JP2000131179A - 導管漏洩位置検出方法およびその装置 - Google Patents

導管漏洩位置検出方法およびその装置

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JP2000131179A
JP2000131179A JP10300983A JP30098398A JP2000131179A JP 2000131179 A JP2000131179 A JP 2000131179A JP 10300983 A JP10300983 A JP 10300983A JP 30098398 A JP30098398 A JP 30098398A JP 2000131179 A JP2000131179 A JP 2000131179A
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pressure wave
conduit
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leak position
pressure
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Toyomi Sonoda
豊實 園田
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SONODA ENGINEERING KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧力波発生時における現地の圧力波伝播速度
を正確に測定し、これに基づき、液体の漏洩位置を迅
速、正確、かつ簡単に検出する導管漏洩位置検出方法お
よびその装置を提供する。 【解決手段】 水道管11の両端と中間の3箇所に測定
点A〜Cを設け、2つの導管部分のうち、破損箇所Eが
ない側の測定点C−B間で漏洩初期の圧力波を検出し、
測定点到達時間差を求める。次に該時間差と両測定点C
−B間の距離から、圧力波伝播速度を算出する。一方、
破損箇所E側の測定点A−C間で漏洩初期の圧力波を検
出し、測定点到達時間差を算出する。次いで該時間差
と、予め算出された圧力波伝播速度と、測定点A−C間
の距離から水道管11の漏洩位置を求める。結果、破損
箇所Eの位置算出の精度を高めることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は導管漏洩位置検出
方法およびその装置、詳しくは導管内を圧送される液体
の突発的な漏洩により生じた圧力波の正確な伝播速度を
検出し、これに基づいて、導管における液体の漏洩位置
を検出する導管漏洩位置検出方法およびその装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】例えば水道などのライフラインは、利用
者側に水などを常時供給する施設である。したがって、
この供給が遮断される事故が発生した場合、その担当部
局は、直ちに原因を究明、調査し、早急に対処する必要
がある。一般的に、水道の供給が突発的に遮断される原
因としては、停電によるポンプの停止、導管破損事故に
よる漏水、誤操作によるバルブ閉鎖などが挙げられる。
このうち、その復旧作業に手間がかかるのが漏水であ
る。漏水量が少ない場合には運転上ほとんど支障はな
い。しかしながら、水が多量に漏れる、例えば突発的な
水道管(導管)の破損事故などの際には、断水などによ
り給水に支障をきたし、二次災害の危険性もあることか
ら、破損位置を迅速かつ正確に検出し、事故発生から修
理を開始するまでの時間をできるだけ短くしなければな
らない。
【0003】ところが、水道管は路面下に埋められてい
る。したがって目視することができない。この結果、漏
水が発生した場合、路面に溢れてきた水を、一般市民ま
たは巡回中の作業員が視認することで漏水箇所の概略位
置を推定し、その後に、棒状音聴器、電子式漏水発見器
または相関式漏水探知器などを現場に運び込み、水漏れ
している一帯の道路上でこれらを移動させることによ
