JP2000139473A - ロタウイルス遺伝子を導入した遺伝子組換え植物、この遺伝子組換え植物に由来するロタウイルスのタンパク質及びこのロタウイルスのタンパク質に対する抗体 - Google Patents
ロタウイルス遺伝子を導入した遺伝子組換え植物、この遺伝子組換え植物に由来するロタウイルスのタンパク質及びこのロタウイルスのタンパク質に対する抗体Info
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Abstract
応用が容易な、コストパフォーマンスが極めて高いロタ
ウイルスワクチンの提供手段を見出すこと。 【解決手段】少なくともロタウイルスのVP6タンパ
ク質をコードする遺伝子が、自己の遺伝子中に組み込ま
れている植物体細胞、この植物体細胞における発現ベ
クター、さらには、前記の植物体細胞で、全部又は一
部が構成されている植物体、この植物体の増殖方法、
前記植物体又は植物体細胞から単離して得られるロタ
ウイルスのタンパク質、このタンパク質に対する抗
体、このタンパク質を動物に投与し、この動物に、前
記ウイルスに対する免疫を付与する方法を提供すること
により、上記の課題を解決し得ることを見出した。
Description
を導入した組換え植物に関する技術分野の発明であり、
より詳細には、ロタウイルスの特定のタンパク質をコー
ドする遺伝子を導入した組換え植物に関連する発明であ
る。
ウイルスが検出され、現在までにほとんどの哺乳類およ
び鳥類から検出されている〔virology,2nd ed .Rave
n Press ,NewYork ,1358-1404(1990) 〕。このロタウ
イルスは、乳幼児や若齢動物に下痢を惹き起こすという
病原性を有しており、開発途上国では、年間100万人
もの乳幼児がロタウイルス感染で死亡している。また、
ウシやブタにおいてもその被害は大きい。
感染で、ヒトにおいては便に触れた手、指を介して伝播
する。1〜10個の感染粒子の侵入で感染が成立するほ
ど感染力は強く、家畜においては畜舎内で急速に蔓延
し、ヒトでは院内感染や家族内感染が起きやすい。この
ロタウイルスは、ほとんどの哺乳類に感染し、産業上有
益な家畜に於いても感染、発病が認められ、しかも死に
至らせる場合が多く、その被害は計り知れない。このた
め、ロタウイルス感染防御のためのワクチン開発は急務
の課題となっている。
疫を効果的に誘導する目的で、ヒトロタウイルス反応性
中和抗原を共有する動物ロタウイルスを使用するジェン
ナー方式の弱毒生ワクチン(サル由来のMMU 18006 株,
ウシ由来のRIT 株あるいはWC3 株)、変法ジェンナー方
式の遺伝子組み換え体ワクチン(VP7 のみがヒト由来で
他の遺伝子がサルあるいはウシ由来)、無症候感染を起
こした新生児由来のヒトロタウイルス株(M37 株)、低
温順化株の投与試験が行われている〔Curr TopMicrobio
l Immunol 185,286-337(1994) 〕。
タウイルス病を確実に予防できるワクチンが提供される
には至っていない。また、今後、ロタウイルスについて
の有効なワクチンが開発されたとしても、従来型のワク
チンでは製造コストが高くなるため、経済上の理由か
ら、特に家畜に対して全頭接種をすることは困難なこと
か想定される。また、ワクチンの接種作業に必要とする
医師や獣医師等の人件費も莫大になることも想定され
る。また、注射によって、ヒトや家畜に与えるストレス
も多大であると考えられる。
また投与によるストレスを与えないロタウイルスワクチ
ンの早期の開発が必要とされている。
ルスを構成する特定のタンパク質をコードする遺伝子を
植物において発現させ、かかる遺伝子産物を基とした、
コストパフォーマンスに優れたロタウイルスのワクチン
を製造する手段を提供することが試みられている(WO
97/10347号公報参照のこと)。
ク質乃至VP7タンパク質をコードする遺伝子を組み込
んだ植物の提供を試みた技術である。
タンパク質も、ロタウイルス自体に対する抗原性を発揮
し得ると考えられるロタウイルスの外殻タンパク質であ
る(VP4タンパク質は、外殻タンパク質であり、中和
抗原であり、赤血球凝集素であり、病原性に直接的に関
わり、融合部位であり、細胞吸着に関わっていることが
知られている。また、VP7タンパク質は、外殻タンパ
ク質であり、中和抗原であり、細胞吸着に関わっている
ことが知られている)。よって、ワクチン化を考慮して
選択する際の選択としては、ある意味では妥当な選択で
あるとも考えられる。
タンパク質乃至VP7タンパク質に関わる技術には、以
下のような問題点から、未だ、理想とするようなロタウ
イルスに対するワクチンを提供する手段は確立されてい
ない。
いにより、A〜F群に分類されており、中和抗原(血清
型抗原)により、各々の群毎に、さらに細かく分類され
る。
質もVP7タンパク質も、中和抗原(血清型抗原)に対
応するため、これらの外殻タンパク質に対する抗体は、
同じ血清型のロタウイルスにのみにしか反応することが
できない。つまり、ロタウイルスのVP4タンパク質と
VP7タンパク質とを免疫抗原として、ワクチンを製造
しても、ごく一部のロタウイルスにしか効果を期待する
ことが困難であるという問題が認められる。また、これ
らの外殻タンパク質を免疫抗原として得た抗体を用いた
診断薬も、ごく一部のロタウイルス感染しか検出するこ
とが困難である。
ストパフォーマンスの高いワクチンの形態として期待さ
れている「経口ワクチン」のワクチン源として、ロタウ
イルスのタンパク質を用いるには、経口摂取しても作用
点である腸に到達する前に、胃等で消化吸収されないこ
とが必要である。そのためには、ワクチン源がウイルス
粒子の形態をとることが好ましい。
パク質とVP7タンパク質とを組み合わせても、ウイル
ス粒子は形成されない。
とVP7タンパク質のみの組み合わせでは、ロタウイル
ス感染症に対する経口ワクチン源としては不十分であ
