JP2000126933A - 粉末混入放電加工液及び粉末混入放電加工液の製造法 - Google Patents

粉末混入放電加工液及び粉末混入放電加工液の製造法

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JP2000126933A
JP2000126933A JP31687398A JP31687398A JP2000126933A JP 2000126933 A JP2000126933 A JP 2000126933A JP 31687398 A JP31687398 A JP 31687398A JP 31687398 A JP31687398 A JP 31687398A JP 2000126933 A JP2000126933 A JP 2000126933A
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discharge machining
electric discharge
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powder
mixed
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Minoru Nakayama
中山  実
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Original Assignee
Sodick Co Ltd
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  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】最適な加工効果を得るための必要十分量の微細
固体が混入される粉末混入加工液及びその製造法を提供
する。 【解決手段】粉末混入放電加工液は、加工ギャップが1
5μm〜70μmとなる濃度で微細固体がベ−スとなる
放電加工油に混入されている。製造法は、微細固体の濃
度が相違する粉末混入放電加工液により放電加工を行っ
て加工面粗度が最小になる範囲の微細固体の濃度を特定
し、その濃度の微細固体をベ−スとなる放電加工油容量
に対して混入する方法である。 【効果】粉末混入放電加工液によれば、不必要な量の微
細固体が放電加工油に存在しないので、メインテナンス
が容易で放電加工が安定する等の工業的実施に際しての
多くの利点が得られる。粉末混入放電加工液の製造法に
よれば、所望の加工効果に対する最適量あるいはそれに
近似の量の微細固体が混入する粉末混入放電加工液が容
易に製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細固体を含有す
る放電加工液及びその放電加工液の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】導電性及び半導電性の粉末には、放電加
工油(以下において、加工油と略称することがある)へ
の混入によって加工面の面粗さ等を向上させるものがあ
って、放電加工の工業的実施においても粉末混入加工液
(以下において、特に特定の種類の微細固体を混入若し
くは含有した工液油を称する)が使用されている。
【0003】粉末混入加工液の使用による効果について
は、加工ギャップ(極間、放電ギャップ等とも称され
る)の増大、加工ギャップ増大による短絡防止、短いト
リガ時間の保持、放電の安定化、加工ギャップの浮遊容
量の減少及び面粗さの向上(平滑化等とも称される)
が、代表的効果として挙げられている。
【0004】そして、放電の安定化及び面粗さの向上等
の効果は、粉末の形状によって大きく相違するとの提案
がある。それらの提案には、長さと幅と厚さの合計の最
大値の平均である「平均径」が0.001〜50μmの
範囲(好ましくは0.1〜5μmの範囲)にある薄膜状
若しくは鱗片状の粉末及び通常の粒子より表面積が2倍
以上大きい粉末により放電の安定化及び面粗さの向上が
生ずるとするものがある(特許出願公表平1−5009
83号公報、特開平9−272019号公報参照)。
【0005】しかし、粉末の形状と放電の安定化及び面
粗さの向上等との関係については、厳密な実験結果に基
づく提案によるものではなく、特定の粒径の特定の材質
の粉末において、概ね良いだろと認められる結果を得た
場合に、その粉末ごとに推定される関係が経験的に知ら
