JP2000146919A - 欠陥診断方法とその装置 - Google Patents

欠陥診断方法とその装置

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JP2000146919A
JP2000146919A JP11132314A JP13231499A JP2000146919A JP 2000146919 A JP2000146919 A JP 2000146919A JP 11132314 A JP11132314 A JP 11132314A JP 13231499 A JP13231499 A JP 13231499A JP 2000146919 A JP2000146919 A JP 2000146919A
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Akio Ota
昭男 太田
Kenji Kono
健二 河野
Daigo Sugiyama
大吾 杉山
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Topy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非磁性材料または磁性材料または加工により
磁性を帯びる材料からなる導電性ワークの欠陥を簡便、
高精度に診断する方法とその装置を提供する。 【解決手段】 非磁性材料または磁性材料または加工に
より磁性を帯びる材料からなる導電性ワーク20に通電
して誘導磁場を発生させ、電流磁気電界効果または電磁
誘導作用を利用して磁界を検出する磁気センサ(ホール
効果素子)10をワーク20の表面に沿って非接触で移
動させて磁束密度を検出し、磁束密度の乱れからワーク
20の欠陥を検出する欠陥診断方法とその装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性材料(非磁
性材料、または磁性または加工により磁性を帯びる材料
のいずれでもよい)からなるワークにおける欠陥を、電
流磁気電界効果または電磁誘導作用を利用して磁界を検
出する磁気センサを用いて、検出する欠陥診断方法とそ
の装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来実施されている、AlやCuなどの
非磁性導電材の欠陥検出、診断技術としては、超音波や
放射線を使用する方法がある。この場合、ワークが非磁
性体であるので、磁気的な応答を利用する技術、たとえ
ばSQUID(超伝導量子干渉素子。絶対零度近くで起
きるジョセフソン効果を利用して微小磁場を検出)を用
いた技術は適用できない。金属材料の疲労破壊を例に取
れば、それは初期の微視的組織変化、微小亀裂の発
生、亀裂進展、最終破壊の4ステップで進行する。
このうち、、については現在まで比較的データが蓄
積され、上述の技術もこの段階の亀裂検出に適用される
が、、の微小亀裂発生までの過程については、それ
を決定する要因に関する明確なデータが存在せず、亀裂
の発生を定量的に判断する技術は少ない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、超音波や放射
線を使用する方法には、対象物の形状や欠陥の空間的形
状にその精度が左右される上、測定そのものに作業者の
熟練を要するため、必ずしも簡便な技術とはいえない。
さらに疲労損傷に関する上記、の定量的評価は不可
能である。本発明の目的は、従来技術の問題を克服、解
決するために、導電性材料からなるワーク(非磁性材料
であっても、磁性材料または加工によって磁性を帯びる
材料であってもよい)の欠陥を、高精度にかつ簡便に、
さらに定量的に検出、診断する欠陥検出、診断方法なら
びにその装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明はつぎの通りである。 (1) 導電性材料からなるワークに通電して誘導磁場
を発生させる磁場発生工程と、前記ワークの表面に沿っ
て電流磁気電界効果または電磁誘導作用を利用して磁界
を検出する磁気センサを移動させワークの発生磁束密度
を検出する検出工程と、前記検出した発生磁束密度の局
部的な乱れから前記ワークの欠陥などを診断する判定工
程と、からなるワークの欠陥診断方法。 (2) 前記ワークが非磁性材料からなる(1)記載の
