JP2000140117A - 音楽による更年期女性心理負荷軽減方法及び音楽による更年期女性心理負荷軽減装置 - Google Patents

音楽による更年期女性心理負荷軽減方法及び音楽による更年期女性心理負荷軽減装置

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JP2000140117A
JP2000140117A JP10325630A JP32563098A JP2000140117A JP 2000140117 A JP2000140117 A JP 2000140117A JP 10325630 A JP10325630 A JP 10325630A JP 32563098 A JP32563098 A JP 32563098A JP 2000140117 A JP2000140117 A JP 2000140117A
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menopausal
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Naoyasu Hirao
直靖 平尾
Jirota Yamazaki
次郎太 山崎
Yoshie Ishikawa
好江 石川
Taeko Hiromeshi
妙子 広飯
Yumi Yamada
由美 山田
Yoshiko Yamazaki
由子 山崎
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Shiseido Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は更年期状態の女性に対し音楽を聴かせ
ることにより心理負荷を軽減させる方法及び装置に関
し、更年期の女性の心理的負荷を音楽を聴取させること
により有効に軽減させることを課題とする。 【解決手段】更年期状態の女性を聴取者とし、該聴取者
に対し音楽を聴かせることにより心理負荷を軽減させる
音楽による更年期女性心理負荷軽減方法であって、先ず
聴取者に現在の心の状態と調和した音楽を聴取させ、次
に包み込む安らぎを与える音楽を聴取させ、次に心理状
態がリフレッシュする音楽を聴取させることにより、更
年期の女性の心理的負荷を音楽を聴取させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、更年期状態の女性
に対し音楽を聴かせることにより心理負荷を軽減させる
方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】女性の更年期は、45歳前後までの性成
熟期と55歳前後からの老年期の間の約10年間を言
い、閉経期を中心とする閉経前期と閉経後期からなる。
更年期を迎えた女性は、肉体的に大きな変化があり、そ
の変化が心理面にも少なからざる影響を与え、イライラ
感,抑鬱感等の心理的負担が生じる。よって、心身的及
び精神的に健康な状態を保つためには、この更年期女性
特有の心理負荷を軽減させることが重要となる。
【0003】ところで、一般的に心理負荷を軽減させる
方法として、心理的負荷を有している人に音楽を聴取さ
せることが知られている。また、聴取している人にα波
という3〜13Hz 程度の生理的なリラックス状態を示
すと一般に知られる脳波の出現を促すとされる効果を持
つとされる音楽や、聴取しているものの気持ちを落ちつ
かせる等の効果を持つとされる音楽は、既に数多く提供
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、更年期の女
性に特有の心理負荷に着目し、その負荷を軽減させるこ
とを目的として開発された音楽については知られていな
い。また、既に提供されるいる音楽においても、どの種
類の音楽が更年期女性の心理負荷を軽減するのに効果を
有するのかについての研究は、従来行なわれていなかっ
た。
【0005】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、更年期の女性の心理的負荷を音楽を聴取させるこ
とにより有効に軽減させることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴と
するものである。請求項1記載の発明では、更年期状態
の女性を聴取者とし、該聴取者に対し音楽を聴かせるこ
とにより心理負荷を軽減させる音楽による更年期女性心
理負荷軽減方法であって、先ず、前記聴取者に聴かせる