る。
題は、これらの従来技術における問題点を克服した、使
用範囲が広く、かつ、経口ワクチンにおける応用が容易
な、コストパフォーマンスが極めて高いロタウイルスワ
クチンの提供手段を見出すことにある。
解決に向けて鋭意検討を重ねた。その結果、ロタウイル
スに対する免疫を動物において誘導するための免疫抗原
となり得るタンパク質として、少なくともVP6タンパ
ク質を選択して、このロタウイルスのVP6タンパク質
をコードする遺伝子を少なくとも組み込んだ遺伝子組換
え植物における遺伝子産物が、ロタウイルス感染症に対
する診断薬やワクチンのおいて非常に有効であることを
見出した。また、この遺伝子組換え植物自体が、ロタウ
イルス感染症に対する経口ワクチンとしても有用である
ことを見出した。
ードする遺伝子が、自己の遺伝子中に組み込まれている
植物体細胞、特に、このロタウイルスのVP6タンパク
質をコードする遺伝子が、配列番号1で表されるアミノ
酸配列の全部又は一部をコードする遺伝子(例えば、配
列番号2で表される塩基配列を含む遺伝子)である、前
記の植物体細胞を提供する。
コードする遺伝子を含む、前記(I)の植物体細胞にお
ける発現ベクターを提供する。
又は一部が構成されている植物体を提供する。
ることによりF1植物体を作出する、植物体の増殖方法
を提供する。
れている、ロタウイルスのVP6タンパク質をコードす
る遺伝子が自己の遺伝子の中に組み込まれている植物体
又は植物体細胞から単離して得られるロタウイルスのタ
ンパク質を提供する。
に対する抗体を提供する。
を、動物に投与し、この動物に、前記ウイルスに対する
免疫を付与する方法を提供する。
て説明する。
の遺伝子の供給源となる、ロタウイルスは、現在では、
血清学的にA群からF群まで分類されており、さらに各
血清群内においても、多くの血清型が存在する〔Virolo
gy,2nd ed.Raven Press ,New York,1353-1404(199
0) 〕が、本発明において用いられ得るロタウイルス
は、一つの血清群や血清型のロタウイルスに限定される
ものではない。
分節した二本鎖RNAからなるが、それらの分節遺伝子
のうち、少なくとも分節遺伝子の6番のRNAがコード
している「VP6タンパク質」をコードする遺伝子を、
植物に導入する遺伝子として選択することが好ましい。
下、特に断わらない限り、VP6タンパク質と記載す
る)は、内殻タンパク質を構成し、前述のロタウイルス
の群毎に分類される群抗原である。よって、ロタウイル
スのVP6タンパク質は、前述のロタウイルスのVP4
タンパク質やVP7タンパク質(以下、特に断わらない
限り、VP4タンパク質及びVP7タンパク質という)
のように、同群のロタウイルスであっても、その血清型
が異なるロタウイルスには対応しないということはな
く、これを免疫抗原とした抗体は、より多くのロタウイ
ルスを認識することが可能である。
うち、ロタウイルスの核粒子形成に関与している遺伝
子、例えば、分節遺伝子2番、4番、7番及び9番から
選ばれる1種又は2種以上から選ばれるロタウイルスの
粒子形成に関与している遺伝子を、植物に導入する遺伝
子として選択することが可能であり、さらにロタウイル
スの他の要素をコードする分節遺伝子を選択するのに比
べ、好ましい。
群に属するロタウイルスは、ロタウイルス全体の7割程
度を占めることが知られており、特に、このA群に属す
るロタウイルスを、少なくとも本発明における第1次的
な標的とすることにより、効率的にロタウイルス感染症
に対する、診断や予防を行うことが可能である。
通常公知の方法により行うことができる。例えば、ロタ
ウイルスの遺伝子RNAを分離し、この遺伝子RNAを
鋳型として逆転写酵素を用いてcDNAを合成し、この
cDNAを用いてロタウイルスの遺伝子をクローニング
することができる。
常公知の方法によって行うことができる。例えば、ロタ
ウイルスに感染している生物材料からロタウイルス粒子
を分離して、このウイルス粒子から遺伝子RNAを、フ
ェノール法、グアニジン・ホットフェノール法等の通常
公知のRNA抽出方法を用いて抽出することにより、ロ
タウイルスの遺伝子RNAを分離することができる。
合成も、通常公知の方法を用いて行うことができる。例
えば、逆転写酵素を用いて、得られたロタウイルスの遺
伝子RNAを鋳型とし、かつ、ランダムプライマー、又
はロタウイルスの遺伝子RNAに相補な配列に基づく合
成DNAをプライマーとしてcDNAを合成し、さらに
二本鎖化の過程を経て、所望するロタウイルスの遺伝子
RNAを鋳型とするcDNAを調製することができる。
ら、公知の方法により、cDNA断片群を調製して、こ
れを大腸菌を宿主とする増幅用のベクターに組み込み、
さらにこれを適切な宿主中で増幅させて大量にcDNA
を増幅させて、遺伝子ライブラリーを調製することがで
きる。ここで用いられ得る増幅用ベクターは特に限定さ
れず、例えば、pUC ベクターシリーズ、pGEMベクターシ
リーズ、pBR ベクター、PBluescript ベクター、λファ
ージベクター等の通常クローニングに用いられる増幅用
ベクターを用いることができる。
に組み込まれているDNA断片の塩基配列の確認は、例
えば、マキサム−ギルバート法(Maxam,A. and Gilber
t,W.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74,560(1977) 〕、ゲノミ
ッタシークエンス法〔Church. G.M. and Gilbert,W.:Ge
nomic sequencing.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA81,1991-19
95(1984)〕、マルチプレツクス法〔Church, G.M., Scie
nce 240,185-188(1988) 〕、サイクルシークエンス法
