JP2000141680A - インク補給具 - Google Patents

インク補給具

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JP2000141680A JP31339698A JP31339698A JP2000141680A JP 2000141680 A JP2000141680 A JP 2000141680A JP 31339698 A JP31339698 A JP 31339698A JP 31339698 A JP31339698 A JP 31339698A JP 2000141680 A JP2000141680 A JP 2000141680A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 作業量を少なく、かつ作業を簡単にしてユー
ザーの負担を軽減することができ、しかもその保管、梱
包、輸送などの取り扱い時にインク漏れが発生するおそ
れがないため取り扱いが容易である上、従来に比べて小
型化が可能な、インクカートリッジのためのインク補給
具1を提供する。 【解決手段】 シリンダ2に抜き挿し自在とされたピス
トン3に、所定量のインクが充てんされた補給用カート
リッジ5を収容する収容部30を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえばインクジ
ェットプリンタ用のインクカートリッジにインクを補給
するためのインク補給具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェット方式のプリンタが
広く普及してきている。この種のインクジェットプリン
タは、インクを充てんした着脱自在のインクカートリッ
ジを装備し、このインクカートリッジから、インクを印
字ヘッドに供給している。
【0003】インクカートリッジは、充てんしたインク
を使い切った時点で基本的に使い捨てされるが、かなり
の高価格であり、それを頻繁に交換することはユーザー
にとっては経済的な負担が大きい。また近年の、省資源
や環境保護の動きに反する行為をすることになるため、
ユーザーに無用の罪悪感を抱かせることにもなりかねな
い。
【0004】とくにフルカラー用のインクカートリッジ
は、たとえばシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー
(Y)の3色の、あるいは最近ではそれ以上の多色のイ
ンクを、一つのインクカートリッジ内を区切って収容し
ているために1色ずつのインクの収容量が少ない上に、
各色の消費量にどうしてもばらつきを生じるため、消費
量の少ないインクがまだ残っているにもかかわらず交換
が必要となる場合もあり、より一層、上記の感が強い。
【0005】しかもインクカートリッジは、収容してい
たインクが単になくなっただけのものであって、それ自
体はまだまだ十分に使用可能な状態にある。そこで、使
い終わったインクカートリッジにインクを補給して再使
用することが考えられており、たとえば図5に示すイン
ク補給具9などが一部で市販されている。
【0006】かかるインク補給具9は、蛇腹状で伸縮自
在な合成樹脂製のインク容器91の下部に取り付けた注
射針状の注入部材92を、インクカートリッジ6の、製
造時にインクの充てんに使用した穴60(通常はフィル
ムなどを貼って閉じられている)に差し込んだ状態で、
図中白矢印で示すようにインク容器91を指で押圧し
て、インクカートリッジ6内にインクを注入するもので
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】印刷時における、イン
クカートリッジから印字ヘッドへのインクの供給量を調
整したり、あるいはインクカートリッジ内でのインクの
自由な移動(波うちなど)やインク漏れを抑制したりす
るために、図中二点鎖線で示すように、インクをしみこ
ませたフェルト7を内部に詰めたタイプのインクカート
リッジ6がある。
【0008】ところがこのようなタイプのインクカート
リッジ6に、前記図のインク補給具9を用いてインクを
補給しようとすると、とくにフェルト7が高圧縮されて
いる場合に、補給されたインクが、フェルト7内の空気
