JP2000122033A - 液晶装置の駆動方法 - Google Patents

液晶装置の駆動方法

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JP2000122033A
JP2000122033A JP10292612A JP29261298A JP2000122033A JP 2000122033 A JP2000122033 A JP 2000122033A JP 10292612 A JP10292612 A JP 10292612A JP 29261298 A JP29261298 A JP 29261298A JP 2000122033 A JP2000122033 A JP 2000122033A
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voltage
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btn
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Takeshi Obikawa
剛 帯川
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】広範囲の温度範囲Cにおいて広い駆動電圧マー
ジンが得られるBTN液晶装置を提供する。 【解決手段】複数の走査信号線を有する基板と複数のデ
ータ信号線を有する基板との間に、液晶分子が初期状態
にて所定のねじれ角を有し、フレデリクス転移を生じさ
せる電圧を印加した後の緩和状態として前記初期状態と
は異なる2つの準安定状態をもつ液晶を有する液晶装置
であり、フィンガープリントが発生する最高の電圧はは
リセット期間の長さに依存するとともに、フインガープ
リントが発生する最高の電圧がリセット期間に前記液晶
に印加する電圧より小さくなるように前記リセット期間
が設定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学活性な添加剤
を含有するネマチック液晶を用いたメモリ性を有する双
安定の液晶(BTN=Bistable Twiste
d Nematic)を有する液晶装置(以下BTN液
晶装置と称する)の駆動方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】ネマチック液晶を用いた双安定液晶表示
は、特公平1―51818において既に開示されてお
り、初期配向条件、2つの安定状態、またその安定状態
の実現の方法等が記載されている。
【0003】しかし、上記特公平1―51818に述べ
られている内容は、2つの安定状態の動作あるいは現象
を述べているだけで、それを表示体として実用に供する
手段は述べられていない。さらには、上記公報には現在
最も表示体として応用実用性が高く、かつ表示能力がた
かいマトリクス表示について何ら記載がない。
【0004】そこで、マトリクス表示を行うBTN液晶
表示方式が、T.Tanaka,et al.,Asi
a Display,59(1995)、本出願人によ
る特開平6ー230751等で紹介されている。
【0005】以下に背景技術となるBTN液晶装置につ
いてその詳細を記す。
【0006】(構造)図3はBTNの液晶装置の断面図
である。
【0007】このBTN液晶装置の構造はポリイミド等
の配向膜を塗布した一対の透明電極基板スペーサー(図
示せず)を介して間隔d(μm)に配置する。配向膜は
プレチルト角θ1、θ2の向きが反対で、ツイスト角が
φrad(図1においてはπ)となるようにラビング等
により表面処理がされる。この狭間に光学活性剤を添加
してヘリカルピッチをp(μm)に調整したカイラルネ
マチック液晶組成物を注入し、ツイスト角φの捻れ構造
を持つ液晶装置を得ている。
【0008】(表示原理)図1は、BTN液晶装置の各
種状態を説明するための説明図であり、図2はBTN液
晶装置の液晶印加電圧波形の一例であり、図3はBTN
液晶装置の断面図である。
【0009】BTN液晶装置は初期配向状態にあって
は、、ラビング処理によってφrad(図1ではπra
d)ツイスト配向状態となっている。この初期配向状態
の液晶にリセット期間T1にてリセット電圧Vを印加