〔Nature 321,674(1988)〕、サンガ一法〔Sanger,F.,Ni
cklen,S. and Coulson,A.R.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA
74,5463(1977) 〕等の方法を用いて、確認することがで
きる。なお、これらの原理を応用した塩基配列自動解析
装置〔例えば、ABI PRISM 310 Genetic Analyzer,ABIM
odel373A (両者ともPERKIN ELMER社製)、ALF DN
A Sequencer II (Pharmacia 社製)等〕を用いて塩基
配列の確認を行うことも勿論可能である。
て、目的とする特定領域(少なくともVP6タンパク質
のコード領域)のcDNAを特異的に増幅させて、目的
とする領域のロタウイルスの遺伝子を、直接的に、か
つ、効率良く相当量得ることも可能である。
部又は全部の塩基配列をもとに、いわゆる部位特異的変
異法等の通常公知の遺伝子の塩基配列の変更手段を駆使
ずることで、前記の工程により調整したロタウイルス遺
伝子の塩基配列の一部を改変して、その遺伝子を基に産
生され得るタンパク質のアミノ酸配列を変更することも
可能である。このようなロタウイルス遺伝子の一部を人
為的に変更した遺伝子を、後述する植物への導入遺伝子
として用いることは、本発明の技術的範囲に含まれるこ
とを本発明者は認識する。
イルスの遺伝子のうち、少なくともVP6遺伝子を植物
に導入する前提として、このVP6遺伝子等を植物に導
入して、かつ、発現させることが可能な発現ベクター
(本発明発現ベクター)を作出することが必要である。
ロタウイルスのVP6タンパク質をコードする遺伝子を
含む、このウイルス遺伝子の植物における発現ベクター
であり、必須の要素として、ロタウイルスのVP6タン
パク質をコードする遺伝子(以下、特に断わらない限
り、VP6遺伝子という)を含む遺伝子発現ベクターで
ある。そして、このロタウイルスのVP6遺伝子の他
に、必要に応じて、例えば、カリフラワーモザイクウイ
ルスの35S プロモーター、イネアクチンプロモータ
ー、イネワキシープロモーター等の植物で機能するプロ
モーター配列;何えば、トウモロコシのAc/Dsトランス
ポゾン、ヒマカタラーゼのイントロン配列等の植物体内
での遺伝子発現調節に関与する配列;例えば、ノパリン
ターミネーター、35S ターミネーター等のターミネー
ター配列;大腸菌やアグロバタテリウム菌体内での自己
複製に必要な複製起源配列等を含みうるものである。ま
た、必要に応じて、VP6遺伝子以外のロタウイルスを
構成するタンパク質をコードする遺伝子を含み得る。
発明遺伝子発現ベクターと、VP6遺伝子以外の、核粒
子等のロタウイルスを構成するタンパク質をコードする
遺伝子を組み込んだ遺伝子発現ベクターを組み合わせて
用いて、植物細胞にVP6遺伝子と他のロタウイルスを
構成するタンパク質をコードする遺伝子を導入すること
も可能である。
述する実施例において記載する。
ロタウイルス遺伝子を植物に導入し、この植物を形質転
換することにより、この植物細胞ないし植物体内で、組
み込んだウイルス遺伝子産物を発現させることが、本発
明の主要な目的の一つである。
る対象となる植物は特に限定されず、例えば、イネ科植
物では、イネ(水稲、陸稲)、イタリアンライグラス、
ソルガム等を;マメ科植物では、アカクローバー、シロ
クローパー、アズキ、ダイズ、アルファルファ等を;ナ
ス科植物では、ジャガイモ、タバコ、トマト等を広く例
示することができる。なお、上述のロタウイルス遺伝子
を導入して発現させる植物が、家畜やヒトにおいて、実
生、塊茎、葉等が食用可能な、経口摂取され得る植物で
あることが、経口摂取により、技術的にも経済的にも容
易に免疫誘導するという目的に最も適合し、かつ、好ま
しい。
は、通常公知の方法を用いて行うことができる。例え
ば、アグロバクテリウムによる導入方法〔Horsch R.B.e
t al.,Science 227,1229-1231(1985) 、Hiei,Y.et al.,
Plant J. 6. 271-282(1994)〕、日的の植物体から通常
公知の方法を用いてプロトプラストを調整し、このプロ
トプラストにエレクトロポレーション法(Fromm,M.et a
l.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82,5824-5828)、ポリエチ
レングリコール法(Zhang,W.and Wu,R. Theor.Appl.Ge
net 76,835-840(1988)〕等を用いる方法、例えば、パー
ティクルガン法〔Gordon−kamm,WJ.et al.,Plant Cell
2,603(1990) 〕、組織または胚を本発明発現ベクターの
溶液に浸す方法〔Topfer.R.et al., Plant Cell 1, 133
(1989)〕等を挙げることができる。
物細胞群において、ロタウイルス遺伝子が組み込まれた
植物細胞の選抜は、適切なマーカー遺伝子、又はこれを
含んだベクターを同時に植物への導入し、このマーカー
遺伝子等が導入された植物細胞群をまず選抜して、ロタ
ウイルス遺伝子が導入された植物細胞の存在確率を高め
る等の補助的な手段を講ずることが好ましい。このよう
なマーカー遺伝子としては、カナマイシン耐性遺伝子、
ハイグロマイシン耐性遺伝子、除草剤パスタ耐性遺伝子
(bar 遺伝子)等を挙げることができる。
子が組み込まれた、本発明植物体細胞を製造することが
できる。
分化方法および増殖方法について説明する。
遺伝子を導入した本発明植物体細胞(群)からの植物体
の再分化は、常法を用いて行うことができる。
細胞からプロトプラストを分離し、培養する方法〔Yama
da,Y.et al.,Rice genetics newsletter 2,94(1985)
〕、アガロースビーズ法とナース培養法〔Kyozuka, J.