り、漏水の正確な位置を検出していた。このため、手間
と時間がかかっていた。なお、検出後は、その道路を掘
り起こし、水道管の破損部分の修理を行うものである。
【0004】さて、近年では、水道管を埋めた道路の交
通量の増加などにより、漏水探知の作業や、水道管の補
修工事も時間帯を選ばなければならなくなってきてい
る。そのため、工事完了までの所要時間は、ますます長
くなる傾向にある。そこで、この問題を解決する従来技
術として、例えば、送配水管などの導管網全域に存在す
る節点に圧力検知器を設置し、その測定値に基づいて、
漏水量、漏水箇所を算定する数理的管網モデル法が知ら
れている。この従来例では、あらかじめ予想される事故
区間を設定し、事故時の水運用方法や弁の操作手順を整
理してデータベース化し、実際の事故発生時に対策手順
にしたがった水理条件をシミュレーションすることによ
り、対応の素早さと作業の平準化とを実現させるもので
ある。この方法を採用すれば、管網を形成する多数の水
道管路線の中から、事故発生路線を、比較的簡単に発見
することができる。しかしながら、路線中の破損位置を
特定するのは困難であった。
【0005】これを踏まえて、従来、水道管などの単一
路線において、突発的な漏水により発生する圧力波(圧
力降下)が、この管中を伝播する現象を利用し、路線上
の2箇所に圧力検知器を設置し、両検出信号の到達時間
差などから水道管路の漏水位置などを検出する方法が検
討され、既設のポンプ圧送による送水管で、疑似漏水を
発生させて基礎実験した例がある(日本水道協会 第4
3回全国水道研究発表会講演集 P434、および、水
道管路技術センター報告書No.11 漏水探知器の開
発・改良調査 P11を参照)。ここで、図10の従来
手段に係る導管漏洩位置検出装置を水道管に適用した模
式図を参照して、この従来手段を説明する。図10にお
いて、100は従来の導管漏洩位置検出装置、101は
水道管、102は水道管101の上流に配置されたポン
プ所、103は水道管101の終点に配置された接合
井、A,Bは圧力測定の測定点、104は測定点Aに配
置された圧力検知器、105は測定点Bに配置された圧
力検知器、Dは水道管101の破損・漏水箇所としての
排泥弁による疑似漏水地点である。ここでは、排泥弁の
開動作による突発的な放水により、圧力波を発生させて
いる。
【0006】基礎実験に用いたこのような従来装置10
0を適用すれば、水道管101の管端で圧力波が反射す
る現象を利用して、測定点A,測定点Bで捕らえた圧力
波と管端からの反射波との到達時間差、および、各測定
点A,Bと管端の往復距離から、圧力波伝播速度の妥当
な値を求めることはできる。ところが、破損などによる
漏水位置については概略推定に留まる。その結果、水道
管101の漏洩位置を検出する装置としては不充分であ
った。
【0007】そこで、従来において、他のライフライン
での圧力を利用した漏洩位置検出技術の水道管への利用
可能性をも検討してみることにする。例えば、電力の送
電線などにおいては、パルス電圧反射時間から断線位置
を迅速に特定することができるパルスレーダ法などが知
られている。ところが、水道管のような地中に埋め込ま
れた導管は、管外面が多種多様な土砂と接しており、か
つ導管自体も多数の継手で絶縁されている。しかも、破
損箇所などから液体が漏れた後、管内に空気などが流れ
込むときは、圧送されている流体の連続性が断たれてし
まう。よって、この技術の応用により、水道管の破損位
置を特定することは、極めて困難である。
【0008】一方、ガス導管の漏洩に対しては、圧力検
知法などが知られている。ところが、液体に比べてガス
の圧縮性が大きいために、ガス漏れ点を検出する際、導
管路線の一点で漏洩が起きても、発生する圧力波は通常
小さい。しかも、ガスの場合は、導管の上下流側に伝播
するときの減衰率が大きい。その結果、圧力波を検知す
ることは困難となる。よって、音響検出法や気泡観察法
などに頼り、ガス漏れ点を特定することになってしま
う。そこで、最近では、圧力波に一次遅れを与え、単位
時間当たりの変動幅が一定範囲内に納まるように配慮し
