JP2000147221A - 光分離プリズム - Google Patents
光分離プリズムInfo
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- JP2000147221A JP2000147221A JP32225098A JP32225098A JP2000147221A JP 2000147221 A JP2000147221 A JP 2000147221A JP 32225098 A JP32225098 A JP 32225098A JP 32225098 A JP32225098 A JP 32225098A JP 2000147221 A JP2000147221 A JP 2000147221A
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- prism
- wavelength
- transmittance
- refractive index
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- Optical Elements Other Than Lenses (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 2つの三角柱状のプリズム片を波長分離膜を
介して接合することにより立方体に構成した従来の光分
離プリズムにおいて、不純物を含んだガラス材料を用い
ることに起因して発生する屈折率の増大とそれに起因し
た透過率上の問題と、波長分離膜の粗密精度にばらつき
があることに起因した良品率の低下、コストアップとい
う不具合を解決することができる光分離プリズムを提供
する。 【解決手段】 2つの直角三角柱状のプリズム片21、
22の傾斜面同士を、波長分離膜23を介して接合一体
化して六面体状に構成された光分離プリズムにおいて、
プリズム片を純度の高い石英により構成した。
介して接合することにより立方体に構成した従来の光分
離プリズムにおいて、不純物を含んだガラス材料を用い
ることに起因して発生する屈折率の増大とそれに起因し
た透過率上の問題と、波長分離膜の粗密精度にばらつき
があることに起因した良品率の低下、コストアップとい
う不具合を解決することができる光分離プリズムを提供
する。 【解決手段】 2つの直角三角柱状のプリズム片21、
22の傾斜面同士を、波長分離膜23を介して接合一体
化して六面体状に構成された光分離プリズムにおいて、
プリズム片を純度の高い石英により構成した。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光分離プリズムの改
良に関し、入射光の内の所定周波数成分を100%透過
する一方で、他の所定周波数成分を全反射することがで
きる波長分離性能に優れた光分離プリズムに関する。
良に関し、入射光の内の所定周波数成分を100%透過
する一方で、他の所定周波数成分を全反射することがで
きる波長分離性能に優れた光分離プリズムに関する。
【0002】
【従来の技術】光学デバイスとしての光分離プリズムの
一例として、図3(a) に示すように2つの三角柱状のガ
ラスプリズム2、3を波長分離膜4を介して接合するこ
とにより立方体に構成したものが周知であり、同図(b)
に示すような光通信システムに用いられる。光分離プリ
ズム1は光源5からの出射光、或は光ファイバー6から
の出力光のうちの所定の波長成分を透過する一方で、そ
れ以外の波長成分を反射する機能を備えている。この例
では、光源5から出射された光のうちの波長1.3μm
の成分は波長分離膜4を透過して光ファイバー6に入射
され、光ファイバー6から出射した波長1.5μmの成
分は波長分離膜4にて反射して受光素子7にて受光され
る。このタイプの光分離プリズム1は、波長分離膜4の
水平面に対する傾斜角度θが45度に設定されている。
この光分離プリズムの特性は、例えば波長が1.3μm
の光を100%透過させる一方で、波長が1.5μmの
光を全反射するように構成することが理想的であり、図
4の特性図中の曲線アの様に1.3μmの波長領域では
S、P両偏光成分について100%の透過率を確保する
一方で、1.5μmの波長領域ではS、P両偏光成分に
ついて0%の透過率を確保するような特性が理想的であ
る。しかし、実際には、波長分離膜4の傾斜角度を45
度に設定して上記理想の特性に近づけるためには、波長
分離膜を構成する高屈折率層と低屈折率層の積層数を8
0層以上とする必要があり、製造工程の増大とコストア