によって邪魔されて、当該フェルト7内に十分に浸透で
きずにその上にあふれてしまって、十分な量のインクを
補給できないおそれがある。
【0009】またフェルト7の下の方、つまりインクカ
ートリッジ6の、インクの出口61に近い方には空気が
残っているために、上記出口61からインクがすぐに出
ない状態になっており、そのようなインクカートリッジ
6をインクジェットプリンタに装着して使用を再開した
初期の時点で、インク切れの不良などが生じて正しい印
刷を行えないといった問題を生じるおそれもある。
【0010】インク切れの不良は、ヘッドのクリーニン
グを2〜3回程度、繰り返すことによって解消される
が、クリーニングは主として、多量のインクを吐出する
ことによって行われるため、クリーニングの回数が増え
るほどインクの消費量が多くなり、またヘッドの消耗が
激しくなってその寿命が通常よりも短くなるという問題
を生じる。
【0011】特開平10-119298号公報には、シ
リンダと、当該シリンダに抜き挿し自在とされたピスト
ンとを備えた注射器式のインク補給具に、所定量の補給
用のインクを充てんした状態で、まずシリンダをインク
カートリッジに接続してピストンを引き上げることによ
ってインクカートリッジ内を減圧状態とし、ついでピス
トンを、インクカートリッジ内外の圧力差によって自動
的に、あるいは手によって強制的に押し下げることによ
って、補給具内のインクをインクカートリッジに補給す
る補給方法が記載されている。
【0012】この補給方法を、前述した、高圧縮された
フェルトを詰めたタイプのインクカートリッジに応用す
れば、フェルト内の空気の影響を低減できるために、前
記のような種々の問題を解消できる可能性がある。しか
し、たとえば空のインク補給具を、別に用意したインク
容器に接続してピストンを引き上げることによって、所
定量の補給用のインクをインク容器から吸い上げて補給
具内に充てんし、ついでこの補給具をインクカートリッ
ジに接続したのち、上記のようにさらにピストンを引き
上げてインクカートリッジ内を減圧状態としつつ、補給
具内のインクをインクカートリッジに補給する作業には
ある程度の習熟と、そしてとくにインク容器からインク
を吸い上げる際やインクカートリッジ内を減圧する際に
はある程度の力とを要し、誰でも簡単にインク補給がで
きるというものではない。
【0013】とくに女性や高齢者などの、こういった器
具類の取り扱いに不慣れで、しかも力の弱いユーザーに
とってはインク補給は至難の技であり、インクがこぼれ
て手や衣服や机の上などを汚したり、あるいはインク容
器から1回の操作で所定量のインクを吸い上げることが
できずに、またはインクカートリッジ内を1回の操作で
十分に減圧することができずに、何回も同じ操作を繰り
返さなければならなかったりするといった問題を生じる
おそれがある。
【0014】そこで、少しでも作業量を少なくしてユー
ザーの負担を軽減すべく、あらかじめ所定量のインクを
インク補給具内に充てんした状態で市場に供することを
検討したが、その場合には、ピストンに少しでも力が加
わると簡単にインクが漏れてしまうおそれがあるため、
補給具の保管、梱包、輸送などの取り扱いが容易でなく
なるという新たな問題を生じることが判明した。
【0015】また、上記のように従来のインク補給具
は、ピストンを引き上げて所定量のインクを充てんした
状態から、インクカートリッジ内を減圧するためにさら
に一定量、ピストンを引き上げねばならないので、シリ
ンダの容積を大きめにとる必要があり、補給するインク
の量に比べて補給具が大きくなるという問題もある。本
発明の目的は、作業量を少なく、かつ作業を簡単にして
ユーザーの負担を軽減することができ、しかもその保
管、梱包、輸送などの取り扱い時にインク漏れが発生す
るおそれがないため取り扱いが容易である上、従来に比
べて小型化が可能な、新規なインク補給具を提供するこ
とにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の、本発明のインク補給具は、シリンダと、当該シリン
ダに抜き挿し自在とされたピストンとを備え、補給用の
インクを充てんした状態で、シリンダをインクカートリ
ッジに接続してピストンを引き上げることによって、上