れているにすぎず、いくつかの提案の中には、本来の上
記関係に反する提案もある。そのために、粉末が有する
電気的性質と放電加工の条件と加工効果の因果関係は技
術的に解明されていないのが実状である。
【0006】一方、粉末は、微細であっても、その密度
が加工油のそれよりも大きいのが一般的であるところか
ら、粉末を浮遊分散させる手段を設けておかないと、粉
末が加工槽の底に自然的かつ容易に沈降する及び容易に
凝集して加工槽中で大きな塊となって放電加工が行えな
いことは、実験及び工業的実施において技術的事実とし
て認められている。
【0007】従って、粉末混入加工液及びそれの使用に
直接的若しくは間接的に関連する提案は、その殆どが、
粉末を加工油に均一分散させる手段についてであって、
それには、均一分散のための攪拌手段(例えば、(特開
平7−185947号公報、特開平4−360722号
公報等参照)及び非イオン界面活性剤によるシリコン粉
末の沈降遅延手段(例えば、特開平6−198516号
公報参照)等がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来にあっては、粉末
混入加工液及びそれを使用の放電加工については、下記
(a)〜(c)等に代表される基本的事項が未知である
との問題点が存在していた。 (a)個々の粉末の特性(例えば、大きさ、形状、電気
的性質等)及び粉末量全体(粉末集団)の特性(例え
ば、粉末集団の電気的性質、粉末濃度の変化による粉末
集団の電気的性質の変化)が、加工ギャップの増大、放
電の安定化、浮遊容量の減少及び面粗さの向上等に与え
る影響については、技術的解明が不十分であって、現象
として認識されているだけであるとの問題点があった。 (b)個々の粉末及び粉末集団の電気的特性が加工効果
(特に、面粗さ)に至る技術的経路が、未知であるとの
問題点があった。 (c)加工油の粉末濃度の増減と、粉末集団が加工効果
に与える影響との関係が、未知であるとの問題点があっ
た。
【0009】そこで、個々の粉末の特性と粉末集団の特
性を変化させた条件で多数の実験が本発明者により行わ
れて、粉末混入加工油及びそれを使用する放電加工に関
して新たな技術的事実が見いだされて本発明が得られ
た。
【0010】すなわち、従来のこの種の放電加工液は、
必要以上の量の粉末を混入していて、そのために、既述
したように、粉末が加工槽の底に自然的かつ容易に沈降
する及び容易に凝集して加工槽中に大きな塊となって放
電加工が行えなくなるという問題点が生じていたことが
判明した。
【0011】また、混入される微細固体(以下、微細固
体濃度と称する)の量が多ければ、それだけメインテナ
ンスが大変であって、必要以上の量の微細固体を混入す
るということは、それ自体で微細固体の種類によっては
不必要にコストを要していた。それにも関わらず、ベ−
スとなる加工油に対する適切な濃度が判然としていなか
ったために、さらに微細固体を追加補充してケ−スもあ
った。
【0012】本発明は、上記問題点に鑑みて、混入され
ている微細固体濃度の種類、形状、大きさに略関係なく
期待する加工効果を得ることができる最適な微細固体濃
度で微細固体を混入して、微細固体の沈降や凝集の問題
がより少なく、メインテナンスがよう容易で、ランニン
グコストより低廉な放電加工液を提供せんとするもので
ある。
【0013】また、本発明は、その放電加工液を製造す
る方法を提供せんとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
の粉末混入放電加工液は、特定の微細固体をベ−スとな
る放電加工油に混入した粉末混入放電加工液であって、
加工ギャップが15μm〜70μmとなる濃度で前記微
細固体を混入して成る粉末混入放電加工液である。
【0015】請求項2に記載の本発明の粉末混入放電加
工液は、特定の微細固体をベ−スとなる放電加工油に混
入した粉末混入放電加工液であって、前記粉末混入放電
加工液に混入する特定の微細固体の濃度を変化させて放
電加工した際に得られる加工面粗度が最小となる濃度範
囲で前記微細固体を混入して成る粉末混入放電加工液で
ある。
【0016】請求項3に記載の本発明の粉末混入放電加
工液の製造法は、ベ−スとなる放電加工油に特定の微細
固体を混入して粉末混入放電加工液を製造する製造方法
において、特定の微細固体を添加して濃度を増加させ、
一回の添加ごとに所定の加工条件で放電加工を行い、前
記加工により得られた加工面粗度が最小になる範囲の濃
