JP2000144592A - リグニン系物質の分解方法および分解装置 - Google Patents

リグニン系物質の分解方法および分解装置

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JP2000144592A JP10318936A JP31893698A JP2000144592A JP 2000144592 A JP2000144592 A JP 2000144592A JP 10318936 A JP10318936 A JP 10318936A JP 31893698 A JP31893698 A JP 31893698A JP 2000144592 A JP2000144592 A JP 2000144592A
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Kinya Kato
欽也 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常温常圧下で、安全かつ安定にリグニン系物
質を分解する方法、および分解装置を提供する。 【解決手段】 光照射下でリグニン系物質の分解を生じ
させる成分を含む機能水であって、通常電解質水溶液の
電気分解によって陽極近傍に生成することで得られ、好
適には水素イオン濃度(pH値)が1〜9、かつ塩素濃度が
2〜150mg/Lである、機能水に、リグニン系物質を光
照射下にて接触させて分解する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリグニン系物質の分
解方法及びそれに用いる装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】リグニンは草本類に15〜25%、樹木
に20〜35%含まれる高分子無定型化合物であり、主
に木質化した植物の細胞に存在する。このリグニンは天
然に存在する有機化合物としてはセルロースに次ぐ蓄積
量であるが、有効利用がなされているとは言えない状況
にある。
【0003】故にリグニンは地球上最大規模の未利用生
物資源ともいわれている。このリグニンの有効利用を拒
んでいる最大の理由が、リグニンの難分解性である。ま
た自然界に産する植物性セルロースは例外なくリグニン
によって強固に保護されているために、セルロースの有
効利用という観点からも脱リグニン及び/又はリグニン
の分解を行う技術が求められている。
【0004】リグニンはフェニルプロパンがランダムに
縮重合したものであり一定の反復単位を有さず、様々な
結合形式が存在している。そしてこのことがリグニンの
分解を困難にしている。リグニン中に含まれる化学結合
形式としては、例えばβ-エーテル結合、フェニルクマ
ラン結合、ジアリールプロパン結合などが挙げられ、こ
れらの結合形式の少なくとも1つを分解することがリグ
ニン系物質の分解に必要であると考えられる。
【0005】従来リグニンの分解には、酸(塩酸)・アル
カリ法(アンモニア、水酸化ナトリウム)(高温、加圧蒸
解法)、爆砕法、ハンマーミル等の強力な粉砕機を用い
て微粉化し、酵素や微生物による分解を容易にする微粉
化法などが研究されてきたが、分解効率や経済的な面、
特にコスト面において未だ満足できるものではない。例
えば高温・高圧を用いるといったエネルギー消費の大き
な条件下におけるリグニン系物質の分解方法では、分解
装置の大型化や分解の為の処理コストの高騰を避けるこ
とは困難である。
【0006】このような問題に対し、従来と比較してよ
り温和な環境下、例えば常温常圧におけるリグニン系物
質の分解方法が提案され始めている。例えば特開平5-
292980号公報、特開平6-322683号公報、
特開平6-327463号公報、及び特開平9-6778
5号公報などにはリグニン系物質を微生物によって温和
な環境下で分解する方法が開示されている。リグニンを
分解する微生物の殆どは木材を腐らせる所謂木材腐朽菌
の中から見いだされているが、それはフェネロケイテ、
カワラタケに関するものが大半を占め、土壌菌に関する
研究はわずかである。
【0007】これまでに知られているリグニン分解性の
土壌菌は、リグニン構造を持つ低分子化合物、具体的に
は例えば重量平均分子量が500〜700程度の3〜4
量体を分解することはできるが、高分子(天然リグニン
や天然リグニンから抽出した高分子リグニン;具体的に
は例えば重量平均分子量が3000〜5000、数平均
分子量が1500〜2000程度のリグニン系物質)は分
解した例については記載されていない。そしてこの菌は
構造によるスペシフィシティが高く分解できる構造が限
らるものと考えられる。これに対してキノコ類では高分
子・低分子の区別なくリグニンの低分子化(分解)が生じ
るものの、増殖速度が一般に遅く培養・育種も難しい。
特に一部のキノコでは培養液を酸性にする必要がある。
そこで酵素を抽出して反応を行なわせる研究が活発化し
ているが、キノコ由来の酵素では、ラジカルを生じ分解
よりもむしろ重合が起きる。キノコ本体には、再重合を
抑える酵素が存在しているとも考えられているが現在の
ところ詳細は不明であり、再重合がキノコによるリグニ
ンの分解を実用化することを阻んでいる。
【0008】更にキノコ類では、反応にH22を必要と
することがある。キノコ体内では、H22を産出する酵
素が見つかっており、自然ではこの酵素を通じてH22
が供給されるが、人工的な反応ではH22の供給が必要
となる。このように微生物によるマイルドな条件下での
リグニン分解について、幾つかの例は報告されているが
その分解速度は遅く、実用レベルには遠く、また分解活
性の維持、微生物の制御などにまだまだ多くの課題を有
している。