et al.,Mol.Gen Genet,206,408(1987)〕、リーフディス
ク法〔De Block,M.et al.,Thero.appl.Genet.76,767-77
4(1988) 〕、チューバーディスク法〔Sheerman,S.et a
l.,Plant Cell Reports 7,13-16(1988)〕等の方法を利
用することができるが、これらに限定されるものではな
い。
られた時点で、この幼植物体を馴化用培土等に鉢上げし
て馴化する等により、所望する植物体(本発明植物体)
を得ることができる。
の根、茎、葉、花、実(種籾)、塊茎を総称するもので
ある。従って本発明植物体の技術的範囲は、ロタウイル
ス遺伝子を導入して作出した種苗のみならず、その収穫
物にも及ぶものである。
プロトプラスト及びカルスの両者を含むものである。従
って、本発明植物体細胞の技術的範囲には、その植物の
プロトプラストおよびカルスの両者を含むものである。
いし本発明植物体の作出工程等の具体的な態様について
は、後述する実施例において具体的に説明する。
が、自殖、他殖が可能な場合、通常公知の交配手法を用
いてF1植物体を作出することが可能であり、本発明植
物体の特徴は、安定して後代に遺伝する。
植物体ないし同植物体細胞からの、本発明ウイルスのタ
ンパク質の製造方法について説明する。
体細胞を含む)では、その植物体内で、遺伝子として組
み込んだロタウイルスのタンパク質が発現される。
物体(本発明植物体細胞を含む)において、組み込んだ
上述のロタウイルス遺伝子が発現している部位であれ
ば、根、茎、葉、花、実(種籾)、塊茎、カルス等、ど
この部分であっても、どの分化段階であっても、その原
材料として用いることができる。なお、カルスは、通年
タンク内で培養できることから、本発明ウイルスのタン
パク質の抽出材料としては好ましい素材である。
ンパク質は、常法により抽出することができる。例え
ば、これらの原材料を適当な緩衝液とともに磨砕するこ
とにより、本発明ウイルスのタンパク質の粗抽出液を得
ることができる。例えば、これらの原材料を磨砕し、こ
の磨砕液に速心分離を施し、遠心上清液を得て粗抽出液
とすることができる。次いで、この粗抽出液に硫酸アン
モニウム等のタンパク質沈殿剤を加え、目的とする本発
明ウイルスのタンパク質を沈殿物として得ることができ
る。
ては、この粗抽出の段階でも目的を達成することができ
るが、更に高い純度を所望する場合は、透析、限外濾
過、分子篩クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグ
ラフイー、アフイニティークロマトグラフィー、電気泳
動又はこれらの方法を組み合わせて精製をすることがで
きる。
ルスベクターで昆虫細胞内で発現させたVP6タンパク
質を抽出する公知の方法〔Tosser,G.et al.,Virology 6
6,5825-5831(1992) 〕に準じて行うことができる。すな
わち、得られた本発明ウイルスのタンパク質の沈殿物
を、特定の酸性緩衝液に溶解し、同じ緩衝液に対して透
析を行い、透析後の試料に対して超遠心分離を行い、そ
の上清を陰イオンカラムクロマトグラフィーで分画する
ことが可能である。
質として、VP6タンパク質を選択し、免疫抗原とする
ことにより、効率的に動物(ヒトを含む)に免疫誘導を
行うことができる。
物体細胞を含む)では、ロタウイルスが本来動物を宿主
とするウイルスで、動物細胞内で複製、増殖するウイル
スであるにもかかわらず、自然界ではあり得ない非宿主
である植物体内でその遺伝子産物を発現させることがで
きるのである。
常公知の方法で免疫動物に接種することにより、この免
疫動物から、本発明ウイルスのタンパク質を保有するロ
タウイルスに対する抗体(ポリクローナル抗体又はモノ
クローナル抗体:本発明抗ウイルス抗体)を得ることが
できる。
のタンパク質を免疫抗原として、通常公知の方法で製造
することができる。
ウイルスのタンパク質は、特に限定されるものではな
く、上記のごとく調製される本発明ウイルスのタンパク
質を用い得ることは勿論のこと、本発明ウイルスのタン
パク質の部分ペプチドをも本発明抗ウイルス抗体を製造
する上での免疫抗原とすることができる。
なく、マウス,ラット等を広く用いることができるが、
本発明抗ウイルス抗体がモノクローナル抗体である場合
には、モノクローナル抗体を製造する場合には、細胞融
合に用いる骨髄腫細胞との適合性を考慮して選択するこ
とが望ましい。
抗原を免疫の対象とする動物に静脈内,皮内,皮下,腹
腔内注射等で投与することにより行うことができる。
り通常のアジュバントと併用して、免疫の対象とする動
物に2〜14日毎に上記手段により数回投与し、ポリク
ローナル抗体製造のための免疫血清又はモノクローナル
抗体製造のための免疫細胞、例えば免疫後の脾臓細胞を
得ることができる。
体である場合には、上記のように免疫した動物の免疫細
胞と動物の骨髄腫細胞とのハイブリドーマを作出し、こ
れにより本発明ウイルスのタンパク質を認識する抗体を