ップが避けられなかった。これを詳述すると、図3(a)
に示した光分離プリズム1において波長分離膜4を構成
する層数を25層程度に低減すると、S偏光成分は曲線
イのように立ち下がり部分が緩やかに傾斜し、P偏光成
分は曲線ウの如く立ち下がり部分が緩やかに傾斜する。
このため、S偏光成分については1.3μm波長の透過
率が低下し、P偏光成分については1.5μm波長の透
過率が高まるという不具合が発生する。また、層数を8
0層に増やした場合には、S偏光成分は曲線エの様に、
またP偏光成分は曲線オのように急峻な立ち下がりとな
るが、S偏光成分に関しては透過率100%から立ち下
がり始める境界領域が1.3μmの近傍に位置している
為、製造誤差等によって常に100%の透過率を確保で
きるとは限られなくなる。また、P偏光成分について
も、透過率が0%を越えた状態から0%になる境界領域
が1.5μmの近傍に位置している為、製造誤差等によ
って常に0%の透過率を確保できるとは限られなくな
る。
一例として、図3(a) に示すように2つの三角柱状のガ
ラスプリズム2、3を波長分離膜4を介して接合するこ
とにより立方体に構成したものが周知であり、同図(b)
に示すような光通信システムに用いられる。光分離プリ
ズム1は光源5からの出射光、或は光ファイバー6から
の出力光のうちの所定の波長成分を透過する一方で、そ
れ以外の波長成分を反射する機能を備えている。この例
では、光源5から出射された光のうちの波長1.3μm
の成分は波長分離膜4を透過して光ファイバー6に入射
され、光ファイバー6から出射した波長1.5μmの成
分は波長分離膜4にて反射して受光素子7にて受光され
る。このタイプの光分離プリズム1は、波長分離膜4の
水平面に対する傾斜角度θが45度に設定されている。
この光分離プリズムの特性は、例えば波長が1.3μm
の光を100%透過させる一方で、波長が1.5μmの
光を全反射するように構成することが理想的であり、図
4の特性図中の曲線アの様に1.3μmの波長領域では
S、P両偏光成分について100%の透過率を確保する
一方で、1.5μmの波長領域ではS、P両偏光成分に
ついて0%の透過率を確保するような特性が理想的であ
る。しかし、実際には、波長分離膜4の傾斜角度を45
度に設定して上記理想の特性に近づけるためには、波長
分離膜を構成する高屈折率層と低屈折率層の積層数を8
0層以上とする必要があり、製造工程の増大とコストア
ップが避けられなかった。これを詳述すると、図3(a)
に示した光分離プリズム1において波長分離膜4を構成
する層数を25層程度に低減すると、S偏光成分は曲線
イのように立ち下がり部分が緩やかに傾斜し、P偏光成
分は曲線ウの如く立ち下がり部分が緩やかに傾斜する。
このため、S偏光成分については1.3μm波長の透過
率が低下し、P偏光成分については1.5μm波長の透
過率が高まるという不具合が発生する。また、層数を8
0層に増やした場合には、S偏光成分は曲線エの様に、
またP偏光成分は曲線オのように急峻な立ち下がりとな
るが、S偏光成分に関しては透過率100%から立ち下
がり始める境界領域が1.3μmの近傍に位置している
為、製造誤差等によって常に100%の透過率を確保で
きるとは限られなくなる。また、P偏光成分について
も、透過率が0%を越えた状態から0%になる境界領域
が1.5μmの近傍に位置している為、製造誤差等によ
って常に0%の透過率を確保できるとは限られなくな
る。
【0003】このような不具合を解消する為には、例え
ば図5に示す様にビームスプリッタ膜4を底面に対して
45度よりも大きい角度θにて設定することが有効であ
り、高屈折率層と低屈折率層の積層数を25層程度に大
幅に減らしつつ理想的な光分離プリズム特性を確保する
ことができる。即ち、層数が25層程度に減る場合に
は、図4中の曲線イ、ウの如く、立ち下がり部が緩やか
な曲線となるが、波長分離膜4の角度θが45度を越え
る場合には、仮に層数が25層程度と少なかったとして
も、図4中の曲線イ、ウが夫々曲線ア側に寄った状態と
なる為、1.3μmは100%透過し、1.5μmは通
さない領域を確保することができる。しかし、このタイ
プの光分離プリズムにあっては、図5に示すように波長
分離膜4にて反射した光の出射方向が入射光に対して垂
直方向にならないため、受光素子を配置する位置との関
係でアセンブリする際の光軸合わせが問題となり、既存
装置の光分離プリズムだけを交換することによる改良を
図ることができないため、実用性が少なかった。
ば図5に示す様にビームスプリッタ膜4を底面に対して