【0009】一方、後述する水の電気分解等で得られる
機能水は、殺菌効果が認められたり(特開平1-1802
93号公報)、半導体ウエハー上の汚染物の洗浄に有効
(H.Aoki et al.,Symp.VLSI.Tech.Dig.1993,
p107)であることが報告されている。更に例えば塩化ナ
トリウム等を添加した水溶液に染色排水等を加え、この
溶液を電気分解することにより陽極反応で有機物を酸化
分解して脱色する方法が、特開平8-281271号公
報に開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは上記した
様な種々のリグニン系物質の分解技術を検討した結果、
何れも分解効率やコスト、更には十分な分解ができず、
残留したリグニン系物質の分解のために更なる処理プロ
セスや前処理が必要となる等の問題点を包含しており、
或いは包含していると予想されることから、より低コス
トで、また安定してリグニン系物質を効率良く分解可能
な技術の開発が必要であるとの結論に至った。そしてこ
のような課題の達成を目的として更なる検討を行なった
ところ、殺菌効果(特開平1-180293号公報)や半
導体ウエハー上の汚染物の洗浄効果(特開平7-5167
5号公報))を有することが報告されている水の電気分解
によって得られる機能水、例えば酸性水が、リグニン系
物質の優れた分解能力を有しているという新たな知見を
得るに至った。
【0011】本発明は係る本発明者らによる新たな知見
に基づきなされたものであり、その目的は常温常圧下で
リグニン系物質を分解でき、その工程が安全かつ安定し
ており、かつ特殊な装置を必要としない簡便なリグニン
の分解方法および分解装置を提供する点にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記のような課題の達成
を目的として検討を行なったところ、殺菌効果(特開平
1-180293号公報)や半導体ウエハー上の汚染物の
洗浄効果(特開平7-51675号公報))を有することが
報告されている水の電気分解等によって得られる機能
水、例えば酸性水が、光照射をおこなうことで優れたリ
グニンの分解能を示す事実を見出し本発明に至った。
【0013】上記目的を達成し得る本発明の一実施態様
にかかるリグニン系物質の分解方法は、光照射下でリグ
ニン系物質の分解を生じさせる成分を含む機能水であっ
て、通常電解質水溶液の電気分解によって陽極近傍に生
成することで得られ、好適には水素イオン濃度(pH値)
が1〜9、かつ塩素濃度が2〜150mg/Lである、機能
水に、リグニン系物質を光照射下にて接触させて分解す
る工程を有することを特徴とするものである。
【0014】また、上記目的を達成し得る本発明の一実
施態様に係るリグニン系物質の分解装置は、前記機能水
を得る手段、前記機能水をリグニン系物質と接触させる
手段、及び光を照射する手段を有することを特徴とす
る。
【0015】さらに、上記目的を達成し得る本発明の他
の実施態様に係るリグニン系物質の分解装置は、一対の
電極、該電極の間に配置された隔膜を備えた水槽、該水
槽に電解質溶液を供給する手段、該水槽の陽極側に分解
されるべきリグニン系物質を供給する手段、及び光を照
射する手段を具備していることを特徴とする。
【0016】ところで、後述する水の電気分解等で得ら
れる機能水は、殺菌効果が認められたり(特開平1-18
0293号公報)、半導体ウエハー上の汚染物の洗浄に
有効(H.Aoki et al.,Symp.VLSI.Tech.Dig.1
993,p107)であることが報告されている。更に例えば
塩化ナトリウム等を添加した水溶液に染色排水等を加
え、この溶液を電気分解することにより陽極反応で有機
物を酸化分解して脱色する方法が、特開平8-2812
71号公報に開示されている。しかし、光照射下の機能
水によってリグニン系物質の分解が著しく促進されるこ
とは今までのところ全く報告されていない。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の一実施態様にかかるリグ
ニン系物質の分解方法は、具体的に好適例を挙げれば、
水素イオン濃度(pH値)が1〜4、酸化還元電位(作用電
極:プラチナ電極、参照電極:銀-塩化銀電極)が800〜
1500mV、かつ塩素濃度が5〜150mg/Lである機
能水をリグニン系物質と光照射下で接触させる工程を有
する。
【0018】分解の際、機能水に照射する照射光は特別
な光源を用意する必要はない。照射光の光源は太陽光、
人工光のいずれでも構わないが経済的見地からは太陽光
の利用が望ましい。
【0019】太陽光は、赤道下の太陽スペクトルの照射
強度は数10mW/cm2、日本の夏至正午における快晴の
日の直射光の照度が約10万lxといわれているが、この
強度は本発明の太陽光の照射には必ずしも必要なく、通
常の影が出来る程度の直射日光で十分であり、さらには
日陰とか影のできない曇天(20000lxから5000
0lx)、北側窓から1m程度の明るさ(1000lx〜200
0lx)でも分解は進む。
【0020】後に述べる実施例から明らかなように、例
えば波長365nmにピークを持つ光源では数百μW/c
2(300nm〜400nm間を測定)の強度で実用上十
分の分解が進む。
【0021】また、実施例から明らかなようにその波長
は300nmから500nmの範囲が有効である。人工光
の光源としては必ずしも高出力な水銀ランプ等を必要と
せず例えばブラックライトやカラー蛍光ランプなどが良
い。
【0022】特にガラスやプラスティックを透過する光
でも十分に有機物の分解がおきるため、装置作製におい
て特別な材質を要求することはない。また人体に影響の