産生するクローンを選択し、このクローンを培養するこ
とにより製造することができる。
免疫細胞と細胞融合する他方の親細胞としての骨髄腫細
胞としては、既に公知のもの、例えばSP2/0−Ag
14,P3−NS1−1−Ag4−1,MPC11−4
5,6.TG1.7(以上、マウス由来);210.R
CY.Ag1.2.3(ラット由来);SKO−00
7,GM15006TG−A12(以上、ヒト由来)等
を用いることができる。
合は、通常公知の方法、例えばケーラーとミルシュタイ
ンの方法(Kohler,G. and Milstein,C.,Nature,256,495
(1975))等に準じて行うことができる。
知の融合促進剤、例えばポリエチレングリコール(PE
G),センダイウイルス(HVJ)等の存在下におい
て、融合効率を向上させるためにジメチルスルホキシド
等の補助剤を必要に応じて添加した通常の培養培地中で
行い、ハイブリドーマを調製する。
別用培地、例えばHAT(ヒポキサンチン,アミノプテ
リン及びチミジン)培地で培養することにより行うこと
ができる。すなわち、この選別用培地において目的とす
るハイブリドーマ以外の細胞が死滅するのに十分な時間
をかけて培養することによりハイブリドーマの分離を行
うことができる。このようにして得られるハイブリドー
マは、通常の限界希釈法により目的とするモノクローナ
ル抗体の検索及び単一クローン化に供することができ
る。
索は、例えばELISA法,プラーク法,スポット法,
凝集反応法,オクタロニー法,RIA法等の一般的な検
索法に従い行うことができる。
タンパク質を認識する所望のモノクローナル抗体を産生
するハイブリドーマは、通常の培地で継代培養すること
が可能であり、さらに液体窒素中で長時間保存すること
もできる。
ーナル抗体の採取は、このハイブリドーマを常法に従っ
て培養して、その培養上清として得る方法や、ハイブリ
ドーマをこのハイブリドーマに適合性が認められる動物
に投与して増殖させ、その腹水として得る方法等を用い
ることができる。
抗体(ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体共)
は、更に塩析,ゲル濾過法,アフィニティクロマトグラ
フィー等の通常の手段により精製することができる。
抗体は、本発明ウイルスのタンパク質に特異反応性を有
する抗体である。
トを含む)のロタウイルス病診断薬を常法を用いて製造
することができる。
対して、本発明ウイルスのタンパク質を免疫抗原とする
ことにより、その動物に免疫誘導をかけることも可能
(上記の免疫誘導方法が、本発明免疫方法である)であ
り、この現象を、ロタウイルスに対するワクチンの構成
原料として本発明ウイルスのタンパク質を用いることが
可能である。
する本発明植物体を、免疫誘導対象に、直接経口接種さ
せることにより、容易に免疫誘導を図ることが可能であ
る。
接、経口ワクチンとして用いる途を与える発明である。
鋭明するが、本発明の技術的範囲がこれらの実施例によ
り限定されるべきものではない。 A.ロタウイルス22R株の遺伝子の取得 1 .ウイルス粒子の精製 1986年に北海道立新得畜産試験場で飼養されていたヘレ
フオード雄子牛から採取した下痢便に、10%(w /v )
になるようにイーグル培地(GIBCOBL 社製)を加えて攪
拌し、3000回転で10分間の遠心分離(KUBOTA KS-5000)
を行い、乳剤上清を得た。この上清に、10μg /mLにな
るようにトリプシン(シグマ社製)を加え、37℃で30分
間感作させた。これを、サル腎臓由来株化細胞(MA1
04)に接種して、37℃で1 時間吸着させた後、1 μg
/mLのトリプシンを含むイーグル培地を添加して3〜4
日間回転培養した。同様の方法で3代継代培養し、細胞
変性効果を示すロタウイルスを分離した。分離ウイルス
をプラーク純化法により純化し、ウシロタウイルス22
R株と命名した。
000gで20分間の遠心分離(KUBOTATA‐6rotorを用いた)
を行い、得られた上清を25000rpmで2時間の超遠心分離
(日立RT‐50T2を用いた)し、これにより得られた沈殿
を、トリス緩衝液(0.05M トリス、0.1M塩化ナトリウ
ム、1mM 塩化カルシウム,pH7.5 )に懸濁後、30%蔗糖
溶液に重層し、250OOrpmで2時間の超遠心分離(日立SR
P40rotorを用いた)を行った。得られた沈澱を、少量の
トリス緩衝液に懸濁し、部分純化ウイルスとした。
2R株がA群である証明は、22R株が市販の抗A群ロ
タウイルス血清(DACO JAPAN社製等)と反応
することから、群特異抗原(群特異エピトープ)で、A
群に分類されるべきロタウイルスであることが明らかに
なった。
緩衝液(10mMトリスpH8.0 、1mM EDTA)飽和フェノール
溶液を等量加えて激しく攪拌した。これを14000rpmで5
分間の遠心分離(Kubota KM ‐15200 を用いた)し、水
相を分取した。
ロロホルムを加え、攪拌後、再び上記の遠心分離操作を
行い、水相を新たなチューブに移した。これに、1/1