度を特定し、ベ−スとなる放電加工油容量に対して前記
特定された範囲の濃度になる量の前記微細固体を混入す
ることを特徴とする粉末混入放電加工液の製造法であ
る。
【0017】請求項1に記載の本発明の粉末混入放電加
工液によれば、加工ギャップが15μm〜70μmの範
囲内にある微細固体濃度としてあるので、安定して最良
面を得ることができ、必要以上の微細固体が沈殿したり
凝固してメイテナンス性を悪くすることがない。
【0018】また、請求項2に記載の本発明の粉末混入
放電加工液によれば、粉末混入放電加工液に混入する特
定の微細固体の濃度を変化させて放電加工した際に得ら
れる加工面粗度が最小となる濃度範囲で前記微細固体を
混入してあるので、安定して最良面を得ることができ、
必要以上の微細固体が沈殿したり凝固してメイテナンス
性を悪くすることがなく、またランニングコストも低減
できる。請求項3に記載の本発明の粉末混入放電加工液
の製造法によれば、特定の微細固体を添加して濃度を増
加させ、一回の添加ごとに所定の加工条件で放電加工を
行い、前記加工により得られた加工面粗度が最小になる
範囲の濃度を特定することができるので、加工面粗度が
良好となるベ−スの放電加工容量に対しての必要十分な
前記微細固体の量が容易に決定されて無駄な微細固体を
混入することが回避できて安価な粉末混入放電加工液が
製造できる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の放電加工法は、前述の構
成からなるもので、数多くの実験結果(図1〜図8及び
後記実施例を参照)から見いだされた技術上の事実を基
礎するものである。
【0020】次に、本発明で見いだされた技術上の事実
を図1〜図8に基づいて説明する。図1〜図8は、本発
明で行われた実験の一部を示すものである。
【0021】本発明及び本発明の説明においては、従来
一般的に使用されている「粉末」の用語に替えて「微細
固体」の用語を使用する。本発明にあっては、各種の形
状(例えば、粒子状、鱗片状、板状及び円盤状等)の微
細固体であっても本発明の効果の享受が可能であって、
丸くて小さいものの語義を含む「粉末」の用語では、不
明瞭になるからである。ただし、微細固体をベ−スの加
工油に混入した放電加工液については、一般的に呼ばれ
る「粉末混入放電加工液」と呼ぶ。
【0022】図1〜図8は、微細固体の濃度を変えた粉
末混入放電加工液により放電加工した場合の加工面の面
粗さ及び加工ギャップの変化を示す線図である。各図に
おいて、横軸が加工油中の微細固体の濃度(g/リット
ル)を対数目盛りで示していて、縦軸が加工面の面粗さ
(μmRmax)及び加工ギャップ(μm)を示してい
る。縦軸方向の一点鎖線は、異常放電が生じる濃度を示
している。図1〜図8において、符号aは微細固体の濃
度(g/リットル)と加工面の面粗さ(μmRmax)
との関係を表す曲線を示して、符号bは微細固体の濃度
(g/リットル)と加工ギャップ(μm)との関係を表
す曲線を示している。
【0023】図1〜図4は、平均粒径25μmのカ−ボ
ン、平均長径25μmの鱗片カ−ボン、平均長径20μ
mの鱗片アルミ(アルミニウム)及び平均粒径15μm
のシリコンを同じ条件で行った放電加工の実験結果であ
る。
【0024】図1〜図4が示す結果によれば、種類、形
状及び電気的性質(例えば、導電性の大小)が異なる微
細固体であっても、電気的加工条件によっては、微細固
体の濃度の変化と加工面の面粗さとが連続性がある相関
性をもって変化して、しかも、面粗さが最小になる微細
固体濃度が存在し、それ以上の微細固体濃度の増加は面
粗さを増大させる傾向になっている。
【0025】それらの事実関係は、平均粒径3μmのカ
−ボン(図5参照)、平均粒径3μmの鱗片カ−ボン
(図6参照)、平均長径8μmのアルミ(図7参照)、
平均粒径7μmのシリコン(図8参照)及びその他の大
きさ及び種類の微細固体についても成立している。
【0026】従って、微細固体濃度と面粗さとの連続性
がある相関性が、電気的加工条件との関係において測定
されてデ−タ化されている場合にあっては(その実験的
測定によるデ−タ化は容易である)、加工油の微細固体
濃度を基本的指標として所望若しくは達成し得る最小の
面粗さに加工することができる必要十分な微細固体を含
有する放電加工液を提供できる。
【0027】更に、微細固体濃度の増減と同じ傾向で連
続的相関を示す加工ギャップを放電加工に利用すること
ができる。微細固体濃度と面粗さと加工ギャップとの連