大きい250nm近辺の紫外光を必要としない。
【0023】この光照射は直接機能水に行ってもよい
し、ガラスやプラスティック等でできている機能水の容
器の外側、若しくは内側から照射してもよい。さらに、
機能水を生成する過程で光照射を行ってもよいし、生成
後に照射してもよい。いずれにしろ、分解を促進するに
は、機能水と有機化合物が接触するときに光照射を行う
のが望ましい。
【0024】ここで分解対象となるリグニン系物質とし
ては、例えばβ-エーテル結合、フェニルクマラン結
合、及びジアリールプロパン結合の3つの結合形式のう
ちの少なくとも1つを含むものが挙げられ、具体的には
天然リグニン、脱アルカリリグニン、摩砕リグニン、K
lasonリグニン、スルホン化リグニン、リグニンスルホ
ンナトリウム、β-エーテル結合性リグニン、フェニル
クマラン結合性リグニン、及びジアリールプロパン結合
性リグニン等を挙げることができる。
【0025】より具体的には例えば、リグニン構造の一
部を持つサブユニットの物質、例えば3-グアイアシル-
プロピオンアルデヒド-1,2-ジオール-2-グアイアシル
エーテル(3-guaiacyl-propionaldehyde-1,2-diol-2-
guaiacyl ether(GGE))、デヒドロジコニフェリルア
ルコール(dehydrodiconiferyl alcohol(DCA))、エ
リスロ-1,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニ
ル)-1,3-プロパンジオール(Erythro-1,2-Bis(4-hy
droxy-3-methoxyphenyl)-1,3-propanediol(β-1))な
どが挙げられる。
【0026】(機能水-酸性水)水の電気分解によって生
成する酸化剤を含んだ機能水とは、例えば電解質(例え
ば、塩化ナトリウムや塩化カリウムなど)を原水に溶解
し、この水を一対の電極を有する水槽内で電気分解を行
なうことによってその陽極近傍で得ることができる、水
素イオン濃度(pH値)が1以上4以下、作用電極をプラチ
ナ電極とし参照電極を銀-塩化銀としたときの酸化還元
電位が800mV以上1500mV以下、かつ塩素濃度
が5mg/L以上150mg/L以下の性状をもつ水を指す。
【0027】上記したような特性の機能水を製造する場
合、電解前の原水中の電解質の濃度は例えば塩化ナトリ
ウムでは20mg/L〜2000mg/Lが望ましく、そのと
きの電解電流値は2A〜20Aとするのが望ましい。そ
してこのような機能水を得る手段としては、市販の強酸
性電解水生成器(例えば、商品名:オアシスバイオハー
フ;旭硝子エンジニアリング(株)社製、商品名:強電解水
生成器(Model FW-200;アマノ(株)社製等)を利用
することができる。
【0028】またこのとき一対の電極間に隔膜を配置し
た場合、陽極近傍に生成される酸性水と陰極近傍にて生
成するアルカリ性の水との混合を防ぐことができ、リグ
ニン系物質の分解をより効率的に行なう事ができる酸性
水を得ることができる。前記隔膜としては例えばイオン
交換膜等が好適に用いられる。
【0029】(合成機能水)また上記した電気分解によっ
て生成する機能水とほぼ同等のリグニン系物質分解能を
奏する機能水は、電解によってばかりでなく原水に種々
の試薬を溶解して調製することも可能である。例えば、
塩酸0.001N〜0.1N、塩化ナトリウム0.005N
〜0.02N、および次亜塩素酸ナトリウム0.0001
M〜0.01Mとすることにより得ることができる。
【0030】また、pH4以上の機能水も電解によって
ばかりでなく原水に種々の試薬を溶解して調製すること
も可能である。例えば、塩酸0.001N〜0.1N、水酸
化ナトリウム0.001N〜0.1N、および次亜塩素酸ナ
トリウム0.0001M〜0.01Mとすることにより得る
ことができる。塩酸と次亜塩素酸塩でpHが4.0以下で
塩素濃度が2mg/L以上の機能水を調整することもでき
る。
【0031】また、弱酸性水粉末生成剤(例えば、商品
名キノーサン21X(クリーンケミカル株式会社製))とし
て市販されているN333NaCl2等を用いても機能水
を製造することができる。これら薬品調合による機能水
も、実施例から明らかなように分解能力に差はあるもの
の光を照射することで電解による機能水の場合と同様に
リグニン系物質を分解する能力を有す。
【0032】ここで原水の例としては水道水、河川水、
海水等が挙げられる。これらの水のpHは通常6〜8の
間、塩素濃度は最大でも1mg/L未満であり、このような
原水は当然のことながら上記したようなリグニン系物質
の分解能は有さない。そして上記した種々の化合物の分
解後の機能水中には現状において環境に悪影響を与える
とされているような新たな化合物の生成は例えばマスス
ペクトル等によっても全く観察されない。
【0033】以下に機能水を用いたリグニン系物質の分
解に用い得る分解装置について説明する。本実施態様に
おいて機能水とリグニン系物質との接触は、常温常圧下
で行なえばよく、特殊な設備や環境は不要である。例え
ば機能水を貯留した容器にリグニン系物質或いはリグニ
ン系物質を含む媒体を導入し光を照射するだけで良く、
あるいは機能水が作製されている水槽中にリグニン系物
質もしくはリグニン系物質を含む媒体を導入し光を照射
するだけで良い。リグニン系物質の分解装置の構成とし
ては例えば下記の1)や2)が挙げられる。
【0034】1)電解水生成装置に分解されるべきリグ
ニン系物資を直接投入することによってリグニン系物質
と酸性水とを接触させる様にした構成;図1は本発明に
係るリグニン系物質の分解装置の一実施態様の概略図で
ある。図1に於いて101は水槽である。そして該水槽は