た技術も開発されている。しかしながら、この技術で
は、水はガスと比べて圧縮性が小さく、ガスのように調
圧タンクに一時貯留して、圧力変動を小さくすることは
困難であるため、水道管などの液体を輸送する導管の破
損位置を特定することは難しい。
【0009】また、石油パイプラインの場合には、微小
な漏洩石油を誘導管に集めて検知する方法、および、ラ
インを適当な区間に区分隔離し、圧力変化により漏れの
有無を検知するラインパック方式などが知られている。
ここでの輸送対象物は、ガソリン,灯油,軽油などの引
火性危険物である。そのため、爆発および火災の原因と
なる漏洩、流出に備えて、万全の体制が整えられてい
る。しかしながら、水道管にこのような大がかりな設備
は過大投資となってしまう。よって、この技術の応用は
経済的に難しいと言える。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、圧力波の伝
播速度が正確にわかれば、導管路線両端の2箇所で圧力
波到達時刻を確認することにより、その距離と到達時間
差から、論理的に圧力波発生位置を計算し、特定するこ
とができる。しかし、圧力波の伝播速度を利用した従来
技術により誤差が生じる原因は、流体の温度,空気含有
率,導管の口径,管種,支持方法,圧力波の反射条件な
どによって種々に変化する。これにより、計算上の推定
した圧力波伝播速度と、実際の圧力波伝播速度とには、
かなりの差が生じる。すなわち、実際に水道管内を流れ
る水での圧力波伝播速度は、各現場の条件によって、お
おむね300〜1400m/secの範囲で変化する。
その結果、圧力波発生時の伝播速度を、現場で迅速に測
定することが、より正確に漏洩位置を検出するために、
必要不可欠な事項となる。
【0011】
【発明の目的】この発明は、圧力波発生時における現地
の圧力波伝播速度を正確に測定し、これに基づき、液体
の漏洩位置を迅速、正確、かつ簡単に検出することがで
きる導管漏洩位置検出方法およびその装置を提供するこ
とを、その目的としている。また、この発明は、通信伝
達系の不良により、一時、漏洩初期の圧力波を演算部へ
伝達できなくなっても、通信回復後、正確に圧力波伝播
速度を測定して、この漏洩位置を検出することができる
導管漏洩位置検出装置を提供することを、その目的とし
ている。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、液体を圧送する導管に、互いに管軸方向へ離隔した
3つ以上の測定点を設置し、この液体の突発的な漏洩時
に、上記導管内の液体に生じた漏洩初期の圧力波を各測
定点で検出し、該各測定点での検出信号に基づき、漏洩
位置から各測定点までの圧力波の到達時間差を求め、こ
れらの時間差と測定点間の距離とから圧力波伝播速度を
算出し、次いで該圧力波伝播速度、上記圧力波の到達時
間差および測定点間の距離に基づき、上記導管の漏洩位
置を求める導管漏洩位置検出方法である。
【0013】導管内を圧送される液体は限定されない。
例えば水,各種の溶液,各種の油,各種の液化ガスなど
が挙げられる。ただし、液全体が均一でかつ比較的流動
性の高いものが好ましく、例えば液体中に粉体,粒体,
塊が混入されていたり、ゾル状またはゲル状のものなど
は好ましくない。また、導管の種類も限定されない。例
えば水道管(工業用水道管を含む),下水圧送管,液化
ガス供給管などが挙げられる。さらに導管の口径、管厚
なども限定されない。ただし、これらの管条件は、剛性
が高い材料を使用している場合に適用される。さらに、
測定点の設置個数は3箇所以上であれば限定されない。
例えば、4箇所でも5箇所以上でもよい。測定点が3つ
の場合の好ましい測定位置は、導管の両端付近と、導管
の中間位置とである。これにより、導管全体が略2分割
され、漏洩位置を検出可能な範囲を最大限に確保するこ
とができる。なお、この両端付近の測定点は、導管の両
端から口径の30倍以上離隔しておいた方が好ましい。
これは、管端からの反射波の影響により、測定精度を悪
化させるおそれがあるためである。
【0014】導管に液体の漏洩が発生する要因として