続的相関を示すデ−タ(代表的には、図1〜図8)を測
定することによって、加工ギャップをも所望の面粗さ
(特に、達成し得る略最小の面粗さ)にする必要十分な
微細固体を含有する放電加工液を提供できる。
【0028】また、微細固体は、同じ種類で同じ大きさ
の微細固体であれば、球状に比較して鱗片状の場合に著
しく低濃度で異常放電が生じることが見いだされている
(図1、図2、図5及び図6参照)。
【0029】従って、実験的及び技術的事実からは、微
細固体の鱗片状化により放電が安定化する旨の従来の提
案は、鱗片状化により加工油に対して均一分散性が向上
したことに由来する安定化であって、異常放電の点から
は、鱗片状化によって放電安定性が低下していると考え
得る可能性がある(特許出願公表平1−500983号
公報、特開平9−272019号公報参照)。 〈電気的加工条件〉本発明の放電加工液で使用される電
気的加工条件は、微細固体濃度と面粗さの減少傾向(特
に、最小化傾向)とに相関関係を生じさせる放電加工を
行い得る電気的条件である。電気的加工条件は、特に、
面粗さが小さくなるのに都合のよい、いわゆる仕上げ条
件が好ましく、例えば、電流値(電流波高値)0.1〜
24アンペア、平均加工電圧30V〜120V、電源供
給電圧120V〜300V、パルス巾のオン・タイム
0.5〜5μs(マイクロ秒)、パルス巾のオフ・タイ
ム3〜10μsからなる電気的加工条件であって、電気
的加工条件がそれらの仕上げ条件よりも小さい場合には
本発明の効果を享受するために好ましい。 〈微細固体〉微細固体は、少なくとも面粗さを減少させ
るのに有効な電気的性質を備えるものであれば使用可能
である。面粗さの減少以外の加工特性を向上させるもの
であることが望まれる。本発明にあっては、広い範囲の
種類の微細固体が使用可能である。種類のものがある。
工業的実施の点からは、カ−ボン、グラファイト、アル
ミニウム及びシリコン等の使用が容易であって好まし
い。それ以外の微細固体は、例えば、周期律表の第IV
A族〜第VIA族、周期律表の第IIIB族、第IVB
族及びその他に属する元素の単体若しくは化合物であ
る。
【0030】微細固体を具体的に例示すると下記のもの
が挙げられれる。
【0031】銅、亜鉛、スズ、コバルト、ニッケル、
鉄、モリブデン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、
炭化チタン、窒化チタン、二ホウ素チタン、二ケイ素ジ
ルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、ガリウム
三バナジウム、チッ化ニオブ、炭化ニオブ、炭化タンタ
ル、クロム、モリブデン、タングステン、二ケイ素クロ
ム、二ケイ素モリブデン、炭化モリブデン、二ケイ素タ
ングステン、炭化タングステン、ホウ素、アルミニウ
ム、ガリウム、インジウム、タリウム、二ホウ素アルミ
ニウム、、ゲルマニウム、鉛、ダイヤモンド、炭化ケイ
素等である。
【0032】本発明の粉末混入放電加工液にあっては、
微細固体は、ベ−スとなる加工油に均一分散可能であれ
ば、任意の形状及び大きさのものが使用可能である。球
状、平面状、曲面形状(例えば、鱗片状、円盤状等)及
びその他のいずれの形状のものでも使用可能である。任
意の形状及び大きさの微細固体であっても、本発明の効
果を享受可能であることが、本発明の特徴の一つになっ
ている。
【0033】微細固体は、酸化皮膜その他の皮膜により
その表面の部分的若しくは大部分が覆われている場合で
あっても、面粗さを減少させ得るものである場合には、
使用可能である。
【0034】微細固体は、電気的加工条件との関係で面
粗さを減少させることが可能である濃度で使用される。
微細固体の濃度は、微細固体の種類に応じて面粗さを減
少させるのに適する濃度で使用される。例えば、0.0
1〜100g/リットルの濃度である。 〈加工油〉加工油は、放電加工に使用可能な加工油であ
れば、いずれも使用可能であって、そのことが、本発明
の重要な特徴の一になっている。
【0035】加工油は、好ましくは、1cst(40
℃)〜5cst(40℃)以下の動粘度である場合に
は、本発明による効果の享受が容易である。いて見いだ
されている。加工油は、鉱油留分、合成油若しくはそれ
らの混合物のいずれも使用可能である。 〈加工ギヤップの測定〉加工ギヤップは、上述した電気
的加工条件において、各種粉末放電加工液中に被加工物
を設置して放電加工を行っている最中に、放電加工装置
