JP2000142174A - 自動車用内装パネル - Google Patents
自動車用内装パネルInfo
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Landscapes
- Air Bags (AREA)
- Instrument Panels (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 助手席エアバッグを内装する自動車用インス
ツルメントパネルにおいて、エアバッグカバー部分とそ
の他の部分の見切り線をなくする。 【解決手段】 エアバッグのカバー部分20の樹脂材料
とインスツルメントパネル10のその他の部分の材料と
して、それぞれほぼ同じ色に着色された同じ種類の材
料、例えばポリプロピレンのうち分子量の異なるもの又
は一方を酸無水物変性したものを用いて多材質成形す
る。
ツルメントパネルにおいて、エアバッグカバー部分とそ
の他の部分の見切り線をなくする。 【解決手段】 エアバッグのカバー部分20の樹脂材料
とインスツルメントパネル10のその他の部分の材料と
して、それぞれほぼ同じ色に着色された同じ種類の材
料、例えばポリプロピレンのうち分子量の異なるもの又
は一方を酸無水物変性したものを用いて多材質成形す
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、助手席エアバッグ
のカバー部分が一体成形されたインスツルメントパネル
やサイドエアバッグが内蔵されたドアトリム等の自動車
用内装パネルに関する。
のカバー部分が一体成形されたインスツルメントパネル
やサイドエアバッグが内蔵されたドアトリム等の自動車
用内装パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、助手席エアバッグやサイドエアバ
ッグ等を設ける場合、車室前面に設けられるインスツル
メントパネルやドアに設けられるドアトリムに凹部を成
形し、凹部に折り畳んだエアバッグを収納した後、その
上から別体に成形したカバーを取り付けていた。この構
成によれば、部品点数が増加するとともに、インスツル
メントパネルやドアトリムの組立工程が複雑になるとい
う問題点を有していた。そこで、折り畳んだエアバッグ
を一体成形されたインスツルメントパネルやドアトリム
等の内側に収納し、エアバッグのカバー部分の輪郭に沿
って肉厚を薄くし、エアバッグ膨張時にその薄肉部分か
らカバー部分が破断するように構成された一体型インス
ツルメントパネルや一体型ドアトリム等の内装パネルが
提案されている。
ッグ等を設ける場合、車室前面に設けられるインスツル
メントパネルやドアに設けられるドアトリムに凹部を成
形し、凹部に折り畳んだエアバッグを収納した後、その
上から別体に成形したカバーを取り付けていた。この構
成によれば、部品点数が増加するとともに、インスツル
メントパネルやドアトリムの組立工程が複雑になるとい
う問題点を有していた。そこで、折り畳んだエアバッグ
を一体成形されたインスツルメントパネルやドアトリム
等の内側に収納し、エアバッグのカバー部分の輪郭に沿
って肉厚を薄くし、エアバッグ膨張時にその薄肉部分か
らカバー部分が破断するように構成された一体型インス
ツルメントパネルや一体型ドアトリム等の内装パネルが
提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一体型インスツルメン
トパネル卯や一体型ドアトリムの場合、エアバッグを確
実に作動させるためには、エアバッグのカバー部分の輪
郭に沿った薄肉部分の厚さを樹脂材料の機械的強度に応
じて一定以下にしなければならない。ところが、薄肉部
分の肉厚を一定以下に薄くすると、例えば乗客がもたれ
た場合等のように静的な荷重が加わった場合でも薄肉部
分に応力が集中してその部分から破断するおそれがある
という問題点を有していた。
トパネル卯や一体型ドアトリムの場合、エアバッグを確
実に作動させるためには、エアバッグのカバー部分の輪