電極103及び105、イオン交換膜等の隔膜107、該
電極に繋がる電源109、電解質を含む水を該水槽内に
供給するためのパイプ111及びポンプ113、分解され
るべきリグニン系物質もしくはそれを含む媒体を該水槽
内に供給するためのパイプ115とポンプ117を備え、
また119は水槽101で該有機化合物と反応し活性を失
った機能水を収納するタンクである。
【0035】そして水槽101に電解質を溶解した水がパ
イプ111を通して供給され水槽101が電解質を溶解し
た水で満たされる。電気分解用の陰極103及び陽極10
5に電源109から電力が供給されると陽極105側に酸
性水が生成する。
【0036】リグニン系物質またはそれを含む媒体をパ
イプ115から所望の流量で連続的に水槽101の陽極10
5側に供給する。ここでリグニン系物質は機能水と接触
し分解される。このとき光照射手段144から照射され
た光により分解反応は加速される。
【0037】リグニン系物質との反応により失活した機
能水は排水用パイプ118を通して水槽101からタンク
119に排出される。なおタンク119に排出された水は
再び電解質を溶解し水槽101に供給する構成としてもよ
い。
【0038】隔膜107としては例えば、陰極側及び陽
極側の電解質水溶液を各々反対側に移動させず、陽極側
に存在する陽イオン(例えばNa+、Ca2+、Mg2+、K
+等)の陰極側への不可逆な移動を許容し、また陰極側に
存在する陰イオン(例えばCl-、SO4 2-、HCO3 -等)
の陽極側への不可逆な移動を許容するようなイオン交換
膜が好適に用いられる。即ちイオン交換膜を用いること
で、陽極側近傍に後述するような特性を有する機能水を
効率良く生成させることができる。
【0039】なおリグニン系物質を含む媒体が水等の液
体の場合、この液体によって水槽101内の電解質溶液が
過度に希釈されない様に、電解質を溶解した水の量また
は電解質の濃度とリグニン系物質やそれを含む溶液の量
等を制御して、電解により生成する酸性水の特性が上記
した範囲内となるように制御することが好ましい。
【0040】また図2はリグニン系物質の分解装置の第
2の実施態様に概略模式図であって、例えばリグニン系
物質が液状であるか、又は液体に溶解している場合に好
適に用い得るものである。
【0041】図2において123は機能水生成装置、13
5は液状のリグニン系物質またはリグニン系物質が溶解
している液体の貯蔵タンクであり、該貯蔵タンク内のリ
グニン系物質又はそれを含む媒体は、ポンプ131及び導
入管133によって機能水生成装置の陽極105側に導入
される。また129は電解質水溶液の貯蔵タンクであっ
て、ポンプ125及び導入管127によって機能水生成装
置123の水槽101に導入される。
【0042】そしてリグニン系物質は水槽101の陽極1
05側で機能水と接触し分解される。このとき光照射手
段144から照射された光により分解反応は加速され
る。リグニン系物質との反応によって失活した機能水は
排水用パイプ118を通じて排水タンク119に排出され
る。
【0043】2)電解水生成装置で作成した機能水を分
解処理槽に移し、該分解処理槽にリグニン系物質を導入
し両者を接触させる様にした構成;また図3はリグニン
系物質の分解装置の他の実施態様の概略図である。機能
水生成装置123で形成された機能水(酸性水)は、ポン
プ137及びパイプ139を介して分解処理槽141に供給
される。一方液状のリグニン系物質もしくはリグニン系
物質が溶解している液体が貯蔵されているタンク135
からはポンプ131及びパイプ133を介して分解処理槽1
41に供給される。
【0044】そして分解処理槽内では攪拌装置143に
よって攪拌され、リグニン系物質と機能水とが接触し、
リグニン系物質が分解される。このとき光照射手段14
4から照射された光により分解反応は加速される。そし
て処理で使われた機能水は分解処理槽141からタンク1
19に排出される。
【0045】機能水生成装置123で機能水を生成後、
分解処理槽141で機能水とリグニン系物質とを接触させ
る本構成では、リグニン系物質を機能水生成装置内に導
入しないため機能水生成装置の汚染を防止できる。また
図示していないがタンク119に排出される、処理で使
われた機能水の一部若しくは全部を機能水生成装置12
3に給送して、新たな機能水の生成に再利用してもよ
い。
【0046】また分解処理槽141に係る攪拌手段143
を設けることで、有機化合物と機能水との接触効率を向
上させ、有機化合物の分解効率のより一層の改善を図る
ことができる。
【0047】図3の機能水生成装置123から供給され
る機能水は陽極側で得られる酸性水でも良いし、陽極側
で得られる酸性水と陰極側で得られるアルカリ性水を混
合した混合水のどちらでもかまわない。
【0048】また、機能水生成装置が薬品を溶解して調
整した機能水を供給するものでも良い。
【0049】以上、機能水と光照射を用いたリグニンの
分解に用い得るリグニンの分解装置について説明した
が、分解能力より装置構成をより簡易にする観点から、
槽内のイオン交換膜等の隔膜を取り除いた構成をとるこ
ともできる。即ち、隔膜をもたない装置から生成された
機能水も以上述べられてきた有機化合物の分解に用いる
ことができる。
【0050】以下、実施例により本発明を詳述する。
【0051】
【実施例】(実施例1)電気分解により得た機能水による
デヒドロジコニフェリルアルコール(dehydrodiconifery
l alcohol(DCA))の分解 はじめに、強酸性機能水生成装置(商品名:オアシスバイ
オハーフ;旭硝子エンジニアリング(株)製)を用いて機能
水を調製した。なおこの装置の陰極と陽極との間にはイ