の加工深さ方向の位置(加工ギャップを所定に位置する
ようにサ−ボされているときの最深位置)を測定し、次
いで粉末放電加工液を介在させない場合の工具電極と被
加工物との接触を検出してその時の位置を測定し、これ
ら測定された位置の差を加工ギャップとして測定した。
この加工ギャップの測定は、他の従来公知の測定方法で
あってもよい。
【0036】なお、本発明の目的に沿うものであって、
本発明の効果を特に害さない限りにおいては、改変ある
いは部分的な変更及び付加は任意であって、いずれも本
発明の範囲である。次に、本発明による放電加工液を実
施例に基づいてより具体的に説明するが、実施例は例示
であって本発明を拘束するものではない。
【0037】
【実施例】〈実施例1〉大きさが概ね整えられた各種の
微細固体を加工油(パラフィン系合成油)に混入して、
徐々に加工油に対する微細固体濃度を増加させ、一回の
増加を行うたびに粉末混入放電加工液に浸漬された被加
工物(材質:SKD61、40mmφ)を、加工深さ
0.25mmmまで後述する電気的加工条件で放電加工
した。そして、各加工毎に得られた加工面粗度を測定し
た。加工面粗さが濃度変化と共に減少して、ある濃度か
ら面粗度が増加に転じるが、加工が不安定になる濃度ま
で行った。この作業を異なる各種の粉末放電加工液に対
しても行った。
【0038】このときの電気的加工条件は、 1.アルミ微細固体:放電オンタイム 1マイクロ秒、
放電オフタイム 4マイクロ秒、電流波高値 3.5ア
ンペア、放電印加電圧 90V、加工極性−電極負極性 2.グラファイト微細固体:放電オンタイム 2マイク
ロ秒、放電オフタイム4マイクロ秒、電流波高値 3.
5アンペア、放電印加電圧 90V、加工極性−電極負
極性 3.シリコン微細固体:放電オンタイム 1マイクロ
秒、放電オフタイム 4マイクロ秒、電流波高値 3.
5アンペア、放電印加電圧 90V、加工極性−電極負
極性 図1〜図8は、微細固体の種類、形状、大きさが同じで
微細固体濃度が異なる粉末放電加工液で上記放電加工を
行った結果をプロットし、それを連続線として結んだ、
実験結果を示すグラフである。それらが示す意義につい
ては、前述した通りである。各図とも、曲線aは微細固
体濃度と面粗さの関係を示し、曲線bは微細固体濃度と
加工ギャップの関係を示している。
【0039】この実施例から、各種微細固体を混入した
各種粉末放電加工液で得られる最良の微細固体濃度が容
易に判明する。
【0040】そして、この実施例から、本発明の好まし
い粉末放電加工液は、加工ギャップが15μm以上70
μm以下になる微細固体濃度のものである。より好まし
い粉末放電加工液は、加工ギャップが20μm以上60
μm以下になる微細固体濃度のものであることがわか
る。
【0041】なお、ギャップが15μm以下となる微細
固体濃度であると、浮遊容量が多くなり、面粗さがこの
種の放電加工で一般に許容される限界である1.5Rm
ax〜2Rmaxを越えてしまう。また、ギャップが7
0μmを越える微細固体濃度であると、加工ギャップに
供給される印加電圧が不安定で予定された十分な電圧値
とならないために、実質的に放電加工ができなくなる。
【0042】そして、上述の範囲は、主に仕上げ加工に
用いられる放電加工液では、加工形状精度との関係で要
求精度を低下させないよう使用される加工ギャップの範
囲にも略一致する。
【0043】
【発明の効果】本発明の粉末混入放電加工液によれば、
必要十分な微細固体を混入するだけで、その微細固体を
混入した粉末混入放電加工液で可能な面粗さを得ること
ができるので、下記(i)〜(iii)に代表される種
々の効果が得られる。 (i)適切な量(すなわち、必要十分な量)の微細固体
が混入されて加工槽の底に沈降する微細固体(すなわ
ち、過剰な微細固体)の量が減少あるいはなくなる。ま
た、微細固体が凝集して加工槽中で大きな塊になること
が少なくなる。その結果、放電加工が安定する。 (ii)微細固体の種類等に関わらず混入される微細固
体の量が少なくなるので、メインテナンスが従前よりも
容易になる。その結果、作業性は向上して作業者の負担
が軽されるとともに作業時間が短縮される。 (iii)微細固体の種類等に関わらず混入される微細
固体の量が少なく、あるいは不必要に微細固体を混入す
ることがなくなるので、高価な微細固体であっても従来
より割安な粉末混入放電加工液が提供され、またよりラ
ンニングコストが廉価な粉末混入放電加工液が提供され