は、例えば導管破裂,導管破断,導管腐食などの導管破
損が挙げられる。また、ここでいう圧力波とは、例えば
導管の一部が突発的に破損したとき、この破損部分で、
導管内の液体に急激な圧力降下が生じる。この際、一定
の速度で導管の上下流側に向かう波が圧力波である。検
出される圧力波は、発生初期のものが好ましい。他の時
期の波では特定がしにくくて、漏洩位置検出の精度が低
下することになる。そして、圧力波伝播速度とは、この
圧力波が導管内の液体中を伝播する速度をいう。なお、
これらの事項は請求項2にも該当する。
【0015】請求項2に記載の発明は、液体を圧送する
導管に、互いに管軸方向へ離隔して設けられた3つ以上
の測定点のそれぞれに配置され、液体の突発的な漏洩時
に、上記導管内の液体に生じた漏洩初期の圧力波を検出
する圧力波検出器と、該各圧力波検出器からの検出信号
に基づいて、上記導管の漏洩位置を演算する演算部とを
備え、該演算部が、上記各圧力波検出器からの検出信号
に基づいて、漏洩位置から各測定点までの圧力波の到達
時間差を求める圧力波到達時間差算出手段と、この圧力
波の到達時間差および測定点間の距離から、圧力波伝播
速度を算出する圧力波伝播速度算出手段と、該圧力波伝
播速度、上記圧力波の到達時間差および測定点間の距離
に基づき、上記導管の漏洩位置を算出する漏洩位置算出
手段とを有している導管漏洩位置検出装置である。
【0016】圧力波検出器の種類は限定されない。例え
ば、圧力変換器(ひずみゲージ式圧力変換器,差圧,ゲ
ージ圧,絶対圧など各種の変換器)など、応答性が良い
ものを採用することができる。また、演算部は限定され
ない。例えばCPUを内蔵するマイクロコンピュータが
挙げられる。各測定点からの検出信号を演算部まで伝達
する通信系には、外部からの攪乱が少ない専用線を用い
てもよいし、一般の電話回線または携帯電話の回線を用
いてもよい。
【0017】請求項3に記載の発明は、上記各測定点に
は、上記各圧力波検出器による漏洩初期の圧力波の検出
時刻を記憶する記憶手段が配設され、上記圧力波到達時
間差算出手段は、上記各記憶手段に記憶された圧力波到
達時刻に基づいて、圧力波の到達時間差を求める請求項
2に記載の導管漏洩位置検出装置である。記憶手段とし
ては、例えばRAMが挙げられる。この記憶手段を搭載
することで、外部からの攪乱のおそれがある一般電話の
回線または携帯電話の回線を利用することができる。
【0018】
【作用】震災時などの特殊な場合を除去すれば、1本の
導管において、同時に複数の地点で導管が破損するなど
して漏洩が起こることは、極めて稀である。したがっ
て、3つの測定点により導管を2分割すれば、漏洩位置
はその何れかに存在することになる。この発明によれ
ば、例えば導管両端に近い2箇所と、その間の1箇所の
合計3箇所に測定点を設けておく。破損箇所は、導管の
両端近くに設けた測定点に圧力波が早く到達した分割部
分に存在する。そして、2分割された導管部分のうち、
漏洩位置が存在しない側において、導管一端側の測定点
と中間側の測定点とで漏洩初期の圧力波を検出し、得ら
れた値から測定点到達時間差を求める。そして、この時
間差および両測定点間の距離から、現場での正確な圧力
波伝播速度を算出する。
【0019】一方、漏洩位置が存在する側の導管部分で
は、導管他端側の測定点と中間側の測定点とにおいて漏
洩初期の圧力波を検出し、得られた値から測定点到達時
間差を算出する。その後、ここでの到達時間差と、予め
算出された圧力波伝播速度と、導管他端側および中間側
の両測定点間の距離とから、導管の漏洩位置を求める。
この結果、漏洩位置の算出の精度を向上させることがで
きる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施例に係る導
管漏洩位置検出装置を説明する。まず、第1実施例を説
明する。図1は、この発明の第1実施例に係る導管漏洩
位置検出装置が適用された水道設備の模式図である。図
2は、この発明の第1実施例に係る導管漏洩位置検出装
置の要部模式図である。
【0021】図1において、10はこの発明の第1実施
