JP2000120973A - セラミックス管の接合方法及び接合構造 - Google Patents

セラミックス管の接合方法及び接合構造

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JP2000120973A
JP2000120973A JP29122698A JP29122698A JP2000120973A JP 2000120973 A JP2000120973 A JP 2000120973A JP 29122698 A JP29122698 A JP 29122698A JP 29122698 A JP29122698 A JP 29122698A JP 2000120973 A JP2000120973 A JP 2000120973A
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joint
ceramic
ceramic tube
thermal expansion
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JP29122698A
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Hideo Takahashi
秀雄 高橋
Katsuya Murata
勝哉 村田
Tomoko Niigashira
朋子 新頭
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Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数のセラミックス管を連結して一本の長尺
のセラミックス管接合体を提供するために必要なセラミ
ックス管の接合において、接合部に発生する残留応力を
低減し、長期間の実機運転にも耐える信頼性の高い接合
方法及び接合構造を提供する。 【解決手段】 複数のセラミックス管を、該セラミック
ス管の接合部を囲繞する筒状の接合用継ぎ手を用いて接
合する方法であって、上記セラミックス管と上記接合用
継ぎ手の25℃から1000℃までの平均熱膨張係数の差を2
×10−7/℃以下とし、上記セラミックス管の外側面と
上記接合用継ぎ手の内側面との間に接合材からなる接合
層を形成し、該接合層の厚さを上記セラミックス管の肉
厚の15%以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックス管の
接合に関し、より詳細には例えば加圧流動床ボイラ、石
炭ガス化炉、ゴミ及び産業廃棄物焼却炉などから排出さ
れる、高温ガス中の塵埃を除去するフィルタにも適用可
能なセラミックス管の接合方法及び接合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックス管は、高温ガスの除塵装置
に用いられるフィルタ等、広い分野においてその用途が
広がりつつある。特に、石炭を燃料とした次世代のクリ
ーンで高効率な発電方式である加圧流動床複合発電や石
炭ガス化発電を実用化する上で、セラミック管から製造
されるフィルタはキーテクノロジーと考えられており、
世界各国でその開発競争が繰り広げられている。さら
に、このようなセラミック管から製造されるフィルタ
は、近年問題が顕在化しているダイオキシンに代表され
る環境汚染の観点から、ゴミ及び産業廃棄物の焼却炉へ
の適用も検討されている。
【0003】一方セラミックス管は、セラミックスの持
つ脆性に起因した脆さから、使用前の取り扱いや使用中
の各種負荷によって破壊が生じることがあり、実使用時
の長期信頼性の確保が重要な問題となっている。このよ
うなセラミック管の長期信頼性を向上させるため、セラ
ミックス管素材そのものの改善による強度の改善や、使
用前の材料出荷検査技術の開発などが進められている
が、まだ解決すべき問題も多いのが現状である。
【0004】セラミックス管を製造する上で、ばらつき
少なく高品質単体を作ることができる大きさは、最大で
も約1mである。セラミックス製造プロセス技術としては
押し出し成型など、連続的に長尺の均一断面形状のセラ
ミックス成型体を製造する技術は存在するが、ある程度
重量のあるセラミックス成型体では、焼成時の材料収縮
