JP2000142541A - 自転車用自動変速装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】小型化することができるとともに、部品点数を
も削減でき、併せて信頼性を向上させた自転車用自動変
速装置を提供する。 【解決手段】自転車１における内装式変速機２の軸心部
から延出された変速用のロッドピン３を直接押圧する位
置に設けられたギアードモータ４と、このギアードモー
タ４を制御する制御基板５と、制御基板５に電源を与え
る電池６と、を備え、これらギアードモータ４、制御基
板５、電池６を同一筐体９内に収容した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は自転車用の自動変速
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、自転車においても電子制御方式の
自動変速装置やセキュリティ装置が種々提案されてい
る。

【０００３】この種の装置はＬＳＩなどからなる回路基
板、この回路基板により制御されるギアードモータ、車
輪の回転速度を検出するセンサ、及びこれらのデバイス
に電源を供給する電池が最低限必要である。

【０００４】具体的には図３に示すように、自転車後輪
のスポーク１０に設けたマグネット１１を、チェーンス
テー等に固定した回転センサ（磁気センサ）１２により
センシングし、この信号を回路基板１３にて解析して車
速を求める構成となっている。 そして、回路基板１３
には予め変速機（図示せず）の変速パターン（例えば、
設定する速度範囲に対応する変速ポジション）を記憶さ
せてあり、変速が必要と判断した場合にはモータ１４に
電力を与える。モータ１４には減速機１７を介して自転
車の変速機に接続されたワイヤ１５を矢示Ｆ方向に押し
引きし、これによって、適切なギア比に自動的にギアチ
ェンジされる。なお、これらの装置とは別に、各デバイ
スの電源となる電池１６が設けられている。

【０００５】このように、従来は少なくとも回転センサ
１２、回路基板１３とモータ１４、モータ１４により作
動するワイヤ１５、及び電池１６が夫々分離されて自転
車のフレームに取り付けられている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、前記した従来
の自転車用自動変速装置は、各デバイスが独立して設置
されているため各ユニット間の配線が必要となるのは勿
論、もとより自転車への装置取り付けの余地が少ないた
め（ペダルの回転範囲内には装置の取り付けが困難なた
め）、自転車のフレームがデバイス類で一杯になってし
まい、デザイン上好ましくないという問題がある。

【０００７】しかも、変速機構がワイヤで駆動されるよ
うになっているため、部品点数が大幅に増加するととも
に、ワイヤの伸び等に伴い再調整の必要が生じるなど信
頼性の点でも問題があった。

【０００８】本発明は前記事項に鑑みなされたものであ
り、大幅に小型化することができるとともに、部品点数
をも削減できる自転車用自動変速装置を提供することを
技術的課題とする。

【０００９】また、信頼性を向上させた自転車用自動変
速装置を提供することを技術的課題とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は自転車用自動変
速装置であり、前述した技術的課題を解決するために以
下のように構成されている。

【００１１】すなわち、第１の発明は、自転車１におけ
る内装式変速機２の軸心部から延出された変速用のロッ
ドピン３を直接押圧する位置に設けられたアクチュエー
タ４と、このアクチュエータ４を制御する制御部５と、
この制御部５に電源を与える電池６と、を備え、これら
アクチュエータ４、制御部５、電池６を同一筐体９内に
収容したことを特徴とする。

【００１２】また、第２の発明は、第１の発明におい
て、車輪７の回転速度を検出する回転センサ８を前記筐
体９に一体に設けたことを特徴とする。前記内装式変速
機２は、車輪７のハブ体に内装されたギアを切り替える
ことで３段程度に変速を行えるものであり、そのギアの
切り替えを内装式変速機２の軸心部と同軸上に設けたロ
ッドピン３の出没によって行うようになっている。

【００１３】ロッドピン３は内装式変速機２に内装した
コイルスプリングによって突出方向に付勢されており、
最大に突出させた状態では３速、すなわち高速ギア比と
なるように内装式変速機２を制御する。一方、ロッドピ
ン３を最大に沈めた場合には１速、すなわち低速ギア比
となるように内装式変速機２を制御する。