オン交換膜を配置し、陰極側及び陽極側に存在する電解
質水溶液は互いに移動できないものの、陽極側に存在す
る陽イオンは不可逆に陰極側に移動可能であり、また陰
極側に存在する陰イオンは不可逆に陽極側に移動可能で
あるように構成した。
【0052】この装置を用いると共に、電解する水の電
解質濃度を種々変化させて、その結果陽極側で得られる
酸性の機能水のpH及び酸化還元電位をpHメーター(商
品名:TCX-90iおよびKP900-2N;(株)東興化
学研究所製)および導電率メーター(商品名:TCX-90
iおよびKM900-2N;(株)東興化学研究所製)で、ま
た残留塩素濃度を塩素試験紙(アドバンテック)により測
定した。電解質である塩化ナトリウムの濃度(標準濃度
は1000mg/L)、電解電流値、電解時間などによって
この機能水のpHは1〜4、酸化還元電位は800mV〜
1500mV、また塩素濃度は5mg/L〜150mg/Lに変
化した。
【0053】そこで本実施例ではリグニン系物質の分解
実験に用いる機能水としてpH2.1、酸化還元電位115
0mV、残留塩素濃度54mg/Lの機能水を実験に供し
た。この機能水は、電解質濃度を1000mg/Lとするこ
とで得られた。
【0054】次に、フェニルクマラン結合をもつリグニ
ン系物質としてDCAを用意した。DCAの構造を下記
に示す。
【0055】(DCA構造式挿入)27.5mL容のガラス
バイアル瓶に上記の機能水を10mL入れ、次にガラスバ
イアル瓶中にDCAを加えた。DCAの添加量はDCA
がガラスバイアル瓶中の機能水に全て溶解したときのD
CA濃度が20ppmとなるように調整した。また、機能
水のかわりに純粋を用いたサンプルを用意した。これら
を3〜4回緩やかに攪拌し、すべてのサンプルを日光の
あたるところに3時間放置した後、DCA濃度を分光光
度計(商品名:UV3100S;島津製作所(株)社製)で測
定し、DCAの分解の様子を観察した。
【0056】その結果、ベンゼン環特有の吸収が消失
し、DCAが分解したことが確認できた。また純水を用
いた対照実験ではDCAの分解は観測されなかった。こ
のことから、DCAの分解が機能水と光照射によるもの
であることが確かめられた。更に異なるpH、酸化還元
電位、および残留塩素濃度をもつ機能水についてもDC
Aが機能水と光照射により分解できることを確かめた。
【0057】(実施例2)電気分解により得た機能水によ
る3-グアイアシル-プロピオンアルデヒド-1,2-ジオー
ル-2-グアイアシルエーテル(3-guaiacyl-propionalde
hyde-1,2-diol-2-guaiacyl ether (GGE))の分解 β-エーテル結合をもつリグニンモデル物質としてGG
Eを用意し、機能水のGGE分解特性について実験し
た。なおGGEの構造は下記のとおりである。
【0058】(GGEの構造式挿入)27.5mL容のガラ
スバイアル瓶中に実施例1で用いたのと同じ機能水を入
れ、更に初期のGGE濃度が15ppmとなるようにGG
Eを該ガラスバイアル瓶に添加した。これらを3〜4回
緩やかに攪拌し、すべてのサンプルを日光のあたるとこ
ろに3時間放置した後、GGE濃度を分光光度計(商品
名:UV3100S;島津製作所(株)社製)で測定し、GG
Eの分解の様子を観察した。
【0059】その結果、ベンゼン環特有の吸収が消失し
GGEが分解したことが確認できた。また純水を用いた
対照実験ではGGEの分解は観測されなかった。このこ
とから、GGEの分解が機能水と光照射によるものであ
ることが確かめられた。さらに、pH、酸化還元電位、
および残留塩素濃度が異なる機能水について光照射下で
GGEの分解を評価したところ、いずれも経時的な濃度
低下が観測され、機能水と光照射下によるGGEの分解
が確認できた。
【0060】(実施例3)電気分解により得た機能水によ
るエリスロ-1,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェ
ニル)-1,3-プロパンジオール(Erythro-1,2-Bis(4-
hydroxy-3-methoxyphenyl)-1,3-propanediol(β-1))
の分解 ジアリールプロパン結合をもつリグニンモデル物質(β-
1)を用意した。(β-1)の構造は下記の通りである。
【0061】(β-1)の構造式挿入 β-1を初期の濃度が10ppmとなるようにガラスバイア
ル瓶に添加した以外は実施例1と同様にして、β-1の分
解の様子を観察した。その結果、ベンゼン環特有の吸収
が消失しβ-1が分解したことが確認できた。また純水を
用いた対照実験ではβ-1の分解は観測されなかった。
【0062】このことから、β-1の分解が機能水と光照
射によるものであることが確かめられた。さらに、p
H、酸化還元電位、および残留塩素濃度が異なる機能水
について光照射下でβ-1の分解を評価したところ、いず
れも経時的な濃度低下が観測され、機能水と光照射下に
よるβ-1の分解が確認できた。
【0063】(実施例4)電気分解により得た機能水によ
る高分子リグニン系物質の分解 分解対象物質としてリグニン(Lignin)(関東化学(株)社
製)を用意し、初期リグニン溶液濃度が100ppmとなる
ようにリガラスバイアル瓶に添加した以外は実施例1と
同様にしてリグニンの分解の様子を観察した。
【0064】その結果270〜290nmの、リグニン
中に存在する芳香環による特性吸収が消失し、リグニン
が分解したことが確認できた。また純水を用いた対照実
験ではリグニン溶液の分解は観測されず、リグニンの分
解が機能水と光照射によることを確かめた。
【0065】さらに、pH、酸化還元電位、および塩素
濃度が異なる機能水について光照射下のリグニン溶液の