に起因する歪みにより欠陥が発生する問題がある。一例
として挙げると、フィルタとして機能させるために多孔
質化したセラミックス成型体は焼結体強度が低く、その
製造時の長さに限界がある。したがって、所望する長さ
のセラミックス管を得るためには、複数のセラミックス
管を互いに接合する必要がある。
【0005】また、フィルタ用途に限らずセラミックス
管を使用する場合には、通常両端部を保持する必要性が
あり、装置全体の大きさに応じ、経済性といった面から
セラミックス管にはある程度の長さ(たとえば3〜4m)
が要求される。このため、焼成されたセラミックス管
は、これらを何本かつないで一本の接合体とする接合技
術が不可欠である。
【0006】特開平7-13808号公報に、セラミックス接
合用組成物とフィルタとして用いられるセラミック管の
接合方法とが提案されている。同公報では、径方向内側
面にリング状突起が設けられた筒状接合用継ぎ手を、セ
ラミックス管の径方向外側に配置させ、このリング状突
起を2本のセラミックス管の端面で挟むようにしてセラ
ミックス管を筒状継ぎ手に嵌合する方法が提案されてい
る。同公報に開示されるように筒状接合用継ぎ手を用い
た接合法は、強度が低下しがちな接合部に高い機械的強
度を付与する点で非常に優れているが、セラミックス管
と筒状接合用継ぎ手及び両者の隙間に充填される接合材
の機械的、熱的特性の組み合わせによっては、筒状接合
用継ぎ手に残留応力を発生させ、最悪の場合にはクラッ
クを生じさせる場合もあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、セラミック
ス管の接合において、接合部に発生する残留応力を低減
し、長期間の実機運転における信頼性の高い接合方法及
び接合構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、本
発明のセラミックス管の接合方法を提供することにより
達成される。すなわち、本発明の第1の構成では、複数
のセラミックス管を、該セラミックス管の接合部を囲繞
する筒状の接合用継ぎ手を用いて接合する方法であっ
て、上記セラミックス管と上記接合用継ぎ手の25℃から
1000℃までの平均熱膨張係数の差を2×10−7/℃以下と
し、上記セラミックス管の外側面と上記接合用継ぎ手の
内側面との間に接合材からなる接合層を形成し、該接合
層の厚さを上記セラミックス管の肉厚の15%以下とする
セラミックス管の接合方法が提供される。
【0009】また、上記接合層と上記接合用継ぎ手の25
℃から1000℃までの平均熱膨張係数の差を、10×10−7
/℃以下とすることが好ましい。
【0010】さらに、上記接合用継ぎ手の外側面におけ
る残留歪みは、50×10−6以下であることが好ましい。
【0011】また、上記セラミックス管及び上記接合用
継ぎ手がコーディエライト質骨材であることが好まし
い。
【0012】さらに、上記接合材の主成分がコーディエ
ライト質粒子又はスポジュメン質粒子を含有しているこ
とが好ましい。
【0013】また、本発明の接合方法では、周方向に延
びる径方向外向き面が形成されるように切欠かれた上記
セラミックス管の切欠き端部を、上記内側面に内側突起
を備えた上記接合用継ぎ手の各開口部から挿入し、上記
各切欠き端部が対向して形成される凹部に上記内側突起
を収容し、少なくとも上記セラミックス管と上記接合用
継ぎ手の間に上記接合材により上記接合層を形成させる
ことが好ましい。
【0014】さらに、本発明の上記目的は、本発明の接
合構造を提供することによって達成される。すなわち、
本発明の第2の構成では、内側面に内側突起を備えた筒
状のコーディエライト質接合用継ぎ手と、周方向に延び
る径方向外向き面が形成されるように端部が切欠かれた
コーディエライト質セラミックス管と、少なくとも上記
接合用継ぎ手の上記内側面と上記セラミックス管の外側
面との間に接合材から形成される接合層とを含むセラミ
ックス管の接合構造であって、上記接合層は、上記セラ
ミックス管の肉厚の15%以下の厚さであり、上記セラミ
ックス管と上記接合用継ぎ手の25℃から1000℃までの平
均熱膨張係数の差が2×10−7/℃以下であり、上記セラ
ミックス管の各切欠き端部が対向して形成される凹部に