【００１４】前記アクチュエータ４としてはギアードモ
ータが例示でき、前記ロッドピン３を直接押圧して変速
を行うよう機能する。押圧機構としてはウオームギアに
よるものやラックピニオン機構が例示できる。また、ロ
ッドピン３をどの位置まで押しているかを検出するため
に、ポテンショメータ等の動作位置検出手段を設けるこ
とができる。

【００１５】制御部５は、制御基板（５）として、マイ
クロコンピュータと入出力ポート、及び電力制御回路か
ら構成することができ、マイクロコンピュータの一部を
構成するメモリに処理手順（アプリケーションソフト）
と基本プログラム（オペレーティングシステム）を記憶
させてある。なお、この制御基板５には受信機を含ませ
ることができる。

【００１６】この受信機は自転車のハンドル等に取り付
けた送信機からの変速指令を受けてマイクロコンピュー
タに入力するものであり、運転者の意志によるマニュア
ル変速を無線にて行うことができるようになる。

【００１７】電池６は一般的なアルカリ電池の他、ニッ
カド電池、ニッケル水素電池、及びリチウム電池等の二
次電池を使用することもできる。二次電池を使用した場
合は別に設けた太陽パネルや外部電源により充電するこ
ともできる。

【００１８】そして、前記した各デバイスと回転センサ
８とは、隣接（当接）させて一体的に設けることができ
る。また、各デバイスと回転センサ８とを、同一筐体９
内に収容することもできる。

【００１９】このため、筐体９を内装式変速機２付近の
フレームに取り付けるだけで自動変速装置が完成し、ま
た配線も不要なため装置の信頼性が大幅に向上する。な
お、制御基板５については特に衝撃や湿気に弱いため、
制御基板５周囲に蝋を充填すれば、自転車の走行に伴う
振動から制御基板を保護することができる。蝋は、脂肪
酸と水に不溶性な高級一価アルコール類または二価アル
コール類とのエステルであり、常温で固体化するものに
限定される。例えば、カルナバロウや綿ロウのような植
物ロウ、あるいはミツロウや羊毛ロウなどの動物ロウを
例示できる。

【００２０】蝋の充填後は、蝋自体によって部品が保持
されるとともに、蝋の内部損失によって自転車の振動が
吸収され、半田付け部分に金属疲労が生じることはな
い。また、筐体９の防水性が低下して内部に水が入った
場合でも蝋によって制御基板５内部への水の浸透は阻止
されるため、部品の劣化や接触不良を極力防止すること
ができる。

【００２１】また、筐体９を自転車１へ取り付けるに際
して、筐体９を包囲するよう金属で形成された保護ブラ
ケットを設けることができる。この保護ブラケットは鋼
板、厚手のアルミ板、ジュラルミン、チタン鋼等で形成
されており、板材を折り曲げて形成することができる。

【００２２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の自転車用自動変速
装置を図１及び図２に示される実施形態について更に詳
細に説明する。

【００２３】自転車１の後車軸２ａには内装式変速機２
が設けられており、内装式変速機２の軸心部から、変速
用のロッドピン３が後車軸２ａと同軸上に延出されてい
る。そして、このロッドピン３を内部に収容する位置に
筐体９が取り付けられている。すなわち、筐体９は図２
に示すように、自転車１のチェーンステー１ａに取り付
けられており、筐体９内には制御基板５、電池６、受信
機５ａ及び回転センサ８が設けられている。

【００２４】前記ロッドピン３の軸の延長上にはギアー
ドモータで構成されたアクチュエータ４が配置されてい
る。このギアードモータは高減速比のギアの終段にネジ
棒（図示せず）を貫通させてあり、ネジ棒の直線運動を
行うことができるようになっている。そして、このネジ
棒によってロッドピン３を押圧するようになっている。

【００２５】前記回転センサ８は、筐体９の本体部から
延設された突出部９ａ内に収容されている。前記突出部
９ａは、自転車１への取付け状態において、筐体９を包
囲するよう金属で形成された保護ブラケット２０に設け
られた穴部に位置決めされ、後輪７方向に向けて設置さ
れている。