45度よりも大きい角度θにて設定することが有効であ
り、高屈折率層と低屈折率層の積層数を25層程度に大
幅に減らしつつ理想的な光分離プリズム特性を確保する
ことができる。即ち、層数が25層程度に減る場合に
は、図4中の曲線イ、ウの如く、立ち下がり部が緩やか
な曲線となるが、波長分離膜4の角度θが45度を越え
る場合には、仮に層数が25層程度と少なかったとして
も、図4中の曲線イ、ウが夫々曲線ア側に寄った状態と
なる為、1.3μmは100%透過し、1.5μmは通
さない領域を確保することができる。しかし、このタイ
プの光分離プリズムにあっては、図5に示すように波長
分離膜4にて反射した光の出射方向が入射光に対して垂
直方向にならないため、受光素子を配置する位置との関
係でアセンブリする際の光軸合わせが問題となり、既存
装置の光分離プリズムだけを交換することによる改良を
図ることができないため、実用性が少なかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように波長分離膜
の角度θが45度を越える場合には光分離プリズムの実
用性が低下するため、あくまでも波長分離膜が45度の
傾斜角度を有しながらも透過率と反射率に関する上記不
具合が存在しない構成を備えたプリズムに対する需要が
大きい。本発明者が、このような従来にない特性を備え
た光分離プリズムについて種々考究したところ、BKガ
ラスを用いたガラスプリズムにあってはBKガラス中に
主成分であるSiO2の他に不純物が含まれているため
に屈折率が1.51程度に高くなっており、この高い屈
折率が上記不具合をもたらしていることが判明した。即
ち、S偏光成分は曲線エの様に、またP偏光成分は曲線
オのように急峻な立ち下がりとなるが、BKガラス部分
に含まれる不純物の存在によって屈折率が1.51程度
に高くなっている為、S偏光成分に関しては透過率10
0%から立ち下がり始める境界領域が1.3μmの波長
域の近傍に位置しており、製造誤差等によって常に10
0%の透過率を確保できるとは限らなくなる。また、P
偏光成分についても、透過率が0%を越えた状態から0
%になる境界領域が1.5μmの波長域の近傍に位置し
ている為、製造誤差等によって常に0%の透過率を確保
できるとは限らなくなる。また、最近の光通信に使用さ
れる光分離プリズムに求められるスペックとしては、
1.5〜1.6μmの波長帯域において確実に光透過率
が0%となることを挙げることができるが、P偏光成分
については曲線カに示すように1.6μmの波長域につ
いても透過率が0%からそれ以上になる境界領域が1.
6μmの波長域の近傍に位置している。このため、ガラ
スプリズム中の不純物の存在による屈折率の増大、反射
防止膜4への入射角のばらつき、反射防止膜の材質等の
原因によって、1.6μmの波長域での透過率が0%に
なるとは限らなくなる。つまり、1.5〜1.6μmの
波長帯域において透過率が0%となるような光分離プリ
ズムを製造することは困難であった。
の角度θが45度を越える場合には光分離プリズムの実
用性が低下するため、あくまでも波長分離膜が45度の
傾斜角度を有しながらも透過率と反射率に関する上記不
具合が存在しない構成を備えたプリズムに対する需要が
大きい。本発明者が、このような従来にない特性を備え
た光分離プリズムについて種々考究したところ、BKガ
ラスを用いたガラスプリズムにあってはBKガラス中に
主成分であるSiO2の他に不純物が含まれているため
に屈折率が1.51程度に高くなっており、この高い屈
折率が上記不具合をもたらしていることが判明した。即
ち、S偏光成分は曲線エの様に、またP偏光成分は曲線
オのように急峻な立ち下がりとなるが、BKガラス部分
に含まれる不純物の存在によって屈折率が1.51程度
に高くなっている為、S偏光成分に関しては透過率10
0%から立ち下がり始める境界領域が1.3μmの波長
域の近傍に位置しており、製造誤差等によって常に10
0%の透過率を確保できるとは限らなくなる。また、P
偏光成分についても、透過率が0%を越えた状態から0
%になる境界領域が1.5μmの波長域の近傍に位置し
ている為、製造誤差等によって常に0%の透過率を確保
できるとは限らなくなる。また、最近の光通信に使用さ
れる光分離プリズムに求められるスペックとしては、
1.5〜1.6μmの波長帯域において確実に光透過率
が0%となることを挙げることができるが、P偏光成分
については曲線カに示すように1.6μmの波長域につ
いても透過率が0%からそれ以上になる境界領域が1.