郭に沿った薄肉部分の厚さを樹脂材料の機械的強度に応
じて一定以下にしなければならない。ところが、薄肉部
分の肉厚を一定以下に薄くすると、例えば乗客がもたれ
た場合等のように静的な荷重が加わった場合でも薄肉部
分に応力が集中してその部分から破断するおそれがある
という問題点を有していた。
【0004】また、特に車室前面に設けられるインスツ
ルメントパネルにおいて、エアバッグカバーを別体とし
た場合及び一体型インスツルメントパネルの表面側から
肉厚を薄くするように凹部を形成した場合、インスツル
メントパネルとエアバッグカバーとの隙間や肉厚を薄く
した部分のエッジ(以下、見切り線と称する)が肉眼で
観察される。
ルメントパネルにおいて、エアバッグカバーを別体とし
た場合及び一体型インスツルメントパネルの表面側から
肉厚を薄くするように凹部を形成した場合、インスツル
メントパネルとエアバッグカバーとの隙間や肉厚を薄く
した部分のエッジ(以下、見切り線と称する)が肉眼で
観察される。
【0005】一般に、インスツルメントパネルは、フロ
ントガラスを透過して入射した光の反射をできるだけ少
なくするために、比較的濃い色に着色されている。従っ
て、上記見切り線がフロントガラスの内側に反射し、運
転者にとって目障りとなるという問題点を有していた。
ントガラスを透過して入射した光の反射をできるだけ少
なくするために、比較的濃い色に着色されている。従っ
て、上記見切り線がフロントガラスの内側に反射し、運
転者にとって目障りとなるという問題点を有していた。
【0006】本発明は、上記従来例の問題点を解決する
ためになされたものであり、エアバッグのカバー部分を
一体に成形した自動車用内装パネルであって、静的な荷
重が加えられた場合にはカバー部分は破断せず、エアバ
ッグの膨張時にのみカバー部分が確実に破断すると共
に、表面に見切り線が見えない自動車用内装パネルを提
供することを目的としている。
ためになされたものであり、エアバッグのカバー部分を
一体に成形した自動車用内装パネルであって、静的な荷
重が加えられた場合にはカバー部分は破断せず、エアバ
ッグの膨張時にのみカバー部分が確実に破断すると共
に、表面に見切り線が見えない自動車用内装パネルを提
供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の自動車用内装パネルは、エアバッグを内蔵
する自動車用内装パネルであって、エアバッグのカバー
部分を第1の樹脂で、また内装パネルのその他の部分を
第2の樹脂で、一体成形したことを特徴とする。
め、本発明の自動車用内装パネルは、エアバッグを内蔵
する自動車用内装パネルであって、エアバッグのカバー
部分を第1の樹脂で、また内装パネルのその他の部分を
第2の樹脂で、一体成形したことを特徴とする。
【0008】上記構成において、エアバッグのカバー部
分の肉厚と内装パネルのその他の部分の肉厚がほぼ等し
いことを特徴とする請求項1記載の自動車用内装パネ
ル。
分の肉厚と内装パネルのその他の部分の肉厚がほぼ等し
いことを特徴とする請求項1記載の自動車用内装パネ
ル。
【0009】また、第1の樹脂と第2の樹脂は同一種類
の樹脂であって、それぞれ分子量が異なるものを用いて
も良い。
の樹脂であって、それぞれ分子量が異なるものを用いて
も良い。
【0010】または、第1の樹脂と第2の樹脂は同一種
類の樹脂であって、一方に変成体を用いても良い。
類の樹脂であって、一方に変成体を用いても良い。
【0011】また、第1の樹脂及び第2の樹脂として、
ポリプロピレン、フィラ添加ポリプロピレン、ポリフェ
ニレンエーテルから選択されたいずれかを用いても良
い。
ポリプロピレン、フィラ添加ポリプロピレン、ポリフェ
ニレンエーテルから選択されたいずれかを用いても良
い。
【0012】また、第1の樹脂及び第2の樹脂を、それ
ぞれほぼ同じ色に着色しても良い。
ぞれほぼ同じ色に着色しても良い。
【0013】または、表面に表皮材を積層しても良い。
【0014】一方、本発明の別の自動車用内装パネル