分解を評価したところ、いずれも経時的な濃度低下が観
測され、機能水と光照射によるリグニン溶液の分解が確
認された。
【0066】(実施例5)塩酸、塩化ナトリウム、および
次亜塩素酸ナトリウムにより調製した機能水によるGG
Eの分解 純水に塩酸0.001N〜0.1N、塩化ナトリウム0.0
05N〜0.02N、および次亜塩素酸ナトリウム0.0
005M〜0.01Mとなるように調製した水溶液につい
て、pH、酸化還元電位、および塩素濃度を測定したと
ころ、pHは1〜4、酸化還元電位は800mV〜150
0mV、また塩素濃度は5mg/L〜150mg/Lに変化
し、電解質水溶液の電気分解によって得られる機能水と
同様な性状をもつ機能水が得られた。そこで純水に塩酸
0.006N、塩化ナトリウム0.014N、および次亜
塩素酸ナトリウム0.002Mとしたときに得られる、p
H2.3、酸化還元電位1180mV、塩素濃度52mg/
Lの機能水を本実施例の実験に供した。
【0067】27.5mL容のガラスバイアル瓶に上記の
機能水10mLを入れ次にGCEを、ガラスバイアル瓶中
に加えた。GGEの添加量は、GGEがすべてガラスバ
イアル瓶中の機能水に全て溶解したときのGGE濃度が
10ppmとなるように調整した。また、機能水のかわり
に純水を用いたサンプルも用意した。これらを3〜4回
緩やかに攪拌し、すべてのサンプルを日光のあたるとこ
ろに3時間放置した後、GGE濃度を分光光度計(商品
名:UV3100S;島津製作所(株)社製)で測定し、GG
Eの分解の様子を観察した。
【0068】その結果、ベンゼン環特有の吸収が消失し
GGEが分解したことが確認できた。また純水を用いた
対照実験ではGGEの分解は観測されなかった。このこ
とから、GGEの分解が機能水と光照射によるものであ
ることが確かめられた。さらに、pH、酸化還元電位、
および残留塩素濃度が異なる機能水について光照射下で
GGEの分解を評価したところ、いずれも経時的な濃度
低下が観測され、塩酸、塩化ナトリウム、および次亜塩
素酸ナトリウムにより調製した機能水と光照射下による
GGEの分解が確認できた。
【0069】(実施例6)硫酸、および次亜塩素酸ナトリ
ウムにより調製した機能水によるGGEの分解純水に硫
酸0.006N、および次亜塩素酸ナトリウム0.002
Mとなるように調製した水溶液について、pH、酸化還
元電位、および残留塩素濃度を測定したところpHは2.
0、酸化還元電位は1200mV、塩素濃度は120mg/
Lの機能水であった。そこでこの機能水のGGEの分解
特性について実験を行なった。
【0070】27.5mL容のガラスバイアル瓶に上記の
機能水を10mL入れ次に、GGEを加えた。GGEの添
加量は、ガラスバイアル瓶の中のGGEがすべて機能水
に溶解したときのGGE濃度が10ppmとなるように調
整した。
【0071】3〜4回緩やかに攪拌し、日光のあたると
ころに3時間放置した後、GGE濃度を分光光度計(商
品名:UV3100S;島津製作所(株)社製)で測定し、G
GEの分解の様子を観察した。
【0072】その結果、ベンゼン環特有の吸収が消失し
GGEが分解したことが確認できた。また純水を用いた
対照実験ではGGEの分解は観測されなかった。このこ
とから、GGEの分解が機能水と光照射によるものであ
ることが確かめられた。さらに、pH、酸化還元電位、
および残留塩素濃度が異なる機能水について光照射下で
GGEの分解を評価したところ、いずれも経時的な濃度
低下が観測され、硫酸、および次亜塩素酸ナトリウムに
より調製した機能水と光照射下によるGGEの分解が確
認できた。
【0073】(実施例7)電気分解により得た機能水によ
る高分子リグニン系物質(脱アルカリリグニン)の分解 DCAに代えて脱アルカリリグニン(Lignin,Dealkali
ne;東京化成有機化学(株)社製)を用い、ガラスバイアル
瓶への添加量を、脱アルカリリグニン溶液濃度が100p
pmとなるようにした以外は実施例1と同様にして、脱
アルカリリグニンの機能水と光照射による分解特性につ
いて実験したところ82〜94wt%の脱アルカリリグ
ニンが分解したことが分かった。
【0074】また、純水を用いた対照実験では脱アルカ
リリグニン溶液の分解は観測されず、脱アルカリリグニ
ンの分解が機能水によるものであることを確認した。さ
らに、pH、酸化還元電位、および残留塩素濃度が異な
る機能水について脱アルカリリグニン溶液の分解を評価
したところ、いずれも経時的な濃度低下が観測され、機
能水と光照射による脱アルカリリグニン溶液の分解が確
認された。
【0075】(実施例8)図2に示したリグニン系物質の
分解装置を作成し、リグニン系物質の分解実験を行なっ
た。
【0076】即ち、貯蔵タンク129には、塩化ナトリ
ウム水溶液(濃度1000mg/L)を入れ、機能水生成装置
123の水槽101に供給した。一方貯蔵タンク135には
分解対象物質としてGGEの50ppm溶液を入れ、水槽
101の陽極105側に供給した。
【0077】次いで、光照射144(ブラックライト蛍光
ランプ(東芝製、FL10BLB,10W)をおこないつ
つ、電流を11分間流した後、分光光度計を用いて処理
液中のGGEの濃度を測定した。その結果、約90wt
%のGGEの分解が確認できた。
【0078】(実施例9)図3に示したリグニン系物質の
分解装置を作成し、リグニン系物質の分解実験を行なっ
た。即ち、機能水生成装置123(商品名:強電解水生成
器(Model FW-200;アマノ(株)社製)においては、
塩化ナトリウム水溶液(濃度1000mg/L)を水槽101内
で11分間電解し、水槽101の陽極側にpH2.1、酸化
還元電位1150mV、残留塩素濃度54mg/Lの機能水