6μmの波長域の近傍に位置している。このため、ガラ
スプリズム中の不純物の存在による屈折率の増大、反射
防止膜4への入射角のばらつき、反射防止膜の材質等の
原因によって、1.6μmの波長域での透過率が0%に
なるとは限らなくなる。つまり、1.5〜1.6μmの
波長帯域において透過率が0%となるような光分離プリ
ズムを製造することは困難であった。
【0005】更に、反射防止膜4の精度が低い為に、膜
の粗密にバラツキがある場合には、曲線エ、オの立ち下
がり部は夫々曲線エ’、オ’のように緩やかな立ち下が
りとなり、1.3μmの波長域における透過率の低下
と、1.5μmの波長域における透過率の増大(反射率
の低下)を更に助長する結果をもたらすことが判明し
た。また、曲線オの立上り部についても、同様の理由か
ら立上りが曲線オ’のように穏やかとなり、1.6μm
の波長域における透過率の増大をもたらしている。この
ような不具合を解消する為に仮に波長分離膜を構成する
高屈折率膜と低屈折率膜の積層枚数を更に増やすことも
考えられるが、工数の増大によるコストアップを招くデ
メリットがある割りには特性を満足することができない
のが現実である。このように本発明者は、このタイプの
光分離プリズムにおける透過率、反射率の良否は、光分
離膜4の精度、特性と、ガラス部分の屈折率に依存する
ところが多く、光分離膜4を構成する高屈折率膜と低屈
折率膜の積層枚数が60層〜100層程度と多い場合に
は、比較的急峻な立ち下がりを有した曲線を得ることが
でき、ガラス部分の屈折率が低い程理想的な特性に近づ
くことに気づいた。しかし、実際に低価格で購入できる
ガラス材料中には不純物が存在するため、ガラス材料を
使用する限り、理想に近い特性を備えた光分離プリズム
を製作することが困難であることが判明した。本発明が
解決しようとする課題は、2つの三角柱状のプリズム片
を波長分離膜を介して接合することにより立方体に構成
した従来の光分離プリズムにおいて、不純物を含んだガ
ラス材料を用いることに起因して発生する屈折率の増大
とそれに起因した透過率上の問題と、波長分離膜の粗密
精度にばらつきがあることに起因した良品率の低下、コ
ストアップという不具合を解決することができる光分離
プリズムを提供することにある。
の粗密にバラツキがある場合には、曲線エ、オの立ち下
がり部は夫々曲線エ’、オ’のように緩やかな立ち下が
りとなり、1.3μmの波長域における透過率の低下
と、1.5μmの波長域における透過率の増大(反射率
の低下)を更に助長する結果をもたらすことが判明し
た。また、曲線オの立上り部についても、同様の理由か
ら立上りが曲線オ’のように穏やかとなり、1.6μm
の波長域における透過率の増大をもたらしている。この
ような不具合を解消する為に仮に波長分離膜を構成する
高屈折率膜と低屈折率膜の積層枚数を更に増やすことも
考えられるが、工数の増大によるコストアップを招くデ
メリットがある割りには特性を満足することができない
のが現実である。このように本発明者は、このタイプの
光分離プリズムにおける透過率、反射率の良否は、光分
離膜4の精度、特性と、ガラス部分の屈折率に依存する
ところが多く、光分離膜4を構成する高屈折率膜と低屈
折率膜の積層枚数が60層〜100層程度と多い場合に
は、比較的急峻な立ち下がりを有した曲線を得ることが
でき、ガラス部分の屈折率が低い程理想的な特性に近づ
くことに気づいた。しかし、実際に低価格で購入できる
ガラス材料中には不純物が存在するため、ガラス材料を
使用する限り、理想に近い特性を備えた光分離プリズム
を製作することが困難であることが判明した。本発明が
解決しようとする課題は、2つの三角柱状のプリズム片
を波長分離膜を介して接合することにより立方体に構成
した従来の光分離プリズムにおいて、不純物を含んだガ
ラス材料を用いることに起因して発生する屈折率の増大
とそれに起因した透過率上の問題と、波長分離膜の粗密
精度にばらつきがあることに起因した良品率の低下、コ
ストアップという不具合を解決することができる光分離
プリズムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する為、
請求項1の発明は、2つの直角三角柱状のプリズム片の
傾斜面同士を、波長分離膜を介して接合一体化して六面
体状に構成された光分離プリズムにおいて、上記プリズ