上記接合用継ぎ手の上記内側突起が突出したセラミック
ス管の接合構造が提供される。
【発明の実施の形態】本発明におけるセラミックス管の
接合方法は、接合される2本のセラミックス管、及び接
合部の外周に配置される筒状接合用継ぎ手、さらにセラ
ミックス管の径方向外側面と継ぎ手の径方向内側面の間
に充填される接合材の機械的、熱的特性を検討すること
により、接合後のセラミックス管及び筒状接合用継ぎ手
に発生する残留応力を低減させ、その結果接合部の信頼
性を向上させるものである。
【0015】セラミックス管の接合時に発生する残留応
力は、セラミックス管、接合材、筒状接合用継ぎ手とい
う、3つの部材の平均熱膨張係数の違いが原因である。
なお、本明細書中においては、焼結された時の接合材の
平均熱膨張係数を単に接合材の平均熱膨張係数と称す
る。例えば筒状接合用継ぎ手が高温で接合材と焼結され
て接合部が一体化し、その後室温まで冷却される過程に
おいて、セラミックス管や接合材に比べて筒状接合用継
ぎ手の平均熱膨張係数が大きい場合には、最外部にある
継ぎ手は、接合材やセラミックス管と比較してより収縮
しようとする。その結果、接合用継ぎ手は内圧、すなわ
ち内側から外側へと向いた圧力を受けることになり、引
張残留応力が発生する。同時に接合材やセラミックス管
は接合用継ぎ手により締め付けられることによる圧縮残
留応力を受ける。
【0016】この様な残留応力は、線形弾性モデルや有
限要素法による解析では評価が難しく、これまで定量的
な検討が困難であった。これは、もともと粉体である接
合材が焼結して固化し、その後接合用継ぎ手やセラミッ
クス管と一体化してから応力を発現するために、応力発
現温度を正確に特定しにくいこと、焼結温度から室温に
冷却する過程で接合材には微視的亀裂や界面剥離が生
じ、それらの不連続部分の取り扱いが困難であること、
などによる。
【0017】そこで、本発明者等は、残留応力を定量的
に評価する方法を見出し、この評価方法を用いて接合部
に発生する残留応力を低減するセラミック管の接合方法
を見出した。この残留応力の評価方法は、筒状接合用継
ぎ手の切断によって残留歪みを解放させ、歪みゲージが
示す切断前後の歪みの差をもって、接合時に発生してい
た残留歪みを測定するものである。この残留歪み測定方
法を図1を用いて説明する。
【0018】図1は、本発明における残留応力測定のた
めのセラミックス管接合部及び歪みゲージ配置の一例を
示している。セラミックス管接合部10は、セラミック
ス管12,14と、これらのセラミックス管12,14
を包囲するようにして配置された筒状接合用継ぎ手16
と、から構成されている。これらのセラミックス管1
2,14の端部は、互いに長手方向に沿って対向して設
けられた筒状接合用継ぎ手16の2つの開口部にそれぞ
れ嵌合されている。筒状接合用継ぎ手16の径方向外側
面には、切断線A−Aに近接し、かつ切断線A−Aに沿
ってこの切断線から周方向に等距離に配置された3つの
歪みゲージ18a,18b,18cが貼り付けられてい
る。接合部に発生する周方向の歪みを精度良く測定する
ために、これらの歪みゲージ18a,18b,18c
は、切断線A−Aに直交するように配置されている。
【0019】以下に、残留歪みの測定手順について説明
する。まず、接合後の筒状接合用継ぎ手16の径方向外
側面に歪みゲージ18a,18b,18cを貼り付け
る。次いで、歪みゲージ18a,18b,18cのゼロ
点を調節した後にその近傍を切断線A−Aに沿って切断
し、歪みを測定する。検出された歪みが -100×10−6
(-は圧縮を示す)を示したとすると、切断前には 100
×10−6 の引張残留歪みが発生していたことになる。
また、一般には歪みゲージ18a,18b,18cによ
る測定にはある程度の誤差が発生しうるので、歪みゲー
ジ18a,18b,18cの各測定値の平均を算出する
ことにより残留歪みの値とした。
【0020】この方法を用い、筒状接合用継ぎ手、セラ
ミックス管のそれぞれの25℃から接合温度付近の1000℃
までの平均熱膨張係数(以下、単に平均熱膨張係数とい
う。)を変化させたいくつかの組み合わせについて接合
を行ない、その歪み状態を検討したところ、本発明者等
は、接合部に発生する残留歪みが、筒状接合用継ぎ手及