は、エアバッグを内蔵する自動車用内装パネルであっ
て、単一の樹脂で一体成形されたパネルのうち、エアバ
ッグのカバーに相当する部分の輪郭に沿って放射線を照
射し、放射線を照射した部分の強度を低下させたことを
特徴とする。
は、エアバッグを内蔵する自動車用内装パネルであっ
て、単一の樹脂で一体成形されたパネルのうち、エアバ
ッグのカバーに相当する部分の輪郭に沿って放射線を照
射し、放射線を照射した部分の強度を低下させたことを
特徴とする。
【0015】上記構成において、内装パネルの肉厚をほ
ぼ均一としても良い。
ぼ均一としても良い。
【0016】また、単一樹脂としてポリプロピレンを用
いても良い。
いても良い。
【0017】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)本発明の自動
車用内装パネルの第1の実施形態について説明する。第
1の実施形態として、例えば普通乗用車の車室前面に設
けられたインスツルメントパネルの構成を図1に示す。
なお、説明を簡単にするため、表皮材を用いずに基材が
表面に露出する、いわゆるハードタイプのインスツルメ
ントパネルとする。
車用内装パネルの第1の実施形態について説明する。第
1の実施形態として、例えば普通乗用車の車室前面に設
けられたインスツルメントパネルの構成を図1に示す。
なお、説明を簡単にするため、表皮材を用いずに基材が
表面に露出する、いわゆるハードタイプのインスツルメ
ントパネルとする。
【0018】図1において、助手席エアバッグのカバー
部分20は、インスツルメントパネル10に一体成形さ
れている。上記のようにカバー部分20とインスツルメ
ントパネル10のその他の部分とは、ほぼ同じ色に着色
されているので、カバー部分20の輪郭21は外部から
は観察されず、見切り線がフロントガラス30に反射す
ることはない。
部分20は、インスツルメントパネル10に一体成形さ
れている。上記のようにカバー部分20とインスツルメ
ントパネル10のその他の部分とは、ほぼ同じ色に着色
されているので、カバー部分20の輪郭21は外部から
は観察されず、見切り線がフロントガラス30に反射す
ることはない。
【0019】第1の実施形態は、樹脂射出成形における
多材質成形技術を利用したものであり、エアバッグのカ
バー部分20とインスツルメントパネル10のその他の
部分とをそれぞれほぼ同じ色に着色された異なる樹脂で
一体成形している。カバー部分20の材料(第1の樹
脂)とインスツルメントパネル10のその他の部分の材
料(第2の樹脂)は、それぞれ機械的強度がほぼ同じも
のの中から選択する。また、カバー部分20の肉厚とイ
ンスツルメントパネル10のその他の部分の肉厚もほぼ
同じにする。この構成により、カバー部分20とインス
ツルメントパネル10のその他に部分とは一体成形され
ており、かつ両者の肉厚がほぼ同じであるため、カバー
部分20に静的な荷重が加えられた場合でも応力集中は
起きず、カバー部分20の輪郭21は破断しない。図1
におけるA−A断面を模式的に表したものを図2に示
す。
多材質成形技術を利用したものであり、エアバッグのカ
バー部分20とインスツルメントパネル10のその他の
部分とをそれぞれほぼ同じ色に着色された異なる樹脂で
一体成形している。カバー部分20の材料(第1の樹
脂)とインスツルメントパネル10のその他の部分の材
料(第2の樹脂)は、それぞれ機械的強度がほぼ同じも
のの中から選択する。また、カバー部分20の肉厚とイ
ンスツルメントパネル10のその他の部分の肉厚もほぼ
同じにする。この構成により、カバー部分20とインス
ツルメントパネル10のその他に部分とは一体成形され
ており、かつ両者の肉厚がほぼ同じであるため、カバー
部分20に静的な荷重が加えられた場合でも応力集中は
起きず、カバー部分20の輪郭21は破断しない。図1
におけるA−A断面を模式的に表したものを図2に示
す。
【0020】インスツルメントパネル10(の基材)の
材料としてはポリプロピレンが一般的であるが、第1の
樹脂と第2の樹脂の一例として、それぞれポリプロピレ