ワークの欠陥診断方法。 (3) 前記ワークが磁性材料または加工により磁性を
帯びる材料からなる(1)記載のワークの欠陥診断方
法。 (4) 前記ワークは、その表面が外部に露出している
(1)記載のワークの欠陥診断方法。 (5) 前記ワークは、その表面が非導電性の非磁性材
料で覆われている(1)記載のワークの欠陥診断方法。 (6) 前記検出工程で前記磁気センサを所定ピッチで
移動させ、前記判定工程で前記磁気センサの出力をコン
ピュータに入力し、コンピュータにより前記ワークの磁
束密度の等磁線図を作成し、該等磁線図から前記ワーク
の欠陥などを診断する、(1)記載のワークの欠陥診断
方法。 (7) 前記判定工程でワークの等磁線図を欠陥の無い
基準ワークの基準等磁線図と比較して前記ワークの欠陥
の有無を判定する、(6)記載の欠陥診断方法。 (8) 前記磁気センサが半導体磁気センサである、
(1)記載の欠陥診断方法。 (9) 前記半導体磁気センサがホール効果素子であ
る、(8)記載の欠陥診断方法。 (10) 電流磁気電界効果または電磁誘導作用を利用
して磁界を検出する磁気センサと、前記磁気センサを導
電性材料からなるワークの表面に沿って移動させる駆動
装置と、前記ワークに電流を流す通電装置と、前記磁気
センサに接続され、前記磁気センサが検出した前記ワー
クの磁束密度の出力に基づいてワークの磁束密度の等磁
線図を作成する等磁線図作成プログラムをインストール
されたコンピュータと、からなる欠陥診断装置。 (11) 前記磁気センサが半導体磁気センサである、
(10)記載の欠陥診断装置。 (12) 前記半導体磁気センサがホール効果素子であ
る、(11)記載の欠陥診断装置。
【0005】上記(1)の方法および(10)の装置に
おいて、ワークに通電するとワークにアンペール則によ
る誘導磁場が生じる。材料中に微小な欠陥や塑性変形
部、すべり帯が存在すると、その部分の結晶方位、転位
の増殖などによって、ワークの誘導磁場に局部的に他の
部分から異なった部分、すなわち変化、乱れが生じる。
このワークの発生磁束密度の変化を電流磁気電界効果ま
たは電磁誘導作用を利用して磁界を検出する磁気センサ
で検出することで欠陥の検出、その定量的評価、が可能
である。上記(2)に記載のように、ワークは通電によ
り誘導磁場を発生する材料すなわち導電性材料であれば
よく、非磁性材料(たとえば、アルミや銅)であっても
誘導磁場が生じ欠陥があればその誘導磁場に乱れが生じ
るので、本発明が成立する。上記(3)に記載のよう
に、導電性磁性材料(たとえば、スチール)または加工
によって磁性を帯びる材料からなるワークにも当然に本
発明が成立する。上記(4)、(5)に記載のように、
ワークは通電した時にアンペール則による誘導磁場を発
生するものであれば欠陥による誘導磁場の乱れが生じる
ので欠陥検出が可能であり、ワーク表面が露出していて
も非磁性材(たとえば塗料)に覆われていても、欠陥検
出が可能であり本発明が成立する。上記(6)の方法で
は、ワークに沿って磁気センサを所定ピッチで移動さ
せ、その出力をコンピュータに入力し、コンピュータに
よりワークの磁束密度の等磁線図を作成し、該等磁線図
の局部的乱れからその乱れた部分に欠陥ありと判定して
欠陥を検出、診断する。等磁線図の局部的乱れ、その大
きさを見ればよいので、作業者の熟練をほとんど必要と
せず、簡便でかつ高精度の欠陥検出、定量的評価が可能
になる。上記(7)の方法では、欠陥の無い基準ワーク
の基準等磁線図と比較することにより、ワークの欠陥の
有無の判定を確実かつ容易に行うことができる。上記
(8)、(9)の方法および上記(11)、(12)の
装置では、磁気センサとして半導体磁気センサ(ホール
効果素子)を用いるので、欠陥直近の局部磁束密度の変
化を、その磁束密度の強さが微小であっても感度よく、
かつ非接触で、検出できる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において、ワークの欠陥の
磁界の大きさは10-1〜102 G程度であるので、その
大きさの磁界を検出できる磁気センサとして、「電流磁
気電界効果」を利用して磁界を検出する磁気センサと、
「電磁誘導作用」を利用して磁界を検出する磁気センサ
とがある。「電流磁気電界効果」を利用して磁界を検出
する磁気センサには、ホール効果素子と、磁気抵抗効果
素子(MRE素子)とがある。ホール効果素子の素子材
料は化合物半導体(たとえば、InAs、InSb、G