例に係る導管漏洩位置検出装置であり、この導管漏洩位
置検出装置10は、水道管11の漏水を検出する装置で
ある。この水道管11は上記基礎実験による管路を援用
すれば、浄水場12の水を送水するポンプ所13から、
高台にある配水池14まで圧送する口径1000mm、
長さ約29kmの導管である。ポンプ所13から30m
以上離隔して水道管11には測定点Aを設け、この水道
管11の配水池14から30m以上ポンプ所13側には
測定点Bを設け、さらに水道管11の中間には測定点C
を設ける。このように、測定点A,測定点Bは、それぞ
れ水道管11の管端から口径の30倍以上の距離を確保
しているので、圧力波が管端に当たって反射してきた反
射波により、測定障害が起きにくい。その結果、比較的
高い測定精度を維持することができる。
【0022】これらの測定点A〜Cには、漏水時に管内
の水に生じた漏洩初期の圧力波を検出する圧力波検出器
15A〜15Cを配備する。図2に示すように、各圧力
波検出器15A〜15Cには、管内の水の圧力変化を捕
らえて圧力波を検出するひずみゲージ式の圧力変換器1
6と、圧力変換器16からのアナログ信号をデジタル信
号に変換する信号変換器17と、このデジタル信号を演
算部19側へ伝送する信号伝送器18とが内蔵されてい
る。この第1実施例では、圧力変換器16として、小型
圧力変換器を用いている。なお、それぞれの検出器15
A〜15Cからの検出信号は、水道局の中央管理室に設
置されたコンピュータの演算部19に、専用回線L1〜
L3を用いて伝達されるようになっている。この専用回
線L1〜L3の使用により、外部からの攪乱を少なくす
ることができる。なお、演算部19には、信号変換器1
7により各々デジタル変換された圧力波の検出信号を受
信する受信盤20と指示記録計(オシログラフを含む)
21とが組み込まれている。なお、この演算部19での
演算は、作業員の手計算により行ってもよい。
【0023】ここで、図1に示すように、測定点Aと測
定点Cとの間で、水道管11の破損事故が発生したと仮
定する。この際、水道管11の全長での破損箇所を点E
(以下、破損箇所Eという場合がある)とする。すなわ
ち、測定点Aからこの破損箇所Eまでの距離xを計算し
て求めることができれば、水道管11上における破損箇
所Eの位置を特定することができる。
【0024】以下、この導管漏洩位置検出装置10を用
いた具体的な導管漏洩位置検出方法を図1および図2に
基づいて説明する。水道管11の点Eが破損すると、そ
れと同時に圧力波が発生する。この圧力波は、発生直
後、水道管11の上流側および下流側に伝播されてい
く。各測定点A〜Cの圧力波検出器15A〜15Cは、
この圧力波を検出する。各圧力波検出器15A〜15C
の圧力変換器16がそれぞれの位置で圧力波を検出する
と、その検出信号は信号変換器17でデジタル信号に変
換される。続いて、それぞれのデジタル信号は、信号伝
送器18を介して演算部19へと伝送される。演算部1
9では、各圧力波検出器15A〜15Cからの圧力波検
出信号を受信盤20により受信する。そして、指示記録
計21により入力信号の値を指示し記録する。この表示
された各測定点A〜Cの圧力波到達時刻に基づいて、測
定点間の到達時間差が求められるのである。
【0025】すなわち、測定点Cおよび測定点Bの各々
で捕らえられた圧力波の到達時間差(t)が得られる
と、測定点CB間の距離(b)から、圧力波伝播速度V
は、 V=b/t となる。測定点Aおよび測定点Cのそれぞれで捕らえた
圧力波の到達時間差(t)が得られると、 x=(a−V×t)/2 =(a−b×t/t)/2 となる。ここに、a:AC間の距離である。
【0026】なお、破損箇所EがCB間にある場合も、
同様にして測定点Cから破損箇所Eまでの距離x′は、 x′=(b−a×t/t)/2 となる。ここに、b:CB間の距離であり、また測定点
Aと測定点Bとを比較して圧力波が早く到達した方に破
損箇所があるため、この破損箇所Eの位置を特定するこ
とができる。このように、圧力波発生時における現地の
圧力波伝播速度を正確に測定し、これに基づき、液体の