を生成させた。次いでこの機能水をポンプ137及び導
入管139を用いて、分解処理槽141に導入した。
【0079】一方貯蔵タンク135には、分解対象物と
してGGE溶液(濃度180ppm)を入れ、ポンプ131及
び導入管133を用いて分解処理槽141に、水槽101中
の機能水の1/10量となるように導入した。光照射144
(ブラックライト蛍光ランプ(東芝製、FL10BLB,1
0W)をおこないつつ、攪拌手段143で緩やかに攪拌し
つつ2時間反応させ、その後処理液中のGGEの濃度を
分光光度計で測定した結果、約85wt%以上のGGE
の分解が確認された。
【0080】(実施例10)隔膜のない電気分解で得た機
能水と光照射によるGGEの分解 はじめに、強酸性機能水生成装置(商品名:オアシスバイ
オハーフ;旭硝子エンジニアリング(株)社製)を用いて機
能水を調製した。なお陽極及び陰極の間の隔膜は除去さ
れている。この装置を用いるとともに、電解する水の電
解質濃度を種々変化させて、その結果陽極側で得られる
酸性の機能水のpHおよび酸化還元電位をpHメーター
((株)東興化学研究所、TCX-90iおよびKP900-
2N)および導電率メーター((株)東興化学研究所、TC
X-90iおよびKM900-2N)で、また塩素濃度を塩
素試験紙(アドバンテック)により測定した。
【0081】その結果、電解質である塩化ナトリウムの
濃度(標準濃度は1000mg/L)、電解電流値、電解時間
などによってこの機能水のpHは2.0〜9.0、酸化還
元電位は800mV〜1500mV、また塩素濃度は2
mg/L〜150mg/Lに変化した。
【0082】そこで本実施例では有機化合物の分解実験
に用いる機能水としてpH7.2、酸化還元電位523m
V、残留塩素濃度25mg/Lの機能水を用意した。
【0083】次に27mL容のガラスバイアル瓶を複数
本用意し、機能水を10mLづつ入れ、テフロン(登録商
標)ライナー付ブチルゴム栓とアルミシールで密閉し
た。機能水の効果を確かめるため機能水を含まない水だ
け10mLづつ入れたサンプルも用意した。次に、GGE
濃度が15ppmとなるようにGGEを全てのガラスバイ
アル瓶に添加した。これを3〜4回緩やかに攪拌した
後、すべてのサンプルを日光のあたるところに2時間放
置した。各々のグループのガラスバイアル瓶中の気相部
分のGGE濃度を測定した。
【0084】その結果、隔膜のない電気分解で得た機能
水の入ったサンプルでは4時間で1ppm以下になり、機
能水を含まない水だけのサンプルでは分解が認められな
かった。
【0085】これより、隔膜のない電気分解で得た機能
水と光照射によりGGEを分解できることがわかった。
また、異なるpH、酸化還元電位、および残留塩素濃度
をもつ機能水についてもGGEが機能水と光照射により
分解できることを確かめた。
【0086】
【発明の効果】本発明により、常温常圧下で経済的かつ
安全に、また安定してリグニン系物質を分解することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様にかかるリグニンの分解装
置の概略図である。
【図2】本発明の他の実施態様にかかるリグニンの分解
装置の概略図である。
【図3】本発明の他の実施態様に係るリグニンの分解装
置の概略図である。
【符号の説明】
101 水槽 103 陰極 105 陽極 107 隔膜 109 電源 111、127 電解質水溶液導入管 113、117、125、131、137 ポンプ 115、133 リグニン系物質導入管 118 排水パイプ 119 廃液タンク 123 機能水生成装置 129 電解質水溶液貯蔵タンク 135 リグニン系物質貯蔵タンク 139 機能水導入管 141 処理槽 143 攪拌手段 144 光照射手段

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光照射下でリグニン系物質の分解を生じ
    させる成分を含む機能水に、リグニン系物質を光照射下
    にて接触させて分解する工程を有することを特徴とする
    リグニン系物質の分解方法。
  2. 【請求項2】 前記機能水が次亜塩素酸を含むことを特
    徴とする請求項1に記載の分解方法。
  3. 【請求項3】 前記機能水が電解質を含む水の電気分解
    により、陽極近傍に生成する酸性水である請求項1また
    は2に記載の分解方法。
  4. 【請求項4】 前記電解質が塩化ナトリウム及び塩化カ
    リウムの少なくとも一方である請求項3記載の分解方
    法。
  5. 【請求項5】 前記機能水が無機酸を含み、該無機酸が
    塩酸、フッ酸、シュウ酸、硫酸、リン酸及びホウ酸から
    選ばれる少なくとも1つである請求項2ないし4のいず
    れか1項に記載の分解方法。
  6. 【請求項6】 前記機能水の水素イオン濃度(pH値)が
    1〜9、かつ塩素濃度が2〜150mg/Lである請求項1
    ないし5のいずれか1項に記載の分解方法。
  7. 【請求項7】 前記機能水の水素イオン濃度(pH値)が
    1〜4、酸化還元電位(作用電極:プラチナ電極、参照電
    極:銀-塩化銀電極)が800〜1500mVである請求
    項1ないし6のいずれか1項に記載の分解方法。
  8. 【請求項8】 前記リグニン系物質が分子内にβ-エー
    テル結合、フェニルクマラン結合、ジアリールプロパン
    結合の結合形式のうちの少なくとも1つを含む請求項1
    ないし7のいずれか1項に記載の分解方法。
  9. 【請求項9】 前記リグニン系物質が、天然リグニン、
    脱アルカリリグニン、スルホン化リグニン、リグニンス
    ルホンナトリウム、β-エーテル結合性リグニン、フェ