0量の3M酢酸ナトリウム溶液と、2.5倍量のエタノ
ールを加え、−20℃に静置した。14000rpmで5分間の
遠心分離で沈殿を回収後、風乾し、少量のRNase フリー
の滅菌蒸留水に溶解して、ロタウイルス遺伝子RNA溶
液とした。
クローニング 上記の操作により得られたロタウイルス全遺伝子RNA
を鋳型として、既に報告されているロタウイルス分節遺
伝子の末端保存配列〔Estes M.K. and Cohen J.1989 Mi
crobiol Rev 53:410-449:配列番号1(アミノ酸配
列),配列番号2(塩基配列)〕をもとに作製したプラ
イマー(配列番号3:primer UK VP6U :5’‐TCTCCC
GGGCTTTTAAACGAAGTCTTC ‐3’、配列番号4:primer U
K VP6D :5’‐TAGAGCTCGGTCACATCCTCTCACTACG‐
3’)を用いて、RT−PCR法によって、ロタウイル
スVP6タンバク質をコードしている分節遺伝子のcDN
A断片を増幅した。
に、終濃度10%になるようにDMSOを加え、66
℃、5分間の熱処理を行った。これを、室温で空冷後、
逆転写反応緩衝液(50mMトリス‐塩酸pH8.3 、40mM
塩化カリウム、6mM塩化マグネシウム、1mMヂチオスレ
イトール、0.5mM dNTPs、100pmol UK VP6U prim
erとUKVP6D primer、SuperScriptTM II RNase H‐Reve
rse Transcriptase 200U を加え、37℃で60分間
反応させた。この反応産物の一部をPCR反応において
用いた。PCR反応には、耐熱性DNAポリメラーゼ T
aqGold(パーキンエルマー社製)を用い、これに添付の
緩衝液および反応試薬を用いて、添付の解説書に記載さ
れた方法に従って行った。熱反応は、94℃で9分間、
加熱した後、94℃1分間、60℃1分間及び72℃2
分間の熱サイクル反応を、30サイクル行った。最後に
72℃で7分間伸長反応を行い、PCR反応を終了し
た。
断片は、pGEM−T vector system(Promega 社)を
用い、その方法に従ってサブクローニングを行い、得ら
れたクローンの内、任意に一つのクローンを選択し(pG
EMVP6)、cDNAの塩基配列の解析に用いた。
ラスミドDNAのcDNA断片部分の塩基配列をサイク
ルシークエンス法〔Nature321,674(1986) 〕により決定
し、既報のロタウイルスVP6塩基配列との高い相同性か
ら、挿入されているcDNA断片がウシロタウイルス2
2R 株のVP6遺伝子であることを確認した。
I 及びSacI を用いて切断し、得られたウシロタウイル
ス22R株のVP6遺伝子cDNA断片を、カリフラワー
モザイクウイルス35S プロモーター、β−グルクロニ
ダーゼ遺伝子、ノパリンシンターゼターミネーターをも
つプラスミドpBI121(Clontech社製)を制限酵素SmaI及
びSacIを用いて切断した、前記の部位にクローニングし
て、本発明発現ベクターであるプラスミドpBIVP 6を得
た(第1図の本プラスミドの構築図を参照のこと)。
は、大腸菌(Escherichia coli HB 101 )に組み込ま
れ、「Escherincia coli HB101/pBIVP 6」として、工
業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている(受
託番号:FERM−17007)。
のジャガイモヘの導入と発現 1.アグロバクテリウムヘのウシロタウイルス22R 株
VP6遺伝子の導入 上記のようにして得られた、ウシロタウイルス22R株
VP6遺伝子発現プラスミドpBIVP 6を凍結溶解による直
接導入法によって、Agrobacterium tumefaciens LBA 4
404(Clontech社製)に導入した。
A 4404を、50mLのLB液体培地中(1% Bacto t
orypton ,0.5% Yeast extracts ,1%塩化ナトリ
ウム)で、A600の吸光値が、約1.0になるまで2
8℃で振盪培養した。氷上で冷却後、4℃で3000g の遠
心分離(Kubota RA ‐6を用いた)を行い、集菌後、1
mLの氷冷した20mM塩化カルシウム溶液に浮遊させた。
これを、0.1mL毎にエッベンドルフチューブに分注し
た。
g を加え、液体窒素中で急速に凍結した。次に、得られ
た凍結細胞を、37℃で溶解した後、5分間静置した。
これに、1mLのLB培地を加え、28℃で2〜4時間振
盪培養した。約10000gで1分間遠心分離(Kubota KM-15
200 を用いた)して集菌し、0.1mLのLB培地に浮遊
させた後、リファンピシン(100μg /mL)、カナマ
イシン(25μg /mL)及びストレプトマイシン(30
0μg /mL)を含むLB固形培地に広げた後、2〜3日
間、28℃で培養して、pBIVP 6が組み込まれた形質転
換菌を得た。
ium tumefaciens LBA 4404は、LB液体培地で28℃