びセラミックス管それぞれについての平均熱膨張係数の
差に大きく支配されていることを見出した。
【0021】本発明の接合方法においては、筒状接合用
継ぎ手とセラミックス管との平均熱膨張係数の差を2×1
0−7/℃以下とする、特には1×10−7/℃以下とするの
が好ましい。これにより接合部残留歪を実使用時にほと
んど問題のない50×10−6以下まで大きく低減しうるこ
とを見出したのである。
【0022】例えば、高温ガスの除塵装置のフィルタと
して用いられるセラミックス管としては、耐熱衝撃性の
観点から、低熱膨張性のものが好ましく、平均熱膨張係
数が12×10−7/℃程度であるものが好ましく用いられ
ている。したがって、上記セラミックス管を接合する際
には、平均熱膨張係数が12×10−7〜14×10−7/℃で
ある筒状接合用継ぎ手を用いるのが好ましい。
【0023】ここで、本発明における上述した残留歪み
と残留応力の関係は、本発明の検討において用いた筒状
接合用継ぎ手のヤング率がおよそ3000kgf/mm2であるこ
とを考慮すると、100×10−6の引張残留歪みがおよそ3
0kgf/cm2の引張応力に相当する。筒状接合用継ぎ手の切
り出し強度は100kgf/cm2あるものの、脆性セラミックス
材料の強度が有効体積に依存し、大きな部材ほど強度が
低下することから、実際の強度はその半分の50kgf/cm2
程度のものも含まれていると考えられる。従って、30kg
f/cm2を越える引張応力が発生した場合には、確率論的
には、筒状接合用継ぎ手の数百個に1個は破壊されるこ
とも予想され、実機での信頼性確保には無視できない値
となる。このため、接合部の残留歪みはできるだけ小さ
くすることが好ましいのである。
【0024】本発明においては、セラミックス管の外側
面と筒状接合継ぎ手の内側面との間に接合材を充填して
接合層を形成する。このような接合材としてはセメン
ト、アルカリ金属ケイ酸塩の脱水縮合反応を用いたも
の、リン酸塩の脱水縮合反応を用いるもの、コーディエ
ライト質粒子又はスポジュメン質粒子又はこれらの双方
をを用いるもの、を挙げることができる。
【0025】しかしながら、いずれの接合材でも程度の
差こそあれ、その平均熱膨張係数はセラミックス管に比
較して低熱膨張化が困難なので接合部の残留歪みを増大
させてしまう大きな一つの要因となり得る。このためセ
ラミックス管及び筒状接合用継ぎ手の平均熱膨張係数を
近づけたとしても、接合材による残留歪みが発生してし
まったのではセラミックス管接合部の全体としての残留
応力は低減できないことになる。
【0026】図2は、2つのセラミックス管20,22
と、接合層24と、筒状接合用継ぎ手26から構成され
た接合部の図1の切断線A−Aに沿った断面図である。
接合層24は、セラミックス管の径方向外側面と筒状接
合用継ぎ手の径方向内側面との間に画成された接合材充
填空間に接合材が充填されて形成されている。接合層2
4を形成する接合材充填空間の離間幅が接合層の厚み
(t)である。接合部は、筒状接合用継ぎ手の内側面に
形成された内側突起が、セラミックス管の切欠き端部を
互いに対向させて形成した凹部に突出するように構成さ
れている。
【0027】この内側突起とセラミックス管との対向端
部によって形成された凹部の間及び各セラミックス管相
互の間には、同様に接合材が充填され、接合層により互
いに接合されている。この部分の接合層の厚さは、製造
上の都合により適宜設定することが可能である。この接
合構造を構成する筒状接合継ぎ手及び切欠き端部を備え
たセラミックス管は、例えば特公平7-79935号に開示さ
れているようにアイソスタチックプレスといった方法に
より、管体及び端部段差構造を一体に形成した後、焼成
させることによって形成することもできる。また、ダイ
ヤモンドの回転砥石を用いて筒状のセラミックス管を切
削加工することによっても形成できる。
【0028】通常コーディエライト質のセラミックス管
同士を接合する場合、上述したように接合材を焼結させ
て接合するが、一般的に接合材は焼結したときの平均熱
膨張係数が、上記セラミックス管の平均熱膨張係数より
も大きいため接合材からなる接合層は焼結後に収縮が起
こり亀裂が発生しやすい。
【0029】本発明の接合方法によって得られる接合構
造、特に周方向に延びる径方向外向き面が形成されるよ