ンのうち分子量の異なるものや変成(酸無水物変成等)
したものを用いる。
材料としてはポリプロピレンが一般的であるが、第1の
樹脂と第2の樹脂の一例として、それぞれポリプロピレ
ンのうち分子量の異なるものや変成(酸無水物変成等)
したものを用いる。
【0021】ポリプロピレンの分子量が異なる場合、分
子量の大きいものの方が機械的な強度はわずかながら高
くなる傾向にある。また、エアバッグ作動後は、カバー
部分20は不要となる。そのため、例えば分子量の大き
い樹脂をインスツルメントパネル10の材料である第1
の樹脂とし、分子量の小さい樹脂をカバー部分20の材
料とする。
子量の大きいものの方が機械的な強度はわずかながら高
くなる傾向にある。また、エアバッグ作動後は、カバー
部分20は不要となる。そのため、例えば分子量の大き
い樹脂をインスツルメントパネル10の材料である第1
の樹脂とし、分子量の小さい樹脂をカバー部分20の材
料とする。
【0022】また、ポリプロピレンの酸無水物変成した
ものを用いる場合、ポリプロピレンは本来水になじまな
いポリマーであるが、酸無水物変成した場合、変成した
微小部分は親水性有するので変成していない他の部分と
混ざることはない。そのため、酸無水物変成した部分は
変成していない部分に比べて若干強度が劣る。従って、
この場合は、変成していないポリプロピレンをインスツ
ルメントパネル10の材料である第1の樹脂とし、変成
したポリプロピレンをカバー部分20の材料とする。
ものを用いる場合、ポリプロピレンは本来水になじまな
いポリマーであるが、酸無水物変成した場合、変成した
微小部分は親水性有するので変成していない他の部分と
混ざることはない。そのため、酸無水物変成した部分は
変成していない部分に比べて若干強度が劣る。従って、
この場合は、変成していないポリプロピレンをインスツ
ルメントパネル10の材料である第1の樹脂とし、変成
したポリプロピレンをカバー部分20の材料とする。
【0023】これらのように同種の材料を用いた場合で
も、第1の樹脂と第2の樹脂が全く同一でない場合、両
者の界面において高分子の枝が均一に混じり合わないの
で、肉眼で観察することはできないが、第1の樹脂から
なるカバー部分20と第2の樹脂からなるインスツルメ
ントパネル10のその他の部分の界面(輪郭21)が物
理的に明瞭に存在する。しかも、その界面の強度は他の
部分よりも弱い。
も、第1の樹脂と第2の樹脂が全く同一でない場合、両
者の界面において高分子の枝が均一に混じり合わないの
で、肉眼で観察することはできないが、第1の樹脂から
なるカバー部分20と第2の樹脂からなるインスツルメ
ントパネル10のその他の部分の界面(輪郭21)が物
理的に明瞭に存在する。しかも、その界面の強度は他の
部分よりも弱い。
【0024】従って、エアバッグが膨張する際、火薬の
爆発等による衝撃荷重がカバー部分20の内側に加わる
と、応力がカバー部分20とインスツルメントパネル1
0のその他の部分との界面(輪郭21)に集中し、この
部分から破断する。そして、カバー部分20はエアバッ
グの膨張と共に、インスツルメントパネル10の外側に
飛ばされる。なお、飛ばされたカバー部分20により乗
客が負傷しないようにするため、カバー部分20の飛ぶ
方向を規制するために、カバー部分20の板厚に傾斜等
を設けて、輪郭21の破断する順序を制御することが望
ましい。
爆発等による衝撃荷重がカバー部分20の内側に加わる
と、応力がカバー部分20とインスツルメントパネル1
0のその他の部分との界面(輪郭21)に集中し、この
部分から破断する。そして、カバー部分20はエアバッ
グの膨張と共に、インスツルメントパネル10の外側に
飛ばされる。なお、飛ばされたカバー部分20により乗
客が負傷しないようにするため、カバー部分20の飛ぶ
方向を規制するために、カバー部分20の板厚に傾斜等
を設けて、輪郭21の破断する順序を制御することが望
ましい。
【0025】なお、第1の樹脂と第2の樹脂として、そ
れぞれ全く異なる材質のもの(例えば、ABSとポリプ