aAs、GaSb等)である。MRE素子には、素子の
材料として化合物半導体(たとえば、InSb、GaA
s等)を利用したものと、強磁性体金属(たとえば、N
i−Fe、Ni−Co等)を使用したものとがある。こ
のうち、ホール効果素子と化合物半導体を使用したMR
E素子は、半導体磁気センサである。「電磁誘導作用」
を利用して磁界を検出する磁気センサには、「磁気−イ
ンピーダンス効果」を利用して磁界を検出する磁気−イ
ンピーダンス効果センサ(MIセンサ)と、「磁気−イ
ンダクタンス効果」を利用して磁界を検出するフラック
スゲートセンサとがある。MIセンサの素子材料は、ア
モルファス磁性体(FeCoSiB、FeCoB、Co
SiB等)である。
【0007】上記の磁気センサのうち、ホール効果素
子、MREセンサ、MIセンサは、微小なワーク磁区の
大きさに検出上対応可能なため、本発明において、とく
に使用に適する。ホール効果素子の磁界検出は、詳細は
後述するが、素子に電流が流れている時素子に外部磁界
が作用すると電子がローレンツ力で電流の流れと直交す
る方向に移動して素子端部に溜りその電荷を電圧として
検出することによって行う。通電用に2端子、電圧検出
用に2端子の合計4端子を必要とする。MREセンサの
磁界検出は、磁界により磁化ベクトルの傾斜角(電流の
流れる方向)が変化するのを、抵抗値の変化として捉え
電圧測定することにより行う。電圧検出用に2端子を必
要とする。MIセンサの磁界検出は、軟磁性体に高周波
電流を直接通電すると表皮効果が表れ、抵抗R、インダ
クタンスL、インピーダンスZが外部磁界Hによって変
化するので、それを出力である共振回路の電圧変化か周
波数変化として捉えることにより行う。以下では、磁気
センサとして、半導体磁気センサ、とくにホール効果素
子を例にとって説明する。ただし、本発明で使用する磁
気センサはホール効果素子に限るものではなく、MRE
センサ、MIセンサであってもよい。
【0008】つぎに、本発明で使用する半導体磁気セン
サの磁束密度検出原理について、ホール効果素子を例に
図2、図3を参照して説明する。半導体磁気センサとし
てのホール効果素子は、概ね図2の外観を持った例えば
In・Ga・Asからなる化合物半導体であり、ホール
効果を利用して外部磁場を高精度に検出するセンサであ
る。その感磁面積は、約50μm×50μmと極めて小
さい。この感磁面積の大きさは、ワークがたとえば磁性
材料からなる場合(ただし、本発明はワークは非磁性材
料であってもよい)、磁性材料または加工により磁性を
帯びる材料からなるワークの磁区の大きさとほぼ一致す
るため各磁区の磁束密度を直接観察することができ、誤
差が少なく、非常に高精度の診断が可能である。ホール
効果素子は、33.9mV/T(300K)と感度がよ
く、高精度のデジタルボルトメータを介することにより
ナノボルト単位まで検出が可能である。したがって、診
断対象の磁場が0.0001T以下と微小である場合で
も検出可能である。
【0009】図3のような薄肉平板状の導体板(幅a、
厚みt)を磁束密度Bの一様な磁界の中に垂直に置き、
x方向に電流Iを流す。電流を担う電荷が例えば電子の
場合(N型)、y方向からの電子の出入りはないものと
仮定すれば、電子は−x方向に運動する。速度vで運動
する電子には、磁束密度Bによるローレンツ力F=−e
v×Bが−y方向に働き、−y方向の導体端には電子
が、y方向の導体端には正の電荷がたまり、導体端部間
にy方向に電界Ey =EH (<0)が発生する。定常状
態では電子は−x方向のみに移動し、電界EH による磁
束密度Bによる力は釣り合うから、 EH =vB。 一方、電流密度iと電子の速度vとの間にはi=−ne
vの関係があるため、 I=iS=−nevS。 導体板の断面積S=atであるから、 EH =−(IB)/(neS)<0。 したがって、ホール効果による発生電位(ホール電圧)
H は、 VH =−EH a=(IB)/(net)>0。 この電位をセンサで検出する。
【0010】図1は、本発明実施例の欠陥診断装置を示
している。図中10は電流磁気電界効果または電磁誘導
作用を利用して磁界を検出する磁気センサ(たとえば、
半導体磁気センサ)を示し、より具体的には、たとえば
図2に示すホール効果素子(ホールは人名)である。ホ
ール効果素子には図3の直流電流を流すための2本の導
線と電圧を出力するための2本の導線が出ており、直流