うに切欠かれたセラミックス管の切欠き端部を、内側面
に内側突起を備えた上記接合用継ぎ手の開口部から挿入
し、内側突起をセラミックス管の開口端部により形成さ
れる凹部に収容させて位置決めするとともに、セラミッ
クス管と接合用継ぎ手の間に接合材により接合層を形成
させることによって形成される接合構造は、仮にセラミ
ックス管の接合部分の一部に亀裂が発生したとしても、
接合部分がジグザグ状であることから亀裂が生じた部分
が貫通した連続孔にはならないため、特にフィルタとし
て用いた場合にガス漏れを生じさせず、より信頼性を向
上させることができる。
【0030】本発明者等は、さらにセラミックス管の長
期信頼性を向上させるべく、接合層の厚みtと接合材と
の関係について鋭意検討した結果、接合材の影響を最小
限にするためには、接合層の厚みtをセラミックス管の
肉厚に対して15%以下、特には10%以下とすることで、比
較的高い平均熱膨張係数を持つ接合材を使用する場合で
あっても、その影響を無視しうることを見出した。
【0031】また、残留歪みの方向についていえば、筒
状接合用継ぎ手の平均熱膨張係数がセラミックス管より
も小さい場合には、筒状接合用継ぎ手には圧縮方向の残
留歪みが発生し、逆に大きい場合には引張方向の残留歪
みが発生する。しかしながら、接合層の厚みをセラミッ
ク管の15%以下とし、筒状接合用継ぎ手とセラミックス
管の平均熱膨張係数の差を2×10−7/℃以下とすること
で、接合部に発生する歪みを50×10−6以下にできる。
【0032】また、前述のセラミックス管と筒状接合用
継ぎ手の平均熱膨張係数の差を2×10−7/℃以下とした
場合に、具体的には標準的なセラミックス管の肉厚であ
る14mmに対し、接合層の肉厚tをセラミックス管の肉厚
の15%以下、すなわち2mm以下とすれば、接合材の平均熱
膨張係数がセラミックス管の平均熱膨張係数に比較して
大きい場合、例えば接合材とセラミックス管の平均熱膨
張係数の差が10×10 /℃程度であっても、接合部に
おける残留歪みは50×10−6以下に抑えることができ
た。一方で接合材とセラミックス管の平均熱膨張係数の
差が10×10−7/℃を越える場合には、接合層の肉厚t
を薄くしても接合部の残留歪みを50×10 以下にする
ことは困難であった。したがって、接合材とセラミック
ス管の平均熱膨張係数の差は、10×10−7/℃以下であ
るのが好ましい。
【0033】一方、上述した接合層の肉厚tが0.5mm未
満では、施工上接合材を隙間に充填することが難しくな
る。したがって、用いる接合層の肉厚tは、セラミック
ス管の肉厚が14mmである場合、0.5mm〜2mmとすることが
望ましい。
【0034】接合層の厚さtが2mmを超え、かつ筒状接
合用継ぎ手やセラミックス管に比較して焼結された接合
材の平均熱膨張係数が大きい場合には、焼成した後冷却
する際に、接合材がより収縮するために接合部剥離が起
こる。この接合部剥離を防止するには筒状接合用継ぎ手
の平均熱膨張係数を、接合材の平均熱膨張係数に近づけ
るために大きくする必要があるが、この場合筒状接合用
継ぎ手とセラミックス管の平均熱膨張係数の差が増大し
てしまう。
【0035】これまで説明したように、セラミックス管
の接合に際し、接合材が充填されて形成される接合層の
肉厚tをセラミックス管の15%以下とし、セラミック管
と筒状接合用継ぎ手の平均熱膨張係数の差を2×10−7/
℃とすることにより、接合部の残留歪みをほぼゼロにす
ることが可能となる。
【0036】本発明の接合方法を適用できるセラミック
ス管としては、特に限定されないが、例えばアルミナ
質、コーディエライト質、ムライト質又は炭化珪素質な
どのセラミックス管を挙げることができる。特に平均熱
膨張係数の小さいコーディエライト質のセラミック管を
接合する場合はセラミックス管と接合材の平均熱膨張係
数の差が大きくなるため、本発明の接合方法が好ましく
用いられる。
【0037】なお、コーディエライト質セラミックス管
同士を接合する場合は、コーディエライト質セラミック
スからなる筒状接合用継ぎ手を用いるのが好ましく、接
合材としては主成分がコーディエライト質粒子又はスポ
ジュメン質粒子からなるものを用いるのが好ましい。
【0038】
【実施例】以下本発明のセラミックス管接合方法を実施