音源として、現在の心の状態と調和した音楽を出し、次
に、前記聴取者に聴かせる音源として、包み込む安らぎ
を与える音楽を出し、次に、前記聴取者に聴かせる音源
として、心理状態がリフレッシュする音楽を出すことを
特徴とするものである。
【0007】また、請求項2記載の発明では、更年期状
態の女性を聴取者とし、エステティックを受けている該
聴取者に対し音楽を聴かせることにより心理負荷を軽減
させる音楽による更年期女性心理負荷軽減方法であっ
て、先ず、前記聴取者に聴かせる音源として、現在の心
の状態と調和した音楽を出し、次に、前記聴取者に聴か
せる音源として、包み込む安らぎを与える音楽を出し、
次に、前記聴取者に聴かせる音源として、心理状態がリ
フレッシュする音楽を出すことを特徴とするものであ
る。
【0008】また、請求項3記載の発明では、請求項1
または2記載の音楽による更年期女性心理負荷軽減方法
において、前記現在の心の状態と調和した音楽として、
1分間あたりのテンポが80〜90拍であるものを用
い、前記包み込む安らぎを与える音楽として、1分間あ
たりのテンポが50〜60拍であるものを用い、前記心
理状態がリフレッシュする音楽として、1分間あたりの
テンポが70〜90拍であるものを用いたことを特徴と
するものである。
【0009】また、請求項4記載の発明では、更年期状
態の女性を聴取者とし、該聴取者に対し音楽を聴かせる
ことにより心理負荷を軽減させる音楽による更年期女性
心理負荷軽減装置であって、前記聴取者の現在の心の状
態と調和した音楽を出す第1の音源と、前記聴取者に包
み込む安らぎを与える音楽を出す第2の音源と、前記聴
取者の心理状態がリフレッシュする音楽を出す第3の音
源と、前記第1の音源,前記第2の音源,前記第3の音
源の順番で前記各音源から音楽を出す制御手段とを具備
することを特徴とするものである。
【0010】また、請求項5記載の発明では、請求項4
記載の音楽による更年期女性心理負荷軽減装置におい
て、前記現在の心の状態と調和した音楽として、1分間
あたりのテンポが80〜90拍であるものを用い、前記
包み込む安らぎを与える音楽として、1分間あたりのテ
ンポが50〜60拍であるものを用い、前記心理状態が
リフレッシュする音楽として、1分間あたりのテンポが
70〜90拍であるものを用いたことを特徴とするもの
である。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面と共に説明する。前記したように、更年期を迎え
た女性は、肉体的に大きな変化があり、その変化が心理
面にも少なからざる影響を与え、イライラ感,抑鬱感等
の心理的負担が生じる。よって、心身的及び精神的に健
康な状態を保つためには、この更年期女性特有の心理負
荷を軽減させることが重要となる。
【0012】そこで、本発明者は、更年期女性特有の心
理負荷(以下、この心理負荷を更年期性心理負荷とい
う)を軽減させる手段として、音楽を用いることに注目
した。このように、更年期性心理負荷を形成する手段と
して音楽に注目したのは、次の理由による。即ち、従来
より音楽は様々な感情に作用することが知られており、
具体的には音楽には気分転換,感情の誘発,慰め,発
散,鎮静,励まし,高揚,浄化等の心理的効果がある。
また、精神医学においては、このように感情に作用する
音楽を用いた音楽療法が提案されており、実際に精神病
や神経症の治療として応用され、一定の効果を得てい
る。更に、本発明で問題とする更年期性心理負荷は、人
間の感情形態の一態様として位置付けすることができ
る。
【0013】よって、以上の事項に基づき本発明者は、
更年期性心理負荷を軽減する手段として音楽に注目する
に至った。しかるに、前記したように更年期の女性に特
有の心理負荷を軽減するのに効果を有する音楽に対する
研究は従来において全く行なわれていないため、本発明
者は次の仮定に基づき更年期性心理負荷を軽減する音楽
を選定した。
【0014】即ち、従来から心理負荷を軽減する手段と
してエステティックが知られている。このエステティッ
クは、痩身や脱毛など美容を目的とした行為であると同
時に、スキンケアやマッサージを通じて心理負荷の軽減
する効果も持つ。このエステティックにおいては、
「し」の字型のリラクセーションカーブが生じるようエ
ステティックを実施した場合、良好な心理負荷の軽減が
図れることが知られている(参考文献:creabeaux No.1
/1995 Vol.1,No1:フレグランスジャーナル社:6頁〜1
1) ここで、リラクセーションカーブとはエステティックの
実施時における心拍数の変動をいい、特に「し」の字型