漏洩位置を迅速、正確、かつ簡単に検出することができ
る。
【0027】次に、図3に基づいて、この発明の第2実
施例に係る導管漏洩位置検出方法およびその装置を説明
する。図3は、この発明の第2実施例に係る導管漏洩位
置検出装置が適用された水道設備の模式図である。図3
に示すように、この第2実施例の導管漏洩位置検出装置
10は、水道管11Aを、途中部に逆V字形の屈曲部を
有する凸型路線とし、しかもこの屈曲部の頂上に空気弁
31が設置された例である。なお、ここでは3本の専用
回線L1〜L3に代えて、NTTの一般回線L4を採用
している。圧力波発生時、この頂上部では空気弁31に
負圧が生じるような場合には、管内に空気が侵入するお
それがある。そのため、中間側の測定点は、空気弁31
の上下流部近傍で、この弁31より低い位置に、2つの
測定点Cおよび測定点C′を設置し、合計4箇所で測定
する。
【0028】すなわち、例えば測定点C′と測定点Bと
の間に破損箇所Eが発生した場合には、前述した第1実
施例の破損箇所EがCB間にある場合と同じような方法
により、測定点C′から破損箇所Eまでの距離x′を求
める。具体的には、まず測定点Cおよび測定点Aの各々
で捕らえられた圧力波の到達時間差(t)を求める。
その後、測定点AC間の距離(a)から、計算式V=a
/tにより圧力波伝播速度Vを求める。次に、測定点
C′および測定点Bの各々で捕らえられた圧力波の到達
時間差(t)を求める。これを踏まえて、次式を用い
て距離x′を求める。 x′=(b−a×t/t)/2 ここに、b:C′B間の距離である。この結果、破損箇
所Eの位置を特定することができる。なお、その他の構
成、作用および効果は、第1実施例と略同様であるの
で、説明を省略する。
【0029】次に、図4に基づいて、この発明の第3実
施例に係る導管漏洩位置検出方法およびその装置を説明
する。図4は、この発明の第3実施例に係る導管漏洩位
置検出装置が適用された水道設備の模式図である。図4
に示すように、この第3実施例では、前述した導管漏洩
位置検出装置10を、途中部に段差状の下方屈曲部を有
する水道管11Cに配設した例である。この導管漏洩位
置検出装置10を、このような凹型路線の水道管11C
に適用することで、例えば河川伏せ越し部および海底横
断部などでの漏水位置も正確に検出することができる。
すなわち、水道管11Cの河川伏せ越し部や海底横断部
などで漏水が発生した場合には、その破損箇所Eの発見
が難しく、特に豪雨時や暴風時には、現地調査による破
損箇所Eの位置の特定は極めて困難である。しかしなが
ら、この発明の装置、方法を使用して位置を特定するこ
とにより、早期に対策をたてることが可能となる。な
お、通信にはNTTの一般回線L4を採用している。そ
の他の構成、作用および効果は、第1実施例と略同様で
あるので、説明を省略する。
【0030】次に、図5に基づいて、この発明の第4実
施例に係る導管漏洩位置検出方法およびその装置を説明
する。図5は、この発明の第4実施例に係る導管漏洩位
置検出装置が適用された水道設備の模式図である。図5
に示すように、この第4実施例は、第1実施例の導管漏
洩位置検出装置10を、自然流下路線の水道管11Dに
応用した例である。図5中、40は上流側接合井、41
は下流側接合井である。このように、水道管11Dの下
流端が接合井41により開放されている場合には、下流
側の測定点Bは、できるだけ接合井41に近くて低い位
置に設ける必要がある。なお、各圧力波検出器15A〜
15Cから演算部19への通信にはNTTなどの携帯電
話の回線を採用している。その他の構成、作用および効
果は、第1実施例と略同様であるので、説明を省略す
る。
【0031】次に、図6に基づいて、この発明の第5実
施例に係る導管漏洩位置検出方法およびその装置を説明
する。図6は、この発明の第5実施例に係る導管漏洩位
置検出装置が適用された水道設備の模式図である。図6
に示すように、この第5実施例は、第1実施例の導管漏
洩位置検出装置10を、配水本管のように分流11aの
ある水道管11Eに適用した例である。この例では、分
岐点に中間側の測定点Cを設けている。なお、合流路線