すると、図1に示すようにフレデリクス転移が生じ液晶
中央付近の液晶分子が垂直に立った状態となる。遅延期
間T2にて遅延電圧Vを印加したのちに選択期間T3
にて選択電圧としてVonを液晶に印加すると(φ−
π)ユニフォーム状態(図1では0度ユニフォーム状
態)が得られ、Voffを印加すると(φ+π)ツイス
ト配向状態(図1では360度ツイスト配向状態)が得
られる。その後、図1に示すようにある時定数に従って
上記の2つのいずれかの状態から初期状態に自然緩和す
る。ここで、この時定数は、表示に必要な時間に比べて
十分長くできるので、非選択期間T4にて印加される非
選択電圧がフレデリクス転移を起こすために必要な電圧
に比べて十分低い電圧に保たれている限り、次のフレー
ムのリセット期間T1’まで期間は、選択期間T3によ
って設定された状態をほぼ維持でき、リセット電圧を印
加されることによって再びフレデリクス転移が生じる。
これにより、オンオフ表示が可能になる。つまりリセッ
ト状態と、(φ―π)ユニフォーム配向状態と(φ+
π)ツイスト配向状態によって表示を行うことができ
る。
【0010】選択された準安定状態のメモリー保持時間
はd/pに依存し、実用的にはd/pの値は数式1の範
囲にあり、光学活性剤、ネマチック液晶及び配向膜の特
性により数式1の範囲内で適切な値が選ばれる。
【0011】
【数1】
【0012】BTN液晶装置の電気光学効果は液晶装置
による光の複屈折効果で理解できる。仮に、φ=πと置
くと2つの準安定状態はそれぞれ0及び2πとなる。こ
の状態のセルをクロスニコルに配置した2枚の偏光子の
間に置いたときの光透過強度Iは下式で表される。
【0013】
【数2】
【0014】で表される。ここで、I0は入射光強度、
θはBTN液晶装置の光学軸と偏光子の透過軸の間の角
度、Δnは液晶層の複屈折、dはセル厚、λは照射光の
波長を表す。上式において、光透過強度が最大となるの
はθ=π/4かつΔn・dλ=1/2のときである。こ
の条件下で、2πツイスト状態は光学的には近似適に等
方性媒体と見做す事ができ、クロスニコルに配置した2
枚の偏光子の間に置いたときの光透過強度は最小とな
る。したがって、2つの準安定状態間のスイッチングは
より高いコントラスト比が得られる。
【0015】(電圧駆動マージンについて)図2の上記
の駆動波形を用いてBTN液晶装置をマルチプレックス
駆動するときの液晶装置の性能を評価するための重要な
特性として、BTNのしきい値電圧Vth(BTN)
飽和電圧Vsat、急峻性β及び駆動電圧マージンΔV
がある。
【0016】ここで、BTNのしきい値電圧V
th(BTN)とは、オフ表示((φ―π)ユニフォー
ム状態で光を透過しないときの表示)が可能な限界の電
圧であり、飽和電圧VsatとはON表示((φ+π)
ツイスト配向状態で光を透過させるときの電圧)が可能
な電圧である。また、急峻性βとはBTNのしきい値電
圧Vth(BTN)と飽和電圧Vsatとの差として下
式で定義できる。
【0017】
【数3】
【0018】また、マルチプレクス駆動が可能な下限電
圧Vと上限電圧Vは、しきい値電圧及び飽和電圧
を、マルチプレクス駆動するためのバイアス電圧V
(図1においてはV=V)の関数としてとらえる
と、下式で表わせる。
【0019】
【数4】
【0020】そして上式において、バイアス電圧V
固定してマルチプレクス駆動を行う場合の駆動マージ
ン、つまりはオンオフ表示が可能な駆動マージンΔV
は、下式で表わせる。
【0021】
【数5】
【0022】この式から駆動マージンを拡大する手段と
しては、より高いバイアス電圧で駆動し、急峻性が良好
なネマチック液晶材料、光学活性剤及び配向膜の組合せ
を選択する必要があることがわかる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】ところで、BTN液晶
装置の主な特徴としては次の諸点を挙げることが出来
る。まず、応答速度が速くて室温で3〜4msである。
また、コントラスト比が高くて1:60以上の値が得ら
れている。さらに、視野角が広くて上下で140度、左
右で160度である。これらの特徴を生かして高品位で
高デューティのマルチプレックス駆動が可能であり、駆
動温度範囲が10〜70度Cにおいて1/480デュー