下で振盪培養後、4℃で3000g の遠心分離(Kubota RA
‐6を用いた)を行い、集菌し、MS液体培地〔Physio
l,Plant.15:473(1962)〕中に浮遊させ、これを植物の形
質転換操作に用いた。
モヘの導入 ジャガイモヘのウシロタウイルス22R株VP6遺伝子の
導入は、上記において作出したアグロバクテリウムとチ
ユーパーティスク法により行った。
%次亜塩素酸ナトリウム溶液で15分間殺菌し、滅菌蒸
留水で6回洗浄した。この塊茎から、殺菌したコルクボ
ーラーで直径約1cmの円柱状にくり抜き、さらに2〜3
mm厚の平板状にスライスした。このディスクを、上記
1.で作出したpBIVP 6を保有するAgrobacterium tume
faciens LBA 4404のMS液体培地懸濁液に15分間浸
した。この後、MS培地〔3%蔗糖、0.1μg /mLイン
ドール酢酸、0.1μg /mLジベレリン、0.1μg /
mLアブシジン酸、2μg /mLゼアチンリボシドを含む
(pH5.9)〕上で、28℃で3日間培養後、抗生物質
カナマイシン100μg /mL及びカーベニシリン500
μg /mL(いずれもシグマ社製)を含むMS液体培地で
ディスクを洗浄した。
MS固形培地(3% 蔗糖を含む)上、25℃で2週間
毎に継代培養した(16時間照明、8時間暗期)。培養
4〜8週間目にディスク表面上にカルスが形成され、さ
らに継代培養することによりシュートが誘導された。
ンを含まないMS固形培地〔3%蔗糖、カナマイシン1
00μg /mL、カーベニシリン500μg /mLを含む
(PH5.9〕上に移植し、培養した。2〜4週間後に発
根してきた植物体は、培養土をいれたポット(径10c
m)に移植し、人工気象器の中で栽培した。
伝子の導入確認および遺伝子の発現確認 (1)ELISAによるロタウイルス遺伝子発現の確認 再分化したジャガイモの葉を、生重の3倍量のPBS−
T緩衝液(135mM塩化ナトリウム、1.5mMリン酸二
水素カリウム、2.7mM塩化ナトリウム、0.5%(v
/v )Tween20 ,pH 7.2)で磨砕後、3000g で15分
間の遠心分離(Kubota KS-5000を用いた)により得られ
た上清を粗汁液とした。
ットル中、炭酸二ナトリウム1.59g 、炭酸水素ナト
リウム2.93g 、アジ化ナトリウム0.2g 、 pH
9.6)で、5μg /mL濃度に希釈した抗ロタウイルス
ポリクローナル抗体(Virostat社製:NCDV由来)を、イ
ムノプレート(Nunc社製、Maxisope)に分注し、室温で
数時間静置してコーティングした。
衝液で3回洗浄後、葉の粗汁液をプレートに分注し、6
℃で一晩静置して抗体と反応させた。このプレートをP
BS−T緩衝液で洗浄後、PBS−T緩衝液で400倍
希釈したHRPO標識抗ロタウイルス抗体(Virostat社
製又はDAKO社製)をプレートに分注し、37℃で3
時間反応させた。このプレートをPBS−T緩衝液で3
回洗浄後、基質溶液(1リットル中、クエン酸一水和物
7g 、リン酸一水素ニナトリウム12水 23.9g 、
O−フェニレンジアミン0.5g 、過酸化水素水1mLを
含む)をプレートに添加して室温で反応させた。反応
は、停止液(5%硫酸水溶液)で停止後、A493の吸
光値をマイクロプレートリーダー(Bio ‐Rad model 2
550 EIAreader )で測定した。その結果、いくつか
の再分化ジャガイモ個体でロタウイルスのタンパク質が
発現していることが明らかになった(第2図参照のこ
と)。
ジャガイモ体内での転写の確認 ELISAで反応の認められた、いくつかの個体の葉
を、液体窒素存在下で乳鉢を用いてパウダー状に磨砕し
た。これに試薬ISOPLANT(ニッポンジーン社製)を、そ
の説明書の記載に従って用い、前記のジャガイモの葉の
全RNAの抽出を行った。抽出したRNA 4μg を鋳
型にプライマーVP6+303(5’‐ACGTATGTATGGATGA
GATGG ‐3’:配列番号5)とプライマーVP6‐925
(5’‐GTCATATTTGGTGGTCTCATC ‐3’:配列番号6)
を用いてRT−PCRを行った。このRT−PCRに
は、One-stepRT−PCR kit(TAKARA社製)を用い、
94℃30秒、55℃30秒及び72℃1分間の熱サイ
クル反応を35サイクル行った。この熱サイクル反応に
は、サーマルサイクラー(TAKARA MP −30)を使用し
た。反応後の試料の一部を、2%アガロースゲル電気泳
動した結果、ロタウイルス転写産物から増幅されてくる
位置にバンドが確認され、これらのジャガイモ体内でロ
タウイルス遺伝子が転写されていることが確認された
(第3図の電気泳動図参照のこと:図中、矢印は、VP6
転写産物由来のバンドの位置を示す)。
の抗原性の確認 ロタウイルス遺伝子が発現しているジャガイモの葉にP
BS−T緩衝液を加えて乳鉢で磨砕した。この磨砕液
を、10000gで20分間の遠心分離後(Kubota RA‐6rot
or を用いた)、得られた上清を更に、100000g で5.