や口径、管種が変化する水道管の場合も、同様に、各変
化箇所に測定点を設ければよい。ただし、水道管の中間
側の測定点の上下流側において、圧力波伝播速度が異な
るおそれがあるときには、平常時に、排泥弁(図外)の
操作による突発的な放水などで圧力波を発生させ、圧力
波伝播速度の比率を測定しておく必要がある。なお、通
信には携帯電話の回線が採用されている。その他の構
成、作用および効果は、第1実施例と略同様であるの
で、説明を省略する。
【0032】次に、図7に基づいて、この発明の第6実
施例に係る導管漏洩位置検出方法およびその装置を説明
する。図7は、この発明の第6実施例に係る導管漏洩位
置検出装置に組み込まれた圧力波検出器の模式図であ
る。図7に示すように、この第6実施例の導管漏洩位置
検出装置50は、それぞれの圧力波検出器15A〜15
Cに、所定の圧力まで圧力降下したときに、その検出信
号を演算部(制御部)19へ送る同期トリガー51を内
蔵するとともに、各圧力波検出器15A〜15Cに、漏
洩初期の圧力波の検出時刻を記憶するメモリ(記憶手
段)52を配設した例である。それぞれの同期トリガー
51内には、互いの検出信号を同期させるために、時刻
同期されたタイマ(図外)を有している。これらのタイ
マにより、測定点到達時間差は1/1000秒単位で検
出される。また、各同期トリガー51は、平常時におけ
る圧力の平均値から、300〜6000mm(水柱)く
らいまで圧力が降下した時に作動を開始するように設定
されている。ここでは、同期トリガー51は圧力変換器
16と信号変換器17との間に設けられている。また、
メモリ52は信号変換器17と信号伝送器18との間に
設けられている。
【0033】この例によれば、通信用の専用線に代え
て、NTTの一般回線L4(携帯電話の回線でも可能)
を採用することも可能になる。すなわち、定期的に、演
算部19側から圧力波検出器15A〜15C側の時刻を
同期させ、漏水時に割り込み通話などによる障害を排除
することで、メモリ52に記憶された信号を、その後、
演算部19側に呼び出して、正確な各測定点A〜C間の
到達時間差を求めることができる。なお、これらの一般
回線L4等を利用する第2実施例〜第4実施例の各導管
漏洩位置検出装置10には、これらの同期トリガー51
およびメモリ52を搭載した方が好ましい(後述する導
管漏洩位置検出装置60も同様)。
【0034】ところで、この圧力波は、種々の条件によ
りその形状が異なる。すなわち、図9(a)〜図9
(c)の水道管内水圧の圧力経時曲線に示すように、圧
力波は発生原因によって変化する。そこで、現地の状況
に応じて、圧力波の測定点A〜Cと同期トリガー51の
設定範囲を適正に定めることにより、伝播速度の精度を
高め、破損箇所Eの位置を特定することができる。な
お、平常時のポンプ起動、停止による圧力の経時変化を
記憶させておけば、水道管11の破損がポンプ起動、停
止と同時に発生したときなど、平常時の波形と比較する
ことで、各測定点A〜Cにおける到達時刻を定めること
ができる。その他の構成、作用、効果は第1実施例と略
同様であるので、説明を省略する。
【0035】次に、図8に基づいて、この発明の第7実
施例に係る導管漏洩位置検出方法およびその装置を説明
する。図8は、この発明の第7実施例に係る導管漏洩位
置検出装置に組み込まれた演算部の模式図である。図8
に示すように、この第7実施例の導管漏洩位置検出装置
60は、演算部19に受信した検出信号の同期装置61
と、演算を行う演算器62とを具体的に搭載した例であ
る。このような構成の演算部19を採用することで、迅
速かつ自動的に破損箇所Eの位置を計算することができ
る。なお、通信にはNTTの一般回線L4が採用されて
いる。その他の構成、作用、効果は第1実施例と略同様
であるので、説明を省略する。
【0036】
【発明の効果】この発明によれば、長大な導管路線であ
っても、3個以上の測定点に発信設備を備えて導管破損
などに起因する管内水の漏洩による圧力波を検出し、そ
の信号を伝達する通信設備を介して、受信設備に表示す
ることにより、得られた情報から迅速、正確、容易に導