ティのマルチプレックス駆動ができるBTN液晶装置が
得られている。しかし、一般的な液晶装置に必要とされ
る駆動温度範囲はBTNのしきい値電圧V
th(BTN)を低下させ、急峻性βを悪くし、惹いて
は駆動電圧マージンΔVを減少させ、また(φーπ)ツ
イスト状態(ON状態)の光透過率を減少させる。
【0024】本発明はこの中低温領域におけるフィンガ
ープリントの発生を防止し、駆動電圧マージンが広いB
TN液晶装置を得ることをその目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶装置の駆動
方法は、複数の走査信号線を有する基板と複数のデータ
信号線を有する基板との間に、液晶分子が初期状態にて
所定のねじれ角を有し、フレデリクス転移を生じさせる
電圧を印加した後の緩和状態として前記初期状態とは異
なる2つの準安定状態をもつ液晶を有し、各前記走査信
号線に一垂直期間中に少なくともリセット期間を有し、
各前記データ信号線に、前記選択期間毎に表示パターン
に対応したデータ電位を持つデータ信号を供給し、走査
信号線には前記リセット期間にリセット電位がそれぞれ
設定され、前記走査信号線と前記データ信号線との差電
圧を前記液晶に印加する液晶装置の駆動方法であって、
フィンガープリントが発生する最高の電圧は前記はリセ
ット期間の長さに依存するとともに、前記フインガープ
リントが発生する最高の電圧が前記リセット期間に前記
液晶に印加する電圧より小さくなるように前記リセット
期間が設定されていることを特徴とする。
【0026】本発明者の実験により、リセット期間の長
さとフィンガープリントが発生する電圧とには、以下の
関係があることがわかった。図4に示すように、リセッ
ト期間が所定値以上の範囲ではリセット期間が増加する
に従ってフィンガープリントが発生する電圧は緩やかに
減少し、所定値以下では急激に上昇する。
【0027】ここで、フィンガープリントが発生しない
ためには、リセット電圧よりVFPが小さい必要があり
FPは小さければ小さい程好ましい。図4からわかる
ようにVFPはリセット期間の長さに依存し、リセット
期間が長ければ長い程小さくなる傾向がある。
【0028】つまり、本発明のようにリセット電圧V
とVFPとが等しくなるリセット期間より、長いリセッ
ト期間をもうけてBTN液晶を駆動すればフィンガープ
リントは発生しない。
【0029】また、BTN型の液晶装置のリセット電圧
は、IC、駆動回路、液晶等の耐久を考慮すると、30
V以下が好ましい。つまり、好ましいリセット電圧で、
液晶を駆動した場合にフィンガープリントが発生しない
ためには、図4からリセット時間は1.0 ms以上ある
と好ましい。また、図4からわかるように1.5msよ
り長いリセット期間においては、さらに電圧変化が緩や
かになるので、より好ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を実施例
によりさらに詳しく説明する。
【0031】(比較例1)一対の透明電極基板を対向配
置し、この透明電極基板に配向膜としてポリイミドを塗
布・焼成し、表面をラビング処理した。これらの基板を
スペーサーを介して9μm間隔にラビング方向を90度
回転させて平行に張り合わせた。この空隙にネマチック
ネマチック液晶Aを注入してツイステッドネマチック型
の液晶装置(以下TN型液晶装置)を作成した。20度
Cにおいて、このTN型液晶装置をスタティック駆動方
式を用いて駆動周波数32Hzで電気光学特性を測定
し、TN液晶のしきい値電圧Vth(TN)を求めた。
尚、ここで、TN液晶のしきい値電圧Vth(TN)
は電気光学特性曲線で光透過率10%のときの電圧とし
て定義した。ネマチック液晶Aを用いたTN液晶のしき
い値電圧は3.1Vであった。同様にして、ネマチック
液晶B、C及びDを用いたTN液晶のしきい値電圧を測
定した。これらの結果を表1に示す。
【0032】次に、図3に示すように上下のガラス基板
上にITOからなる透明電極4A、4Bのパターンを形
成し、その上に各々ポリイミド配向膜2を塗付した。そ
して各ポリイミド配向膜2に対して相互に所定の角度φ
(図1ではπrad)異なる方向にラビング処理を施し
て液晶パネルを構成した。上下のガラス基板の間にはス
ペーサを挿入して基板間隔を均一化し基板間隔を2μm