ロピレン等)を用いた場合、両者の界面では、樹脂の高
分子の枝が全く混ざり合わず、界面(輪郭21)の強度
は非常に小さくなる。従って、この場合、インスツルメ
ントパネル10の外側からの静的荷重によってはカバー
部分20とインスツルメントパネル10のその他の部分
の界面(輪郭21)が破断されず、かつエアバッグの膨
張時のインスツルメントパネル10の内側からの衝撃荷
重によって界面(輪郭21)が破断されるように、カバ
ー部分20とインスツルメントパネル10のその他の部
分の界面(輪郭21)をテーパ状にすることが望まし
い。
れぞれ全く異なる材質のもの(例えば、ABSとポリプ
ロピレン等)を用いた場合、両者の界面では、樹脂の高
分子の枝が全く混ざり合わず、界面(輪郭21)の強度
は非常に小さくなる。従って、この場合、インスツルメ
ントパネル10の外側からの静的荷重によってはカバー
部分20とインスツルメントパネル10のその他の部分
の界面(輪郭21)が破断されず、かつエアバッグの膨
張時のインスツルメントパネル10の内側からの衝撃荷
重によって界面(輪郭21)が破断されるように、カバ
ー部分20とインスツルメントパネル10のその他の部
分の界面(輪郭21)をテーパ状にすることが望まし
い。
【0026】(第2の実施形態)本発明の自動車用イン
スツルメントパネルの第2の実施形態について説明す
る。第2の実施形態に係る自動車用インスツルメントパ
ネルの構成は、図1に示す第1の実施形態の場合と外観
上同じであるためその説明を省略する。
スツルメントパネルの第2の実施形態について説明す
る。第2の実施形態に係る自動車用インスツルメントパ
ネルの構成は、図1に示す第1の実施形態の場合と外観
上同じであるためその説明を省略する。
【0027】第2の実施形態は、放射線による樹脂の劣
化現象を用いたものであり、図3に示すように、エアバ
ッグのカバー部分20も含めてインスツルメントパネル
10を単一の樹脂(ポリプロピレン)で一体成形した
後、カバー部分20の輪郭21に沿って放射線Xを照射
し、放射線Xを照射した部分(輪郭21)の樹脂の強度
を局部的に劣化させるものである。
化現象を用いたものであり、図3に示すように、エアバ
ッグのカバー部分20も含めてインスツルメントパネル
10を単一の樹脂(ポリプロピレン)で一体成形した
後、カバー部分20の輪郭21に沿って放射線Xを照射
し、放射線Xを照射した部分(輪郭21)の樹脂の強度
を局部的に劣化させるものである。
【0028】例えばインスツルメントパネル10のポリ
プロピレン樹脂厚が2mmの場合、1MeV以上のエネ
ルギーで放射線Xを照射する。ポリプロピレンは、吸収
線量10Mrad以上で劣化する。一般に、高分子樹脂
に放射線を照射すると、放射線を吸収した部分の分子鎖
が切れて、その部分の樹脂が低分子化する。その結果、
放射線Xを照射した部分だけ、他の部分よりも強度を低
くすることが可能となる。また、放射線Xの照射エネル
ギーや照射時間を制御することにより、任意の強度を得
ることも可能である。
プロピレン樹脂厚が2mmの場合、1MeV以上のエネ
ルギーで放射線Xを照射する。ポリプロピレンは、吸収
線量10Mrad以上で劣化する。一般に、高分子樹脂
に放射線を照射すると、放射線を吸収した部分の分子鎖
が切れて、その部分の樹脂が低分子化する。その結果、
放射線Xを照射した部分だけ、他の部分よりも強度を低
くすることが可能となる。また、放射線Xの照射エネル
ギーや照射時間を制御することにより、任意の強度を得
ることも可能である。
【0029】第2の実施形態の場合、インスツルメント
パネル10を均一な材料で成形した後、放射線Xを照射
して劣化部分を形成するので、カバー部分20を任意の
形状に描くことが可能となる。また、放射線Xを照射し
た(吸収した)部分とそうでない部分とでは外観上ほと
んど差異はなく、特にインスツルメントパネル10が着
色されている場合、見切り線がフロントガラスに反射す
ることは全くない。
パネル10を均一な材料で成形した後、放射線Xを照射