例によって具体的に説明するが、これらの実施例は本発
明の一例であって、本発明はこれらの実施例によって何
ら限定されるものではない。 (実施例1)コーディエライトを基材とするセラミック
ス管(外径168mm、肉厚14mm、長さ25cm)を2本接合し
て、セラミックス接合部を有するセラミックス管フィル
タを作成した。この接合部の径方向外側には、同じくコ
ーディエライトを基材とする筒状接合用継ぎ手を配置し
た。用いたセラミックス管の平均熱膨張係数は、12×10
−7/℃であり、筒状接合用継ぎ手の平均熱膨張係数
は、14×10−7/℃であり、接合層の厚みtは、2mmであ
る。また、用いた接合材は、コーディエライト質粒子を
主成分とし、その平均熱膨張係数は、18×10−7/℃で
あった。
【0039】セラミックス管の接合は、次のようにして
行った。まず、接合するセラミックス管の接合部外面に
シリカ成分を30重量%含むシリカゾルを塗布して接合材
との濡れ性を向上させた後、塗布可能な粘度に調整した
接合材をセラミックス管外側面に塗布し、このセラミッ
クス管をシリカゾルを内面に塗布した筒状接合用継ぎ手
の一方側の開口部に嵌合させた。同様にして筒状接合用
継ぎ手の反対側の開口部から別のセラミックス管を嵌合
して24時間乾燥させた。乾燥後、セラミックス管及び筒
状接合用継ぎ手を900℃にて24時間焼成させて接合を完
了した。なお、この接合は特開平7-138081号公報にした
がって行った。
【0040】このようにして得られたセラミックス管の
接合部に生じた残留歪みを、図1で説明した歪みゲージ
を用いる方法により測定した。得られた結果をセラミッ
クス管、筒状接合用継ぎ手、接合材の平均熱膨張係数、
並びにそれぞれの肉厚、厚みとともに表1に示す。表1
に示すように、セラミック管の接合部に生じた残留歪み
は歪みゲージの測定誤差限界程度と低く、良好な接合部
を有するセラミックス管の接合体であるセラミック管フ
ィルタが得られた。
【0041】(実施例2〜実施例7)平均熱膨張係数の異
なった種々のセラミックス管及び筒状接合用継ぎ手を用
い、さらに接合層の厚みtを変化させたことを除き、同
様の方法によりセラミックス管接合体を作成してその接
合部の残留歪みを測定したところ、接合部の残留歪みが
充分に低い良好なセラミックス管接合体が得られた。
【0042】(比較例8〜比較例11)表1には、同時に
比較例8〜11として得られた結果を示している。これら
の比較例に示されるように、セラミックス管及び筒状接
合用継ぎ手の平均熱膨張係数差が2×10−7/℃より大き
い場合及びセラミックス管及び筒状接合用継ぎ手の平均
熱膨張係数が2×10−7/℃であっても、接合層の厚みt
がセラミックス管の肉厚14mmに対して15%より大きい場
合、すなわち2mmを超える場合には、接合部に大きな残
留歪みの生じたセラミックス管の接合体しか得られなか
った。
【0043】上記実施例の結果から、残留歪みを実使用
時に問題のない50×10−6以下とするためには、接合材
が充填されて形成される接合層の肉厚を2mm以下、すな
わち、セラミックス管の肉厚に対して15%以下とし、か
つ、セラミックス管及び接合用継ぎ手との平均熱膨張係
数差を2×10−7/℃以下とすれば良いことがわかる。
【0044】
【発明の効果】本発明の接合方法によれば、接合材の充
填される接合層の肉厚をセラミックス管肉厚の15%以下
とすること、さらにはセラミックス管と筒状接合用継ぎ
手との平均熱膨張係数の差を2×10−7/℃以下とするこ
とにより、接合部に発生する残留歪みを充分に低くする
ことができる。この結果、接合部に残留歪みを生じさせ
ずにセラミックス管を接合させたセラミックス管の接合
体を提供できる。この接合体は、接合部が屈曲した構造
を備えているため、接合部に亀裂が生じた場合でも接合
部の内側面から外側面までの連続孔を形成することが無
く、より信頼性を高めることができる。これは石炭発電
など長期連続運転が要求される用途に応用する際の長期
信頼性を確保する上で非常に大きな利点であり、産業上
の利用効果は多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】セラミックス管接合部を示した図。
【図2】図1の切断線A−Aに沿った接合部の断面図。