とした。
【0033】そして、この空隙に光学活性剤S−811
を3.5重量%添加した上記液晶Aを注入した。
【0034】この液晶パネルにおいては、液晶分子のプ
レチルト角θ1、θ2は数度となり、初期配向がπra
dのツイスト状態となる。この液晶パネルを図1に示す
偏光方向の異なる2枚の偏向子7、7で挟みBTN液晶
装置を構成した。尚、3は絶縁層、6は平坦層、8は画
素間の遮光層をそれぞれ示す。9は液晶分子のダイレク
ターベクトルである。平坦層6及び遮光層8は必要に応
じて形成でき、これらに代えて基板5上に透明電極を形
成してもよい。
【0035】なお、一方の基板5には透明電極4Aとし
て例えばその行方向に沿って伸びる複数の行電極(走査
信号線ともいう)が形成され、他方の基板5の透明電極
4Bとして、例えば、その列方向に沿って伸びる複数の
列電極(データ信号線ともいう)が形成され、両電極に
供給される信号の差電圧が液晶に印加されて表示のオン
状態・オフ状態を制御する。
【0036】20度Cにおいて、このBTN液晶装置を
を図2に示した駆動波形を用いて駆動周波数60Hz、
1/120デューティでフィンガープリントの発生する
電圧VFPを測定した。VFPの測定にあたっては、リ
セット時間T1は3ms、遅延時間T2は140μs、
バイアス電圧Vbは1.5Vとし、リセット電圧Vを高
電圧から低電圧に向け変化させながら、選択電圧VW
飽和電圧付近に固定して、フィンガープリントの発生す
るVFPを測定する方法を用いた。このようにして測定
したネマチック液晶Aを用いたBTN液晶装置のVFP
は35Vであった。同様にして、光学活性剤S−811
を3.3から3.7重量%添加したネマチック液晶B、C
及びDを用いたTN液晶のしきい値電圧Vth(TN)
と、ネマチック液晶B、C及びDを用いたBTN液晶装
置においてフィンガープリントが発生する電圧VFP
測定し、これらの結果を表1に示した。
【0037】ところで、リセット電圧はIC、駆動回
路、液晶等の耐圧を考慮すると、30V以下であること
が望ましい。従って、VFPは30V以下に抑える必要
がある。表1のネマチック液晶A〜Dを用いたBTN液
晶装置のVFPは全て30Vを越えている。また、これ
らのネマチック液晶を用いたTN液晶装置のしきい値電
圧Vth(TN)は全て3Vを越えていた。上記の光学
活性剤S−811を3.4重量%添加したネマチック液
晶Bを用いたBTN液晶装置を図2に示した駆動波形を
用いて、−20〜70度Cにおいて、駆動周波数60H
z、1/120デューティ、リセット電圧Vを30
V、リセット期間T2を3ms、遅延時間T2を420
μsとし、バイアス電圧Vbを変化させながらBTNの
しきい値電圧Vth(BTN)と飽和電圧Vsatを測
定した。これらの測定値を式5に代入して各バイアス電
圧の駆動電圧マージンΔVを計算し、この値が最大とな
るときの駆動電圧マージンΔV(MAX)を求めた。このよ
うにして得られた温度と駆動電圧マージンΔV(MAX)
関係を図5に示した。このBTN液晶装置は約40度C
以下の温度ではフィンガープリントが発生し、20度C
以下で駆動電圧マージンΔV(MAX)が急激に減少した。
【0038】(実施例1)比較例1と同様にして、ネマ
チック液晶1〜12を用いてTN型液晶装置を作成し、
TN液晶のしきい値電圧Vth(TN)を求めた。
【0039】さらに、ネマチック液晶1〜12に光学活
性剤S−811を3.2〜3.8重量%添加して比較例1
と同様にBTN液晶装置を作成し、フィンガープリント
の発生する電圧VFPを測定した。これらの結果を表1
に示した。これら1〜12のネマチック液晶のTN液晶
のしきい値電圧Vth(TN)は全て3V以下で、V
FPは全て30V以下であるので30V以下のリセット
電圧で液晶を駆動することができる。
【0040】
【表1】
【0041】以上の比較例1及び実施例1のV
th(TN)とVFPの相関関係を図4に示した。この
図より、VFP≒10・Vth(TN)の関係が成り立
ち、TN液晶のしきい値電圧Vth(TN)はVFP
値を見積もる良好なパラメーターで有ることがわかっ
た。
【0042】したがって、ネマチック液晶の選定及び適
切な光学活性剤添加量の選定に祭し、VFPを測定しな
いでも、通常標記されているVth(TN)を用いてネ