    ニルクマラン結合性リグニン、ジアリールプロパン結合
    性リグニンのいずれか1つである請求項1ないし8のい
    ずれか1項に記載の分解方法。
  10. 【請求項10】 前記リグニン系物質が、3-グアイア
    シル-プロピオンアルデヒド-1,2-ジオール-2-グアイ
    アシルエーテル(3-guaiacyl-propionaldehyde-1,2-di
    ol-2-guaiacyl ether(GGE))、デヒドロジコニフェ
    リルアルコール(dehydrodiconiferyl alcohol(DC
    A))、及びエリスロ-1,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メト
    キシフェニル)-1,3-プロパンジオール(Erythro-1,2-
    Bis(4-hydroxy-3-methoxyphenyl)-1,3-propanedio
    l(β-1))の少なくとも1つを含む請求項1ないし9のい
    ずれか1項に記載の分解方法。
  11. 【請求項11】 該光照射の照射光が太陽光であること
    を特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載
    の分解方法。
  12. 【請求項12】 該光照射の照射光の光波長が300n
    m〜500nmであることを特徴とする請求項1ないし
    10のいずれか1項に記載の分解方法。
  13. 【請求項13】 該光照射の照射光の光源がブラックラ
    イト光であることを特徴とする請求項1ないし10のい
    ずれか1項に記載の分解方法。
  14. 【請求項14】 分解処理槽、光照射下でリグニン系物
    質の分解を生じさせる成分を含む機能水を得るための手
    段、該機能水を前記分解処理槽に供給する手段、分解さ
    れるべきリグニン系物質を該分解処理槽に供給する手
    段、及び該分解処理槽に光を照射する手段を有すること
    を特徴とするリグニン系物質の分解装置。
  15. 【請求項15】 前記機能水が次亜塩素酸を含むことを
    特徴とする請求項14に記載の分解装置。
  16. 【請求項16】 前記機能水が電解質を含む水の電気分
    解によって陽極近傍に生成するものであることを特徴と
    する、請求項14または15記載の分解装置。
  17. 【請求項17】 前記機能水の水素イオン濃度(pH値)
    が1〜9、かつ塩素濃度が2〜150mg/Lであること
    を特徴とする、請求項14ないし16のいずれか1項に
    記載の分解装置。
  18. 【請求項18】 前記分解処理槽が攪拌手段を具備して
    いる請求項14ないし17のいずれか1項に記載の分解
    装置。
  19. 【請求項19】 一対の電極を備えた水槽、該水槽に電
    解質溶液を供給する手段、該水槽の陽極側に分解される
    べきリグニン系物質を供給する手段、及び該処理槽に光
    を照射する手段、を具備していることを特徴とするリグ
    ニン系物質の分解装置。
  20. 【請求項20】 前記電極の間に隔膜が配置されたこと
    を特徴とする請求項19に記載のリグニン系物質の分解
    装置。
  21. 【請求項21】 前記隔膜がイオン交換膜もしくは微多
    孔膜である請求項20記載の分解装置。
  22. 【請求項22】 前記リグニン系物質が分子内にβ-エ
    ーテル結合、フェニルクマラン結合、ジアリールプロパ
    ン結合の結合形式のうちの少なくとも1つを含む請求項
    14ないし21のいずれか1項に記載の分解装置。
  23. 【請求項23】 前記リグニン系物質が、天然リグニ
    ン、脱アルカリリグニン、スルホン化リグニン、リグニ
    ンスルホンナトリウム、β-エーテル結合性リグニン、
    フェニルクマラン結合性リグニン、ジアリールプロパン
    結合性リグニンのいずれか1つである請求項14ないし
    22のいずれか1項に記載の分解装置。
  24. 【請求項24】 前記リグニン系物質が、3-グアイア
    シル-プロピオンアルデヒド-1,2-ジオール-2-グアイ
    アシルエーテル(3-guaiacyl-propionaldehyde-1,2-di
    ol-2-guaiacyl ether(GGE))、デヒドロジコニフェ
    リルアルコール(dehydrodiconiferyl alcohol(DC
    A))、及びエリスロ-1,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メト
    キシフェニル)-1,3-プロパンジオール(Erythro-1,2-
    Bis(4-hydroxy-3-methoxyphenyl)-1,3-propanedio
    l(β-1))の少なくとも1つを含む請求項14ないし23
    のいずれか1項に記載の分解装置。
  25. 【請求項25】 前記光照射の照射光が太陽光であるこ
    とを特徴とする請求項14ないし24のいずれか1項に
    記載の分解装置。
  26. 【請求項26】 前記光照射の照射光の光波長が300
    nm〜500nmであることを特徴とする請求項14ない
    し24のいずれか1項に記載の分解装置。
  27. 【請求項27】 該光照射の照射光の光源がブラックラ
    イト光であることを特徴とする請求項14ないし24の
    いずれか1項に記載の分解装置。
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