のリラクセーションカーブとは、横軸に時間を取り縦軸
に心拍数を取った場合、エステティックの実施時におけ
る心拍数変化が平仮名の「し」と似た形状を呈すること
をいう。図1は、エステティックにおける「し」の字型
のリラクセーションカーブを示している。
【0015】このような「し」の字型のリラクセーショ
ンカーブは、エステティック開始から所定時間は次第に
リラックス状態に導き、終盤遅角ではリフレッシュに導
くことにより形成される。このように、リラクセーショ
ンカーブが「し」の字型となるようエステティックを実
施した場合、前記のように良好な心理負荷の軽減を図る
ことができる。
【0016】そこで本発明者は、更年期を迎えた女性
(以下、更年期女性という)に音楽を聴取させることに
より、その心拍数変化が「し」の字型にすることができ
れば、更年期性心理負荷も軽減できると考えた。また、
「し」の字型のリラクセーションカーブは大略すると開
始部,中間部,終盤部に分けられ、開始部から中間部に
おいて心拍数は漸次低減し、その後終盤部において再び
心拍数が増大する特性を有する(図1参照)。そこで、
選曲を「イントロ」,「中間」,「エンディング」に分
け、「イントロ」から「中間」において心拍数が漸次低
減するよう選曲を行い、その後「エンディング」におい
て再び心拍数が増大する選曲を行なうことにより更年期
性心理負荷も軽減できると考えた。
【0017】ここで、「イントロ」,「中間」,「エン
ディング」の選曲方法について説明する。「イントロ」
の選曲に際しては、聴取を行なわせようとする更年期女
性の現在の心の状態と調和した音楽を選定することとし
た。これは、音楽療法では、一般に、憂鬱な気持ちの人
には、直ちに明るい曲を聴かせるよりも、最初は(気持
ちと同質)の沈んだ局を聴かせ、徐々に明るい曲に変え
たほうが、より心理状態を安定化できるという音楽療法
の一般的な論理に基づいている。具体的には、「イント
ロ」の曲として、1分間あたりのテンポが80〜90拍
である曲を選定した。
【0018】また、「中間」の選曲に際しては、包み込
む安らぎを与える音楽を選定した。このように包み込む
安らぎを有する音楽は、心理状態を安定化できるためで
ある。具体的には、「中間」の曲として、1分間あたり
のテンポが50〜60拍である曲を選定した。更に、
「エンディング」の選曲に際しては、心理状態がリフレ
ッシュする音楽、換言すれば明日に向かって希望を持て
るような曲を選曲した。具体的には、「エンディング」
の曲として、1分間あたりのテンポが70〜90拍であ
る曲を選定した。
【0019】実際の選曲例を図2及び図3に示す。尚、
実際の選曲に際しては、心の状態が重度(不安定)な人
と、心の状態が軽度(安定)な人とに分け、選曲に際し
ても上記した選曲条件に加え、心の状態を考慮して選曲
を行なった。選曲における心の状態による考慮項目は下
記の通りである。 1.心の状態が重度(不安定)な人 「イントロ」テンポはやや遅い。鎮静的。優しさ、温も
りが感じられるメロディー。 「中間」テンポは非常にゆっくり。心地よく、非常に鎮
静的。反復するメロディー。メロディーとしては、認識
されないものも含む。 「エンディング」急にテンポを速くすると中間とのキャ
ップがきついので、少々ゆったり気味で、安定してメリ
ハリのあるテンポ。気分が高揚する覚醒するメロディ
ー。
【0020】2.心の状態が軽度(安定)な人 「イントロ」明るいメロディー。気分が開かれること
で、体のリラックスを助けるような曲。ある程度のテン
ポだが速すぎない。 「中間」テンポは非常にゆっくり。心地よく、反復する
メロディー。メロディーとしては、認識されないものも
含む。 「エンディング」急にテンポを速くすると中間とのキャ
ップがきついので、少々ゆったり気味で、安定してメリ
ハリのあるテンポ。気分が高揚する覚醒するメロディ
ー。
【0021】続いて、上記のように選曲された音楽(本
明細書において、音楽とは、「水のせせらぎ」等の厳密
には音楽とはいえない自然音等も音楽であると定義す
る)を更年期女性に聴取させた実験結果について、以下
説明する。実験方法は、次の通りである。まず、45歳
から55歳までの更年期女性で、自然閉経後1年以上、
5年以下の女性20名を対象にスクリーニング調査を行
なった。調査内容は、生活習慣,家族関係,罹患歴,う
つ傾向,心身美ペンタチャート,音楽の嗜好,ストレス
等である。そして、この調査内容に基づき、以下述べる
〜の選考基準に適合した更年期の女性4人を選定し
た。 更年期症状(特に心の症状)が重すぎる人、軽すぎ
