熱での肉盛加工が行えることとなる。
【0017】また、本発明に係わるレーザ肉盛方法にお
いては、粉末材料をバインダーと混合し成形して焼結し
た焼結体からなる肉盛材料の形状が線状ないしは棒状で
あるものとすることにより、レーザ肉盛加工点への肉盛
材料の送給を簡素化することが可能となり、かつまた、
粉末材料を使用した場合に比べて加工点での粉末の広が
りがなく、肉盛材料の投入量の精度を向上することがで
き、レーザビームと肉盛材料との相対的な位置合わせ精
度の向上がはかられることとなる。
【0018】そしてまた、本発明に係わるレーザ肉盛方
法において、粉末材料の成分組成は、Fe,Cu,A
l,Ti,Si,Ni,Cr,Mn,Co,Mg,B,
C,V,Nb,W,Mo,Zr,Ta,Hfのうち1種
または2種以上の元素と製造上不可避的に含まれる不純
物からなるものとすることにより、適用する部品にとっ
て必要な特性を必要な部位に容易に付加しうることとな
る。
【0019】さらにまた、本発明に係わるレーザ肉盛方
法において、使用するレーザビームとして、Nd:YA
Gレーザビームを使用することにより、光ファイバーで
のレーザビームの伝送ができるため、ロボット等との組
み合わせにより三次元加工においてもより複雑な形状に
対して連続でレーザ肉盛加工が行えることとなる。
【0020】さらにまた、本発明に係わるレーザ肉盛方
法において、レーザビームの加工点でのビームの直径を
Dとし、焼結体の肉盛方法に対して垂直でかつ被加工材
に平行な方向の幅をWとしたときに、幅Wの範囲が、
0.5×D≦W≦1.0×Dであるようにすることによ
り、焼結体の肉盛方向に対して垂直でかつ被加工材に平
行な方向の幅の両端の部位が未溶融となるのが防止され
ることとなり、幅の両端の部位が未溶融となることによ
り発生する形状不良および肉盛欠陥を抑制しうることと
なる。
【0021】さらにまた、本発明に係わるレーザ肉盛方
法において、肉盛加工点でレーザビームが被加工材と焼
結体の両方に照射されるようにすることにより、被加工
材と肉盛材料とを同時に溶融することができ、肉盛層を
被加工材との界面を加工点で形成しつつ肉盛加工を連続
して行えることとなる。
【0022】さらにまた、本発明に係わるレーザ肉盛方
法において、加工点でのレーザビームの照射面積をAと
したときに、レーザビームが被加工材に照射する面積a
が、0.3×A≦a≦0.7×Aの範囲であるようにす
ることで、レーザビームが被加工材にのみ照射されるこ
ととなり、肉盛材料が溶融しないとか、肉盛材料にレー
ザビームが多く照射され過ぎて被加工材が溶融せず肉盛
層と被加工材との界面が形成されないとかの好ましくな
い状態を回避するとともに、レーザビームの照射により
肉盛材料への入熱が必要以上に多くなり、肉盛材料が加
工点に供給される前の部位が溶融して正常な肉盛加工が
できなくなる不具合が抑制されることとなる。
【0023】
【発明の効果】本発明に係わるレーザ肉盛方法によれ
ば、請求項1に記載しているように、被加工材の表面に
被加工材とは異なった特性を持つ材料をレーザビームを
用いて肉盛加工するにあたり、肉盛加工用の肉盛材料と
して、粉末材料をバインダーと混合し成形して焼結した
焼結体を使用するようにしたから、このような焼結体か
らなる肉盛材料を使用することにより、粉末とほぼ同等
のレーザ入熱で肉盛加工が可能となり、かつまた、従来
の粉末を用いる場合では不可能であった三次元的な肉盛
加工が可能となることから、これまで困難であるとされ
てきた重力に反した方向へのレーザ肉盛加工が可能にな
るという著しく優れた効果がもたらされる。
【0024】そして、請求項2に記載しているように、
粉末材料をバインダーと混合し成形して焼結した焼結体
からなる肉盛材料の単位断面積中における空孔の占める
割合(空孔率)が5〜50%の範囲であるものとするこ
とによって、焼結時にバインダーの大部分が蒸発し、粉