ム片を純度の高い石英により構成したことを特徴とす
る。請求項2の発明では、上記光分離プリズムは、立方
体であることを特徴とする。
請求項1の発明は、2つの直角三角柱状のプリズム片の
傾斜面同士を、波長分離膜を介して接合一体化して六面
体状に構成された光分離プリズムにおいて、上記プリズ
ム片を純度の高い石英により構成したことを特徴とす
る。請求項2の発明では、上記光分離プリズムは、立方
体であることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示した形態
例により詳細に説明する。図1は本発明の一形態例の光
分離プリズムの外観斜視図であり、この光分離プリズム
20は純度の高い合成石英からなる直角三角柱状の石英
片21、22を、波長分離膜23を介して、傾斜面同志
で接合一体化した構成が特徴的である。この光分離プリ
ズム20は立方体であるため、波長分離膜23の角度θ
は45度である。この光分離プリズム20は、不純物を
含まない立方体状の合成石英(成分SiO2)の対角面
に沿って波長分離膜23を形成した構成を備えているた
め、石英部分の屈折率は1.44となり、不純物を含ん
だBKガラスの屈折率1.51よりも小さくなる。ま
た、製造誤差に起因して波長分離膜23の粗密精度にバ
ラツキがあったとしても、光分離性能に与える影響が少
ない為、良品として使用することができる。これを図2
に示した特性図に基づいて説明すると、例えば上記構成
の光分離プリズムについて、その特性を、波長が1.3
μmの光を100%透過させる一方で、波長が1.5〜
1.6μmの光を全反射するように構成することを理想
とする場合には、図2の特性図中の理想曲線Aの様に
1.3μmの波長領域ではS、P両偏光成分について1
00%の透過率を確保する一方で、1.5〜1.6μm
の波長領域ではS、P両偏光成分について0%の透過率
を確保することが理想である。プリズム片20、21を
純粋石英にて構成した場合には、屈折率が低い為、S偏
光成分は曲線Bの立ち下がり部のように、P偏光成分は
曲線Cの立ち下がり部のように理想の曲線A側に夫々大
きく接近する。しかも、各曲線B、Cの立ち下がりは急
峻となっている。このため、1.3μmの波長域での反
射率の低下と、1.5μmの波長域での反射率の増大が
防止される。更に、P偏光成分の曲線Cの立上り部が曲
線Aの立上り部に接近する方向に大きく偏位するため
1.6μmの波長域での反射率の増大が確実に防止さ
れ、その結果として1.5〜1.6μmの波長帯域にお
ける透過率を確実に0%に抑えることが可能となる。ま
た、波分離膜23の製造誤差に起因して粗密バラツキが
ある場合には、各曲線B、Cの立ち下がり部分の傾斜が
より緩やかになることもあるが(曲線B’、C’参
照)、いずれの曲線B’、C’も十分に理想曲線A側に
偏位しているので、各波長域1.3μm、1.5μmに
干渉する虞れは皆無となる。更に、曲線Cの立上り部も
同様の理由から曲線C’の立上り部のように傾斜が緩や
かになるが、理想曲線Aの立上り部に十分に偏位してい
るため、波長域1.6μmに緩衝する虞れがなくなる。
例により詳細に説明する。図1は本発明の一形態例の光
分離プリズムの外観斜視図であり、この光分離プリズム
20は純度の高い合成石英からなる直角三角柱状の石英
片21、22を、波長分離膜23を介して、傾斜面同志
で接合一体化した構成が特徴的である。この光分離プリ
ズム20は立方体であるため、波長分離膜23の角度θ
は45度である。この光分離プリズム20は、不純物を
含まない立方体状の合成石英(成分SiO2)の対角面
に沿って波長分離膜23を形成した構成を備えているた
め、石英部分の屈折率は1.44となり、不純物を含ん
だBKガラスの屈折率1.51よりも小さくなる。ま
た、製造誤差に起因して波長分離膜23の粗密精度にバ
ラツキがあったとしても、光分離性能に与える影響が少
ない為、良品として使用することができる。これを図2
に示した特性図に基づいて説明すると、例えば上記構成
の光分離プリズムについて、その特性を、波長が1.3
μmの光を100%透過させる一方で、波長が1.5〜
1.6μmの光を全反射するように構成することを理想
とする場合には、図2の特性図中の理想曲線Aの様に
1.3μmの波長領域ではS、P両偏光成分について1
00%の透過率を確保する一方で、1.5〜1.6μm