る人は避ける うつ病傾向のある人は避ける 音楽の嗜好に配慮 化粧品アレルギーの経験者は避ける 実験中、すぐに眠ってしまう可能性の高い人は避け
る 図4は、本発明者が行なった実験手続きを示している。
実験では二つの実験を実施した。一つはエステティック
と共に上記選曲された音楽を聴取させる(選定された音
楽をバックグラウンドとしてエステティックを行なう)
実験であり、もう一つは上記選曲された音楽のみを聴取
させ、エステティックは行なわない実験である。
【0022】いずれの場合にも、実験の手順としては、
先ず心の状態に関する所定の質問事項が記載された質問
用紙に記載させ、続いて血圧測定,座った状態で目を閉
じて安静を図り(5分間)、その上でエステティックと
共に音楽を聴取させるか、或いは音楽のみを聴取させる
(何れも74分間)。その後、エステティックと共に音
楽を聴取させた場合には、仰向けに寝た状態で5分間ま
た座った状態で5分間安静を保ち、また音楽のみを聴取
させた場合には10分間座った状態で安静を保つ。
【0023】そして、その後に血圧を測定し、再び音楽
聴取後における心の状態に関する質問事項に対し回答を
させる。この際、心拍数の記録は音楽聴取前の安静状態
から音楽聴取後の安静状態まで行なった。尚、上記の実
験は、各被検者に対しエステティックと共に音楽を聴取
させる実験、及び音楽のみを聴取させるを夫々行い、ま
た各実験は同じ被検者に対し日を違えて2回行い正確を
期すこととした。また、音楽としては、更年期症状の重
い人用の曲(図2に示す選曲)のみを用いた。
【0024】図5は、上記した実験の実験結果を示して
おり、各被検者の心拍数の変動の平均値を示す図であ
る。同図より、エステティックと共に音楽を聴取させた
場合、及び音楽のみを聴取させた場合のいずれにおいて
も、心拍数の変動は「し」の字型のカーブとなっている
ことが判る。また、音楽のみを聴取させた場合に比べ、
エステティックと共に音楽を聴取させた場合の方が、よ
り明確に「し」の字型のカーブが現れている。具体的に
は、音楽のみを聴取させた場合では「イントロ」から
「中間」において心拍数の減少率が6.3%であったの
に対し、エステティックと共に音楽を聴取させた場合で
は心拍数の減少率が13.3%となっている。よって、
エステティックと共に音楽を聴取させた場合の方がリラ
クゼーション効果が大きいことが判る。
【0025】また、「エンディング」における心拍数の
変化に注目すると、音楽のみを聴取させた場合では心拍
数の減少率が3.6%上昇しているのに対し、エステテ
ィックと共に音楽を聴取させた場合では心拍数が4.0
%上昇している。よって、エステティックと共に音楽を
聴取させた場合の方がリフレッシュ効果が大きいことが
判る。
【0026】また、図6及び図7は、前記した音楽聴取
前における質問用紙への回答と、音楽聴取後の質問用紙
への回答をまとめたものである。また、質問内容として
は、下記の各項目を挙げ、「全く感じない」から「非常
に感じる」までを0〜3段階に分けて回答させる方法を
用いた。また、図6及び図7において、実験開始前の回
答を白抜きの棒グラフで示し、実験終了後の回答を梨地
の棒グラフで示した。更に、各図に(A)で示すのは音
楽のみを聴取させた実験結果をしめしており、(B)て
示すのはエステティックと共に音楽を聴取させた実験結
果を示している。 〔質問内容〕 1.情動評価に関する質問 プラスの情動に関する質問 ゆったりした気持ちになれるか、くつろぎを感じるか、
落ちつけるか、等。 マイナスの情動に関する質問 落ち着かないか、緊張しているか、気が休まらないか、
等。 2.更年期女性に特徴的な心及び身体の変動に関する質
問 プラスの心変動に関する質問(図では、「心+」と
示す) 明るい気持ちか、楽しいか、いきいきしているか、爽や
かか、等。 マイナスの心変動に関する質問(図では、「心−」
と示す) いらいらするか、憂鬱か、無気力か、悲しいか、等。 プラスの身体の変動に関する質問(図では、「身体
+」と示す) 体がすっきりしているか、体が軽いか、丈夫か、等。
【0027】ここで、図6の実験結果に注目すると、音
楽のみを聴取した場合及びエステティックと共に音楽を
聴取させた場合の双方において、プラスの情動は音楽の
聴取前に比べて聴取後の方が増大しており、またマイナ
スの情動は減少している。よって、更年期女性に上記し
た選曲を行なった音楽を聴取させることにより、リラク
セーション効果が発生することが判る。また同図より、
このリラクセーション効果は、音楽のみを聴取した場合
に比べてエステティックと共に音楽を聴取させた場合の
方が若干大なる効果を有していることが判る。