マチック液晶を選択することができる。
【0043】上記の光学活性剤S−811を3.4重量
%添加したネマチック液晶5を用いたBTN液晶装置を
図2に示した駆動波形を用いて、−20〜70度Cにお
いて、駆動周波数60Hz、1/120デューティ、リ
セット電圧Vを30V、リセット期間T1を3ms、
遅延時間T2を420μsとし、バイアス電圧Vbを変
化させながらBTNのしきい値電圧Vth(BTN)
飽和電圧Vsatを測定した。これらの測定値を式5に
代入して各バイアス電圧Vの駆動電圧マージンΔVを
計算し、この値が最大となるときの駆動電圧マージンΔ
(MAX)を求めた。このようにして得られた温度と駆動
電圧マージンΔV(MAX)の関係を図5に示した。このB
TN液晶装置は−20〜70度Cにおいて、フィンガー
プリントの発生は 見られず、−20度Cにおいても駆
動電圧マージンΔVを有している。
【0044】つまり、低温度域において駆動電圧マージ
ンを確保するためには、VFPを十分低く抑える必要が
あり、具体的にはVFPがリセット電圧Vより低いネ
マチック液晶を選択する必要があることがわかる。そし
て、そのVFPは上述したようにTN液晶のしきい値電
圧Vth(TN)の10倍に概ね等しいので、しきい値
電圧の10倍がリセット電圧より小さいネマチック液晶
を選択すれば低温領域において駆動電圧マージンが広い
BTN型液晶装置が実現する。尚、好ましいリセット電
圧(30V以下)で、好ましい温度範囲(−20〜70
度)の範囲で駆動マージンを得ようとするのであれば、
FPを30V以下に抑える必要があり、それには上記
の関係式より、Vth(TN)は3V以下であることが
好ましい。
【0045】(実施例2)比較例1と同様にして、光学
活性剤S−811を3.4重量%添加したネマチック液
晶5を用いたBTN液晶装置を作成した。このBTN液
晶装置を図2に示した駆動波形を用いて、測定温度−2
0度、0度、20度、40度及び50度C、駆動周波数
60Hz、1/120デューティで、リセット時間T1
が0.5〜6msの範囲においてフィンガープリントの
発生する電圧VFPを測定した。VFPの測定にあたっ
ては、遅延期間T2は140μs、バイアス電圧Vb
1.5Vとし、リセット電圧Vを高電圧から低電圧に
向け変化させながら、選択電圧VWを飽和電圧付近に固
定して、フィンガープリントの発生する電圧VFPを測
定する方法を用いた。このようにして測定したネマチッ
ク液晶5を用いたBTN液晶装置のVFPとT1の関係
を図6に示した。これと同様な関係は比較例1のネマチ
ック液晶A〜D及び実施例1の1〜4、6〜12を用い
たBTN液晶装置においても観察され、BTN液晶装置
では一般的な関係であることがわかった。
【0046】図6より明らかなようにVFPは温度が下
がると伴に上昇し、低温域において飽和する傾向が見ら
れる。また、各温度においてリセット期間T1が1.0
〜6msの範囲ではリセット期間T1が増加するに従っ
てVFPは緩やかに減少し、0.5〜1.0msの範囲で
はリセット期間T1が減少するに従ってVFPは急激に
上昇する。
【0047】ここで、フィンガープリントが発生しない
ためには、リセット電圧VよりVFPが小さい必要が
ありVFPは小さければ小さい程好ましい。図6からわ
かるようにVFPはリセット期間T1の長さに依存し、
リセット期間T1が長ければ長い程小さくなる傾向があ
る。
【0048】つまり、リセット電圧VとVFPとが等
しくなるリセット期間T1より、長いリセット期間をも
うけてBTN液晶を駆動すればフィンガープリントは発
生しない。
【0049】尚、実施例1で述べた好ましいリセット電
圧(30V以下)において、−20度下で液晶を駆動し
た場合においてフィンガープリントが発生しないために
は、図6からリセット時間は1.0 ms以上あると好ま
しい。
【0050】(比較例2)ネマチック液晶E〜Hを使用
して、それぞれの静電容量Cを測定し、下式を用いて配
向ベクトルに垂直及び平行方向の誘電率ε⊥及びε‖を
求めた。
【0051】
【数6】
【0052】ここで、dは液晶層厚、Sは電極面積を表
す。誘電率異方性Δεはε⊥とε‖の差から求めた。こ
のようにして得られたネマチック液晶E〜Hの誘電率異
方性Δεの値を表2に示した。
【0053】次に、光学活性剤S−811を3.4〜3.