管漏洩位置を特定することができる。
【0037】特に、請求項3の発明では、各測定点に記
憶手段を配設し、圧力波到達時間差算出手段で、各記憶
手段に記憶された圧力波到達時刻に基づいて、圧力波の
到達時間差を求めるようにしたので、通信伝達系の不良
により、一時、漏洩初期の圧力波を演算部へ伝達できな
くなっても、通信回復後、正確に圧力波伝播速度を測定
して、この漏洩位置を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例に係る導管漏洩位置検出
装置が適用された水道設備の模式図である。
【図2】この発明の第1実施例に係る導管漏洩位置検出
装置の要部模式図である。
【図3】この発明の第2実施例に係る導管漏洩位置検出
装置が適用された水道設備の模式図である。
【図4】この発明の第3実施例に係る導管漏洩位置検出
装置が適用された水道設備の模式図である。
【図5】この発明の第4実施例に係る導管漏洩位置検出
装置が適用された水道設備の模式図である。
【図6】この発明の第5実施例に係る導管漏洩位置検出
装置が適用された水道設備の模式図である。
【図7】この発明の第6実施例に係る導管漏洩位置検出
装置に組み込まれた圧力波検出器の模式図である。
【図8】この発明の第7実施例に係る導管漏洩位置検出
装置に組み込まれた演算部の模式図である。
【図9】(a)ポンプ運転開始時の水道管内水圧の圧力
経時曲線である。 (b)ポンプ運転停止時の水道管内水圧の圧力経時曲線
である。 (c)破裂・漏水時の水道管内水圧の圧力経時曲線であ
る。
【図10】従来手段に係る導管漏洩位置検出装置を水道
管に適用した模式図である。
【符号の説明】
10,50,60 導管漏洩位置検出装置、 11,11A,11C〜11E 水道管(導管)、 15A〜15C,15C′ 圧力波検出器、 19 演算部、 52 メモリ(記憶手段)、 A〜C,C′ 測定点、 t,t 圧力波の到達時間差、 v 圧力波電波速度、 a,b 測定点間の距離、 E 破損箇所(漏洩位置)。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体を圧送する導管に、互いに管軸方向
    へ離隔した3つ以上の測定点を設置し、この液体の突発
    的な漏洩時に、上記導管内の液体に生じた漏洩初期の圧
    力波を各測定点で検出し、 該各測定点での検出信号に基づき、漏洩位置から各測定
    点までの圧力波の到達時間差を求め、 これらの時間差と測定点間の距離とから圧力波伝播速度
    を算出し、 次いで、該圧力波伝播速度、上記圧力波の到達時間差お
    よび測定点間の距離に基づき、上記導管の漏洩位置を求
    める導管漏洩位置検出方法。
  2. 【請求項2】 液体を圧送する導管に、互いに管軸方向
    へ離隔して設けられた3つ以上の測定点のそれぞれに配
    置され、液体の突発的な漏洩時に、上記導管内の液体に
    生じた漏洩初期の圧力波を検出する圧力波検出器と、 該各圧力波検出器からの検出信号に基づいて、上記導管
    の漏洩位置を演算する演算部とを備え、 該演算部が、 上記各圧力波検出器からの検出信号に基づいて、漏洩位
    置から各測定点までの圧力波の到達時間差を求める圧力
    波到達時間差算出手段と、 この圧力波の到達時間差および測定点間の距離から、圧
    力波伝播速度を算出する圧力波伝播速度算出手段と、 該圧力波伝播速度、上記圧力波の到達時間差および測定
    点間の距離に基づき、上記導管の漏洩位置を算出する漏
    洩位置算出手段とを有している導管漏洩位置検出装置。
  3. 【請求項3】 上記各測定点には、上記各圧力波検出器
    による漏洩初期の圧力波の検出時刻を記憶する記憶手段
    が配設され、 上記圧力波到達時間差算出手段は、上記各記憶手段に記
    憶された圧力波到達時刻に基づいて、圧力波の到達時間
    差を求める請求項2に記載の導管漏洩位置検出装置。
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