5時間の超遠心分離(Beckman Ti‐60rotor を用い
た)した。この超遠心分離により得られた上清を、限外
濾過膜(amicon YM-30)を用いて1/100量まで濃
縮し、マウスの腹腔内注射に用いた。
5mLに、等量のフロインドの完全アジュバント(シグマ
社製)を混和し、BALB/cマウス雄2匹の腹腔内に0.
5mLずつ接種した。次いで2週後に、本材料0.5mLを
等量のフロインドの不完全アジュバント(シグマ社製)
に混和後、その0.5mLを同マウスの腹腔内に再度接種
した。各接種時ならぴに2回目接種2週後に血液を尾動
脈から採取し、遠心分離により血清を得た。血清を56
℃に30分間静置し非動化した後、抗体検査に用いた。
製)で培養したMA104細胞に、ロタウイルス22R
株を接種して、37℃で20時間培養後、アセトン固定
を行い、ウイルス感染細胞を得た。この感染細胞に、上
記の血清をPBS緩衝液で、10倍希釈したものから、
順次2倍階段希釈したものを、各ウエル当たり0.05
mL添加した。これを37℃で30分間反応後、PBS緩
衝液で2回洗浄した。
純薬社製)を、各ウエル当たり0.05mL添加し、37
℃で30分間反応させた。
微鏡(オリンパス社製)で観察し、感染細胞が特異蛍光
を呈する最高血清希釈数の逆数をロタウイルス抗体価と
した。
10未満であったが、第2回接種2週後には、抗体価が
320−1280を示し、ロタウイルスのVP6タンパ
ク質をコードする遺伝子を導入したジャガイモの免疫原
性が確認された。
P6タンパク質をコードする遺伝子を含む植物細胞、
(II)この植物細胞に、ロタウイルスのVP6タンパク
質をコードする遺伝子を発現させ得る発現ベクター、
(III)上記の植物体で構成される植物体、(IV)この
植物体を交配することによりF1植物体を作出する、植
物体の増殖方法、(V) この植物体又は植物体細胞から単
離して得られるロタウイルスのVP6タンパク質、(VI)
このロタウイルスのVP6タンパク質に対する抗体及び
(VII) このロタウイルスのVP6タンパク質を、動物に
投与し、この動物に、このウイルスに対する免疫を付与
する方法が提供され、その結果、コストパフォーマンス
に優れたロタウイルスに対するワクチンを開発する途が
提供される。
組換えジャガイモにおけるELISAの結果を示す図面
である。
組換えジャガイモにおけるRT−PCRの結果を示す電
気泳動図である。
Claims (9)
- 【請求項1】少なくともロタウイルスのVP6タンパク
質をコードする遺伝子が、自己の遺伝子中に組み込まれ
ている植物体細胞。 - 【請求項2】ロタウイルスのVP6タンパク質をコード
する遺伝子が、配列番号1で表されるアミノ酸配列の全
部又は一部をコードする遺伝子である、請求項1記載の
植物体細胞。 - 【請求項3】ロタウイルスのVP6タンパク質をコード
する遺伝子が、配列番号2で表される塩基配列を含む遺
伝子である、請求項1記載の植物体細胞。 - 【請求項4】ロタウイルスのVP6タンパク質をコード
する遺伝子を含む、請求項1乃至3のいずれかの請求項
記載の植物体細胞における発現ベクター。 - 【請求項5】請求項1乃至3のいずれかの請求項記載の
植物体細胞で、全部又は一部が構成されている植物体。 - 【請求項6】請求項5記載の植物体を交配することによ
りF1植物体を作出する、植物体の増殖方法。 - 【請求項7】請求項4記載の発現ベクターに含まれてい
る、ロタウイルスのVP6タンパク質をコードする遺伝
子が自己の遺伝子の中に組み込まれている植物体又は植
物体細胞から単離して得られるロタウイルスのタンパク
質。 - 【請求項8】請求項7記載のロタウイルスのタンパク質
に対する抗体。 - 【請求項9】請求項7記載のロタウイルスのタンパク質
を、動物に投与し、この動物に、前記ロタウイルスに対
する免疫を付与する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10342345A JP2000139473A (ja) | 1998-11-16 | 1998-11-16 | ロタウイルス遺伝子を導入した遺伝子組換え植物、この遺伝子組換え植物に由来するロタウイルスのタンパク質及びこのロタウイルスのタンパク質に対する抗体 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP10342345A JP2000139473A (ja) | 1998-11-16 | 1998-11-16 | ロタウイルス遺伝子を導入した遺伝子組換え植物、この遺伝子組換え植物に由来するロタウイルスのタンパク質及びこのロタウイルスのタンパク質に対する抗体 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
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JP10342345A Pending JP2000139473A (ja) | 1998-11-16 | 1998-11-16 | ロタウイルス遺伝子を導入した遺伝子組換え植物、この遺伝子組換え植物に由来するロタウイルスのタンパク質及びこのロタウイルスのタンパク質に対する抗体 |
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JP (1) | JP2000139473A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013540773A (ja) * | 2010-10-14 | 2013-11-07 | ティモ ヴェシカリ | 混合ワクチンとして使用するためのノロウイルスカプシド及びロタウイルスvp6タンパク質 |
-
1998
- 1998-11-16 JP JP10342345A patent/JP2000139473A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013540773A (ja) * | 2010-10-14 | 2013-11-07 | ティモ ヴェシカリ | 混合ワクチンとして使用するためのノロウイルスカプシド及びロタウイルスvp6タンパク質 |
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