7重量%添加したネマチック液晶E〜Hを用いて比較例
1と同様なBTN液晶装置を作成した。このBTN液晶
装置を図2に示した駆動波形を用いて、20度C、駆動
周波数60Hz、1/120デューティ、リセット電圧
を30V、リセット期間T1を3ms、遅延時間T
2を420μsとし、バイアス電圧Vbを変化させなが
らBTNのしきい値電圧Vth(BTN)と飽和電圧V
satを測定した。これらの測定値を式5に代入して各
バイアス電圧Vの駆動電圧マージンΔVを計算し、こ
の値が最大となるときの最大バイアス電圧Vb(MAX)、急
峻性β、駆動電圧マージンΔV(MAX)を求めた。このよ
うにして得られたネマチック液晶E〜Hを用いたBTN
液晶装置の最大バイアス電圧Vb(MAX)、急峻性β、最大
電圧マージンΔV(MAX)の値を表2に示した。
【0054】(実施例3)ネマチック液晶13〜22
の、それぞれの静電容量Cを測定し、配向ベクトルに垂
直及び平行方向の誘電率ε⊥及びε‖を求めた。このよ
うにして得られたネマチック液晶13〜22の誘電率異
方性Δεの値を表2に示した。
【0055】そして、ネマチック液晶13〜22にS−
811を3.2〜3.8重量%添加したネマチック液晶を
用いて比較例1と同様にしてBTN液晶装置を作成し、
それぞれのBTN液晶装置の各バイアス電圧Vbにおけ
るBTNのしきい値電圧Vth(BTN)と飽和電圧V
satを測定し、誘電率異方性Δε及び最大バイアス電
圧Vb(MAX)、急峻性β、最大駆動電圧マージンΔV
(MAX)の値を計算し、その結果を表2に示した。
【0056】
【表2】
【0057】また、比較例2と実施例3の誘電率異方性
Δεと駆動電圧マージンΔV(MAX)の関係を図7に示し
た。
【0058】表2より、急峻性βはネマチック液晶の誘
電率異方性Δεの値が大きくなるに伴って小さくなる傾
向がある。一方、誘電率異方性Δεの値が大きくなるに
従って、 BTNのしきい値電圧Vth(BTN)と飽
和電圧Vsatのバイアス電圧依存性が大きくなり、バ
イアス電圧が上昇するとBTNのしきい値電圧V
th(BTN)と飽和電圧Vsatが急激に下降してO
FF状態が保てなくなりBTNのしきい値電圧V
th(BTN)が存在しなくなるため最大バイアス電圧
b(MAX)は低くなる傾向がある。また、数式1より駆動
マージンΔVに対する寄与は急峻性βよりバイアス電圧
bの方が大きい。その結果、図7に見られるように誘
電率異方性Δεが6.0を越えると最大駆動電圧マージ
ンΔV(MAX)は急激に減少する。
【0059】従って、BTN液晶装置に用いられる液晶
の誘電率異方性Δεは6.0以下であることが好まし
い。
【0060】(実施例4)光学活性剤S−811を3.
0重量%添加したネマチック液晶をホモジニアス配向さ
せたくさび形セルに注入し、カノのくさび法を用いて、
20゜Cでカイラルピッチpを測定し、3.67μmの値
を得た。これらの値からc・p=11.0重量%・μm
の関係式を得た。ここで、cは光学活性剤S−811の
重量%濃度を表す。
【0061】比較例1と同様にして、光学活性剤S−8
11を2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、
3.8、4.0、4.2及び4.4重量%添加したネマチッ
ク液晶4を用いた液晶層厚dが2.0μmのBTN液晶
装置を作成した。これらのBTN液晶装置のd/pはd
=2μm及びc・p=11.0重量%・μmを用いて、
それぞれ0.47、0.51、0.55、0.58、0.6
2、0.65、0.69、0.73、0.76及び0.80
を得た。この液晶装置を図2に示した駆動波形を用い
て、20度C、駆動周波数60Hz、1/120デュー
ティ、リセット電圧Vを30V、リセット期間T1を
3ms、遅延時間T2を420μsとし、バイアス電圧
bを変化させながらBTNのしきい値電圧V
th(BTN)と飽和電圧Vsatを測定した。これら
の測定値を式5に代入して各バイアス電圧の駆動マージ
ンΔVを計算し、この値が最大となる駆動マージンΔV
(MAX)を求めた。このようにして得られたネマチック液
晶4のd/pと最大駆動電圧マージンVb(MAX)の関係を
図8に示した。なお、図8と同様な関係は他のネマチッ
ク液晶を用いた場合にも得られた。
【0062】図8より明らかなようにd/pが0.5以
下ではOFF状態が不安定となり、0.75以上ではO
N状態が不安定となるため駆動マージンはない。また、
d/pが0.55以下と0.70以上では十分な双安定性
が得られないために駆動マージンは小さい。
【0063】従って、ダイナミック駆動において大きな
駆動マージンを得るためにはd/pの値は0.55以上
で0.70以下が好ましい。
【0064】(実施例5)光学活性剤S−811を3.