末と粉末との間の空孔ができ、肉盛加工に際してのレー
ザ照射時にレーザビームが粉末と粉末との間の空孔内で
乱反射することにより、焼結体からなる肉盛材料のエネ
ルギ吸収率をフィラーワイヤからなる肉盛材料のエネル
ギ吸収率に比べて高くすることが可能であり、また、粉
末同士が強固に冶金的に結合していないため熱容量は粉
末材料に近いので、より少ないレーザ入熱での肉盛加工
が可能になることから、被加工材と肉盛層との界面にお
いて金属間化合物の形成を抑制することができ、部品な
いしは製品の品質をより一層向上することができるとい
う優れた効果がもたらされ、さらにまた、肉盛材料を焼
結体からなるものとすることで、粉末そのものを肉盛材
料として使用する場合に比べて粉末形状の球状化,粒度
分布の設定範囲の大幅な拡大が可能となり、肉盛材料の
製造コストを低減できるという著しく優れた効果がもた
らされる。
【0025】そしてまた、請求項3に記載しているよう
に、粉末材料をバインダーと混合し成形して焼結した焼
結体からなる肉盛材料の形状が線状ないしは棒状である
ものとすることにより、レーザ肉盛加工点への肉盛材料
の送給を簡素化することが可能となり、かつまた、粉末
材料を使用した場合に比べて加工点での粉末の広がりが
なく、肉盛材料の投入量の精度を向上することができ、
レーザビームと肉盛材料との相対的な位置合わせ精度の
向上が可能となることから、レーザビームと肉盛材料と
の相対的な位置のずれによる肉盛材料の未溶融等の欠陥
の発生を抑制でき、部品ないしは製品の品質を向上でき
ると共に、製品歩留まりをより一層向上できるという著
しく優れた効果がもたらされる。
【0026】また、請求項4に記載しているように、粉
末材料の成分組成は、Fe,Cu,Al,Ti,Si,
Ni,Cr,Mn,Co,Mg,B,C,V,Nb,
W,Mo,Zr,Ta,Hfのうち1種または2種以上
の元素と製造上不可避的に含まれる不純物からなるなる
ものとすることにより、適用する部品にとって必要な特
性を必要な部位に容易に付加することが可能となること
から、耐摩耗性等の特性を被加工材の一部に付加するこ
とができ、部品の全体を必要特性の材料にするとか、熱
処理を施すとかなどの手段を必要としないので、生産性
を向上できるとともに製品のコストを低く抑えることが
できるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0027】さらにまた、請求項5に記載しているよう
に、使用するレーザビームとして、Nd:YAGレーザ
ビームを使用することにより、光ファイバーでのレーザ
ビームの伝送ができるため、ロボット等との組み合わせ
により三次元加工においてもより複雑な形状に対して連
続でレーザ肉盛加工を行うことが可能になるという著し
く優れた効果がもたらされる。
【0028】さらにまた、請求項6に記載しているよう
に、レーザビームの加工点でのビームの直径をDとし、
焼結体の肉盛方向に対して垂直でかつ被加工材に平行な
方向の幅をWとしたときに、幅Wの範囲が、0.5×D
≦W≦1.0×Dであるようにすることにより、焼結体
の肉盛方向に対して垂直でかつ被加工材に平行な方向の
幅の両端の部位が未溶融となるのを防止することがで
き、幅の両端の部位が未溶融となることにより発生する
形状不良および肉盛欠陥を抑制することが可能になると
いう著しく優れた効果がもたらされる。
【0029】さらにまた、請求項7に記載しているよう
に、肉盛加工点でレーザビームが被加工材と焼結体の両
方に照射されるようにすることにより、被加工材と肉盛
材料とを同時に溶融することができ、肉盛層と被加工材
との界面を加工点で形成しつつ肉盛加工を連続して行う
ことが可能になるという著しく優れた効果がもたらされ
る。
【0030】さらにまた、請求項8に記載しているよう
に、加工点でのレーザビームの照射面積をAとしたとき
に、レーザビームが被加工材に照射する面積aが、0.