記インクカートリッジ内を減圧状態としつつ、インクを
補給するためのものであって、上記ピストンに、補給用
のインクの所定量を充てんした補給用カートリッジを着
脱自在に収容する収容室を設けたことを特徴とする。
【0017】本発明のインク補給具によれば、上記のよ
うにインクは補給用カートリッジに充てんされており、
補給具自体にはあらかじめインクを充てんしておく必要
がないので、たとえば保管、梱包、輸送などの取り扱い
が容易である。また、上記の補給用カートリッジをピス
トンの収容室に収容するだけで、補給具へのインクの充
てんが完了するので、作業量を少なく、かつ作業を簡単
にしてユーザーの負担を軽減することができる。
【0018】しかも、上記のように補給用カートリッジ
は、ピストンに設けた収容室内に収容されるので、シリ
ンダは、少なくとも、インクカートリッジ内を減圧する
ためにピストンを引き上げる分の容積があればよく、し
たがって従来に比べて補給具の全体を小型化することも
できる。さらに補給用カートリッジは、1回分などの所
定量のインクを収容して保存する機能だけを有していれ
ばよく、インクカートリッジのように、たとえば多色の
インクを収容したり、あるいはインクジェットプリンタ
に供給するインクの量を制御したりするための複雑な機
構を必要としないために、その構造を著しく簡単に、ま
たその大きさを小さく、使用する合成樹脂などの材料の
量を少なくすることができる。
【0019】またインク補給具は、かかる補給用カート
リッジさえ交換すれば何度でも使用できる。よって本発
明のインク補給具は、ランニングコストが安価で、しか
もインクカートリッジそのものを交換する場合に比べて
省資源や環境保護などにも貢献しうるものとなる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に本発明を、その実施の形態
の一例を示す図面を参照しつつ説明する。図1および図
2にみるように、この例のインク補給具1は、シリンダ
2と、当該シリンダ2に抜き挿し自在とされたピストン
3と、上記シリンダ2の先端に接続される、インク注入
のための注入部材4とを備えた注射器状に形成されてい
る。
【0021】このうちシリンダ2は、その全体が合成樹
脂などで一体に形成されたものであって、一端がピスト
ン3の抜き挿しのための開口21aとされた円筒状の主
体部21と、この主体部21の他端を塞ぐ椀状の鏡板2
2と、この鏡板22の中心部から図では下方に突設され
た、注入部材4を着脱自在に接続するための、主体部2
1と同軸の小径円筒状の接続部23とを備えている。
【0022】なお接続部23は、注入部材4を接続した
際の抜け止めとすべく、図では判りにくいが、その外面
の途中に、後述するフランジ部41aの内周面と係合し
て注入部材4を抜け止めするための、僅かに径の大きな
係合部23aを備えている。また鏡板22の内側の面
(図では上面)には、後述する補給用カートリッジ5内
に充てんされた補給用のインクをシリンダ2内に供給す
べく、その開口52aを閉じているシールSfを破るた
めの刃状突起24が、上記通孔23bを囲むようにし
て、上方に向けて突設されている。
【0023】ピストン3は、やはりその全体が合成樹脂
などで一体に形成された、内部が補給用カートリッジ5
の収容室30とされた円筒状の主体部31と、当該主体
部31の一端(図では上端)の、補給用カートリッジ5
を出し入れするための開口31aを塞いで収容室30に
収容された補給用カートリッジ5を固定するための、こ
れもその全体が合成樹脂などで一体に形成された、上記
主体部31と同径の円柱状の蓋体32とを備えている。
【0024】両者は、主体部31の開口31aの内周面
に形成した雌ねじ部31bと、蓋体32の一端(図では
下端)に形成した雄ねじ部32aとの螺合によって互い
に着脱自在とされている。 上記のうち主体部31の、
開口31aが形成された側と反対側の一端(図では下
端)には、補給用カートリッジ5の、前記のようにシー
ルSfで閉じられた開口52aを外部に露出させるため
の、収容室30の内径よりも小径の開口31cが設けら
れているとともに、その外周には、2本の溝31d、3
1dが形成されており、この溝31d、31dにそれぞ