3〜3.6重量%添加したΔnが0.06、0.08、0.
10、0.12、0.14、0.16、0.18、0..20
及び0.22のネマチック液晶を用いた液晶層厚dが2.
0μmのBTN液晶装置を比較例1と同様にして作成し
た。このBTN液晶装置を図2に示した駆動波形を用い
て、20度C、駆動周波数60Hz、1/120デュー
ティ、リセット電圧Vを30V、リセット期間T1を
時間3ms、遅延時間T2を420μs、バイアス電圧
1.5Vにおいて各BTN液晶装置のOFF状態とON
状態の光透過率を測定し、ON状態の光透過率とOFF
状態の光透過率の比よりコントラスト比を求めた。この
ようにして得られたΔn・dとON状態の光透過率及び
コントラスト比の関係を図9に示した。
【0065】上記図9より明らかなようにΔn・dが
0.20以下及び0.35以上では十分なON状態の光透
過率及びコントラスト比は得られない。
【0066】従って、十分なON状態の光透過率及びコ
ントラスト比を得るためにはΔn・dが0.20以上で
0.35以下が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】BTN液晶の各種状態を示す図。
【図2】BTNの印加電圧波形の一例を示す図。
【図3】BTN液晶装置の断面図。
【図4】しきい値電圧とフィンガープリントの発生する
電圧との関係を示す図。
【図5】温度と最大駆動電圧マージンΔV(MAX)の関係
を示す図。
【図6】リセット期間とフィンガープリントの発生する
電圧及びその温度変化の関係を示す図。
【図7】誘電率異方性Δεと最大駆動電圧マージンΔV
(MAX)の関係を示す図。
【図8】d/pと最大駆動電圧マージンΔV(MAX)の関
係を示す図。
【図9】 Δn・dとON状態の光透過率及びコントラ
スト比の関係を示す図。
【符号の説明】
T1・・・リセット期間 T2・・・遅延期間 T3・・・選択期間 T4・・・非選択期間 1・・・液晶分子 2・・・ポリイミド配向膜 3・・・絶縁層 4A・・・走査信号線 4B・・・データ信号線 5・・・ガラス基板 6・・・平坦化層 7・・・偏光板 8・・・遮光層 9・・・液晶分子のダイレクターベクトル

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の走査信号線を有する基板と複数のデ
    ータ信号線を有する基板との間に、液晶分子が初期状態
    にて所定のねじれ角を有し、フレデリクス転移を生じさ
    せる電圧を印加した後の緩和状態として前記初期状態と
    は異なる2つの準安定状態をもつ液晶を有し、 各前記走査信号線に一垂直期間中に少なくともリセット
    期間を有し、 各前記データ信号線に、前記選択期間毎に表示パターン
    に対応したデータ電位を持つデータ信号を供給し、 走査信号線には前記リセット期間にリセット電位がそれ
    ぞれ設定され、 前記走査信号線と前記データ信号線との差電圧を前記液
    晶に印加する液晶装置の駆動方法であって、 フィンガープリントが発生する最高の電圧は前記はリセ
    ット期間の長さに依存するとともに、前記フインガープ
    リントが発生する最高の電圧が前記リセット期間に前記
    液晶に印加する電圧より小さくなるように前記リセット
    期間が設定されていることを特徴とする液晶装置の駆動
    方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の液晶装置であって、 前記リセット期間は1.0ms以上であり、前記リセッ
    ト期間に前記液晶に印加される電圧は30V以下である
    ことを特徴とする液晶装置の駆動方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104330910A (zh) * 2014-10-24 2015-02-04 深圳市华星光电技术有限公司 用于曲面屏幕的液晶显示面板
CN105116658A (zh) * 2015-09-23 2015-12-02 京东方科技集团股份有限公司 曲面显示基板及其制作方法、液晶显示面板及显示装置

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