の波長領域ではS、P両偏光成分について0%の透過率
を確保することが理想である。プリズム片20、21を
純粋石英にて構成した場合には、屈折率が低い為、S偏
光成分は曲線Bの立ち下がり部のように、P偏光成分は
曲線Cの立ち下がり部のように理想の曲線A側に夫々大
きく接近する。しかも、各曲線B、Cの立ち下がりは急
峻となっている。このため、1.3μmの波長域での反
射率の低下と、1.5μmの波長域での反射率の増大が
防止される。更に、P偏光成分の曲線Cの立上り部が曲
線Aの立上り部に接近する方向に大きく偏位するため
1.6μmの波長域での反射率の増大が確実に防止さ
れ、その結果として1.5〜1.6μmの波長帯域にお
ける透過率を確実に0%に抑えることが可能となる。ま
た、波分離膜23の製造誤差に起因して粗密バラツキが
ある場合には、各曲線B、Cの立ち下がり部分の傾斜が
より緩やかになることもあるが(曲線B’、C’参
照)、いずれの曲線B’、C’も十分に理想曲線A側に
偏位しているので、各波長域1.3μm、1.5μmに
干渉する虞れは皆無となる。更に、曲線Cの立上り部も
同様の理由から曲線C’の立上り部のように傾斜が緩や
かになるが、理想曲線Aの立上り部に十分に偏位してい
るため、波長域1.6μmに緩衝する虞れがなくなる。
【0008】従来のガラスプリズムに使用するガラス材
料は、BKガラスと称される低価格のガラス材料であ
り、このガラス材料は主成分であるSiO2中に不純物
を含む為に、融点、及び軟化点が500〜600℃程度
と低く、加工性がよく、入手し易いという利点を有す
る。しかし、不純物を含む為、その屈折率は1.51程
度と大きく、波長分離膜4の角度θが45度である場
合、図4中にエ、オで示したS偏光成分、P偏光成分の
曲線が夫々理想的な曲線アから離間する方向に変位し、
1.3μm波長域におけるS偏光成分の透過率が低下す
る一方で、1.5μm波長域におけるP偏光成分の透過
率が0%以上になり、更に1.6μm波長域でのP偏光
成分の透過率も0%を越える。また、波長分離膜4の加
工精度(粗密の精度)のばらつきによって分離性能がば
らついている場合には、上記曲線エ、オの立ち下がり部
が夫々エ’、オ’の如く緩やかになり、曲線オの立上り
部がオ’のように緩やかになるため、上記不具合がさら
に著しいものとなり、使用に耐え得ない不良品となる。
このため、良品率が低下し、コストアップが増大すると
いう不具合があった。これに対して本発明者は、波長分
離膜の角度を45度に維持しつつ、屈折率を低下させる
方法について研究したところ、従来の不純物が含まれた
ガラス材料に代えて純度の高い石英をプリズム材料とし
て使用することに想到した。純度の高い合成石英を使用
することにより、屈折率を小さくして所望波長に対する
透過率を高め、他の所望波長に対する反射率を高めるこ
とができる。また、使用する波長分離膜の精度にバラツ
キがあったとしても、所望の特性を維持する上で問題が
ないので、良品として使用することができる。石英のコ
ストはガラスよりも僅かに高いものの、膜の精度の良否
に関係なく良品として使用できる率が高まることを考慮
すれば、トータルな良品率を高めることができる。更
に、波長分離膜を構成する高屈折率膜、低屈折率膜の積
層数を増大させずに上記課題を解決できるので、製造コ
ストの増大を抑えることができる。更に、P偏光成分の
全反射領域を十分に広く確保することができるようにな
り、製造バラツキに起因した不良品発生率が少なくな
る。また、これまで波長分離膜の積層数が80層であっ
たものを70層程度までに低減しても所望の性能を確保
できるようになる。
料は、BKガラスと称される低価格のガラス材料であ
り、このガラス材料は主成分であるSiO2中に不純物
を含む為に、融点、及び軟化点が500〜600℃程度
と低く、加工性がよく、入手し易いという利点を有す
る。しかし、不純物を含む為、その屈折率は1.51程
度と大きく、波長分離膜4の角度θが45度である場
合、図4中にエ、オで示したS偏光成分、P偏光成分の
曲線が夫々理想的な曲線アから離間する方向に変位し、
1.3μm波長域におけるS偏光成分の透過率が低下す
る一方で、1.5μm波長域におけるP偏光成分の透過
率が0%以上になり、更に1.6μm波長域でのP偏光
成分の透過率も0%を越える。また、波長分離膜4の加
工精度(粗密の精度)のばらつきによって分離性能がば