れ、シリンダ2とピストン3との間の気密を維持しつつ
両者を摺動させるための、ゴムや軟質樹脂などの柔軟な
材料にて形成された2本のシールリングSr、Srが嵌
合されている。
【0025】一方、蓋体32の、雄ねじ部32aが形成
された側と反対側の一端(図では上端)には、ピストン
3をシリンダ2に対して抜き挿し操作する際の把手とな
るフランジ部32bが、その径方向外方へ突設されてい
る。注入部材4は、合成樹脂などで形成された、シリン
ダ2の接続部23と接続される接続部41と、この接続
部41の先端に取り付けられた金属パイプ製の注入管4
2と、この注入管42の途中に設けられた、インクカー
トリッジ6の穴60に圧入されて(図2参照)減圧時に
気密を保つための、ゴムや軟質樹脂などの柔軟な材料に
て形成されたパッキン43とを備えている。
【0026】また上記接続部41の一端には、前述した
ようにシリンダ2の接続部23との接続時に、その内周
面が係合部23aと係合して抜け止めとして機能すると
ともに、上記の接続を解除する際に把手として機能する
フランジ部41aが設けられている。注入管42は、図
の例の場合、インクカートリッジ6内のフェルト7に差
し込まれて、インクカートリッジ6の底の近傍まで達す
る長さに形成されている。このように注入管42の長さ
を長くしておくと、補給用のインクIを、インクカート
リッジ6の底の方までさらに良好に補給することがで
き、前述したようにインクカートリッジ6の使用を再開
した初期の時点での、インク切れの不良などの発生をさ
らに確実に防止することができる。
【0027】ただし注入管42の長さは、インクカート
リッジ6の構造や、あるいはインク補給の方法などに応
じて適宜の長さに設定できる。補給用カートリッジ5
は、これもその全体が合成樹脂にて一体に形成されたも
ので、有底円筒状で、かつ前記ピストン3の収容室30
の内径と一致する外径を有するとともに、その閉じられ
ていない一端(図では下端)が先細りのテーパー状とさ
れた本体51と、この本体51のテーパーの先端からさ
らに下方に延設された、テーパーの先端部より小径で、
かつ前記ピストン3の開口31aの内径と一致する外径
を有する小径部52とを備えており、この小径部52
に、前記開口52aが形成されている。
【0028】そして、上記本体51の内部に、この例の
場合は1回分の補給用のインクを充てんした状態で、開
口52aが、軟質のプラスチックフィルムなどからなる
シールSfを熱溶着などすることによって閉じられてい
る。また補給用カートリッジ5は、その本体51の、閉
じられた一端(図では上端)側の端面51aから、前記
テーパーの先端の、小径部52との段差面51bまでの
長さが、図2にみるようにピストン3の主体部31と蓋
体32とを両ねじ部31b、32aの螺合によって組み
立てた際に、蓋体32の下端面32cから、主体部31
の、収容部30と開口31cとの段差面31eまでの長
さと一致するように設定されている。そしてこのように
設定することで、収容部30に収容された補給用カート
リッジ5が、ピストン3に対してその軸方向に固定され
る。
【0029】また、前記のように補給用カートリッジ5
の本体51の外径は、上記収容部30の内径と一致し、
小径部52の外径は、開口31cの内径と一致すること
から、収容部30に収容された補給用カートリッジ5
は、ピストン3に対して、その軸方向と直交する方向に
も固定される。なお、補給用カートリッジ5の本体51
の、小径部52が延設された側の先端が先細りのテーパ
ー状とされるのは、当該補給用カートリッジ5を、開口
31aを通して収容部30に収容するのを容易にするた
めである。
【0030】上記の各部を備えたこの例のインク補給具
1を用いて、たとえば図2にみるように高圧縮のフェル
ト7が詰められたインクカートリッジ6にインクを補給
するには、まずインクの出口61をシールなどで塞ぐと
ともに、前記のようにインクカートリッジ6の上面に設
けられている、製造時のインク充てん用の穴60を、当
該穴を塞ぐために貼りつけられた、図示しないフィルム
に穴を開けるか、あるいはフィルムを、上記穴60の部
分のみ剥がすことによって露出させる。
【0031】またインクカートリッジ6の本体は通常、
上下別体に作製したものを、その内部にフェルト7を詰