電流Iを流すための2本の導線はDC電源80に接続さ
れており、電圧VH を出力するための2本の導線はデジ
タルボルトメータ60に接続されている。デジタルボル
トメータ60はコンピュータ70に接続されている。
【0011】図1中20は、欠陥を診断されるワークで
あり、ワークは非磁性材料、または磁性材料または加工
により磁性を帯びる材料からなり、かつ導電性材料から
なる。ワークは溶接部であってもよい。ワーク20の表
面は露出していてもよいし、あるいは非磁性材(たとえ
ば、塗装膜など)により覆われていてもよい。ワーク2
0には、ワーク20に直流電流を印加させてアンペール
則による誘導磁場を発生させる端子40が接触されてお
り、端子40とその直流電源41とを接続する回路に
は、抵抗器42、電流計43が配置されている。
【0012】また、30a、30bは磁気センサ10を
ワーク20の表面に沿って移動させる駆動装置(たとえ
ば、サーボモータ)である。駆動装置は磁気センサ10
を三次元に移動させるために、ワーク表面と直交する方
向に磁気センサ10を移動させるモータを有していても
よい。駆動装置へはDC電源81から電力が供給され
る。駆動装置のエンコーダの信号はコンピュータ70に
入力され、半導体磁気センサ10のワーク20に対する
位置がコンピュータ70に入力される。
【0013】本発明実施例のワークの欠陥診断方法は、
導電性材料からなるワーク20に通電して誘導磁場を発
生させる磁場発生工程と、ワーク20の表面に沿って磁
気センサ10(たとえば、ホール効果素子)を移動させ
ワークの発生磁束密度を検出する検出工程と、検出した
発生磁束密度の局部的な乱れからワーク20の欠陥など
を診断する判定工程と、からなる。ワーク20は、通電
した時に誘導磁場を発生する材料、すなわち導電性材料
であればよく、非磁性材料であっても、あるいは磁性材
料または加工により磁性を帯びる材料であってもよい。
ワーク20は、通電した時に誘導磁場を発生する材料で
あればよく、ワーク20の表面が外部に露出していて
も、あるいはワーク表面が非導電性の非磁性材料で覆わ
れていてもよい。
【0014】さらに詳しくは、本発明実施例の欠陥診断
方法では、非磁性材料(たとえば、アルミ、銅など)、
または磁性材料または加工により磁性を帯びる材料から
なるワーク20を欠陥診断装置にセットし、端子41を
介して直流電流を通電して誘導磁場を発生させる。ワー
ク20に亀裂などの欠陥があれば、誘導磁場が欠陥部位
で変化し乱れる。
【0015】図4、図5に示すように、磁場検出のため
に磁気センサ10(たとえば、半導体ホールセンサを例
にとる)をワーク20の表面に沿って、駆動装置30
a、30bにより、非接触で全自動で移動させてワーク
表面を走査し、各測定点(走査線上に約50μm間隔を
もって位置する多数の点)で、その位置でのワークの磁
束密度を、磁気センサ10により検出し、電位差(ホー
ル電圧)として出力する。ワーク20が地面に対し垂直
にセッティングされている状態では、磁気センサ10
を、始点から、まず水平方向に水平移動モータ30aに
より移動させ、ピッチ分離れた各測定点で磁束密度を検
出することを、水平方向の端部(終点)に到達するまで
繰返し、水平方向の端部(終点)に到達すれば他方の端
部(始点)へ戻し、この時1ピッチ分垂直方向に垂直移
動モータ30bにより移動させる。この動作をワークの
診断範囲の垂直方向終点まで繰返してワーク表面を走査
させる。この走査により得たセンサ出力はコンピュータ
70に入力され、等磁線図が作成される。
【0016】図6に示すように、磁気センサ10の電位
差をデジタルボルトメータ60で計測し、コンピュータ
70に入力し、予め検量しコンピュータ70に格納して
あるホール効果素子のV−B(電圧−磁束密度)校正曲
線から磁束密度に変換する。同時に、駆動装置30a、
30bのモータに設けられているエンコーダの出力を、
診断位置の座標−磁束密度(X、Y、B)としてコンピ
ュータ70に入力する。ここまでの処理はコンピュータ
70で行う。その後、得られた診断位置の座標−磁束密
度のデータは、図6、図7に示すように、予めコンピュ
ータ70に入力されている画像解析ソフトウエアによっ
て、マトリックスに展開されるとともに、ワークの等磁
線図が作成される。
【0017】ワーク20に微小亀裂があると、あるいは
発生すると、その周囲で誘導磁場が他の部位に対して変
化し、したがって乱れ、等磁線が他の部位に比べて急激