して劣化部分を形成するので、カバー部分20を任意の
形状に描くことが可能となる。また、放射線Xを照射し
た(吸収した)部分とそうでない部分とでは外観上ほと
んど差異はなく、特にインスツルメントパネル10が着
色されている場合、見切り線がフロントガラスに反射す
ることは全くない。
【0030】(その他の実施形態)上記各実施形態で
は、内装パネルの一例として助手席エアバッグを内蔵し
た自動車の車室前面のインスツルメントパネルについて
説明したが、これに限定されるものではなく、サイドエ
アバッグを内蔵したドアトリムであっても良いことは言
うまでもない。
は、内装パネルの一例として助手席エアバッグを内蔵し
た自動車の車室前面のインスツルメントパネルについて
説明したが、これに限定されるものではなく、サイドエ
アバッグを内蔵したドアトリムであっても良いことは言
うまでもない。
【0031】また、上記第1の実施形態では、第1の樹
脂と第2の樹脂をそれぞれほぼ同じ色に着色したものを
用いたが、これに限定されるものではなく、着色された
塩化ビニル等の表皮材を積層するように構成しても良
い。また、表皮材はインスツルメントパネルの全面に形
成されている必要はなく、部分的であっても良い。ま
た、第2の実施形態に表皮材を用いても良い。さらに、
表皮材と基材との間にクッション材を設けても良い。
脂と第2の樹脂をそれぞれほぼ同じ色に着色したものを
用いたが、これに限定されるものではなく、着色された
塩化ビニル等の表皮材を積層するように構成しても良
い。また、表皮材はインスツルメントパネルの全面に形
成されている必要はなく、部分的であっても良い。ま
た、第2の実施形態に表皮材を用いても良い。さらに、
表皮材と基材との間にクッション材を設けても良い。
【0032】また、上記各実施形態において、内装パネ
ルの基材(インスツルメントパネル10)の材料として
は、ポリプロピレンの他、エチレン・プロピレン・ゴム
やタルク等のフィラ添加ポリプロピレン、変性ポリフェ
ニレンエーテル等を用いても良い。
ルの基材(インスツルメントパネル10)の材料として
は、ポリプロピレンの他、エチレン・プロピレン・ゴム
やタルク等のフィラ添加ポリプロピレン、変性ポリフェ
ニレンエーテル等を用いても良い。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の自動車用
内装パネルは、エアバッグを内蔵するものであって、エ
アバッグのカバー部分を第1の樹脂で、また内装パネル
のその他の部分を第2の樹脂で一体成形したので、第1
の樹脂で成形されたカバー部分と第2の樹脂で成形され
たその他の部分の界面(カバー部分の輪郭)で樹脂の構
造が不均一となり、この部分の機械的強度が他の部分の
機械的強度よりも低くなる。その結果、内装パネル表面
又は裏面に凹凸を形成することなく、エアバッグ膨張時
に、カバー部分の輪郭に沿って内装パネルを破壊するこ
とができ、エアバッグを確実に作動させることが可能と
なる。
内装パネルは、エアバッグを内蔵するものであって、エ
アバッグのカバー部分を第1の樹脂で、また内装パネル
のその他の部分を第2の樹脂で一体成形したので、第1
の樹脂で成形されたカバー部分と第2の樹脂で成形され
たその他の部分の界面(カバー部分の輪郭)で樹脂の構
造が不均一となり、この部分の機械的強度が他の部分の
機械的強度よりも低くなる。その結果、内装パネル表面
又は裏面に凹凸を形成することなく、エアバッグ膨張時
に、カバー部分の輪郭に沿って内装パネルを破壊するこ
とができ、エアバッグを確実に作動させることが可能と
なる。
【0034】特に、第1の樹脂の材料と第2の樹脂の材
料を適宜選択することにより、第1の樹脂と第2の樹脂
のカバー部分の肉厚とその他の部分の肉厚を同じにして
も、両者の界面の強度をエアバッグ作動可能な強度まで
小さくすることができる。その結果、内装パネル表面又
は裏面に凹凸を形成する必要がなくなり、内装パネルに
静的な荷重が加えられた場合であっても、内装パネルが
カバー部分の輪郭に沿って破断する可能性は非常に小さ
くなる。