めた後、溶着などして形成されるが、溶着が不完全であ
る場合は、その界面62から空気が侵入してカートリッ
ジ6内を十分に減圧できないおそれがある。そこで、た
とえばインク補給具1を用いて少し吸引してみるなどし
て、界面62から空気が侵入するようであれば、当該界
面62をシールテープなどで塞いでやればよい。
【0032】つぎに、この例のインク補給具1のうちシ
リンダ2を、前記のごとくパッキン43の穴60への圧
入によって、減圧時の気密を維持しうるように、インク
カートリッジ6に接続する。また、図1にみるようにピ
ストン3の両ねじ部31b、32aの螺合を解除し、主
体部31から蓋体32を取り外して、内部に1回分の補
給用のインクが充てんされた新しい補給用カートリッジ
5を、主体部31の開口31aから収容室30内に収容
したのち、図2にみるように両ねじ部31b、32aを
再び螺合してピストン3を組み立ることで、前記のよう
に補給用カートリッジ5を、ピストン3に対して固定す
る。
【0033】つぎにこのピストン3を、図中一点鎖線の
矢印で示すようにインクカートリッジ6に接続したシリ
ンダ2に挿入し、ついでシリンダ2をほぼ垂直に立てた
状態で、図3(a)に黒矢印で示すように停止するまで下
方へ押し下げると、図3(b)にみるように補給用カート
リッジ5の開口52aを閉じていたシールSfが、シリ
ンダ2の刃状突起24によって破られて、インクIがシ
リンダ2内に供給される。
【0034】つぎに、図4(a)に白矢印で示すようにピ
ストン3をシリンダ2から上方へ引き出す。そうすると
インクカートリッジ6内の空気が吸引されて、注入部材
4の注入管42を通り、ついでインクI内を気泡Bとな
って上昇して、補給用カートリッジ5内の、インクIに
よってインクカートリッジ6内の空間と仕切られた、イ
ンクIの液面より上方の領域に収容される(図4
(b))。そしてそれによってインクカートリッジ6内が
減圧状態とされる。
【0035】なお、だれでもほぼ一定量の空気を吸引で
きるようにするためには、シリンダ2の外面に、空気吸
引の際にピストン3を引き上げる位置の目安となる標線
を設けておくのが好ましい。また空気の吸引には少し時
間がかかり、その間、ピストン3が大気圧によって下方
へ押し戻されるのを防止すべく、当該ピストン3を図4
(b)の状態で保持しつづけるのは、たとえば高齢者や女
性にとってあまり容易なことではない。このため、たと
えばシリンダ2とピストン3とに、ピストン3を図4
(b)の状態で保持するためのストッパを設けてもよい。
【0036】つぎに、この状態でピストン3から手を離
してやると、減圧状態となったインクカートリッジ6内
と外部の大気圧との圧力差によって、図4(b)に黒矢印
で示すようにピストン3が下方へ、最終的にはピストン
3が停止する初期の状態(図3(b)の状態)まで自動的
に押し込まれ、それにともなって補給用カートリッジ5
内に充てんされていた1回分の補給用のインクIの全量
が、当該インクIの液面より上方の領域に収容された空
気Aを介して押圧されて、注入管42を通してインクカ
ートリッジ6内に補給される。またこの際、ピストン3
を手で押し下げて、インクの補給を助けてやってもよ
い。
【0037】補給されたインクIは、インクカートリッ
ジ6内が減圧状態となっているために、たとえ高圧縮さ
れたフェルト7であっても空気に邪魔されることなく、
その内部のすみずみまで、とくにインクカートリッジ6
の、インクIの出口61付近まで速やかに浸透する。イ
ンクIの全量が補給されたあとは、インク補給具1をイ
ンクカートリッジ6から取り外し、別途、用意しておい
たシール(図示せず)を、穴60をふさぐように、イン
クカートリッジ6の上面に貼りつけてやればよい。
【0038】また補給具1は、空になった補給用カート
リッジ5をピストン3の収容部30から取り出したの
ち、水などで洗って、次の補給に備えればよい。なおピ
ストン3を大気圧差によって自動的に押し込むようにし
た場合には、前記の初期状態に戻る前に、ピストン3が
停止してしまう場合がある。この原因としては、最初の
減圧が不十分であった場合などが考えられ、その際には
インクIが補給具1内に残っているので、ピストン3
を、停止した位置から初期状態まで手で押し込んで、残