に変化するので、亀裂部位を等磁線図上で容易に把握で
きる。この得られた等磁線図を、予め作成し保存してい
る基準等磁線図と目視またはコンピュータ上で比較する
ことによって、亀裂の有無、大きさ、進行度を判定し、
診断対象の磁性材料または加工により磁性を帯びる材料
からなるワークの余寿命を予想することができる。基準
等磁線図は、実際の構造材について、母材のまま、塗装
材、溶接継ぎ手、ショットピーニング付加等様々な状態
での基準ワークを用意し、無負荷の状態および疲労試験
機で段階的に負荷を与えた状態、すなわち、破断に至る
までの亀裂進展プロセスについて、初期の微視的組織
変化(微小すべり)、微小亀裂の発生、亀裂進展、
最終破断、の各段階の等磁線図を収集し、負荷応力、
負荷サイクル数をパラメータとして作成する。
【0018】試験結果について以下に述べる。試験に用
いたワークの形状は図8のとおりであり、くびれ部の幅
が12mm、くびれ部の長さが30mm、くびれ部の平
行部の長さが25mm、チャック部の幅が20mm、厚
さ3.0mmのワークに引張り、片振り荷重を繰返しか
けて試験を行った。ワークは非磁性体で、その材料成分
は、Si:7.0%、Mg:0.3%、Fe:0.2%
以下、残部がAlであった。また、試験において、ワー
クに通電した電流は2A(2アンペア)であった。測定
の走査間隔は、0.2mmとした。測定は、ワークに負
荷を掛けない状態と、ワークに繰返し荷重をかけ、微小
な亀裂を発生させた状態とについて行った。測定結果の
等磁線図を図10、図11に示す。図10は荷重繰返し
数が0(亀裂なし)の状態の等磁線図であり、図11
は、繰返し荷重をかけて微小亀裂が発生した状態の等磁
線図である。図10、図11では、X=約10〜約30
の間はワークが存在する部分で、図11でY=約30の
部位で等磁線が密集していて磁束密度が急激に変化して
いる部分が亀裂が存在する部分である。本発明により、
非磁性材料または磁性材料または加工により磁性を帯び
る材料の劣化損傷の前兆を把握し、それにより診断が可
能であることが確認された。
【0019】以上本発明の非磁性材料の試験例について
説明したが、本発明は、磁性材料または加工により磁性
を帯びる材料であるオーステナイト系ステンレス鋼や高
Mn鋼などの非磁性材料の劣化診断、加工誘起マルテン
サイト変態や組織変化の検出等にも適用可能である。本
発明の診断装置は、橋梁等の鋼構造物や稼働中の負荷が
ある構造材(たとえば、稼働中の製造設備の構成材)に
ついて現場(オンサイト)での劣化の判定に適用でき
る。その場合の装置は図1と同じである必要はなく、基
本的な構成例としては、磁気センサ(たとえばホール効
果素子)、磁気センサ駆動装置(モータ)、コンピュー
タからなる。
【0020】
【発明の効果】請求項1〜9の方法および請求項10の
装置によれば、ワークに通電した時に生じる誘導磁場
の、ワークの欠陥による変化、乱れを電流磁気電界効果
または電磁誘導作用を利用して磁界を検出する磁気セン
サで検出するので、欠陥の検出を、簡便に、高精度に、
定量的に、行うことができる。請求項2、3に記載のよ
うに、ワークが非磁性材料であろうが磁性材料であろう
が、本発明の方法が成立する。請求項4、5に記載のよ
うに、ワーク表面が露出していても非磁性材(たとえば
塗料)に覆われていても、本発明の方法が成立する。請
求項6の方法によれば、ワークの磁束密度の等磁線図を
作成し、該等磁線図の局部的乱れからその乱れた部分に
欠陥ありと判定して欠陥を検出、診断するので、作業者
の熟練をほとんど必要とせず、簡便でかつ高精度の欠陥
検出、定量的評価が可能になる。請求項7の方法によれ
ば、欠陥の無い基準ワークの基準等磁線図と比較するこ
とにより、ワークの欠陥の有無の判定を確実かつ容易に
行うことができる。請求項8、9の方法および請求項1
1、12の装置によれば、磁気センサとして半導体磁気
センサ、たとえばホール効果素子を用いるので、欠陥直
近の局部磁束密度の変化を、その磁束密度の強さが微小
であっても感度よく、かつ非接触で、検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の欠陥診断装置の概略系統図であ
る。
【図2】ホール効果素子の概略図である。
【図3】ホール効果の説明図である。
【図4】計測時におけるホール効果素子とワークとの位
置関係を示す図である。
【図5】計測時におけるホール効果素子の動きの模式図