料を適宜選択することにより、第1の樹脂と第2の樹脂
のカバー部分の肉厚とその他の部分の肉厚を同じにして
も、両者の界面の強度をエアバッグ作動可能な強度まで
小さくすることができる。その結果、内装パネル表面又
は裏面に凹凸を形成する必要がなくなり、内装パネルに
静的な荷重が加えられた場合であっても、内装パネルが
カバー部分の輪郭に沿って破断する可能性は非常に小さ
くなる。
【0035】また、特に内装パネルの表面に凹凸を形成
しなくても良いので、第1の樹脂と第2の樹脂をほぼ同
じ色に着色することにより、内装パネルが車室前面に設
けられるインスツルメントパネルである場合であって
も、インスツルメントパネル表面に見切り線は現れず、
また見切り線がフロントガラスに反射することもない。
あるいは、内装パネルの表面にポリ塩化ビニル等の表皮
材を積層した場合も同様である。
しなくても良いので、第1の樹脂と第2の樹脂をほぼ同
じ色に着色することにより、内装パネルが車室前面に設
けられるインスツルメントパネルである場合であって
も、インスツルメントパネル表面に見切り線は現れず、
また見切り線がフロントガラスに反射することもない。
あるいは、内装パネルの表面にポリ塩化ビニル等の表皮
材を積層した場合も同様である。
【0036】また、第1の樹脂と第2の樹脂は同一種類
の樹脂であって、それぞれ分子量が異なることあるいは
一方を変成体とすることにより、カバー部分とその他の
部分の界面の強度を比較的容易に管理することができ
る。また、第1の樹脂と第2の樹脂の色調を整えること
も比較的容易である。
の樹脂であって、それぞれ分子量が異なることあるいは
一方を変成体とすることにより、カバー部分とその他の
部分の界面の強度を比較的容易に管理することができ
る。また、第1の樹脂と第2の樹脂の色調を整えること
も比較的容易である。
【0037】また、ポリプロピレン、フィラ添加ポリプ
ロピレン、ポリフェニレンエーテル等は、耐熱性及び衝
撃吸収性に優れるので、自動車用内装パネルの材料とし
て適する。
ロピレン、ポリフェニレンエーテル等は、耐熱性及び衝
撃吸収性に優れるので、自動車用内装パネルの材料とし
て適する。
【0038】また、本発明の別の自動車用内装パネル
は、エアバッグを内蔵する自動車用内装パネルであっ
て、単一の樹脂で一体成形されたパネルのうち、エアバ
ッグのカバーに相当する部分の輪郭に沿って放射線を照
射し、放射線を照射した部分の強度を低下させるので、
内装パネル成形後に、エアバッグのカバー部分を任意の
形状に描くことが可能となる。また、放射線の強度や照
射時間を適宜制御することにより、放射線が照射された
部分の機械的強度を目的に応じて最適なものとすること
ができる。
は、エアバッグを内蔵する自動車用内装パネルであっ
て、単一の樹脂で一体成形されたパネルのうち、エアバ
ッグのカバーに相当する部分の輪郭に沿って放射線を照
射し、放射線を照射した部分の強度を低下させるので、
内装パネル成形後に、エアバッグのカバー部分を任意の
形状に描くことが可能となる。また、放射線の強度や照
射時間を適宜制御することにより、放射線が照射された
部分の機械的強度を目的に応じて最適なものとすること
ができる。
【0039】また、放射線を照射した部分とそうでない
部分とは肉眼で識別不可能であるので、カバー部分の見
切り線を見えなくすることを目的としては、上記多材質
成形の場合のように樹脂の色調に配慮する必要はない。
また、表皮材を用いる必要もない。
部分とは肉眼で識別不可能であるので、カバー部分の見
切り線を見えなくすることを目的としては、上記多材質
成形の場合のように樹脂の色調に配慮する必要はない。
また、表皮材を用いる必要もない。
【図1】 本発明の自動車用内装パネルの第1の実施形
態であるインスツルメントパネルの構成を示す図であ
る。
態であるインスツルメントパネルの構成を示す図であ
る。
【図2】 第1の実施形態におけるエアバッグのカバー
部分とその他の部分の違いを示す断面図である。
部分とその他の部分の違いを示す断面図である。