【符号の簡単な説明】
10…セラミックス管接合体 12…セラミックス管 14…セラミックス管 16…筒状接合用継ぎ手 18a,18b,18c…歪みゲージ 20…セラミックス管 22…セラミックス管 24…接合層 26…筒状接合用継ぎ手 t…接合層の厚み
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3H111 AA01 BA09 CB14 CB27 DA26 DB11 DB27 EA20 4D021 AA13 AB20 AC10 BA20 CA01 EA10 4G026 BA07 BB07 BC01 BE02 BF04 BF05 BF44 BF45 BF52 BG05 BH11 BH13 4J040 AA011 HA351 JA07 MA04 MB06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のセラミックス管を、該セラミック
    ス管の接合部を囲繞する筒状の接合用継ぎ手を用いて接
    合する方法であって、前記セラミックス管と前記接合用
    継ぎ手の25℃から1000℃までの平均熱膨張係数の差を2
    ×10−7/℃以下とし、前記セラミックス管の外側面と
    前記接合用継ぎ手の内側面との間に接合材からなる接合
    層を形成し、該接合層の厚さを前記セラミックス管の肉
    厚の15%以下とするセラミックス管の接合方法。
  2. 【請求項2】 前記接合層と前記接合用継ぎ手の25℃か
    ら1000℃までの平均熱膨張係数の差を10×10−7/℃以
    下とする請求項1に記載の接合方法。
  3. 【請求項3】 前記接合用継ぎ手の外側面における残留
    歪みは、50×10−6以下である請求項1又は2に記載の
    接合方法。
  4. 【請求項4】 前記セラミックス管及び前記接合用継ぎ
    手がコーディエライト質骨材からなる請求項1,2又は
    3に記載の接合方法。
  5. 【請求項5】 前記接合材の主成分がコーディエライト
    質粒子又はスポジュメン質粒子からなる請求項1,2,
    3又は4に記載の接合方法。
  6. 【請求項6】 周方向に延びる径方向外向き面が形成さ
    れるように切欠かれた前記セラミックス管の切欠き端部
    を、前記内側面に内側突起を備えた前記接合用継ぎ手の
    各開口部から挿入し、前記各切欠き端部が対向して形成
    される凹部に前記内側突起を収容し、少なくとも前記セ
    ラミックス管と前記接合用継ぎ手の間に前記接合材によ
    り前記接合層を形成させる請求項1,2,3,4又は5
    に記載の接合方法。
  7. 【請求項7】 内側面に内側突起を備えた筒状のコーデ
    ィエライト質接合用継ぎ手と、周方向に延びる径方向外
    向き面が形成されるように端部が切欠かれたコーディエ
    ライト質セラミックス管と、少なくとも前記接合用継ぎ
    手の前記内側面と前記セラミックス管の外側面との間に
    接合材から形成される接合層とを含むセラミックス管の
    接合構造であって、前記接合層は、前記セラミックス管
    の肉厚の15%以下の厚さであり、前記セラミックス管と
    前記接合用継ぎ手の25℃から1000℃までの平均熱膨張係
    数の差が2×10−7/℃以下であり、前記セラミックス管
    の各切欠き端部が対向して形成される凹部に前記接合用
    継ぎ手の前記内側突起が突出したセラミックス管の接合
    構造。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004059402A (ja) * 2002-07-31 2004-02-26 Taiheiyo Cement Corp 低熱膨張セラミックス接合体
JP2004179353A (ja) * 2002-11-27 2004-06-24 Taiheiyo Cement Corp ステージ部材
KR102277153B1 (ko) * 2021-04-20 2021-07-14 보성포리테크 주식회사 엘에이에스 코팅 시트

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