【0028】一方、図7の実験結果に注目すると、音楽
のみを聴取した場合及びエステティックと共に音楽を聴
取させた場合の双方において、プラスの心変動及びプラ
スの身体の変動は音楽の聴取前に比べて聴取後の方が増
大しており、またマイナスの心変動は減少している。よ
って、更年期女性に上記した選曲を行なった音楽を聴取
させることにより、更年期の心の症状の改善効果が発生
することが判る。また同図より、この改善効果は、音楽
のみを聴取した場合に比べてエステティックと共に音楽
を聴取させた場合の方が若干大なる効果を有しているこ
とが判る(特に、プラスの身体の変動において顕著であ
る)。
【0029】以上の述べた実験結果より、更年期女性に
音楽を聴取させることによりリラックス及びリフレッシ
ュの効果を得ることができ、よって更年期女性の心理的
負荷を有効に軽減させることができることが実証され
た。ここで、上記の如く選曲された音楽が更年期症状の
緩和に作用するメカニズムについて推論する。
【0030】周知のように、安静時の心拍数や頭頂部か
ら計測されるα波の周波数がある程度一定であるよう
に、生体には生体リズムが存在する。このα波は安静時
においては10Hz前後であるが、緊張時には30〜5
0Hz前後のβ波に変化する減少が一般に認められる。
また、安静時の心拍数が毎分約70回前後であるのに対
し、緊張時にはそれより増大することも周知のことであ
る。
【0031】上記のように、生体リズムは「緊張状
態」,「リラックス状態」等の心理状態を反映するが、
音楽という固有のリズムを持つ刺激を聴覚より受けるこ
とにより、心理状態を「緊張状態」或いは「リラックス
状態」に導くことが可能である。人には強度のストレス
を感じていると胃潰瘍になることがあるし、また、強度
のストレスが生体の免疫機能の減退をもたらすなど、一
般に心理的な状態は身体の健康状態と深く関わってい
る。また、本発明が問題とする更年期女性の特有な症状
としては火照りや発汗等が見られるが、これらは女性ホ
ルモンの減少に伴う、自律神経失調に原因があるといわ
れている。
【0032】本発明によれば、更年期女性に「し」の字
状のリラクゼーションカーブを実現できる音楽を聴取さ
せることにより、音楽療法の基礎的な手法である同質性
の原理(即ち、イントロにおいて聴取者となる更年期女
性の現在の心の状態と調和した音楽を聴取させる)によ
り音楽と聴取者の心身リズムを同調させることができ、
その後に心理的なリラックス状態に導くことができる。
これにより、心身の関連から自律神経活動の状態に働き
かけ、イライラ感,抑鬱感等の心理的症状や火照り・発
汗等の生理的症状が緩和されるものと推定される。
【0033】一方、上記した更年期女性心理負荷軽減方
法を更年期女性心理負荷軽装置に具現化するには、聴取
者となる更年期女性の現在の心の状態と調和した音楽を
流す第1の音源と、聴取者に包み込む安らぎを与える音
楽を流す第2の音源と、聴取者の心理状態がリフレッシ
ュする音楽を流す第3の音源とを用意し、これを制御装
置により第1の音源,前記第2の音源,前記第3の音源
の順番で順次音楽を流すような構成とすればよい。
【0034】ここで、第1の音源には前記した「イント
ロ」に該当する曲(1分間あたりのテンポが80〜90
拍である曲)が予め収納されており、また第2の音源に
は前記した「中間」に該当する曲(1分間あたりのテン
ポが50〜60拍である曲)が予め収納されており、更
に第3の音源には前記した「エンディング」に該当する
曲(1分間あたりのテンポが70〜90拍である曲)が
予め収納されている。
【0035】よって、制御装置により第1の音源,前記
第2の音源,前記第3の音源の順番で順次音楽を流すこ
とにより、聴取者となる更年期女性に対し上記したリラ
ックス効果及びリフレッシュ効果を発生させることがで
き、よって更年期女性の心理的負荷を有効に軽減させる
ことができる。
【0036】
【発明の効果】上述の如く本発明によれば、更年期女性
に音楽を聴取させることによりリラックス及びリフレッ
シュの効果を得ることができ、よって更年期女性の心理
的負荷を有効に軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エステティックにおける「し」の字型のリラク
セーションカーブを示す図である。
【図2】選曲の一例を示す図である(心の状態が重度な
人用)。
【図3】選曲の一例を示す図である(心の状態が軽度な
人用)。
【図4】本発明者が実施した更年期女性に音楽を聴取さ
せる実験の実験手続きを示す図である。