【図3】 本発明の自動車用内装パネルの第2の実施形
態の構成及び製造方法を示す図である。
態の構成及び製造方法を示す図である。
10:インスツルメントパネル 20:エアバッグのカバー部分 21:カバー部分の輪郭 30:フロントガラス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 安世 愛知県名古屋市南区菊住1丁目7番10号 株式会社ハーネス総合技術研究所内 Fターム(参考) 3D044 BA00 BA01 BB01 BC02 3D054 AA03 AA06 AA14 AA17 BB09 BB10 BB17 BB23 BB30 EE20 FF17 FF20
Claims (10)
- 【請求項1】 エアバッグを内蔵する自動車用内装パネ
ルであって、エアバッグのカバー部分を第1の樹脂で、
また内装パネルのその他の部分を第2の樹脂で、一体成
形したことを特徴とする自動車用内装パネル。 - 【請求項2】 エアバッグのカバー部分の肉厚と内装パ
ネルのその他の部分の肉厚がほぼ等しいことを特徴とす
る請求項1記載の自動車用内装パネル。 - 【請求項3】 第1の樹脂と第2の樹脂は同一種類の樹
脂であって、それぞれ分子量が異なることを特徴とする
請求項1又は2記載の自動車用内装パネル。 - 【請求項4】 第1の樹脂と第2の樹脂は同一種類の樹
脂であって、一方が変成体であることを特徴とする請求
項1又は2記載の自動車用内装パネル。 - 【請求項5】 第1の樹脂及び第2の樹脂は、ポリプロ
ピレン、フィラ添加ポリプロピレン、ポリフェニレンエ
ーテルから選択されたいずれかであることを特徴とする
請求項3又は4記載の自動車用内装パネル。 - 【請求項6】 第1の樹脂及び第2の樹脂は、それぞれ
ほぼ同じ色に着色されていることを特徴とする請求項1
から5のいずれかに記載の自動車用内装パネル。 - 【請求項7】 表面に表皮材を積層したことを特徴とす
る請求項1から5のいずれかに記載の自動車用内装パネ
ル。 - 【請求項8】 エアバッグを内蔵する自動車用内装パネ
ルであって、単一の樹脂で一体成形されたパネルのう
ち、エアバッグのカバーに相当する部分の輪郭に沿って
放射線を照射し、放射線を照射した部分の強度を低下さ
せたことを特徴とする自動車用内装パネル。 - 【請求項9】 内装パネルの肉厚はほぼ均一であること
を特徴とする請求項8記載の自動車用内装パネル。 - 【請求項10】 単一樹脂はポリプロピレンであること
を特徴とする請求項8記載の自動車用内装パネル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10325493A JP2000142174A (ja) | 1998-11-16 | 1998-11-16 | 自動車用内装パネル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10325493A JP2000142174A (ja) | 1998-11-16 | 1998-11-16 | 自動車用内装パネル |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000142174A true JP2000142174A (ja) | 2000-05-23 |
Family
ID=18177499
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10325493A Withdrawn JP2000142174A (ja) | 1998-11-16 | 1998-11-16 | 自動車用内装パネル |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000142174A (ja) |
-
1998
- 1998-11-16 JP JP10325493A patent/JP2000142174A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060207 |