る。また、微細固体を補充する必要がなくなる場合もあ
り、ひいては作業の負担を軽くすることができる。そし
て、粉末混入放電加工液が廉価であればあるほど、粉末
混入放電加工液を用いた放電加工の領域を広げて産業の
発達を招来する。
【0044】また、本発明の粉末混入放電加工液の製造
法によれば、微細固体の種類等に関わらず、所望の面粗
さ、特に最良の面粗さが得られるベ−スとなる放電加工
油容量に対しての必要十分な前記微細固体の量が容易に
決定されて無駄な微細固体を混入することが回避でき安
価な粉末混入放電加工液を容易に安定して製造すること
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】微細固体が平均粒径25μmのカ−ボンである
ときの微細固体の濃度と加工ギャップと加工効果との関
係を示す線図である。
【図2】微細固体が平均長径25μmの鱗片カ−ボンで
あるときの微細固体の濃度と加工ギャップと加工効果と
の関係を示す線図である。
【図3】微細固体が平均長径20μmの鱗片アルミであ
るときの微細固体の濃度と加工ギャップと加工効果との
関係を示す線図である。
【図4】微細固体が平均粒径15μmのシリコンである
ときの微細固体の濃度と加工ギャップと加工効果との関
係を示す線図である。
【図5】微細固体が平均粒径3μmのカ−ボンであると
きの微細固体の濃度と加工ギャップと加工効果との関係
を示す線図である。
【図6】微細固体が平均長径3μmの鱗片カ−ボンであ
るときの微細固体の濃度と加工ギャップと加工効果との
関係を示す線図である。
【図7】微細固体が平均粒径8μmの球状アルミである
ときの微細固体の濃度と加工ギャップと加工効果との関
係を示す線図である。
【図8】微細固体が平均粒径7μmのシリコンであると
きの微細固体の濃度と加工ギャップと加工効果との関係
を示す線図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年11月17日(1998.11.
17)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】このときの電気的加工条件は、 1.アルミ微細固体:放電オンタイム 1マイクロ秒、
放電オフタイム 4マイクロ秒、電流波高値 3.5ア
ンペア、放電印加電圧 280V、加工極性−電極負極
性 2.グラファイト微細固体:放電オンタイム 2マイク
ロ秒、放電オフタイム4マイクロ秒、電流波高値 3.
5アンペア、放電印加電圧 280V、加工極性−電極
負極性 3.シリコン微細固体:放電オンタイム 1マイクロ
秒、放電オフタイム 4マイクロ秒、電流波高値 3.
5アンペア、放電印加電圧 280V、加工極性−電極
負極性 図1〜図8は、微細固体の種類、形状、大きさが同じで
微細固体濃度が異なる粉末放電加工液で上記放電加工を
行った結果をプロットし、それを連続線として結んだ、
実験結果を示すグラフである。それらが示す意義につい
ては、前述した通りである。各図とも、曲線aは微細固
体濃度と面粗さの関係を示し、曲線bは微細固体濃度と
加工ギャップの関係を示している。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】特定の微細固体をベ−スとなる放電加工油
    に混入した粉末混入放電加工液であって、加工ギャップ
    が15μm〜70μmとなる濃度で前記微細固体を混入
    してなる粉末混入放電加工液。
  2. 【請求項2】特定の微細固体をベ−スとなる放電加工油
    に混入した粉末混入放電加工液であって、前記粉末混入
    放電加工液に混入する特定の微細固体の濃度を変化させ
    て放電加工した際に得られる加工面粗度が最小となる濃
    度範囲で前記微細固体を混入してなる粉末混入放電加工
    液。
  3. 【請求項3】ベ−スとなる放電加工油に特定の微細固体
    を混入して粉末混入放電加工液を製造する製造方法にお
    いて、特定の微細固体を添加して濃度を増加させ、一回
    の添加ごとに所定の加工条件で放電加工を行い、前記加
    工により得られた加工面粗度が最小になる範囲の濃度を
    特定し、ベ−スとなる放電加工油容量に対して前記特定
    された範囲の濃度になる量の前記微細固体を混入するこ
    とを特徴とする粉末混入放電加工液の製造法。
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