【００２６】一方、後輪７のスポーク７ａにはマグネッ
ト８ａが取り付けられており、前記回転センサ８はこの
マグネット８ａに対面できるようになっている。そし
て、前記回転センサ８は磁気センサとなっており、マグ
ネット８ａの磁気を検出する度に発生するパルスをカウ
ントすることにより、車速を検出できるようになってい
る。なお、突出部９ａはスポーク７ａ方向に開口部を有
する筒状体に形成されている。また、前記筐体９は、突
出部９ａを省いて形成することもできる。この場合、回
転センサ８は筐体９と一体に設けられるが、外部に露出
することとなる。なお、自転車１のハンドル３１には送
信機３０が設けられている。この送信機３０は前記受信
機５ａに変速指令信号を送出するためのものであり、運
転者のボタン操作にて変速段数を指定することができる
ようになっている。

【００２７】以上の構成とすることで、前記内装式変速
機２は、手動変速と自動変速の双方を可能とすることが
できる。すなわち、手動変速は運転者がハンドル３１に
設けられた送信機（コントローラー）３０を操作し、筐
体９内の受信機５ａでこの信号を受けてギアードモータ
４を制御する。

【００２８】一方、自動変速は、回転センサ８にて後輪
７の回転速度を検出し、回路基板６に予め記憶された変
速手順に応じてギアードモータ４を制御する。例えば、
車輪の回転速度信号に基づき、自転車が８ｋｍ／ｈ未満
の速度のときには、マイクロコンピュータ（回路基板
３）がローギアを選択する。また、自転車が８ｋｍ／ｈ
以上１５ｋｍ／ｈ未満の速度のときには、マイクロコン
ピュータはセカンドギアを選択する。同様に、自転車が
１５ｋｍ／ｈ以上の速度のときには、マイクロコンピュ
ータはサード（トップ）ギアを選択する、というように
内装式変速機２を自動的に制御するものである。

【００２９】以上述べたように筐体９内に自動変速に必
要なデバイスを収納するとともに、変速用のロッドピン
を直接押圧する位置にアクチュエータを内装したので、
自動変速装置の自転車への取り付けが極めて簡単であ
る。

【００３０】また、従来のワイヤを介して変速するもの
のように、ワイヤに伸びが生じて動作点が位置ずれする
などの虞れはなく、装置の信頼性が高い。しかも自動変
速装置の大幅な小型軽量化を図ることができたため、搭
載スペースや重量に制約のある自転車用の装置として適
している。

【００３１】さらに、本実施形態の自動変速変速は、筐
体９の外部にて配線を行う必要がないため、断線等の虞
れも少なく、装置の信頼性をさらに向上することができ
る。

【発明の効果】本発明によれば、変速用のロッドピンを
直接押圧する位置にアクチュエータを設けるとともに、
このアクチュエータ及び自動変速装置用の部品を同一筐
体内に収容したので、自動変速装置を大幅に小型化する
ことができる。

【００３２】したがって、車軸部に設けられた内装式変
速機の付近に自動変速装置を設置することができる。こ
のため、各部品間の配線が不要または外部に露出するこ
とがなくなり、部品点数の大幅削減と装置の信頼性向上
を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態である自転車用自動変速装
置の一部断面とした平面図である。

【図２】本発明の一実施形態である自転車用自動変速装
置の自転車に装着した状態を示す側面図である。

【図３】従来の自転車用自動変速装置を示す構成図であ
る。

【符号の説明】

１ 自転車 １ａ チェーンステー ２ 内装式変速機 ３ ロッドピン ４ アクチュエータ ５ 制御基板（制御部） ６ 電池 ７ 後輪 ８ 回転センサ ９ 筐体 ９ａ 突出部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】自転車における内装式変速機の軸心部から
   延出された変速用のロッドピンを直接押圧する位置に設
   けられたアクチュエータと、 このアクチュエータを制御する制御部と、 この制御部に電源を与える電池と、を備え、 これらアクチュエータ、制御部、電池を同一筐体内に収
   容したことを特徴とする自転車用自動変速装置。
2. 【請求項２】車輪の回転速度を検出する回転センサを前
   記筐体に一体に設けたことを特徴とする請求項１記載の
   自転車用自動変速装置。