3×A≦a≦0.7×Aの範囲であるようにすることに
よって、レーザビームが被加工材にのみ照射されること
となり、肉盛材料が溶融しないとか、肉盛材料にレーザ
ビームが多く照射され過ぎて被加工材が溶融せず肉盛層
と被加工材との界面が形成されないとかの好ましくない
状態を回避するとともに、レーザビームの照射により肉
盛材料への入熱が必要以上に多くなり、肉盛材料が加工
点に供給される前の部位が溶融して正常な肉盛加工がで
きなくなる不具合を抑制することが可能になるという著
しく優れた効果がもたらされる。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と共に図面に
基づいて詳細に説明するが、本発明はこのような実施例
に限定されないことないうまでもない。
【0032】図1ないし5は本発明で用いる肉盛材料と
なる焼結体の製造方法を示したものである。
【0033】この実施例では、2重量%の炭素を含有す
る鋳鉄材料成分系の粉末を使用した。また、バインダー
としてはメチルセルロース系の有機バインダーを使用し
た。
【0034】そこでまず、図1に示すように、鋳鉄材料
系の粉末を入れた容器1と、メチルセルロース系の有機
バインダーを入れた容器2とから、それぞれ、鋳鉄材料
系の粉末と有機バインダーを混練容器3内に移した。こ
のとき、鋳鉄材料系の粉末と有機バインダーの体積混合
比を変化させたものとして投入することにより幾種類か
用意した。そして、投入後、水分調整を行った後、混練
容器3内で、攪拌を約10分間行って混練体4とした。
【0035】その後、図2に示すように、プランジャ5
によって混練体4に対し一定の加圧力Pを付加すること
により、加圧成形を行った。この際の加圧成形は、図2
に示すように、押出成形後の成形体6の寸法が幅2:m
m,厚さ:1mm,(長さ:1000mm)となるよう
にダイス7の押出成形口を所定の形状にしたものを用い
て行った。
【0036】次いで、加圧成形された成形体6を図3に
示す加熱炉8内に設置し、ヒーター9による加熱を行
い、昇温の間にバインダーを完全に飛ばすと共に110
0℃で1時間焼結することによって、図4および図5に
示す棒状の焼結体10を得た。
【0037】焼結後の焼結体の断面を図5に示すが、こ
のとき、図5に示すように、焼結体10の断面における
単位面積当たりの空孔11の面積割合(空孔率)の異な
る焼結体10を数種類用意した。
【0038】次いで、図6に示すように、肉盛材料とし
て上記焼結体を用いてレーザ肉盛を実施した。このレー
ザ肉盛に際し、レーザ発信機にはNd:YAGレーザ
(最大出力5kWのもの)を使用し、被加工材12に対
しての加工点でのレーザビーム13の直径Dは2mmに
設定した。そして、焼結体(肉盛材料)10は焼結体供
給装置14を用いて供給することとし、被加工材12の
表面角度を0度とした場合、45度の角度から加工点に
向けて供給した。また、焼結体10の供給速度は1.6
m/minとした。そしてまた、加工速度は1m/mi
nの一定で行うこととして被加工材12の表面に肉盛層
15を形成した。
【0039】図7には、本発明実施例の一つである肉盛
材料として焼結体を使用してレーザ肉盛を行った場合
と、従来技術である肉盛材料として粉末およびフィラー
ワイヤを使用してレーザ肉盛を行った場合とについて、
正常な肉盛層が得られる最小のレーザ出力とレーザ肉盛
加工後に得られた肉盛層15の断面を観察した結果の模
式図を示す。このとき、肉盛は板厚4mmの一般構造用
圧延鋼材(SS400)からなる被加工材12の上に直
線状に肉盛加工を施すことによって肉盛層15を形成し
た。また、従来技術における粉末供給量およびフィラー
ワイヤ供給量は、本発明例における焼結体の肉盛形状と
ほぼ同等のものとなるように加工送給条件を設定して行
った。
【0040】図7より明らかなように、本発明例および
従来技術のうち粉末を使用した場合の正常な肉盛層15
が得られる最小レーザ出力は1.5kWであり、従来技
術のうちフィラーワイヤを使用した場合では4kWであ
った。また、フィラーワイヤを使用した場合においては
キーホール16が形成された。
【0041】この結果より、焼結体を使用したレーザ肉
盛では、従来技術のうち粉末を使用したレーザ肉盛とほ
ぼ同等のレーザ出力での肉盛加工が可能であることがわ
かる。また、フィラーワイヤを用いる場合に比べて、キ
ーホール(16)が形成されにくいという優れた特徴を
有している。
【0042】表1には本発明の実施例および比較例を示
す。
【0043】このとき、肉盛加工条件は上記と同様と
し、加工出力を2.5kWの一定とした。そして、被加
工材の加工点でのビーム径Dは2mmの一定とし、肉盛
方向に垂直な方向における焼結体の幅Wおよび焼結体へ
のビーム照射面積aを変化させて行った。そしてまた、
肉盛加工後の評価は肉盛層の断面および外観の官能評価
とした。
【0044】
【表1】
【0045】表1に示すように、実施例1〜5において
は、肉盛層および被加工材の溶融,界面形成に問題は見
られず、良好な肉盛層が得られた。
【0046】これに対して、比較例1および3では焼結
体の空孔率が低く、焼結体にレーザビームを照射した際
に、焼結体内部でのレーザビームの乱反射が少ないため
焼結体への入熱が足りず、その結果として2.5kWの
レーザ出力では焼結体の溶融が不十分であった。
【0047】また、比較例2および4では、焼結体の空
孔率が高いものを使用したため、脆いものとなってお
り、焼結体を加工点に送給する間に破損し、連続的な肉
盛加工を行うには不十分な結果が得られた。
【0048】さらに、比較例5では、ビーム径に対して
焼結体の幅が小さく、焼結体は十分に溶融することが可