である。
【図6】計測から等磁線図作成までの概略フロー図であ
る。
【図7】コンピュータにおける磁束密度と計測位置の記
録状態の模式図である。
【図8】試験に用いたワークを示す平面図である。
【図9】試験に用いたワークの測定部分の概略を示す図
である。
【図10】試験の測定結果(負荷付与前で亀裂が無い状
態)を示す等磁線図である。
【図11】試験の測定結果(負荷付与後で亀裂が発生し
た状態)を示す等磁線図である。
【符号の説明】
10 磁気センサ 20 ワーク(非磁性材料または磁性材料または加工
により磁性を帯びる材料) 30a 駆動モータ 30b 駆動モータ 40 端子 60 デジタルボルトメータ 70 コンピュータ 80、81、41 DC電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G053 AA11 AB11 AB19 AB21 BA15 BC14 CA02 CA05 CA06 CB29 DB20 DB23

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性材料からなるワークに通電して誘
    導磁場を発生させる磁場発生工程と、 前記ワークの表面に沿って電流磁気電界効果または電磁
    誘導作用を利用して磁界を検出する磁気センサを移動さ
    せワークの発生磁束密度を検出する検出工程と、 前記検出した発生磁束密度の局部的な乱れから前記ワー
    クの欠陥などを診断する判定工程と、からなるワークの
    欠陥診断方法。
  2. 【請求項2】 前記ワークが非磁性材料からなる請求項
    1記載のワークの欠陥診断方法。
  3. 【請求項3】 前記ワークが磁性材料または加工により
    磁性を帯びる材料からなる請求項1記載のワークの欠陥
    診断方法。
  4. 【請求項4】 前記ワークは、その表面が外部に露出し
    ている請求項1記載のワークの欠陥診断方法。
  5. 【請求項5】 前記ワークは、その表面が非導電性の非
    磁性材料で覆われている請求項1記載のワークの欠陥診
    断方法。
  6. 【請求項6】 前記検出工程で前記磁気センサを所定ピ
    ッチで移動させ、前記判定工程で前記磁気センサの出力
    をコンピュータに入力し、コンピュータにより前記ワー
    クの磁束密度の等磁線図を作成し、該等磁線図から前記
    ワークの欠陥などを診断する、請求項1記載のワークの
    欠陥診断方法。
  7. 【請求項7】 前記判定工程でワークの等磁線図を欠陥
    の無い基準ワークの基準等磁線図と比較して前記ワーク
    の欠陥の有無を判定する、請求項6記載の欠陥診断方
    法。
  8. 【請求項8】 前記磁気センサが半導体磁気センサであ
    る、請求項1記載の欠陥診断方法。
  9. 【請求項9】 前記半導体磁気センサがホール効果素子
    である、請求項8記載の欠陥診断方法。
  10. 【請求項10】 電流磁気電界効果または電磁誘導作用
    を利用して磁界を検出する磁気センサと、 前記磁気センサを導電性材料からなるワークの表面に沿
    って移動させる駆動装置と、 前記ワークに電流を流す通電装置と、 前記磁気センサに接続され、前記磁気センサが検出した
    前記ワークの磁束密度の出力に基づいてワークの磁束密
    度の等磁線図を作成する等磁線図作成プログラムをイン
    ストールされたコンピュータと、からなる欠陥診断装
    置。
  11. 【請求項11】 前記磁気センサが半導体磁気センサで
    ある、請求項10記載の欠陥診断装置。
  12. 【請求項12】 前記半導体磁気センサがホール効果素
    子である、請求項11記載の欠陥診断装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US10605777B2 (en) 2016-03-16 2020-03-31 Ihi Corporation Method for inspecting electroconductive composite material and device for inspecting electroconductive composite material

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