りのインクIをインクカートリッジ6内に注入してやる
のがよい。
【0039】以上のごとく、図の例のインク補給方法に
よれば、あらかじめ補給用カートリッジ5内に充てんさ
れた1回分のインクIを、インク補給具1のピストン3
を所定量、引き上げて離してやるだけで、あるいは引き
上げたのち、押し下げてやるだけで、インクカートリッ
ジ6内に良好に補給することができる。よって、インク
Iが補給されたインクカートリッジ6を用いることによ
って、その使用を再開した初期の段階からインク切れの
不良などを生じることなく、良好な印刷を行うことが可
能となる。
【0040】なお本発明のインク補給具の構成は、以上
で説明した図の例のものには限定されない。たとえば補
給用カートリッジ5は、2回分以上の複数回の補給用の
インクを充てんしうる容積に形成されていてもよい。そ
の場合には、ピストン3が停止位置までシリンダ2に押
し込まれた初期の状態に戻った時点で、2回目以降の補
給用のインクIが残っているため、注入管42の先端に
栓をするか、あるいは注入部材4をはずしてシリンダ2
の接続部23に直接に栓をして、次回のインク補給まで
保存してやればよい。
【0041】図の例では、シリンダ2の内部に、補給用
カートリッジ5のシールSfを破る刃状突起24を設け
ていたが、かかる刃状突起は省略してもよい。その場合
には、たとえば注入管42の上端を注射針のように尖ら
せて、シリンダ2内に突出させておくことなどが考えら
れる。 また補給用カートリッジ5の開口52aを閉じ
る手段はシールSfには限られず、たとえば開口52a
に金属製の微小球を圧嵌して閉じておき、それを注入管
42の上端などで補給用カートリッジ5内に押し込んで
開口52aを開くようにしてもよい。
【0042】その他、本発明の要旨を変更しない範囲
で、種々の設計変更を施すことができる。
【0043】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明によれば、
作業量を少なく、かつ作業を簡単にしてユーザーの負担
を軽減することができ、しかもその保管、梱包、輸送な
どの取り扱い時にインク漏れが発生するおそれがないた
め取り扱いが容易である上、従来に比べて小型化が可能
な、新規なインク補給具を提供できるという特有の作用
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインク補給具の、実施の形態の一例を
示す部分切り欠き正面図である。
【図2】上記例のインク補給具を、インクカートリッジ
に接続した状態を示す部分切り欠き正面図である。
【図3】同図(a)(b)はそれぞれ、上記インク補給具を用
いて、インクカートリッジにインクを補給する工程の一
例を示す部分切り欠き正面図である。
【図4】同図(a)(b)はそれぞれ、インクカートリッジに
インクを補給する工程の続きを示す部分切り欠き正面図
である。
【図5】従来のインク補給具の一例を示す正面図であ
る。
【符号の説明】
1 インク補給具 2 シリンダ 3 ピストン 30 収容室 5 補給用カートリッジ I インク

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリンダと、当該シリンダに抜き挿し自在
    とされたピストンとを備え、補給用のインクを充てんし
    た状態で、シリンダをインクカートリッジに接続してピ
    ストンを引き上げることによって、上記インクカートリ
    ッジ内を減圧状態としつつ、インクを補給するためのイ
    ンク補給具であって、上記ピストンに、補給用のインク
    の所定量を充てんした補給用カートリッジを着脱自在に
    収容する収容室を設けたことを特徴とするインク補給
    具。
  2. 【請求項2】収容室に収容される補給用カートリッジ
    が、1回分の補給用のインクを充てんしたものである請
    求項1記載のインク補給具。
JP31339698A 1998-01-27 1998-11-04 インク補給具 Expired - Fee Related JP4394187B2 (ja)

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