能であったが、被加工材の溶融が大きく、材料の組み合
わせによっては界面の金属間化合物の形成量が多くな
り、割れ等の欠陥発生の原因となる可能性があった。
【0049】さらにまた、比較例6,7では、ビーム径
に対して焼結体の幅が大きく、肉盛層の肉盛方向に対し
て垂直な方向の両端において焼結体が十分溶融しない未
溶着欠陥が発生する可能性があった。
【0050】さらにまた、比較例8,9では、加工点で
のビーム面積が焼結体よりも被加工材に多く照射される
ため、被加工材が過剰に溶融するので肉盛材料と被加工
材との組み合わせによっては界面に金属間化合物を形成
し、割れ等の欠陥発生につながる恐れがあった。また、
加工条件によっては焼結体が十分に溶融しない場合があ
るため好ましくないものであった。
【0051】さらにまた、比較例10,11では、加工
点でのビーム面積が焼結体の方に多く照射されるため、
被加工材の溶融が小さくなり、焼結体への入熱が過剰と
なって、焼結体の熱伝導により加工点に投入される前の
部位が溶融してしまい、正常な肉盛層が得られない可能
性があるとともに、被加工性の溶融が少ないため界面の
形成がなされない可能性が有り、好ましくないものであ
った。
【0052】このようなことから、本発明において特定
した仕様の焼結体を肉盛材料として使用したレーザ肉盛
方法では、良好なる肉盛加工を行うことが可能であり、
生産性に優れ、かつまたコストの上昇を抑えることがで
きることを立証できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例において鋳鉄材料系粉末と有
機バインダーとを混練する様子を示す断面説明図であ
る。
【図2】 本発明の実施例において押出し成形する様子
を示す断面説明図である。
【図3】 本発明の実施例において押出し成形体を焼結
する様子を示す断面説明図である。
【図4】 本発明の実施例で得た焼結体の斜面説明図で
ある。
【図5】 本発明の実施例で得た焼結体の拡大説明図で
ある。
【図6】 本発明の実施例において焼結体よりなる肉盛
材料を用いてレーザ肉盛加工を行う様子を示す断面説明
図である。
【図7】 本発明例および従来技術例において正常な肉
盛層が得られる最小レーザ出力および得られた肉盛層の
断面形状を示す説明図である。
【符号の説明】
6 押出し成形体 10 焼結体(肉盛材料) 12 被加工材 13 レーザービーム 15 肉盛層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴 木 健 司 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 加 納 眞 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 坂 元 宏 規 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 4E068 BB01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加工材の表面に被加工材とは異なった
    特性を持つ材料をレーザビームを用いて肉盛加工するに
    あたり、肉盛加工用の肉盛材料として、粉末材料をバイ
    ンダーと混合し成形して焼結した焼結体を使用すること
    を特徴とするレーザ肉盛方法。
  2. 【請求項2】 粉末材料をバインダーと混合し成形して
    焼結した焼結体からなる肉盛材料の単位断面積中におけ
    る空孔の占める割合(空孔率)が5〜50%の範囲であ
    るものとしたことを特徴とする請求項1に記載のレーザ
    肉盛方法。
  3. 【請求項3】 粉末材料をバインダーと混合し成形して
    焼結した焼結体からなる肉盛材料の形状が線状ないしは
    棒状であることを特徴とする請求項1または2の記載の
    レーザ肉盛方法。
  4. 【請求項4】 粉末材料の成分組成は、Fe,Cu,A
    l,Ti,Si,Ni,Cr,Mn,Co,Mg,B,
    C,V,Nb,W,Mo,Zr,Ta,Hfのうち1種
    または2種以上の元素と製造上不可避的に含まれる不純
    物からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれ
    かに記載のレーザ肉盛方法。
  5. 【請求項5】 使用するレーザビームとして、Nd:Y
    AGレーザビームを使用することを特徴とする請求項1
    ないし4いずれかに記載のレーザ肉盛方法。
  6. 【請求項6】 レーザビームの加工点でのビームの直径
    をDとし、焼結体の肉盛方向に対して垂直でかつ被加工
    材に平行な方向の幅をWとしたときに、幅Wの範囲が、
    0.5×D≦W≦1.0×Dであるようにすることを特
    徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のレーザ肉
    盛方法。
  7. 【請求項7】 肉盛加工点でレーザビームが被加工材と
    焼結体の両方に照射されるようにすることを特徴とする
    請求項1ないし6のいずれかに記載のレーザ肉盛方法。
  8. 【請求項8】 加工点でのレーザビームの照射面積をA
    としたときに、レーザビームが被加工材に照射する面積
    aが、0.3×A≦a≦0.7×Aの範囲であるように
    することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記
    載のレーザ肉盛方法。
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