らついている場合には、上記曲線エ、オの立ち下がり部
が夫々エ’、オ’の如く緩やかになり、曲線オの立上り
部がオ’のように緩やかになるため、上記不具合がさら
に著しいものとなり、使用に耐え得ない不良品となる。
このため、良品率が低下し、コストアップが増大すると
いう不具合があった。これに対して本発明者は、波長分
離膜の角度を45度に維持しつつ、屈折率を低下させる
方法について研究したところ、従来の不純物が含まれた
ガラス材料に代えて純度の高い石英をプリズム材料とし
て使用することに想到した。純度の高い合成石英を使用
することにより、屈折率を小さくして所望波長に対する
透過率を高め、他の所望波長に対する反射率を高めるこ
とができる。また、使用する波長分離膜の精度にバラツ
キがあったとしても、所望の特性を維持する上で問題が
ないので、良品として使用することができる。石英のコ
ストはガラスよりも僅かに高いものの、膜の精度の良否
に関係なく良品として使用できる率が高まることを考慮
すれば、トータルな良品率を高めることができる。更
に、波長分離膜を構成する高屈折率膜、低屈折率膜の積
層数を増大させずに上記課題を解決できるので、製造コ
ストの増大を抑えることができる。更に、P偏光成分の
全反射領域を十分に広く確保することができるようにな
り、製造バラツキに起因した不良品発生率が少なくな
る。また、これまで波長分離膜の積層数が80層であっ
たものを70層程度までに低減しても所望の性能を確保
できるようになる。
【0009】
【発明の効果】本発明によれば、2つの三角柱状のプリ
ズム片を波長分離膜を介して接合することにより立方体
に構成した従来の光分離プリズムにおいて、不純物を含
んだガラス材料を用いることに起因して発生する屈折率
の増大とそれに起因した透過率上の問題と、波長分離膜
の粗密精度にばらつきがあることに起因した良品率の低
下、コストアップという不具合を解決することができ
る。即ち、従来のプリズム片に使用するガラス(BKガ
ラス)は、主成分であるSiO2中に不純物を含む為
に、融点、及び軟化点が低く、加工性がよく、入手し易
いという利点を有する一方で、不純物を含む為、その屈
折率は1.51程度と大きく、波長分離膜の角度θが4
5度である場合、S偏光成分、P偏光成分の曲線が夫々
理想的な曲線から離間する方向に変位し、100%の透
過率を確保したい波長域におけるS偏光成分の透過率が
低下する一方で、100%の反射率を確保したい波長域
におけるP偏光成分の透過率が0%を越える。また、波
長分離膜の加工精度(粗密の精度)のばらつきによって
分離性能がばらついている場合には、上記不具合がさら
に著しいものとなり、使用に耐え得ない不良品となる。
このため、良品率が低下し、コストアップが増大すると
いう不具合があった。これに対して本発明では、プリズ
ム片として不純物を含まない合成石英を用いたので、1
00%の透過率を確保したい波長域におけるS偏光成分
の透過率を100%確保できる一方で、100%の反射
率を確保したい波長域におけるP偏光成分の透過率を0
%に抑えることができる。仮に、波長分離膜の精度誤差
によりその特性のバラツキがあったとしても、その影響
を受けずに十分な特性を満足する製品を提供することが
できることとなる。このため、ガラスに比べて多少コス
トの高い石英を用いたとしても、良品率が大幅に高まる
為、トータルのコストを低減することができる。
ズム片を波長分離膜を介して接合することにより立方体
に構成した従来の光分離プリズムにおいて、不純物を含
んだガラス材料を用いることに起因して発生する屈折率
の増大とそれに起因した透過率上の問題と、波長分離膜
の粗密精度にばらつきがあることに起因した良品率の低
下、コストアップという不具合を解決することができ
る。即ち、従来のプリズム片に使用するガラス(BKガ
ラス)は、主成分であるSiO2中に不純物を含む為
に、融点、及び軟化点が低く、加工性がよく、入手し易
いという利点を有する一方で、不純物を含む為、その屈
折率は1.51程度と大きく、波長分離膜の角度θが4
5度である場合、S偏光成分、P偏光成分の曲線が夫々
理想的な曲線から離間する方向に変位し、100%の透
過率を確保したい波長域におけるS偏光成分の透過率が
低下する一方で、100%の反射率を確保したい波長域
におけるP偏光成分の透過率が0%を越える。また、波