【図5】更年期女性に音楽を聴取させる実験の実験結果
(心拍数の変動)を示す図である。
【図6】更年期女性に音楽を聴取させる実験の実験結果
(情動評価)を示す図である。
【図7】更年期女性に音楽を聴取させる実験の実験結果
(心及び身体の変動)を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 好江 東京都品川区西五反田3丁目9番1号 株 式会社資生堂ビューティーサイエンス研究 所内 (72)発明者 広飯 妙子 東京都品川区西五反田3丁目9番1号 株 式会社資生堂ビューティーサイエンス研究 所内 (72)発明者 山田 由美 東京都品川区西五反田3丁目9番1号 株 式会社資生堂ビューティーサイエンス研究 所内 (72)発明者 山崎 由子 東京都品川区西五反田3丁目9番1号 株 式会社資生堂ビューティーサイエンス研究 所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 更年期状態の女性を聴取者とし、該聴取
    者に対し音楽を聴かせることにより心理負荷を軽減させ
    る音楽による更年期女性心理負荷軽減方法であって、 先ず、前記聴取者に聴かせる音源として、現在の心の状
    態と調和した音楽を出し、 次に、前記聴取者に聴かせる音源として、包み込む安ら
    ぎを与える音楽を出し、 次に、前記聴取者に聴かせる音源として、心理状態がリ
    フレッシュする音楽を出すことを特徴とする音楽による
    更年期女性心理負荷軽減方法。
  2. 【請求項2】 更年期状態の女性を聴取者とし、エステ
    ティックを受けている該聴取者に対し音楽を聴かせるこ
    とにより心理負荷を軽減させる音楽による更年期女性心
    理負荷軽減方法であって、 先ず、前記聴取者に聴かせる音源として、現在の心の状
    態と調和した音楽を出し、 次に、前記聴取者に聴かせる音源として、包み込む安ら
    ぎを与える音楽を出し、 次に、前記聴取者に聴かせる音源として、心理状態がリ
    フレッシュする音楽を出すことを特徴とする音楽による
    更年期女性心理負荷軽減方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の音楽による更年
    期女性心理負荷軽減方法において、 前記現在の心の状態と調和した音楽として、1分間あた
    りのテンポが80〜90拍であるものを用い、 前記包み込む安らぎを与える音楽として、1分間あたり
    のテンポが50〜60拍であるものを用い、 前記心理状態がリフレッシュする音楽として、1分間あ
    たりのテンポが70〜90拍であるものを用いたことを
    特徴とする音楽による更年期女性心理負荷軽減方法。
  4. 【請求項4】 更年期状態の女性を聴取者とし、該聴取
    者に対し音楽を聴かせることにより心理負荷を軽減させ
    る音楽による更年期女性心理負荷軽減装置であって、 前記聴取者の現在の心の状態と調和した音楽を出す第1
    の音源と、 前記聴取者に包み込む安らぎを与える音楽を出す第2の
    音源と、 前記聴取者の心理状態がリフレッシュする音楽を出す第
    3の音源と、 前記第1の音源,前記第2の音源,前記第3の音源の順
    番で前記各音源から音楽を出す制御手段とを具備するこ
    とを特徴とする音楽による更年期女性心理負荷軽減装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の音楽による更年期女性心
    理負荷軽減装置において、 前記現在の心の状態と調和した音楽として、1分間あた
    りのテンポが80〜90拍であるものを用い、 前記包み込む安らぎを与える音楽として、1分間あたり
    のテンポが50〜60拍であるものを用い、 前記心理状態がリフレッシュする音楽として、1分間あ
    たりのテンポが70〜90拍であるものを用いたことを
    特徴とする音楽による更年期女性心理負荷軽減装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106510738A (zh) * 2016-12-09 2017-03-22 苏州奇展信息科技有限公司 一种促进心理健康的心理辅导室
EP3188182A1 (de) * 2015-12-30 2017-07-05 Josip Meixner Akustisches signal

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