長分離膜の加工精度(粗密の精度)のばらつきによって
分離性能がばらついている場合には、上記不具合がさら
に著しいものとなり、使用に耐え得ない不良品となる。
このため、良品率が低下し、コストアップが増大すると
いう不具合があった。これに対して本発明では、プリズ
ム片として不純物を含まない合成石英を用いたので、1
00%の透過率を確保したい波長域におけるS偏光成分
の透過率を100%確保できる一方で、100%の反射
率を確保したい波長域におけるP偏光成分の透過率を0
%に抑えることができる。仮に、波長分離膜の精度誤差
によりその特性のバラツキがあったとしても、その影響
を受けずに十分な特性を満足する製品を提供することが
できることとなる。このため、ガラスに比べて多少コス
トの高い石英を用いたとしても、良品率が大幅に高まる
為、トータルのコストを低減することができる。
【図1】本発明の一形態例の光分離プリズムの構成説明
図。
図。
【図2】本発明の光分離プリズムの特性を説明する図。
【図3】(a) は従来の光分離プリズムの構成を示す斜視
図、(b) はその使用例を示す図。
図、(b) はその使用例を示す図。
【図4】従来の光分離プリズムの特性を説明する為の
図。
図。
【図5】他の従来例の説明図。
20 光分離プリズム、21、22 石英片、23 波
長分離膜。
長分離膜。
Claims (2)
- 【請求項1】 2つの直角三角柱状のプリズム片の傾斜
面同士を、波長分離膜を介して接合一体化して六面体状
に構成された光分離プリズムにおいて、 上記プリズム片を純度の高い石英により構成したことを
特徴とする光分離プリズム。 - 【請求項2】 上記光分離プリズムは、立方体であるこ
とを特徴とする光分離プリズム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32225098A JP2000147221A (ja) | 1998-11-12 | 1998-11-12 | 光分離プリズム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32225098A JP2000147221A (ja) | 1998-11-12 | 1998-11-12 | 光分離プリズム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000147221A true JP2000147221A (ja) | 2000-05-26 |
Family
ID=18141581
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32225098A Pending JP2000147221A (ja) | 1998-11-12 | 1998-11-12 | 光分離プリズム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000147221A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5172032B1 (ja) * | 2012-06-26 | 2013-03-27 | 株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス | 超音波検査装置、および、超音波検査方法 |
CN106646699A (zh) * | 2017-03-09 | 2017-05-10 | 索尔思光电(成都)有限公司 | 棱镜及光收发组件 |
-
1998
- 1998-11-12 JP JP32225098A patent/JP2000147221A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5172032B1 (ja) * | 2012-06-26 | 2013-03-27 | 株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス | 超音波検査装置、および、超音波検査方法 |
CN106646699A (zh) * | 2017-03-09 | 2017-05-10 | 索尔思光电(成都)有限公司 | 棱镜及光收发组件 |
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